JPH1076363A - 高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法 - Google Patents

高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法

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JPH1076363A
JPH1076363A JP8231090A JP23109096A JPH1076363A JP H1076363 A JPH1076363 A JP H1076363A JP 8231090 A JP8231090 A JP 8231090A JP 23109096 A JP23109096 A JP 23109096A JP H1076363 A JPH1076363 A JP H1076363A
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heat source
strength
density heat
weld
energy
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JP8231090A
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English (en)
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Yuko Kahata
祐子 加幡
Yoshinobu Makino
吉延 牧野
Keizo Honda
啓三 本多
Seiichiro Kimura
盛一郎 木村
Hiroshi Matsui
宏 松井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高エネルギ密度熱源溶接部を有する被溶接材に
ついて、高エネルギ密度熱源溶接部のクリープ強度およ
び継手強度の向上が有効的に図れる高エネルギ密度熱源
溶接部の強度改善方法を提供する。 【解決手段】溶接金属の柱状晶が板厚方向および溶接線
方向にほぼ垂直に成長し、ビード中央部で直線的に会合
する形態をとる高エネルギ密度熱源溶接部15を強度改
善対象とする高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法
である。高エネルギ密度熱源溶接部15の表面をレーザ
ービーム等の表面溶融熱源11を用いて再溶融させ、溶
接金属の柱状晶を表面溶融した側の溶接金属中央部のビ
ード表面に向けて成長させることにより、溶接部の強度
を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高エネルギ密度熱源
溶接部の強度改善方法に係り、特に肉薄材料等に対して
高エネルギ密度熱源溶接、例えばプラズマアーク溶接、
電子ビーム溶接、レーザビーム溶接等を施した場合に、
その溶接部の表面を表面溶融熱源を用いて再溶融させる
ことにより溶接強度を改善する技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えばガスタービン燃焼器における燃焼
器ライナ、トランジションピースまたはパイロット燃料
ノズル等の基材は、高温強度が求められるため、Ni基
またはCo基等の耐熱合金が用いられており、一部に高
エネルギ密度熱源を用いた溶接、例えばプラズマアーク
溶接、電子ビーム溶接、レーザビーム溶接等が採用され
ている。
【0003】この場合、燃焼器ライナおよびトランジシ
ョンピースの溶接においては、これらの基材の板厚が
1.2〜6mm程度と肉薄で、溶接速度が遅いと基材が溶
け落ちることがあるため、溶接速度を速くして数パスの
溶接を行っている。
【0004】図16は、このような燃焼器ライナまたは
トランジションピースレーザビームを溶接した場合にお
ける基材1およびレーザ溶接部2の断面組織を示してい
る。同図に示すように、溶接速度を速くした場合のレー
ザ溶接部2の金属組織は柱状晶組織を呈しており、その
柱状晶は側方からの急激な冷却によって両基材1の板厚
方向および溶接線方向(同図の紙面直角方向)にほぼ垂
直(溶接部2内に示した横線の方向)に成長し、ビード
中央部で会合する形態となるため、クリープ強度が低下
し易い。
【0005】また図17は、基材1の板厚が4〜6mm程
度のトランジションピースまたはパイロット燃料ノズル
を1パスでレーザ溶接した場合の溶接部2の断面溶込み
形状を示している。この場合には、1パスで高エネルギ
密度熱源を用いた溶接を行うため、同図に示すように、
溶込み不足や、アンダーカット、ピット、表ビード不良
などの表面欠陥3が発生し易く、継手強度が低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、高エ
ネルギ密度熱源を用い高溶接速度で数パスの溶接を行っ
た場合、溶接金属は板厚方向および溶接線方向にほぼ垂
直に成長柱状晶組織を呈し、かつビード中央部で会合す
る形態をとるため、クリープ強度が低下し易く、また、
1パスで高エネルギ密度熱源を用いた溶接を行うと、溶
込み不足、アンダーカット、ピット、表ビード不良など
の表面欠陥が発生し、継手強度が低下する等の問題があ
った。なお、これらの問題は、前述したガスタービン燃
焼器における燃焼器ライナ、トランジションピースまた
はパイロット燃料ノズル等のほか、各種圧力容器等のよ
うに薄肉、高強度、高耐熱性、高耐食性等が要求される
各種溶接物について共通の問題となっていた。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、高エネルギ密度熱源溶接部を有する被溶接材に
ついて、高エネルギ密度熱源溶接部のクリープ強度およ
び継手強度の向上が有効的に図れる高エネルギ密度熱源
溶接部の強度改善方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、溶接金属の柱状晶が板厚方
向および溶接線方向にほぼ垂直に成長し、ビード中央部
で直線的に会合する形態をとる高エネルギ密度熱源溶接
部を強度改善対象とする高エネルギ密度熱源溶接部の強
度改善方法であって、前記高エネルギ密度熱源溶接部の
表面を表面溶融熱源を用いて再溶融させ、前記溶接金属
の柱状晶を表面溶融した側の溶接金属中央部のビード表
面に向けて成長させることにより、溶接部の強度を改善
することを特徴とする高エネルギ密度熱源溶接部の強度
改善方法を提供する。
【0009】請求項2の発明では、請求項1記載の高エ
ネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法において、表面溶
融熱源として、電子ビーム、レーザビーム、プラズマア
ーク、またはTIGアークを用いることを特徴とする高
エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法を提供する。
【0010】請求項3の発明では、請求項1または2記
載の高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法におい
て、表面溶融深さを板厚の40%以下とし、かつ表面溶
融ビード幅を高エネルギ密度熱源溶接部のビード幅より
大きくすることを特徴とする高エネルギ密度熱源溶接部
の強度改善方法を提供する。
【0011】請求項4の発明では、請求項1から3まで
のいずれかに記載の高エネルギ密度熱源溶接部の強度改
善方法において、表面溶融熱源を用いてフィラーワイヤ
を供給しつつ高エネルギ密度熱源溶接部を表面溶融させ
て健全な表面ビードを成形することを特徴とする高エネ
ルギ密度熱源溶接部の強度改善方法を提供する。
【0012】請求項5の発明では、請求項1から4まで
のいずれかに記載の高エネルギ密度熱源溶接部の強度改
善方法において、強度改善される溶接対象物として、ガ
スタービン燃焼器の燃焼器ライナ、トランジションピー
ス、またはパイロット燃料ノズルを適用することを特徴
とする高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法を提供
する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高エネルギ密
度熱源溶接部の強度改善方法の実施形態について、図1
〜図15を参照して説明する。
【0014】第1実施形態(図1〜図8) 本実施形態の強度改善方法は、表面溶融熱源としてレー
ザビームを用いるもので、図1はその方法を実施するた
めの装置構成例を示している。
【0015】この装置は図1に示すように、レーザ発振
器10によって発振したレーザビーム11をミラー12
で反射した後、集光レンズ13を介して被溶接材14の
高エネルギ密度熱源溶接部15に照射するようになって
いる。
【0016】本実施形態において、被溶接材14に対し
て予め施した溶接部15の高エネルギ密度熱源はレーザ
ビームである。その高エネルギ密度熱源であるレーザビ
ームによる溶接条件の一例を、以下に示す。
【0017】 基 材: Co基合金(板厚 1.2〜1.6 m
m) レーザ出力: 2〜4 kW 溶接速度 : 1.0〜3.0 m/min ガ ス: He、Ar この被溶接材14の溶接部15は前述したように、溶接
金属の柱状晶が板厚方向および溶接線方向にほぼ垂直に
成長し、ビード中央部で直線的に会合する形態をとって
いる。
【0018】これに対し、本実施形態では図1に示す装
置を使用して、表面溶融熱源としてのレーザビームを用
いて、溶接部15の少なくとも一カ所以上を表面溶融し
た。このレーザ表面溶融条件の一例を以下に示す。
【0019】 レーザ出力: 3〜5 kW 溶接速度 : 1.0〜3.0 m/min 照射ビーム径: 2〜4 mm ガ ス: He、Ar 図2は、本実施形態の方法を施した溶接部15の状態を
示す図である。初めに全体が柱状晶となっていた溶接部
15は、表面が本実施形態の方法によって再溶融し、そ
の表面溶融部16は下方からの冷却によって溶接金属中
央部のビード表面に向かって成長する形態をとる。そし
て、本実施形態の方法を施した結果、溶接部15(1
6)の継手強度は約80%から100%に、またクリー
プ破断時間は約1.5〜2.0倍に増加することが認め
られた。例えば耐熱合金HS−188のレーザ溶接部を
レーザビームにより表面溶融し、クリープ試験(750
℃×22kgf /mm2 )を行ったところ、クリープ破断時
間が100Hから180Hに向上した。
【0020】図3および図4は、本実施形態で行う好ま
しい表面ビード形状を例示している。即ち、図3に示す
ように、前記の表面溶融を行う際にミラー12を動か
し、これによりレーザビーム11を揺動させて、幅の広
い溶接ビード17を形成し、または図4に示すように、
スパイラル(螺旋)状に溶接ビード17を形成する。
【0021】図5は、本実施形態で行う好ましい表面溶
融幅の設定方法を説明するための図である。表面溶融熱
源を用いて高エネルギ密度熱源溶接部15の少なくとも
一カ所以上を表面溶融する際、この図5に示すように、
表面溶融深さdを被溶接材14の板厚tの40%以下と
し、かつ表面溶融ビード幅s1は、高エネルギ密度熱源
溶接部15のビード幅s2よりも大きくする。このよう
な設定により、高エネルギ密度熱源溶接部15の柱状晶
を、より確実に表面溶融した側の溶接金属中央部に向か
って成長させることができる。
【0022】例えば板厚1.2mmの耐熱合金HS−18
8のレーザ溶接部をレーザを用いて表面から深さ0.4
mmまで表面溶融させ、クリープ試験(750℃×22kg
f /mm2 )を行ったところ、クリープ破断時間がIOO
Hから180Hに向上した。
【0023】図6〜図8は、本実施形態を実機に適用し
た場合について示したものである。
【0024】図6はガスタービン燃焼器の燃焼器ライナ
18の外観を示す図であり、図7は図6の側面図であ
る。図8はこの燃焼器ライナ18に連結されるトランジ
ションピース19の外観を示す図である。
【0025】この燃焼器ライナ18は全体として筒状
で、複数の筒状素体の端部同士を周方向に沿って溶接す
ることで構成されるものであり、その溶接部の強度改善
に本実施形態の方法を適用した。すなわち、燃焼器ライ
ナ18に施されている最初の高エネルギ密度熱源溶接部
15は、溶接金属の柱状晶が板厚方向および溶接線方向
にほぼ垂直に成長し、ビード中央部で会合する形態をと
っているが、表面溶融熱源としてのレーザビーム11を
照射することにより、高エネルギ密度熱源溶接部15の
一カ所以上を表面溶融させ、その表面溶融部16の柱状
晶を表面溶融側の溶接金属中央部の表面ビードに向かっ
て成長させることができる。この例においては、溶接部
の継手強度が約80%から100%に、またクリープ破
断時間が約1.5〜2.0倍に増加することが認められ
た。また、表面溶融としての一カ所の溶融によって十分
な効果が得られるので、燃焼器ライナ18の裏面からの
表面溶融は不要であり、工数が低減できる利点も得られ
る。
【0026】また、図8に示したトランジションピース
19については、軸方向に沿う溶接部によって径方向で
接合される構成となっている。このトランジションピー
ス19の溶接部15に対しても、前記同様の方法によっ
て強度改善の効果が奏される。
【0027】第2実施形態(図9) 本実施形態の強度改善方法は、表面溶融熱源として電子
ビームを用いるもので、図9はその方法を実施するため
の装置構成例を示している。
【0028】この装置は図9に示すように、高エネルギ
密度熱源溶接部15を有する被溶接材14を設置する密
閉式の接合室20を備え、高圧電源21からケーブル2
2を介して高圧電流が供給される電子銃23が接合室2
0に臨んで設けてある。この電子銃23から発せられる
電子ビーム24が、レンズ25を介して被溶接材14の
高エネルギ密度熱源溶接部15に照射されるようになっ
ている。
【0029】そして、高エネルギ密度熱源溶接部15の
強度改善を行う場合には、まず図示しない真空ポンプに
よって接合室20内の真空排気作用を行い、接合室20
内が所定の真空度に達した後、高圧電源21から電子銃
23に高電圧を印加して電子を加速する。この電子銃2
0から放出された電子ビーム24はレンズ25によって
集束された後、接合室20内に入り、高エネルギ密度熱
源溶接部15に照射され、高エネルギ密度熱源溶接部1
5表面の少なくとも一カ所以上を溶融する。
【0030】本実施形態の電子ビームによる溶融条件の
一例を以下に示す。
【0031】低電圧タイプ使用 加速電圧 : 50 kV 溶接速度 : 0.5〜5 m/min ビーム電流: 30〜60 mA 本実施形態においては、最初の溶接時に板厚方向および
溶接線方向にほぼ垂直に成長し、ビード中央部で直線的
に会合する形態をとっていた高エネルギ密度熱源溶接部
15の柱状晶が、第1実施形態の場合と同様に、電子ビ
ーム24によって表面溶融した側の溶接金属中央部のビ
ード表面に向かって成長する形態をとる。
【0032】そして、本実施形態の方法を施した結果、
溶接部15の継手強度は約80%から100%に、また
クリープ破断時間は約1.5〜2.0倍に増加すること
が認められた。
【0033】第3実施形態(図10) 本実施形態の強度改善方法は、表面溶融熱源としてプラ
ズマアークを用いるもので、図10はその方法を実施す
るための装置構成例を示している。
【0034】この装置は図10に示すように、電極2
6、チップ27およびノズル28を有するトーチ29
と、通電回路30とを備え、電極26とチップ27との
間隔部にArまたはHe等の不活性ガスが供給可能とさ
れている。
【0035】そして、高エネルギ密度熱源溶接部15の
強度改善を行う場合には、まず図示しない電源により、
電極26が正電位に、またチップ27が負電位に印加さ
れる。その結果、電極26とチップ27との間にアーク
が発生し、電極26とチップ27との間隔部を通って供
給されたArまたはHe等の不活性ガスがアークによっ
て加熱され、プラズマアーク31が形成される。このプ
ラズマアーク31を被溶接材14の高エネルギ密度熱源
溶接部15表面の少なくとも一カ所以上に照射して、そ
の溶接部15表面を溶融させる。
【0036】プラズマアークによる溶融条件の一例を以
下に示す。
【0037】 溶接電流 : 50 〜150 A ガス(Ar): 2〜10 l/min 溶接速度 : 0.1〜0.8 m/min ノズル径 : 3〜6 mm 本実施形態においても、最初の溶接時に板厚方向および
溶接線方向にほぼ垂直に成長し、ビード中央部で直線的
に会合する形態をとっていた高エネルギ密度熱源溶接部
15の柱状晶が、前記各実施形態の場合と同様に、プラ
ズマアーク31によって表面溶融した側の溶接金属中央
部のビード表面に向かって成長する形態をとる。
【0038】そして、本実施形態の方法を施した結果、
溶接部15の継手強度は約80%から100%に、また
クリープ破断時間は約1.5〜2.0倍に増加すること
が認められた。
【0039】第4実施形態(図11) 本実施形態の強度改善方法は、表面溶融熱源としてTI
Gアークを用いるもので、図11はその方法を実施する
ための装置構成例を示している。
【0040】この装置は図11に示すように、タングス
テンまたはタングステン合金からなる棒状の電極32
と、この電極32の周囲から被溶接材14の高エネルギ
密度熱源溶接部15に向けて不活性ガスからなるシール
ドガス33を噴出させるTIG用トーチ34とを備えて
いる。
【0041】高エネルギ密度熱源溶接部15の強度改善
を行う場合には、電極32の周囲にシールドガス33を
流すとともに、電極32への通電を行う。これにより、
シールドガス33中において電極32からTIGアーク
35が形成され、高エネルギ密度熱源溶接部15表面の
少なくとも一カ所以上が溶融する。
【0042】溶融条件の一例を以下に示す。
【0043】 溶接電流: 50〜150 A 溶接電圧: 20〜40 V 溶接速度: 5〜40 m/min 本実施形態においても、最初の溶接時に板厚方向および
溶接線方向にほぼ垂直に成長し、ビード中央部で直線的
に会合する形態をとっていた高エネルギ密度熱源溶接部
15の柱状晶が、前記各実施形態の場合と同様に、TI
Gマアーク35によって表面溶融した側の溶接金属中央
部のビード表面に向かって成長する形態をとる。
【0044】そして、本実施形態の方法を施した結果、
溶接部15の継手強度は約80%から100%に、また
クリープ破断時間は約1.5〜2.0倍に増加すること
が認められた。
【0045】第5実施形態(図12〜図15) 本実施形態は、前記の各実施形態で述べた表面溶融熱源
とともにフィラーワイヤを使用する方法であり、例えば
図17に示した高エネルギ密度熱源溶接部が溶込み不
足、アンダーカット、ピット、表ビード不良などの表面
欠陥を有する場合に好適な方法である。
【0046】図12は本実施形態の基本的な方法を説明
するための図であり、図13は改善された高エネルギ密
度熱源溶接部を説明するための図である。即ち、図12
に示すように、被溶接材14の高エネルギ密度熱源溶接
部15に例えば表面欠陥36が生じている場合におい
て、表面溶融熱源として例えばレーザビーム11を使用
し、高エネルギ密度熱源溶接部15の少なくとも一カ所
以上を、フィラーワイヤ37を供給しつつ表面溶融す
る。
【0047】表面溶融熱源にレーザを用いた際の溶融条
件の一例を以下に示す。
【0048】 レーザ出力 : 2〜5 kW 溶接速度 : 1〜4 m/min シールドガス: He フィラーワイヤ供給速度: 0.5〜3 m/min 本実施形態によれば、図13に示すように、高エネルギ
密度熱源溶接部15の表面欠陥36がフィラーワイヤ3
7の溶け込み部38によって消失し、健全な表面ビード
が得られた。そして、溶接部の継手強度が約80%から
100%に増加した。
【0049】図14および図15は、本実施形態を実機
に適用した場合について示したものである。図14はガ
スタービン燃焼器のトランジションピース19の外観を
示す図であり、図15は燃焼器ライナに取付けられるパ
イロット燃料ノズル39の外観を示す図である。
【0050】図14に示すように、トランジションピー
ス19については、軸方向に沿う高エネルギ密度熱源溶
接部15によって径方向で接合される構成となってい
る。このトランジションピース19の高エネルギ密度熱
源溶接部15に表面欠陥等が生じている場合において、
表面溶融熱源として例えばレーザビーム11を使用し、
高エネルギ密度熱源溶接部15の少なくとも一カ所以上
を、フィラーワイヤ37を供給しつつ表面溶融する。
【0051】これにより、高エネルギ密度熱源溶接部1
5の表面欠陥等が消失し、健全な表面ビードが得られ
た。そして、溶接部の継手強度が約80%から100%
に増加した。
【0052】また、図15に示すように、パイロット燃
料ノズル39については、小径なテーパ付き筒状のノズ
ル先端側部分39aと大径筒状の基端側部分39bとが
周方向に沿う高エネルギ密度熱源溶接部15によって接
合される構成となっている。このパイロット燃料ノズル
39の高エネルギ密度熱源溶接部15に表面欠陥等が生
じている場合において、表面溶融熱源として例えばレー
ザビーム11を使用し、高エネルギ密度熱源溶接部15
の少なくとも一カ所以上を、フィラーワイヤ37を供給
しつつ表面溶融する。
【0053】これにより、高エネルギ密度熱源溶接部1
5の表面欠陥等が消失し、健全な表面ビードが得られ
た。そして、溶接部の継手強度が約80%から100%
に増加した。
【0054】以上のように、本実施形態では高エネルギ
密度熱源溶接部に溶込み不足、アンダーカット、ピッ
ト、表ビード不良などの表面欠陥が存在する場合に、フ
ィラーワイヤの溶け込みによって消失させ、健全な表面
ビードを得ることができる。
【0055】なお、本実施形態において、表面溶融熱源
としてレーザビームの他、電子ビーム、プラズマアー
ク、TIGアークを用いても前記とほぼ同様の効果が得
られることが確認された。
【0056】なお、本発明は以上の各実施形態に限ら
ず、対象とする高エネルギ密度熱源溶接部の高エネルギ
密度熱源が、プラズマアーク、電子ビーム、レーザビー
ムその他の高速溶接によって溶接部が柱状晶となるもの
である場合に、広く適用することができる。
【0057】また、本発明においては、対象とする溶接
部の高エネルギ密度熱源と同種の表面溶融熱源を用いる
ことが最も有効であるが、対象とする溶接部の高エネル
ギ密度熱源と異種の表面溶融熱源を用いてもほぼ同様の
効果が得られるものであり、特に両熱源の組合わせが限
定されるものではない。
【0058】さらに、本発明は前記実施形態で示したガ
スタービン燃焼器における燃焼器ライナ、トランジショ
ンピースまたはパイロット燃料ノズル等のほか、各種圧
力容器等のように薄肉、高強度、高耐熱性、高耐食性等
が要求される各種溶接物について広く適用することがで
きるものである。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る高エネルギ
密度熱源溶接部の強度改善方法よれば、高エネルギ密度
熱源溶接部を表面溶融熱源を用いて表面溶融させること
により、同溶接部の特徴である柱状晶の方向性に基づく
強度的弱点を克服し、溶接部のクリープ強度および継手
強度等が向上できるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するための装置構
成を示す図。
【図2】前記第1実施形態によって得られるレーザ溶接
部の改善状態を示す図。
【図3】前記第1実施形態における表面ビード形状の一
例を示す図。
【図4】前記第1実施形態における表面ビード形状の他
の例を示す図。
【図5】前記第1実施形態の効果を説明するための図。
【図6】前記第1実施形態をガスタービン燃焼器の燃焼
器ライナに適用した場合を説明するための図。
【図7】図6に示す燃焼器ライナの側面図。
【図8】前記第1実施形態をガスタービン燃焼器のトラ
ンジションピースに適用した場合を説明するための図。
【図9】本発明の第2実施形態を説明するための装置構
成を示す図。
【図10】本発明の第3実施形態を説明するための装置
構成を示す図。
【図11】本発明の第4実施形態を説明するための装置
構成を示す図。
【図12】本発明の第5の実施形態を示す説明図。
【図13】前記第5実施形態により得られる高エネルギ
密度熱源溶接部の一例を示す図。
【図14】前記第5実施形態をガスタービン燃焼器のト
ランジションピースに適用した場合を説明するための
図。
【図15】前記第5実施形態をガスタービン燃焼器のパ
イロット燃料ノズルに適用した場合を説明するための
図。
【図16】従来例を説明するためのレーザ溶接部の断面
組織を示す図。
【図17】従来例を説明するためのレーザ溶接部の溶込
み形状を示す図。
【符号の説明】
10 レーザ発振器 11 レーザビーム 12 ミラー 13 集光レンズ 14 被溶接材 15 高エネルギ密度熱源溶接部 16 表面溶融部 17 溶接ビード 18 燃焼器ライナ 19 トランジションピース 20 接合室 21 高圧電源 22 ケーブル 23 電子銃 24 電子ビーム 25 レンズ 26 電極 27 チップ 28 ノズル 29 トーチ 30 通電回路 31 プラズマアーク 32 電極 33 シールドガス 34 TIG用トーチ 35 TIGアーク 36 表面欠陥 37 フィラーワイヤ 38 溶け込み部 39 パイロット燃料ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 31/00 B23K 31/00 B (72)発明者 木村 盛一郎 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 松井 宏 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接金属の柱状晶が板厚方向および溶接
    線方向にほぼ垂直に成長し、ビード中央部で直線的に会
    合する形態をとる高エネルギ密度熱源溶接部を強度改善
    対象とする高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法で
    あって、前記高エネルギ密度熱源溶接部の表面を表面溶
    融熱源を用いて再溶融させ、前記溶接金属の柱状晶を表
    面溶融した側の溶接金属中央部のビード表面に向けて成
    長させることにより、溶接部の強度を改善することを特
    徴とする高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高エネルギ密度熱源溶接
    部の強度改善方法において、表面溶融熱源として、電子
    ビーム、レーザビーム、プラズマアーク、またはTIG
    アークを用いることを特徴とする高エネルギ密度熱源溶
    接部の強度改善方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の高エネルギ密度
    熱源溶接部の強度改善方法において、表面溶融深さを板
    厚の40%以下とし、かつ表面溶融ビード幅を高エネル
    ギ密度熱源溶接部のビード幅より大きくすることを特徴
    とする高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法において、表
    面溶融熱源を用いてフィラーワイヤを供給しつつ高エネ
    ルギ密度熱源溶接部を表面溶融させて健全な表面ビード
    を成形することを特徴とする高エネルギ密度熱源溶接部
    の強度改善方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    高エネルギ密度熱源溶接部の強度改善方法において、強
    度改善される溶接対象物として、ガスタービン燃焼器の
    燃焼器ライナ、トランジションピース、またはパイロッ
    ト燃料ノズルを適用することを特徴とする高エネルギ密
    度熱源溶接部の強度改善方法。
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