JPH107670A - 有機非線形光学材料および新規ベタイン化合物 - Google Patents

有機非線形光学材料および新規ベタイン化合物

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JPH107670A
JPH107670A JP24993596A JP24993596A JPH107670A JP H107670 A JPH107670 A JP H107670A JP 24993596 A JP24993596 A JP 24993596A JP 24993596 A JP24993596 A JP 24993596A JP H107670 A JPH107670 A JP H107670A
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compound
atom
alkyl group
lower alkyl
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JP24993596A
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English (en)
Inventor
Yutaka Nagase
裕 長瀬
Nagakatsu Nemoto
修克 根本
Fusae Miyata
房枝 宮田
Jiro Abe
二朗 阿部
Yasuo Shirai
靖男 白井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた2次の分子分極率(β値)を有し、高
分子マトリックスに分散させることが可能で、高い第2
高調波を発生する新しい有機非線形光学材料を提供す
る。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されれるベタイン
化合物からなる有機非線形光学材料、および下記一般式
(II)で表されれる新規ベタイン化合物に関する。 (式中、Yは窒素原子または置換基を有する炭素原子、
Zは単結合、メチレン基またはビニレン基、R1および
2は水素原子、低級アルキル基またはそれぞれが結合
している炭素原子と一体となって芳香環を形成しても良
く、またその芳香環上に置換基を有しても良く、R3
8およびR3’〜R8’は、水素原子、ハロゲン原子、
フェニル基など、mは0または1の整数である。ただ
し、mが0の場合、R3’〜R7’のうち少なくとも1つ
はアルキル基である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のベタイン化
合物からなる有機非線形光学材料、および新規なベタイ
ン化合物に関する。より詳しくは、レーザー光の波長変
換、光変調、光情報処理、光通信、光集積回路、光計測
など光エレクトロニクス分野に好適に利用することがで
きる2次の有機非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光エレクトロニクス分野における
新素子として、非線形光学素子の実現を目指した材料の
探索研究が広く行なわれている。一般に、非線形光学材
料とは光の電界の二乗あるいはそれ以上の累乗に比例す
る非線形応答を示す材料であって、光高調波発生、光整
流、光混合、光パラメトリック増幅、ポッケルス効果な
ど様々な効果をもたらすことが知られている新素材であ
る。
【0003】従来、非線形光学材料としては、KH2PO4
NH4H2PO4、LiNbO3、KNbO3、LiIO3等の無機化合物の結晶
が用いられてきた。しかしながら、最近では、尿素や4-
ニトロアニリン、2-メチル-4-ニトロアニリン(MN
A)、4-(N,N-ジメチルアミノ)-4'-ニトロスチルベン
(DANS)等の有機化合物が比較的高い分子分極率を
有し、その結果ある程度の非線形光学特性を示すことが
見出され、様々な有機非線形光学材料の開発研究が活発
に行なわれている。これまでに知られている有機非線形
光学材料の分子構造上の特徴としては、ベンゼン環など
のπ電子系分子の両端に電子供与性基および電子受容性
基を結合させた点にある。また、有機非線形光学材料
は、非線形性の起源が分子内π電子であるため、光応答
に対して格子振動を伴わず、従って、無機材料に比べて
応答が速く、非線形光学定数が大きいものや吸収波長の
領域が異なるもの等を合成することが可能である。しか
も、材料を素子化する際にも、単結晶を用いる方法だけ
ではなく、蒸着法、LB膜化、液晶化あるいは高分子マ
トリックス中に分散させる等の各種の方法が考えられる
等の利点を有している。(例えば、加藤政雄、中西八郎
編、「有機非線形光学材料」、シーエムシー(1985
年);日本化学会編、「非線形光学のための有機材
料」、学会出版センター(1992年);Seth R. Marder他
編、"Materials for Nonlinear Optics", ACS Symposiu
m Series 455, American Chemical Society, (1991
年)等参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機非線形光学材料は必ずしも高い2次の分子分極率
(β値)を示すものではなく、また大きなβ値を発現さ
せる目的で、π電子共役系を有する有機化合物に強い電
子供与性基および強い電子受容性基を導入した有機化合
物においては、結晶化が困難なことや、結晶ができて
も、基底状態での電気双極子の存在により結晶化に際し
て中心対称の構造を取りやすく、分子1個が示す大きな
非線形性が結晶全体としては相殺されやすいこと、また
高分子マトリックス中に分散させて用いる場合にも中心
対称の構造を取りやすいために第2高調波強度の低下が
著しいことなどの問題があった。また、π電子の共役長
を延ばすことにより非線形性は増大するが、分子自身の
吸収波長帯が長波長側へシフトし、その結果、基本波や
発生する高調波の吸収を引き起こし出力が低下するとい
った問題が生じた。
【0005】そこで、本発明の目的は、優れた2次の分
子分極率(β値)を有し、高分子マトリックスに分散さ
せることが可能で、かつ吸収波長端の短い、すなわち基
本波や発生した高調波の吸収を引き起こしにくい新しい
非線形光学材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の特
性を有する新しい有機非線形光学材料を得るべく鋭意検
討を加えた。その結果、特定の構造を有するベタイン化
合物が高い2次の分子分極率(β値)を示し、該化合物
を高分子マトリックス中に分散させることによって高い
第2高調波を発生できることを見出し、本発明に到達し
た。
【0007】すなわち、本発明は下記一般式(I)
【0008】
【化3】
【0009】(式中、Yは窒素原子または置換基Rを有
する炭素原子、Zは単結合、メチレン基またはビニレン
基、R1およびR2は水素原子、低級アルキル基またはそ
れぞれが結合している炭素原子と一体となって芳香環を
形成しても良く、またその芳香環上に置換基を有しても
良く、R3〜R8は同一もしくは異なっても良く、水素原
子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜20の直鎖
状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状
または分岐状のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ
基、mは0または1の整数である。また、Rは水素原
子、低級アルキル基またはフェニル基である。)で表さ
れれるベタイン化合物からなる有機非線形光学材料、お
よび下記一般式(II)
【0010】
【化4】
【0011】(式中、Yは窒素原子または置換基Rを有
する炭素原子、Zは単結合、メチレン基またはビニレン
基、R1およびR2は水素原子、低級アルキル基またはそ
れぞれが結合している炭素原子と一体となって芳香環を
形成しても良く、またその芳香環上に置換基を有しても
良く、R3'〜R8'は同一もしくは異なっても良く、水素
原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜20の直
鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖
状または分岐状のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ
基、mは0または1の整数である。また、Rは水素原
子、低級アルキル基またはフェニル基である。ただし、
mが0の場合、R3’〜R7’のうち少なくとも1つは炭
素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基であ
る。)で表されれるベタイン化合物に関するものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】前記一般式(I)および(II)
中のR1およびR2で表される低級アルキル基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基お
よびヘキシル基等の炭素数1〜6のものを例示できる。
また、R1およびR2がそれぞれが結合している炭素原子
と一体となって形成する芳香環としては、ベンゼン環、
ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等を
例示できる。また、これらの芳香環上に置換していても
良い置換基としては、ハロゲン原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチ
ル基、tert-ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等
の炭素数1〜6の低級アルキル基、メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、
sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基
およびヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の低級アルコ
キシ基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基等を例示でき
る。
【0013】前記一般式(I)および(II)中R3
8およびR3’〜R8’で表される置換基のうち、炭素
数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基およびア
ルコキシ基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-
ブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ
基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、
ペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、ヘキシ
ルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノ
ニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、
ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシル
オキシ基、ペンタデシルオキシル基、ヘキサデシルオキ
シ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、
ノナデシルオキシ基またはイコシルオキシ基等を例示で
きる。
【0014】前記一般式(I)および(II)中Rで表
される低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル
基、tert-ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等の
炭素数1〜6のものを例示できる。
【0015】本発明の前記一般式(I)および(II)
で表されれるベタイン化合物は、例えば、以下に示す合
成方法により製造することができる。すなわち、下記一
般式(III)
【0016】
【化5】
【0017】(式中、Yは窒素原子または置換基Rを有
する炭素原子、Zは単結合、メチレン基またはビニレン
基、R1およびR2は水素原子、低級アルキル基またはそ
れぞれが結合している炭素原子と一体となって芳香環を
形成しても良く、またその芳香環上に置換基を有しても
良く、Xはフッ素以外のハロゲン原子である。また、R
は水素原子、低級アルキル基またはフェニル基であ
る。)で表される化合物と、下記一般式(IV)
【0018】
【化6】
【0019】(式中、R3〜R8は同一もしくは異なって
も良く、水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数
1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数1
〜20の直鎖状または分岐状のアルコキシ基、シアノ基
またはニトロ基、mは0または1の整数である。)で表
されるピリジン化合物とを反応させ、下記一般式(V)
【0020】
【化7】
【0021】(式中、Yは窒素原子または置換基Rを有
する炭素原子、Zは単結合、メチレン基またはビニレン
基、R1およびR2は水素原子、低級アルキル基またはそ
れぞれが結合している炭素原子と一体となって芳香環を
形成しても良く、またその芳香環上に置換基を有しても
良く、R3〜R8は同一もしくは異なっても良く、水素原
子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜20の直鎖
状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状
または分岐状のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ
基、Xはフッ素以外のハロゲン原子、mは0または1の
整数である。また、Rは水素原子、低級アルキル基また
はフェニル基である。)で表される四級塩化合物を合成
し、さらにこの化合物に塩基を作用させることにより前
記一般式(I)および(II)で表されるベタイン化合
物を製造できる。(例えば、E. Alcaldeら、Advances i
n Heterocyclic Chemistry、第60巻、p.197(1994
年);Journal of Organic Chemistry、第52巻、p.5009
(1987年)等参照)
【0022】ここで用いられる前記一般式(III)で
表される化合物の一部は公知化合物であり、それ以外の
化合物も既知の方法により合成することが可能である。
(例えば、D. Harrisonら、Journal of Chemical Socie
ty、p.2930(1963年)等参照)また、前記一般式(I
V)で表されるピリジン化合物の一部は市販されてお
り、市販されていないものについては例えば後の参考例
1、2、4および5に示す方法などにより合成すること
ができる。
【0023】前記一般式(III)で表される化合物と
前記一般式(IV)で表されるピリジン化合物との反応
は、無溶媒で、あるいは有機溶媒中で行うことができ、
50℃〜150℃程度の加熱下において好適に反応が進
行する。有機溶媒中で行う場合には、アルコール、クロ
ロホルム、ジクロロメタン、アセトン、テトラヒドロフ
ラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が好適に用
いられる。また、前記一般式(IV)で表される化合物
から本発明の前記一般式(I)および(II)で表され
る化合物へ導く際に用いられる塩基としては、アンモニ
ア、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化アルミニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム
等の無機塩基が好適に用いられ、一般にそれらの水溶液
を作用させることにより好適に反応が進行する。
【0024】前記一般式(I)および(II)で表され
るベタイン化合物(以下、本発明の化合物と称する。)
を非線形光学材料として用いる場合には、本発明の化合
物を高分子マトリックス中に分散させて薄膜化して用い
ることが好ましい。すなわち、本発明の化合物と、マト
リックスとなる高分子化合物とを有機溶媒に溶解し、ス
ピンコート法やキャスト法等の方法によりガラス基板、
ITO蒸着基板またはシリコンウェーハー等の基板上
に、膜厚が好ましくは0.1〜10μmになるように製
膜し、乾燥した後、用いる高分子化合物のガラス転移温
度近傍の温度に保持しつつ好ましくは1kV/cm以上
の電圧で電場配向(ポーリング)処理を行ないマトリッ
クス中に存在する本発明の化合物(非線形分子)を配向
させることにより目的とする材料が得られる。
【0025】ここで用いられる高分子化合物としては、
本発明の化合物と相溶性が良く、また透明でガラス転移
温度が高い(好ましくは80℃以上)ものが好ましい
が、特に限定はない。好適に用いられる高分子化合物と
しては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタク
リレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメ
タクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ−α
−メチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンテレフタレート、ポリフェニレンテ
レフタルアミド等を挙げることができる。また、これら
の高分子化合物中に本発明の化合物を分散させる際に用
いられる有機溶媒は、両者を良く溶解するものであれば
何でも良く、特に限定はない。好適に用いられる有機溶
媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロ
エタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロ
フラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、N-メチルピロリドン等が挙げられ
る。
【0026】上記のように、高分子マトリックス中に本
発明の化合物を分散させる場合には、有機溶媒への溶解
性の良さから、特に前記一般式(II)で表されるベタ
イン化合物、すなわちビリジン環上にアルキル基を有す
るベタイン化合物を用いることが好ましい。また、その
場合のアルキル基としては、炭素数1〜20、より好ま
しくは3〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基が、
ベタイン化合物の溶解性および導入率を高める点で望ま
しい。
【0027】
【発明の効果】本発明の化合物は、後に実施例に示すよ
うに、優れた2次の分子分極率(β値)を有する有機非
線形光学材料であり、高分子マトリックス中に分散させ
ることが可能で、高い第2高調波を発生する材料を作製
することができる。したがって、非線形光学効果を利用
した波長変換素子、導波路、光シャッター、光スイッ
チ、光偏光素子、位相変調素子等の光制御デバイス、非
線形光学デバイス、電気光学デバイス等の材料として有
用である。
【0028】
【実施例】以下、参考例および実施例により本発明をさ
らに詳しく説明する。ただし、本発明がこれらに限定さ
れるものではないことはもちろんである。
【0029】実施例1
【0030】
【化8】
【0031】アルゴン雰囲気下、2-クロロベンズイミダ
ゾール 0.763 g (5.00 mmol) に乾燥ピリジン 0.400 g
(5.06 mmol)を加え、1時間加熱還流した。放冷後、得
られた黒緑色の固体をジエチルエーテルで洗浄した。ろ
過により回収した沈殿物に、1 ml の濃塩酸、20 ml の
水および40 ml のエタノールを加え、加熱し活性炭を加
えた後、セライトを用いてろ過した。ろ液を濃縮し、20
ml のアンモニア水を加えると黄色沈殿が生成した。こ
れをろ過により回収し、エタノール/水混合溶媒から再
結晶することにより精製した結果、上記構造式(1)で
表される2-(1-ピリジニオ)ベンズイミダゾレートを0.47
5 g (収率:49%)の収量で黄色結晶として得た。なお、
生成物が上記の構造であることは以下に示す1H−NM
RおよびIRスペクトルから確認した。
【0032】1H NMR (CDCl3,δ/ppm): 7.15 (dd, J=3.
2, 6.2 Hz, 2H), 7.68 (dd, J=3.2, 6.2 Hz), 7.85 (t,
J=7.4 Hz, 2H), 8.22 (t, J=7.4 Hz, 1H), 10.07 (dd,
J=1.4, 7.1 Hz, 2H). IR (KBr, cm-1): 3145, 3100, 3055, 3040, 1610, 157
0, 1495, 1480, 1425, 1395, 1305, 1280, 1265, 1190,
1095, 1005, 815, 780, 755, 710, 670, 625, 560, 49
5, 440.
【0033】実施例2 実施例1で得られた化合物(1)のクロロホルム溶液を
用いて、ハイパー−レイリー散乱法(HRS法、A. Per
soonsら, Phys. Rev. Lett., Vol.66, p.2980(1991) お
よび渡辺、岡田、応用物理, Vol.63, p.1030 (1994) 等
参照)により発生する2次散乱光を測定した。入射基本
波は、偏波面のそろったNd:YAGレーザー(1064nm)を用
いた。この2次散乱光強度(I[2ω])は、1つの分子
に対しては、入射光強度(I[ω])の2乗に比例すると
ともに、分子の2次分子分極率(β)の2乗に比例す
る。また、I[2ω]の全強度は分子数に比例するため、
溶質−溶媒の2成分系におけるI[2ω]は
【0034】
【数1】 I[2ω]=G{N[溶質](β[溶質])2+N[溶媒](β[溶媒])2}(I[ω])2 (1)
【0035】と表される。ここで、Gは測定系の比例定
数を表す。実験的には濃度の異なった溶液試料を調製
し、それぞれについて入射光強度(I[ω])に対し2次
散乱光強度(I[2ω])をプロットすることにより2次
係数G{N[溶質](β[溶質])2 +N[溶媒](β[溶媒])2}
を求め、N[溶質]に対しG{N[溶質](β[溶質])2 + N
[溶媒](β[溶媒])2}をプロットする。
【0036】直線
【0037】
【数2】 G{N[溶質](β[溶質])2+N[溶媒](β[溶媒])2}=aN[溶質]+b (2)
【0038】を用いてフィッティングを行い、aおよび
bを算出する。ここでNは分子数密度で、N[溶質]≪N
[溶媒]とした。式(1)および(2)より溶質の2次分
子分極率(β[溶質])は
【0039】
【数3】 |β[溶質]|=|β[溶媒]|(aN[溶媒]/b)1/2 (3)
【0040】と求めることができる。
【0041】化合物(1)のクロロホルム溶液における
入射光強度の2乗に対する2次散乱光強度の関係を図1
に示す。図1から式(1)におけるG{N[溶質](β[溶
質])2+ N[溶媒](β[溶媒])2}がそれぞれの濃度(分子
数密度)に対して最小自乗法を用いたカーブフィッティ
ングにより求められる。次に、化合物(1)の分子数密
度に対してG{N[溶質](β[溶質])2 + N[溶媒](β[溶
媒])2}の値をプロットした結果を図2に示す。
【0042】図2から、化合物(1)のクロロホルム中
におけるβ値が算出され、(115±25)X10-30e
suという大きな値を示すことが明らかとなった。
【0043】参考例1、2
【0044】
【化9】
【0045】反応系中をアルゴン雰囲気とした後、40 m
l の乾燥テトラヒドロフラン(THF)および乾燥ジイ
ソプロピルアミン 2.23 g (22.0 mmol) を混合した。こ
の溶液をドライアイス−アセトン浴中で-78℃に冷却し
た後、ブチルリチウムのヘキサン溶液 12.1 ml (1.65 m
ol/l, 20.0 mmol) を加え、30分間攪拌した。次に、
氷冷下、乾燥4-ピコリン 2.24 g (24.0 mmol) を加え、
1時間攪拌した。さらに、臭化プロピル 2.46 g (20.0
mmol) を加え、室温において2時間攪拌した。反応溶液
を50ml の水中に注ぎ、酢酸エチルにより抽出した。有
機層を分取し、無水硫酸ナトリウムを加え脱水した後、
この溶液を濃縮した。酢酸エチル/ヘキサン(体積比
1:1)を流出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィ
ーにより精製したところ、上記構造式(2)で表される
4-ブチルピリジンを 2.02 g (収率:75 %)の収量で無色
の液体として得た。なお、生成物が上記の構造であるこ
とは以下に示す1H−NMR、IR、Massスペクト
ルから確認した。
【0046】1H NMR (CDCl3,δ/ppm):0.93 (t, J=6.4 H
z, 3H), 1.1-1.9 (m, 4H), 2.61 (t,J=7.7 Hz, 2H), 7.
10 (d, J=5.9 Hz, 2H), 8.48 (d, J=5.9 Hz, 2H). IR (cm-1): 3070, 3025, 2960, 2930, 2860, 1600, 15
60, 1495, 1465, 1415,1380, 1220, 1105, 1070, 995,
930, 890, 830, 805, 780, 740, 580, 520. Mass (m/e): 135 (M+), 106 (M+-C2H5), 93, 77, 65,
51, 39, 27.
【0047】この反応において、臭化プロピルの代わり
に臭化ヘプチルを用いて上記とまったく同様の操作を行
い、上記構造式(3)で表される4-オクチルピリジンを
得た。なお、生成物が上記の構造であることは以下に示
1H−NMR、IR、Massスペクトルから確認し
た。(収率:84 %)
【0048】1H NMR (CDCl3,δ/ppm): 0.93 (t, J=6.4
Hz, 3H), 1.1-1.9 (m, 12H), 2.60 (t, J=7.7 Hz, 2H),
7.09 (d, J=5.9 Hz, 2H), 8.47 (d, J=5.9 Hz, 2H). IR (cm-1): 3075, 3025, 2920, 2850, 1600, 1560, 149
5, 1465, 1415, 1380, 1225, 1090, 995, 910, 890, 83
0, 805, 750, 720, 580, 530. Mass (m/e): 191 (M+), 176 (M+-CH3), 162 (M+-C
2H5), 148 (M+-C3H8), 134 (M+-C4H9), 120 (M+-C
5H11), 106 (M+-C6H13), 93, 77, 65, 57, 41.
【0049】実施例3、4
【0050】
【化10】
【0051】アルゴン雰囲気下、2-クロロベンズイミダ
ゾール 1.22 g (8.00 mmol) に参考例1で得られた4-ブ
チルピリジン 2.16 g (16.0 mmol)を加え、140℃にお
いて1時間攪拌した。放冷後、得られた黒緑色の固体を
ジエチルエーテルで洗浄した。ろ過により回収した沈殿
物に、2 ml の濃塩酸および100 ml のエタノールを加
え、加熱し活性炭を加えた後、セライトを用いてろ過し
た。ろ液を濃縮し、20 ml のアンモニア水を加えると橙
色沈殿が生成した。これをろ過により回収し、クロロホ
ルム/メタノール(体積比50:1)を流出溶媒とする
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した
後、アセトンから再結晶することにより上記構造式
(4)で表される2-[1-(4-ブチルピリジニオ)]ベンズイ
ミダゾレートを0.270 g (収率:13 %)の収量で橙色結晶
として得た。なお、生成物が上記の構造であることは以
下に示す1H−NMR、IR、Massスペクトルおよ
び元素分析から確認した。
【0052】1H NMR (CDCl3,δ/ppm): 1.00 (t, J=6.4
Hz, 3H), 1.3-2.1 (m, 4H), 2.89 (t, J=8.1 Hz, 2H),
7.13 (dd, J=3.3, 6.2 Hz, 2H), 7.7-7.9 (m, 4H), 9.
88 (d,J=7.0 Hz, 2H). IR (cm-1): 3125, 3045, 2955, 2930, 2895, 2870, 17
05, 1636, 1610, 1555,1500, 1465, 1415, 1410, 1395,
1340, 1305, 1295, 1265, 1190, 1120, 1095,1000, 95
5, 930, 900, 840, 800, 745, 620, 565, 505. Mass (m/e): 251 (M+), 236 (M+-CH3), 222 (M+-C
2H5), 208 (M+-C3H7), 194(M+-C4H9), 111, 90, 77, 6
5, 51, 39, 28. 元素分析 (C16H17N3, 分子量 251.3) 計算値 C: 76.46 % H: 6.82 % N: 16.72 % 実測値 C: 76.72 % H: 6.95 % N: 16.88 %
【0053】この反応において4-ブチルピリジンの代わ
りに参考例2で得られた4-オクチルピリジンを用いて上
記とまったく同様の操作を行い、上記構造式(5)で表
される2-[1-(4-オクチルピリジニオ)]ベンズイミダゾレ
ートを得た。なお、生成物が上記の構造であることは以
下に示す1H−NMR、IRスペクトルおよび元素分析
から確認した。(収率:21 %)
【0054】1H NMR (CDCl3,δ/ppm): 0.89 (t, J=5.4
Hz, 3H), 1.2-1.9 (m, 12H), 2.80 (t, J=7.0 Hz, 2
H), 7.11 (dd, J=3.2, 6.2 Hz, 2H), 7.48 (d, J=7.0 H
z, 2H),7.63 (dd, J=3.2, 6.2 Hz, 2H), 9.76 (d, J=7.
0 Hz, 2H). IR (cm-1): 3125, 3090, 3040, 2960, 2925, 2855, 16
95, 1670, 1635, 1610,1555, 1500, 1470, 1395, 1310,
1265, 1230, 1185, 1110, 1045, 1005, 960, 930, 90
5, 865, 830, 800, 665, 620, 565, 505. 元素分析 (C20H25N3, 分子量 307.4) 計算値 C: 78.14 % H: 8.20 % N: 13.67 % 実測値 C: 77.99 % H: 7.98 % N: 13.61 %
【0055】参考例3
【0056】
【化11】
【0057】4-ヒドロキシベンズアルデヒド 12.2 g (1
00 mmol) 、1-ブロモオクタン 29.0g (150 mmol) 、無
水炭酸カリウム 27.6 g (200 mmol) およびヨウ化カリ
ウム3.0 g をアセトン 100 ml 中、16時間加熱還流し
た。冷却した後、セライトを用いてろ過し、ろ液を濃縮
した。残さをヘキサン溶液とし、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液で洗浄した。有機層を分取し、無水硫酸ナトリ
ウムを加え脱水した後、この溶液を濃縮した。クロロホ
ルム/ヘキサン(体積比1:1)を流出溶媒とするシリ
カゲルクロマトグラフィーにより精製したところ、上記
構造式(6)で表される4-オクチルオキシベンズアルデ
ヒドを21.6 g (収率:92 %)の収量で淡黄色液体として
得た。なお、生成物が上記の構造であることは以下に示
1H−NMRおよびIRスペクトルから確認した。
【0058】1H NMR (CDCl3, δ/ppm): 0.89 (t, J=6.2
Hz, 3H), 1.2-2.1 (m, 12H, ), 4.04(t, J=6.2 Hz, 2
H), 6.98 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.72 (d, J=8.7 Hz, 2
H), 9.87(s, 1H). IR (cm-1): 2930, 2855, 2735, 1695 (aldehydic -C=
O), 1600, 1580, 1510, 1470, 1430, 1395, 1310, 126
0, 1215, 1160, 1110, 1020, 860, 835, 725, 650,615,
515.
【0059】参考例4、5
【0060】
【化12】
【0061】アルゴン雰囲気下、ベンズアルデヒド12.4
g (117 mmol)、4-ピコリン 11.9 g(128 mmol)、無水酢
酸 12 mLおよび酢酸 6 mLを混合し、150℃において7
2時間攪拌した。放冷後、500 mL の飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液中に注ぎ、さらに炭酸水素ナトリウムを加え
中和した後、クロロホルムにより抽出した。得られたク
ロロホルム溶液に無水硫酸ナトリウムを加え脱水した
後、この溶液を濃縮した。クロロホルム/メタノール
(体積比40:1)を流出溶媒とするシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにより精製した後、メタノールから
再結晶すると上記構造式(7)で表される4-(2-フェニ
ルエテニル)ピリジンが 12.2g (収率57%)の収量で淡黄
色結晶として得られた。なお、生成物が上記の構造であ
ることは以下に示す1H−NMR、IRスペクトルおよ
び元素分析から確認した。
【0062】1H NMR (90MHz, CDCl3, δ/ppm): 6.8-7.1
(m, 3H), 7.2-7.8 (m, 6H), 8.56 (d, J=6.2 Hz, 2H). IR (cm-1): 3025, 1635, 1590, 1550, 1495, 1455, 141
5, 1340, 1305, 1235, 1215, 1190, 1075, 990, 970, 8
70, 845, 810, 760, 730, 695, 640, 540. 元素分析 (C13H11N3, 分子量 181.2) 計算値 C: 86.15 % H: 6.12 % N: 7.73 % 実測値 C: 85.92 % H: 6.08 % N: 7.71 %
【0063】この反応においてベンズアルデヒドの代わ
りに参考例3で得られた4-オクチルオキシベンズアルデ
ヒドを用いて上記と同様の操作を行った後、アセトンか
ら再結晶することにより上記構造式(8)で表される4-
[2-(4-オクチルオキシフェニル)エテニル]ピリジンを得
た。なお、生成物が上記の構造であることは以下に示す
1H−NMR、IRスペクトルおよび元素分析から確認
した。(収率:51 %)
【0064】1H NMR (90 MHz, CDCl3, δ/ppm): 0.89
(t, J=5.9 Hz, 3H), 1.2-2.1 (m, 12H), 3.97 (t, J=6.
4 Hz, 2H), 6.8-7.1 (m, 3H), 7.2-7.8 (m, 5H), 8.53
(dd, J=1.54, 4.39 Hz, 2H). IR (cm-1): 3070, 3020, 2955, 2920, 2855, 1655, 163
0, 1605, 1590, 1550, 1510, 1465, 1410, 1390, 1310,
1285, 1260, 1215, 1190, 1175, 1130, 1115, 1065, 1
045, 1025, 1000, 970, 960, 870, 835, 825, 790, 76
0, 720, 640, 545. 元素分析 (C21H27N3O, 分子量 309.5) 計算値 C: 81.51 % H: 8.79 % N: 4.53 % 実測値 C: 81.33 % H: 9.06 % N: 4.47 %
【0065】実施例5、6
【0066】
【化13】
【0067】アルゴン雰囲気下、2-クロロベンズイミダ
ゾール1.53 g (10.0 mmol)および参考例4で得られた4-
(2-フェニルエテニル)ピリジン1.81g(10.0mmol)に2 m
L の乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、140
℃において1時間攪拌した。反応混合物を放冷後、500 m
L のジエチルエーテル中に注ぎ、生成した沈殿物をろ過
により回収した。沈殿物に、300 mL のメタノールを加
え、加熱し活性炭を加えた後、セライトを用いてろ過し
た。ろ液を濃縮し、10 mL のアンモニア水および100 mL
の水を加えた後、クロロホルムにより抽出した。得ら
れたクロロホルム溶液を濃縮し、酢酸エチル・メタノー
ル混合溶媒から再結晶すると上記構造式(9)で表され
る2-{1-[4-(2-フェニルエテニル)ピリジニオ]}ベンズイ
ミダゾレートが 1.15 g (収率39%) の収量で赤褐色結
晶として得られた。なお、生成物が上記の構造であるこ
とは以下に示す1H−NMR、IR、Massスペクト
ルおよび元素分析から確認した。
【0068】1H NMR (90 MHz, CDCl3, δ/ppm): 6.8-7.
3 (m, 5H), 7.3-8.0 (m, 8H), 9.89 (d, J=7.0 Hz, 2
H). IR (KBr, cm-1): 3135, 3055, 3040, 2915, 2810, 174
0, 1620, 1575, 1555, 1500, 1465, 1450, 1395, 1340,
1310, 1270, 1190, 1110, 1075, 1030, 1000, 965, 92
0, 905, 875, 825, 810, 740, 705, 690, 620, 600, 56
0, 540. Mass (m/e): 297 (M+), 220 (M+-Ph), 195, 180, 149,
77 (Ph+), 64. 元素分析 (C20H15N3, 分子量 297.4) 計算値 C: 80.78 % H: 5.08 % N: 14.13 % 実測値 C: 80.81 % H: 5.10 % N: 14.22 %
【0069】この反応において4-(2-フェニルエテニル)
ピリジンの代わりに参考例5で得られた4-[2-(4-オクチ
ルオキシフェニル)エテニル]ピリジンを用いて上記と同
様の操作を行った後、アセトンから再結晶することによ
り上記構造式(10)で表される2-(1-{4-[2-(4-オクチ
ルオキシフェニル)エテニル]ピリジニオ})ベンズイミダ
ゾレートを得た。なお、生成物が上記の構造であること
は以下に示す1H−NMR、IR、Massスペクトル
および元素分析から確認した。(収率:12.5 %)
【0070】1H NMR (90 MHz, CDCl3, δ/ppm): 0.88
(t, J=6.0 Hz, 3H), 1.2-2.1 (m, 12H), 3.96 (t, J=6.
0 Hz, 2H), 6.8-7.3 (m, 5H), 7.3-8.0 (m, 7H), 9.80
(d, J=7.2 Hz, 2H). IR (cm-1): 3060, 3040, 2920, 2855, 1620, 1595, 157
0, 1555, 1510, 1465, 1420, 1395, 1325, 1305, 1290,
1250, 1190, 1175, 1110, 1045, 1000, 965, 905, 87
5, 837, 795, 740, 665, 620, 590, 540. Mass (m/e): 425 (M+), 399, 338, 326 [M+-(CH3(C
H2)6)], 312 [M+-(CH3(CH2)7)], 297, 284, 273, 258,
222, 209, 197, 180, 168, 152, 133, 118, 107, 91, 7
7, 57, 41, 29. 元素分析 (C28H31N3O, 分子量 425.6) 計算値 C: 79.03 % H: 7.34 % N: 9.87 % 実測値 C: 79.04 % H: 7.43 % N: 9.87 %
【0071】実施例7〜9
【0072】市販のポリメチルメタクリレート(PMM
A)をクロロホルムに溶解して10重量%溶液を作り、こ
の溶液に対し、PMMAの重量に対し20重量%の実施例
3で得られたベタイン化合物(4)を加え、溶液とし
た。一方、同様にPMMAの10重量%THF溶液を作製
し、さらにPMMAの重量に対し10重量%の実施例5お
よび6で得られたベタイン化合物(9)および(10)
をそれぞれ加え2種の溶液を作製した。以上のように作
製した計3種の溶液をガラス基板上に1分当たり1500回
転の回転速度でスピンコートすることにより、それぞれ
のベタイン化合物を含有する3枚のポリマー薄膜を得
た。次にこれらの基板を用いて、紫外可視吸収スペクト
ルを測定することにより、これらの薄膜の極大吸収波長
および吸収端波長を求めた。結果を表1に示す。
【0073】さらに、これらの基板をそれぞれアルミニ
ウム製のホットプレート上に置き、110℃まで昇温し
た。2.5cm上方からタングステン針を用いて帯電電圧10k
Vでコロナ帯電させた。この状態で20分以上保持して側
鎖部の色素部位を配向させ、その後コロナ帯電を継続し
ながら冷却しポリマーをガラス状態に至らせた。
【0074】次に、メーカーフリンジ法(J. Jerphagno
nら, J. Appl. Phys. Vol.41, p.1667 (1970)参照)に
より、電場配向処理を行ったそれぞれのポリマー薄膜か
ら発生する第2高調波(SH波)を測定した。入射基本
波は、偏波面のそろったNd:YAGレーザー(1064nm)を用
い、532nmのSH波を検出した。また、膜厚1mmのy-カッ
ト石英結晶についても同様にメーカーフリンジ法により
発生するSH波を検出した。典型的なメーカーフリンジ
パターンを図3に示す。これらの測定結果から、y-カッ
ト石英結晶のd11値(0.5 pm/V)を基準にして、最小二
乗法を用いたカーブフィッティングによりそれぞれのポ
リマー薄膜の2次非線形光学定数d33値を算出したとこ
ろ、表1に示す値が得られた。
【0075】
【表1】
【0076】
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(1)のクロロホルム溶液における入射
光強度の2乗に対する2次散乱光強度の関係を示すグラ
フである。分子数密度(x1017 cm-3)=●:30.1, ○:
24.1, ■:18.1, □:12.0, ▲:6.0, △:1.8
【図2】化合物(1)の分子数密度に対してG{N[溶
質](β[溶質])2 + N[溶媒](β[溶媒])2}の値をプロッ
トした結果を示すグラフである。
【図3】実施例5で得られた化合物(4)を含有するポ
リマー薄膜のメーカーフリンジパターンを示すグラフで
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(1)のクロロホルム溶液における入射
光強度の2乗に対する2次散乱光強度の関係を示すグラ
フである。分子数密度(x1017 cm-3)=●:30.1, ○:
24.1, ■:18.1, □:12.0, ▲:6.0, △:1.8
【図2】化合物(1)の分子数密度に対してG{N[溶
質](β[溶質])2 + N[溶媒](β[溶媒])2}の値をプロッ
トした結果を示すグラフである。
【図3】実施例で得られた化合物(4)を含有するポ
リマー薄膜のメーカーフリンジパターンを示すグラフで
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Yは窒素原子または置換基Rを有する炭素原
    子、Zは単結合、メチレン基またはビニレン基、R1
    よびR2は水素原子、低級アルキル基またはそれぞれが
    結合している炭素原子と一体となって芳香環を形成して
    も良く、またその芳香環上に置換基を有しても良く、R
    3〜R8は同一もしくは異なっても良く、水素原子、ハロ
    ゲン原子、フェニル基、炭素数1〜20の直鎖状または
    分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分
    岐状のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基、mは0
    または1の整数である。また、Rは水素原子、低級アル
    キル基またはフェニル基である。)で表されれるベタイ
    ン化合物からなる有機非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 下記一般式(II) 【化2】 (式中、Yは窒素原子または置換基Rを有する炭素原
    子、Zは単結合、メチレン基またはビニレン基、R1
    よびR2は水素原子、低級アルキル基またはそれぞれが
    結合している炭素原子と一体となって芳香環を形成して
    も良く、またその芳香環上に置換基を有しても良く、R
    3'〜R8'は同一もしくは異なっても良く、水素原子、ハ
    ロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜20の直鎖状また
    は分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または
    分岐状のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基、mは
    0または1の整数である。また、Rは水素原子、低級ア
    ルキル基またはフェニル基である。ただし、mが0の場
    合、R3’〜R7’のうち少なくとも1つは炭素数1〜2
    0の直鎖状または分岐状のアルキル基である。)で表さ
    れれるベタイン化合物。
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