JP2005124402A - 骨疾患のモデル動物 - Google Patents

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恭治 池田
Satoshi Hiramatsu
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Abstract

【課題】 本発明は、骨組織の脆弱化あるいは破壊を伴う骨疾患のモデル動物とその用途、および製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】 骨組織においてγグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTPまたはGGT)を発現させた骨組織の脆弱化を伴う疾患のモデル動物が提供された。本発明のモデル動物は、骨粗しょう症症状を、短時間で容易に再現することができる。また骨密度の低下や、尿中の骨吸収マーカーの測定によって、骨組織の脆弱化を容易に追跡することができる。本発明のモデル動物は、骨組織の脆弱化を阻害する化合物のスクリーニングに有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、骨疾患のモデル動物に関する。
骨組織は、生体の姿勢の保持や運動能力の維持に必要な支持組織である。また骨組織は、脳、心臓、あるいは肺をはじめとする多くの臓器を保護する役割を有する重要な組織でもある。更に、カルシウムやリンなどの、生体にとって必用なミネラルの貯蔵庫としての機能も有している。
骨組織は、骨基質(Bone Matrix)とそれに沈着する骨塩(Bone Salt)で構成されている。骨基質はコラーゲンなどの蛋白質を中心とする組織である。これに対して骨塩は、ヒドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)を中心とする塩類で構成されている。骨基質と骨塩とで構成された骨組織は、一般に骨量(bone mineral density ;BMD)と呼ばれている。
骨組織においては、古くなった組織の吸収と新しい組織の再生が繰り返されている。より具体的には、古い組織の破骨細胞による吸収と、骨芽細胞による骨組織の再生によって、骨組織の代謝が支えられている。骨組織を構成する骨基質および骨塩の量は、健常者においては一定に保たれている。骨組織の吸収と再生のバランスがくずれたときに、骨組織の疾患がもたらされる。たとえば、なんらかの原因によって、骨吸収の促進、あるいは骨組織の再生の阻害が起これば、骨量は低下する。骨量の低下とは、骨塩および骨基質のいずれか、あるいは両方の低下を言う。骨量の低下は、骨組織の脆弱化の原因となる。
骨量の低下をもたらすいくつかの疾患が知られている。たとえば、骨粗しょう症は、骨量の低下によって引き起こされる代表的な疾患である。骨粗しょう症は次に示すような特徴によって定義される骨疾患である。
−低い骨量
−骨組織の微細構造の劣化
−骨の脆弱性の亢進によって骨折を起こしやすくなっている
より具体的には、以下のような低骨量を呈する疾患は、いずれも骨粗しょう症に含まれる。
原発性骨粗しょう症:
退行期骨粗しょう症(閉経後骨粗しょう症、老人性骨粗しょう症)
特発性骨粗しょう症(妊娠後骨粗しょう症など)
続発性骨粗しょう症:
内分泌性のもの
甲状腺機能亢進症
性腺機能不全
Cushing症候群
栄養性のもの
壊血病
その他(蛋白質欠乏、ビタミンAまたはD過剰)
薬物によるもの
コルチコステロイド
メトトレキセート (methotorexate;MTX)
ヘパリン
不動性のもの
全身性(臥床安静、対麻痺、宇宙飛行)
局所性(骨折後など)
先天性のもの
骨形成不全症
Marfan症候群など
その他
慢性関節リウマチ
糖尿病
肝疾患など
その他の疾患:
各種の骨軟化症
原発性、続発性副甲状腺機能亢進症
悪性腫瘍の骨転移
多発性骨髄腫
脊椎血管腫
脊椎カリエス
化膿性脊椎炎
その他
中でも代表的な骨粗しょう症は、特に閉経後の女性において、症状の進行が見られる閉経後骨粗しょう症である。したがって、女性ホルモンの減少が、骨粗しょう症に関連していると考えられている。実際、女性ホルモンの補充療法は、骨量の維持に有効な治療法とされている。その他、ビタミンD、ビタミンK、あるいはカルシウム製剤などの補充も、骨量の維持には有効である。更にビスホスホネートは、破骨細胞による骨吸収の抑制を通じて、骨量の維持作用をもたらす薬剤として、骨粗しょう症の治療に用いられている。
上記のような骨粗しょう症の治療方法は、いずれも一定の治療効果を期待できるといわれている。特に早期に適切な治療を行えば、比較的長期にわたって、骨粗しょう症の進行を抑えられることが明らかにされている。たとえば閉経後の女性に見られる初期の骨粗しょう症に対しては、女性ホルモンの補充は効果的である。しかし、進行した骨粗しょう症においては、女性ホルモンの補充による骨再生効果は期待しにくい。また、慢性関節リウマチや癌の骨転移のような女性ホルモンの不足以外の原因によってもたらされる骨疾患に対しても、治療効果は期待できない。したがって、新しい骨粗しょう症の治療方法を開発することには意義がある。
さて、疾患のモデル動物は、治療法の開発において重要な研究ツールとなる。たとえば、疾患のモデル動物の観察によって、疾患のメカニズムを研究することができる。更に、実際の疾患に近い状態を動物において再現することができれば、その動物を利用して、様々な治療方法を試みることができる。一般に疾患のモデル動物には、以下のような条件が求められる。
−病態を容易に再現できること
−個体間の病態あるいは治療に対する応答性の差が小さいこと
−治療効果のモニタリングが容易であること
骨粗しょう症のモデル動物としては、外科的に卵巣を摘出したマウスやラットが公知である(非特許文献1/Saville PD: Changes in skeletal mass and fragility with castration in the rat: a model of osteoporosis. J Am Geriatr Soc 17:155-166, 1969; 非特許文献2/Kalu DN: The ovariectomized rat model of postmenopausal bone loss. Bone and Mineral 15: 175-192, 1991; 非特許文献3/Lane NE,et al. J Bone Miner Res. 1998 Feb;13(2):229-36.)。卵巣を摘出された動物は、エストロゲン(女性ホルモン)の欠乏によって骨粗しょう症症状を呈する。このようにして得ることができる骨粗しょう症モデル動物を利用して、薬物の治療効果が評価されている(非特許文献4〜9)。
しかし、外科的な処置には熟練が必要である。更に、卵巣摘除によるモデル動物において骨吸収の亢進によって骨量が減少するのは、卵巣の摘出の後数週間〜数ヶ月後である。そのため、処置後に実際に骨量の減少が確認された後でなければ、モデル動物として利用することができない。
また卵巣摘除マウスにおける骨量の減少レベルはわずかであるため、その観察は難しい。尿中ピリジノリンは、骨吸収マーカーとして有用であることが知られている。しかし卵巣摘除マウスにおいては、尿中ピリジノリンの明瞭な変化が観察されない。したがって、病態の変化の観察が難しい。
マウスに比べると、ラットは骨量の減少レベルや尿中の骨吸収マーカーの変化の観察は容易である。しかし体の大きなラットでは、マウスに比べて投与すべき被験物質の量が大きくなる。したがって、マウスにおいても病態や骨吸収マーカーの明瞭な変化が期待できる骨粗しょう症モデル動物を作成することができることができれば有用である。
Saville PD: Changes in skeletal mass and fragility with castration in the rat: a model of osteoporosis. J Am Geriatr Soc 17:155-166, 1969 Kalu DN: The ovariectomized rat model of postmenopausal bone loss. Bone and Mineral 15: 175-192, 1991 Lane NE,et al. J Bone Miner Res. 1998 Feb;13(2):229-36. Uchiyama Y, Higuchi Y, Takeda S, Masaki T, Shira-ishi A, Sato K, Kubodera N, Ikeda K, Ogata E: ED-71, a vitamin D analog, is a more potent inhibitor of bone resorption than alfacalcidol in an estrogen-deficient rat model of osteoporosis. Bone 30:582-588, 2002 Shibata T, Shira-ishi A, Sato T, Masaki T, Sasaki A, Masuda Y, Hishiya A, Ishikura N, Higashi S, Uchida Y, Saito M, Ito M, Ogata E, Watanabe K, Ikeda K Vitamin D hormone inhibits osteoclastogenesis in vivo by decreasing the pool of osteoclast precursors in bone marrow. J Bone Miner Res 17:622-629, 2002 Sato T, Shibata T, Ikeda K, Watanabe K Generation of bone-resorbing osteoclasts from B220-positive cells: its role in accelerated osteoclastogenesis due to estrogen deficiency. J Bone Miner Res 16:2215-2221, 2001 Kanematsu M, Sato T, Takai H, Watanabe K, Ikeda K, Yamada Y Prostaglandin E2 induces expression of receptor activator of nuclear factor-κB ligand/osteoprotegerin ligand on pre-B cells: implications for accelerated osteoclastogenesis in estrogen deficiency. J Bone Miner Res 15:1321-1329, 2000 Shira-ishi A, Takeda S, Masaki T, Higuchi Y, Uchiyama Y, Kubodera N, Sato K, Ikeda K, Nakamura T, Matsumoto T, Ogata E Alfacalcidol inhibits bone resorption and stimulates formation in an ovariectomized rat model of osteoporosis: distinct actions from estrogen. J Bone Miner Res 15:770-779, 2000. Shira-ishi A, Higashi S, Ohkawa H, Kubodera N, Hirasawa T, Ezawa I, Ikeda K, Ogata E The advantage of alfacalcidol over vitamin D in the treatment of osteoporosis. Calcif Tissue Int 65: 311-316, 1999.
本発明は、骨粗しょう症に代表される骨組織の脆弱化(bone fragility)および/または破壊を伴う疾患のモデル動物の提供を課題とする。
本発明者らは、骨粗しょう症症状を誘導するための方法として、γグルタミルトランスペプチダーゼ (γ-Glutamyl traspeptidase、以下γGTPと省略する)に着目した。γGTPは、GGTとも記載される。
γ-GTPは、ペプチドのN末端のグルタミン酸を他のペプチドまたはアミノ酸に転移する作用を有する酵素である。生体内においてγ-GTPは、抗酸化物質であるグルタチオンなどの生成に関与していることが明らかにされている。グルタチオンは肝ミクロゾームにおける薬物代謝などに重要な役割をもつため、γ-GTPは肝細胞に多量に含まれる。血中γ-GTP活性は様々な肝疾患、あるいは胆道系疾患でも高値となる。したがって、これらの疾患のスクリーニングの指標として、しばしばその血中濃度が測定されている。また、γGTPの発現によって破骨細胞の分化が誘導されることも明らかにされている。しかし、γGTPの発現によって骨粗しょう症のモデル動物を作製できることは知られていなかった。
すなわち本発明は、以下の骨粗しょう症モデル動物、およびその作製方法と用途を提供する。
〔1〕少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物。
〔2〕骨疾患が骨粗しょう症である〔1〕に記載のモデル動物。
〔3〕非ヒト哺乳動物が、少なくとも骨組織において、外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を発現している動物である、〔1〕に記載のモデル動物。
〔4〕外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物である〔3〕に記載のモデル動物。
〔5〕外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子が、骨組織特異的な発現制御領域の制御下に発現している〔4〕に記載のモデル動物。
〔6〕骨組織特異的な発現制御領域が、α1(I)-コラーゲンプロモーターである〔5〕に記載のモデル動物。
〔7〕非ヒト哺乳動物がマウスである〔1〕に記載のモデル動物。
〔8〕尿中に排泄される骨吸収マーカーの測定値が正常動物と比較して有意に高い〔7〕に記載のモデル動物。
〔9〕非ヒト哺乳動物の骨組織においてγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現を増強する工程を含む、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物の製造方法。
〔10〕外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物を製造する工程を含む、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕次の工程を含む、〔9〕に記載の製造方法。
(1)i) 発現制御領域、ii) 前記発現制御領域の制御下に発現する不活性蛋白質をコードする遺伝子、およびiii)前記不活性蛋白質をコードする遺伝子の下流に配置された外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を含むコンストラクトを導入されたトランスジェニック動物を製造する工程、および
(2)前記コンストラクトのii)不活性蛋白質をコードする遺伝子の除去によって、発現制御領域i)の制御下に外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子iii)の発現を誘導する工程
〔12〕不活性蛋白質がシグナル生成蛋白質である〔11〕に記載の方法。
〔13〕不活性蛋白質をコードする遺伝子がloxP配列によって挟まれており、Creリコンビナーゼによって該遺伝子を除去する工程を含む、〔11〕に記載の方法。
〔14〕(1)のトランスジェニック動物と、Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物を交配させ、(1)に記載のコンストラクトを有する細胞内でCreリコンビナーゼを発現することができる雑種を得る工程を含む、〔11〕に記載の方法。
〔15〕次の要素を含むコンストラクトを導入された、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物の製造用のトランスジェニック動物。
i) 発現制御領域、
ii) 前記発現制御領域の制御下に発現する不活性蛋白質をコードする遺伝子、および
iii)前記不活性蛋白質の下流に配置された外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子
〔16〕次の工程を含む、被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する方法。
(1)少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物に被験化合物を投与する工程、
(2)骨組織の脆弱化のレベルを測定する工程、および
(3)骨組織の脆弱化のレベルが対象と比較して低い場合に、被験化合物が骨組織の脆弱化を阻害する作用を有すると判定される工程
〔17〕非ヒト哺乳動物が、少なくとも骨組織において、外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を発現している動物である、〔16〕に記載の方法。
〔18〕外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物である、〔17〕に記載の方法。
〔19〕骨組織の脆弱化のレベルとして、前記非ヒト哺乳動物の尿中に排泄される骨吸収マーカーのレベルを測定し、当該測定値が対象と比較して低いときに、被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用が検出される〔16〕に記載の方法。
〔20〕骨吸収マーカーが、ピリジノリン、またはデオキシピリジノリンである〔19〕に記載の方法。
〔21〕次の工程を含む、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患の治療および/または予防に有用な化合物のスクリーニング方法。
(1)〔16〕に記載の方法によって被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する工程、および
(2)対照と比較して、骨組織の脆弱化を阻害する作用を有する被験化合物を選択する工程
〔22〕骨疾患が、骨粗しょう症である〔21〕に記載のスクリーニング方法。
〔23〕〔21〕に記載の方法によって得ることができる化合物を有効成分として含有する、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患の予防または治療のための医薬組成物。
〔24〕次の工程を含む、外来性遺伝子を導入されたトランスジェニック動物の製造方法。
(1)i) 発現制御領域、ii) 前記発現制御領域の制御下に発現するシグナル生成蛋白質をコードする遺伝子、およびiii)前記シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子の下流に配置された導入すべき外来性の遺伝子を含むコンストラクトを導入されたトランスジェニック動物を製造する工程、および
(2)前記コンストラクトのii)シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子の除去によって、発現制御領域i)の制御下に外来性の遺伝子iii)の発現を誘導する工程
〔25〕シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子がloxP配列によって挟まれており、Creリコンビナーゼによって該遺伝子を除去する工程を含む、〔24〕に記載の方法。
〔26〕(1)のトランスジェニック動物と、Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物を交配させ、(1)に記載のコンストラクトを有する細胞内でCreリコンビナーゼを発現することができる雑種を得る工程を含む、〔24〕に記載の方法。
〔27〕Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物が、前記外来性遺伝子の発現を誘導すべき組織においてCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物である、〔26〕に記載の方法。
本発明は、少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化(bone fragility)および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物を提供する。本発明において、骨組織の脆弱化(bone fragility)とは、骨組織の強度が低下した状態を言う。骨組織の強度の低下は、骨量の低下を指標として知ることができる。骨量の低下には、骨塩と骨基質のいずれか、または両方の低下が含まれる。
また骨組織の破壊とは、骨組織の物理的な破壊を言う。本発明の骨組織の破壊は、脆弱化を原因とする破壊と、脆弱化を伴わない破壊の両方が含まれるが、典型的には、脆弱化に起因する破壊を言う。骨組織の脆弱化を伴う疾患には、骨粗しょう症が含まれる。あるいは骨破壊を伴う疾患として、癌の骨転移や慢性関節リウマチを示すことができる。
骨量を測定するための方法は公知である(Genat HK et al: Noninvasive assessment of bone mineral and structure: state of the art. J Bone Miner Res 11:707-730, 1996; Johnston Jr CC: Clinical use of bone densitometry. N Engl J Med 324:1105-1109, 1991)。たとえば超音波を利用した骨密度の測定方法が、簡易な測定方法としてスクリーニングに利用されている。この方法は、音波が物質(すなわち骨)の中を伝わるときの減衰率や速さが、物質の緻密性によって変化する現象を利用して、骨密度を求めている。
X線によって骨組織を撮影し、画像に基いて骨組織の状態を直接観察する方法も確立されている。X線を利用した骨密度の測定方法は、骨組織の状態を直接的に評価することができる方法である。
更にモデル動物においては、実際に骨組織を採取して、骨組織の状態を肉眼で、あるいは顕微鏡的に観察することによって、骨密度を評価することができる。具体的には、破骨細胞の増加、あるいは骨吸収の亢進などの変化は、骨組織を顕微鏡で観察することによって確認することができる。更に、採取した骨組織の強度を物理科学的に評価することもできる。固形物質の物理的な強度を測定するための方法が公知である。
このような物理科学的な方法に対して、生化学的に骨の破壊状態を知る方法も知られている。たとえば骨吸収の亢進に伴って、血液や尿において、測定レベルが上昇する骨吸収マーカーが公知である(Delmas PD et al: The use of biochemical markers of bone turnover in osteoporosis. Osteoporos Int suppl 6:S2-17, 2000; Calvo MS et al: Molecular basis and clinical application of biological markers of bone turnover. Endocr rev 17:333-368, 1996)。骨吸収マーカーとして利用されるのは、破骨細胞による骨吸収に伴って生成される分解産物、あるいは破骨細胞の活動性を反映する物質である。分解産物としてはコラーゲン由来のものやピリジノリン、あるいはデオキシピリジノリンが知られている。中でもデオキシピリジノリンは、骨組織を構成するコラーゲンの分解に特異的な産物である(Egger CD et al: Evaluation of urinary pyridinium crosslink excretion as a marker of bone resorption in the rat. J Bone Miner Res 9:1211-1219, 1994)。この他、コラーゲンのN末端側の分解産物である、I型コラーゲン架橋Nテロペプチドも、骨吸収の亢進の指標として知られている。これらの骨吸収マーカーは、いずれもイムノアッセイなどの手法によって測定することができる。
本発明において、γGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質には、以下のような蛋白質が含まれる。以下、本明細書において単にγGTPと記載するときは、特に断らない限り、次のようなγGTPと機能的に同等な蛋白質を含む用語として記載する。
(a)マウスγGTP
(b)ヒトγGTP
(c)マウスあるいはヒト以外の種に由来するγGTP
(d)γGTPと同じ酵素活性を有する変異体
これらの蛋白質のうち、たとえば(a)マウスγGTPや(b)ヒトγGTPは、本発明におけるγGTPとして好ましい。マウスγGTPを強制発現させたマウスで観察される、骨組織の脆弱化は、ヒトにおける骨粗しょう症の臨床症状との共通点が多い。具体的には、骨組織の病理学的な比較において、高い類似性が確認された。また骨組織の脆弱化に伴って、尿中に骨破壊のマーカーの顕著な上昇が観察される。これらの特徴は、骨粗しょう症の病態の解析や、治療方法の研究においてきわめて有用である。
ヒトやマウスのγGTPの構造は既に明らかにされている。マウスγGTPは配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する糖蛋白質である。当該アミノ酸配列をコードするcDNAもクローニングされている(GenBank Acc.#U30509)。またヒトγGTPのアミノ酸配列あるいは塩基配列を、GenBank Acc.#J04131, M24903, J05235で参照することができる。J05235で参照することができるアミノ酸配列を配列番号:4に、そして塩基配列を配列番号:3に示した。
その他、(c)マウスあるいはヒト以外の種に由来するγGTPを本発明におけるγGTPとして用いることもできる。本発明のモデル動物においては、γGTPを後天的に発現誘導することもできる。後天的に発現するγGTPに対しては、当該動物の免疫システムが作動する可能性がある。このような場合には、モデル動物の種に由来するγGTPを用いることによって、免疫システムによるγGTPの排除を避けることができる。
マウスあるいはヒト以外の種に由来するγGTPには、既に構造が明らかにされているものもある。あるいは、当業者は、構造が既知のγGTPの情報に基いて、構造が知られていないγGTPを取得することができる。たとえば、ハイブリダイゼーションクローニングや、PCRクローニングなどの手法によって、未知のγGTPをコードするcDNAをクローニングすることができる。たとえばラットγGTPの構造が明らかにされている(GenBank Acc.#X15443, M33822, J05196, M12029, M31056)。
更に本発明において、(d)γGTPと同じ酵素活性を有する変異体をγGTPとして利用することもできる。たとえば、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつγGTPと同様の酵素活性を有する蛋白質は、本発明のγGTPとして利用することができる。当業者であれば、配列番号:2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドに適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入して、アミノ酸配列の異なる蛋白質をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。部位特異的変異導入法などの手法によって、変異を導入する方法は公知である。
部位特異的変異導入法:
Nucleic Acid Res. 10,pp.6487 (1982) ,
Methods in Enzymol.100,pp.448 (1983),
Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) ,
PCR A Practical Approach IRL Press pp.200 (1991)
γGTPは、ペプチドのN末端のグルタミン酸の転移反応を触媒する。その酵素活性は、一般に以下のような反応を利用して測定されている。すなわち、L-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリドを基質として用い、γGTPの作用によって生成する5-アミノ-2-ニトロ安息香酸を吸光高度変化によって測定する。
L-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリド+グリシルグリシン→
L-γ-グルタミルグリシルグルシン+5-アミノ-2-ニトロ安息香酸
したがって、上記測定方法によって、たとえばヒトγGTPと同様の酵素作用が検出されるとき、その蛋白質が、ヒトγGTPと同じ酵素活性を有することが確認できる。ヒトγGTPと同じ酵素活性とは、活性のレベルが等しい場合のみならず、低い酵素活性も許容される。すなわち、天然のγGTPよりも活性が小さい変異蛋白質であっても、酵素活性が確認できる限り、本発明に利用することができる。あるいは、天然のγGTPよりも大きい活性を有する変異体を本発明に利用することもできる。
配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、たとえば100以下、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、あるいは5以下のアミノ酸残基の変異は許容される。γGTPのアミノ酸残基の変異は、保存的置換であることが望ましい。一般に蛋白質の機能の維持のためには、置換するアミノ酸は、置換前のアミノ酸と類似の性質を有するアミノ酸であることが好ましい。このようなアミノ酸残基の置換は、保存的置換と呼ばれている。
本発明のγGTPとして、天然のγGTPの酵素活性を更に増強した変異体を利用することもできる。アミノ酸配列の変異によって、酵素活性が増強される場合があることが知られている。このような変異体は、上記のようにして作製された様々な変異体の中から、その酵素活性を指標としてスクリーニングすることによって得ることができる。
本発明の骨疾患モデル動物は、γGTPを少なくとも非ヒト哺乳動物の骨組織において発現させることによって得ることができる。そのためには、たとえば外来性のγGTPを骨組織において強制発現させることができる。あるいは、当該動物が骨組織に有しているγGTP遺伝子の発現を人為的に誘導することによって、γGTPを発現させることもできる。
動物の任意の組織において、特定の遺伝子の発現を人為的に誘導するための方法が公知である。たとえば、γGTPを発現可能に保持したトランスジェニック動物を、本発明によるモデル動物として利用することができる。トランスジェニック動物における導入遺伝子の発現部位は、当該遺伝子の発現を制御するプロモーターによって決定される。すなわち、組織に対する選択性が低く、全身性(ubiquitous)の発現を誘導するプロモーターを利用すれば、骨を含む幅広い臓器において、導入遺伝子の発現が誘導される。このようなプロモーターとして、ニワトリβアクチンプロモーターを示すことができる。
あるいは、特定の臓器あるいは組織において活性を発現するプロモーターを利用することによって、臓器選択的に導入遺伝子の発現を誘導することもできる。たとえば、特定の臓器で選択的に発現する転写因子の認識配列を含むプロモーターは、当該転写因子の発現が見られる組織において、導入遺伝子の発現を誘導する。本発明においては、骨組織におけるγGTPの発現を目的とすることから、骨組織における発現を誘導しうるプロモーターを利用することができる。
骨組織における導入遺伝子の発現を誘導しうるプロモーターとして、α(I)コラーゲン遺伝子のプロモーターなどを示すことができる(Mouse α1(I)-Collagen Promoter is the best known promoter to drive efficient Cre recombinase expression in osteoblast” DEVELOPMENTAL DYNAMICS 224 : 245-251, 2002)。その他、pro-α1(I)コラーゲンプロモーター(Rossert J et al: Separate cis-acting DNA elements of the mouse pro-alpha1 (I) collagen promoter direct expression of reporter genes to different type I collagen-producing cells in transgenic mice. J Cell Biol 129:1421-1432, 1995)、あるいはCol1a1プロモーター(Col1a1-driven transgenic markers of osteoblast lineage progression. J Bone Miner Res 16:1228-1236, 2001)を骨組織における外来遺伝子の誘導に利用することができる。なお、本発明において、骨組織における発現の誘導とは、骨組織のみにおける発現に加えて、骨を含む複数の組織における導入遺伝子の発現が誘導される場合を含む。
また、発現制御領域の下流に不活性蛋白質をコードする遺伝子を配置し、更にその下流にγGTPをコードする遺伝子を配置したコンストラクトを利用して、本発明のモデル動物を得ることもできる。このコンストラクトを導入されたトランスジェニック動物は、発現制御領域の制御下に、不活性蛋白質を発現する。しかしなんらかの作用によって、不活性蛋白質をコードする遺伝子を除去すれば、発現制御領域の下流にはγGTP遺伝子が配置される。その結果、γGTP遺伝子の発現が誘導される。
細胞内における遺伝子の組み換えを誘導するための方法が公知である。たとえばCre-LoxPシステムと呼ばれる遺伝子組み換え技術が実用化されている。この遺伝子組み換え技術は、loxPと呼ばれる特定の塩基配列からなるDNAと、loxPを認識して遺伝子を組み換えるCreリコンビナーゼと呼ばれる酵素によって構成されている。CreはバクテリオファージP1から得られた部位特異的リコンビナーゼである。CreによってloxPサイトと呼ばれる特定部位の間でDNAが組み換えられる。
たとえば上記コンストラクトの場合、不活性蛋白質をコードする遺伝子の両端にloxPを配置しておくことができる。このコンストラクトにCreを作用させると、CreはloxPを認識してDNAを組み換える。その結果、loxP同士の接合が起こり、loxPの間に配置された不活性蛋白質をコードする遺伝子が除去される。このメカニズムを以下に示した。

[発現制御領域]-(loxP)-[不活性蛋白質]-(loxP)-[γGTP]

Creによる組み換え
(-[不活性蛋白質]-の除去)

[発現制御領域]-(loxP)-[γGTP]
実際のトランスジェニック動物においては、上記コンストラクトを発現可能に保持したトランスジェニック動物の細胞中に、Creを導入すれば、当該細胞において上記のような組み換えが誘導される。Creの導入方法としては、たとえばCreリコンビナーゼ遺伝子を発現可能に保持したトランスジェニック動物との交配を利用することができる。少なくとも骨組織においてCreリコンビナーゼを発現することができるトランスジェニック動物と、上記コンストラクトを発現可能に保持したトランスジェニック動物とを交配させるのである。
両者の形質が伝達された子孫においては、細胞内において上記のような組み換えが起き、γGTPを発現するトランスジェニック動物を得ることができる。特定の組織や臓器においてCreを発現する動物を利用すれば、その臓器(組織)における組み換えを誘導することもできる。その他、Creリコンビナーゼの投与、あるいはCreリコンビナーゼを発現するベクターの投与などを利用してCreを導入することもできる。
このようなシステムを利用することの利点として、上記コンストラクトを導入されたトランスジェニック動物の同定が容易であることを挙げることができる。すなわち、コンストラクトに含まれる不活性蛋白質の発現を指標としてコンストラクトの導入を確認することができる。本発明において、ある蛋白質の発現が、宿主動物に対して不活性であるとき、当該蛋白質は不活性蛋白質である。より具体的には、当該蛋白質によって宿主動物が有する生理学的な機能に変化が見られないときに、当該蛋白質を不活性蛋白質と言うことができる。生理学的な機能に変化が見られないことは、以下のような生理機能を指標として評価することができる。
心拍数
呼吸数
運動機能
各種の血液成分の変化
なお当該蛋白質が組織や血中に存在することは、その動物の本来の姿とは異なる状態である。しかし当該蛋白質の存在そのものは生理学的な変化には含まれない。また不活性蛋白質自身が有している活性が生体中に検出されることも、その動物の本来の姿とは異なる状態である。しかし当該蛋白質の活性が見出されることも、生理学的な変化には含まれないことは言うまでもない。
不活性蛋白質には、シグナルを生成する蛋白質を用いることができる。シグナルとは、蛋白質の存在を知ることができる物理化学的な変化を言う。たとえば、発光、蛍光、発色、あるいは酵素活性などは、蛋白質の存在を知るためのシグナルとして有用である。シグナルを生成する蛋白質を不活性蛋白質として用いることによって、シグナルを指標としてコンストラクトの導入を確認することができる。シグナルを生成する蛋白質としては、緑色蛍光蛋白質(green fluorescent protein、以下GFPと省略する)などを示すことができる。
更に、前記コンストラクトにおける不活性蛋白質遺伝子の除去を、シグナルの消失によって知ることができる。たとえば全身性に前記コンストラクトを発現するトランスジェニック動物の特定の臓器(組織)においてシグナルの消失が観察されたとき、その臓器(組織)においてはγGTPが発現していると考えることができる。親がヘテロである場合には、前記コンストラクトをホモで欠損する子孫が生まれる可能性がある。したがってシグナルの消失を組み換えの指標とする場合には、前記コンストラクトをホモ、そしてCreをヘテロで有する親を交配させるのが望ましい。
導入すべき遺伝子と当該遺伝子の発現を制御する発現制御領域を含むコンストラクトを任意の動物に導入してトランスジェニック動物を得るための方法は公知である。たとえば、マウス、ラット、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、サル、イヌ、あるいはネコなどにおいて、トランスジェニック動物を得ることができる。以下にトランスジェニック動物の一般的な作成方法について簡単に述べる。
まず前記コンストラクトは、必要な塩基配列を有するDNAを化学的に合成して得ることができる。あるいは、トランスジェニック動物の作成のために用意されたクローニングベクターに、前記コンストラクトに必要な構成要素を組み込んで、目的とする構造を構築することもできる。たとえば、ニワトリβアクチンプロモーターの塩基配列は公知である。またニワトリβアクチンプロモーターを有するトランスジェニック動物作製用のベクターも知られている。
一方、本発明のトランスジェニック動物の作製に必要なγGTPをコードする遺伝子は、cDNAライブラリーから得ることができる。cDNAから目的の遺伝子を取得するには、PCRなどの遺伝子増幅技術を利用することができる。当業者は、目的とするcDNAを増幅することができるPCR用のプライマーをデザインすることができる。更に、GFPなどの不活性蛋白質をコンストラクトに組み込むときには、市販のGFP発現ベクターなどから必要な遺伝子を切り出して利用することができる。
たとえばCLONTECH社 pIRES-EGFPを Invitrogen社 pBS246に挿入し、loxP-EGFP-pA-loxPの部位を切り出す。これをpCAGGSに挿入して、pCXP-floxed EGFPを作成することができる。このようにして構築されたコンストラクトは公知である(Yoko Furukawa-Hibi et al., “FOXO forkhead transcription factors induce G2-Mcheckpoint in response to oxidative stress" JBC vol.277, 26729-26732, 2002.)。
前記の不活性蛋白質をコードする遺伝子を配置したコンストラクトの使用は、本発明によるモデル動物の作製において、必須の条件ではない。すなわち、発現制御領域の下流に直接γGTP遺伝子を配置したコンストラクトを用いることもできる。このような構造のコンストラクトを用いて得られたトランスジェニック動物も、本発明のモデル動物として利用することができる。
更に、Cre-loxPシステムを利用して本発明のモデル動物を得るために、Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物も、以下のような方法を利用して得ることができる。Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物を得るには、適当な発現制御領域の下流にCreリコンビナーゼ遺伝子を配置したコンストラクトが利用される。Creリコンビナーゼ遺伝子の塩基配列は公知である(GenBank Acc.# X03453)。
コンストラクトは、使用に先立って、十分に精製しておく。トランスジェニック動物は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに、コンストラクトを導入することによって作製される。コンストラクトを導入する細胞としては、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階、より具体的には単細胞あるいは受精卵細胞の段階で、通常8細胞期以前のものが利用される。コンストラクトを細胞に導入するための方法は任意である。たとえば以下のような方法は、コンストラクトを細胞に導入するための一般的な方法として広く利用されている。
リン酸カルシウム法
電気パルス法
リポフェクション法
凝集法
マイクロインジェクション法
パーティクルガン法
DEAE−デキストラン法等
あるいは、こうして得られた形質転換細胞を上述の胚芽細胞と融合させることによりトランスジェニック動物を作製することもできる。
コンストラクトは、トランスジェニック動物の作製が可能なあらゆる非ヒト脊椎動物に由来する細胞に導入することができる。具体的には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、イヌ、あるいはネコ等の細胞を利用することができる。たとえばマウスにおいては、排卵誘発剤を投与したメスのマウスに正常なオスのマウスを交配させることにより、コンストラクトの導入が可能な受精卵を回収することができる。採取された受精卵は、通常、コンストラクトの導入に好適な時期まで生体外で培養される。前核期の受精卵の核膜がはっきりと見える時期が、DNAの導入に好適である。
マウス受精卵では、一般に雄性前核へのマイクロインジェクションによりコンストラクトが導入される。コンストラクトを導入した細胞は、体外での一晩程度の培養の後、導入に成功したと思われるものが代理母の卵管に移植され、トランスジェニックキメラ動物が誕生する。代理母には、精管を切断したオスと交配させて偽妊娠状態としたメスが利用される。
生まれたトランスジェニックキメラ動物は、その体細胞の遺伝子を解析することによって、ゲノムにコンストラクトが組み込まれていることを確認した上で、F1動物の誕生のために正常な動物と交配させる。このとき、望ましくは、より多くのコピー数を持つ個体を選択するようにする。一般にコンストラクトとして導入した外来性のDNAは、ゲノムの同一の部分に複数コピーが直列に組み込まれる。通常はこの組み込みコピー数が多いほど、多量の遺伝子発現につながり、より明瞭な発現型が期待できる。体細胞ゲノムにおいて、発現カセットが正しい方向で組み込まれていることは、コンストラクトに特異的なプライマーを用いたPCRによって確認することができる。また、ドットブロット法によって、コピー数を相対的に比較することもできる。
この交配の結果誕生するF1動物の中で、体細胞にコンストラクトを有する個体は、ヘテロザイゴート(heterozygote)ながら生殖細胞にコンストラクトを伝えることができるトランスジェニック動物である。したがって、F1動物の中から体細胞に発現カセットを保持するものを選び、これらを両親とするF2動物を誕生させることができれば、コンストラクトをホモで保持するホモザイゴート動物(homozygote animal)がF2動物として得られる。
ここで利用された前記コンストラクトとCre リコンビナーゼを組み合わせたトランスジェニック動物の製造方法は、γGTP以外の外来性遺伝子の導入に利用することもできる。すなわち本発明は、次の工程を含む、外来性遺伝子を導入されたトランスジェニック動物の製造方法を提供する。
(1)i) 発現制御領域、ii) 前記発現制御領域の制御下に発現するシグナル生成蛋白質をコードする遺伝子、およびiii)前記シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子の下流に配置された導入すべき外来性の遺伝子を含むコンストラクトを導入されたトランスジェニック動物を製造する工程、および
(2)前記コンストラクとのii)シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子の除去によって、発現制御領域i)の制御下に外来性の遺伝子iii)の発現を誘導する工程
シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子は、たとえばloxP配列の間に配置しておくことができる。loxP配列にはさまれた遺伝子は、Creリコンビナーゼの作用によって除去される。その結果、前記発現制御領域の制御下に、目的とする外来性遺伝子の発現を誘導することができる。一連の操作は、先に述べたγGTPをコードする遺伝子に代えて、トランスジェニック動物に導入すべき外来性遺伝子を用いることによって実施することができる。
本発明は、上記コンストラクトを発現可能に保持した非ヒト哺乳動物を提供する。すなわち本発明は、次の要素を含むコンストラクトを導入された、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物の製造用のトランスジェニック動物に関する。本発明のトランスジェニック動物は、下記のi)コンストラクトにおける発現制御下にiii)外来性のγGTPを発現できるように遺伝子を組み換えることにより、前記骨疾患のモデル動物とすることができる。たとえば、ii)不活性蛋白質をコードする遺伝子の除去により、遺伝子を組み換えることができる。
i) 発現制御領域、
ii) 前記発現制御領域の制御下に発現する不活性蛋白質をコードする遺伝子、および
iii)前記不活性蛋白質の下流に配置された外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子
本発明のモデル動物は、トランスジェニック動物に限定されない。骨組織においてγGTPの発現が増強されている動物であれば、本発明のモデル動物として利用することができる。このような動物の例として、骨組織に前記コンストラクトを導入した動物を示すことができる。
前記コンストラクトは、生体の組織を構成する細胞に導入することもできる。生体に外来性の遺伝子を導入するためには、たとえば遺伝子治療の分野で利用されている遺伝子導入技術を利用することができる。具体的には、次に示すようなウイルス由来のベクターが、外来性遺伝子の導入と発現に利用されている。
レトロウイルス
単純性ヘルペスウイルス
アデノウイルス
アデノ随伴ウイルス
サイトメガロウイルス
エプスタイン−バーウイルス
ウシパピローマウイルス
シンドビスウイルス
ポックスウイルス
また、ウイルスではなく人工的に合成された媒体による外来性遺伝子の導入も試みられている。人工的な遺伝子導入媒体の例を以下に示す。
温度感受性リポソーム
血中安定性リポソーム
カチオニックリポソーム
pH感受性リポソーム
ウイルスのエンベロープ蛋白質を組み込んだ再構成リポソーム
HVJ(センダイウイルス)-リポソーム [T. Nakagawa et al., Drug Delivery System, 11, 411 (1996)]
VSV(水疱性口内炎ウイルス)-リポソーム(特開平11-187873号)
本発明のモデル動物は、骨組織の脆弱化を抑制する作用の検出方法に利用することができる。の予防および/または治療に有用な化合物のスクリーニングに有用である。すなわち本発明は、次の工程を含む、被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する方法を提供する。
(1)少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物に被験化合物を投与する工程、
(2)骨組織の脆弱化のレベルを測定する工程、および
(3)骨組織の脆弱化のレベルが対象と比較して低い場合に、被験化合物が骨組織の脆弱化を阻害する作用を有すると判定される工程
本発明による骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する方法においては、少なくとも骨組織において、外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を発現している動物を、前記モデル動物として用いることができる。このような動物には、外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物が含まれる。先に述べたように、γGTPを骨組織において発現させた動物は、骨粗しょう症と共通の臨床症状を呈する、理想的なモデル動物と言える。
またγGTPを発現するトランスジェニック動物は、たとえば骨破壊を示す尿中マーカーの顕著な変動を示す。したがって、トランスジェニック動物の利用によって、尿中の骨吸収マーカーを指標として、前記検出方法を実施することができる。尿中の骨吸収マーカーとしては、ピリジノリンやデオキシピリジノリンを示すことができる。これらのマーカーの測定方法は公知である。また、マーカーを測定するためのイムノアッセイ用の試薬が市販されている。
尿中の骨吸収マーカーを指標として本発明の検出方法を実施する場合には、被験化合物を与えられた前記モデル動物の尿を採取し、その骨吸収マーカーのレベルを測定する。得られた測定結果を対象と比較し、マーカーの値が有意に低下したときに、被験化合物の骨の脆弱化を抑制する作用を検出することができる。
尿中の骨吸収マーカーのみならず、骨塩、骨基質、骨密度、あるいは骨量を指標として、本発明の方法を実施することもできる。この場合には、各指標を同じく対象と比較して、各指標の低下が抑制された場合に、被験化合物の骨の脆弱化を抑制する作用を検出することができる。
本発明の検出方法において、被験化合物をモデル動物に投与する方法は任意である。具体的には、経口投与、静脈内投与、経皮的投与、経腹膜投与、あるいは皮下投与などの全身的な投与方法、あるいは骨組織への局所的な投与などを利用することができる。被験化合物の投与方法は、当該化合物の性状に応じて、当業者が適宜選択することができる。
被験化合物をモデル動物に投与するタイミングは任意である。たとえばγGTPを発現させたトランスジェニック動物は、時間の経過とともに骨の脆弱化を呈する。骨の脆弱化に伴う臨床的な変化が確認される前に被験化合物を投与すれば、被験化合物の予防的効果を評価することができる。あるいは、骨組織の脆弱化に伴う明らかな臨床症状を呈した後に被験化合物を投与することによって、骨組織の脆弱化の治療効果を評価することもできる。
現状では、骨粗しょう症の進行を遅らせることはできても、進行してしまった骨組織の脆弱化を治療するための有効な方法は明らかにされていない。したがって、骨組織の脆弱化の治療効果を評価することができる本発明の方法は、骨組織の脆弱化の治療方法を見出すための重要な情報を与えることができると考えられる。
更に、本発明による被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する方法を利用して、当該作用を有する被験化合物のスクリーニング方法が可能となる。つまり本発明による被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する方法は、当該作用を有する化合物のスクリーニングに有用である。すなわち本発明は、次の工程を含む、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患の治療および/または予防に有用な化合物のスクリーニング方法に関する。
(1)少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物に被験化合物を投与する工程、
(2)骨組織の脆弱化のレベルを測定する工程、
(3)骨組織の脆弱化のレベルが対象と比較して低い場合に、被験化合物が骨組織の脆弱化を阻害する作用を有すると判定される工程、および
(4)対照と比較して、骨組織の脆弱化を阻害する作用を有する被験化合物を選択する工程
本発明における骨組織の脆弱化を伴う疾患には、骨粗しょう症が含まれる。本発明のスクリーニング方法に用いられるモデル動物には、たとえば先に述べたような骨疾患のモデル動物を利用することができる。
本発明のスクリーニング方法において、対照としては、たとえば目的とする活性を有していないことが明らかな化合物を投与したモデル動物を用いることができる。たとえば、被験化合物を溶解した緩衝液、あるいは生理食塩水などを投与したモデル動物を対照として利用することができる。あるいは、骨組織の脆弱化を抑制することが知られている化合物を投与したモデル動物を対照とすることもできる。この場合には、当該化合物が有する活性に対する、相対的な活性の大きさを評価することができる。
本発明のスクリーニングは、任意の化合物を被験化合物として利用することができる。たとえば、合成または天然化合物のライブラリーは、被験化合物として有用である。天然のライブラリーには、細菌、真菌、植物、あるいは動物抽出物由来の化合物のライブラリーを利用することができる。さらに、天然のまたは合成によって産生されたライブラリーを構成する化合物は、化学的、物理的、あるいは生化学手段によって改変することもできる。たとえば、構造的な類似体を作製するために、既知の薬理物質に、化学的な修飾を施して、新規なライブラリーを得ることができる。化学的な修飾には、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等が含まれる。
本発明のスクリーニング方法によって選択された化合物は、骨疾患の脆弱化を伴う疾患の治療剤あるいは予防剤として有用である。特に、骨組織の脆弱化に伴う臨床的な変化が確認された後にモデル動物に被験化合物を投与すれば、骨の脆弱化に対する治療効果を有する化合物をスクリーニングすることができる。
すなわち本発明は、前記スクリーニング方法によって得ることができる化合物を有効成分として含有する、骨組織の脆弱化を伴う疾患の治療剤あるいは予防剤を提供する。前記スクリーニング方法によって選択された被験化合物は、更に安全性や安定性などを試験したうえで、骨組織の脆弱化を伴う疾患の治療および/または予防のための医薬組成物の有効成分とすることができる。本発明の医薬組成物は、公知の製剤学的製造法により製剤化して投与することができる。また有効成分である化合物自体を直接投与することもできる。製剤化する場合は、例えば、薬剤として一般的に用いられる媒体または担体と適宜組み合わせて投与することができる。
また、スクリーニングによって得られた有効成分が蛋白質であれば、該蛋白質をコードするDNAを遺伝子治療用ベクターに組み込んで、遺伝子治療に応用することもできる。スクリーニングによって得られた有効成分は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、鼻腔内投与、気管支内投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、患部への直接投与などの方法で投与することができる。投与量は、患者の体重、年齢、健康状態、あるいは投与方法などの条件によって変動するが、当業者であれば適宜適当な投与量を選択することができる。
すなわち、たとえば前記モデル動物において、骨組織の脆弱化を伴う疾患に対する治療効果を、様々な投与量の間で比較することにより有効濃度が決定される。そして、上記のような各投与ルートによって、骨組織における投与化合物の濃度がその有効濃度に達するような投与量を経験的に決定する。一般的な投与形態においては、有効成分が全身に分布するものとして、体重1kg当たりの投与量を決定する。実験動物における薬物動態の解析結果に基づいて骨組織に対する移行性が高いと考えられる化合物であれば、投与量をより低く設定することができる。
本発明の医薬組成物は、決定された投与量と投与形態とを考慮して、媒体や担体と配合される。必要な投与量を達成することができるように有効成分を配合することは、当業者が通常行っている。本発明による医薬組成物の投与量は、体重1kgあたり通常1μgから10g、より一般的には10μg〜100mgとすることができる。また、注射剤の場合は経口投与の10分の1〜100分の1程度を投与量の目安とすることができる。さらに特殊な製剤設計を施すことにより、投与量を調整することができる。例えば、本発明の医薬組成物は、適当な担体に保持することによって徐放化製剤とすることもできる。一般に徐放化製剤においては血中の薬物濃度を高く維持することができるので、配合量を低く設定することができる。
1.γGTP(gamma glutamyl transpeptidase)を過剰発現するマウス
γGTP(gamma glutamyl transpeptidase)がin vivoで骨吸収を亢進させ骨粗しょう症の病態形成に関わっていることを明らかにするために、γGTPを過剰発現するtransgenic mouseを作成した。γGTPを過剰発現させるにあたって組織特異的に発現させ、その骨吸収に対する効果を観察するためCre-loxP systemを用いた。
2.γGTP cDNAの単離
Mus musculus γGTP(NCBI U30509)のN末端にkozac配列を配置し、更にその両端にMfeI siteを配置したプライマーを設計した。各プライマーの塩基配列を次に示す。
Mfe1-GGT 5':5'-ccgcaattgccaccatgaagaatcggtttctgg-3'(配列番号:5)
Mfe1-GGT 3':5'-ggcggggaacctgctggctactgacaattg-3'(配列番号:6)
C57BL6/crSlc(8w male)の両側腎臓を採取し、TRIzol(商標) Reagent(Invitrogen)を用いてtotal RNAを抽出した。このtotal RNAからRT-PCRにより約1.7kbのγGTP cDNA fragment(配列番号:1のCDS 161-1867に相当)を得た。
3.Floxed EGFP-GGT Transgenic Miceの作成
図1のベクターpCXP-floxed EGFP-GGTは、CMV-IE enhancer + Chicken β-actin Promoterの下流にloxP配列ではさんだEGFP(enhanced green fluorescence protein)+ Rabbit β-globin polyA、(pCXP-floxed EGFP)、さらにその下流に前述のγGTPcDNA fragment + Rabbit β-globin polyAが配置されている(pCXP-floxed EGFP-GGT)。このベクターが導入されるとEGFPが発現する。もしもベクターにCreリコンビナーゼが作用すれば、loxP配列内のEGFPが除去され、その下流にあるγGTPが発現する。
pCXP-floxed EGFP-GGTを構成しているpCXP-floxed EGFPは、次のようにして構築された。CLONTECH社 pIRES-EGFPを Invitrogen社 pBS246に挿入し、loxP-EGFP-pA-loxPの部位を切り出した。これを大阪大学 Dr.宮崎より供与を受けたpCAGGSに挿入した(Yoko Furukawa-Hibi et al., “FOXO forkhead transcription factors induce G2-Mcheckpoint in response to oxidative stress" JBC vol.277, 26729-26732, 2002)。
in vivoへの導入に先立ち、CreリコンビナーゼによるγGTPの発現の誘導を確認するために、まずin vitroでpCXP-floxed EGFP-GGTが機能することを確認した。pCXP-floxedEGFP-GGTをHEK293細胞へ一過性に導入(+EGFP)し、pCXP-floxed EGFP-GGTとpMC-Creを同時に一過性に導入した(+GGT)場合と比較した。
すなわち、pCXP-floxed EGFP-GGTをFuGENE 6 (BOEHRINGER MANNHEIM 社)を用いてリポフェクションによりHEK293 cell(10cm dish, 60% confluency)にトランスフェクトした。トランスフェクトの条件は次のとおりである。
+ EGFP: OPTI-MEM 100μl + FuGENE 6 15μl + pCXP-floxedEGFP-GGT 2.5μg
+ GGT : OPTI-MEM 100μl + FuGENE 6 15μl ,
+ pCXP-floxedEGFP-GGT 2.5μg, + pMC/Cre 3.5μg,
トランスフェクトの48時間後に細胞を回収し、細胞からはノーザンブロッティングアッセイのためのRNAサンプルを抽出した。すなわち、回収した細胞からTRIzol でtotal RNAを回収し、各サンプル とも5μgのRNAをアプライした。また細胞培養液(100μl)はγGTP活性測定に使用した。
+EGFPではEGFPによる緑色の発色が確認された。+GGTでもEGFPの発色が確認されたが、+EGFPに比べ発色細胞の割合が低かった(図2a)。Northern blotでは、+GGTでmRNAレベルでのγGTPの発現が確認された(図2b)。 また培養上清のγGTP活性は+GGTで上昇していた(図2c)。以上の結果から作成したpCXP-floxed EGFP-GGTはデザインされたとおり機能していることが確認された。
このpCXP-floxed EGFP-GGTからSalI、HindIIIで切り出したDNA fragment(floxed EGFP-GGT 約5.6kb)をC57BL6/crSlcの受精卵前核に注入した。その結果、65匹の産仔が得られた。産仔(生後4w)の尾の先端1mmを切離し蛍光顕微鏡で観察すると65匹中、14匹(=23%)にEGFPの発色が確認された(図3)。これらのマウスの尾からDNAを抽出し、γGTP ゲノム exon5-7 にプライマーを設定し、PCRで遺伝子の導入の有無を確認したところ、遺伝子の導入が確認された。PCRに用いたプライマーの塩基配列を次に示す。このプライマーによって、439bpの増幅産物が合成される。
GGT 5':5'-ggtgttctgccgccaagggaagg-3'(配列番号:7)
GGT 3':5'-gagacacatcgacaaactttggg-3'(配列番号:8)
4.Cre Transgenic Miceの繁殖
γGTPを全身に過剰発現させた場合と骨でのみγGTPを過剰発現させた場合の骨吸収を比較検討するため、以下の2種類のCre transgenic miceを入手し、繁殖した。
1) CAG-Cre transgenic Mice
Chicken β-actin(CAG)Promoterの下流にCre geneを配置してある。このマウスにおいては、Creリコンビナーゼが全身に発現する。Floxed EGFP-GGT Transgenic Miceと交配することによって全身でCre-loxP systemが働き、 EGFP配列が除去されγGTPが過剰発現する。この2系統の交配によって得られたマウスはCre geneに設定したプライマーとGGTプライマー(前述)で、必要なコンストラクトを保持していることを確認した。Cre geneに設定したプライマーの塩基配列を次に示す。このプライマーによって、250bpの増幅産物が合成される。
Cre 5':5'-aggttcgttcactcatgga-3'(配列番号:9)
Cre 3':5'-tcgaccagtttagttaccc-3'(配列番号:10)
両PCR陽性の個体の尾を1mm採取し、PBS 500μl中で組織を溶解しγGTP活性を測定し、高い活性を有することを確認した。
両PCR陽性な個体の尾のγGTP 活性を測定したところ野生型(WT)に比べ高い活性を示した。同腹仔のWTと比較すると発育遅延があり(図4a)、軟線撮影では骨の透過性の亢進が観察された(図4b)。固定組織標本では脛骨近位端の破骨細胞の増加と骨吸収の亢進が観察された(図4c、図4d)。また尿中骨吸収マーカーDPD(deoxypyridinoline)は高値を示した(表1)。各臓器のRNA10μgをアプライしたノーザンブロットアッセイでは各臓器でγGTPのmRNAの発現上昇を認めた(図4e)。
図4eの骨組織(bone)におけるノーザンブロットのシグナルレベルは低い。しかしWTの骨組織では発現していないγGTPのmRNAが上記トランスジェニックマウスの骨組織において発現されていることは明らかである。当該トランスジェニック動物の骨組織におけるγGTP遺伝子の十分な発現を誘導できていることを意味している。
表1.尿中の各種マーカーの測定結果
---------------------------------------------------------
uγGTP uCr u-γGTP/Cr DPD
(IU/L) (mg/dL) (nmol/mmolCr)
---------------------------------------------------------
γGTP Tg 708 47.88 14.79 43.9
WT 83 55.05 1.51 18.6
---------------------------------------------------------
血清中の各種マーカーの測定結果
-------------------------------------------------
sALP sγGTP sBUN sCa.
(IU/L) (IU/L) (mg/dL) (mg/dL)
-------------------------------------------------
γGTP Tg 618 278 29 9.9
WT 288 0 19 9.3
-------------------------------------------------
2) ColI-Cre transgenic Mice
ColI-Creトランスジェニックマウスは、Osteoblastに発現するα1(I)-collagenのpromoter(proximal fragment 2.3kb)の下流にCre geneを配置してある。このマウスにおいては、Creリコンビナーゼが骨特異的に発現する。floxed EGFP-GGTトランスジェニックマウスと交配することによって骨のみでCre-loxP systemが働く。この2系統の交配によって得られたマウスはCre geneに設定したプライマーとGGTプライマー(前述)で確認した。Cre geneに設定したプライマーの塩基配列を次に示す。このプライマーによって、654bpの増幅産物が合成される。
ColI-Cre 5':5'-cctggaaaatgcttctgtccgtttgcc-3'(配列番号:11)
ColI-Cre 3':5'-gagttgatagctggctggtggcagatg-3'(配列番号:12)
本発明は、骨組織の脆弱化あるいは破壊を伴う疾患のモデル動物を提供した。本発明のモデル動物は、骨粗しょう症と共通する臨床症状を呈する。具体的には、たとえばγGTPを骨組織において発現するトランスジェニックマウスは、顕著な骨組織の脆弱化と尿中骨吸収マーカーの明らかな増加を示す。これらの臨床症状は、ヒトにおける骨粗しょう症とよく一致する。したがって、本発明のモデル動物は、ヒトの骨粗しょう症の治療方法を開発するための研究ツールとして有用である。
たとえば、本発明のモデル動物にさまざまな治療方法を施し、その病態を改善する作用を観察することにより、新たな治療方法を評価することができる。あるいは、骨粗しょう症の治療剤あるいは予防剤の候補化合物を、本発明のモデル動物に投与し、その効果を評価することによって、治療や予防効果を有する化合物をスクリーニングすることができる。
本発明のモデル動物の臨床症状が骨粗しょう症と一致することは、モデル動物としての信頼性が高いことを示すとともに、治療方法の評価が容易であることを意味している。たとえば既知のモデル動物においては、骨組織の変化が明瞭でないうえに、尿中の骨吸収マーカーの顕著な変化も認められなかった。そのため、治療効果の判定が困難であった。これにたいして本発明のモデル動物では、骨組織の変化が明瞭なため、治療効果の判定は容易である。更に、本発明のモデル動物は、尿中の骨吸収マーカーの顕著な変動を伴うため、骨吸収マーカーを指標として治療効果を評価することもできる。尿中の骨吸収マーカーはELISAなどの簡易な方法で迅速に測定することができる。また測定の再現性も高いので、評価指標として有用である。
更に、本発明のモデル動物は、γGTPを発現するトランスジェニック動物を利用することによって、顕著な骨組織の脆弱化を長期にわたって維持することができる。骨粗しょう症は、長期にわたって徐々にその症状が進行する慢性の疾患である。したがって、症状が長期にわたって維持される点においても、トランスジェニック動物において観察される骨粗しょう症症状は、骨粗しょう症のモデルとして有用であると言うことができる。本発明のモデル動物は、長期にわたる疾患の病態の解明、あるいは治療や予防のための研究に有用である。
トランスジェニックマウス作成に用いたベクターpCXP-floxedEGFP-GGTの構造を表わす図である。CMVエンハンサーとCAGプロモーターの支配下にloxPではさんだEGFP(enhanced green fluoesence protein)+ poly A、その下流にマウスγGTP cDNA+ poly Aを連結したコンストラクトを作成した。 pCXP-floxedEGFP-GGT、またはpCXP-floxedEGFP-GGTとpMC-Creを一過性に導入したHEK293細胞におけるGFPの発現を比較した結果を示す写真である。+EGFP(左)はpCXP-floxedEGFP-GGT、+GGT(右)はpCXP-floxedEGFP-GGTとpMC-Creを導入した細胞を示す。 +EGFPではEGFPによる緑色の発色が確認された。+GGTでもEGFPの発色が確認されたが、+EGFPに比べ発色細胞の割合が低かった。EGFP発色細胞の割合は、+EGFPで18%、+GGTで5.4%であった。 pCXP-floxedEGFP-GGT(+EGFP)、またはpCXP-floxedEGFP-GGTとpMC-Cre(+GGT)を一過性に導入したHEK293細胞の、Northern blottingの結果を示す写真である。上はγGTPをプローブとして、下はEF1αをプローブとして検出した結果である。左から順に、HEK293細胞、pCXP-floxedEGFP-GGTで形質転換したHEK293細胞、およびpCXP-floxedEGFP-GGTとpMC-Creで形質転換したHEK293細胞の結果を示す。+GGTでmRNAレベルでのγGTPの発現が確認された pCXP-floxedEGFP-GGT(+EGFP)、またはpCXP-floxedEGFP-GGTとpMC-Cre(+GGT)を一過性に導入したHEK293細胞の、培養上清におけるγGTP活性を示す図である。培養上清のγGTP活性は+GGTで上昇していた。図中、縦軸はγGTP活性(IU/L)、横軸は細胞の種類を示す。左から順に、HEK293細胞、pCXP-floxedEGFP-GGTで形質転換したHEK293細胞、およびpCXP-floxedEGFP-GGTとpMC-Creで形質転換したHEK293細胞の結果を示す。 floxedEGFP-GGTトランスジェニックマウス(左)と、野生型マウス(右)の尾の蛍光顕微鏡写真である。floxedEGFP-GGTトランスジェニックマウスの尾ではEGFPの発色が観察された。 同腹仔の野生型マウス(左)とγGTPトランスジェニックマウス(右)の発育の比較を示す写真である(マウスはいずれも7週齢)。同腹仔のWTと比較すると発育遅延が認められた。 軟線撮影(25kv, 5sec.)により、野生型マウス(上)とγGTPトランスジェニックマウス(下)の骨の透過性を観察した写真である(マウスはいずれも7週齢)。軟線撮影ではγGTPトランスジェニックマウスで骨の透過性の亢進が観察され、骨粗しょう症と診断される。 野生型マウス(上)、およびγGTPトランスジェニックマウス(下)の脛骨近位端の固定組織標本を示す写真である(×40、マウスはいずれも7週齢)。左はH.E.染色、右はAZAN染色により染色した組織を示す。 野生型マウス(左)、およびγGTPトランスジェニックマウス(右)の脛骨近位端の破骨細胞の固定組織標本を示す写真である(マウスはいずれも7週齢)。固定組織はTRAP染色を行った。 倍率 上段×100; 下段 ×200 次のマウスの各臓器におけるγGTPのmRNAの発現量を示す写真である(マウスはいずれも7週齢)。左から順に、脳(Brain)、心臓(Heart)、肺(Lung)、精嚢(Semi. Vesicle)、肝(Liver)、腎(Kidny)、および骨(Bone)の結果を示す。Tg:floxed EGFP-GGTトランスジェニックマウスとCAG-Creトランスジェニックマウスの交配によって生まれたγGTPトランスジェニックマウスCre:CAG-CreトランスジェニックマウスWT:野生型マウス通常(WT, Cre )では、γGTPのmRNAは腎臓、精嚢で発現が認められるが、Tgではそれ以外にもさまざまな臓器にγGTPのmRNAの発現が認められた。

Claims (27)

  1. 少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物。
  2. 骨疾患が骨粗しょう症である請求項1に記載のモデル動物。
  3. 非ヒト哺乳動物が、少なくとも骨組織において、外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を発現している動物である、請求項1に記載のモデル動物。
  4. 外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物である請求項3に記載のモデル動物。
  5. 外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子が、骨組織特異的な発現制御領域の制御下に発現している請求項4に記載のモデル動物。
  6. 骨組織特異的な発現制御領域が、α1(I)-コラーゲンプロモーターである請求項5に記載のモデル動物。
  7. 非ヒト哺乳動物がマウスである請求項1に記載のモデル動物。
  8. 尿中に排泄される骨吸収マーカーの測定値が正常動物と比較して有意に高い請求項7に記載のモデル動物。
  9. 非ヒト哺乳動物の骨組織においてγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現を増強する工程を含む、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物の製造方法。
  10. 外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物を製造する工程を含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 次の工程を含む、請求項9に記載の製造方法。
    (1)i) 発現制御領域、ii) 前記発現制御領域の制御下に発現する不活性蛋白質をコードする遺伝子、およびiii)前記不活性蛋白質をコードする遺伝子の下流に配置された外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を含むコンストラクトを導入されたトランスジェニック動物を製造する工程、および
    (2)前記コンストラクトのii)不活性蛋白質をコードする遺伝子の除去によって、発現制御領域i)の制御下に外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子iii)の発現を誘導する工程
  12. 不活性蛋白質がシグナル生成蛋白質である請求項11に記載の方法。
  13. 不活性蛋白質をコードする遺伝子がloxP配列によって挟まれており、Creリコンビナーゼによって該遺伝子を除去する工程を含む、請求項11に記載の方法。
  14. (1)のトランスジェニック動物と、Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物を交配させ、(1)に記載のコンストラクトを有する細胞内でCreリコンビナーゼを発現することができる雑種を得る工程を含む、請求項11に記載の方法。
  15. 次の要素を含むコンストラクトを導入された、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物の製造用のトランスジェニック動物。
    i) 発現制御領域、
    ii) 前記発現制御領域の制御下に発現する不活性蛋白質をコードする遺伝子、および
    iii)前記不活性蛋白質の下流に配置された外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子
  16. 次の工程を含む、被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する方法。
    (1)少なくとも骨組織におけるγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質の発現が増強された非ヒト哺乳動物からなる、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患のモデル動物に被験化合物を投与する工程、
    (2)骨組織の脆弱化のレベルを測定する工程、および
    (3)骨組織の脆弱化のレベルが対象と比較して低い場合に、被験化合物が骨組織の脆弱化を阻害する作用を有すると判定される工程
  17. 非ヒト哺乳動物が、少なくとも骨組織において、外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を発現している動物である、請求項16に記載の方法。
  18. 外来性のγGTPまたはγGTPと機能的に同等な蛋白質をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック動物である、請求項17に記載の方法。
  19. 骨組織の脆弱化のレベルとして、前記非ヒト哺乳動物の尿中に排泄される骨吸収マーカーのレベルを測定し、当該測定値が対象と比較して低いときに、被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用が検出される請求項16に記載の方法。
  20. 骨吸収マーカーが、ピリジノリン、またはデオキシピリジノリンである請求項19に記載の方法。
  21. 次の工程を含む、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患の治療および/または予防に有用な化合物のスクリーニング方法。
    (1)請求項16に記載の方法によって被験化合物の骨組織の脆弱化を阻害する作用を検出する工程、および
    (2)対照と比較して、骨組織の脆弱化を阻害する作用を有する被験化合物を選択する工程
  22. 骨疾患が、骨粗しょう症である請求項21に記載のスクリーニング方法。
  23. 請求項21に記載の方法によって得ることができる化合物を有効成分として含有する、骨組織の脆弱化および/または破壊をともなう骨疾患の予防または治療のための医薬組成物。
  24. 次の工程を含む、外来性遺伝子を導入されたトランスジェニック動物の製造方法。
    (1)i) 発現制御領域、ii) 前記発現制御領域の制御下に発現するシグナル生成蛋白質をコードする遺伝子、およびiii)前記シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子の下流に配置された導入すべき外来性の遺伝子を含むコンストラクトを導入されたトランスジェニック動物を製造する工程、および
    (2)前記コンストラクトのii)シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子の除去によって、発現制御領域i)の制御下に外来性の遺伝子iii)の発現を誘導する工程
  25. シグナル生成蛋白質をコードする遺伝子がloxP配列によって挟まれており、Creリコンビナーゼによって該遺伝子を除去する工程を含む、請求項24に記載の方法。
  26. (1)のトランスジェニック動物と、Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物を交配させ、(1)に記載のコンストラクトを有する細胞内でCreリコンビナーゼを発現することができる雑種を得る工程を含む、請求項24に記載の方法。
  27. Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物が、前記外来性遺伝子の発現を誘導すべき組織においてCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物である、請求項26に記載の方法。
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