JPH1087507A - γ−グルタミルトランスペプチターゼの新規な用途 - Google Patents
γ−グルタミルトランスペプチターゼの新規な用途Info
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Abstract
下、γ−GTP)または破骨細胞分化促進活性を有する
γ−GTP誘導体を有効成分として含有する、破骨細胞
分化促進剤、該γ−GTP等を用いることを特徴とする
破骨細胞分化促進活性阻害剤のスクリーニング方法、該
スクリーニング方法を用いて得られる破骨細胞分化促進
活性阻害剤。 【効果】γ−GTPは破骨細胞分化促進活性を有するこ
とから、低回転型骨粗鬆症に対する有効な治療薬とな
る。またγ−GTPを用いたスクリーニングにより得ら
れた破骨細胞分化促進活性阻害剤は、高回転型骨粗鬆
症、癌の骨転移に伴う高カルシウム血症や骨破壊、慢性
関節リウマチに伴う骨破壊、さらには慢性肝疾患に伴う
二次的骨減少症等の疾患に対する有効な治療薬となる。
Description
ランスペプチターゼ(以下、γ−GTPと略す)の新た
な用途に関する。さらに詳しくは、γ−GTPまたはそ
の活性を保持する誘導体を有効成分として含有する破骨
細胞分化促進剤、または該γ−GTP等を用いる破骨細
胞分化促進活性阻害剤のスクリーニング方法、さらには
該スクリーニングにより見出される破骨細胞分化促進活
性阻害剤、に関する。
収とによって基本的形状を変えることなく、新生骨に置
換される。この過程は骨リモデリング(骨再造形)と呼
ばれ、生体の機能維持に重要な役割を果たしている。骨
形成の中心的な役割を果たしている骨芽細胞は、間葉系
由来の未分化細胞から分化し、骨基質を形成する。一
方、骨吸収の中心的な役割を果たしている破骨細胞は骨
髄細胞に由来し、骨芽細胞との細胞間接触を介して分化
することにより形成される。成熟破骨細胞は多核で増殖
性の乏しい巨細胞であり、カルシトニン受容体や酒石酸
抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)を発現する。ま
た、骨や象牙質等の石灰化組織を吸収する活性を有して
いる。これら破骨細胞と骨芽細胞による骨リモデリング
のバランスは、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による
骨形成の繰り返しにより平衡に保たれている。しかし、
ひとたびこの平衡バランスが崩れると骨組織は異常をき
たし、種々の疾患を呈することになる。
な疾患として、骨粗鬆症が知られている。骨粗鬆症は、
骨リモデリングの代謝回転速度からみて、閉経早期ある
いは甲状腺機能亢進症などにおいて認められる高回転型
骨粗鬆症と、老人性、ステロイド性、糖尿病性骨粗鬆症
において認められる低回転型骨粗鬆症に分類されてい
る。それ以外では、例えば癌の骨転移に伴う高カルシウ
ム血症や骨破壊、慢性関節リウマチに伴う骨破壊等の疾
患が、上記骨リモデリングの異常により起こる疾患とし
て知られている。これら癌の骨転移に伴う高カルシウム
血症や骨破壊、あるいは慢性関節リウマチに伴う骨破壊
は、破骨細胞の機能が異常に亢進した結果生じる疾患で
ある。
探索が種々なされているが、未だ決定的な治療薬は見出
されていない。アプローチの一つとして、骨髄細胞から
破骨細胞への分化を促進する因子、あるいはその阻害剤
が、上記疾患に対する治療薬となることが考えられる。
すなわち破骨細胞の分化促進因子は、上述の如き低回転
型骨粗鬆症においてみられる骨リモデリングの低回転を
正常に戻すことが考えられるため(J.Bone Miner Res.,
7, p65 (1992) )、この低回転型骨粗鬆症の有効な治療
薬となることが考えられる。一方、破骨細胞分化促進因
子の阻害剤は、上述の如き高回転型骨粗鬆症における骨
リモデリングの高回転を正常に戻すことが考えられるた
め(Am.J.Med.Sci., 305(1), p40(1993)及び Mebio.,11
(2), p24(1994))、この高回転型骨粗鬆症の有効な治療
薬となることが考えられる。また、前記の如き破骨細胞
の機能の亢進に伴う癌患者の骨破壊や、慢性間接リウマ
チ患者の骨破壊等にも、この破骨細胞分化促進因子の阻
害剤が有効に働くことが考えられる。破骨細胞分化促進
因子は骨吸収因子とも呼ばれ、これまでに活性型のビタ
ミンD3 、副甲状腺ホルモン(PTH)、インターロイ
キン1、プロスタグランディン等が知られている。しか
しこれらの因子は種々の問題点があり、未だ治療薬とは
なっておらず、新たな破骨細胞分化促進因子の出現が望
まれている。
と同時に、そのγーグルタミル基を他のペプチドやアミ
ノ酸に転移する反応を触媒する膜結合型酵素である。γ
−GTPは腎、膵、肝の順に活性が高く、特に腎臓では
近位尿細管、肝臓では毛細胆管、膵臓では膵腺房や膵管
系に広く存在している。γ−GTPの生理的機能とし
て、物質輸送能の高い臓器の細胞膜に結合した膜結合型
酵素であるという局在性と、上述の如き酵素の反応特性
から、γ−グルタミルサイクルの一員として細胞の外側
から細胞内へ共役的にアミノ酸を輸送する機能を有して
るという仮説が提唱されている( Science,180, p33(19
73) )。しかし、この仮説を否定する報告も種々なされ
ている(代謝、16,(3) (1979)、Eur.J.Biochem.,78,p60
9(1977)、Biochem.Biophys.Res.Commun.,65,p68(197
5)、およびBiochem.Biophys.Res.Commun.,73,p 997(197
6))。
て、酸化型グルタチオン(GSSG)のサルベージに関
与していることが推測されている。すなわち、生体には
非常に多くのグルタチオン(GSH)が存在し、生体内
酸化反応に対応して酸化型グルタチオン(GSSG)と
して血中に放出されていることが知られている(E.,Cli
n.Chim.Acta,7,p755(1969))。このGSSGもGSHと
同様に本酵素の基質となることが知られている。アミノ
酸と異なり、このものの細胞内への輸送速度は非常に遅
いため、腎近位尿細管のγ−GTPによりGSHを分解
し、アミノ酸にして細胞内に取り込み、元のGSHを合
成することで一定濃度を維持している。もし腎近位尿細
管に本酵素がなく、構成アミノ酸への水解が起こらなけ
れば、その大部分は尿中に失われてしまう。そのため、
本酵素欠損症の患者尿中には大量のGSSGが見出され
ている(グルタチオン尿症)。これらの知見に基づき、
GSSGのサルベージが本酵素の生理機能の一つと推測
されている。
の診断薬としての用途が知られている。すなわち、肝細
胞のγ−GTPは、大部分がミクロソーム分画に局在
し、血中には肝由来の可溶型γ−GTPが僅かに存在し
ている。γ−GTPは、種々の肝胆道疾患に伴い血中濃
度が上昇するため、これら肝胆道疾患の有効な診断薬と
なっている。その中でも診断的意義の最も高い疾患が、
胆汁うっ滞である。特に肝内性、肝外性うっ滞時にはア
ルカリ性ホスファターゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ
などの胆道系酵素とともに、著しくγ−GTPの血中濃
度が上昇する。具体的な疾患としては、胆汁うっ滞を起
こす薬剤性肝炎や急性アルコール性肝炎などが挙げられ
る。また部分的な胆汁うっ滞である原発性、転移性肝癌
などの限局性肝病変及びアルコール常習者の場合では、
γ−GTPは中等度の上昇を示す。急性肝炎ではアスパ
ラギン酸アミノトランスフェラーゼ(GOT)、アラニ
ンアミノトランスフェラーゼ(GPT)などのトランス
アミナーゼの上昇に比し、γ−GTPの上昇は軽度であ
る。また、慢性肝炎、肝硬変でも軽度の上昇にとどま
る。このようにγ−GTPは、種々の肝疾患において特
異性の高い鋭敏な診断薬として日常的に利用されてい
る。
的機能が示唆され、また、肝疾患における診断薬として
の用途が知られている。しかし該γ−GTPが、前記破
骨細胞の分化促進に関与しているか否かについては、何
ら明らかにされていない。
する課題は、γ−GTPの新たな生理機能を見出すこと
により、γ−GTPまたはその活性を保持する誘導体
の、新たな用途を提供することにある。すなわち、γ−
GTPの破骨細胞分化促進因子としての機能を見出すこ
とにより、γ−GTPまたはその活性を保持する誘導体
を有効成分として含有する破骨細胞分化促進剤、あるい
は該γ−GTP等を用いる破骨細胞分化促進活性阻害剤
のスクリーニング方法、さらには該スクリーニングによ
り見出される破骨細胞分化促進活性阻害剤、を提供する
ことにある。
胞であるBW5147細胞から発現クローニング法によ
り破骨細胞分化促進因子を探索したところ、(1)破骨
細胞のマーカー酵素であるTRAP染色性、(2)カル
シトニン受容体の存在、(3)象牙の分解活性の、公知
の3つの特性を有する「破骨細胞」へと分化形成させる
因子を発見することに成功した。我々は、このタンパク
性因子をOPFa12と命名してさらに解析を進めたと
ころ、驚くべきことに本発明者らがクローニングしたO
PFa12は、γ−GTPと同一物質であることが判明
した。すなわち、現在まで細胞内へのアミノ酸の輸送、
あるいはGSSGのサルベージといった生体内機能しか
知られていなかったγ−GTPが、破骨細胞の分化促進
活性という新規な機能を有することを発見し、さらに研
究を重ねて本発明を完成するに至った。
P、または破骨細胞分化促進活性を有するγ−GTP誘
導体、を有効成分として含有する、破骨細胞分化促進
剤、(2) γ−GTP、または破骨細胞分化促進活性
を有するγ−GTP誘導体、を用いることを特徴とす
る、破骨細胞分化促進活性阻害剤のスクリーニング方
法、(3) 前記(2)記載のスクリーニング方法を用
いて得られる、破骨細胞分化促進活性阻害剤、(4)
γ−GTPのペプチド断片、または破骨細胞分化促進活
性を有するγ−GTP誘導体のペプチド断片よりなる、
前記(3)記載の破骨細胞分化促進活性阻害剤、(5)
γ−GTPに対する抗体、または破骨細胞分化促進活
性を有するγ−GTP誘導体に対する抗体からなる、前
記(3)記載の破骨細胞分化促進活性阻害剤、(6)
前記(3)〜(5)いずれか記載の破骨細胞分化促進活
性阻害剤よりなる、高回転型骨粗鬆症、癌の骨転移に伴
う高カルシウム血症又は骨破壊、慢性関節リウマチに伴
う骨破壊、あるいは慢性肝疾患に伴う二次性骨減少症、
に対する治療薬、並びに(7) 前記(1)記載の破骨
細胞分化促進剤よりなる、低回転型骨粗鬆症に対する治
療薬、に関する。
全ての脊椎動物のγ−GTPを含むものである。既に、
ヒト(Gene,73, p1 (1988))、マウス(Gene,167, p233(1
995))、ラット(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83, p937(198
6))等、脊椎動物のγ−GTPのcDNAがクローニン
グされている。そして、マウスとラットγ−GTPでは
約90%のホモロジーを、またヒトとラットγ−GTP
では約80%のホモロジーを有しており、種間で非常に
高いホモロジーを有することが分かっている。従って、
前記文献等において開示された塩基配列よりγ−GTP
特異的なプライマーあるいはプローブを作製し、該プラ
イマーあるいはプローブを用いて脊椎動物の種々のcD
NAライブラリーをスクリーニングすることにより、本
発明のγ−GTPを容易にクローニングすることができ
る。これらクローニングの方法は、例えばMolecular Cl
oning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)等に詳しく述べられており、具体的には、ハイブ
リダイゼーションを用いる方法、あるいはPCRを用い
る方法等が挙げられる。
ベクターへの挿入、および該発現ベクターの原核性生物
細胞または真核性生物細胞への導入は、いずれも前記Mo
lecular Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Labora
tory Press(1989)等に従い、当業者ならば容易に行える
状況にある。さらに、上記発現ベクター導入細胞の培養
上清中に産生されたγ−GTPは、亜鉛キレートアガロ
ース、コンカナバリンAアガロース、セファデックスG
−150等を用いる公知の方法等によって、容易に精製
することができる。
有するγ−GTP誘導体(以下単に、活性を有するγ−
GTP誘導体、と略することもある)」とは、人為的に
作製したいわゆる改変タンパク質あるいはペプチドや、
生体内に存在するアレル変異体等のうち、破骨細胞分化
促進活性を有するものを指す。該誘導体をコードするD
NAは、例えば特異的突然変異誘発 ( Methods in Enzy
mology, 100, p468 (1983)) やPCR法(Molecular Clo
ning 2nd Edt. 15章、Cold Spring Harbor Laboratory
Press(1989))等の手法により、当業者ならば容易に作製
することができる。また、このようにして作製されたD
NAからタンパク質への発現は、前記γ−GTPと同様
にして行うことができる。
例えば、骨髄細胞に対してγ−GTPの種々の誘導体を
作用させた後、破骨細胞の公知の作用−すなわち1)T
RAP染色性、2)カルシトニン受容体の存在、3)象
牙の分解活性、を調べることにより、容易に測定するこ
とができる。具体的には以下のようにして測定すること
ができる。
は、骨髄系細胞から分化・誘導される細胞であると考え
られているため、アッセイ用細胞として、この骨髄系細
胞を使用する。具体的には、たとえば 6〜12週令のマウ
スの大腿骨および脛骨の骨端を切り落としたものをピペ
ッティングし、沈殿した骨残渣を除いた上清部分を骨髄
細胞として使用することができる。この調製された骨髄
細胞を、活性型ビタミンDを含む培養液中に懸濁させ、
適当な濃度(例えば2×106個細胞/ml )に調製してプレー
ト(例えば96穴プレート)上にまき、そこへ、被験物質で
あるγ−GTPの種々の誘導体を添加した後、1)TR
AP染色法、2)象牙を用いたpit形成法、3)カル
シトニン受容体の検出法、の、破骨細胞の公知の3つの
作用を調べ、これら1)〜3)の全てにポジティブであ
った場合は、該γ−GTPの誘導体に、破骨細胞分化促
進活性が存すると判断する。ここで1)のTRAP染色
は、例えばEndocrinology, 122, p1373(1988)等に従
い、まず上記の如く被験物質で処理された骨髄細胞をア
セトン−クエン酸緩衝液で固定した後、酒石酸存在下で
基質(Naphthol AS-Mxphosphate)と色素(Fastredviole
t LB salt)を37℃で1時間程度反応させることによ
り、検出することができる。また2)のpit形成測定
は、例えば、あらかじめ直径6mm、1mm厚程度の象牙質ス
ライスを96穴ウエルプレートのウエル底に敷いたものを
用意し、このウエル上で、上記の如き被験物質による骨
髄細胞の処理を行い、適当な期間の後、象牙質スライス
上の細胞を先のTRAP染色し、0.25%トリプシン−0.
02%EDTAで一晩処理し、スライス上の細胞をシリコ
ンスクレイパーで削り取った後、象牙質スライス上のp
it(吸収窩)を顕微鏡下で観察し、その数を測定する
ことにより測定することができる。また、3)のカルシ
トニン受容体の検出は、例えばLAB-TECチェンバースラ
イド上で被験物質による処理を行った細胞に対し、[125
I]サケ・カルシトニンを加えて37℃で反応させた後、
先のTRAP染色を行い、その後スライドをエマルジョ
ン(KODAK NTB-2)に浸し、暗箱中4℃で2-7日保存
し、その後現像して顕微鏡下で観察することにより、検
出することができる。以上のような破骨細胞分化促進活
性の測定法に種々のγ−GTPの誘導体を供することに
より、上記の如き活性を有するγ−GTP誘導体を、容
易に選別することができる。
−GTP誘導体は、破骨細胞分化促進活性を有する因子
である。従ってこれらの物質を有効成分として含有する
「破骨細胞分化促進剤」は、「従来の技術」の項にも記
載した如く、老人性、ステロイド性、糖尿病性骨粗鬆症
において認められる低回転型骨粗鬆症に対する有効な治
療薬となるものである。これら破骨細胞分化促進剤の患
者への投与方法としては、静脈注射による投与が好まし
いが、経口投与、坐薬としての投与、皮下注射、筋肉注
射、局所注入、腹腔内投与なども考えられる。また投与
量は、一日量 0.0001 〜100mg 程度を症状が改善される
まで投与することが可能である。
−GTP誘導体はまた、破骨細胞分化促進活性阻害剤の
スクリーニングのためにも使用できる。ここで、「破骨
細胞分化促進活性阻害剤」とは、本発明のγ−GTP等
の有する破骨細胞分化促進活性を阻害する薬剤を指す。
そして「破骨細胞分化促進活性阻害剤のスクリーニング
方法」は、先に述べた破骨細胞分化促進活性の測定系
に、被験物質である阻害剤候補物質を添加することによ
って実施することができる。
のうち、「2)象牙を用いたpit形成法」により阻害
剤のスクリーニングを行う際は、まず前記の如く象牙質
スライス上で、マウス骨髄細胞に対し、γ−GTPと阻
害剤候補物質とを添加、作用させる。その際、阻害剤候
補物質に阻害作用があれば、象牙質に吸収窩(pit)
が形成されない。この吸収窩の形成を指標に、容易に阻
害剤をスクリーニングすることができる。以上のよう
な、γ−GTPを用いた破骨細胞分化促進活性阻害剤の
スクリーニング方法は、本発明においてγ−GTPの新
たな生理機能を見出したことに伴って、初めて可能とな
ったものである。
害剤」とは、上記スクリーニング方法により見出される
ものであり、前記もしたように、本発明のγ−GTPの
有する破骨細胞分化促進活性を阻害する薬剤を意味す
る。このような破骨細胞分化促進活性阻害剤は、「従来
の技術」にも記載したように、閉経早期あるいは甲状腺
機能亢進症などにおいて認められる高回転型骨粗鬆症に
対する治療薬、また癌の骨転移に伴う高カルシウム血症
や骨破壊、あるいは慢性関節リウマチに伴う骨破壊等の
疾患に対する有効な治療薬となるものである。なお後述
の実施例に記載の如く、本発明のγ−GTPはコラーゲ
ン関節炎モデルの炎症部位で発現しており、またγ−G
TPに対する抗体は、コラーゲン関節炎マウスの炎症関
節部位より分離した細胞から破骨細胞への分化誘導を、
抑制することが示された。これらの結果は、γ−GTP
の阻害剤が、上記慢性関節リウマチに伴う骨破壊に対す
る有用な治療薬になることを裏付けるものである。さら
に、本発明のγ−GTPは、骨転移し易くまた高カルシ
ウム血症の合併頻度の高い癌細胞として知られている前
骨髄性白血病細胞、Burkittsリンパ腫細胞、あるいは肺
癌細胞等において高発現していることが示された。これ
らの結果は、γ−GTPの阻害剤が、上記癌の骨転移に
伴う高カルシウム血症や骨破壊に対する有用な治療薬と
なることを裏付けるものである。
細胞分化促進活性阻害剤は、慢性肝疾患に伴う二次性骨
減少症の有効な治療薬となることが考えられる。すなわ
ち近年、大阪府立病院消化器内科グループの調査におい
て、慢性肝疾患の二次性(肝性)骨減少症の頻度とその
病態についての解析が行われており(肝臓 36巻, 2
号,1:p67,(1995))、これによると、DXA法で骨塩量
を測定するとともに骨代謝のパラメーターを生化学的並
びに内分泌学的に検討した結果、慢性肝疾患では健常対
照群に比して二次的な骨減少症の頻度が有意に高く、し
かも、肝硬変に至る以前の慢性肝炎の時期に肝性骨減少
症が発症しているという結果が得られた。さらに、慢性
肝疾患において、骨減少症合併群は非合併群に比べてγ
−GTPと総胆汁酸量が有意な高値を示したことも報告
された。このように、上記慢性肝疾患における二次性骨
減少症においてγ−GTPが有意な高値を示したことが
報告されたが、これら二次性骨減少症とγ−GTPとの
関係については、何ら示されていない。本発明において
は、γ−GTPが破骨細胞分化促進活性を有すること
を、新たに見出した。この新たな発見と、上記慢性肝疾
患における二次的骨減少症においてγ−GTPが有意に
高値であったという報告とを併せ考慮すると、γ−GT
Pの有する破骨細胞分化促進活性が、この二次的骨減少
症の原因となっていることが考えられる。従って、γ−
GTPに対する阻害剤は、この二次的骨減少症の有効な
治療薬になると考えられる。このような本発明の破骨細
胞分化促進活性阻害剤の患者への投与方法としては、前
記破骨細胞分化促進剤と同様の投与法が考えられる。ま
た投与量は、一日量0.0001 〜100mg 程度を症状が改善
されるまで投与することが可能である。
片、または破骨細胞分化促進活性を有するγ−GTP誘
導体のペプチド断片」とは、具体的には、γ−GTPま
たは活性を有する誘導体の、十数〜数十のアミノ酸配列
からなるペプチドを指し、好ましくは10〜20個程度のア
ミノ酸配列からなるペプチドを、さらに好ましくはγ−
GTPのエピトープ領域を形成する10〜20個程度のアミ
ノ酸配列からなるペプチドを指す。該エピトープ領域の
アミノ酸配列は、特開平3-4782等に記載の方法により推
定することが可能である。該ペプチドは、10〜20個程度
の短いものであればペプチド合成装置により合成するこ
とができるし、長いものであれば通常の遺伝子工学的手
法により(たとえば制限酵素処理等により)調製された
DNAを、上述の動物細胞等により発現させることによ
り、得ることができる。これら作製されたペプチド断片
を、上記破骨細胞の分化促進活性阻害剤のスクリーニン
グに供することにより、該阻害活性を有するペプチド断
片を、容易に選び出すことができる。
体、または破骨細胞分化促進活性を有するγ−GTP誘
導体に対する抗体」は、例えば新細胞工学実験プロトコ
ールp210秀潤社(1993)に記載された方法を用いてウサギ
等を免疫することにより、容易に作製することができ
る。また、例えば分子生物学研究のためのタンパク実験
法第4章 羊土社(1994)に述べられている手法を用い
ることにより、容易にモノクローナル抗体を作製するこ
ともできる。上述のように、該γ−GTPの抗体は、コ
ラーゲン関節炎マウスの炎症関節より分離した細胞から
破骨細胞への分化を抑制することが明らかとなった。従
って、このようなγ−GTPの抗体は、破骨細胞分化促
進活性の有効な阻害剤となるものである。また、γ−G
TPの種々の抗体のうち、いかなる抗体が破骨細胞分化
促進活性阻害効果を有するかについては、上記破骨細胞
分化促進活性阻害剤のスクリーニング方法にこれら抗体
を供することにより、容易に見出すことができる。
明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例
によりなんら限定されるものではない。
8)1×108個をAGPC法(acid guanidium thio
cyanate-phenol-chloroform method;実験医学 9, 15,
p99 (1991))に従い全RNAを分離した。即ち、ま
ず、細胞のペレットに4Mのグアニジンイソチオシアネ
ート10mlを加え、直ちに激しく振とうし、その溶液
を18Gニードルにより5往復通過させることでDNA
を部分剪断した。この溶液に2M酢酸ナトリウム1m
l、水飽和フェノール10ml及びクロロホルム−イソ
アミルアルコール(49:1)2mlを順次加え、添加
ごとに混和した。その後激しく振とうし、15分間氷冷
した後、4℃で10,000g、20分間遠心した。そ
の水層を分取し、等量のイソプロパノールを加えて良く
混和した。これを−20℃に1時間置いた後、4℃で1
0,000g、10分間遠心した。遠心後、RNAの沈
殿に4Mグアニジンチオシアネート3mlを加えて完全
に溶解させ、等量のイソプロパノールを加え、−20℃
で1時間放置した。その後、4℃で10,000g、1
5分間遠心した後、上清を捨て、RNAの沈殿を75%
エタノールで洗浄することにより全RNAを得た。
め、容離緩衝液(10mMトリス−HCl(pH7.
5)、1mMEDTA及び0.2%SDS)5mlに溶
解し、65℃で2分間加熱し、直ちに室温まで急冷し
た。5MNaClを0.55ml添加後、その溶液を洗
浄緩衝液(0.5MNaCl、10mMトリス−HCl
(pH7.5)、1mMEDTA及び0.2%SDS)
で平衡化したオリゴdTセルロース(タイプ7、ファル
マシアバイオテク)0.5gのカラムに添加し、通過液
をさらに2回、カラムに添加することによりmRNAを
カラムに結合させた。カラムを洗浄緩衝液15mlで洗
浄した後、結合したRNAを容離緩衝液4mlで溶出し
た。溶出液を65℃で2分間加熱し、その後冷却し、
0.5MNaClに調節し、再平衡カラムに再度添加し
て、同様に溶出操作を行った。その溶出液からエタノー
ル沈殿によりmRNAを回収し、75%エタノールで洗
浄した。
RNAの分画 ジエチルピロカーボネイトで処理した密度勾配フラクシ
ョネータ(日立;DGF−U)と遠心チューブ、2種類
の濃度のRNaseフリーのショ糖溶液(5%と20%
(w/v)ショ糖)、0.1MNaCl、10mMトリ
ス−HCl(pH7.5)、1mMEDTA、0.5%
SDSを用意し、Beckman SW41Ti用チュ
ーブに密度勾配フラクショネータでショ糖勾配を作り、
2時間以上室温に放置して、勾配の不連続性をなくし
た。次に、mRNAを200μlのTE溶液(99%ジ
メチルスルホキサイド、10mMトリス−HCl(pH
7.5)、1mMEDTA、0.1%SDS)に溶解
し、37℃で5分間処理し、400μlの5mMトリス
−HCl(pH7.5)、1mMEDTA、0.5%S
DSを加えて65℃で10分間熱処理をすることによ
り、その非特異的な会合を解離させた。その後急冷し、
ショ糖密度勾配にのせ、Beckman SW41Ti
ローターで25℃、20,000rpm、14時間遠心
を行った。遠心後、チューブより0.5mlずつ密度勾
配フラクショネータで分画し、エタノール沈殿した。m
RNAの沈殿は最低3回、75%エタノールで洗浄し
た。
1.3の方法に従いアフリカツメガエルの卵母細胞に注
入し、タンパク質に翻訳させた。この翻訳産物を含む培
養上清を、後述の2.2.2の方法によりアッセイ用の
マウス骨髄細胞に添加して培養した後、2.3.1のT
RAP染色法により、破骨細胞が分化形成されたか否か
(すなわち、どのmRNA画分中に破骨細胞分化促進活
性を有する因子が含まれているか)を同定した。その結
果、活性のピークは、27番目の分画と32番目の画分
に存在していた。
して集め、この画分に対するcDNAライブラリーを、
Gubler&Hoffman法(Gene, 25,p263 (198
3)) の変法にて調製した。即ち、この活性画分のmR
NA2μgをもとに、XhoIサイトを持つオリゴdT
プライマーを用いて、M−MuLVの逆転写酵素により
ファーストストランドを合成した。続いて DNA Polymer
ase I によりセカンドストランドを合成し、EcoRI
アダプターとのライゲーションおよびXhoI消化を行
った。その後、アダプターとプライマーをゲル濾過(Se
phacryl Spin Column;ファルマシア社)により除い
た。以上のcDNA合成ステップはStratagene社のZA
PcDNA合成キットを用い、逆転写酵素はBRL社の
スーパースクリプトIIを用いて行った。次に、Eco
RI、XhoI切断済みZAP ExpressTMベク
ターを先に作製したcDNAとライゲーションした後、
Gigapack II Gold packing extract(mcrA- 、mc
rB- 、mmr- ;Stratagene社)を用いてパッケージ
ングを行い、大腸菌PLK−F' 株に感染させた。その
結果、平均長2.26kb、インディペンデントクロー
ン数6.3×105 個のcDNAライブラリーが得られ
た。
0個/プールとして計63プールに分け、後述の2.
1.2〜2.1.3の方法にて各プールのcRNAをア
フリカツメガエルの卵母細胞に注入し、タンパク質に翻
訳させた。この翻訳産物を含む培養上清を、後述の2.
2.2の方法によりアッセイ用のマウス骨髄細胞に添加
して後述の各アッセイ法に供し、陽性と判断されたプー
ルを選別した。更に、その陽性プールを10のサブプー
ルに分け、同様にしてcRNAを調製し、卵母細胞中で
発現させ、その活性を測定して陽性プールを選別するこ
とを繰り返し、最終的に単一クローンを得た。すなわち
具体的アッセイとしては、1次スクリーニングは後述の
2.3.1のTRAP染色法にて破骨細胞分化促進活性
を判定し、63プールから陽性プールを3プール選別し
た。2次スクリーニング以降は、後述の2.3.1のT
RAP染色法、2.3.2の象牙を用いたpit形成
法、2.3.3のカルシトニン受容体の検出の、3種類
の破骨細胞分化促進活性測定法の全てに陽性反応を示す
プールを選別することにし、まず、上述の3プールをそ
れぞれ10のサブプール(1000クローン/プール)
に分けて各アッセイを行った。その結果、陽性反応の強
さの順に上位3プールを選び、更にこの3プールをそれ
ぞれ10のサブプール(200クローン/プール)に分
けて3次スクリーニングを行った。その結果、陽性反応
の強さの順に3つの陽性プールを選択し、これを各々1
0のサブプール(24クローン/プール)に分けて、さ
らに4次スクリーニングを行った。その結果、TRAP
染色及びpit形成活性の強い順に上位2プール選択
し、更にこの2プールを全36個の個々のクローンに分
けて5次スクリーニングを行った。5次スクリーニング
の結果、TRAP染色及びpit形成活性の強い順に上
位3クローンを選別した。この3つのクローンのうちの
一つをOPFa12と命名した。なおOPFa12の各
アッセイ結果は、後述の(結果)の項に記した。
×104 pfuを感染させ、15cmシャーレにまき、プ
ラークを形成させた。このプレートに13mlのSM緩
衝液を加え、プレートライセートを調製した。このファ
ージライセートにDE52(DEAEセルロース;ワッ
トマン社)を加えてファージDNA以外を吸着させ、遠
心後の上清に再度DE52を加え、その上清中のファー
ジDNAを回収した。このDNAをフェノールとフェノ
ール─クロロホルム(1:1)で1回ずつ抽出し、エタ
ノール沈殿にて回収し、ファージDNAとした。調製し
たDNAを制限酵素NotIで切断し、1/50量を1
%アガロース電気泳動にて定量した。
くとも1μgをプロテイナーゼK(Stratagene社)で3
7℃1時間処理し、フェノール−クロロホルム処理後、
エタノール沈殿により回収することによりテンプレート
DNAを調製した。このDNAを用いて、mRNAcapp
ingキット(Stratagene社)に従いcRNAを合成し
た。これをフェノール−クロロホルム処理、エタノール
沈殿に供することによりcRNAを回収し、1/10量
を1%アガロースゲル電気泳動により定量した。その
後、1μg/μlの濃度に調製してマイクロインジェク
ション用cRNAとした。
による発現 体長10cm程度のメスのアフリカツメガエルから卵母
細胞の卵塊を取り出し、MBS(+Ca2+;88.0m
M NaCl、1.0mM KCl、2.4mM Na
SO3、0.3mM Ca(NO3 )2 4H2 O、0.
41mM CaCl2 4H2 0、0. 82mM MgS
O4 7H2 0、10μg/mlペニシリン、10μg/
ml ストレプトマイシン、50U/mlニスタチン、
15mMトリス─HCl(pH 7.6))を入れたシ
ャーレに移し、実体顕微鏡下精密用鋏とピンセットで卵
母細胞を一つずつ切り放し、ステージVかVIの傷のな
い生きている細胞を選別した。これらの卵母細胞に10
μlデジタルマイクロディスペンサー(Drummond社)を
用いて、キャピラリーより、卵母細胞1個当たり50n
lのcRNAを注入した。その後、死んだり傷ついた細
胞を除き、2%FCSを含むMBSにて3日間、20℃
で培養した。その培養上清を遠心し、更に0.22μm
のフィルターを通し、残査を除くと同時に除菌した。そ
の上清をアッセイ用サンプルとした。
の大腿骨及び脛骨を無菌的に取り出し、その骨端を切り
落とし、両端から1回づつ26Gの針を付けたシリンジ
で1mlのα−MEM培地(10%牛胎児血清、100
単位/mlペニシリンG、100μg/mlストレプトマ
イシンを含む)で骨髄細胞を押し出し、良くピペッティ
ングした後骨残査が沈殿するまで待ち、その上清を回収
した。それを更に新鮮な培地で1〜2回洗い、アッセイ
用の骨髄細胞を調製した。
5(OH)2 D3〕を含むα−MEM培地中にけん濁さ
せ、2×106 個細胞/mlの濃度に調製し、96穴プ
レートに180μlと2.1.3で調製したアッセイ用
サンプルを20μl加え、37℃、5%CO2 下、1ま
たは2週間培養した。その間、3−4日間隔で培地の3
/4を新しい培地と交換し、新たにアッセイ用サンプル
を同量添加した。
酸性フォスファターゼ)を基質で染色した。即ち2.
2.2の培養骨髄細胞をアセトン─クエン酸緩衝液で固
定した後、酒石酸存在下で基質(Naphthol AS ─MXphos
phate)と色素(Fastredviolet LB salt)を37℃で1
時間反応させることにより、染色した(Endocrinolog
y,122,p1373,(1988))。 (結果)OPFa12は、既知の破骨細胞分化形成因子
であるIL─1β(50ng/ml)やLIF(25U
/ml)で骨髄細胞を処理し、破骨細胞を分化形成させ
たポジティブコントロールのTRAP染色性と比較し
て、陽性と判断した。
し、それを80%アルコール中で超音波処理することに
より滅菌した。α−MEM培地で洗浄した後、各スライ
スを96ウエルプレートのウエル底に移し、その上で
2.2.2の方法に従って骨髄細胞から破骨細胞を分化
誘導した。1または2週間後、象牙質スライス上の破骨
細胞を2.3.1のTRAP染色法にて染色し、0.2
5%トリプシン─0.02%EDTAで一晩処理し、ス
ライス上の細胞をシリコンスクレイパーで削り取った。
象牙質スライス上のpit(吸収窩)を顕微鏡下で観察
し、その数またはpitあたりのメッシュ数を測定する
ことにより骨髄細胞より分化誘導された細胞の骨吸収活
性(骨分解活性)を調べた。 (結果)OPFa12により分化形成された細胞の象牙
質スライス上のpit形成数は100個であり、ポジテ
ィブコントロールであるLIF(25U/ml)の39
個に比較して、活性は同等がそれ以上であることが判明
した。
の方法により、骨髄細胞から破骨細胞を分化誘導させた
後、細胞に0.2μCi/mlの[125I]サケ・カル
シトニン(アマシャム)200μlを加え、37℃で1
時間反応させ、チャンバーから反応液を除き、PBSで
3回洗浄して反応を停止した。その後、2.5%グルタ
ールアルデヒドで固定し、2.3.1の方法に従ってT
RAP染色した。スライドグラスからチャンバーを外
し、十分に風乾させた後、暗室でエマルジョン(Kodak
NTB−2)にさっと浸し、余分のエマルジョンを除
き、暗箱に入れて4℃で2−7日保存した。その後、定
法に従い現像し、スライドを風乾させ顕微鏡下で観察し
た。 (結果)OPFa12により形成された細胞のオートラ
ジオグラフィーでは、TRAP陽性の赤褐色に染色され
た細胞にカルシトニン受容体の存在を示す黒化粒子が重
なって観察された。
に陽性を示したことから、OPFa12により骨髄細胞
から分化誘導された細胞は破骨細胞であり、OPFa1
2は破骨細胞分化促進活性を有している因子であると、
判断した。
−CMVへin vivoexcisionすることでサブクローニン
グすることができる。XL1−BlueMRF’大腸菌
にZAP ExpressファージとExAssistヘルパーファー
ジを感染させることで、pBK−CMVファージミドを
産生させ、元の大腸菌を熱処理することで死滅させ、新
たにXLOLR大腸菌に感染させた。これに培地を加
え、45分間培養後、LBプレートにプレーティング
し、培養した。
ン100μg/ml)で一晩培養後、アルカリ−SDS
法によりプラスミドを調製した。このプラスミドDNA
を適当な制限酵素で切断し、1%アガロースゲル中で電
気泳動し、OPFa12cDNAのベクターへの挿入を
確認した。
決定は、Sangerらによって開発されたダイデオキ
シ法によって行った(AutoRead Sequencing kit, Pharm
acia Biotech社製) 。その結果、配列表の配列番号:1
に記載の2104bpからなるcDNAが得られ、また
568アミノ酸からなる配列番号:2のアミノ酸配列が
決定された。
DDBJの96年1月現在の各データベースを用いて、
OPFa12の全塩基配列と既知の塩基配列とのホモロ
ジー検索を、Smith−Waterman法により行
った。その結果、ラットγ−GTPと90.1%、ヒト
γ−GTPと79.8%一致していた。更にアミノ酸配
列は、SWISSPROTとPIRの96年1月現在の
データベースを用いて、OPFa12のアミノ酸配列と
既知のアミノ酸配列とのホモロジー検索を、Smith
−Waterman法により行った。その結果、ラット
γ−GTPと96%、ヒトγ−GTPと86.7%一致
していた。これらの結果及び、Gene,167,p233 (1995)に
記載の配列との比較より、OPFa12はマウス型γ−
GTPであることが判明した。以下、本発明においてク
ローニングされたOPFa12を、γ−GTPと称する
こととする。
解析 種々の組織由来のmRNA、マウス胚の種々の発生段階
のmRNA、及び種々のヒト癌細胞株由来のmRNA
が、既にブロティングされたMTNブロットメンブレン
(クローンテック社)を用いて、またプローブとして先
にクローニングされたγ−GTPcDNA全長(約2.
1kbp)を32Pでランダムプライム法にて標識したも
のを用いて、以下のノーザンブロット解析を行った。す
なわち、上記プローブを50%(v/v)ホルムアルデ
ヒド/5×SSC/5×デンハルト/1%(w/v)S
DS/0.01%(w/v)変性サケ精子DNA中でフ
ィルターに固定したRNAに42℃でハイブリダイズさ
せ、2×SSC/0.1%SDS、50℃中で、次に
0.1%SSC/0.1%SDS、50℃中で洗浄し
た。水気を除いた後、−80℃で1−3日間オートラジ
オグラフィーを行った。使用したX線フィルムはコダッ
クSB5またはフジAIFRXを増感スクリーンの存在
下で用いた。
gmRNA)のノーザンブロットの結果を示す。γ−G
TPのバンドは腎臓にのみ特異的に発現し、その他の組
織では全く検出されなかった。この結果は公知のヒト型
γ−GTPの組織分布と一致していた。図2には、ヒト
胎児の各組織(2μgmRNA)のノーザンブロットの
結果を示す。その結果、腎臓の他に、肝臓でより強く発
現していた。「従来の技術」の項にも記述したように、
肝−胆道系疾患やアルコール摂取に際し、肝臓でγ−G
TPが発現誘導されることが知られている。しかし、胎
児の肝臓での発現は未だ報告されておらず、本実施例に
てはじめて明らかになったことである。
(2μgmRNA)のノーザンブロトの結果を示す。そ
の結果、7日胚で最大の発現を示し、11日胚で最小と
なった後、徐々に発現量が増大していた。図4には、ヒ
トの種々の癌細胞株(2μgmRNA)のノーザンブロ
ットの結果を示す。その結果、骨転移し易くまた高カル
シウム血症の合併頻度の高い癌細胞として知られている
前骨髄性白血病細胞(HL-60)、Burkittsリンパ腫細胞
(Raji)、及び肺癌細胞(A549)において発現してい
た。以上の結果から、γ−GTPは発生期の初期から発
現し、胎生期では肝臓と腎臓で、また生体では腎臓で特
異的に発現していることが分かった。さらに、骨転移し
易くまた高カルシウム血症合併頻度が高いと言われてい
る癌細胞においても発現していることが分かった。
A(1μg)より、RT−PCRキット(PERKIN ELMER
社製)に従い、まず2本鎖DNAを合成し、それをテン
プレートにしてPCR反応を行った。本遺伝子増幅のた
めのプライマー配列として、5’プライマー(5’−A
TCATCGGCCTCTGTATCTG−3’)およ
び3’プライマー(5’−GCTGTTGTAGATG
GTGAAGA−3’)を合成した。これらのプライマ
ーの組み合わせで増幅されるDNAサイズは228塩基
対である。また、コントロールとしてG3PDH(glyc
eraldehyde-3-phosphatedehydrogenase)プライマー
(5’プライマーが(5’−TGAAGGTCGGTG
TGAACGGATTTGGC−3’)、3’プライマ
ーが(5' −CATGTAGGCCATGAGGTCC
ACCAC−3’)、増幅されるDNAサイズが983
塩基対)を用いた。反応組成等は標準的手法に従いDN
Aサーマルサイクラーを用いて、熱変性94℃で1分
間、アニーリング60℃で1分間、鎖伸張反応72℃で
2分間の条件で30−40サイクルで反応を行った。反
応混合物の1/10量を1%アガロースゲルで電気泳動
し、バンドを確認した。
をテンプレートにして行った結果を示す。その結果、γ
−GTPのクローニング源であるBW5147細胞(レ
ーン1)、コラーゲン関節炎モデルの炎症関節・骨部位
の細胞(レーン4)、そして腎臓(レーン9)で発現し
ていた。これらの結果は、図1のノーザンブロットの結
果と矛盾するものではなかった。なお、同一のRNAを
用いてコントロールのG3PDHのRT−PCRも行
い、これを、各RNAの分解度の指標とした。
PcDNAをサブクローニングし、大腸菌JM109株
に形質転換させた。アルカリ−SDS法によりDNAを
調製し、2回の超遠心分離法により精製した。この精製
DNAをCOS−7細胞にLIPOFECTAMINE(GIBCO BR
L)を用いてトランスフェクトした。 その後、細胞を
無血清培地で5日間培養し、培養上清を回収してγ−G
TP培養上清標品とした。上記培養上清標品の活性は、
2.3.1のTRAP染色性、2.3.2の象牙質スラ
イスを用いたpit形成活性、及び2.3.3のカルシ
トニン受容体の検出の3種類の同定法で行った。その結
果、前記培養上清標品存在下、象牙質スライス上で培養
した骨髄細胞は、赤褐色に染色され、TRAP陽性を示
した。次に、象牙スライス上のTRAP陽性細胞を物理
的に削り取った結果、図6(上)に示すようにTRAP
陽性細胞残渣が残っているものの、pitが形成されて
いた。一方、図6(下)に示すように、ベクターのみを
導入した細胞の培養上清を用いて同様の実験を行った場
合は、TRAP陽性細胞、pit共に形成されなかっ
た。
細胞の培養上清存在下で培養した骨髄細胞をTRAP染
色し、125I−サーモン・カルシトニン(ホット)を反
応させた結果を示す。その結果、カルシトニン受容体の
存在を示す黒化粒子が検出された。また、コールドのサ
ーモン・カルシトニンをホットの1000倍添加した場
合、図7(左下)に示すように大量のコールドで希釈さ
れ、黒化粒子が消えたことから、カルシトニンとその受
容体の結合は特異的であることが確認された。一方、図
7(右下)には、ベクターのみを導入した細胞の培養上
清を用いて同様の実験を行った結果を示すが、TRAP
陰性であり、また黒化粒子も検出されなかった。以上の
結果より、γ−GTPcDNAを哺乳動物培養細胞に導
入し得られた培養上清は、破骨細胞分化促進活性を有す
ることが明らかとなった。
−グルタミル基の転移触媒活性は、γ−GT419「ア
スカ・シグマ」キット(SIGMA DIAGNOSTICS)を用いて測
定した。即ち、先に調製したγ−GTPcDNA導入細
胞の培養上清をL−γ−グルタミル−3−カルボキシ−
4−ニトロアニリドとグリシルグリシンを基質として3
0℃で反応させ、生じたL−γ−グルタミルグリシルグ
リシンと5−アミノ−2−ニトロ−安息香酸のうち、後
者の黄色を405nmの吸光度で測定した。反応時間に
対する吸光度の増加はγ−GTP活性に比例することか
ら、活性を算出した。その結果、ベクターのみを導入し
た細胞の培養上清の活性は検出限界以下であったのに対
しγ−GTPDNA導入細胞の培養上清は、13U/L
を示した。この結果より、クローニングしたγ−GTP
には、破骨細胞分化促進活性と、従来より知られていた
γ−グルタミル基転移触媒活性の両方を有することが確
認された。
活性の測定 ラット腎臓由来の精製したγ−GTP(Taniguchi N.
ら、Biochem.Biophys. Acta, 391, p261 (1995))を、
2.2.1〜2.2.2の破骨細胞分化形成法(以下、
骨髄細胞培養系による破骨細胞分化形成法と称す)及
び、以下に示す骨髄細胞と骨芽細胞様細胞株との共存培
養系による破骨細胞分化形成法の、2種類のアッセイに
供した。すなわち、骨髄細胞と骨芽細胞様細胞株との共
存培養系による破骨細胞分化形成法は、以下のようにし
て行った。まず、2.2.1で調製した骨髄細胞を5×
10-7Mの活性型ビタミンD{1,25(OH)2D3}
および1.25×10-8Mデキサメサゾンを含むα−M
EM培地中にけん濁させ、2×106個細胞/mlの濃
度に調製し、96穴プレートに60μl加えた。一方、
骨芽細胞様細胞株であるST2細胞を骨髄細胞と同じ培
地にけん濁させ、4×104個細胞/mlの濃度に調製
した後、先の骨髄細胞の入った96穴プレートに120
μl加えた。更に、種々の濃度の精製γ−GTPを20
μl加え、37℃、5%CO2下、1週間培養した。そ
の間、3日目に培地の3/4を新しい培地と交換し、新
たにアッセイ用サンプルを同量添加した。これら2種類
の破骨細胞分化形成法を施した後、2.3.1のTRA
P染色法により、TRAP陽性細胞(破骨細胞)数を測
定した。
γ−GTPは酵素活性として9.3U/mlから930
U/mlまでは用量依存的にTRAP陽性細胞(破骨細
胞)数を増加させた。しかし、9300U/mlでは逆
に減少したことから、破骨細胞の分化促進活性には至適
濃度が存在することが考えられた。TRAP陽性細胞の
うち、3核以上の多核巨細胞(多核細胞)数も、930
U/mlで最大値を示した。また、骨髄細胞と骨芽細胞
様細胞株との共存培養系(共存培養系)では、γ−GT
Pは酵素活性として9300U/mlまで用量依存的に
TRAP陽性細胞数もTRAP陽性多核細胞数も増加さ
せた。以上より、γ−GTPに破骨細胞分化促進活性の
存在することが確認された。
節より分離した細胞から破骨細胞への分化の抑制 11.1 CIAマウスの作製 E.D.Trenthamらの方法(J.Exp., 146, p85
7 (1977))に準じた。即ち、酢酸溶液に溶解したウシI
I型コラーゲン(コラーゲン研修会)をフロイントの完
全アジュバント(DIFCO)と混和し、DBA/1J
マウス(日本チャールスリバー)の尾根部に皮内注射し
た。3週間後に追加免疫のためフロイントの不完全アジ
ュバント(DIFCO)に混和したウシII型コラーゲ
ンを、背部皮下に注射した。
and Rheumatism, 39,S285 (1996)、および平成6年度
厚生省リウマチ調査研究事業研究報告書、130頁に記載
の方法に準じた。即ち、コラーゲン関節炎を発症した部
位の組織をディスパーゼ(合同酒精)で処理し、浮遊細
胞を得た。この細胞を5%ウシ胎児血清を含むα−ME
M培地で3×105個細胞/mlの濃度に調製した。 11.3 破骨細胞分化形成阻害法 上記で調製した細胞を、ヒドロキシアパタイトでコーテ
ィングしたプレート(商品名:Osteologic
Multi−Test:MilleniumBiolo
gix Inc.)に180μl加え、更に、先の精製
抗ラットγ-GTP抗体を終濃度0〜200μg/ml
になるように20μl加え、37℃、5%CO2下で5
日間培養後、形成されたpit数を計測した。その際、
BSA添加時のpit数を100%として抗体添加時の
ピット数を相対活性として表した。
μg/ml)で30%程度活性が阻害されたが、抗ラッ
トγ−GTP抗体は用量依存的にpit形成活性を阻害
度し、200μg/mlで86%の活性を阻害した。以
上より、抗ラットγ−GTP抗体は、破骨細胞への分化
を抑制することが明らかとなった。
性を保持する誘導体を有効成分として含有する破骨細胞
分化促進剤、あるいは該γ−GTP等を用いる破骨細胞
分化促進活性阻害剤のスクリーニング方法、さらには該
スクリーニングにより見出される破骨細胞分化促進活性
阻害剤、が提供される。
NAの発現分布を、ノーザンブロット解析により調べた
結果の電気泳動写真である。
RNAの発現分布を、ノーザンブロット解析により調べ
た結果の電気泳動写真である。
るγ−GTPmRNAの発現分布を、ノーザンブロット
解析により調べた結果の電気泳動写真である。
mRNAの発現分布を、ノーザンブロット解析により調
べた結果の電気泳動写真である。
におけるγ−GTPmRNAの発現分布を、RT−PC
R解析により調べた結果の電気泳動写真である。
胞で発現させた培養上清中の活性を、TRAP染色及び
pit形成法により調べた結果の顕微鏡写真である。図
6(下)は、ベクターを導入して同様の実験を行った結
果の顕微鏡写真である。
胞で発現させた培養上清中の活性を、125Iカルシトニ
ンの結合(図中、矢印で示す)により示した結果の顕微
鏡写真である。図7(左下)は、大過剰のコールドカル
シトニンを加えたことで、125Iカルシトニンの結合が
消失した結果を示した顕微鏡写真である。図7(右下)
は、ベクターを導入して同様の実験を行った結果を示し
た顕微鏡写真である。
破骨細胞分化促進活性を調べた結果を示すグラフであ
る。
細胞の破骨細胞への分化を、抗ラットγ−GTP抗体が
抑制することを示したグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 γ−グルタミルトランスペプチターゼ
(γ−GTP)、または破骨細胞分化促進活性を有する
γ−GTP誘導体、を有効成分として含有する、破骨細
胞分化促進剤。 - 【請求項2】 γ−GTP、または破骨細胞分化促進活
性を有するγ−GTP誘導体、を用いることを特徴とす
る、破骨細胞分化促進活性阻害剤のスクリーニング方
法。 - 【請求項3】 請求項2記載のスクリーニング方法を用
いて得られる、破骨細胞分化促進活性阻害剤。 - 【請求項4】 γ−GTPのペプチド断片、または破骨
細胞分化促進活性を有するγ−GTP誘導体のペプチド
断片よりなる、請求項3記載の破骨細胞分化促進活性阻
害剤。 - 【請求項5】 γ−GTPに対する抗体、または破骨細
胞分化促進活性を有するγ−GTP誘導体に対する抗体
からなる、請求項3記載の破骨細胞分化促進活性阻害
剤。 - 【請求項6】 請求項3〜5いずれか記載の破骨細胞分
化促進活性阻害剤よりなる、高回転型骨粗鬆症、癌の骨
転移に伴う高カルシウム血症又は骨破壊、慢性関節リウ
マチに伴う骨破壊、あるいは慢性肝疾患に伴う二次性骨
減少症、に対する治療薬。 - 【請求項7】 請求項1記載の破骨細胞分化促進剤より
なる、低回転型骨粗鬆症に対する治療薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18042297A JP4034381B2 (ja) | 1996-06-28 | 1997-06-19 | γ−グルタミルトランスペプチターゼの新規な用途 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP18895296 | 1996-06-28 | ||
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