JPH1084143A - 圧電トランス素子 - Google Patents

圧電トランス素子

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JPH1084143A
JPH1084143A JP14823297A JP14823297A JPH1084143A JP H1084143 A JPH1084143 A JP H1084143A JP 14823297 A JP14823297 A JP 14823297A JP 14823297 A JP14823297 A JP 14823297A JP H1084143 A JPH1084143 A JP H1084143A
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JP
Japan
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piezoelectric transformer
transformer element
electrode
piezoelectric
electrodes
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Application number
JP14823297A
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Inventor
Katsuyuki Ishikawa
勝之 石川
Takeshi Fujimura
健 藤村
Masaaki Toyama
正明 外山
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Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Nihon Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性及び取り扱いの容易さに優れ、且つ、
トランスとしての良好な性能を有する圧電トランス素子
の提供。 【解決手段】 圧電トランス素子36の内部において、
左側には、複数の内部電極が積層されており、それらの
内部電極は層間接続導体により交互に接続され、2つの
内部電極群が形成されている。一方、右側の端部近傍に
は、メッシュ状に形成された2次側出力電極が形成され
ている。当該素子36の外周表面の同一面上には、2つ
の内部電極群とそれぞれ接続されている1次側入力電極
1及び2,2次側出力電極40、そしてメッシュ状に形
成された2次側出力電極のリード電極だけが露出してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電トランス素子
に関し、例えば、積層構造を有するローゼン型の圧電ト
ランス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、持ち運びの容易なノート型パーソ
ナルコンピュータ等には、その表示装置として液晶表示
パネルが広く用いられている。この液晶表示パネルの内
部には、液晶表示パネルを背照するバックライトとして
冷陰極管が備えられている。この冷陰極管を点灯させる
ためには、一般に、略1kV以上の高電圧が必要であ
り、発光を維持するためには数百V程度の電圧を印加す
ることが必要である。
【0003】このようなノート型パーソナルコンピュー
タ等の製品においては、その性質上、バックライト点灯
用の昇圧モジュールに対しても小型化、省電力化への要
請が高く、このような要請に答えるべく、単板構造を有
する所謂ローゼン型の圧電トランス素子が使われてい
る。単板構造を有する圧電トランス素子を使用した電源
モジュールによれば、同程度の出力が可能な巻線トラン
スと比較して電源モジュールの小型化及び軽量化が図る
ことが可能である。
【0004】しかしながら、例えば、長さ30mm、幅
3mm、厚み2mm程度の寸法の単板構造を有する圧電
トランス素子では、高負荷時、例えば2ワット出力時の
昇圧比(出力電圧と入力電圧の比)は4〜6倍程度であ
り、所望する昇圧比が得られない。そのため、当該圧電
トランスの前段に小型の巻線トランスを接続する必要が
ある。
【0005】最近では、昇圧比を大きくすることが可能
な、積層構造を有する圧電トランス素子が、例えば、特
開平4−338685号、特開平7−79027号、特
開平7−131088号等により提案されている。この
積層構造を有する圧電トランス素子は、複数の単板構造
の圧電トランス素子を並列に接続したものに相当し、こ
れにより高い昇圧比を得ようとするものであり、例え
ば、厚さ50〜300μm程度のセラミック圧電体と内
部電極とが交互に積層された入力領域を有する。そし
て、それらの積層された内部電極を、一層おきに電気的
に接続することにより、電気的には絶縁された2つの内
部電極群(グループ)を構成する。更に、その2つの内
部電極群は、該入力領域の両側の表面に設けられた2つ
の外部電極にそれぞれ電気的に接続された構造を有する
(特開平7−302938号)。
【0006】ここで、積層構造の圧電トランス素子の構
造例を図1から図5に示す。
【0007】図1は、一般的な積層構造を有する圧電ト
ランス素子の一例を示す斜視図である。図2は、図1に
示した圧電トランス素子の正面図である。そして、図4
は、図1に示した圧電トランス素子の平面図である。
【0008】この圧電トランス素子は、図1、図2、並
びに図4に示すような外形形状を有しており、以下、左
側半分の領域を第1の領域、右側半分の領域を第2の領
域と呼ぶ。
【0009】第1の領域の上面及び下面には、1次側
(入力)電極としての外部電極101及び102が形成
されている。また、外部電極101及び102間は、内
部電極101a及び102aが交互に複数積層され、そ
れらの内部電極の間には圧電素子106が充填されてい
る。また、第2の領域の右側端部には、2次側(出力)
電極としての外部電極103が形成されている。外部電
極101,102,そして103には、ハンダ付け部分
104によりリード線105がそれぞれ接続されてい
る。
【0010】次に、第1の領域の内部の構造について説
明する。図3は、図1に示した圧電トランス素子のA−
A’断面図である。図5は、図1に示した圧電トランス
素子のB−B’断面図である。
【0011】第1の領域の内部において、複数の内部電
極101a及び102aは、図3及び図5に示すよう
に、複数の内部電極101aが柱状の導体(以下、層間
接続導体)107aによりそれぞれ接続され、複数の内
部電極102aが層間接続導体107bによりそれぞれ
接続されている。また、内部電極101a,102aに
は、円形の孔(以下、孔という)が形成されており、層
間接続導体107a及び107bによる内部電極101
aと102aとの接続はない。
【0012】上記の構造を有する積層構造の圧電トラン
ス素子を駆動するには、先ず、外部電極101及び10
2間に高電圧を印加することにより、第1の領域を垂直
方向(厚み方向)に分極する。次に、外部電極101ま
たは102と出力電極103との間に所定の電圧を印加
することにより、第2の領域を長手方向に分極する。そ
して、分極された状態の当該素子の外部電極101及び
102間に交流電圧を印加すると、第1の領域における
圧電素子106がその圧電素子固有の圧電材料定数、共
振特性、並びに素子全体の寸法に応じて機械的に振動
し、その振動が第2の領域の圧電素子106によって電
圧に変換されることにより、昇圧された交流高電圧が出
力電極103から取り出せる。
【0013】本願発明者等は、圧電素子1層の厚みを約
80μmとして25層積層し、長さ30mm、幅3m
m、厚み2mmの積層型の圧電トランス素子を作製して
試験したところ、2ワット出力時の昇圧比が約80倍と
桁違いに大きい昇圧比が得られた。
【0014】しかしながら、上記のような構造を有する
圧電トランス素子においては、複数の内部電極が当該圧
電トランス素子の側面に露出した構造であるため、特に
圧電トランス素子の分極処理を空気中で行う場合には、
素子側面に露出した内部電極間で放電が生じることによ
り絶縁が破壊され、分極処理が完全になされないことが
ある。そこで、本発明者等は、先行する特願平8−52
553号において、複数の内部電極を圧電トランス素子
の側面に露出しない構造を有し、且つ圧電体の内部電極
が積層される位置に予め設けた孔に導電体を充填するこ
とにより、内部電極間の電気的な接続を得る構造の積層
構造の圧電トランス素子を提案している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例の図1に示した圧電トランス素子においては、リー
ド線105を半田付けすべき外部電極の位置が当該素子
の上下面と長手方向端面との3面に亘っており、同一面
上にない。従って、産業用ロボットによる自動組み立て
を行う際、半田付け等の工程が複雑となるという問題が
ある。
【0016】また、上述した従来例の圧電トランス素子
は、それぞれの外部電極及び内部電極が当該素子の外形
部に露出している構造である。そのため、圧電トランス
素子を、単板構造の圧電トランス素子と同様、安全上の
観点から、例えば絶縁材料製のケース(不図示)に収容
する必要がある。このような構造の圧電トランス素子を
ケースに収容して使用する場合には、その接続部分の容
積が考慮されたケースが必要であるため、当該素子自体
の大きさと比較してかなり大きなケースが必要となる。
また、ケースへの収納という製造工程自体が、自動組み
立てを複雑にすることになる。
【0017】更に、積層構造の圧電トランス素子106
において昇圧された交流高電圧を取り出す場合には、外
部電極101または102の何れかの電極と、外部電極
103とを使用することになる。従って、一般的な巻線
トランスとは異なり、外部電極101または102の何
れかの電極を1次(入力)側と2次(出力)側とで共通
のコモン電極として使用することになる。そのため、1
次側と2次側とを電気的に絶縁する必要がある回路には
用いることができないという問題もある。
【0018】そこで本発明は、安全性及び取り扱いの容
易さに優れ、且つ、トランスとしての良好な性能を有す
る圧電トランス素子の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の圧電トランス素子は、以下の構成を特徴と
する。
【0020】即ち、厚み方向に分極されると共に1次側
電極が形成された第1の領域と、長手方向に分極される
と共に2次側電極が形成された第2の領域とを有し、複
数の圧電素子が積層された圧電トランス素子であって、
前記1次側電極として、前記複数の圧電素子の層間に配
置され、且つ前記第1の領域に内包された複数の第1内
部電極と、前記2次側電極として、前記複数の圧電素子
の層間に配置され、且つ前記第2の領域に内包された複
数の第2内部電極と、前記圧電トランス素子の表面上に
形成され、前記複数の第1内部電極に電圧を印加する第
1外部電極と、前記圧電トランス素子の表面上に形成さ
れ、前記複数の第2内部電極から、前記電圧の印加によ
って前記圧電トランス素子に発生した電圧を取り出す第
2外部電極と、を有することを特徴とする。これによ
り、当該素子の表面に露出する金属部分をできるだけ少
なくする。
【0021】また、例えば、前記第1及び第2の外部電
極が、前記圧電トランス素子の同一平面上に形成されて
いるとよい。これにより、外部の部材との接続を容易に
する。
【0022】また、例えば、前記複数の第2内部電極
は、前記第2の領域に内包された複数の柱状導体により
メッシュ状に接続されていることを特徴とする。これに
より、積層構造の圧電トランス素子の内部に2次側電極
の形成を実現する。
【0023】好ましくは、前記複数の第1内部電極は、
前記第1の領域に内包された少なくとも2本の柱状導体
によって1層おきに接続されることにより、2つの内部
電極群を成すことを特徴とする。
【0024】更に好ましくは、前記第1の領域側の前記
平面上に、前記第1及び第2内部電極、そして前記第1
及び第2外部電極から絶縁されたところの第3外部電極
を、前記2次側電極のもう一方の電極として形成するこ
とを特徴とする。これにより、1次側と2次側を絶縁
し、トランスとしての良好な性能を得る。
【0025】以上のような構成を備える場合にあって、
好ましくは前記第1外部電極及び/または第3外部電極
を、前記圧電トランス素子の駆動振動モードの節を含む
位置に形成し、更に、前記2本の柱状導体を、前記圧電
トランス素子の駆動振動モードの節に相当する位置に形
成し、当該素子の振動の減衰を防止するとよい。
【0026】また、上記の目的を達成するため、本発明
の圧電トランス素子は、以下の構成を特徴とする。
【0027】即ち、厚み方向に分極されると共に1次側
電極が形成された第1の領域と、長手方向に分極される
と共に2次側電極が形成された第2の領域とを有し、複
数の圧電素子が積層された圧電トランス素子であって、
前記1次側電極として、前記複数の圧電素子の層間の前
記第1の領域側に配置された複数の内部電極と、前記圧
電トランス素子の表面上に形成され、前記複数の内部電
極に電圧を印加する複数の第1外部電極と、前記2次側
電極として、前記第2の領域の端部に形成された第2外
部電極と、前記2次側電極のもう一方の電極として、前
記第1の領域側の前記圧電トランス素子の表面であって
前記第1外部電極が形成された表面上に、前記複数の内
部電極、並びに前記第1及び第2の外部電極から絶縁さ
れて形成された第3外部電極と、を有することを特徴と
する。これにより、1次側と2次側を絶縁し、トランス
としての良好な性能を得る。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る積層構造の圧
電トランス素子の実施形態を図面を参照して詳細に説明
する。
【0029】尚、以下の各実施形態においては、圧電ト
ランス素子をλモードで駆動する場合について述べる
が、これに限られるものではなく、例えば、λ/2モー
ド,3/2λモードで駆動してもよいことは言うまでも
ない。また、参照する図面において、圧電トランス素子
の内部電極の層数は図面の表現上の便宜的なものであ
り、これに限られるものではないことは言うまでもな
い。
【0030】
【第1の実施形態】はじめに、本発明の第1の実施形態
を図6から図12を参照して説明する。
【0031】図6は、本発明の第1の実施形態としての
積層構造を有する圧電トランス素子の斜視図である。図
7は、図6に示した圧電トランス素子の平面図である。
【0032】本実施形態における圧電トランス素子は、
図6及び図7に示すような外形形状を有しており、以
下、左側半分の領域を第1の領域、右側半分の領域を第
2の領域と呼ぶ。圧電素子6の第1の領域の上面には、
1次側(入力)電極としての外部電極1及び2が形成さ
れている。また、第2の領域上面には、2次側出力のリ
ード電極としての外部電極3が形成されている。即ち、
本実施形態の圧電トランス素子においては、それらの外
部電極だけが同一面上に露出して形成されおり、下記の
内部電極等は圧電素子6に内包されている構造を有す
る。
【0033】次に、本実施形態における圧電トランス素
子の内部の構造について説明する。図8は、図7に示し
た圧電トランス素子のC−C’断面図である。図9は、
図7に示した圧電トランス素子のD−D’断面図であ
る。そして、図10は、図7に示した圧電トランス素子
のE−E’断面図である。
【0034】第1の領域の内部において、複数の内部電
極1a及び2aは、図8及び図9に示すように、内部電
極1a及び2aが交互に複数積層され、それらの内部電
極の間には圧電素子6が充填されている。また、内部電
極1a(2a)における柱状の導体(以下、層間接続導
体)8b(8a)の周囲には、円形の孔(以下、単に孔
という)が形成されており、層間接続導体8a及び8b
による内部電極1aと2aとの接続はない(詳細は後述
する)。尚、穴の形状は円形に限られるものではないこ
とは言うまでもない。
【0035】また、複数の内部電極1aは、層間接続導
体8aによりそれぞれ接続されている。そして、接続導
体8aは、第1の領域の上面方向に向かって延長されて
おり、外部電極1に接続されている。
【0036】同様に、複数の内部電極2aは、層間接続
導体8bによりそれぞれ接続されている。そして、層間
接続導体8bも、第1の領域の上面方向に向かって延長
されており、外部電極2に接続されている。
【0037】一方、第2の領域内部の長手方向端部近傍
には、図8及び図10に示すように、内部電極3aが複
数積層され、それらの内部電極の間には圧電素子6が充
填されている。また、複数の内部電極3aは、層間接続
導体8cと複数の層間接続導体9とによりメッシュ状に
それぞれ接続されている。そして、接続導体8cは、第
2の領域の上面方向に向かって延長されており、外部電
極3に接続されている。即ち、本実施形態では、メッシ
ュ状に接続された内部電極3a、層間接続導体8c、並
びに層間接続導体9により、当該圧電トランス素子の2
次側(出力)電極を形成する。そして、昇圧された交流
高電圧は、リード電極である外部電極3を介して取り出
す。
【0038】ここで、当該素子内部にメッシュ状に形成
された2次側電極について説明する。本実施形態の圧電
トランス素子は、図12を参照して後述する積層構造で
あるため、その製造方法に起因して出力電極を、図1に
示した外部電極103ように板状の電極とすることはで
きない。しかしながら、好適な実施形態において、当該
素子の幅方向の断面積の5%以上となるようにメッシュ
状の2次側電極を形成すれば十分に出力電極として機能
する。
【0039】次に、外部電極1及び2の形成位置につい
て説明する。圧電トランス素子により入力電圧を昇圧す
る際、入出力電極のリード線接続用の端子の位置は、特
に限定する必要はない。しかしながら、当該素子の機械
的な振動の節に相当する位置は、原理的に不動点とな
る。この振動の節に相当する位置に入出力電極のリード
線接続用の端子を形成すれば、振動によるリード線、或
は当該素子自体の剥離や脱落等の不具合を防止し、且つ
振動の減衰も防止できる。具体的には、素子の長手方向
端部からそれぞれ1/4の位置が不動点となる。そこ
で、本実施形態では、圧電素子6の長手方向の長さがL
である場合において、外部電極1及び2の中心、並びに
層間接続導体8a及び8bの中心を、第1の領域の端部
からL/4の位置、即ち、当該圧電トランス素子の駆動
振動モードの節に相当する位置に形成している。
【0040】尚、本願発明者等による当該素子の分極処
理後の駆動試験によれば、従来品と同等の性能を示し
た。
【0041】次に、上述した本実施形態の圧電トランス
素子の構造及び製造工程を図12、図13A〜図13D
を参照して説明する。
【0042】図12は、本発明の第1の実施形態として
の圧電トランス素子の積層構造を示す図である。また、
図13Aから図13Dは、本発明の第1の実施形態とし
ての圧電トランス素子の製造工程を説明する図であり、
何れも圧電セラミックステープ(以下、テープ)6Aの
層間接続導体の部分で短手方向に切断した状態を示して
いる。図12に示す圧電トランス素子の製造工程を説明
すれば、 1).各テープ6Aは、Pb(Zr,Ti)O3 系の圧
電材料の粉末に、水、バインダを配合し、ボールミルに
てスラリーを作り、このスラリーからドクターブレード
法により予め成形しておく。
【0043】2).次に、それぞれのテープ6Aに、積
層したときに層間接続導体(8a,8b,8c,9)と
なる位置に、そのテープの上下に貫通した孔を開ける。
尚、層間接続導体8a及び8bのための孔は直径が同じ
である。また、層間接続導体8cのためのそれぞれの孔
は直径が同じである。
【0044】3).次に、テープ6Aの孔の部分に、層
間接続導体となるAg−Pdペーストを充填する(この
とき、充填されたペーストは、図13Aの如く、テープ
6Aの表面から適度に凸状に盛り上がった量とする)。
【0045】4).次に、テープ6Aの上面の、積層し
たときに第1の領域となる位置(図12の左側)に内部
電極1aまたは2aを、そして積層したときに第2の領
域の端部となる位置(図12の右側)に内部電極3aを
印刷する。これらの内部電極は、Ag−Pdペーストで
形成した。尚、本実施形態において、テープ6上に形成
された内部電極1a,2a,そして3aの縁部は、本実
施形態の圧電トランス素子の特徴である各内部電極の内
包構造を実現すべく、テープ6の縁部より内側となる大
きさであることは言うまでもない。
【0046】ここで、内部電極1a及び2aの形状につ
いて述べる。内部電極1a及び2aの形状は、テープ6
Aの孔に充填された1次側の2本の層間接続導体と接続
させるか否かに応じて、当該層間接続導体よりも大きな
直径の孔を開けた形状とする。即ち、内部電極には、そ
の内部電極を層間接続導体が充填されたテープ6Aに印
刷した際、その内部電極と接続させない方の層間接続導
体の上部に位置する部分に、当該層間接続導体よりも大
きな直径の孔を開ける。一方、該内部電極と接続させる
方の層間接続導体の上部に位置する部分には、孔を開け
ない。この状態を図13B及び図13Cに示す。
【0047】5).そして、上記の処理がなされたテー
プ6Aを所望する層数だけ積層する。例として、図13
B及び図13Cのテープ6Aが積層された状態を図13
Dに示す。実際には、この図の上下に複数の層が積層さ
れる。
【0048】また、積層したテープ6Aの最上部には、
上記の1)から3)の工程で得られたテープ6Aを積層
する。更に、その積層したテープ6Aの最下部には、図
12の下から2番目のテープ6Aの如く、層間接続導体
8aと接続されていない内部電極2aと、内部電極3a
とが印刷されたテープ6Aを積層する。更にその下側
に、図12の一番下側のテープ6Aの如く、孔が開けら
れていない内部電極1aと内部電極3aとが印刷された
テープ6Aを積層する。
【0049】6).5)で得られたテープ6Aを熱圧着
し、1150℃で焼成した。尚、内部電極に孔を開けた
部分において、盛り上がった層間接続導体の周囲には、
図13B及び図13Cに示すように空隙ができるが、そ
の空隙には、積層する際の熱圧着により、上側に積層さ
れるテープ6Aの圧電素子が充填されるため、当該空隙
は消滅する。
【0050】7).次に、焼成により得られた焼結体の
上面にAgペーストで形成した外部電極1,2、そして
3を印刷し、700℃にて焼き付けた。これにより、外
部電極1,2は、テープ6Aの孔内に充填された層間接
続導体8a,8bにより、下側に積層された内部電極1
aまたは2aと接続される。同様に、外部電極3は、テ
ープ6Aの孔内に充填された層間接続導体8cにより、
下側に積層された内部電極3a及び層間接続導体9と接
続される。
【0051】8).以上の処理により得られた圧電トラ
ンス素子を分極することにより、本実施形態に係る圧電
トランス素子が得られる。
【0052】以上、説明したように、本実施形態に係る
圧電トランス素子によれば、特願平8−52553号で
提案した各内部電極の内包構造は言うに及ばず、当該素
子の外周表面の同一面上に外部電極1,2,並びに3だ
けが露出している構造を実現することがでる。また、こ
れらの外部電極は、例えば、従来例(図1)の圧電トラ
ンス素子が有する外部電極とは異なり、電圧の入出力の
ために使用する端子であるため、リード線がハンダ付け
できる程度の小さな面積にすることができる。従って、
実際の使用に際して各外部電極と周囲との接触を考慮す
れば、基本的にケースに収納する必要はなく、取り扱い
が容易になる。
【0053】また、本実施形態に係る圧電トランス素子
は、各外部端子が同一面上に配置されているため、例え
ば、当該素子を使用した電源モジュール等の製品の製造
工程において、各外部端子へのリード線を介さずに、当
該素子をプリント基板等へ直接実装することも可能とな
る。従って、不用意な接触による感電を防止することが
できると共に、当該素子を使用した製品自体の小型化及
び製造工程の簡素化が図られ、組み立ての自動化も容易
に可能となる。
【0054】尚、図11は、本発明の第1の実施形態と
しての圧電トランス素子を、ケースに収納した場合の断
面図であり、切断面は図9と同じ位置である。同図に示
すように、当該圧電トランス素子をケース7に収納して
使用した場合は、当該素子の下側にはリード線5及びそ
のハンダ付け部分4が存在しない。また、図示は省略す
るが、外部電極3も外部電極1及び2と同一平面上に存
在する。従って、例えば、従来例(図1)の圧電トラン
ス素子とは異なり、ケースの厚さ及び長さを小さくする
ことが可能である。
【0055】
【第2の実施形態】次に、本発明の第2の実施形態を、
図14から図17を参照して説明する。
【0056】図14は、本発明の第2の実施形態として
の積層構造を有する圧電トランス素子の斜視図である。
図15は、図14に示した圧電トランス素子の平面図で
ある。
【0057】本実施形態における圧電トランス素子は、
図14及び図15に示すような外形形状を有しており、
以下、左側半分の領域を第1の領域、右側半分の領域を
第2の領域と呼ぶ。圧電素子25の第1の領域の上面に
は、1次側電極としての外部電極21及び2次側電極と
して外部電極20が形成されている。また、第1の領域
の下面には、1次側電極としての外部電極22が形成さ
れている。そして、第2の領域の端部には、2次側電極
としての外部電極23が形成されている。
【0058】外部電極20は、2次側電極としての外部
電極23と共に使用するため、その形状、面積は特に限
定する必要はない。本実施形態では、電極に電流が流れ
る際の抵抗を考慮し、第1の領域全面に形成した。
【0059】次に、本実施形態における圧電トランス素
子の内部の構造について説明する。図16は、図15に
示した圧電トランス素子のG−G’断面図である。そし
て、図17は、図15に示した圧電トランス素子のF−
F’断面図であり、ある時点における圧電素子の分極の
方向を併せて示している。
【0060】第1の領域の内部において、複数の内部電
極21a及び22aは、図16及び図17に示すよう
に、内部電極21a及び22aが交互に複数積層され、
それらの内部電極の間には圧電素子25が充填されてい
る。尚、内部電極21a,22aには、第1の実施形態
と同様に、円形の孔が形成されており、層間接続導体2
4a及び24bによる内部電極1aと2aとの接続はな
い。
【0061】また、複数の内部電極21aは、層間接続
導体24aによりそれぞれ接続されている。そして、層
間接続導体24aは、第1の領域の上面方向に向かって
延長されており、外部電極21に接続されている。同様
に、複数の内部電極22aは、層間接続導体24bによ
りそれぞれ接続されている。そして、層間接続導体24
bは、第1の領域の下面方向に向かって延長されてお
り、外部電極22に接続されている。このような構造で
あるため、外部電極21及び22に電圧を印加しても外
部電極20と最上部の内部電極21aとの間は、図17
に示すように分極されていない。
【0062】尚、本実施形態では、外部電極20が1次
側の外部電極21及び22から絶縁されているため、外
部電極20と最上部の内部電極21aとの間が分極され
ていたとしても特に問題にはならない。しかしながら、
外部電極20と最上部の内部電極21aとの間が分極さ
れていると、その領域が第1の領域の振動によって電圧
を発生させ、その電圧がノイズとして2次側の外部電極
20及び23間に現れることがあるため、分極しないほ
うがよい。
【0063】本実施形態における圧電トランス素子は、
前述した図12の圧電トランス素子の第1の領域の積層
構造、製造工程、並びに電極等の素材と略同様であるた
め、詳細な説明は省略する。但し、内部電極21a及び
22aが当該素子の短手方向の側面に露出する大きさで
あること、当該素子の最下部に外部電極22を形成する
こと、そして、外部電極23が板状の電極のため、内部
電極21a及び22aが形成された圧電セラミックステ
ープを複数積層して焼成した後で、第2の領域の端部に
外部電極23を形成する点が異なる。
【0064】次に、外部電極21の形成位置について説
明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様
に、振動によるリード線、或は当該素子自体の剥離や脱
落等の不具合を防止し、且つ振動の減衰も防止すべく、
圧電素子25の長手方向の長さがLである場合におい
て、外部電極2の中心、並びに層間接続導体24a及び
24bの中心を、第1の領域の端部からL/4の位置、
即ち、当該圧電トランス素子の駆動振動モードの節に相
当する位置に形成している。
【0065】以上、説明したように、本実施形態に係る
圧電トランス素子によれば、1次側の外部電極21及び
22と、2次側の外部電極22及び23とを電気的に絶
縁することができ、1次側で発生したノイズが2次側に
影響を及ぼすことを防止し、トランスとしての良好な昇
圧性能が得られる。
【0066】尚、本実施形態では、内部電極21a,2
2aが圧電トランス素子から露出している例ととして説
明したが、第1の実施形態と同様に内包させてもよいこ
とは言うまでもない。
【0067】
【第3の実施形態】次に、本発明の第3の実施形態を、
図18から図22を参照して説明する。
【0068】図18は、本発明の第3の実施形態として
の積層構造を有する圧電トランス素子の斜視図である。
図19は、図18に示した圧電トランス素子の平面図で
ある。
【0069】本実施形態における圧電トランス素子は、
図18及び図19に示すような外形形状を有しており、
以下、左側半分の領域を第1の領域、右側半分の領域を
第2の領域と呼ぶ。圧電素子36の第1の領域の上面に
は、1次側電極としての外部電極31及び32、そして
2次側電極としての外部電極40が形成されている。そ
して、第2の領域の端部近傍には、2次側電極としての
外部電極33が形成されている。
【0070】外部電極40は、2次側電極としての外部
電極23と共に使用するため、その形状、面積は特に限
定する必要はない。本実施形態では、第2の実施形態と
は異なり、圧電素子36からの電極の露出部分をできる
だけ少なくするため、外部電極31及び32と同程度の
大きさとした。
【0071】次に、本実施形態における圧電トランス素
子の内部の構造について説明する。図20は、図19に
示した圧電トランス素子のH−H’断面図である。そし
て、図21は、図19に示した圧電トランス素子のI−
I’断面図である。
【0072】第1の領域の内部において、複数の内部電
極31a及び32aは、図20及び図21に示すよう
に、内部電極31a及び32aが交互に複数積層され、
それらの内部電極の間には圧電素子36が充填されてい
る。また、内部電極31a,32aには、第1の実施形
態と同様に円形の孔が形成されており、層間接続導体3
8a及び38bによる内部電極31aと32aとの接続
はない。
【0073】また、複数の内部電極31aは、層間接続
導体38aによりそれぞれ接続されている。そして、接
続導体38aは、第1の領域の上面方向に向かって延長
されており、外部電極31に接続されている。
【0074】同様に、複数の内部電極32aは、層間接
続導体38bによりそれぞれ接続されている。そして、
層間接続導体38bも、第1の領域の上面方向に向かっ
て延長されており、外部電極32に接続されている。
【0075】一方、第2の領域内部の長手方向端部近傍
には、第1の実施形態で説明した図9と同様のメッシュ
状の2次側電極及び昇圧された交流高電圧を取り出すリ
ード電極である外部電極33が形成されている(詳細な
説明及び図示は省略する)。
【0076】また、本実施形態における圧電トランス素
子は、前述した図12の圧電トランス素子の積層構造、
製造工程、並びに電極等の素材と略同様であるため、詳
細な説明は省略する。但し、外部電極40は、内部電極
31a及び32aが形成された圧電セラミックステープ
を複数積層して焼成した後、外部電極31及び32を形
成する工程において併せて形成すればよい。
【0077】次に、外部電極31,32,並びに40の
形成位置について説明する。本実施形態においても、第
1の実施形態と同様に、振動によるリード線、或は当該
素子自体の剥離や脱落等の不具合を防止し、且つ振動の
減衰も防止すべく、圧電素子36の長手方向の長さがL
である場合において、外部電極31,32,40の中
心、そして層間接続導体38a及び38bの中心を、第
1の領域の端部からL/4の位置、即ち、当該圧電トラ
ンス素子の駆動振動モードの節に相当する位置に形成し
ている。
【0078】図22は、本発明の第3の実施形態として
の圧電トランス素子をケースに収納した場合の断面図で
あり、切断面は図21と同じ位置である。同図に示すよ
うに、当該圧電トランス素子をケース37に収納して使
用した場合も、図11の場合と同様に、当該素子の下側
にはリード及びそのハンダ付け部分が存在しない。尚、
このように当該素子をケースに収納して使用するのであ
れば、外部電極40に電流が流れる際の抵抗を考慮し、
例えば、外部電極40をH型形状とすることによって外
部電極31及び32との接触を避け、第1の領域全面に
形成すればよい。
【0079】以上、説明したように、本実施形態に係る
圧電トランス素子によれば、当該素子の外周表面の同一
面上に外部電極31,32,40,並びに33だけが露
出している構造を実現することができる。従って、第1
の実施形態で述べたそれぞれの効果(利点)に加え、更
に、1次側の外部電極31及び32と、2次側の外部電
極33及び40とを電気的に絶縁できる構造であるた
め、第2の実施形態で述べた効果も併せて得られる。即
ち、取り扱いが容易で、且つ良好な性能を有する圧電ト
ランス素子が実現する。
【0080】
【第4の実施形態】本願発明者等は、上述した各実施形
態の圧電トランス素子のように、層間接続導体を内部に
有する圧電トランス素子においては、内部電極と同様に
層間接続導体が圧電トランス素子の振動が減衰し易く、
昇圧比(変換効率)を低下させていることを見出した。
そこで、本実施形態では、上述した各実施形態の構造を
有する圧電トランス素子に使用する内部電極及び層間接
続導体の硬度を高いものとし、且つ層間接続導体の直径
を所定値以下にすることにより、内部電極における圧電
トランス素子の機械的な振動の減衰を低減する。本実施
形態で説明する内部電極用素材は、一般的な積層構造を
有する圧電トランス素子にも適用できるため、一般的な
積層構造を有する圧電トランス素子に適用して図23か
ら図29を参照して説明する。
【0081】<実施形態の説明>はじめに、本実施形態
の内部電極用素材を適用する一般的な圧電トランス素子
の構造について図23から図25を参照して説明する。
【0082】図23は、本発明の第4の実施形態の内部
電極用素材を適用可能な、一般的な積層構造を有する圧
電トランス素子の斜視図であり、λモードで振動するロ
ーゼン型の圧電トランス素子の一例である。
【0083】積層構造の圧電トランス素子51は、図2
3に示すような外形形状を有しており、同図において
も、左側半分の領域を第1の領域、右側半分の領域を第
2の領域と呼ぶ。
【0084】第1の領域においては、セラミックス圧電
体57と内部電極56a及び56bとが交互に積層され
ている。尚、セラミックス圧電体は、内部電極の数より
1多い数だけ積層される。また、第1の領域の上面及び
下面には、1次側電極である外部電極54が形成され、
第2の領域の端部には、2次側電極である外部電極55
が形成されている。第1の領域は、厚み方向(図23に
おいて上下方向)に分極され、第2の領域は、長手方向
(図23において左右方向)に分極されている。
【0085】第1の領域において、内部電極56a及び
56bは、前述した各実施形態と同様に接続されてい
る。即ち、交互に積層された内部電極56a及び56b
は、1層おきに電気的に接続されることにより、電気的
には絶縁された2つの内部電極群が形成される。そし
て、2つの内部電極群は、第1の領域の上面と下面のそ
れぞれの電極54に電気的に接続されている。
【0086】圧電トランス素子51の第1の領域におい
て、内部電極56a及び56bと圧電素子は同じ平面形
状を有し、内部電極56a及び56bは素子側面に露出
している。また、第1の領域の端部の2つの角には、複
数の内部電極56a及び56bを前記の2つの内部電極
群として接続するための層間接続導体58が設けられて
いる。ここで、内部電極56a及び56bは、その端部
の角の部分において2つの角のうちの一方の角が直角三
角形(直角三角形に限られるものではないことは言うま
でもない)に切り欠かれており、且つ、内部電極6aと
6bとでは、反対側の角が切り欠かれている。従って、
各内部電極が角を有る層だけが層間接続導体58と接続
される。また、層間接続導体58は、更に外部電極54
の何れか一方にそれぞれ電気的に接続されている。この
ような構造により、内部電極56a及び56bは、2つ
の内部電極群を形成している。
【0087】本実施形態で説明する内部電極素材は、図
22の構造を有する圧電トランス素子だけでなく、例え
ば、以下に説明する構造の圧電トランス素子にも適用で
きる。
【0088】図24は、本発明の第4の実施形態の内部
電極用素材を適用可能な、積層構造を有する圧電トラン
ス素子の長手方向の断面図である(尚、層間接続導体5
9の部分で切断している)。図25は、図24に示した
圧電トランス素子を層間接続導体(59)の部分で短手
方向に切断した断面図である。
【0089】図24及び図25に示す外部電極54及び
内部電極56a’及び56b’は、上述した図23の圧
電トランス素子と同様な電気的接続を有している。但
し、層間接続導体59と各内部電極及び外部電極との接
続構造が異なる。以下、その接続構造について説明す
る。
【0090】第1の領域において、2本の層間接続導体
59は、当該素子内部に形成されており、各層の内部電
極56a’または56b’が接続されている。また、内
部電極56a’及び56b’は、図25に示す如く、1
層ごとに交互に積層されており、且つ、同じ種類の内部
電極が1層おきに層間接続導体59によって接続される
ように、内部電極には孔が開けられている。これによ
り、前述した2つの内部電極群が形成されている。尚、
2本の層間接続導体59の位置は、上述した各実施形態
と同様に、当該圧電トランス素子の駆動振動モードの節
に相当する位置に形成するとよい。
【0091】圧電トランス素子は、その材質及び振動方
向の長さに応じて共振周波数を有する。そこで上述した
積層構造の圧電トランス素子の2つの外部電極54の間
に、該共振周波数に応じた周波数の交流電圧を印加する
と、逆圧電効果によって圧電トランス素子が前記共振周
波数で機械的に振動し、定在波が形成される。圧電トラ
ンス素子がλモードで振動する場合、定在波(定常波)
の振動の節(ノード点)は当該素子の両端部から素子の
長さの4分の1の距離(素子の長さをLとするとL/
4)の位置に存在する。そして、この定在波による圧電
効果により、外部電極54と外部電極55との間には、
交流電圧が発生する。一般に、圧電トランス素子では、
1次側の入力電極間の距離よりも入力電極及び出力電極
間の距離の方が長くなるように形成される。そのため、
入力電極と出力電極との間に生じる電圧は、入力電極間
に印加された電圧よりも昇圧された高電圧となる。
【0092】本実施形態において、積層構造の圧電トラ
ンス素子の寸法等は一般的なものと同様であり、長さ1
0〜50mm、幅2〜15mm、厚さ0.3〜5mm程
度の寸法を有する。また、第1の領域においては、50
〜300μm程度の厚さの圧電体の層が5〜50層程度
積層される。
【0093】(内部電極用素材)また、セラミックス誘
電体を積層する場合には、一般に、電極材料としてA
g、Ag−Pd混合物、Ag−Pt混合物、Pd、P
t、Cu、Ni等が用いられる。しかしながら、圧電ト
ランス素子に利用されるPb系の圧電素材(Pb(Z
r,Ti)O3 等)は、酸素が存在する雰囲気において
は1000℃以上の温度で焼成する必要があるため、こ
のような圧電素材と共に焼成する場合にはAg、Cu、
Niは用いることができない。また、Ptは高価である
ため、これのみで用いられることは少なく、一般にはA
g−Pt混合物やAg−Pd混合物の形態の導電体が用
いられる。
【0094】本実施形態においては、各内部電極56a
及び56b(56a’及び56b’)を20〜80重量
%のPdを含むAg−Pd混合物により形成する。
【0095】また、内部電極の厚みは、Qm(機械的品
質係数)に影響を及ぼす。この影響の程度は、圧電トラ
ンス素子自体の寸法や、内部電極の積層される数にもよ
るが、上記のような一般的な寸法と積層数を採用する本
実施形態においては、例えば、1〜5μmとする。
【0096】ここで、Qmについて説明する。圧電トラ
ンスの変換効率は、素子のQmと密接な関係がある。即
ち、他の定数が変化せずにQmが大きくなるほどエネル
ギーロスが小さくなり、変換効率は向上する。このよう
なエネルギーロスとQmとの関係は、ローゼン型圧電ト
ランスの昇圧比の公式を用いれば導くことができる。
【0097】また、Qmは、与えた振動の減衰のしにく
さを表しており、与えた振動が減衰しにくければ、振動
を継続させるために与え続けなければならないエネルギ
は少なくて済み、変換効率は高くなる。
【0098】一般に、圧電トランス素子に使用される圧
電体の材料自体は、高いQmを有する材料を用いる。例
えば、PZT系の圧電体セラミックであれば、FeやM
nを微量添加することで高いQmを有する圧電体材料が
得られる。
【0099】(セラミックス圧電体)圧電素子を形成す
るセラミックスは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系
(PZT)セラミックスにより形成するのが一般的であ
るが、本実施形態においては、変換効率(昇圧比)向上
の観点からAg−Pd混合物を使用する。一般にAg−
Pd混合物は、Ag−Pt混合物よりも高い硬度が得ら
れるが、Ag−Pd混合物においても、Pd含有量が2
0重量%未満であると層間接続導体(電極)の「硬度」
が不足するためQmの低下が起こり、変換効率の向上が
低減される。また、Pd量が、80重量%を越えると焼
成後に導電体が繊密にならなくなるため、やはりQmが
低下し、変換効率の向上ができない。
【0100】そこで、本実施形態においては、セラミッ
クス圧電体57にAg−Pd混合物であって、Pdを2
0重量%以上、80重量%以下含むものを使用する。
【0101】また、Ag−Pd導体をセラミックス圧電
体間に内装すると、基本的にセラミックス圧電体単体よ
りもQmが低下する。上記のような寸法及び積層数の圧
電トランス素子においては、1層の内部電極の厚みが5
μmより厚い場合にはこのQmの低下が無視できなくな
り、変換効率の低下が許容できないものとなる。一方、
1層の内部電極の厚みが1μmより薄い場合には、複数
の内部電極がセラミックス圧電体と共に焼成された際、
内部電極用素材が表面張力により丸くなろうとし、結果
として内部電極用素材に網の目状になり、連続した板状
の導電体を得られない。そして、そのような状態となっ
た内部電極を使用するすれば、各内部電極間に存在する
セラミックス圧電体に一様な電界を印加することは不可
能であるため、セラミックス圧電体の電気−機械エネル
ギ変換能力を十分に引き出すことができず、変換効率が
低下する。
【0102】(層間接続導体)また、上述したように、
各内部電極の電気的な接続(2つの内部電極群)を層間
接続導体によって実現する場合は、上述した内部電極の
場合と同様の理由から、層間接続導体自体による素子
(セラミックス圧電体)の振動が減衰されることによ
り、変換効率が低下する。また、層間接続導体の直径が
大きくなると、セラミックス圧電体の振動が減衰され易
くなる。逆に、層間接続導体の直径を小さくすると、層
間接続導体自体の導体抵抗が無視できない程大きくな
り、セラミックス圧電体全体のインピーダンスが大きく
なるため、結果的にQ値が低下し、やはり変換効率が低
下する。
【0103】そこで、本実施形態では、層間接続導体5
9自体もPdを20重量%以上、80重量%以下の量で
含むAg−Pd混合物とし、その層間接続導体の直径を
200μm以下とする。
【0104】上記のように内部電極間の接続のために層
間接続導体を設ける場合、その層間接続導体は圧電トラ
ンス素子の第1の領域平面内の任意の位置に設けること
ができるが、好ましくは、素子の振動の節の位置に設け
る。このような素子の振動の最も少ない位置に層間接続
導体を設けることにより、層間接続導体による素子の振
動の減衰を最小限にすることができる。
【0105】<積層構造を有する圧電トランス素子の製
造方法>上記のような構造を有する圧電トランス素子の
製造方法は特に限定されないが、例えば、公知の低温焼
成多層セラミック基板の製造方法を使用して製造するこ
とが好ましい。以下、低温焼成多層セラミック基板の製
造方法を使用した、本実施形態の圧電トランス素子の製
造方法の概略を説明する。
【0106】はじめに、図23に示した圧電トランス素
子の製造工程を説明する。図23に示したような外部導
体(層間接続導体58)で内部電極間の電気的な接続を
実現する場合は、まずドクターブレード法等により圧電
セラミックステープを形成し、所望する平面寸法の素子
が得られるように切断する。この場合、圧電セラミック
ステープの切断サイズは、量産を考慮して、即ち、複数
の圧電セラミックステープを積層することにより形成さ
れた積層体を切断して複数の圧電トランス素子が得られ
るように、所望する個数の圧電トランス素子が並んだ大
きさにしてもよい。
【0107】圧電セラミックステープの表面上には、内
部電極用の導体のペーストを、上述した内部電極の形状
にメッシュマスクを用いて印刷する。このとき、各内部
電極には、圧電トランス素子の第1の領域の長手方向の
端部となる片側の角に、本実施形態では直角三角形の切
り欠き部分を設ける。尚、図23の圧電トランス素子の
場合、各内部電極の切り欠きパターンは、切り欠き部分
の位置の異なる2種類となることは言うまでもない。
【0108】次に、この2つのパターンで内部電極を印
刷された圧電セラミックステープを、交互に所望の数だ
け同数積層する。そして、得られた積層体の上面に、内
部電極を印刷していない圧電セラミックステープを積層
する。そして積層された内部電極を有する圧電セラミッ
クステープを相互に熱圧着し、焼成する。
【0109】その後、必要に応じて切断、研削等の加工
を行い、Agペーストを焼き付けること等により外部電
極54及び55並びに層間接続導体54を設け、分極処
理する。
【0110】以上のような製造工程により、図23に示
した積層構造の圧電トランス素子が得られる。
【0111】次に、図24及び図25に示した圧電トラ
ンス素子の製造工程を説明する。図24及び図25に示
したような層間接続導体により各内部電極を接続した構
造の場合は、まずドクターブレード法等により圧電セラ
ミックステープを形成し、所望する平面寸法の素子が得
られるように切断すると共に、積層したときに層間接続
導体が充填される部分に孔を開けたものを用意する。こ
の場合も、圧電セラミックステープの切断サイズは、量
産を考慮して、即ち、複数の圧電セラミックステープを
積層することにより形成された積層体を切断して複数の
圧電トランス素子が得られるように、所望する個数の圧
電トランス素子が並んだ大きさにしてもよい。
【0112】図26は、本発明の第4の実施形態におけ
る孔を形成した圧電セラミックステープを示す図であ
る。同図において、圧電セラミックステープ60には、
孔61が2個1組で8個設けられている。従って、圧電
セラミックステープ60を複数積層し、得られた積層体
を焼成した後に切断すれば、4個の圧電トランス素子が
得られる。
【0113】次に、これらの孔に層間接続導体のペース
トをメタルマスク等を用いた印刷法により充填する。こ
の状態を図27に示す。図27は、本発明の第4の実施
形態として、圧電セラミックステープ60の孔に、層間
接続導体のペースト62を充填したところを示す部分断
面図である。
【0114】次に、圧電セラミックステープ上に、メッ
シュマスクを用いて、内部電極56a’または56b’
の形状となるように内部電極用のペーストを印刷する。
この状態を図28及び図29に示す。
【0115】図28及び図29は、本発明の第4の実施
形態として、圧電セラミックステープ60に内部電極5
6a’または56b’が印刷された後の状態を示す図で
ある。内部電極56a’または56b’は、同図に示す
ように、層間接続導体と当該内部電極とが接続しないよ
うに、円形の孔が開けられている。例えば、図28の場
合は、個々の内部電極56a’の左上の部分には孔が開
けられているため、内部電極56b’と層間接続導体6
2との絶縁が保たれる。一方、個々の内部電極56a’
の右上の部分には孔が開けられていため、この内部電極
をテープ60に印刷することにより、その部分で内部電
極とa’層間接続導体62とが接続されることになる。
【0116】次に、図28と図29の状態の圧電セラミ
ックステープを複数製造し、これらを交互に複数積層す
る。そして、得られた積層体の最上面には、完成時に外
部電極54との接続ができるように孔が1つ設けられ、
且つ内部電極が印刷されていない圧電セラミックステー
プを更に積層する。
【0117】そして、積層された圧電セラミックステー
プを熱圧着し、焼成し、必要により切断、研削等の加工
を行う。そして、Agペーストを焼き付けること等によ
り外部電極54及び55を設け、分極処理する。
【0118】以上のような製造工程により、図24及び
図25に示した積層構造の圧電トランス素子が得られ
る。尚、上述した各実施形態における圧電トランス素子
は、上記の製造工程を基本として量産すれば良い。
【0119】<実証例の説明>次に、第4の実施形態に
おける図23に示した圧電トランス素子、並びに図24
及び図25に示した圧電トランス素子の非限定的な実証
例及び比較例を説明する。
【0120】はじめに、図23に示した圧電トランス素
子についての実証例1〜5及び比較例1〜5を図30を
参照して説明する。
【0121】(実証例1〜5)Pb(Zr,Ti)O3
系の圧電材料粉末100重量部に対して、水25重量
部、エマルション型のアクリル系バインダ10重量部を
配合し、ボールミルでスラリーを作製した。このスラリ
ーから、乾燥後の厚みが130μmのテープをドクター
ブレード装置を用いて成形し、焼成後のテープの厚さが
約100μmとなるようにした。
【0122】そして、得られたテープを、長さ100m
m、幅100mmの矩形にカットした。その後、印刷用
フレームに貼り、スクリーンマスクを用いてその上に図
30に示したAg/Pd重量比の内部電極を、圧電トラ
ンス素子の第1の領域となる部分に印刷した。但し、内
部電極は、積層、焼成及び積層体の切断後に第1の領域
の長手方向の端部の角の何れかに、2辺が2mmの直角
三角形の内部電極の切り欠きが形成されるように、2種
類のパターンで印刷した。
【0123】また、スクリーンマスクの乳剤の厚み及び
ペーストの固形分濃度を変えて印刷することにより、焼
成後の内部電極の厚みが図30に記載した所定の厚みと
なるようにした。
【0124】次に、上記の2種のパターンで内部電極を
印刷したテープを、交互に各10層ずつ重ね、更に内部
電極が露出している側に、内部電極を印刷していない上
記と同様の圧電セラミックステープを積層した。
【0125】これを100℃、30MPaの条件で熱圧
着し、空気中1150℃で2時間焼成した。
【0126】次に、得られた焼成体を、長さ48mm、
幅10mmに切断し、第1の領域の上面と下面の外部電
極54、及び第2の領域の長手方向の端部の外部電極5
5を、Agペーストで印刷し、700℃にて焼き付け
た。外部電極54については、それぞれ隣接する内部電
極と左右逆のパターンで同様の直角三角形の切り欠きを
設けた。更に、第1の領域の長手方向の端部の2つの角
の外側には、それぞれ厚み方向全体にわたって、幅方向
及び長さ方向の側面に、それぞれ1mmの幅を有する層
間接続導体58を、外部電極54及び55と同様に、A
gペーストで印刷し、700℃で焼き付けた。
【0127】この結果、図23に示したように、内部電
極が外部電極に電気的に接続された分極前の素子が得
た。
【0128】この分極前の素子について、第1の領域
は、空気中250℃で、3MV/mの電界強度(300
V/100μm)で分極処理した。また、第2の領域で
は、入力電極(外部電極54)を短絡させ、空気中25
0℃で、0.8MV/mの電界強度(19kV/24m
m)で分極処理した。
【0129】以上の処理により、本実施形態の図23の
積層型圧電トランス素子を得た。
【0130】このようにして得た積層型圧電トランス素
子の出力側に50kΩの負荷抵抗及び電流計、電圧計を
接続し、また入力側に電源及び同様に電流計、電圧計を
接続し、2ワットの所定出力に保ちながら入力電力と出
力電力を測定し、変換効率を算出した。その結果を図3
0に示す。
【0131】変換効率を測定した後、積層型圧電トラン
ス素子を切断し、電子顕微鏡により内部電極の厚みを測
定してそれぞれが所定の値にあることを確認した。
【0132】(比較例1〜5)更に、図30に示したA
g−Pdの組成比を使用し、内部電極の厚さが図30に
示したものになるようにして、実証例と同様に積層型の
圧電トランス素子を製造した。
【0133】実証例と同様にして変換効率を測定し、ま
た内部電極の厚みを測定した。この結果も図30に示
す。
【0134】図30に示した結果から判るように、内部
電極のAg/Pd比が80/20〜20/80の範囲に
あり、且つ厚さが1〜5μmの範囲にある場合には、圧
電トランスの変換効率が85%以上となり、上記範囲外
の比較例と比べて変換効率が良好に改善されることは明
らかである。
【0135】次に、図24及び図25に示した圧電トラ
ンス素子についての実証例6〜12及び比較例6〜12
を、図31を参照して説明する。
【0136】(実証例6〜12)Pb(Zr,Ti)O
3 系の圧電材料粉末100重量部に対して、水25重量
部、エマルション型のアクリル系バインダ10重量部を
配合し、ボールミルでスラリーを作製した。このスラリ
ーから、乾燥後の厚みが130μmのテープをドクター
ブレード装置を用いて成形し、焼成後のテープの厚さが
約100μmとなるようにした。
【0137】次に、得られたテープを長さ100mm、
幅100mmの矩形にカットした。その後、印刷用フレ
ームに貼り、パンチング装置を用いて層間接続導体を充
填するための円形の孔を、焼成後にそれぞれ図30に示
す直径になるような大きさで所定位置に穿孔した。孔
は、焼成、切断後に、素子をλモードで振動させたとき
に節の位置となる、素子の長さ方向の端部から12mm
の位置に幅方向に2mmの間隔を空けて位置するように
設けた。
【0138】図31に示すように、組成比を変えたAg
−Pd混合物に、有機バインダ等を加えて作製した層間
接続導体のペーストを、メタルマスクを用いた印刷法に
よって前記孔に充填し、乾燥させた。更に、層間接続導
体のペーストが充填された圧電セラミックステープの上
に、層間接続導体と同じAg/Pd比の内部電極を、後
で切り出した時に側面にはみださないように、スクリー
ンマスクを用いて印刷した。上述した図28及び図29
に示したような形態では、焼成後に長さ23.5mm、
幅9mmの寸法を有し、対応する層間接続導体と同一中
心であり、層間接続導体よりも約1mm大きい直径の円
形の孔を1個有するように印刷した。
【0139】次に、スクリーンマスクの乳剤の厚み及び
ペーストの固形分濃度を変えて印刷して、内部電極の厚
みが図31に記載した所定の厚みとなるようにした。
【0140】そして、内部電極側を上面として、図29
のパターンが最上面となるように、図29のパターンを
10枚、図28のパターンを9枚交互に積層した。更
に、その積層体の最上面には、右側の層間接続導体のみ
が形成された圧電セラミックステープ(内部電極は印刷
されていない)を積層した。また、最下面には、図28
の右側の層間接続導が無い圧電セラミックステープを積
層した。
【0141】このような積層体を、100℃、30MP
aの条件で熱圧着し、空気中1150℃で2時間焼成し
た。
【0142】これらのサンプルを、内部電極が側面に露
出しないように長さ48mm、幅10mmに切断した。
そして、第1の領域の上面及び下面には外部電極54
を、そして第2の領域の長手方向の端部には外部電極5
5をAgペーストで印刷し、700℃で焼き付けた。こ
の結果、図24及び図25に示したような構造を有す
る、分極前の圧電トランス素子が得た。
【0143】この分極前の素子について、第1の領域
(積層側)は、空気中250℃で、3MV/mの電界強
度(300V/100μm)で分極処理した。更に、第
2の領域は、入力電極(外部電極54)を短絡させ、空
気中250℃で、0.8MV/mの電界強度(19kV
/24mm)で分極処理した。
【0144】以上の処理により、本実施形態の図24及
び図25の積層型圧電トランス素子を得た。
【0145】このようにして得た積層型圧電トランス素
子の出力側に、50kΩの負荷抵抗及び電流計、電圧計
を接続し、また入力側に電源及び同様に電流計、電圧計
を接続し、2ワットの所定出力に保ちながら入力電力と
出力電力とを測定し、変換効率を算出した。図31に結
果を示す。
【0146】また、変換効率を測定した後、積層型圧電
トランス素子を切断し、電子顕微鏡にて孔の直径及び内
部電極の厚みを測定し、それぞれが所定の値にあること
を確認した。
【0147】(比較例6〜13)図31に示したAg−
Pdの組成比を使用し、内部電極の厚さ、孔の直径を図
31に示したものになるようにして、実証例6〜12と
同様に積層型の圧電トランス素子を製造した。
【0148】そして、実証例6〜12と同様にして変換
効率を測定し、また孔の直径及び内部電極の厚みを測定
した。この結果も図31に示す。
【0149】図31に示した結果から判るように、内部
電極のAg/Pd比が80/20〜20/80、厚さが
1〜5μm、及び層間接続導体の直径が50〜200μ
mの範囲にある場合には、圧電トランスの変換効率が8
5%を超え、上記範囲外の比較例と比べて有意に改善さ
れることは明らかである。
【0150】以上説明したように、本実施形態に係る内
部電極用素材及び層間接続導体を使用して、積層構造を
有する圧電トランス素子を形成すれば、良好な変換(昇
圧)性能を有する圧電トランス素子が実現できる。従っ
て、同程度の出力が可能な従来の圧電トランス素子と比
較して素子を小型化することもできる。
【0151】尚、本発明は、図面を参照して上述した各
実施形態に限られるものではなく、各実施形態を組み合
わせた他の実施形態も本発明のスコープに含まれること
は言うまでもない。
【0152】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
安全性及び取り扱いの容易さに優れ、且つ、トランスと
しての良好な性能を有する圧電トランス素子の提供が実
現する。
【0153】
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な積層構造を有する圧電トランス素子の
一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した圧電トランス素子の正面図であ
る。
【図3】図1に示した圧電トランス素子のA−A’断面
図である。
【図4】図1に示した圧電トランス素子の平面図であ
る。
【図5】図1に示した圧電トランス素子のB−B’断面
図である。
【図6】本発明の第1の実施形態としての積層構造を有
する圧電トランス素子の斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態で図6に示した圧電ト
ランス素子の平面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態で図7に示した圧電ト
ランス素子のC−C’断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態で図7に示した圧電ト
ランス素子のD−D’断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態で図7に示した圧電
トランス素子のE−E’断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態としての圧電トラン
ス素子を、ケースに収納した場合の断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態としての圧電トラン
ス素子の積層構造を示す図である。
【図13A】本発明の第1の実施形態としての圧電トラ
ンス素子の製造工程を説明する図である。
【図13B】本発明の第1の実施形態としての圧電トラ
ンス素子の製造工程を説明する図である。
【図13C】本発明の第1の実施形態としての圧電トラ
ンス素子の製造工程を説明する図である。
【図13D】本発明の第1の実施形態としての圧電トラ
ンス素子の製造工程を説明する図である。
【図14】本発明の第2の実施形態としての積層構造を
有する圧電トランス素子の斜視図である。
【図15】本発明の第2の実施形態として図14に示し
た圧電トランス素子の平面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態として図15に示し
た圧電トランス素子のG−G’断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態として図15に示し
た圧電トランス素子のF−F’断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態としての積層構造を
有する圧電トランス素子の斜視図である。
【図19】本発明の第3の実施形態として図18に示し
た圧電トランス素子の平面図である。
【図20】本発明の第3の実施形態として図19に示し
た圧電トランス素子のH−H’断面図である。
【図21】本発明の第3の実施形態として図19に示し
た圧電トランス素子のI−I’断面図である。
【図22】本発明の第3の実施形態としての圧電トラン
ス素子をケースに収納した場合の断面図である。
【図23】本発明の第4の実施形態の内部電極用素材を
適用可能な、一般的な積層構造を有する圧電トランス素
子の斜視図である。
【図24】本発明の第4の実施形態の内部電極用素材を
適用可能な、積層構造を有する圧電トランス素子の長手
方向の断面図である。
【図25】本発明の第4の実施形態で図24に示した圧
電トランス素子を層間接続導体の部分で短手方向に切断
した断面図である。
【図26】本発明の第4の実施形態における孔を形成し
た圧電セラミックステープを示す図である。
【図27】本発明の第4の実施形態として、圧電セラミ
ックステープの孔に、層間接続導体のペーストを充填し
たところを示す部分断面図である。
【図28】本発明の第4の実施形態として、圧電セラミ
ックステープに内部電極が印刷された後の状態を示す図
である。
【図29】本発明の第4の実施形態として、圧電セラミ
ックステープに内部電極が印刷された後の状態を示す図
である。
【図30】本発明の第4の実施形態における実証例及び
比較例のデータを示す図である。
【図31】本発明の第4の実施形態における実証例及び
比較例のデータを示す図である。
【符号の説明】
1,2,21,22,31,32,54,101,10
2 外部電極(1次側電極) 3,33 外部電極(リード電極) 1a,2a,3c,21a,22a,31a,32a,
56a,56b,56a’,56b’,101a,10
2a 内部電極 4,42,104 ハンダ付け部分 5,41,105 リード線 6,25,36,57,106 圧電素子 6A,60 圧電セラミックステープ 7,37 ケース 8a,8b,8c,9,24a,24b,38a,38
b,58,59,107a,107b 層間接続導体 20,23,33,40,55,103 外部電極(2
次側電極) 62 ペースト

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み方向に分極されると共に1次側電極
    が形成された第1の領域と、長手方向に分極されると共
    に2次側電極が形成された第2の領域とを有し、複数の
    圧電素子が積層された圧電トランス素子であって、 前記1次側電極として、前記複数の圧電素子の層間に配
    置され、且つ前記第1の領域に内包された複数の第1内
    部電極と、 前記2次側電極として、前記複数の圧電素子の層間に配
    置され、且つ前記第2の領域に内包された複数の第2内
    部電極と、 前記圧電トランス素子の表面上に形成され、前記複数の
    第1内部電極に電圧を印加する第1外部電極と、 前記圧電トランス素子の表面上に形成され、前記複数の
    第2内部電極から、前記電圧の印加によって前記圧電ト
    ランス素子に発生した電圧を取り出す第2外部電極と、
    を有することを特徴とする圧電トランス素子。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の外部電極が、前記圧
    電トランス素子の同一平面上に形成されていることを特
    徴とする請求項1記載の圧電トランス素子。
  3. 【請求項3】 前記複数の第2内部電極は、前記第2の
    領域に内包された複数の柱状導体によりメッシュ状に接
    続されていることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の圧電トランス素子。
  4. 【請求項4】 前記第1外部電極は、前記圧電トランス
    素子の駆動振動モードの節を含む位置に形成することを
    特徴とする請求項1記載の圧電トランス素子。
  5. 【請求項5】 前記複数の第1内部電極は、前記第1の
    領域に内包された少なくとも2本の柱状導体によって1
    層おきに接続されることにより、2つの内部電極群を成
    すことを特徴とする請求項1または請求項4記載の圧電
    トランス素子。
  6. 【請求項6】 前記少なくとも2本の柱状導体は、前記
    圧電トランス素子の駆動振動モードの節に相当する位置
    に形成することを特徴とする請求項5記載の圧電トラン
    ス素子。
  7. 【請求項7】 前記複数の第2内部電極及び柱状導体に
    より形成されたメッシュ状の2次側電極は、前記圧電ト
    ランス素子の幅方向の断面積の5%以上を占めることを
    特徴とする請求項3記載の圧電トランス素子。
  8. 【請求項8】 更に、前記第1の領域側の前記平面上
    に、前記第1及び第2内部電極、そして前記第1及び第
    2外部電極から絶縁されたところの第3外部電極を、前
    記2次側電極のもう一方の電極として形成することを特
    徴とする請求項2記載の圧電トランス素子。
  9. 【請求項9】 前記複数の圧電素子の中で、前記第3外
    部電極及びその電極に一番近い前記第1内部電極の間に
    配置された圧電素子は、分極されていないことを特徴と
    する請求項8記載の圧電トランス素子。
  10. 【請求項10】 前記第3外部電極は、前記圧電トラン
    ス素子の駆動振動モードの節を含む位置に形成すること
    を特徴とする請求項9記載の圧電トランス素子。
  11. 【請求項11】 厚み方向に分極されると共に1次側電
    極が形成された第1の領域と、長手方向に分極されると
    共に2次側電極が形成された第2の領域とを有し、複数
    の圧電素子が積層された圧電トランス素子であって、 前記1次側電極として、前記複数の圧電素子の層間の前
    記第1の領域側に配置された複数の内部電極と、 前記圧電トランス素子の表面上に形成され、前記複数の
    内部電極に電圧を印加する複数の第1外部電極と、 前記2次側電極として、前記第2の領域の端部に形成さ
    れた第2外部電極と、 前記2次側電極のもう一方の電極として、前記第1の領
    域側の前記圧電トランス素子の表面であって前記第1外
    部電極が形成された表面上に、前記複数の内部電極、並
    びに前記第1及び第2の外部電極から絶縁されて形成さ
    れた第3外部電極と、を有することを特徴とする圧電ト
    ランス素子。
  12. 【請求項12】 前記複数の圧電素子の中で、前記第3
    外部電極及びその電極に一番近い前記内部電極の間に配
    置された圧電素子は、分極されていないことを特徴とす
    る請求項11記載の圧電トランス素子。
  13. 【請求項13】 前記第3外部電極は、前記圧電トラン
    ス素子の駆動振動モードの節を含む位置に形成すること
    を特徴とする請求項12記載の圧電トランス素子。
  14. 【請求項14】 前記複数の内部電極は、前記第1の領
    域に内包された少なくとも2本の柱状導体によって1層
    おきに接続されることにより、2つの内部電極群を成す
    ことを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れかに
    記載の圧電トランス素子。
  15. 【請求項15】 前記少なくとも2本の柱状導体は、前
    記圧電トランス素子の駆動振動モードの節に相当する位
    置に形成することを特徴とする請求項14記載の圧電ト
    ランス素子。
  16. 【請求項16】 前記内部電極が、前記圧電トランス素
    子の内部に内包されて形成されていることを特徴とする
    請求項15記載の圧電トランス素子。
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