JP3155918B2 - 微生物による環境修復方法及び土壌処理方法 - Google Patents

微生物による環境修復方法及び土壌処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は汚染土壌を微生物を
用いて修復する方法及び土壌の処理方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】急速な科学技術の進歩に伴い、衣食住をは
じめ移動や通信手段など多岐にわたって人類は恵まれた
生活環境を享受してきた。その一方で、化石燃料の排ガ
スや人工的な化学原料・化成品などによって、気水陸圏
におよぶ地球レベルの自然環境を少しずつ蝕んできた。
なかでも、陸圏は人類の生活の場であるため最も汚染の
影響を受けている。又気水陸圏において水が循環してい
ることを考えると、陸圏の環境汚染は地球レベルへと拡
大していく深刻な問題である。これまでによく知られた
土壌(陸圏)の汚染物質としては、ガソリンなどの炭化
水素、PCBなどのハロゲン化炭化水素、ダイオキシン
などの催奇性を有する農薬、あるいは放射性化合物など
が挙げられる。なかでも有機化合物類は自動車燃料,精
密部品の洗浄溶剤,ドライクリーニング用溶剤、及び殺
虫・除草目的の薬品として大量に使用され、これらによ
る土壌の汚染が現在も進行しつつある。さらに、汚染有
機化合物の一部が強い発がん性を有することが指摘さ
れ、生物界に極めて重大な影響を及ぼすことが明らかに
なった。そのため、有機化合物による土壌汚染は早急に
解決すべき課題となっている。
【0003】有機化合物で汚染された土壌の修復方法と
しては、汚染土壌を掘り起して加熱処理する方法、汚染
土壌において真空抽出する方法、あるいは汚染物質を分
解する能力を有する微生物を利用する方法などが挙げら
れる。加熱処理法ではほとんど完全に土壌から汚染物質
を取り除くことが可能である。しかし土壌掘削が必要で
あるから建造物の下の浄化処理は困難であり、また掘削
・加熱処理に要する費用が比較的高額であるため広範囲
な汚染土壌の浄化にも適用困難である。真空抽出法は安
価で簡便な浄化方法である。しかし低濃度汚染の除去に
は長い時間を必要とするため、主に高濃度汚染の浄化に
有効である。微生物による浄化方法は汚染土壌を掘削す
る必要がないため建造物下の浄化が容易であり、分解活
性の高い微生物を利用することにより低濃度の有機化合
物を短時間で浄化できる特徴を有しているので、環境に
優しい浄化方法として現在注目されている。
【0004】従来、土壌汚染の微生物による浄化方法
は、土壌に元来生息する土着菌を利用する方法と土壌に
生息しない外来菌を利用する方法に分けられる。前者の
場合は、分解活性を高めるための栄養素、インデューサ
ー、酸素、あるいはその他の化学物質を土壌に注入し、
浄化を行う。また後者の場合は、外来菌を土壌に注入す
ると共に、その分解活性を高めるための栄養素などの注
入工程を行う。このような微生物を利用した汚染土壌の
浄化方法においては、広範囲な土壌領域において微生物
による分解活性を長時間にわたり高く維持することが望
まれるが、少なくとも現在の微生物制御技術でこれを達
成するのは困難である。むしろ修復すべき土壌範囲を限
定し、この範囲における微生物の分解活性を制御する方
法が修復費用、修復期間および安全性を含めた総合的に
効率のよい土壌浄化方法となりうる。
【0005】上記した技術に関する先行技術としてUS
P5,133,625では伸長可能な注入パイプを用い
て注入圧力、流速および温度を測定して注入圧力を制御
する方法が述べられている。この方法は、注入圧力によ
り微生物濃度や栄養素濃度等を制御して微生物の分解活
性を最適に維持させるものであり、主として微生物によ
る浄化工程の制御を目的としている。
【0006】またUSP4,442,895およびUS
P5,032,042は、注入井より土壌中へ気体や液
体を加圧注入して土壌のクラッキング(土壌破砕)を行
うものであり、その際に微生物浄化に必要な酸素や栄養
素なども供給できることが述べられている。しかしなが
ら、この方法はできる限り広い範囲をクラッキングする
ことを目的としており、修復領域を限定することは意図
されていない。
【0007】USP5,111,883では、注入井と
抽出井の相対位置により土壌水平方向および垂直方向に
おいて所定の領域に薬液を注入する方法が述べられてい
る。これは、幾何学的方法により土壌中の決められた位
置へ薬液を注入することを目的としており、微生物浄化
においても修復領域を限定する極めて有効な方法と考え
られるが、装 置構成が複雑となる欠点を有している。
【0008】注入井から限定された領域に微生物あるい
は分解活性を維持するための物質を注入するには、注入
井から所定距離の土壌位置に不透水層を形成し、これを
バリア壁として注入領域を限定する方法が考えられる。
従来このような不透水層を形成させる方法としては、地
中にプラスチックシートを敷いたり、アスファルト層を
設ける方法、あるいはセメント、水ガラス、ウレタン、
アクリルアミド、アクリル酸塩などの処理剤を土壌中に
注入する方法が知られている。日本特許(特公平2−2
6662および5−27676)では土壌中のイオンに
よって不溶化する水溶性ポリマーを用いて土壌中の所定
の位置に不透水層を形成させる方法が述べられている。
この方法は不透水層をバリアとして物質移動を制限する
ものであり、土壌中への微生物や栄養素などの注入工程
においても、その注入領域を限定する技術となりうる。
しかし、プラスチックシートの埋設やアスファルト層の
形成には土壌の掘り起しと埋め戻しが必要であり、微生
物による土壌修復の意図とは相容れない。また、セメン
トなどの処理剤や水溶性ポリマーを注入する方法では、
完全なバリア壁を形成するには数多くの処理剤注入井が
必要であり、微生物による経済的な土壌修復への適用は
困難である。
【0009】また外部から土壌中に微生物等を注入する
場合、上記の技術を用いたとしても注入した微生物等を
修復すべき土壌内に均一に分布させることは困難であ
る。
【0010】従って汚染土壌を十分に修復する場合には
修復すべき土壌領域内で最も注入物質が分布し難い部分
の汚染物質が分解される様に過剰量の微生物等を注入す
る必要があり、これは土壌修復のコストを増加させるこ
とになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みなされたもので、修復すべき土壌領域に注入される
微生物や物質を該土壌領域内に均等に分布させて効率良
く十分な土壌修復を行うことができる土壌修復方法を提
供することを目的とする。
【0012】また本発明は土壌領域に物質を注入したと
きに該物質を該土壌領域内に均等に分布させることので
きる土壌処理方法を提供することを他の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】そして本発明の汚染土壌
の修復方法は、汚染物質によって汚染された土壌中に該
汚染物質を分解する微生物、該汚染物質を分解する微生
物の為の栄養物質、該汚染物質を分解する微生物の分解
能を発現させる誘導物質の少なくとも1つを導入して微
生物で該土壌を修復する方法において、上記土壌中に導
入した物質が修復すべき土壌領域内に均一に分布するよ
うに該土壌の透水係数を制御することを特徴とする。
【0014】また本発明の環境の修復方法は、汚染され
た土壌を含む環境を微生物を用いて修復する方法であっ
て、透水係数の分布が複数の極大値を有し、且つ汚染物
質で汚染されている土壌を有する修復すべき環境を用意
する工程;該土壌の透水係数分布について、実質的に最
少の透水係数を持つ極大値が最大の比率を示す様に、懸
濁粒子を該土壌に注入して該土壌の空隙を充填し、該土
壌の透水係数を制御する工程;及び 透水係数が制御さ
れた土壌に該汚染物質を分解する微生物、該汚染物質を
分解する微生物の栄養物質、該汚染物質を分解する微生
物の汚染物質分解能を発現させる為の誘導物質の少なく
とも1つを供給して該汚染土壌を修復する工程を有する
ことを特徴とする。
【0015】更に本発明の土壌の処理方法は、透水係数
の分布が複数の極大値を有し、且つ汚染物質で汚染され
ている土壌を有する修復すべき土壌領域を用意する工
程;及び該土壌の透水係数分布について、実質的に最少
の透水係数を持つ極大値が最大の比率を示す様に、懸濁
粒子を該土壌に注入して該土壌の空隙を充填し、該土壌
の透水係数を制御する工程を有することを特徴とする。
【0016】即ち、本願出願人は前記問題点に関して種
々検討した結果、土壌中に注入された物質の土壌中での
分布は土壌の液体透過性、つまり透水係数に依存してい
ることと、そして土壌に注入した物質の該土壌内での不
均一な分布が土壌の多様な透水係数に基づくものである
ことを見出し、本発明をなしたものである。
【0017】そして発明によれば汚染土壌の修復を極め
て効率良く行うことができる。
【0018】また本発明によれば注入物質の拡散の程度
を制御できる為、注入物質が修復の必要の無い土壌領域
にまで拡散してそこの生態系を乱すことを避けられる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0020】まず、土壌に微生物や栄養素などの溶液を
圧力をかけて注入する場合、その注入範囲は概ね土壌の
透水係数によって決まる。しかしながら、通常は土壌の
透水係数に極めて大きな異方性が存在するので注入溶液
は均一には分布されず、土壌中の透水係数が大きい方向
へ積極的に分布される。したがって、予め修復土壌の透
水係数を均一化し、その後に微生物や栄養素などを含ん
だ溶液を注入する。なお、土壌の透水係数としては定水
位法あるいは変水位法によって求められた飽和透水係
数、Piezometer法、Tube法、Auger
−hole法、あるいはDry Auger−hole
法によって求められた現場透水係数、あるいは不飽和透
水係数を用いることができる。
【0021】修復土壌の透水係数を調整するには主に次
の2つの方法が考えられる。
【0022】第1には修復すべき土壌領域内で透水係数
が小さな土壌部分の透水係数を増大させる方法、第2に
は修復すべき土壌領域内で透水係数が大きな土壌部分の
透水係数を減少させる方法である。
【0023】そして本発明に於ては、上記の第2の方法
を用いることが好ましい。何故なら土壌中に注入した物
質の土壌内での拡散を制御し易く、例えば予測し得ない
領域への拡散を抑えることができるからである。
【0024】そして具体的には、例えば図1に示した様
に修復すべき土壌領域内の土壌の透水係数分布が、複数
の極大値を有する場合には、図1に於て実質的に最小の
透水係数(図1では中心の値が約3.0×10-3cm/
s)を持つ極大値が該透水係数分布に於て図2に示した
様に最大の比率を持つ様に該土壌の透水係数を制御する
ことが好ましい。
【0025】即ち修復すべき土壌領域内で注入物質が最
も拡散しにくい土壌部分の透水係数に揃えることで該土
壌領域内に注入物質を均一に分布させることができる。
【0026】なお上記の「実質的に最小の透水係数を持
つ極大値」とは例えば修復すべき土壌領域内の土壌の透
水係数分布をとったときに得られる有意な比率を持つ複
数の極大値の中で最小の透水係数を持つ極大値のことを
指す。
【0027】例えば、修復すべき汚染土壌領域内で透水
係数の極めて小さい土壌部分が存在し、透水係数分布測
定時に極大値と検出されたとしてもその土壌部分の該土
壌領域全体の対する割合が微小であれば、そのような土
壌部分の汚染は実質的に問題にならない。即ちこのよう
な土壌部分の透水係数が該土壌領域の透水係数分布にお
いては有意な比率を持つものとは言えない。
【0028】具体的にはどの程度の割合が有意な比率を
有することになるかは、要求される修復の程度によって
異なるが例えば透水係数分布を取ったときに全体の10
%以上、特には8%以上、更には5%以上を占める極大
値の中で最小の透水係数を有する極大値が「実質的に最
小の透水係数を持つ極大値」として扱った場合、修復す
べき土壌領域内により均一に注入物質を分布させること
ができ好ましい。
【0029】そして透水係数を制御する具体的方法とし
ては粒子を懸濁させた分散体を土壌内に注入すると、必
然的に透水係数が大きな土壌部分にこれら流動体が導入
される。このとき土壌中の空隙は注入した粒子で充填さ
れ、透水係数が減少する。したがって、注入前に透水係
数が大きい土壌部分ほど注入後には透水係数が減少し、
全体として均一な透水係数を有する土壌となる。微生物
による土壌修復は、この工程のあとに行うのが効率的で
ある。すなわち、微生物や分解活性を維持するための物
質をこの土壌に注入すると、土壌の透水係数がほぼ均一
なため注入物質は注入井から均等に分布する。また、注
入物質の注入総体積、注入時間、注入圧力、あるいは注
入流量などにより注入井からの注入距離(到達距離)が
ほぼ決まるので、これらにより限定された領域に注入す
ることが可能となる。
【0030】注入井から懸濁粒子を注入して透水係数を
均一化する場合、均一粒径の粒子あるいは異なる粒径の
粒子を用いることができる。粒径が等しい粒子を懸濁さ
せて注入する場合、注入処理を施す土壌の透水係数によ
って最適な粒径を決める。通常、注入される粒子の粒径
は1μm〜3mmの範囲から選択されるが、例えば透水
係数が1×10-3cms-1の土壌では10μm〜1mm
程度の粒子、望ましくは100μm程度の粒子を用い
る。さらに透水係数が小さな土壌については、その平均
的な空隙径も小さくなるので、より小さな粒径の粒子を
用いるのが効果的である。一方、土壌は極めてヘテロジ
ニアスで空隙径の分布も幅広いため、粒径が異なる粒子
を同時にあるいは順次注入する方法も有用である。すな
わち、土壌中の大きな空隙を主に大きな粒子で充填し、
これにより生じた小さな空隙および土壌に元来存在する
小さな空隙をさらに小さな粒子で充填して、全体として
均一な透水係数の土壌を実現する。なお、このときに注
入される粒子の粒径は1μm〜3mmの範囲であるが、
例えば透水係数が1×10-3cms-1の土壌では粒径が
10μm〜1mm程度に分布している粒子、望ましくは
粒径が100μm程度以下に分布した粒子を用いる。さ
らに透水係数が小さな土壌については、その平均的な空
隙径も小さくなるので、より小さな粒径分布を持つ粒子
を用いるのが効果的である。
【0031】注入する粒子としては、これまでに化学工
業、医薬品工業、食品工業あるいは排水処理システムな
どで用いられている様々な個体やゲル体が利用できる。
例えば、分粒した砂や土、多孔質ガラス、セラミック
ス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイ
ト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイ
ト、セメントなどの粒子、デンプン、寒天、キチン、キ
トサン、ポリビニルアルコール、アルギン産、ポリアク
リルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチンなど
のゲル体粒子、水ガラス、セルロース、グルタルアルデ
ヒド、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリエステル、
ポリビニルピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンな
どの天然あるいは合成ポリマー、などが用いられる。こ
れらの粒子は適当な粒径分布のものを選び、これを主に
水やポリマー水溶液に懸濁させて注入する。さらに、上
記の粒子の混合物を注入することもできる。
【0032】上記の工程により土壌の透水係数の均一化
を行ったあと、微生物あるいはその分解活性を維持する
ために必要な栄養素などを注入することにより効率的に
土壌修復を行うことができる。すなわち、前処理した土
壌に注入物質を注入すると、土壌の透水係数がほぼ均一
なため注入物質は注入井から均等に分布し、このとき注
入総体積、注入時間、注入圧力、あるいは注入流量など
を調整することにより限定された領域に注入することが
できる。
【0033】ここで注入する物質としては、例えば汚染
物質の分解に土着の微生物を利用する場合には、その微
生物の成長・繁殖に必要な栄養素及び該微生物が該汚染
物質を分解する能力を発現させる誘導物質の少なくとも
一方が挙げられる。
【0034】又汚染物質の分解に外来の微生物を利用す
る場合には、該微生物又は該微生物の栄養素と誘導物質
の少なくとも一方及び該微生物を該土壌に加えればよ
い。
【0035】以下に、実施例をもって本発明を説明する
が、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではな
い。
【0036】なお下記の各実施例及び比較例に於て透水
係数はドイツ工業会基準JSF T311−1990に
基づく定水位法(constant head per
miability)によるものである。
【0037】(実施例1)粒径が等しい粒子を懸濁した分散体を土壌中に注入して
透水係数を均一にする方法 平均粒径1mmの粗砂、平均粒径0.5、mmの細砂、
及び平均粒径0.1mmのシルト混じりの細砂を粗く混
合し、縦1m,横1m,高さ1mのアクリル容器に満た
した。次にこの容器中の注入口周囲の5点の土壌位置の
透水係数を測定した。
【0038】次いで、この容器の表面中央からこの土壌
中に外径10mm、内径8mmのステンレス製注入管
を、その1端が土壌表面から50cmの深さに位置する
様に挿入した。この注入管の他端はバルブを介して送液
ポンプに接続されており、タンク内の注入溶液はこの送
液ポンプにより注入口へ圧送できるようになっている。
【0039】細砂を分粒し、平均粒径が約0.1mmの
粒子を選別した。次に、この粒子250gを水5リット
ルに懸濁し、粒子が沈降しないように攪拌しながら送液
ポンプにより毎分1リットルの流量で圧送した。注入
後、注入口周囲の土壌をサンプリング(5点)し、その
透水係数を求めた。
【0040】注入処理前後における土壌の透水係数の平
均値、および標準偏差を表1に示す。これより、粒径が
等しい粒子を懸濁した分散体を土壌中に注入することに
より、幅広い分布をもつ土壌の透水係数を減少させ、か
つ均一化(標準偏差を小さく)できることがわかった。
【0041】(実施例2)粒径が異なる粒子を懸濁した分散体を土壌中に注入して
透水係数を均一にする方法 実施例1と同様に試験土壌をアクリル容器に満たし、注
入管および送液ポンプを設けた。
【0042】細砂を分粒し、平均粒径が約10μm、約
20μm、約50μm、および約100μmの粒子を選
別した。次に、これらの粒子60gを水1.25リット
ルにそれぞれ懸濁し、粒子が沈降しないように攪拌しな
がら平均粒径が大きなものから順次送液ポンプにより毎
分1リットルの流量で圧送した。注入後、注入口周囲の
土壌をサンプリング(5点)し、その透水係数を求め
た。
【0043】注入処理前後における土壌の透水係数の平
均値、および標準偏差を表1に示す。これより、粒径が
異なる粒子を懸濁した分散体を順次土壌中に注入するこ
とにより、土壌の幅広い透水係数を全体として減少さ
せ、かつ均一化(標準偏差を小さく)できることがわか
った。
【0044】又、透水係数を均一化する効果は実施例1
より優れていることも分った。
【0045】
【表1】
【0046】(実施例3)粒径が等しい粒子を懸濁した分散体を土壌中に注入して
透水係数を均一にする方法 縦1m,横1m,高さ1mのアクリル容器に粗砂(平均
粒径1mm)を30cmの厚さに敷き、次いで細砂(平
均粒径0.5mm)を40cmの厚さに敷き、最後に微
砂(平均粒径0.1mm)を30cmの厚さに敷き、多
様な透水係数を有する実際の土壌と類似したモデル試験
土壌を作製した。次に、該土壌の透水係数分布を求め
た。図1本実施例の土壌領域の透水係数分布を示す。
【0047】次いでアクリル容器内の土壌に、容器の表
面中央から外径10mm、内径8mmのステンレス製注
入管の先端が表土から50cmの深さになるように挿入
した。なお、注入管の反対側はバルブを介して送液ポン
プに接続されており、タンク内の注入溶液はこの送液ポ
ンプにより注入口へ圧送できるようになっている。
【0048】次に細砂を分粒し、平均粒径が約0.1m
mの粒子を選別し、この粒子250gを水5リットルに
懸濁し、粒子が沈降しないように攪拌しながら送液ポン
プにより毎分1リットルの流量で圧送した。注入後、再
び該土壌領域の透水係数分布を求めた。その結果を図2
に示す。
【0049】図1に於て最小の透水係数(ピークの中心
の値が約3.0×10-3cm/s)を有する極大が、図
2に於ては透水係数分布の最大の比率を示すように透水
係数が制御されていた。
【0050】(実施例4)粒径が異なる粒子を懸濁した分散体を土壌中に注入して
透水係数を均一にする方法 実施例3と同様にモデル試験土壌をアクリル容器に満た
し、次いで該容器に実施例3と同様にして注入管および
送液ポンプを設けた。
【0051】細砂を分粒し、平均粒径が約10μm、約
20μm、約50μm、および約100μmの粒子を選
別した。次に、これらの粒子60gを水1.25リット
ルにそれぞれ懸濁し、粒子が沈降しないように攪拌しな
がら平均粒径が大きなものから順次送液ポンプにより毎
分1リットルの流量で圧送した。再度透水係数分布を測
定した。その結果を図3に示す。
【0052】図1及び図3から明らかな様に最小の透水
係数(ピークの中心の値が約3.5×10-3cm/s)
を有する極大が、注入処理後には、透水係数分布の最大
の比率を示すように透水係数が制御されていた。
【0053】(実施例5)微生物による均等かつ限定された土壌領域における効率
的な土壌修復 実施例3と同様にして各種土壌を作成し、アクリル容器
に満たした。
【0054】次に土壌表面からトリクロロエチレン水溶
液を散布して、土壌1g当りトリクロロエチレンの濃度
が約10ppmとなるような汚染土壌を作製した。次に
実施例3と同様に注入管および送液ポンプを設けた。
【0055】次いで実施例3と同様にして、平均粒径が
約0.1mmの粒子250gを水5リットルに懸濁し、
粒子が沈降しないように攪拌しながら送液ポンプにより
毎分1リットルの流量で圧送して透水係数の制御を行な
った。そして再び透水係数分布を求めたところ、図2に
示した様に、実質的に最小の透水係数を有する極大値が
該土壌の透水係数分布の約40%を占めるように透水係
数が制御された。
【0056】一方トリクロロエチレン分解用微生物とし
て、コリネバクテリウム・スピーシズJ1(生命工学工
業技術研究所受託番号:FERM P−14332号)
を培養し、108cell/mlとなるまで増殖させ
た。また、0.1%酵母エキス、0.2%乳酸ナトリウ
ム、および100ppmフェノールを含む溶液を調製
し、この溶液に酸素ガスを通気させ溶液の酸素濃度を飽
和させて、注入物質とした。次に、該微生物と該注入物
質を体積比1:1000で混合し、上記透水係数を制御
した汚染土壌に注入管を通して毎分1リットルの流量で
5分間注入し、修復実験を行った。その結果、2日後に
は注入管の先端から約50cm以内における土壌中のト
リクロロエチレン濃度は約1ppmまで減少した。一
方、注入管の先端から約80cmの土壌位置におけるト
リクロロエチレン濃度は約10ppmとほとんど変化せ
ず、注入位置から均等かつ限定された領域のみが効率的
に浄化されることがわかった。
【0057】(比較例1)実施例3に於て透水係数の制
御を行なわない以外はほぼ実施例3と同様にして土壌修
復を行なった。
【0058】その結果、土壌中に挿入してある注入管の
先端から約50cm以内に於けるトリクロロエチレンの
濃度は土壌位置によって約1〜10ppmであって、ト
リクロロエチレンが分解されているところと、分解され
ていないところが土壌領域に存在した。即ち、微生物の
分布が不均一であった。
【0059】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の一実施態様
によれば、汚染土壌の修復に先だって対象領域の透水係
数を均一化させる調整を行うことにより、汚染土壌の効
率的な修復が可能となる。
【0060】又本発明の一実施態様によれば、修復すべ
き汚染土壌領域内の土壌の透水係数を、該土壌領域内の
土壌の透水係数分布の、実質的に最小の透水係数を有す
る極大値が該透水係数分布の中で最大の比率を示すよう
に調整することで、過剰量の微生物、栄養素、誘導物質
を注入する必要がなく汚染土壌を効率的に修復すること
ができる。
【0061】更にこの実施態様によれば注入パイプから
の注入物質の土壌中への拡散を制御できる為修復すべき
土壌領域外への注入物質の漏出を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で処理した土壌の透水係数制御前の透
水係数分布図
【図2】実施例3で処理した土壌の透水係数制御後の透
水係数分布図
【図3】実施例4で処理した土壌の透水係数制御前の透
水係数分布図

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚染物質によって汚染された土壌中に該
    汚染物質を分解する微生物、該汚染物質を分解する微生
    物の為の栄養物質、該汚染物質を分解する微生物の分解
    能を発現させる誘導物質の少なくとも1つを導入して微
    生物で該土壌を修復する方法において、 上記土壌中に導入した物質が修復すべき土壌領域内に均
    一に分布するように該土壌の透水係数を制御することを
    特徴とする汚染土壌の修復方法。
  2. 【請求項2】 透水係数を制御する工程が、粒子を懸濁
    させた分散体の注入である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該粒子は、ほぼ均一の粒径の粒子からな
    る請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該粒子は、異なる粒径の粒子からなる請
    求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 注入が、大きな粒子を小さな粒子より先
    に行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 粒子は、固体あるいはゲル体であること
    を特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 分散体の分散媒体は、水であることを特
    徴とする請求項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 汚染された土壌を含む環境を微生物を用
    いて修復する方法であって、透水係数の分布が複数の極
    大値を有し、且つ汚染物質で汚染されている土壌を有す
    る修復すべき環境を用意する工程; 該土壌の透水係数分布について、実質的に最少の透水係
    数を持つ極大値が最大の比率を示す様に、懸濁粒子を該
    土壌に注入して該土壌の空隙を充填し、該土壌の透水係
    数を制御する工程;及び透水係数が制御された土壌に該
    汚染物質を分解する微生物、該汚染物質を分解する微生
    物の栄養物質、該汚染物質を分解する微生物の汚染物質
    分解能を発現させる為の誘導物質の少なくとも1つを供
    給して該汚染土壌を修復する工程を有することを特徴と
    する環境の修復方法。
  9. 【請求項9】 透水係数の分布が複数の極大値を有し、
    且つ汚染物質で汚染されている土壌を有する修復すべき
    土壌領域を用意する工程;及び該土壌の透水係数分布に
    ついて、実質的に最少の透水係数を持つ極大値が最大の
    比率を示す様に、懸濁粒子を該土壌に注入して該土壌の
    空隙を充填し、該土壌の透水係数を制御する工程を有す
    ることを特徴とする土壌の処理方法。
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