JPH1079541A - レーザ電源装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 昇圧トランスの効率改善およびインダクタの
小型化を図ることのできるレーザ電源装置を提供する。 【解決手段】 レーザ媒質ガス中の電極７間に放電させ
てレーザ媒質ガスを励起させレーザ光を出力させるレー
ザ電源装置１であって、電力供給用の高周波電源３と、
電力を昇圧する昇圧トランス５と、レーザ媒質ガスを励
起せしめる一対の電極７と、この電極７に付随して設け
られ均一な放電を起こさせる誘電体９とを有し、一対の
電極７間に生じるキャパシタンスをキャンセルすべく前
記電極７の直前に設けられたインダクタＬ１を備えてい
る。従って、高周波電源３により供給される電力を昇圧
トランス５が昇圧して電極７に印加することにより誘電
体９から放電してレーザ媒質ガスを励起し、レーザ光を
出力する。この際に、電極７間に形成されるキャパシタ
を、電極７の直前に設けられているインダクタＬ１によ
り打ち消す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はレーザ電源装置に
係り、さらに詳しくは、レーザ媒質ガス中の電極間に放
電させることによりレーザ媒質ガスを励起してレーザ光
を出力するためのレーザ電源装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、レーザ媒質ガスを励起するこ
とによりレーザ光を出力するためのレーザ電源装置１０
１としては、図６に示されるようなものがある。このレ
ーザ電源装置１０１では、電力を供給する高周波電源１
０３、供給された電力を昇圧する昇圧トランス１０５、
昇圧された電圧を印加して放電を起こさせるための一対
の電極１０７、および均一な放電を起こさせるために前
記電極１０７に付随する一対の誘電体１０９を有してい
る。

【０００３】しかし、前記レーザ電源装置１０１を電気
的な等価回路で示すと、図７に示されるような回路とな
る。すなわち、一対の電極１０７、この電極１０７の内
側に付随して設けられている誘電体１０９およびこの誘
電体１０９間に形成される放電部１１１が、容量性の負
荷Ｃとなって電源の効率が低下するという問題がある。

【０００４】このような問題を解決すべく、図８に示さ
れるようなレーザ電源装置１１３が考えられる。このレ
ーザ電源装置１１３では、前記昇圧トランス１０５の一
次側にインダクタＬを入れたものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図８に
示したようなレーザ電源装置１１３にあっては、インダ
クタＬには大電流が流れるため大きなものが必要とな
る。また、インダクタＬの値が比較的小さなものとなっ
てしまうため容量性負荷Ｃをキャンセルするための調整
が困難である。また、昇圧トランス１０５において力率
が悪くなり、トランス効率が低下してしまう。このた
め、昇圧トランス１０５が大きなものになり、コスト面
や重量面等において問題がある。

【０００６】この発明の目的は、以上のような従来の技
術に着目してなされたものであり、昇圧トランスの効率
改善およびインダクタの小型化を図ることのできるレー
ザ電源装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１による発明のレーザ電源装置は、レーザ
媒質ガス中の電極間に放電させることにより前記レーザ
媒質ガスを励起せしめてレーザ光を出力させるためのレ
ーザ電源装置であって、電力を供給する高周波電源と、
この高周波電源を昇圧する昇圧トランスと、前記レーザ
媒質ガスを励起せしめる一対の電極と、この電極に付随
して設けられ均一な放電を起こさせる誘電体とを有し、
前記一対の電極間に生じるキャパシタンスをキャンセル
すべく前記電極の直前に設けられたインダクタを備えて
なることを特徴とするものである。

【０００８】従って、高周波電源により供給される電力
を昇圧トランスが昇圧して電極に印加することにより誘
電体から放電してレーザ媒質ガスを励起し、レーザ光を
出力する。この際に、電極間に形成されるキャパシタ
を、電極の直前に設けられているインダクタにより打ち
消す。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の例
を図面に基づいて説明する。

【００１０】図１には、この発明にかかるレーザ電源装
置１の回路図が示されている。このレーザ電源装置１で
は、高周波電源３と、この高周波電源３を一次側に有す
る昇圧トランス５を有しており、この昇圧トランス５の
一方の極にはインダクタＬ１を介して電極７に接続さ
れ、他方の極は直接電極７に接続されている。この一対
の電極７の内側には各々誘電体９が設けられ、この誘電
体９の間には放電部１１が形成される。

【００１１】前記高周波電源３は、周波数の高い方が放
電部１１の特性としては良い。さらに、誘電体９の厚さ
が厚くなるほど、また誘電体９の誘電率が小さくなる程
高周波電源３の周波数は高いものが必要となる。一般的
には、１０ＫＨｚ以上の周波数が必要とされる。

【００１２】前記インダクタＬ１は、一対の電極７や誘
電体９および誘電体９の間に形成される放電部１１に生
じるキャパシタンスをキャンセルするために電極７の直
前に設けるものであり、高周波電源３の周波数をｆ、キ
ャパシタンスをＣとすると、ｆ＝１／｛２π√（Ｌ・
Ｃ）｝から、 Ｌ＝１／Ｃ・（２πｆ）＊＊2 ここで、＊＊はべき乗
を表す。

【００１３】上式で与えられるＬ値となるようにインダ
クタＬ１を設定すると、このインダクタＬ１よりも前の
回路、すなわち高周波電源３や昇圧トランス５から見た
放電部１１の負荷は純抵抗となるので、高周波電源３や
昇圧トランス５を効率良く動作させることが可能とな
る。これにより、低電源容量化、昇圧トランス５の小型
化、低コスト化を図ることができる。

【００１４】また、電極７における電流は小さいため
（数Ａ程度）インダクタＬ１の小型化および低コスト化
を図ることができる。

【００１５】また、電極７の直前にインダクタＬ１を設
ける方が他の場所に設ける場合よりも必要な巻き数が多
くなるため、微調整が容易となる。

【００１６】なお、この発明は前述の実施の形態に限定
されることなく、適宜な変更を行なうことにより、その
他の態様で実施し得るものである。すなわち、図２に示
されるような絶縁されていないトランス（オートトラン
ス）１３や、図３（Ａ）〜（Ｃ）に示されるような共振
周波数を電源の周波数に合せた各種のＬＣ共振回路１５
Ａ、１５Ｂ、１５Ｃを使用して昇圧することもできる。

【００１７】また、図４に示されるレーザ電源装置１７
のように、各電極７Ｕ、７ＬにインダクタＬ１、Ｌ２を
設けて、二個のインダクタＬ１、Ｌ２により放電部１１
に生じるキャパシタンスをキャンセルするようにしても
よい。図５を参照するに、ＧＮＤに対する電圧は低いほ
うが有利であることから、この場合両方のインダクタＬ
１、Ｌ２のバランスによりグランドアースに対するそれ
ぞれの電極電位の振幅バランスを調整することができる
ので、二個のインダクタＬ１、Ｌ２を設けることは有効
である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
よるレーザ電源装置では、高周波電源により供給される
電力を昇圧トランスが昇圧して電極に印加することによ
り誘電体から放電してレーザ媒質ガスを励起し、レーザ
光を出力する。この際に、電極間に形成されるキャパシ
タを、電極の直前に設けられているインダクタにより打
ち消すことができるので、高周波電源や昇圧トランスが
効率良く動作することができる。而して、低電源容量
化、トランス低容量化、小型化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかるレーザ電源装置の一実施の形
態を示す回路図である。

【図２】図１中の昇圧トランスに変わって使用されるオ
ートトランスの回路図である。

【図３】図１中の昇圧トランスに変わって使用されるＬ
Ｃ共振回路の例を示す回路図である。

【図４】この発明にかかるレーザ電源装置の別の実施の
形態を示す回路図である。

【図５】図４に示されるレーザ電源装置におけるグラン
ドアースの状態を示すグラフである。

【図６】従来のレーザ電源装置の一例を示す回路図であ
る。

【図７】図６に示されるレーザ電源装置と電気的に等価
な回路図である。

【図８】従来のレーザ電源装置の別の例を示す回路図で
ある。

【符号の説明】

１ レーザ電源装置 ３ 高周波電源 ５ 昇圧トランス ７ 電極 ９ 誘電体 Ｌ１ インダクタ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レーザ媒質ガス中の電極間に放電させる
   ことにより前記レーザ媒質ガスを励起せしめてレーザ光
   を出力させるためのレーザ電源装置であって、電力を供
   給する高周波電源と、この高周波電源を昇圧する昇圧ト
   ランスと、前記レーザ媒質ガスを励起せしめる一対の電
   極と、この電極に付随して設けられ均一な放電を起こさ
   せる誘電体とを有し、前記一対の電極間に生じるキャパ
   シタンスをキャンセルすべく前記電極の直前に設けられ
   たインダクタを備えてなることを特徴とするレーザ電源
   装置。