JPH1086724A - 磁気浮上式サスペンションユニット - Google Patents

磁気浮上式サスペンションユニット

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Publication number
JPH1086724A
JPH1086724A JP24467796A JP24467796A JPH1086724A JP H1086724 A JPH1086724 A JP H1086724A JP 24467796 A JP24467796 A JP 24467796A JP 24467796 A JP24467796 A JP 24467796A JP H1086724 A JPH1086724 A JP H1086724A
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JP
Japan
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magnetic
permanent magnet
permanent magnets
magnet
vibration
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Application number
JP24467796A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Fujita
悦則 藤田
Yutaka Sakamoto
豊 坂本
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Delta Kogyo Co Ltd
Delta Tooling Co Ltd
Original Assignee
Delta Kogyo Co Ltd
Delta Tooling Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性バネの減衰特性を利用することにより除
振性能を向上させた安価で簡素な構成の磁気浮上式サス
ペンションユニットを提供すること。 【解決手段】 相対移動自在に離間し、反発磁極を対向
させた二つの永久磁石2,4あるいは26,28で磁性
バネを構成し、二組の磁性バネを隣接させた。また、各
組の磁性バネの永久磁石の一方4,28をシート等の台
座に取り付け、他方の永久磁石2,26を車両に取り付
けた。さらに、車両に取り付けられた永久磁石の一方2
6を揺動自在に保持するとともに、隣接する永久磁石2
に対し吸引力が作用するようにした。この構成により、
車両に入力された外力に対し、揺動自在の永久磁石26
と対向する永久磁石28間の離間距離を適宜変化させて
内部運動系内のバネ定数あるいは減衰係数を変化させる
ことにより除振コントロールを容易にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の永久磁石を
有する磁性バネを備えた磁気浮上式サスペンションユニ
ットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用シートあるいは救急車用
ベッドには、車体フロアから伝わる振動を抑制する除振
ユニットが取り付けられており、この除振ユニットには
例えば金属バネ、エアサスペンション、エアダンパ等が
使用されている。最近では、自動車用シートにアクチュ
エータを取り付け、振動をアクティブ制御することによ
り着座感を向上したアクティブサスペンションシートも
提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属バ
ネ、エアサスペンション、エアダンパ等を使用した除振
ユニットは、車体フロアから伝わる振動のうち4〜20
Hzの振動の周波数を低下させて着座感あるいは使用感
をさらに向上させることはできなかった。また、上記ア
クティブサスペンションシートは重たく高価であるばか
りでなく、アクチュエータを常に作動させておく必要が
あり、アクチュエータをOFFにすると振動がアクチュ
エータを介して乗員に直接伝わり、着座感が損なわれる
という問題があった。
【0004】本発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、磁性バネの減衰特性
を利用することにより除振性能を向上させた安価で簡素
な構成の磁気浮上式サスペンションユニットを提供する
ことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、相対移動
自在に離間し、反発磁極を対向させた二つの永久磁石で
構成される磁性バネを二組隣接し、各組の磁性バネの永
久磁石の一方を台座に取り付け、他方の永久磁石の一つ
を揺動自在に保持するとともに、隣接する永久磁石に対
し吸引力が作用するよう配置し、上記他方の永久磁石に
入力された外力に対し、揺動自在に取り付けられた永久
磁石と、該永久磁石と対向する永久磁石間の離間距離を
適宜変化させることにより内部運動系内のバネ定数ある
いは減衰係数を変化させるようにしたことを特徴とする
磁気浮上式サスペンションユニットである。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、上記揺動
自在の永久磁石とともに一体的に揺動するレバーに慣性
部材を取り付け、該慣性部材をレバーに対し移動させる
ことにより上記揺動自在の永久磁石と対向する永久磁石
間で最大反発力が発生する位置を調節するようにしたこ
とを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。互いに離間し同磁極
を対向させた少なくとも二つの永久磁石を有する磁性バ
ネ構造体の場合、離間した永久磁石同士は非接触のた
め、構造体自体の摩擦損失等を無視すると、その静特性
は入力時(行き)と同一ライン上を非線形で出力され
(帰り)、さらに、非接触対偶特有の自由度、浮上制御
系の不安定度を利用することにより、小さな入力で静磁
界(磁石の配置)を変化させることで負の減衰を生じや
すい。
【0008】本発明はこの事実に着目してなされたもの
であり、二つの永久磁石間の幾何学的寸法を運動行程内
機構あるいは外力により入力側(行き)と出力側(帰
り)で変化させ、その運動系内で反発力に変換させるこ
とにより、二つの永久磁石の平衡位置からの入力側の反
発力より出力側の反発力を大きくしている。
【0009】以下、その基本原理について説明する。図
1は、入力側と出力側における二つの永久磁石2,4の
平衡位置を示した模式図で、図2は、いずれか一方の永
久磁石に加えられた荷重と、二つの永久磁石の平衡位置
からの変位量との関係を示した磁性バネ構造体の基本特
性を示している。
【0010】図1に示されるように、永久磁石2に対す
る永久磁石4の入力側の平衡位置とバネ定数をそれぞれ
,kとし、出力側の平衡位置とバネ定数をそれぞ
れx,kとすると、x0〜x1の間で面積変換が行わ
れ、各平衡位置では次の関係が成立する。 −k/x+mg=0 −k/x+mg=0 k>k
【0011】従って、その静特性は、図2に示されるよ
うに負の減衰特性を示し、位置xと位置xにおける
ポテンシャルの差が発振のポテンシャルエネルギと考え
ることができる。
【0012】また、図1のモデルを製作し、荷重と変位
量との関係を、荷重を加える時間を変えて実測したとこ
ろ、図3に示されるようなグラフが得られた。これは、
二つの永久磁石2,4が最近接位置に近づくと、大きな
反発力が作用すること、また、平衡位置からの変位量が
微小に変化すると摩擦損失が磁性バネのダンパー効果に
より発生し、そのことにより減衰項が現れたものと解釈
される。
【0013】図3において、(a)は一定荷重を加えた
場合のグラフで、(a)、(b)、(c)の順で荷重を
加えた時間が短くなっている。すなわち、荷重の加え方
により静特性が異なり、荷重を加える時間が長いほど力
積が大きい。
【0014】また、希土類磁石は、磁化の強さが磁界に
依存しない。つまり、内部磁気モーメントが磁界による
影響を受けにくいので、減磁曲線上で磁化の強さはほと
んど変化せず、ほぼその飽和磁化の強さの値を保ってい
る。従って、希土類磁石では、端面上に磁荷が均一に分
布していると仮定したチャージモデルを用いて、入出力
が考えられる。
【0015】図4はその考え方を示しており、磁石を最
小単位の磁石の集合と定義し、各単位磁石間の力の関係
を三つに分類して計算したものである。 (a)吸引(r,mとも同一なので、2タイプを1つで
定義する) f(1)=(m/r)dxdydxdyx (1)=f(1)cosθ fz (1)=f(1)sinθ (b)反発 fx (2)=f(2)cosθ fz (2)=f(2)sinθ (c)反発 fx (3)=f(3)cosθ fz (3)=f(3)sinθ 従って、 −fx=2fx (1)−fx (2)−fx (3) −fz=2fz (1)−fz (2)−fz (3) ここで、クーロンの法則は次のように表されるので、 上記−fx,−fzを磁石の寸法の範囲で積分して力を求
めることができる。
【0016】これを図5に示されるように、対向する磁
石を各磁気ギャップ毎に完全にラップした状態(x軸移
動量=0mm)から完全にずれた状態(x軸移動量=5
0mm)まで移動させて計算したのが図6のグラフであ
る。ただし、「内部磁気モーメントは一定」と定義して
あるが、磁気ギャップが小さいときは磁石の周辺で乱れ
が生じるので、補正している。
【0017】上記計算結果は実測値とも略一致してお
り、図2のポイントaからbに移動させる力がx方向荷
重で、出力はz方向荷重で表されており、不安定系故の
入力<出力の関係が静的に明確になっている。
【0018】また、図7は、図5に示される磁石の離間
距離を3mmに保持し、完全にずれた状態から完全にラ
ップした状態まで移動させ、さらにこの状態から完全に
ずれた状態まで移動した時の関係を表したグラフであ
る。このグラフは、x方向荷重の絶対値は同じで出力方
向が逆になって出てくる特性で、完全ラップ状態に近づ
く場合は抵抗つまり減衰となり、完全ラップ状態から完
全にずれた状態に移行する場合は加速されることを示し
ている。この特性を非接触ダンパに活用することで、従
来のダンパでは達成できなかった人が認知できる低・中
・高周波領域(0〜50Hz)の振動エネルギの低減つ
まり振動伝達率の改善が可能になった。
【0019】また、図8に示されるように、対向する磁
石の回転角度を変化させると、図9に示されるようなグ
ラフが得られた。当然のことながら、対向面積が減少す
ると最大荷重が減少し、所定の入力を加えることによる
面積変換を介して出力を変化させることが可能なことを
示している。
【0020】図10は、永久磁石としてネオジム系磁石
を採用した場合の磁石間距離と荷重との関係を示すグラ
フであり、反発力は質量増加とともに増加する。ここ
で、反発力Fは、 F∝Br×(幾何学的寸法) Br:磁化の強さ で表され、幾何学的寸法とは、対向する磁石の離間距
離、対向面積、磁束密度、磁界の強さ等により決定され
る寸法を意味する。磁石材料が同一の場合、磁化の強さ
(Br)は一定であるので、幾何学的寸法を変化させる
ことにより磁石の反発力を変えることができる。
【0021】図11は、永久磁石2,4間のギャップ
(離間距離)を変化させることにより幾何学的寸法を変
化させるようにした具体的な磁性バネモデルを示してい
る。図11において、互いに平行に延在する基台6と頂
板8とは、2本のリンク10a,10bからなる左右一
対のXリンク10により互いに接続されている。リンク
10a,10bの一端は、基台6と頂板8にそれぞれ枢
着されるとともに、リンク10a,10bの他端は、頂
板8に摺動自在に取り付けられた上部スライダ12と、
基台6に摺動自在に取り付けられた下部スライダ14に
それぞれ枢着されている。
【0022】また、基台6には永久磁石2がN極を上方
に向けた状態で固定される一方、もう一つの永久磁石4
が永久磁石2に対向してN極を下方に向けた状態で頂板
8に固定されている。基台6にはさらに支持台20が固
定され、この支持台20に揺動レバー30の中央部が揺
動自在に取り付けられている。揺動レバー30の永久磁
石2に対向する端部にはS極を上方に向けた状態で永久
磁石26が固定される一方、この永久磁石26の反対側
の揺動レバー30にはバランスウェイト24が慣性部材
として摺動自在に取り付けられている。また、永久磁石
26の上方には、S極を下方に向けた状態で永久磁石2
8が永久磁石4と隣接して頂板8に固定されている。
【0023】上記構成において、基台6に取り付けられ
た二つの永久磁石2,26は逆磁極を対向させているの
で、永久磁石2,26間に吸引力が働き、この吸引力が
バランスバネとして作用する。基台6にある入力が加え
られ、基台6が頂板8に向かって移動すると、バランス
ウェイト24の慣性力により永久磁石26は永久磁石2
との吸引力に抗して上方に向かって揺動する。その結
果、永久磁石26,28間のギャップが徐々に変化し
て、その最近接位置あるいはこの位置を過ぎた位置で最
大反発力が発生するとともに、反発力により基台6は下
方に移動する。基台6が頂板8に対し一往復する間に、
図11の磁性バネは図3に示されるような負の減衰特性
を示す。なお、バランスウェイト24は基台6に対し多
少の位相遅れがあるので、最大反発力が発生する位置
は、入力に応じてバランスウェイト24を揺動レバー3
0に対して摺動させることにより適宜調節することがで
きる。
【0024】従って、基台6を車両等に固定し、頂板8
の上にシート、あるいは、ベッド、ストレッチャーの横
臥台等の台座を載置すると、図11の磁性バネは磁気浮
上式サスペンションユニットとして機能し、微小振動領
域では周期的外力を減衰させるとともに、後述するよう
に、磁性バネが持つ負の減衰を利用することにより低周
波の改善が可能となり、かつ、永久磁石の非線形特性に
よりシートの着座者あるいはベッドに横臥する人の体重
に関係なく共振点をほぼ一致させることができる。
【0025】次に、上記磁性バネの動特性を図12に示
される簡略化した基本モデルを状態方程式で説明する。
図12の入力Fが、永久磁石の面積変換等の幾何学的寸
法変化によってもたらされた力である。図12におい
て、バネ定数をk、減衰係数をr、質量mに入力される
調和振動をF(t)とすると、その状態方程式は、
【数1】 と表される。
【0026】ここで、平衡位置をx0、平衡位置からの
変位をyとすると、
【数2】
【0027】ここで、k/x =k′とおくと、
【数3】
【0028】調和振動をF(t)=Feiωtとおき、y
=xeiωtとおくと、
【数4】 ここで、φは位相遅れを示す。
【数5】 従って、共振周波数ωは、
【数6】
【0029】ここで、式(2)はさらに、次のように表
すこともできる。
【数7】 yをxとおいて、3次の項まで考慮すると、
【数8】
【0030】式(3)には、2次の項に−bx2という
減衰項が表れているが、式(3)をさらに簡単なイメー
ジに置き換えると、
【数9】
【0031】ここで、x=x0cosωtとおくと、
【数10】
【0032】つまり、微小振動領域では、周期的な外力
に対して、絶えず一定の反発力((b/2)x0 2)が加
わっていて、その力で周期的外力を減衰させることにな
る。
【0033】そこで、図13の装置を使用して、磁石単
体の動特性を調べたところ図14及び図15に示される
ような結果が得られた。
【0034】図13の装置は、二つの永久磁石2,4を
互いに対向せしめ、面積変換することなくXリンク10
を介してその離間距離を変更するようにした装置であ
る。
【0035】また、図14及び図15において、横軸は
周波数(Hz)を示し、縦軸は振動伝達率(G/G)を
示している。また、図14において、(a),(b),
(c),(d),(e),(f)はそれぞれ、50×5
0×10mm,50×50×15mm,50×50×2
0mm,75×75×15mm,75×75×20m
m,75×75×25mmの磁石を使用して、同じ負荷
30kgを加えているのに対し、図15においては、5
0×50×20mmの同じ磁石を使用して、53kgと
80kgの異なる負荷を加えたものである。
【0036】図14及び図15は磁性バネの非線形特性
を示したもので、両図から、同じ負荷の場合は、磁石サ
イズが大きいほど共振点は低周波域へ移行し、磁石サイ
ズが同じ場合には、負荷が変わっても共振点は変化せ
ず、負荷の軽重で共振点における振動伝達率に大小が生
ずることがわかる。
【0037】また、図16は比較例としての、従来の乗
用車シートの動特性を示すグラフであり、振動伝達率が
全体として高く、負荷の変動にともない共振点及び振動
伝達率はともに変動している。
【0038】ところで、上記式(1)において、対向す
る永久磁石間の幾何学的寸法を運動行程内機構あるいは
外力により変化させると、バネ定数kは、図17に示さ
れるように、時間とともに変化する長方形波k(t)で
あって、周期T=2π/ωにおいて、+k’と−k’の
値を1/2周期毎に交互にとる。従って、式(1)は次
のように表される。
【数11】 (i)0<t<π/ωにおいて、
【数12】 (ii)π/ω≦t<2π/ωにおいて、
【数13】
【0039】ここで、0<t<π/ωの時の平衡位置を
0、平衡位置からの変位をy1とすると、
【数14】
【0040】ここで、(n−k’)/x =k1′と
おくと、
【数15】
【0041】調和振動をF(t)=Feiωtとおき、y
1=xeiωtとおくと、
【数16】 ここで、φは位相遅れを示す。
【数17】 従って、共振周波数ωは、
【数18】
【0042】同様に、π/ω≦t<2π/ωの時、
【数19】 従って、y<yで、発散することとなる。
【0043】一般に、自励振動系は負の粘性減衰を有す
るバネ−質量系と置き換えることができ、振動中に外部
から振動エネルギが導入されるが、実際に発生する振動
は、質点に空気抵抗や各種の抵抗が発生し、エネルギを
消失する。
【0044】しかしながら、本発明の負の減衰特性を有
する磁性バネに外力として振動エネルギが導入される
と、上記したように、y<yで発散し、発散し続け
ると振幅が次第に増大し系が破壊されるか、あるいは、
変位の増大とともに大きくなる減衰項を上記状態方程式
に追加することにより、正の減衰が作用し負の減衰と釣
り合った状態で定常的な振動を行うようになる。すなわ
ち、バネ定数k(t)と同様、減衰係数も可変で、式
(1)はさらに次のように書き直すこともできる。
【数20】
【0045】本発明の磁性バネを有する振動系は、持続
振動、発散振動を誘発するエネルギ変化・変換系が振動
系内部に存在しており、上記状態方程式に正の減衰項を
機構的に加えることにより、さらに次の状態方程式を得
ることができる。
【数21】
【0046】この状態方程式は、r≠0の時、xが増
大すると左辺3項が大きくなり、かつ、バネ項の減衰項
により正の減衰が働く。従って、永久磁石による内部励
振特性として、変位が小さい時は負の減衰で、変位の増
大とともに正の減衰が働き、正と負の減衰がつりあう振
幅で振動が定常的になる。
【0047】また、振動系の質量、減衰係数、バネ定数
のうち一つ以上について、その大きさが時間とともに変
化する場合、これによって生じる振動を係数励振振動と
呼ばれているが、上記式(4),(5),(6)は励振
源自体が振動する係数励振振動となっており、系内の非
振動的エネルギが系内部で振動的な励振に変換されて振
動を発生させる。
【0048】通常は供給エネルギは動力エネルギの一部
が変換したものであるから、動力エネルギに上限がある
と供給エネルギにも限りがあり、これが消費エネルギに
等しくなった時点で振幅が抑えられる。永久磁石による
ポテンシャルエネルギは、その系の動力エネルギとは独
立しており、消費エネルギとの格差を広げることができ
るが、永久磁石の質量当たりの最大エネルギ積が増大す
れば、さらにこの格差を大幅に広げることも可能で、1
サイクル中で、負の減衰による供給エネルギを減衰によ
る消費エネルギよりも大きくすることにより、振動エネ
ルギは増大する。
【0049】前述したように、式(1)において、減衰
係数r及びバネ定数(係数)kは自由に制御することが
可能で、例えば図1の模式図において、永久磁石4が最
下端にある時、永久磁石2との対向面積を最大とするこ
とで振幅を減衰でき、磁力ブレーキ、動吸振器等に応用
することができる。また、最下端から最上端に向かって
永久磁石4が離れ出してから対向面積を最大にすること
で反発力を増大することができるので、発電機やアンプ
等に応用することもできる。
【0050】また、上記状態方程式の解から分かるよう
に、本発明の係数励振振動系は、負荷の変動によって固
有振動数が変化しても、励振振動数を移動させることで
振幅の変動を少なくすることができる。すなわち、励振
振動数を可変とし、手動又は自動的に共振振動数を追尾
させて、常に周波数特性の共振振動数が低下するところ
で動作させることが可能で、自動車用シートの除振装置
として使用することにより、振動絶縁性が向上でき、そ
の個別性能を改善することができる。例えば、共振点を
4Hz以下に下げることもできる。また、負の減衰を利
用することによる低周波の改善と永久磁石の持つ非線形
特性を特化させることによる体重差の吸収が可能とな
る。
【0051】ここで、ウレタンとファイバを組み合わせ
たパッドあるいは本発明の磁性バネ構造を採用したベッ
ド型除振ユニットを使用して振動実験を行ったところ、
図18に示されるような結果が得られた。
【0052】図18のグラフからわかるように、パッド
とともに本発明の磁性バネ構造を採用したものは、パッ
ドのみを採用したものに比べ、共振周波数が半分以下の
3Hzまで減少し、除振ユニットとして極めて有効であ
ることが認められた。さらに、セミアクティブ制御を行
うことにより、共振点における振動伝達率を1/3程度
に減少することができた。
【0053】さらに、図19のマグレブ(magnetic lev
itation:磁気浮上)ユニットの動特性を調べたとこ
ろ、図20のような結果が得られた。
【0054】図19のマグレブユニットは、基台74の
上に複数の揺動レバー76を介してシート78を揺動自
在に支承し、基台74の上面に二つの永久磁石80,8
2を所定距離離間せしめて固定する一方、この永久磁石
80,82に対し同磁極が対向する永久磁極84をシー
ト78の下面に固定している。なお、永久磁極80,8
2,84としては、75×75×25mmのものを使用
した。
【0055】このマグレブユニットに53kg,75k
g,80kgの異なる負荷を加えたが、図20に示され
るように、負荷の変動による振動伝達率の差を小さく抑
えることができるとともに、共振点を略一致させること
ができた。
【0056】また、乗用車用シート、サスペンションシ
ートA、サスペンションシートB、及び、本発明にかか
るマグレブユニットの乗り心地評価を調べたところ、図
21のような結果が得られた。なお、マグレブユニット
の負荷は53kgとし、75×75×25mmの永久磁
石を使用した。また、図中、「固定」はシートをサスペ
ンションに固定しただけの状態を示すとともに、ウレタ
ン、ゲル、スチレンはユニットの上に取り付けたクッシ
ョン材を示している。
【0057】ここで、乗り心地評価定数として、”SAE
paper 820309”に記載され次式で表される乗り心地指数
R(Ride Number)を使用した。 R=K/(A・B・fn) 変数A,B,fnはシートの伝達関数(T.F.)から求
められ、それぞれ次の値を示している。 A: T.F.の最大値 B: 10HzにおけるT.F.値 fn:共振周波数あるいはAが現れた周波数 K: 全く異なったシートを表現する乗り心地係数(多
様なシートを使用したので、K値は"1”と定めた) ISO乗り心地評価は小さい数値で乗り心地が良いこと
を表すのに対し、上記乗り心地指数Rはその数値が大き
いほど良い乗り心地を意味している。
【0058】図21からわかるように、乗り心地評価を
したシートのうち、乗用車用シートは0.2〜0.3(オ
ールウレタン系)、0.3〜0.5(バネ系)、体重調整
を行ったサスペンションシートは0.5〜0.7の値を示
し、本発明のマグレブユニットの乗り心地は他のシート
より良く、53kgの負荷に対して0.75〜1.60の
乗り心地評価定数が得られた。
【0059】また、図22は負荷を変えた場合のマグレ
ブユニットの乗り心地評価定数を示しており、この図か
らわかるように、どの負荷に対しても0.7以上の乗り
心地評価定数が得られ、本発明にかかるマグレブユニッ
トの乗り心地の良さを示している。
【0060】また、図23は、乗用車用シート、サスペ
ンションシートA、サスペンションシートB、及び、本
発明にかかるマグレブユニットの動特性を示しており,
図中、(a)は乗用車用シート、(b),(c)はサス
ペンションシートAにそれぞれ53kg及び75kgの
負荷を加えたもの、(d),(e)はサスペンションシ
ートBにそれぞれ45kg及び75kgの負荷を加えた
もの、(f),(g)は本発明にかかるマグレブユニッ
トにおいてクッション材を変えたもの、(h)は本発明
にかかるマグレブユニットをセミアクティブ制御したも
のをそれぞれ示している。
【0061】図23からわかるように、マグレブユニッ
トの共振点は2〜3Hzの間にあり、低・高周波領域の
振動伝達率も小さいことがわかる。さらに、セミアクテ
ィブ制御を行うことにより、共振点をさらに減少させる
ことができるとともに、その振動伝達率を広範囲の周波
数領域において低減できることが確認できた。
【0062】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。本
発明のうちで、請求項1に記載の発明によれば、二つの
永久磁石で構成される磁性バネを二組隣接し、各組の磁
性バネの永久磁石の一方を台座に取り付け、他方の永久
磁石の一つを揺動自在に保持するとともに、隣接する永
久磁石に対し吸引力が作用するよう配置し、上記他方の
永久磁石に入力された外力に対し、揺動自在に取り付け
られた永久磁石と対向する永久磁石間の離間距離を適宜
変化させることにより内部運動系内のバネ定数あるいは
減衰係数を変化させるようにしたので、サスペンション
ユニットのパッシブコントロール、セミアクティブコン
トロールあるいはアクティブコントロールを容易に行う
ことができる。
【0063】また、請求項2に記載の発明によれば、揺
動自在の永久磁石とともに一体的に揺動するレバーに慣
性部材を取り付け、この慣性部材をレバーに対し移動さ
せることにより最大反発力が発生する位置を調節するよ
うにしたので、ポテンシャルの場としての磁場を有効利
用することができるばかりでなく、磁性バネに正、0又
は負の任意の減衰特性を付与することができ、高周波領
域の振動伝達率の低減、体重差の吸収、及び、共振点の
低下等低周波領域の振動エネルギの低減にも効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる磁性バネにおいて、二つの永
久磁石の入力側と出力側の平衡位置を示した模式図であ
る。
【図2】 図1の磁性バネにおいて、加えられた荷重と
永久磁石の平衡位置からの変位量との関係を示す基本特
性のグラフである。
【図3】 実測された荷重と変位量との関係を示すグラ
フである。
【図4】 永久磁石の端面上に磁荷が均一に分布してい
ると仮定したチャージモデルにおける入出力の考え方を
示す模式図であり、(a)は吸引を、(b)は反発を、
(c)は(b)とは異なる部位の反発をそれぞれ示して
いる。
【図5】 同磁極を対向させた永久磁石において、一方
を他方に対し移動させた(対向面積を変えた)場合の模
式図である。
【図6】 図5に基づいて計算した場合のX軸移動量に
対するX軸及びZ軸方向の荷重を示すグラフである。
【図7】 図5の永久磁石の離間距離を一定に保持し、
一方を他方に対し完全にずれた状態から完全にラップし
た状態まで移動し、さらにこの状態から完全にずれた状
態まで移動させた時の変位量と荷重との関係を示すグラ
フである。
【図8】 同磁極を対向させた永久磁石において、一方
を他方に対し回転させた(対向面積を変えた)場合の模
式図である。
【図9】 図8に基づいて永久磁石を回転させた場合の
対向面積に対する最大荷重を示すグラフである。
【図10】 永久磁石としてネオジム系磁石を採用した
場合の磁石間距離と荷重との関係を示すグラフである。
【図11】 対向する永久磁石間の離間距離を適宜変化
させることにより幾何学的寸法を変化させるようにした
磁性バネモデルの正面図である。
【図12】 磁性バネの特性を説明するための基本モデ
ルである。
【図13】 面積変換しない場合の磁性バネの静・動特
性を得るために使用された装置の正面図である。
【図14】 図13の装置を使用して得られた磁性バネ
の動特性を示しており、(a)は50×50×10mm
の磁石を使用した場合の、(b)は50×50×15m
mの磁石を使用した場合の、(c)は50×50×20
mmの磁石を使用した場合の、(d)は75×75×1
5mmの磁石を使用した場合の、(e)は75×75×
20mmの磁石を使用した場合の、(f)は75×75
×25mmの磁石を使用した場合のグラフである。
【図15】 図13の装置を使用して得られた磁性バネ
の動特性を示しており、同じ磁石を使用して負荷を変え
た場合のグラフである。
【図16】 比較例としての従来の乗用車用シートの動
特性を示すグラフである。
【図17】 本発明の磁性バネ構造におけるバネ定数及
び係数の時間に対する変化を示すグラフである。
【図18】 パッドのみを使用した場合、パッドと磁性
バネを使用した場合、及び、さらにセミアクティブ制御
した場合のベッド型除振ユニットの動特性を示すグラフ
である。
【図19】 磁性バネの動特性を測定するために使用さ
れたマグレブユニットの正面図である。
【図20】 図19のマグレブユニットを使用して測定
されたマグレブユニットの動特性を示すグラフである。
【図21】 マグレブユニットを含む種々のシートを使
用して測定された乗り心地評価定数を示すグラフであ
る。
【図22】 負荷及びクッション材を変えて測定された
マグレブユニットの乗り心地評価定数を示すグラフであ
る。
【図23】 マグレブユニットを含む種々のシートを使
用して測定された動特性を示すグラフである。
【符号の説明】
2,4,26,28 永久磁石 6 基台 8 頂板 10 Xリンク 12 上部スライダ 14 下部スライダ 22 L字状レバー 24 バランスウェイト

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対移動自在に離間し、反発磁極を対向
    させた二つの永久磁石で構成される磁性バネを二組隣接
    し、各組の磁性バネの永久磁石の一方を台座に取り付
    け、他方の永久磁石の一つを揺動自在に保持するととも
    に、隣接する永久磁石に対し吸引力が作用するよう配置
    し、上記他方の永久磁石に入力された外力に対し、揺動
    自在に取り付けられた永久磁石と、該永久磁石と対向す
    る永久磁石間の離間距離を適宜変化させることにより内
    部運動系内のバネ定数あるいは減衰係数を変化させるよ
    うにしたことを特徴とする磁気浮上式サスペンションユ
    ニット。
  2. 【請求項2】 上記揺動自在の永久磁石とともに一体的
    に揺動するレバーに慣性部材を取り付け、該慣性部材を
    レバーに対し移動させることにより上記揺動自在の永久
    磁石と対向する永久磁石間で最大反発力が発生する位置
    を調節するようにした請求項1に記載の磁気浮上式サス
    ペンションユニット。
JP24467796A 1996-09-17 1996-09-17 磁気浮上式サスペンションユニット Pending JPH1086724A (ja)

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