JPH1084973A - ラフィノース合成酵素遺伝子、ラフィノースの製造法及び形質転換植物 - Google Patents
ラフィノース合成酵素遺伝子、ラフィノースの製造法及び形質転換植物Info
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- JPH1084973A JPH1084973A JP9111124A JP11112497A JPH1084973A JP H1084973 A JPH1084973 A JP H1084973A JP 9111124 A JP9111124 A JP 9111124A JP 11112497 A JP11112497 A JP 11112497A JP H1084973 A JPH1084973 A JP H1084973A
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Abstract
ラフィノースの製造法を提供する。 【解決手段】 下記性質を有するラフィノース合成酵素
をスクロースとガラクチノールに作用させ、ラフィノー
スを生成させる。(1)作用及び基質特異性:スクロー
スとガラクチノールからラフィノースを生成する。
(2)至適pH:約6〜8 (3)至適温度:約35〜40℃ (4)分子量: ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される分子
量:約75kDa〜95kDa ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native P
AGE)により測定される分子量:約90kDa〜10
0kDa 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE)により測定される分子
量:約90kDa〜100kDa (5)阻害:ヨードアセトアミド、N−エチルマレイミ
ド、ミオイノシトールにより阻害される。
Description
酵素、ラフィノース合成酵素もしくはラフィノース合成
酵素を含む細胞抽出物を用いたラフィノースを合成する
方法、ラフィノース合成酵素をコードするDNA、及び
このDNAの植物における利用に関する。ラフィノース
は、ビフィズス菌増殖活性を有し食品原料として、ある
いは臓器保存液などの医薬品として様々な分野で利用さ
れている.
ル基にガラクトースがα−1,6結合したラフィノース
族オリゴ糖の一つである。ラフィノース属オリゴ糖に
は、ラフィノースの他に、ガラクトースが2つ結合した
スタキオース、3つ結合したベルバスコースなどがあ
る。これらの糖は、豆類、ナタネ、綿実など様々な植物
の種子中の貯蔵糖と、キュウリやメロンなどウリ科植物
にみられる転流糖として、また耐冷性を獲得したロゼッ
ト葉、甜菜(サトウダイコン)など植物に広く存在す
る。
ようであり、 UDP-カ゛ラクトース + ミオイノシトール → カ゛ラクチノール + UDP ・・・(a) カ゛ラクチノール + スクロース → ラフィノース + ミオイノシトール ・・・(b) カ゛ラクチノール + ラフィノース → スタキオース + ミオイノシトール ・・・(c) 各々の反応は(a)ガラクチノール合成酵素(GS:EC
2.4.1.123)、(b)ラフィノース合成酵素(RS:EC
2.4.1.82)(c)スタキオース合成酵素(STS:EC2.
4.1.67)により触媒される。
れ、スクロース精製過程において分離精製されている。
しかし、ラフィノースはスクロースの結晶性を低下させ
るので、甜菜は低ラフィノースを目標に育種、改良さ
れ、甜菜中のラフィノース含量は0.03%から0.1
6%(Enzyme Microb. Technol., Vol.4 May, 130-135
(1982))と低い。従って、このような低含量の甜菜より
効率的にラフィノースを得るのは容易ではない。
ズをはじめとするマメ科の成熟種子に含まれているほ
か、甜菜、あるいはキュウリなどのウリ科植物に含まれ
ている。ダイズの成熟種子中には、ダイズオリゴ糖とし
て、スクロース(含有量約5%)、スタキオース(同約
4%)、ラフィノース(同約1%)が含まれている。こ
れらのダイズオリゴ糖は、脱脂ダイズから除蛋白した画
分に回収され、濃縮後、機能性食品などに利用されてい
る。しかし、オリゴ糖全体の中でもラフィノースは10
%であり、量的にも少ない。
されている(Trends in Glycoscience and Glycotechno
logy 7.34, 149-158(1995))。これは、α-ガラクトシ
ダーゼの縮合反応によりガラクトビオースを合成し、さ
らにこのガラクトビオースをガラクトシル基の供与体と
してスクロースにガラクトシル転移反応により転移させ
て、ラフィノースを合成する方法である。しかし、この
反応は、乳糖加水分解物1.9kgよりガラクトビオー
スが350g合成され、ガラクトビオース190gとス
クロース760gよりラフィノース100gが得られる
反応であり、生成するラフィノースの収率が低く、効率
的な合成法には至っていない。
伝子の形質転換により、ラフィノース含量の高い植物を
育種する方法も考えられる。例えば、Kerrらはガラ
クチノール合成酵素遺伝子をクローニングし、ナタネを
形質転換した(WO93/02196)。しかし、その結果、GS
活性は増加したが、ラフィノース族オリゴ糖は逆に低下
し、ガラクチノール合成酵素を導入することによるラフ
ィノース族オリゴ糖の生合成を増加させるという目的は
達成されなかった。したがって、植物のラフィノース族
オリゴ糖の含量を増加させるする方法は提供されていな
い。
ることも求められている。先に述ベたように、ラフィノ
ース族オリゴ糖は、主に、ダイズなど豆類、ナタネ、綿
実など様々な植物の種子中の貯蔵糖と、キュウリやメロ
ンなどウリ科植物にみられる転流糖として、また、耐冷
性を獲得したロゼット葉、甜菜、など植物に広く存在す
るが、ダイズ、ナタネ、綿菜などの搾油されたミールに
は、これらのラフィノース族オリゴ糖が含まれている。
これらミールのほとんどは、飼料として利用されている
が、α−ガラクトシダーゼを持たないヒトや動物は、直
接ラフィノース族オリゴ糖を消化することはできない。
さらに、ラフィノース族オリゴ糖は、腸内細菌が資化し
ガスを発生させるなどにより、飼料の代謝エネルギー効
率を低下させることが知られており、飼料中のラフィノ
ース族オリゴ糖を除くことで、トリの飼料効率が上昇し
たと報告されている(Coon, Proceeding Soybean Utili
zation Alternatives. Univrsity of Minnesota, 203-2
11 (1989))。このようなことから、ラフィノース族オ
リゴ糖の減少したダイズ、ナタネ、綿実などの飼料作物
が望まれている。
多くする育種がなされてきた。光合成産物は、油脂、蛋
白質、ラフィノース族オリゴ糖を含む糖質に分配されて
いる。ダイズでは、油脂量と糖質量に逆の相関があるこ
とが報告されている。ラフィノース族オリゴ糖の生成を
抑制することにより、同じ光合成の能カのダイズにおい
て油脂含量を増加させることが期待できる。
育種により、ラフィノース族オリゴ糖が80%から90
%低下した低ラフィノース族オリゴ糖ダイズ品種を作出
したと報告している(WO93/00742)。しかしこれは、品
種の作出であり、栽培適性や、耐病性などに対応した様
々な品種に応用できるものではない。また、広く様々な
植物に適用できるものではない。
ノースは、砂糖の結晶性を低下させることが知られてい
る。従って、ラフィノースの生成がなければ、これら植
物での砂糖の生成効率が上がることが期待できるが、ラ
フィノースを含まないテンサイは作出されていない。
ース合成酵素は、酵素活性として確認されているのみで
あり、酵素の同定はなされていなかった。また、その活
性も低いものであり、活性の高いラフィノース合成酵素
が望まれていた。また、従来のラフィノースの製造法は
収率が低く、効率のよいラフィノースの製造法が望まれ
ていた。その一方で、ラフィノ―ス族オリゴ糖が低減化
された植物を育種することも望まれている。
らなされたものであり、活性の高いラフィノース合成酵
素及びこれをコードするDNAの取得、効率的なラフィ
ノースの酵素的合成法、及びラフィノース合成酵素をコ
ードするDNAの植物における利用法を提供することを
課題とする。
解決するために鋭意検討を行った結果、キュウリからラ
フィノース合成酵素を精製することに成功した。また、
このラフィノース合成酵素をコードする遺伝子をクロー
ニングするために、本発明者らは鋭意検討を行った。そ
の結果、キュウリのラフィノース合成酵素ペプチド断片
のアミノ酸配列より推定した塩基配列をもとに一本鎖D
NAを化学合成し、この一本鎖合成DNAをプライマー
として、キュウリから抽出したpoly(A)+RNA
より作製したcDNAを鋳型としてPCRを行い、ラフ
ィノース合成酵素遺伝子に特異的なDNA断片を得た。
さらに、このDNA断片をプローブとしてキュウリ由来
cDNAライブラリーに対しハイブリダイゼーションを
行い、ラフィノース合成酵素遺伝子を単離する方法を採
用し、ラフィノース合成酵素遺伝子を単離した。この単
離したラフィノース合成酵素遺伝子断片を用い、植物で
発現可能な制御領域を有するキメラ遺伝子を作成し、植
物を形質転換した。さらに、導入したラフィノース合成
酵素遺伝子により、内在性ラフィノース合成酵素の機能
を制御し、ラフィノース族オリゴ糖の低減化した植物を
作出するに至った。すなわち本発明は、下記性質を有す
るラフィノース合成酵素を提供する。
ガラクチノールからラフィノースを生成する。
量:約75kDa〜95kDa ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native P
AGE)により測定される分子量:約90kDa〜10
0kDa 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE)により測定される分子
量:約90kDa〜100kDa (5)阻害:ヨードアセトアミド、N−エチルマレイミ
ド、ミオイノシトールにより阻害される。
体的な態様として、アミノ酸配列中に、配列表配列番号
1〜3に示す各アミノ酸配列を含むラフィノース合成酵
素を提供する。
示すタンパク質であるラフィノース合成酵素を提供す
る。 (A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有す
るタンパク質。 (B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列におい
て、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付
加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、スク
ロースとガラクチノールからラフィノースを生成する活
性を有するタンパク質。
ールに上記ラフィノース合成酵素を作用させてラフィノ
ースを生成させることを特徴とするラフィノースの製造
方法を提供する。
素をコードするDNA、及び、下記(A)又は(B)に
示すタンパク質をコードするDNAを提供する。 (A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有す
るタンパク質。 (B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列におい
て、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付
加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、スク
ロースとガラクチノールからラフィノースを生成する活
性を有するタンパク質。
て、下記(a)又は(b)に示すDNAを提供する。
列のうち、少なくとも塩基番号57〜2408からなる
塩基配列を含むDNA。 (b)配列表の配列番号4に記載の塩基配列のうち、少
なくとも塩基番号57〜2408からなる塩基配列とス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつスク
ロースとガラクチノールからラフィノースを生成する活
性を有するタンパク質をコードするDNA。
伝子又はその一部と、植物細胞で発現可能な転写制御領
域とを含むキメラ遺伝子、及び、このキメラ遺伝子で形
質転換された植物を提供する。
形質転換し、この遺伝子を植物細胞内で発現させること
により、前記植物のラフィノース族オリゴ糖含量を変化
させる方法を提供する。
有するラフィノース合成酵素、又は、上記(A)及び
(B)のタンパク質であるラフィノース合成酵素を、単
に「ラフィノース合成酵素」ということがある。また、
ラフィノース合成酵素をコードするDNA、又はラフィ
ノース合成酵素をコードし、さらに非翻訳領域を含むD
NAを、「ラフィノース合成酵素遺伝子」ということが
ある。
ガラクチノールからラフィノースを生成する。
量:約75kDa〜95kDa ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native P
AGE)により測定される分子量:約90kDa〜10
0kDa 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE)により測定される分子
量:約90kDa〜100kDa (5)阻害:ヨードアセトアミド、N−エチルマレイミ
ド、ミオイノシトールにより阻害される。
は、キュウリ本葉より単離、精製されたものであり、発
明者により初めて同定された。このキュウリ由来のラフ
ィノース合成酵素は、後記実施例に示すように、その酵
素タンパク質のアミノ酸配列中に、配列表配列番号1〜
3に示す各アミノ酸配列を含んでいる。また、その全ア
ミノ酸配列を、配列表配列番号5に示す。
えばメロン(Cucumis melo)、キュウリ(Cucumis sati
vas)などの植物から得られる。特に、これらの植物の
葉、特に葉脈系、及び種子等の組織がラフィノース合成
酵素の含有量が多い。
造法の例として、キュウリからラフィノース合成酵素を
単離・精製する方法を説明する。播種後6〜10週間の
キュウリ本葉より、葉脈系を集め、液体窒素下で乳鉢等
を用いて磨砕し、緩衝液を加えて蛋白質を抽出する。そ
の際、ラフィノース合成酵素の分解、失活等を防ぐため
の物質、例えばPMSF(フェニルメタンスルフォニル
フルオリド)等のプロテアーゼ阻害剤や、ポリクラール
AT(セルバ(Serva)社製)等を加えてもよい。こ
の抽出液から濾過及び遠心分離により不溶物を除去し、
粗抽出液を得る。
常のタンパク質の精製法、例えば、陰イオン交換クロマ
トグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフ
ィー、ゲル濾過、塩析等を組み合わせて分画することに
よって、ラフィノース合成酵素を精製することができ
る。
ば、HiTrapQ(ファルマシア社製)等の強塩基性
陰イオン交換体や、DEAE−TOYOPEARL(東
ソー社製)等の弱塩基性陰イオン交換体を充填したカラ
ムを用いることによって行うことができる。ラフィノー
ス合成酵素を含む抽出液をこれらのカラムに通液させて
酵素をカラムに吸着させ、カラムを洗浄した後に、高塩
濃度の緩衝液を用いて酵素を溶出させる。その際、段階
的に塩濃度を高めてもよく、濃度勾配をかけてもよい。
例えば、HiTrapQカラムを用いた場合には、カラ
ムに吸着したラフィノース合成酵素活性は、0.3M程
度のNaClで溶出される。また、DEAE−TOYO
PEARLでは溶出液として0.05M〜0.35Mの
NaCl濃度勾配が、ハイドロキシアパタイトクロマト
グラフィーでは溶出液として0.01M〜0.3Mのリ
ン酸濃度勾配が好ましい。
作は2回又はそれ以上繰り返してもよい。また、それぞ
れのカラムに試料液を通液する前に、透析等によって試
料液を適当な緩衝液に交換しておくことが望ましい。さ
らに、それぞれの段階で試料液を濃縮してもよい。
クション中に含まれるラフィノース合成酵素活性を測定
し、活性の高いフラクションを集めて次の段階に供試す
ることが好ましい。ラフィノース合成酵素活性を測定す
る方法としては、例えば、Lehle,H らにより報告されて
いる放射性同位体を用いる方法(Eur.J.Biochem.,38,10
3-110(1973))が挙げられる。また、この変法として、
反応温度と基質濃度を変更してもよい。例えば、最終濃
度として、10mM 14C-スクロース、20mM ガラ
クチノール、25mM HEPES(2-(4-(2-ヒト゛ロキシエチ
ル)-1-ヒ゜ヘ゜ラシ゛ニル)エタンスルホン酸)-NaOH,pH7.0、
5mM DTT(ジチオスレイトール)を含む反応液
に、10μlの酵素液を加えて50μlとする。これ
を、32℃、1時間インキュベートして反応を行い、2
00μlのエタノールを加え、95℃で30秒間加熱し
て、反応を停止する。この反応液の遠心上清をワットマ
ン3MM濾紙にスポットし、n−プロパノール:酢酸エ
チル:水=4:1:2にて展開した。14Cのラフィノー
スへの取り込みを調べ、これをラフィノース合成酵素活
性(nmol/時間)とする。
て、ラフィノース合成反応により生成するラフィノース
をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により定量
することによって、ラフィノース合成酵素活性を測定す
る方法を開発した。この方法によれば、Lehle,Hらの方
法に比べて簡便かつ迅速に測定することができ、特に精
製操作における活性フラクションの検出には好適であ
る。以下に本方法を説明する。
の組成になるように調製した反応液に10〜50μlの
ラフィノース合成酵素液を添加して100μlとし、3
2℃で60分間、反応を行う。
の4倍容のエタノールを加え、95℃で30秒間加熱し
て反応を停止する。これを遠心し、遠心上清を減圧乾固
した後、蒸留水に溶解し、HPLCにて反応生成物中の
ラフィノースを定量し、ラフィノース酵素活性とする。
HPLCは、例えば、糖分析システムDX500(Carb
oPac PA1カラム、パルスドアンペロメトリー検出器(ダ
イオネクス社製))を用いて行うことができる。
ース量を上記の方法により測定した結果を図1に示す。
図から明らかなように、本方法により、ラフィノース合
成酵素活性を直線性よく、かつ簡便に測定することがで
きる。
の確認や分子量の測定は、ゲル電気泳動、ゲルろ過クロ
マトグラフィー等によって行うことができる。また、酵
素学的性質は、反応温度あるいは反応pHを変化させて
酵素活性を測定し、あるいは種々の酵素阻害剤や金属イ
オン等を反応液に添加し、残存酵素活性を測定すること
によって、検討すればよい。さらに、ラフィノース合成
酵素を種々のpH条件下又は温度条件下に一定時間さら
した後に酵素活性を測定することにより、安定pH範囲
及び安定温度範囲を調べることができる。
このようにして決定されたものであるが、測定条件によ
って異なる結果が得られる場合があることに留意すべき
である。例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分
子量の測定は、用いるゲルろ過剤や緩衝液の種類、ある
いは分子量マーカーによって、影響される。また、酵素
活性は、同じpHであっても緩衝液の種類又は塩濃度に
よって異なることが多い。したがって、ラフィノース合
成酵素の同定に際しては、個々の性質のみではなく、総
合的な検討を行うことが好ましい。
ようにキュウリから単離・精製することによって得られ
るが、異種タンパク質の醗酵生産に通常用いられている
方法によって、後述するラフィノース合成酵素をコード
するDNAを適当な宿主に導入し、発現させることによ
っても製造することができる。
ための宿主としては、エシェリヒア・コリ(Esche
richia coli)をはじめとする種々の原核細
胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharo
myces cerevisiae)をはじめとする種
々の真核細胞が考えられるが、植物細胞、特にタバコ、
キュウリ、シロイヌナズナ(アラビドプシス)等の植物
由来の細胞が望ましい。
発現させようとする細胞の種類に応じた発現ベクター
に、ラフィノース合成酵素をコードするDNAを挿入す
ることで調製可能である。植物の発現ベクターは、植物
で働くプロモーターDNA配列、またはそれらを複数個
組み合わせたものと、植物で働くターミネーターDNA
配列を持ち、その両側に外来遺伝子を挿入できる配列を
有するものであればよい。
で発現するCaMV 35SRNAプロモーター、Ca
MV 19SRNAプロモーター、ノパリン合成酵素プ
ロモーター等、緑色組織で発現するRubisCO小サ
ブユニットプロモーター等、種子などの部位特異的に発
現するナピン(napin)、ファセオリン(phas
eolin)等の遺伝子のプロモーター等が挙げられ
る。さらに、上記のようなターミネーターとしてはノパ
リン合成酵素ターミネーター、RubisCO小サブユ
ニット3’側部位等が挙げられる。
1、p35S−GFP(CLONTECH社製)等が市
販されているのでこれを用いてもよい。ウイルスRNA
を発現するベクターを用い、そのコードしている外皮蛋
白質などの遺伝子をラフィノース合成酵素遺伝子に置換
してもよい。
グロバクテリウム法、パーティクルガン法、エレクトロ
ポレーション法、PEG法等を、供試する宿主細胞に応
じて用いればよい。ラフィノース合成酵素活性の検出に
は、ラフィノース合成酵素精製を行った方法を用いるこ
とができる。その際、試料を陰イオン交換カラムに通す
などして、あらかじめα‐ガラクトシダーゼを除いてお
くことが望ましい。
ードする遺伝子とは、発現した時にラフィノース合成酵
素活性を有するものであればすべて含まれるが、好まし
くは、配列表の配列番号5記載のアミノ酸配列をコード
するDNAを有する遺伝子、又は配列表の配列番号4記
載の塩基配列を有する遺伝子が挙げられる。尚、配列表
の配列番号5記載のアミノ酸配列をコードする遺伝子と
は、コドンの縮重を考慮すると種々の塩基配列が包含さ
れる。即ち、このような種々の塩基配列の中から、遺伝
子発現系の諸要素、たとえば宿主細胞の種類等による優
先コドン、転写されたRNAにより形成される高次構造
の回避などを考慮して選択すればよい。選択された塩基
配列は、自然界からクローニングされたDNAであって
も、人為的に化学合成されたDNAであってもよい。
ードするDNA ラフィノース合成酵素をコードするDNAは、キュウリ
などの植物体から単離したpoly(A)+RNAから
cDNAライブラリーを調製し、このcDNAライブラ
リーをハイブリダイゼーションによってスクリーニング
することによって、取得することができる。ハイブリダ
イゼーションに用いるプローブは、ラフィノース合成酵
素タンパク質の部分アミノ酸配列に基づいて合成された
オリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR(polyme
rase chain reaction)によって増幅することによっ
て、取得することができる。
RNAから本発明のDNAを取得する方法を具体的に説
明する。poly(A)+RNAの抽出部位としては、
ラフィノース合成酵素遺伝子が発現していればキュウリ
植物体のどこを用いても良く、様々な生長段階の葉、
茎、蕾、果実、種子等より得ることができるが、望まし
くは果実をつけた後の展開葉、特に葉脈部分を材料とす
るのがよい。
は、効率よく損傷の少ないRNAが得られるならば方法
は制限されず、例えば、フェノール/SDS法、グアニ
ジンイソチオシアネート/塩化セシウム法等、公知のい
ずれの方法によっても可能である。こうして得た全RN
Aからオリゴ(dT)担体を用いてpoly(A)+R
NAを分離できる。また、全RNAを抽出せずにpol
y(A)+RNAを得ることのできるキット(MPG
Direct mRNA Purification
Kit、CPG,INC.社等)を使用しても良い。
使用するプローブのDNA断片は、PCRを行うことで
得ることができる。既にわかっているペプチド断片のア
ミノ酸配列、例えば配列表配列番号1〜3に示すアミノ
酸配列より推定される塩基配列を有する一本鎖DNAを
化学合成し、これをプライマーに用いてPCRを行う。
プライマーには、得られているペプチド断片のアミノ酸
配列のどの部分を用いてもよいが、コドンの縮重が少な
く、複雑な高次構造を形成しないと思われる配列を選ぶ
のが望ましい。また、RACE(Rapid Ampl
ification of cDNA End:PCR
PROTOCOLS A Guideto Meth
ods and Applications、ACAD
EMIC press INC.p28〜38)を行っ
ても良い。
イブラリー、一本鎖cDNAを用いることが望ましい。
PCR反応に逆転写酵素活性を有する耐熱性DNAポリ
メラーゼを用いる場合には、poly(A)+RNA、
場合によっては全RNAを用いても良い。
は、まずpoly(A)+RNAを鋳型にし、オリゴ
(dT)プライマー、ランダムプライマー等を用い、逆
転写酵素によって一本鎖cDNAを合成し、次にグブラ
−ホフマン(Gubler and Hoffman)
法、オカヤマ−バーグ(0kayama−Berg)法
(Molecular Cloning 2nd ed
ition、Cold Spring Harbor
press、1989)等により二本鎖cDNAを合成
する。ラフィノース合成酵素遺伝子の発現量が少ない場
合には、PCRを利用したcDNAライブラリー作製キ
ット(Capfinder PCR cDNA Lib
rary Construction Kit(CLO
NTECH社)等)を用いて、PCRによってcDNA
を増幅してもよい。このようにして合成したcDNA
は、平滑末端化、リンカーの付加、PCRによる制限酵
素サイトの付加等を行うことにより、ファージベクタ
ー、プラスミド等のクローニングベクターにクローニン
グできる。
は、上記のPCRで得られたDNA断片のうち、ラフィ
ノース合成酵素cDNAに特徴的な部分を選ぶ。また、
5’末端側に近いDNA断片を選ぶのが望ましい。この
ように選んだ増幅DNA断片を、PCR反応液から精製
する。この際、増幅したDNA断片をプラスミドを用い
てサブクローニングし、プラスミドを大量調製してから
制限酵素で切断し、電気泳動後にゲルを切り出して精製
しても、また、プラスミドを鋳型にPCRを行って、目
的部分だけを増幅して用いてもよい。さらには、最初に
増幅したDNA断片の量が十分に多い場合には、増幅し
たDNA断片をサブクローニングせずに電気泳動し、目
的DNA断片のバンドを含むゲル断片を切り出し、その
ゲル断片から精製してもよい。
得るためのスクリーニングにはハイブリダイゼーション
を行う。上記の方法で得られたDNA断片はラベルして
ハイブリダイゼーションのプローブとすることができ
る。ラベルにはラジオアイソトープ、ビオチン等、種々
のものを用いることができるが、ランダムプライミング
法でラベルすることが望ましい。また、スクリーニング
にはハイブリダイゼーションではなくPCRを用いても
よい。さらに、ハイブリダイゼーションとPCRを組み
合わせてもよい。
ラフィノース合成酵素をコードするDNAの塩基配列、
及びこの塩基配列から推定されるアミノ酸配列を配列表
配列番号4に例示する。また、このアミノ酸配列のみを
配列番号5に示す。後記実施例3で得られたラフィノー
ス合成酵素をコードするDNAを含むDNA断片を含む
プラスミドpMossloxCRSを保持するエシェリ
ヒア・コリJM109の形質転換体AJ13263は、
平成8年11月19日より、通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所(郵便番号305 日本国茨城県つ
くば市東一丁目1番3号)にブダペスト条約に基づき国
際寄託されており、受託番号FERMBP−5748が
付与されている。
ース合成酵素の活性、すなわちスクロースとガラクチノ
ールからラフィノースを生成する活性が損なわれない限
り、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ
酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むラフィノ
ース合成酵素タンパク質をコードするものであってもよ
い。ここで、「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質
の立体構造における位置や種類によっても異なる。それ
は、イソロイシンとバリンのように、アミノ酸によって
は、類縁性の高いアミノ酸が存在し、そのようなアミノ
酸の違いが、蛋白質の立体構造に大きな影響を与えない
ことに由来する。従って、キュウリ由来ラフイノース合
成酵素を構成する784アミノ酸残基全体に対し、35
から40%以上の相同性を有し、ラフイノース合成酵素
活性を有するものであってもよい。さらに、好ましく
は、510番日のアミノ酸から610番日のアミノ酸の
間において、65%の相同性を有することである。さら
に好ましくは、「数個」が、2から40個、好ましく
は、2から20個、さらに、2から10個である。
性があり、かつ、その中で約300塩基にわたる65%
以上の相同性がある遺伝子を含む。そのような遺伝子
は、GenBankなどのデータベースを用いて、キュ
ウリ由来ラフイノース合成酵素遺伝子に対し相同性を有
する遺伝子を検索することによって、塩基配列情報を得
ることができる。ホモロジー解析プログラムはLipm
an−Person法を採用したGENETIX−MA
C(遺伝子情報処理ソフトウエア、ソフトウエア開発
社)などを用いてもよく、また、インターネット上に公
開されているものを使用してもよい。このような方法に
より得られた塩基配列は遺伝子全長を含む場合と、遺伝
子全長を含まない場合がある。遺伝子全長を含まない場
合は、目的植物組織より抽出したRNAを鋳型に、キュ
ウリ由来ラフイノース合成酵素遺伝子と相同性の高い部
位に対応するプライマーを用い、5’RACE法、3’
RACE法にて、容易に全長遺伝子を取得することがで
きる。得られた全長遺伝子は、Soluble Protein Expres
sion System(lNVITROGEN社)や、Tight Control Express
ion System (INVITROGEN社)や、QIAexpress System(QI
AGEN社)などのキットが提供する適当な発現ベクターに
組み込み、遺伝子を発現させ、記載の方法でラフィノー
ス合成酵素活性を測定し、活性を有するクローンを選抜
すればよい。
に同一のタンパク質をコードするDNAは、例えば部位
特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸が置換、
欠失、挿入、付加されるように塩基配列を改変すること
によって得られる。また、上記のような改変されたDN
Aは、従来知られている突然変異処理によっても取得さ
れ得る。突然変異処理としては、ラフィノース合成酵素
をコードするDNAをヒドロキシルアミン等でインビト
ロ処理する方法、及びラフィノース合成酵素をコードす
るDNAを保持するエシェリヒア属細菌を、紫外線照射
またはN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン
(NTG)もしくは亜硝酸等の通常人工突然変異に用いら
れている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
入、付加、又は逆位等には、キュウリの個体差、品種間
差、遺伝子の多コピー化、各器官、組織の違いに基づく
場合などの天然に生じる変異も含まれる。
な細胞で発現させ、発現産物のラフィノース合成酵素活
性を調べることにより、ラフィノース合成酵素と実質的
に同一のタンパク質をコードするDNAが得られる。ま
た、変異を有するラフィノース合成酵素をコードするD
NAまたはこれを保持する細胞から、例えば配列表の配
列番号4に記載の塩基配列のうち、塩基番号56〜24
07からなる塩基配列を有するDNAとストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし、かつ、ラフィノース合
成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを単
離することによっても、ラフィノース合成酵素タンパク
質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得
られる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、
いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的な
ハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明
確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相
同性が高いDNA同士、例えば50%以上の相同性を有
するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が
低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは
通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件であ
る60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、
0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハ
イブリダイズする条件が挙げられる。このような条件で
ハイブリダイズする遺伝子の中には途中にストップコド
ンが発生したものや、活性中心の変異により活性を失っ
たものも含まれるが、それらについては、市販の活性発
現ペクターにつなぎラフィノ―ス合成酵素活性を記述の
方法で測定することによって容易に取り除くことができ
る。
酵素のアンチセンスRNAを発現させるために用いる場
合には、このDNAは活性のあるラフィノース合成酵素
をコードしている必要はない。また、センスRNAによ
っても、相同性のある内在性遺伝子の機能を抑制するこ
とができる。このような場合も、DNAが活性あるラフ
イノース合成酵素遺伝子をコードしている必要はなく、
また、全長を含まなくてもよく、好ましくは、60%の
相同性を有するN末端側翻訳領域が500塩基対程度あ
れぱよい。
ラフィノース合成酵素のcDNAのクローニングに成功
した方法は上述の通りであるが、それ以外に下記の方法
が挙げられる。
素を単離精製し、決定されるアミノ酸配列、または配列
番号5に示すアミノ酸配列を基に全塩基配列を化学合成
する。
調製し、プラスミドベクター等を用いて染色体DNAラ
イブラリーを作製し、このライブラリーからラフィノー
ス合成酵素遺伝子を、ハイブリダイゼーンション又はP
CRによって取得する。尚、染色体由来のラフィノース
合成酵素遺伝子は、コード領域にイントロンが含まれる
ことが予想されるが、このようなイントロンによって分
断されたDNAであっても、ラフィノース合成酵素をコ
ードする限り本発明のDNAに含まれる。
によって分画し、ホイートジャーム又はウサギ網状赤血
球を用いたインビトロ翻訳系に供し、ラフィノース合成
酵素活性を有するポリペプチドをコードするmRNAが
存在する画分を決定し、それより目的のcDNA断片を
作製、取得する。
体を作製し、蛋白質発現ベクターにcDNAライブラリ
ーを乗せ、適当な宿主に感染させてcDNAがコードす
る蛋白質を発現させ、先程の抗体を用いて目的のcDN
Aをスクリーニングしても良い。
当なプライマーを合成し、RACE法によって、末端を
含む配列を増幅し、これをクローニングしてもよい。
及びガラクチノールに上記ラフィノース合成酵素を作用
させてラフィノースを生成させる。ラフィノース合成酵
素は、スクロースとガラクチノールに作用させると、ガ
ラクチノールを構成するガラクトース残基がスクロース
に転移し、ラフィノースが生成する。その際、ガラクチ
ノールを構成するミオイノシトールが生成する。
ス合成酵素は、植物体から抽出した酵素であっても、本
発明のDNAを用いた遺伝子組換え法によって製造した
酵素であってもよい。
ース合成酵素を作用させるには、ラフィノース合成酵素
又はラフィノース合成酵素生産能を有する細胞をアルギ
ン酸ゲルやポリアクリルアミドゲル等の担体に固定化し
た固定化酵素又は固定化細胞をカラムに充填し、このカ
ラムにスクロース及びガラクチノールを含む溶液を通液
してもよい。担体及びラフィノース合成酵素又は細胞を
担体に固定化する方法は、通常のバイオリアクターに用
いられる材料及び方法を採用することができる。
ース及びガラクチノールを含む水溶液又は緩衝液等の溶
液に、ラフィノース合成酵素を添加することによって行
われる。前記溶液のpHは、約6〜8の範囲内、特にp
H7前後に調整されることが好ましい。また、反応温度
は約28〜42℃、好ましくは35〜40゜Cの範囲
内、特に38℃前後であることが好ましい。尚、本発明
のラフィノース合成酵素は、約pH5〜8の範囲、特に
pH6付近で安定である。また、本酵素は少なくとも約
40℃以下の温度範囲で安定である。
アセトアミド、N−エチルマレイミド、MnCl2、Z
nCl2、NiCl2によって酵素活性が阻害されるの
で、これらの物質が反応液に含まれないことが望まし
い。
ースの濃度は、ガラクチノール 5mM以上、スクロー
ス 1.5mM以上が好適である。また、反応液に加え
るラフィノース合成酵素の添加量は、基質量に応じて添
加すればよい。
ラクチノール及び酵素反応により生じるミオイノシトー
ルからラフィノースを分離する方法としては、例えばゲ
ル濾過クロマトグラフィーが挙げられる。
植物 本発明のキメラ遺伝子は、ラフィノース合成酵素遺伝子
又はその一部と、植物細胞で発現可能な転写制御領域と
を含む。ラフィノース合成酵素遺伝子としては、前記<
2>に記載した本発明のラフィノース合成酵素をコード
するDNAが挙げられる。さらに、本発明のキメラ遺伝
子をアンチセンス遺伝子として利用する場合には、ラフ
ィノース合成酵素をコードするDNAの他に、ラフィノ
ース合成酵素遺伝子の非翻訳領域又はその一部であって
も、使用できる場合がある。非翻訳領域としては、例え
ば配列表配列番号4において塩基番号1〜55(5’非
翻訳領域)、あるいは2407〜2517に示す配列
(3’非翻訳領域)が挙げられる。
領域が、ラフィノース合成酵素をコードするDNAに、
このDNAコード鎖に相同なmRNA(センスRNA)
を発現するように連結されている場合は、このキメラ遺
伝子が導入された植物細胞はラフィノース合成酵素を発
現し、ラフィノース族オリゴ糖含量が増加する。一方、
前記転写制御領域が、前記DNAのコード鎖に相補的な
配列を有するRNA(アンチセンスRNA)を発現する
ように前記DNAに連結されている場合、および、ラフ
ィノース合成酵素遺伝子の一部の断片、好ましくは、上
流コード領域の約200塩基対以上に対するセンスRN
Aを発現するように連結されている場合、これらのキメ
ラ遺伝子が導入された植物細胞は、内在性ラフィノース
合成酵素の発現が抑制され、ラフィノース族オリゴ糖が
低減化する。
物を形質転換し、この遺伝子を植物細胞内で発現させる
ことにより、前記植物のラフィノース族オリゴ糖含量を
変化させることができる。
であるダイズ、ナタネ、ワタ、砂糖を生産するテンサ
イ、サトウキビ、モデル植物としてシロイヌナズナ等が
挙げられる。
としては、前述したような、植物全体で発現するCaM
V 35SRNAプロモーター、CaMV 19SRN
Aプロモーター、ノパリン合成酵素プロモーター等、緑
色組織で発現するRubisCO小サブユニットプロモ
ーター等、種子などの部位特異的に発現するナピン(n
apin)、ファセオリン(phaseolin)等の
遺伝子のプロモーター領域等が挙げられる。また、キメ
ラ遺伝子の3’末端には、ノパリン合成酵素ターミネー
ター、RubisCO小サブユニット3’側部位等のタ
ーミネーターが連結されてもよい。
いられている方法、アグロバクテリウム法、パーティク
ルガン法、エレクトロポレーション法、PEG法等を、
供試する宿主細胞に応じて用いればよい。
としては、アグロバクテリウム法、パーティクルガン
法、エレクトロポレーション法、PEG法等が挙げられ
る。アグロバクテリウム法として具体的には、バイナリ
ーベクターを用いる方法がある。すなわち、Tiプラス
ミド由来のT−DNA、大腸菌などの微生物で機能可能
な複製起点、及びベクターを保持する植物細胞または微
生物細胞を選択するためのマーカー遺伝子を含むベクタ
ーを植物に感染させ、この植物から採取した種子を生育
させ、マーカー遺伝子の発現を指標としてベクターが導
入された植物を選択する。得られた植物について、ラフ
ィノース合成酵素活性を測定するか、あるいはラフィノ
ース族オリゴ糖の含量が変化したものを選択することに
よって、目的とする形質転換植物を取得することができ
る。
方法について説明する。ダイズ形質転換には、パーティ
クルガン法(Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 145 (19
89)、TIBTECH, 8, 145 (1990)、Bio/Technology, 6, 92
3 (1988)、Plant Physiol.,87, 671 (1988)、Develop.
Genetics, 11, 289 (1990)、Plant cell Tissue &Organ
Culture, 33, 227 (1993))、アグロバクテリウム法
(Plant Physiol., 91, 1212 (1989)、 WO94/02620、 P
lant Mol. Biol., 9, 135 (1987)、Bio/Technology, 6,
915 (1988))、エレクトロポレーション法(Plant Phy
siol., 99, 81(1992)、Plant Physiol., 84, 856 (198
9)、Plant Cell Reports, 10, 97 (1991))のいずれの
方法も用いることができる。
ジェニック(embyogenc)組織、あるいは、開やく後3
0日から40日の未熟種子の胚軸を用いればよい。約1
gのエンビオジェニック組織をペトリ皿に広げ、日的の
キメラ遺伝子をコーテイングした金粒子、タングステン
粒子などを打ち込めばよい。組織は、1時間から2時問
後液体培地に移し、培養する。2週間後、形質転換体選
抜のための抗生物質入りの培地に移し、培養する。6週
間後に、緑色の耐性不定胚が得られるので、これをさら
に新しい培地に移して培養し、植物体を再生させる。あ
るいは、胚軸を用いた場合には、胚軸を無菌的に摘出
し、パーティクルガンで処理した後、高濃度のサイトカ
イニンを含むMS培地(Murashige and Skoog, Physiol
ogia Plantrum, 15, 473-497 (1962))にて培養をす
る。暗黒下で、2週間培養した後、サイトカイニンの含
量を低下させたMS培地にて12時間から16時間、光
照射下で室温で培養する。このとき、選抜マーカーとし
て用いた抗生物質を培地に添加しておくことが望まし
い。移植組織より多芽体が形成したら、ホルモン無添加
の培地に移すことで、発根させる。この幼植物体を温室
に移し、栽培する。
物組織としてコチルドナリーノッド(Cotyldonary no
d)を用いることが望ましい。アグロパクテリウムは、
市販のLBA4404、C58、Z707などを用いる
ことができるが、望ましくは、Z707がよい。ベクタ
ーは、pMON530(Monsanto Co.)に目的遺伝子を
挿入したプラスミドなどを用いることができる。ダイレ
クト・フリーズ・ソー(Direct freeze thaw)方法(An
et al., Plant Mol. Biol. Mannual A3:1-19, 1988)
などによって、アグロバクテリウム ツメファシエンス
(Agrobacterium tumefaciens)Z707(Hepburn et
al., J, Gen. Microbiol, 131, 2961 (1985))にプラス
ミドを導入する。このキメラ遺伝子で形質転換したアグ
ロバクテリウムは、一晩培養し、5000rpm、5分
間遠心し、B5懸濁培地に懸濁する。ダイズ種子は滅菌
し1/10濃度のB5培地にて3日間培養し、発芽させ
る。子葉を切り出し、アグロバクテリウムの懸濁液で、
2時間供培養する。この子葉をB5培地(ガンボルグ(G
amborg)B5塩(Exp. Cell. Res., 50, 151 (1968)、ガ
ンボルグB5ビタミン、3%スクロース。5μMベンジ
ルアミノプリン、10μM IBA、100μM アセ
トシリンゴン含有)に移し、25℃、23時間光照射
(60μEm-2S-1)の条件下で3日問培養する。次に、
アグロバクテリウムを除去するためにB5培地(5μM
ベンジルアミノプリン、100mg/Lカルベニシリ
ン、100mg/L バンコマイシン、500mg/L
セファタキシム(cefotaxime))にて4日間25℃で毎
日培地を交換しながら培養する。その後、B5培地(2
00mg/Lカナマイシン)にて培養する。1から2カ
月でマルチシュートが形成される。これを、B5培地
(0.58mg/L ジベレリン、50mg/L カナマ
イシン)で培養し、シュートを伸長させる。次に、B5
培地(10μM IBA)に移し、発根させる。発根し
た幼植物体は、馴化し、温室にて栽培することによって
形質転換体を得ることができる。
質転換体植物の確認は、形質転換体より、DNAを抽出
し、ラフィノース合成酵素遺伝子をプローブに用いてサ
ザンハイプリダイゼーションを行えば容易に確認でき
る。
に説明する。はじめに、以下の実施例において、各精製
工程における活性画分の確認及び酵素の特性検討に用い
たラフィノース合成酵素活性の測定法を説明する。
ィノース合成酵素の活性は、ラフィノース合成反応によ
り生成したラフィノースをHPLC(高速液体クロマト
グラフィー)により定量することによって行った。HP
LCは、糖分析システムDX500(CarboPac PA1カラ
ム、パルスドアンペロメトリー検出器(ダイオネクス社
製))を用いて行った。
の組成になるように調製した反応液に10〜50μlの
ラフィノース合成酵素液を添加して100μlとし、3
2℃で60分間、反応を行った。
の4倍容のエタノールを加え、95℃で30秒間加熱し
て反応を停止した。これを遠心し、遠心上清を減圧乾固
した後、蒸留水に溶解し、糖分析システムにて反応生成
物中のラフィノースを定量し、ラフィノース酵素活性と
した。
精製 <1>キュウリからのラフィノース合成酵素の抽出 播種後6〜10週間のキュウリ(品種「SUYOU」)
本葉より、葉脈系を集め、液体窒素にて凍結し、−80
℃にて保存した。凍結した葉脈系約200gを液体窒素
下で乳鉢にて磨砕し、緩衝液1(40mM トリス塩酸
緩衝液(pH7.0)、5mM DTT、1mM PMSF
(フェニルメタンスルフォニルフルオリド)、1%ポリ
クラールAT;セルバ社製)を加え、蛋白質を抽出し
た。抽出液は、ガーゼやミラクロス(カルバイオケム−
ノボバイオケム(Calbiochem-Novobiochem)社)などのフ
ィルターにて濾過し、濾液を4℃、約30,000×g
で60分間遠心した。得られた遠心上清を粗抽出液とし
た。
(1) 上記で得られた粗抽出液約560mlを、緩衝液2(2
0mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)、5mM DT
T)にて平衡化した強塩基性陰イオン交換クロマトグラ
フィーカラム(HiTrapQ;ファルマシア社製、
1.6cm×2.5cm)を5本連結したカラムに供
し、ラフィノース合成酵素活性をカラムに吸着させた。
続いてカラムの5倍容の緩衝液3(20mM トリス塩
酸緩衝液(pH7.0)、0.2M NaCl、5mM D
TT)にてカラムを洗浄して非吸着蛋白質を洗い流した
後、50mlの緩衝液4(20mM トリス塩酸緩衝液
(pH7.0)、0.3M NaCl、5mM DTT)に
てラフィノース合成酵素活性をカラムから容出させた。
(2) 上記の溶出液約75mlを透析チューブ(Pormem
branes MWCO:10,000;スペクトラ(S
pectra)社製)に入れ、10Lの緩衝液5(20
mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)、0.05M Na
Cl、5mMDTT)に対して、4℃で一晩透析した。
透析した試料を緩衝液5で平衡化した弱塩基性陰イオン
交換クロマトグラフィーカラム(DEAE−TOYOP
EARL;東ソー社製、2.2×20cm)に供し、ラ
フィノース合成酵素活性をカラムに吸着させた。続いて
カラムの5倍容の緩衝液5にてカラムを洗浄して非吸着
蛋白質を洗い流した後、20カラム容に対し0.05M
〜0.35MのNaCl濃度勾配を直線的にかけて酵素
活性を溶出し分画した。
リプレップ10;Amicon社製)を用いて6.5m
lに濃縮した。この濃縮液3mlずつをゲルろ過クロマ
トグラフィーカラム(Superdex 200pg;
ファルマシア社製、2.6cm×60cm)に供した。
カラムの平衡化と溶出は、緩衝液6(20mM トリス
塩酸緩衝液(pH7.0)、0.1M NaCl、5mM
DTT、0.02% Tween 20)を用いて行っ
た。分画した各画分のうち、ラフィノース合成酵素活性
を有する画分を集めた。
ラフィー ゲル濾過で分画したラフィノース合成酵素活性画分約2
5mlを、セントリプレップ10にて濃縮し、さらに、
緩衝液7(0.01M リン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.0)、5mM DTT、0.02% Tween 2
0)を用いて緩衝液交換を行った。得られた濃縮液約
1.2mlを、あらかじめ同緩衝液にて平衡化したハイ
ドロキシアパタイトカラム(Bio−Scale CH
T−1;バイオラッド社製、0.7×5.2)に供し、
ラフィノース合成酵素活性を吸着させた。カラムを、カ
ラム体積の5倍量(10ml)の同緩衝液にて洗浄した
後、20カラム容に対し、0.01M〜0.3Mのリン
酸濃度勾配を直線的にかけて酵素活性を溶出し分画し
た。
グラフィー 上記のようにして得られたハイドロキシアパタイトクロ
マトグラフィーによる活性画分を同様にしてリクロマト
し、精製ラフィノース合成酵素画分(約2ml)とし
た。
った。また、全活性は5700nmol/時間であり、
蛋白質当たりの比活性は約28μmol/時間/mgで
あった。この活性画分は、後述するように電気泳動上で
分子量約90kDa〜100kDaの単一バンドを示す
タンパク質のみを含んでいた。得られた精製酵素標品の
比活性は、粗抽出液の約2000倍であり、HiTra
pQによる強塩基性陰イオン交換クロマトグラフィー後
の酵素量に対する回収率は12%であった。精製の結果
を表1にまとめた。
検討した。
よび分子量マーカー(ゲル濾過用分子量マーカーキッ
ト:ファルマシア社製)をゲルろ過クロマトグラフィー
カラム(Superdex 200pg;ファルマシア
社製)に供した。カラムの平衡化と溶出は、緩衝液6
(20mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)、0.1M
NaCl、5mM DTT、0.02% Tween 2
0)を用いて行った。その結果、ラフィノース合成酵素
の分子量は、約75kDa〜95kDaと推定された。
(Native PAGE) 精製ラフィノース合成酵素を10μlとり、同量のサン
プル緩衝液(0.0625M トリス−塩酸(pH6.
8)、15%グリセロール、0.001%BPB)を加
え、電気泳動サンプルとした。このサンプル10μlを
10%ポリアクリルアミドゲル(第一化学薬品製、マル
チゲル10)に供し、0.025M トリス−0.19
2M グリシン緩衝液(pH8.4)で40mA、約60
分泳動した。泳動後、シルベストステイン銀染色キット
(ナカライテスク社製)にて染色した。その結果、分子
量は約90kDa〜100kDaと推定された。
気泳動(SDS−PAGE) 精製ラフィノース合成酵素を10μlとり、同量のサン
プル緩衝液(0.0625M トリス−塩酸(pH6.
8)、2% SDS、10%グリセロール、5%メルカプ
トエタノール、0.001%BPB)を加え沸騰浴中で
1分間加熱し、電気泳動サンプルとした。このサンプル
10μlを10〜20%グラジエントポリアクリルアミ
ドゲル(第一化学薬品製)に供し、0.1%SDSを含
む0.025M トリス−0.192M グリシン緩衝液
(pH8.4)で40mA、約70分泳動した。泳動
後、シルベストステイン銀染色キット(ナカライテスク
社製)にて染色した。結果を図2に示す。その結果、分
子量は約90kDa〜100kDaと推定された。
種々の温度条件下(28℃、32℃、36℃、40℃、
44℃、48℃、52℃)でラフィノース合成酵素活性
を測定した。各反応液に加えた酵素液は、2μlとし
た。32℃での酵素活性を100としたときの各温度で
の相対活性を図3に示す。その結果、ラフィノース合成
酵素は、約25〜42゜Cにわたる範囲で活性を示し、
反応至適温度は、35〜40℃付近であった。
種々のpH条件下(pH4〜11)でラフィノース合成
酵素活性を測定した。各反応には、50mMクエン酸緩
衝液(pH4〜6)、50mM リン酸カリウム緩衝液
(pH5.5〜7.5)、50mM ビス−トリス緩衝
液(pH6〜7)、20mM トリス−塩酸緩衝液(p
H7〜8.5)、50mM グリシン−NaOH緩衝液
(pH9〜11)を用いた。また、各反応液に加えた酵
素液は、2μlとした。結果を図4に示す。
〜10の範囲で活性を示し、反応至適pHは、用いた緩
衝液の種類によっても異なるが、6〜8付近であった。
剤又は金属イオンを終濃度で1mMとなるように添加
し、ラフィノース合成酵素活性を前記と同様にして測定
した。阻害剤又は金属イオンを添加しない場合の酵素活
性に対する残存活性を表2に示す。ヨードアセトアミド
は酵素活性を顕著に阻害し、N−エチルマレイミドも阻
害効果を示した。また、CaCl2、CuCl2、MgC
l2は阻害効果がほとんど認められなかったが、MnC
l2、ZnCl2、NiCl2は阻害効果を示した。
ールによる阻害を調べた。各種濃度のミオイノシトール
を反応液に添加し、ラフィノース合成酵素活性を測定し
た。結果を図5に示す。添加したミオイノシトールの濃
度とともに酵素活性は阻害された。
mM DTTを含む)、又は20mM トリス−塩酸緩衝
液(pH7〜8、0.5mM DTTを含む)中で、前
記陰イオン交換クロマトグラフィー(2)で得られたラ
フィノース合成酵素画分を4時間、4℃にてインキュベ
ートした後、ラフィノース合成酵素活性を測定した。イ
ンキュベートに用いた緩衝液のpHに対する酵素活性を
図6に示す。いずれのインキュベート条件においてもラ
フィノース合成活性が認められ、特にpH5〜7.5の
範囲で安定であった。
を含む)にて、前記陰イオン交換クロマトグラフィー
(2)で得られたラフィノース合成酵素画分を28℃、
32℃、37℃又は40℃で60分インキュベートした
後、ラフィノース合成酵素活性を測定した。その結果、
本酵素は、28℃〜40℃の範囲で前記インキュベート
処理を行わなかった対照区と比較して80%〜100%
の活性を有し、安定であった。
ジルエチル化し、脱塩した。これをリジルエンドペプチ
ダーゼ(Achromobacter protease 1、和光純薬工業社
製)にて37℃、12時間消化し、ペプチド断片化し
た。得られたペプチド混合液を逆相HPLC(カラム:
ウォーターズ μBondasphere(φ2.1×150 mm、C18、300
Å)、ウォーターズ社製(ミリポア社))に供し、各ペプ
チド断片を分離取得した。溶媒には0.1%TFA(ト
リフルオロ酢酸)を用い、アセトニトリルの濃度勾配に
より溶出を行った。取得したペプチド断片のうち、3つ
の断片について、アミノ酸配列をプロテインシークエン
ーサーにより決定した。決定された各ペプチドのアミノ
酸配列を配列表配列番号1〜3に示す。以下、これらの
ペプチドを、それぞれ順にペプチド1、2、及び3とい
う。
Aの取得 <1>PCR法によるラフィノース合成酵素cDNAの
部分断片の単離 キュウリの主葉脈22gを液体窒素中で乳鉢を用いて磨
砕した。この磨砕物を、80℃に余熱した抽出バッファ
ー(100mM塩化リチウム、100mMトリス−塩酸
(pH8.0)、10mM EDTA、1%SDS)と等
量のフェノールを混合したものに加え、撹拌後、フェノ
ールと等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(2
4:1)を加え、再び撹拌を行い、この混合液を4℃で
9250×g、15分間遠心処理し、上清を採取した。
この上清に対して繰り返しフェノール処理、クロロホル
ム:イソアミルアルコール処理を行い、遠心上清を得
た。この上清に等量の4M塩化リチウムを加え、−70
℃で1時間静置した。
0分間遠心処理し沈殿を得た。この沈殿を2M塩化リチ
ウム、80%エタノールにより1回ずつ洗浄し、乾燥後
2mlのジエチルピロカーボネート処理水に溶解し、精
製全RNAとした。得られた全RNAは2.38mgで
あった。
ロースカラムを用いたpoly(A)+RNA精製キッ
ト(STRATAGENE CLONING SYST
EMS社製)に供し、poly(A)+RNA分子を精
製し、42.5μgのpoly(A)+RNAを得た。
+RNAから逆転写酵素SuperScriptII
(GIBCO BRL社製)を用いて一本鎖cDNAを
合成した。このcDNA混合物からラフィノース合成酵
素cDNAを単離するために、PCR法による増幅を行
った。PCRに用いるプライマーは、実施例2で決定し
たキュウリ由来のラフィノース合成酵素のペプチド断片
のアミノ酸配列から、図7に示す一本鎖オリゴヌクレオ
チド(配列番号6〜22)を合成した。各プライマーの
配列において、RはA又はGを、YはC又はTを、Mは
A又はCを、KはG又はTを、DはG、A又はTを、H
はA、T又はCを、BはG、T又はCを、NはG、A、
T若しくはC、又はイノシン(塩基はヒポキサンチン)
を、それぞれ表す。
(A1(配列番号6)、A2(配列番号7)、A3(配
列番号8)、A4(配列番号9))、3’側プライマー
にD’(D’1(配列番号21)、D’2(配列番号2
2))の組み合わせと、5’側プライマーにC2(配列
番号14))、及び3’プライマーにB’1(配列番号
18)、あるいはB’2(配列番号19)を用いたとき
に、約540塩基対のDNAが増幅された。この断片を
TAクローニングキット(INVITROGENBV社
製)を用いてプラスミドpCRIIにクローニングし、
塩基配列を解析したところ、両末端のプライマー配列の
内側にペプチド1、2のアミノ酸配列をコードしている
塩基配列が存在し、前記増幅断片はラフィノース合成酵
素遺伝子に由来するDNA断片であることがわかった。
DNA断片のラフィノース合成酵素遺伝子上での位置を
特定するために、RACEキット(3’Ampifin
der RACE Kit(CLONTECH社製))
を用いて、3’RACEを行った。
イマーにC(C1(配列番号13)、C2(配列番号1
4))、3’側プライマーにはオリゴ(dT)とアンカ
ー配列を有するプライマーを用いてPCRを行い、さら
にこうして得られた増幅断片を鋳型に、Cより内側に位
置するD(D1(配列番号15)、D2(配列番号16))
を5’側プライマーに、3’側プライマーにはオリゴ
(dT)−アンカープライマーを用いてPCRを行っ
た。その結果、C1(配列番号13)、C2(配列番号
14)とオリゴ(dT)−アンカープライマーで増幅し
たDNAを鋳型に、D2(配列番号16)とオリゴ(d
T)−アンカープライマーでPCRを行ったときのみ、
約2400塩基対のDNA断片が増幅した。また、5’
側プライマーにC(C1(配列番号13)、C2(配列番
号14))、3’側プライマーにはオリゴ(dT)−ア
ンカープライマーを用いてPCRを行い、さらにこうし
て得られた増幅断片を鋳型に、5’側プライマーにE
(配列番号17)、3’側プライマーにはオリゴ(d
T)−アンカープライマーを用いてPCRを行った。そ
の結果、いずれの場合も、約300塩基対のDNA断片
を増幅した。
5’側プライマーにA(A1(配列番号6)、A2(配列
番号7)、A3(配列番号8)あるいはA4(配列番号
9))、3’側プライマーにはオリゴ(dT)とアンカ
ー配列を有するプライマーを用いてPCRを行い、さら
にこうして得られた増幅断片を鋳型に、Aより内側に位
置するB(B1(配列番号10)、B2(配列番号11)あ
るいはB3(配列番号12))、3’側に同じオリゴ(d
T)−アンカープライマーを用いてPCRを行った。そ
の結果、Aのいずれのプライマーを用いたときも、B2
プライマーを用いたときに約2000塩基対のDNA断
片を得た。そこで、A2、B2プライマーを用いて増幅
したDNA断片をクローニングした。塩基配列を解析し
たところ、5’側にプライマー作成に用いたペプチド断
片1のアミノ酸配列をコードする塩基配列が存在した。
また、3’側にはpoly(A)配列と、その上流にペ
プチド断片3に対応する塩基配列が存在した。
ース合成酵素ペプチド断片は、そのN末端側から2、
1、3の順に並んでおり、先にPCRによって得られた
約540塩基対のDNA断片は、ラフィノース合成酵素
遺伝子上の5’末端に近い部分であることがわかった。
ラフィノース合成遺伝子全長を含むcDNAクローンを
スクリーニングするためには、プローブとするDNAが
5’末端側に近い部分を検出できることが望ましいた
め、このDNA断片をプローブとしてcDNAライブラ
リーのスクリーニングに使用した。
ード領域全長のクローニング まず、以下のようにしてcDNAライブラリーを作製し
た。<1>で得られたpoly(A)+RNA 3.8
μgからTime Saver cDNA合成キット
(Pharmacia Biotech社製)を用い
て、2本鎖cDNAを合成した。得られたcDNAを、
λファージベクターλMOSSlox(Amersha
m社製)のEcoRI制限酵素切断部位に組み込んだ
後、GigapackII Goldパッケージングキッ
ト(STRATAGENE CLONING SYST
EMS社製)を用いて、ファージ蛋白質中に取り込ま
せ、キュウリのcDNAライブラリーを調製した。な
お、本ライブラリーのタイターは1.46×107pf
u/μgベクターであった。
ら1.4×105pfuに相当するファージを宿主細胞
エシェリヒア・コリ ER1647に感染させた後、直
径90mmの寒天プレート14枚に、プレートあたり
1.0×104pfuとなるように蒔いた。これを37
℃で約6.5時間培養した後、プレート上に形成された
ファージプラークをナイロンメンブレン(Amersh
am社製Hybond−N+)に転写した。
リで処理して転写されたDNAを変性させ、中和した後
に洗浄した。その後、このナイロンメンブレンを80℃
で2時間処理することでDNAをメンブレン上に固定し
た。
>で得た約540塩基対のDNA断片をプローブに用
い、陽性クローンのスクリーニングを行った。上記の約
540塩基対のDNA断片を、制限酵素EcoRIで消
化後に電気泳動し、約540塩基対のインサートのみを
切り出して精製したものを、DNAラベル・検出システ
ム(Gene Images ラベリング・検出システ
ム(Amersham社製))を用いてフルオレセイン
ラベルし、プローブとした。前記のナイロンメンブレン
を60℃で30分間、プレハイブリダイゼーションを行
い、次いでラベルしたプローブを加えて60℃で16時
間のハイブリダイゼーションを行った。ラベルされたD
NAを検出するための抗体(アルカリフォスファターゼ
標識抗フルオレセイン抗体)は、50000倍に希釈し
て用いた。このスクリーニングにおいて陽性クローンの
候補株を得た。得られた候補株について上記と同様にし
てスクリーニングをさらに2回繰返し、純化した陽性ク
ローンを取得した。
BM25.8に感染させ、カルベニシリンを含む選択培
地上で培養することで、cDNAを含むプラスミドベク
ターλMOSSlox−CRSを切り出した。このプラ
スミドの挿入cDNAの長さは約2.5kbであった。
さらにこのプラスミドで腸菌JM109を形質転換し、
形質転換体からプラスミドDNAを調製し、これを塩基
配列を解析するための試料とした。
DyeDeoxy Terminator Cycl
e Sequencing Kit(Perkin−E
lmer社製)を用いる従来公知の方法で行った。
52塩基対よりなる塩基配列が明らかとなった。この配
列中には、本発明者らが用いたDNAプローブの塩基配
列と一致する部分が存在した。また、塩基配列から翻訳
されるアミノ酸配列を配列番号4及び配列番号5に示し
た。このアミノ酸配列中には、本発明者らが得たキュウ
リ由来のラフィノースシンターゼのペプチド1(配列番
号5中、アミノ酸番号215〜244)、2(配列番号
5中、アミノ酸番号61〜79)及び3(配列番号5
中、アミノ酸番号756〜769)と一致する部分が存
在し、ラフィノース合成酵素をコードすることが確認さ
れた。
成酵素をコードするDNAを含むプラスミドpMoss
loxCRSを保持するエシェリヒア・コリJM109
の形質転換体AJ13263は、平成8年11月19日
より、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
(郵便番号305 日本国茨城県つくば市東一丁目1番
3号)にブダペスト条約に基づき国際寄託されており、
受託番号FERM BP−5748が付与されている。
Aを含むキメラ遺伝子及び形質転換植物 <1>キメラ遺伝子を含むプラスミドの構築 アグロバクテリウムとしてLBA4404、バイナリー
ベクターとしてpBI121(CLONTECH社)を
用いて、シロイヌナズナにラフィノース合成酵素のDN
A断片を導入した。pBI121は、pBIN19由来
のプラスミドであり、ノパリン合成酵素遺伝子プロモー
ター、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ構造遺伝
子(NPTII)、ノパリン合成酵素遺伝子ターミネータ
ー(Nos−ter)、CaMV 35Sプロモータ
ー、GUS(β−グルクロニダーゼ)遺伝子、及びNo
s−terが接続し、これらの両側に植物への移行が可
能な配列を有する。CaMV 35Sプロモーターの下
流にはSmaI部位があり、この部位に挿入されたイン
サートは該プロモーターの制御下で発現する。
例3で得られたラフィノース合成酵素遺伝子断片を挿入
した。ラフィノース合成酵素遺伝子をDraI消化し、
配列表配列番号4において30番目から1342番目ま
での塩基を含むDNA断片をアガロースゲル電気泳動に
より調製した。この断片をpBI121のSmaIサイ
トにライゲーションした。このライゲーション反応液を
用いてエシェリヒア・コリHB101を形質転換し、形
質転換株から組換えプラスミドを調製した。得られた組
換えプラスミドのうち、CaMV 35Sプロモーター
にラフィノース合成酵素DNA断片が逆向きに接続した
もの(アンチセンス)、正の向きに接続したもの(セン
ス)ものを2種選択し、それぞれ、pBIRS1及びp
BIRS9と命名した。
トリペアレンタルメイティングによりアグロバクテリウ
ムLBA4404に導入した。シロイヌナズナの形質転
換は以下のように行った。シロイヌナズナ(Arabi
dopsis thaliana)の種子は、吸水処理
後、1%Tween20を含む80%エタノールにて5
分間、同じく1%Tween20を含む10%次亜塩素
酸ナトリウムで10分間処理し、滅菌水で5回洗浄して
殺菌した。これを、1%低融点アガロースに懸濁し、M
S培地(MS基本培地(Murashige and Skoog, Physiolo
gia Plantrum, 15, 473-497 (1962))、B5ビタミン、
10g/L スクロース 0.5g/L MES、pH
5.8)にまいた。これを、22℃、16時間光照射、
8時間暗期の培養室にて1週間培養し、双葉が展開した
ものをロックウールに定植した。同条件で培養を続け、
約3週間後、植物が抽台し、茎の高さが数cmになった
ところで摘心をした。摘心後1週間し、伸長した側枝の
最初の花が開花した状態まで生育させた。
プラスミドを導入したアグロバクテリウムの前培養を2
mlのLB培地で行った。これを、50mg/Lカナマ
イシン、25mg/Lストレプトマイシン含有のLB培
地に接種し28℃で、約1日培養した。室温で集菌し、
浸潤用懸濁培地(1/2MS塩、1/2ガンボルグ(Gam
borg)B5ビタミン、5%スクロース、0.5g/L M
ES、pH5.7(KOH)、使用直前にベンジルアミ
ノプリンを最終濃度0.044μM、またシルウェット
(SilwetL77)を1L当たり200μl(最終濃
度0.02%)加える)に菌液のOD600が0.8にな
るように懸濁した。
取り除いた。ロックウールを逆さにして、前記アグロバ
クテリウム懸濁液に結実していない花を漬け、デシケー
タに入れて、40mmHGで15分間減圧した。2から
4週間で、種子を集めた。収穫した種子は、デシケータ
で保存した。
した。先に述ベたように種子を殺菌し、選抜培地(MS
塩、ガンボルグB5ビタミン、1%スクロース、0.5
g/L MES、pH5.8、0.8%寒天;オートク
レーブ後、選択用抗生物質、カルベニシリン(最終濃度
100mg/L、カナマイシン(最終濃度50mg/
L)を加える)にて22℃で培養し、耐性植物を選抜し
た。耐性植物は新しい培地に移し、本葉が展開するまで
育てた。ここの植物から種子を収穫した。同様の選抜を
繰り返し、T3種子を獲得した。T3種子について、先
に述ベた方法によりラフィノース含量を定量した。結果
を3に示す。
合成酵素、ラフィノース合成酵素遺伝子、ラフィノース
合成酵素遺伝子と植物で発現可能な制御領域を有するキ
メラ遺伝子、及びこのキメラ遺伝子が導入された植物が
提供される。
とにより、スクロース及びガラクチノールから効率よく
ラフィノースを合成することができる。また、本発明の
ラフィノース合成酵素遺伝子又はキメラ遺伝子を利用す
ることにより、植物のラフィノース族オリゴ糖含量を変
化させることができる。
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 GARGGNGTNM GNCAYCTRGT NGAYGG 26
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 GARGGNGTNM GNCAYCTYGT NGAYGG 26
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 GARGGNGTNM GNCAYTTRGT NGAYGG 26
他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 GTNGGNTGYT TYGTNGGYTT YGAYGC 26
他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 GTNGGNTGYT TYGTNGGRTT YGAYGC 26
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 TTYGAYGCNT CNGARCCHGA YTCDCGNCA 29
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 TTYGAYGCNT CNGARCCHGA YTCDAGYCAY 30
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 CCRTCNACYA GRTGNCKNAC NCCYTC 26
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 CCRTCNACRA GRTGNCKNAC NCCYTC 26
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 CCRTCNACYA TRTGNCKNAC NCCYTC 26
ノシンを、他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 TGNCGHGART CDGGYTCNGA NGCRTCRAA 29
他のNは、A、G、C又はTを表す。 配列 RTGRCTHGAR TCDGGYTCNG ANGCRTCRAA 30
ノース生成量と反応時間との関係を示す図。
ルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真。Mは分子量マ
ーカーを、Sはラフィノース合成酵素を含む試料を示
す。数字は分子量(kDa)を表す。
の影響を示す図。
の影響を示す図。
シトールの影響を示す図。
図。
の関係を示す図。RはA又はGを、YはC又はTを、M
はA又はCを、KはG又はTを、DはG、A又はTを、
HはA、T又はCを、BはG、T又はCを、NはG、
A、T若しくはCを、Iはイノシンを表す。
Claims (12)
- 【請求項1】 下記性質を有するラフィノース合成酵
素。 (1)作用及び基質特異性:スクロースとガラクチノー
ルからラフィノースを生成する。 (2)至適pH:約6〜8 (3)至適温度:約35〜40℃ (4)分子量: ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される分子
量:約75kDa〜95kDa ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定される分
子量:約90kDa〜100kDa 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動により測定される分子量:約90kDa〜10
0kDa (5)阻害:ヨードアセトアミド、N−エチルマレイミ
ド、ミオイノシトールにより阻害される。 - 【請求項2】 アミノ酸配列中に、配列表の配列番号1
〜3に示す各アミノ酸配列を含む請求項1記載のラフィ
ノース合成酵素。 - 【請求項3】 下記(A)又は(B)に示すタンパク質
であるラフィノース合成酵素。 (A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有す
るタンパク質。 (B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列におい
て、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付
加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、スク
ロースとガラクチノールからラフィノースを生成する活
性を有するタンパク質。 - 【請求項4】 スクロース及びガラクチノールに請求項
1〜3のいずれか一項に記載のラフィノース合成酵素を
作用させてラフィノースを生成させることを特徴とする
ラフィノースの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか一項に記載のラ
フィノース合成酵素をコードするDNA。 - 【請求項6】 下記(A)又は(B)に示すタンパク質
をコードするDNA。 (A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有す
るタンパク質。 (B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列におい
て、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付
加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、スク
ロースとガラクチノールからラフィノースを生成する活
性を有するタンパク質。 - 【請求項7】 下記(a)又は(b)に示すDNAであ
る請求項5記載のDNA。 (a)配列表の配列番号4に記載の塩基配列のうち、少
なくとも塩基番号57〜2408からなる塩基配列を含
むDNA。 (b)配列表の配列番号4に記載の塩基配列のうち、少
なくとも塩基番号57〜2408からなる塩基配列とス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつスク
ロースとガラクチノールからラフィノースを生成する活
性を有するタンパク質をコードするDNA。 - 【請求項8】 ラフィノース合成酵素遺伝子又はその一
部と、植物細胞で発現可能な転写制御領域とを含むキメ
ラ遺伝子。 - 【請求項9】 前記ラフィノース合成酵素遺伝子が、請
求項5〜7のいずれか一項に記載のDNAである請求項
8記載のキメラ遺伝子。 - 【請求項10】 前記転写制御領域が、前記DNAのコ
ード鎖に相補的な配列を有するアンチセンスRNAを発
現するように前記DNAに連結されている請求項8又は
9記載のキメラ遺伝子。 - 【請求項11】 請求項8〜10のいずれか一項に記載
のキメラ遺伝子で形質転換された植物。 - 【請求項12】 請求項8〜10のいずれか一項に記載
のキメラ遺伝子で植物を形質転換し、この遺伝子を植物
細胞内で発現させることにより、前記植物のラフィノー
ス族オリゴ糖含量を変化させる方法。
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