JPH1080676A - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

汚染土壌の浄化方法

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JPH1080676A
JPH1080676A JP8236420A JP23642096A JPH1080676A JP H1080676 A JPH1080676 A JP H1080676A JP 8236420 A JP8236420 A JP 8236420A JP 23642096 A JP23642096 A JP 23642096A JP H1080676 A JPH1080676 A JP H1080676A
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soil
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injected
liquid
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JP8236420A
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Yukitoshi Okubo
幸俊 大久保
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Shinya Furusaki
眞也 古崎
Takeshi Imamura
剛士 今村
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚染土壌の微生物分解浄化に際して注入され
た微生物材料が注入域先端部で起る分解能力低下の改
善。 【解決手段】 注入初期の注入成分濃度を注入終了時よ
り高く設定して行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は汚染源の化学物質を
生物学的に分解する土壌修復に関する。更に詳しくは、
原位置処理(IN SITU)の土壌汚染の修復であ
り、詳しくは、汚染地下へ液状の微生物汚染物質分解材
料を供給する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテン等の炭化水素、あるいはトリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン、テトラクロロエタン等の有機塩素
系化合物等による環境汚染が問題となっている。これら
の多くは土壌中に浸透し、分解されずに、徐々に地下水
に溶け地下水を通じて汚染領域が拡大する。
【0003】これらの深刻な環境汚染の再発を防止する
と共に、すでに汚染されてしまった環境を浄化し、もと
の状態に戻す技術の確立が強く望まれている。
【0004】この環境修復技術の例としては、汚染され
た地下水を汲み上げて揮発性の有機物を分離し、活性炭
に吸着させる曝気処理、汚染土壌を太陽や熱源にさら
し、揮発性有機物を熱により蒸発させる加熱処理、汚染
土壌にボーリング穴を設け、真空で汚染物質を吸引する
真空抽出、また汚染土壌を真空釜に入れて加熱し吸引し
て抽出する真空釜処理等が行われている。
【0005】特に高濃度で、局部的な汚染の場合はこれ
らの物理化学的処理が有効となることもあるが、汚染が
低濃度で、広範囲である時、処理速度やコストが問題と
なる。また活性炭によりこれら有機物を回収できても、
通常難分解性の物質が多く、これを更に無害化するため
の処理が必要となる問題を有していた。これら物理化学
的処理の問題点を解決できる方法として、近年微生物に
よる生物学的な処理を用いた土壌修復法が検討されてい
る。
【0006】微生物、特に土壌に棲息できる微生物が汚
染物質を分解する方法であれば、自然のエネルギーによ
り浄化が行われ、投入エネルギーも小さく、また分解も
水や炭酸ガスにまで進められる。
【0007】さて、土壌汚染を引き起こしている難分解
性化合物、例えば、芳香族炭化水素や有機塩素系化合物
を分解する微生物は数多く知られている。しかしなが
ら、実際の汚染土壌に、これらの微生物分解材料をその
まま散布したところで、通常は材料の供給に過不足や不
均一を生じ的確な浄化が行われない場合が発生する。
【0008】これは「汚染物質の分布」と「微生物分解
材料の散布」では時間的差異、物理化学的性質の差異が
あり同一になり難いためである。
【0009】これらを克服するため、微生物分解材料を
地中内に強制的に配置する施工をするか、材料を土質層
内に挿入したパイプで圧送する等の方法が用いられてき
た。従来USP−5,120,160(Environ,Reclam
ation Sys.Inc.)やDE−3839093 C2(Baue
r Spezialitiefbau Gmbh)、USP−5,080,78
2(Environ.Sci.& Eng.Inc.)、USP5,032,0
42(New Jersey Institute of Technology)、USP
4,401,569(Sep.9,1981)等において地中内へ
微生物や栄養物を供給して、汚染物質を生物浄化する提
案があった。しかしこれらは微生物分解材料の的確な分
布、即ち深さと広がりの濃度分布について保証する技術
ではない。汚染された地下水を汲み上げて物理化学的も
しくは微生物学的に処理する方法も試みられているが、
この方法は、汲み上げや処理のエネルギーを要し、浄化
のための地上施設を要し、更に地盤沈下を生じたり、地
下水流の下流側での利用に支障を生じたり、伏流水の変
化による下流生態系への影響等問題が少なく無かった。
【0010】またUSP4,442,895(S-Cubed,
La Jolla)で知られるように、本発明と異なる石油や天
然ガスの採取、軟弱地盤の固化等の分野で、地層内に加
圧流体を注入することが行なわれているが、これは土壌
に亀裂を生成させる目的であり、本発明の意図する分解
材料の地層内への供給手段として行なわれた技術ではな
かった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来、菌やその栄養素
等の微生物分解材料を土壌中に直接供給する方法では、
汚染物質の分布に対応した分布を、地表面で人為的に作
ることが非常に難しかった。このような不十分な菌の分
布コントロール下では過剰にこれらを供給する等分解の
効率低下や経済性で不利であった。一方地中へ分解材料
を供給するため、広い領域で、地中深く掘り起こすこと
は物理的に困難かコスト的に難点が生じる。また単に地
表面からの散布により自然拡散させる場合は、汚染物質
の拡散し始めた時間と生物学的分解物を供給する時期の
時間的ズレから両者の分布状態を同じにすることは困難
である。特に拡散性の差は、この時間的差に加え、両者
の比重の差、土壌との化学的、もしくは生物学的親和性
の差等も分布の違いを増長させる原因となる。特に従来
の方法は不飽和帯と飽和帯水層で異なる供給状態になる
問題についての解決手段が示されていなかった。
【0012】そこで、ボーリング穴を設け、その穴より
これら微生物分解材料を注入する方法が提案されていた
が、ボーリング穴から一定の濃度の注入をしても、材料
が注入された範囲で、均一の濃度にならない問題があっ
た。
【0013】これは、土質層に含まれる水の希釈効果に
より注入領域が広がるに従って注入領域周辺部の濃度が
低下し、この領域では所望の汚染物質分解効果を発揮で
きない欠点を有していた。
【0014】本発明の目的は、上述の従来の技術におけ
る土壌修復で土壌中での微生物材料の分布が充分には制
御されないと云う問題点を解決することにあり、注入領
域周辺部でも十分な分解能を有する濃度の菌液を供給す
る事を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハロゲン化炭
化水素等で汚染された土壌地下水領域の地表の少なくと
も1か所以上に、液体状材料を加圧注入できる注入管を
設け、この注入管より該汚染物質を分解できる液体状の
微生物材料を加圧注入し、汚染土壌又は汚染地下水を原
位置にて浄化する方法において、任意の注入ポイント
で、注入開始時点と終了時点において濃度差を付与する
ことにより、注入領域内の濃度を所望の濃度に保てるこ
とを見いだしたことに基づく。
【0016】以下本発明について詳述する。
【0017】土壌汚染が実質的に環境へ影響を与える経
路は、汚染物質の性質や汚染状態により多様である。し
かしながら、近年特に問題とされている有機塩素系の溶
剤による土壌汚染の場合は、地下に漏洩した溶剤が、地
中深くに浸透し、徐々に地下水に溶解し、この地下水の
移動と共に汚染領域の拡大を生じ、地下水下流域におい
て、この地下水を直接利用する時に初めて問題が顕在化
したり、もしくは地下より湧き出た伏流水、更には河川
への流出時に問題となることが多かった。
【0018】汚染土壌が局所的で、汚染の初期であれ
ば、汚染された土壌を直接処理することにより問題を解
決することが可能となる。しかしながら、今日問題とな
る多くの例は、有機塩素系の溶剤が広く使用されだして
10数年以上経過し、初めて問題に気付いた場合が多
く、その実態は土壌に深く浸透した溶剤が土壌物質に吸
着され、ここを通過する地下水に、少しずつ溶解して、
上述の地下水汚染として環境に影響を与えている。
【0019】ここで比重の大きな有機塩素系溶剤の典型
的な汚染機構について述べる。図1は典型的な有機塩素
系汚染土壌の地下断面の模式図である。
【0020】まず汚染源Cより土壌I(表土)、H(ロ
ーム層)、G(砂層)やF(砂礫層)へ浸透した溶剤は
土壌に吸着され、吸着できない過剰な溶剤は下層の土壌
に次々と吸着が進行する。この時の汚染物質の分布は急
峻な山型となり、浸透し、吸着できる土壌があるかぎ
り、水平方向への分布はあまり進行しない。
【0021】次に溶剤が十分浸透できない地層E(シル
ト質粘土層)や緻密な土質層にある帯水層に到達する
と、溶剤は、その近辺に滞留することになる。次に地上
から供給された雨水もしくは地下水が、土壌と水の間
で、溶剤の吸着平衡をとり、一定の分配係数により、水
へ溶剤が溶解する。多くの場合有機塩素系溶剤では、溶
解度は低く数1000ppm以下である。この数値は物
理的に見れば溶解度としては低い数字であるが、環境汚
染としては大きな数値である。更に、汚染物質の土壌と
地下水への吸着平衡(分配係数により一定値を保つ)が
新規に流入し供給されてくる地下水により再平衡へズレ
ると、溶け出した溶剤は水を介して汚染を拡大する。地
下水流Jは地下水位Dより下で生じるが、砂礫層の吸着
はローム層やシルト層に比較して溶剤の吸着が少なく、
このことは地下水流の移動し易い砂層、砂礫層で汚染物
の拡大を増進させることとなる。また地中に浸透した有
機塩素系溶剤は液体状での拡散と共に、地中で蒸発し、
地下空気の汚染を生じており、この汚染は低濃度で広い
領域を汚染する場合が多くなる。
【0022】本発明の目的は、このような汚染機構を考
慮して、短時間に有効な汚染浄化対策を提供することに
ある。即ち、土壌中深くに浸透した汚染溶剤を土壌ごと
掘り起こし、除去するには、多くの場合困難を伴う。浸
透する土壌の深さは地層により異なるが、数メートルか
ら数十メートルに達することがある。汚染地の地上部に
は稼働中の工場や、施設、住宅等があることも多い。ま
た当然のことながら、深くなればなるほど汚染領域は広
くなる。緩慢な地下水の移動は、汚染が察知されるまで
に長時間を要し、このことも、汚染領域が拡大する原因
になっている。従って汚染領域全域についての完全な浄
化は非現実的にならざるを得ない場合がある。
【0023】本発明ではこれら帯水層および非帯水層で
の汚染機構に対し、的確な位置及び配置にて、短時間で
微生物学的浄化(バイオレメディエーション)による修
復を実施することを狙いとしている。
【0024】次に生物学的に有害化学物質を分解する方
法について述べる。
【0025】本発明で問題としている土壌汚染を引き起
こしている有害化学物質は、難分解性化合物で、例え
ば、芳香族炭化水素系化合物や有機塩素系炭化水素化合
物である。これらを分解する微生物は数多く知られてお
り、またあるものについては分解酵素が明らかにされて
いるものも知られている。しかしながら、現実の汚染土
壌にこれらの微生物または酵素をそのまま散布しても土
壌中の有害化学物質に対して十分な効果は期待できな
い。
【0026】その理由のひとつはこれら微生物材料と化
学物質の分布の特性が異なり、しかも分布の時間的経過
を同じにできないためである。
【0027】他の理由は培養器等地上の一定の条件下
で、分解活性が得られても、地中にて同様な棲息条件が
得られないからである。
【0028】直接微生物材料を地上もしくは地中に散布
すると、通常散布時の初期濃度に対して、土壌中でこの
微生物は時間と共に急速に減少する。
【0029】減少する理由はかならずしも明確では無い
が、土壌の在来微生物との競合、栄養その他の環境不適
合からの死滅、原虫等他の生物群による捕食等によると
考えられる。
【0030】そのため、微生物材料を頻繁に、大量に蒔
く等の対策を必要とし、処理時間、コスト等に不都合を
生じる。従って、有害物の存在する土壌中で、微生物が
増殖し、活性を維持させる方法が強く求められている。
従って、地中にこれら微生物を供給する時には、同時に
微生物活性材料、生残材料、増殖材料等を合わせて供給
する必要がある。
【0031】本発明ではこれら微生物による分解に必要
な材料をまとめて、またはシークエンシャルに、また適
宜の時間間隔で目的とする場所に、必要な量を供給する
ことを目的としている。
【0032】この発明では土壌中へ必要な材料を供給す
る時、目的とする場所へは、すくなくとも一本以上の多
段の注入口を持つ注入パイプを挿入し、このパイプから
目的とする深さの注入口のみを選んで注入すべき材料を
必要量圧入し、次に異なる深さの注入口から同様の圧入
を行い、必要な量注入する。
【0033】これら単位操作を容易に繰り返し行える施
行方法を考えだし、これを用いて最適の注入方法を得た
ことに基づく。
【0034】次に注入に必要な材料について述べる。汚
染化学物質を分解するために本発明で使用する微生物材
料は、化学物質を分解できる微生物材料であり、これに
添加する材料として、微生物の増殖に必要となる増殖機
能を与える材料、微生物による分解を発現させる活性維
持機能材料、微生物が地中に入って安定に棲息できる担
体となる生残機能材料、これらの材料に加え、地中に容
易に浸透させるための浸透機能材料やこれら材料の浸透
を容易に確認するための指標機能材料、更に浸透機能を
高めるチャンネル形成剤等を任意に追加できる。これら
の機能材料は各々単独の材料から構成されることもある
が、複数の機能を合わせ持つ材料も用いられる。
【0035】増殖材料は微生物の培地に相当するもので
ある。微生物は栄養素により増殖し、有害物の分解に寄
与する。必要に応じて活性維持材料や生残材料が加えら
れる。活性維持材料は汚染物質の分解を実質的に推進す
るためのもので、栄養素と区別できない場合もある。微
生物は特定の物質が直接代謝できない時、この特定の物
質を分解するため、誘導物質(インデューサー)により
分解酵素を生産し、分解を進める。汚染物の分解はこの
時に微生物が生産する酵素により可能となる。この発明
ではこの有害物分解酵素を生産するのに必要な材料を活
性維持材料とした。
【0036】生残材料は、ひとつには微生物が地中にお
いて他の微生物や微小生物により捕食されたり、競合す
る時に、これらから保護されるための棲息空間を付与す
るものである。またある時には有効な微生物が地下水中
に拡散消滅するのを防ぐ意味で、固定化担体となる場合
も含む。これは増殖材料、つまり栄養素そのものがこの
機能を果たすことも可能である。
【0037】次に本発明に利用できる微生物の具体的な
名称を示す。微生物としては分解活性が確認されている
材料が使用されるが、次の属にあるものから選択され
る。
【0038】Saccharomyces 、Hansenula 、Candida 、
Micrococcus 、Staphylococcus、Streptococcus 、Leuc
onostoc 、Lactobacillus 、Corynebacterium 、Arthro
bacter、Bacillus、Clostridium 、Neisseria 、Escher
ichia 、Enterobacter、Serratia、Achromobacter 、Al
caligenes 、Flavobacterium、Acetobacter 、Nitrosom
onas、Nitrobacter 、Thiobacillus、Gluconobacter 、
Pseudomonas 、Xanthomonas 、Vibrio、Acinetobacter
、Methylocystis 、Methylosinus、Mycobacterium 増殖材料としては、微生物培養の培地で使用されている
ものを使用することができる。例えばブイヨン培地、M
9培地、L培地、Malt extract、MY培
地、硝化菌選択培地等が有効である。
【0039】活性維持材料としては、分解菌が特定され
ているものでは、誘導物質として知られているものがあ
るが、天然材料ではこれらが混在した状態にあるのが普
通であり、また特定できないものも多い。特に混合状態
の微生物の場合には、ある微生物の代謝物が別の微生物
の誘導物質として機能する共生系となることが多い。し
たがって、混合微生物を使用する場合には種々の物質が
共存する天然の有機物が有効となる。特定されている誘
導物質としてはメタン資化菌ではメタンが、芳香族資化
菌では、トルエン、フェノール、o−,m−,p−クレ
ゾール等が、硝化菌ではアンモニウム塩などがある。
【0040】いまトリクロロエタンを分解できる菌とし
て知られているものを例に上げると、これまでに、十数
種が発見、単離されている。このうち代表的なものはそ
の基質の種類によって大きく2つに分けることができ
る。
【0041】即ちメタン資化菌とフェノール等の芳香族
化合物資化菌である。前者の代表的なものは、メタンモ
ノオキシゲナーゼを有するMethylocystis sp.strain M
(Agri.Biosci.Biotech.Biochem.,56,486(1992) 、同56,
736(1992)) 、Methylosinus trichosporium OB3b(Am.Ch
em.Soc.Natl.Meet.Div.Environ.Chem.,29,365(1989)、A
ppl.biochem.Biotechnol.,28,877(1991))であり、後者
は、トルエンモノオキシゲナーゼあるいはトルエンジオ
キシゲナーゼを有するAcinetobactor sp.strainG4(App
l.Environ.Microbiol.,52,383(1986) 、同53,949(1987)
同54,951(1989)同56,279(1990) 同57,1935(1991))、
Pseudomonas putida F1(Appl.Environ.Microbiol.,54,1
703(1988) 、同54,2578(1988))がその代表格である。こ
れらのうち、芳香族化合物資化性トリクロロエタン(T
CE)分解菌に関しては、TCEを分解する酵素は、フ
ェノール、トルエン等の芳香族化合物によって誘導され
る誘導酵素であり、そのため、これらの微生物でTCE
を分解させるためには、芳香族化合物を含んだ、もしく
は芳香族化合物に分解される材料が使用される。
【0042】本発明の微生物材料は、上記物質の全部ま
たは一部を水溶液もしくは懸濁液とし、これに指標物質
やチャンネル形成剤を加えたものが用いられる。
【0043】指標物質としては、液体状の微生物材料に
溶解し、これが土質層内で流動した時微生物材料液と一
緒に移動し、移動地点で容易に検出でき、かつ実質上無
害なものが用いられる。指標物質は移動到達地点で容易
に検出できるもので、汚染地下水に存在しないか、もし
くはあり得ない物理的ないしは化学的性質の物質から選
ばれる。指標物質の例としては食品添加物で使用されて
いる色素や比較的容易に土壌微生物で分解できる水溶性
有機色素、天然で生じ得ない組成比の安定同位体からな
る水、電気伝導度が変化する微量な有機酸や微量の食塩
等が用いられる。
【0044】また比較的短時間で到達可能な検出位置で
は、注入水と土質層内の温度を異ならせて、指標物質に
変えることもできるなど特定の物質を用いずに、特定の
物理的性質を利用することもできる。
【0045】次に実際の汚染地域における浄化方法につ
いて述べる。
【0046】汚染の領域や汚染物質の拡散方向を解析し
たら、一般的には、可能な物理的浄化対策が実施され
る。この発明では、物理的浄化対策が実施できない時、
もしくは可能な対策が施された後の残留汚染物を除去す
るのに用いることもできる。
【0047】図2は本発明で用いる注入パイプの各ユニ
ットの断面図である。
【0048】汚染領域20の少なくとも一カ所に多段注
入口23を持つ注入用外管22を挿入し、この外管22
の外周辺を充填材30により囲む。外管22の内側には
噴出口28を持つ内管21を挿入する。内管21の噴出
口28の上下に、この隣接する注入口へ液体や気体が移
動しないようパッカー29が設けられている。内管21
は上下に可動できるようフレキシブルなパイプ32と延
長可能な接続パイプ(図示せず)につながれている。こ
のパイプの末端はバルブ25を介して送液ポンプ24も
しくはコンプレッサーに接続され、微生物材料タンク2
7の液体を送るか、26のバルブを介して別の流体を送
る。
【0049】弁33が各注入口で流体を送り出す方向に
のみ開通するように設けられている。外管22は各段ご
とユニットを接続して、目的地層の深さに応じて適宜連
結し、長さが変更可能な構造となっている。注入口のピ
ッチは一段のパイプ長を変更することで任意に設定され
るが、あらかじめ設定したピッチのパイプを使用する。
通常30cmから1m程度のピッチのものが用いられ
る。注入は噴出口を目的とする注入位置へ配置後、パッ
カーを膨張させて管内壁をシールする。パッカーの膨張
は注入用流体自体をゴム状体の内部に送り込むか、別途
パッカーを膨張させる流体を送る機構を設けることによ
り気密シールを得る。
【0050】この発明ではこのような注入管により微生
物材料を注入することに関するものである。
【0051】図3は上記注入管31の一つの注入口33
から微生物材料を地中内40に注入した様子を示す。注
入された微生物材料の注入領域を32で示す。
【0052】注入では一定の汚染領域に対して、できる
だけ少ない注入管の配置で、汚染物質の効率的分解を行
い、設置費用の削減をしたいという一般的な要求があ
る。
【0053】このため、それぞれの注入口からの注入材
をできる限り広くすることが望まれる。しかしながら、
実際に一つの注入口から大量に微生物材料を注入する
と、この注入領域内の微生物材料濃度が、注入の中心部
から周辺部に向かって濃度勾配を生じ不足する欠点があ
ることを見いだした。
【0054】本発明ではこの周辺部における濃度低下を
改良することができる。
【0055】次に濃度低下のメカニズムを説明する。
【0056】比較的均一な土質を例に取ると、注入は土
壌内の空隙に液体状の微生物材料が浸透する事により注
入領域が広がり、注入口を中心に球体となる。
【0057】乾燥状態で、比較的緩慢な速度で注入を行
うときには、この空隙は空気により満たされているの
で、ここに順次液体が浸透するだけでは微生物材料の濃
度低下は生じない。
【0058】ところが、高速度での注入では、空隙を順
次充たすことなく液体が広がることになり、この時は中
心部から離れるに従って到達液体が少なくなり、実質上
汚染土に対しての微生物材料の存在は中心からの距離に
反比例して減少し、実質的な濃度低下となる。
【0059】より大きな濃度低下の原因は土壌内の空隙
にある水が影響している。
【0060】土壌内の水による濃度低下の希釈メカニズ
ムは基本的には二つのモードによって規定される。
【0061】一つのモードは均一化である。これは空隙
にある水と浸透してきた微生物液体材料が完全に均一化
してその場の濃度低下を生じるものである。
【0062】他のモードは置換である。これは空隙に浸
透してきた液体がそこに元からある水を押し出して、こ
の空隙が注入された液体で充たされるものである。この
時には注入領域での濃度低下は生じない。
【0063】実際にはこの二つのモードと前述の空隙が
完全には充たされずに注入領域が広がる材料液体の分散
の効果が重なり合って注入領域の周辺部での濃度低下が
生じる。また注入領域の拡大と増殖する微生物のための
酸素供給を行う目的で、注入後空気を供給する場合に
は、間隙は完全には充填されず、注入液が分散するよう
な注入状態となり、周辺部での濃度低下を生じる。
【0064】この発明ではこうした注入領域周辺部での
濃度低下を補完する目的で、注入終了時(注入口近傍の
濃度)に対し、注入初期(注入領域の周辺部に移行する
材料)の濃度を高く設定することを特徴としている。
【0065】図4はこの発明による濃度補正の一つの方
法で、土壌の間隙を完全に液体材料が充たしていく時の
充填方法(均質注入)の場合の説明図である。
【0066】図の(a)は注入時間に対する材料の濃度
変化を示した。縦軸が濃度cで、横軸が注入時間tであ
る。
【0067】線(a1)は均一濃度c0 で注入した場合
である。
【0068】図の(b)は注入口からの距離による濃度
分布を示す。横軸が注入口からの距離rで、縦軸が注入
された土壌内での実際の濃度cである。
【0069】均一濃度c0 で注入した時の土壌内におけ
る濃度分布曲線(b1)では、中心部がほぼ置換効果に
より注入濃度を維持しているのに対し、周辺部では注入
速度の低下とともに押し出された水と間隙水との均一化
が生じ、拡大する周辺部で注入液は急激な濃度低下を生
じていることを示している。
【0070】本発明では図の(a)の(a2)に示すよ
うな時間に対する濃度勾配曲線で注入することを特徴と
している。
【0071】即ち周辺部へ到達する供給液に対しては高
濃度液を供給し、これ以外の中心部側の領域では汚染物
質の分解適正となる均一濃度c0 と同等の濃度で供給す
るものである。
【0072】このように注入初期の濃度を十分高く保持
することにより、図の(b)の(b2)に示すよう中心
部から周辺部まで均一な濃度の注入領域が得られる。
【0073】典型的には注入初期は高濃度で注入し、こ
の液が外周部に対応する分量だけ注入した後は適正濃度
で注入するという2段階濃度の注入方法である。
【0074】もう一方の補正方法は完全な充填が行われ
た後これを空気圧で飛散させ注入領域を拡大する場合
(分散注入)のもので、この時は、理想状態であればこ
れは飛散距離の立方根に逆比例させた濃度勾配で注入を
行うものである。即ち一定濃度の球体を放射状に拡散さ
せたとき、この領域内での単位体積あたりの微生物材料
は距離の立方根で分布することに基づく。
【0075】実際の注入では、この二つの注入のどちら
により近似できるかによって大まかに補正方法を決定で
きる。
【0076】最も確実な方法は注入すべき土質と同一な
地層において、あらかじめ実験的に濃度低下量を測定し
て、これに対する補正濃度を決定して、汚染土壌へ適用
することが望ましい。しかし、多くの場合土質、空隙
率、含水率等の土性が適用汚染地と一致するケースは得
にくいので、上記2種の注入方法でいずれか選択した方
法に応じた補正法を用い、部分的な修正を実状に応じて
行う。
【0077】また上記の典型的な例は主に砂層のような
比較的透水性のよい均一地質にたいしての適用について
述べたが、シルト層や粘性土壌の場合は、注入により亀
裂形成する事があり、この時は球状のモデルより円状の
モデルを想定した方が良いが考え方としては均質注入
か、分散注入かにより濃度補正を適用すればよい。
【0078】
【実施例】
実施例1 5m四方のコンクリート容器内に4.5mの厚さに細砂
層を形成し、その表面を厚さ20cmコンクリート層で
被覆して、サンプル土壌を作成した。該容器の中央部に
外径50mm、内径44mm、長さ4mの、先端部が閉
塞され、その閉塞された先端から500mmの位置に閉
口部を備えたパイプを埋め込み注入井戸とした。
【0079】次いで微生物としてJM1株(FERM
BP−5352)を109個/mlの割合で含む菌液を
用意し、栄養源として2%の蓚酸ナトリウムと1.2%
燐酸二水素ナトリウム、0.4%塩化アンモニウムを含
む水溶液を作成し、この水溶液を用いて前記菌液を、菌
濃度が106個/mlとなるように希釈し、土壌注入用
の微生物材料の液を作成した。
【0080】この微生物材料の液1200mlを上記で
作成したサンプル土壌に注入井戸から注入した。その結
果菌は該注入口を中心とする直径1200mm程度の領
域にまで注入された。そして菌濃度は、該井戸を中心と
する直径250mmよりも外側において急激に低下し、
例えばこのサンプルを15℃の環境下に48時間放置し
た時に、TCE汚染土壌の処理分解に必要な菌株の濃度
である107個/g以上の濃度にするのに必要な菌の初
期濃度105個/gを示したのは該注入口を中心とする
直径800mmの球状の領域内であった。
【0081】次に上記と同様の方法で新たにサンプル土
壌を作成した。また上記と同様にして菌濃度が107
/ml及び106個/mlの微生物材料の液を作成し
た。最初に、菌濃度が107個/mlの液800ml
を、新しいサンプル土壌に井戸から注入し、次いで菌濃
度が106個/mlの液400mlを注入した。その結
果菌は注入口を中心とする直径1100mmの球状の領
域内に注入され、注入先端でも105個/g程度の菌が
認められた。
【0082】次いで上記と同様の方法で新たなサンプル
土壌を作成し、該サンプル内の細砂1g当たり10μg
のトリクロロエチレン(TCE)で汚染させた。このサ
ンプルに対して菌濃度が107個/mlの液800ml
を、新しいサンプル土壌に井戸から注入し、次いで菌濃
度が106個/mlの液400mlを注入した。このサ
ンプル土壌を15℃で48時間放置した後に土壌中のT
CE濃度を測定した。その結果注入口を中心とする直径
1500mmの領域でTCE濃度は殆どゼロであった。
【0083】
【発明の効果】この様に本発明によれば、注入先端にま
で汚染物質の分解に必要な濃度の菌を到達させる事が出
来、その結果菌による汚染物質分解領域を制御するこ
と、さらには菌液の消費量を抑えることが可能となっ
た。例えば単一濃度の菌液を注入口から注入した場合、
注入領域周辺部では土壌中の含水成分等によって希釈さ
れる為、汚染領域全体に所定濃度の菌を分布させようと
すると過剰量の菌液の注入を必要とする。その結果菌液
の注入先端は汚染領域を大きく越えてしまい、注入菌に
よって生態系に必要以上の影響を及ぼしてしまう事にな
りかねない。しかし本発明によれば過剰量の菌液を用い
ること無しに注入領域周辺の菌濃度を十分に高めること
が出来、注入菌による生態系への影響を最小限にとどめ
ることが出来る。
【0084】また従来法と同じ量の分解菌の注入に対し
て、分解領域を拡大することが出来、微生物による分解
効率が高まる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】汚染土壌の地下断面の模式図
【図2】注入パイプの各ユニットの断面図
【図3】微生物材料を地中内に注入した様子を示す図
【図4】均質注入の場合の説明図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今村 剛士 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化炭化水素で汚染された土壌地
    下水領域に地表部から少なくとも1か所以上に、液状化
    材料を加圧注入できる注入管を地中へ挿入し、この注入
    管より該炭化水素を分解できる液体状の微生物材料を加
    圧注入し、該汚染物質を分解する材料により汚染土壌又
    は汚染地下水を原位置にて浄化する方法において、注入
    の開始時から終了時までに注入する微生物材料の濃度を
    変化させることを特徴とする汚染土壌又は汚染地下水の
    浄化方法。
  2. 【請求項2】 注入開始時から終了時までに注入する微
    生物材料の濃度を減少させることを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 注入終了時の微生物材料の濃度を所定の
    分解適正濃度に調整して行なうことを特徴とする請求項
    2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 注入後に微生物材料を微生物材料以外の
    気体もしくは液体により拡散させることを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 微生物材料は菌株JM1株(FERM
    BP−5352)を含むことを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれかに記載の方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007061663A (ja) * 2005-07-14 2007-03-15 Karuto Kk 浄化用パイプの移動体ユニット及びこれを用いた土壌の浄化方法
JP2011231144A (ja) * 2010-04-23 2011-11-17 Ohbayashi Corp 汚染地盤の浄化材及び浄化方法
CN106964644A (zh) * 2017-02-24 2017-07-21 北京绿安创华环保科技股份有限公司 一种有机物污泥土壤修复剂、制备方法及其在污泥消纳中的应用
JP2019103987A (ja) * 2017-12-14 2019-06-27 日鉄エンジニアリング株式会社 土壌浄化方法

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