JPH1073065A - 直接噴射式ディーゼルエンジン - Google Patents
直接噴射式ディーゼルエンジンInfo
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- F02B23/02—Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with compression ignition
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- F02B23/06—Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with compression ignition the combustion space being arranged in working piston
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- F02B23/0651—Means or methods to improve the spray dispersion, evaporation or ignition the fuel spray impinging on reflecting surfaces or being specially guided throughout the combustion space
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- F02B3/06—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
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- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
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- Combustion & Propulsion (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 エンジンの低速・低負荷運転領域では、
排気ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減できると共に、
高負荷運転領域では、排気ガス中のスモークの排出量も
低量にすることができて、全運転領域において、排気ガ
スを改善できる直接噴射式ディーゼルエンジンを提供す
ること。 【解決手段】 エンジンのピストンの頂部に形成したキ
ャビティの底面中央部に環状の突起部を設けて、突起部
の外側の主燃焼部と内側の副燃焼部を形成し、キャビテ
ィに対面させてシリンダヘッドに設けた燃料噴射ノズル
に、主燃焼部の側壁と、副燃焼部の底部をそれぞれ指向
して燃料噴射する複数の主噴孔と指副噴孔を設け、少な
くともエンジンの低速・低負荷運転領域において、副噴
孔のみから燃料噴射する。
排気ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減できると共に、
高負荷運転領域では、排気ガス中のスモークの排出量も
低量にすることができて、全運転領域において、排気ガ
スを改善できる直接噴射式ディーゼルエンジンを提供す
ること。 【解決手段】 エンジンのピストンの頂部に形成したキ
ャビティの底面中央部に環状の突起部を設けて、突起部
の外側の主燃焼部と内側の副燃焼部を形成し、キャビテ
ィに対面させてシリンダヘッドに設けた燃料噴射ノズル
に、主燃焼部の側壁と、副燃焼部の底部をそれぞれ指向
して燃料噴射する複数の主噴孔と指副噴孔を設け、少な
くともエンジンの低速・低負荷運転領域において、副噴
孔のみから燃料噴射する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は排気ガス中の成分で
あるスモーク、ＨＣの排出量を低減して、排気ガスの改
善を図る直接噴射式ディーゼルエンジンに関するもので
ある。
あるスモーク、ＨＣの排出量を低減して、排気ガスの改
善を図る直接噴射式ディーゼルエンジンに関するもので
ある。
【０００２】
【従来の技術】従来の直接噴射式ディーゼルエンジンに
おいては、排気ガス中のＨＣ、ＣＯ、ＮＯX とスモーク
の排出量の低減が、大気汚染防止の面から強く望まれ、
ピストン頂部のキャビティ形状や燃料の噴射時期などの
最適化を目指して種々な研究が行われ、成果を上げてき
ているが、その一つに、燃料と燃焼用空気との混合気の
濃度に注目した技術がある。
おいては、排気ガス中のＨＣ、ＣＯ、ＮＯX とスモーク
の排出量の低減が、大気汚染防止の面から強く望まれ、
ピストン頂部のキャビティ形状や燃料の噴射時期などの
最適化を目指して種々な研究が行われ、成果を上げてき
ているが、その一つに、燃料と燃焼用空気との混合気の
濃度に注目した技術がある。
【０００３】ピストン頂部のキャビティに発生する混合
気は、その濃度が、理論空燃比に近い場合には、燃焼し
易く、比較的低い温度でも良好に完全燃焼するが、理論
空燃比よりも希薄状態になるに従って、良好な燃焼をす
ることができなくなり、低い温度で未燃ＨＣを発生す
る。一方、混合気の濃度が理論空燃比よりも過濃状態に
なった場合でも、良好に燃焼することが困難となり、不
完全燃焼や燃料の熱分解により、スモークを発生するよ
うになる。
気は、その濃度が、理論空燃比に近い場合には、燃焼し
易く、比較的低い温度でも良好に完全燃焼するが、理論
空燃比よりも希薄状態になるに従って、良好な燃焼をす
ることができなくなり、低い温度で未燃ＨＣを発生す
る。一方、混合気の濃度が理論空燃比よりも過濃状態に
なった場合でも、良好に燃焼することが困難となり、不
完全燃焼や燃料の熱分解により、スモークを発生するよ
うになる。
【０００４】従来技術では、エンジンの高負荷運転領域
の燃料噴霧量に合わせて、キャビティ（燃焼室）の大き
さ・形状、噴射ノズルの燃料噴射方向、噴霧の分散状態
などを最適化して、キャビティに発生する混合気の濃度
を理論空燃比に近づけることが行われ、良好な燃焼状態
を得て、排気ガス中のスモークの低減という効果を奏し
ている。
の燃料噴霧量に合わせて、キャビティ（燃焼室）の大き
さ・形状、噴射ノズルの燃料噴射方向、噴霧の分散状態
などを最適化して、キャビティに発生する混合気の濃度
を理論空燃比に近づけることが行われ、良好な燃焼状態
を得て、排気ガス中のスモークの低減という効果を奏し
ている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、噴射燃
料量の少ない低負荷運転領域、そのうちでも、特に低速
の運転領域で、排気ガス中のＨＣの排出量が多くなると
いう問題がある。即ち、図５に示すように、例えば１０
００ｒｐｍの回転数一定で、エンジンの負荷を増加させ
て行くと、排気ガス中のスモーク濃度は、漸増する線Ａ
となるが、ＨＣ濃度は、低負荷領域に山形を有する曲線
Ｂとなり、低負荷時にＨＣ濃度が著しく増加する。
うな直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、噴射燃
料量の少ない低負荷運転領域、そのうちでも、特に低速
の運転領域で、排気ガス中のＨＣの排出量が多くなると
いう問題がある。即ち、図５に示すように、例えば１０
００ｒｐｍの回転数一定で、エンジンの負荷を増加させ
て行くと、排気ガス中のスモーク濃度は、漸増する線Ａ
となるが、ＨＣ濃度は、低負荷領域に山形を有する曲線
Ｂとなり、低負荷時にＨＣ濃度が著しく増加する。
【０００６】従来技術においては、燃料は、図６に示す
ように、燃料噴射ノズルからキャビティ内に放射線状に
噴射され、これらの燃料は互いに干渉し合うことなく、
キャビティ全域に拡散していく。そのため、高負荷運転
領域では、噴射燃料が多いので、混合気は、理論空燃比
に近い混合状態になるが、低負荷運転領域では、噴射燃
料が少ないので、キャビティ内全域の多量の空気で混合
されて、希薄混合気となってしまう。
ように、燃料噴射ノズルからキャビティ内に放射線状に
噴射され、これらの燃料は互いに干渉し合うことなく、
キャビティ全域に拡散していく。そのため、高負荷運転
領域では、噴射燃料が多いので、混合気は、理論空燃比
に近い混合状態になるが、低負荷運転領域では、噴射燃
料が少ないので、キャビティ内全域の多量の空気で混合
されて、希薄混合気となってしまう。
【０００７】従って、低速・低負荷運転の領域では、単
位時間当たりの燃焼エネルギーの発生量が少なくて、ピ
ストン頂部の温度上昇も不十分であるので、比較的低温
になっているキャビティ内に希薄混合気が生成すること
になって、完全燃焼ができなくなり、未燃のＨＣが多量
に発生することになる。また、一方、低速・低負荷運転
時に理論空燃比に近い混合気になるようにキャビティを
形成した場合には、高負荷運転時において、混合気が過
濃状態になり、不完全燃焼を起こし、多量のスモークを
発生することになる。
位時間当たりの燃焼エネルギーの発生量が少なくて、ピ
ストン頂部の温度上昇も不十分であるので、比較的低温
になっているキャビティ内に希薄混合気が生成すること
になって、完全燃焼ができなくなり、未燃のＨＣが多量
に発生することになる。また、一方、低速・低負荷運転
時に理論空燃比に近い混合気になるようにキャビティを
形成した場合には、高負荷運転時において、混合気が過
濃状態になり、不完全燃焼を起こし、多量のスモークを
発生することになる。
【０００８】本発明は、上述の問題を解決するためにな
されたもので、その目的は、エンジンの低速・低負荷運
転領域では、排気ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減で
きると共に、高負荷運転領域では、排気ガス中のスモー
クの排出量も低量にすることができて、全運転領域にお
いて、排気ガスを改善できる直接噴射式ディーゼルエン
ジンを提供することである。
されたもので、その目的は、エンジンの低速・低負荷運
転領域では、排気ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減で
きると共に、高負荷運転領域では、排気ガス中のスモー
クの排出量も低量にすることができて、全運転領域にお
いて、排気ガスを改善できる直接噴射式ディーゼルエン
ジンを提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するために、エンジンのピストンの頂部に形成したキャ
ビティに対面させて、シリンダヘッドに燃料噴射ノズル
を設けると共に、前記キャビティの底面中央部に環状の
突起部を設けて、該突起部の外側の主燃焼部と前記突起
部の内側の副燃焼部を形成し、更に、前記燃料噴射ノズ
ルに、主燃焼部の側壁を指向して燃料噴射する複数の主
噴孔と副燃焼部の底部を指向して燃料噴射する副噴孔を
設け、少なくともエンジンの低速・低負荷運転領域にお
いて、前記副噴孔のみから燃料噴射するように構成した
直接噴射式ディーゼルエンジンを提供する。
するために、エンジンのピストンの頂部に形成したキャ
ビティに対面させて、シリンダヘッドに燃料噴射ノズル
を設けると共に、前記キャビティの底面中央部に環状の
突起部を設けて、該突起部の外側の主燃焼部と前記突起
部の内側の副燃焼部を形成し、更に、前記燃料噴射ノズ
ルに、主燃焼部の側壁を指向して燃料噴射する複数の主
噴孔と副燃焼部の底部を指向して燃料噴射する副噴孔を
設け、少なくともエンジンの低速・低負荷運転領域にお
いて、前記副噴孔のみから燃料噴射するように構成した
直接噴射式ディーゼルエンジンを提供する。
【００１０】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。図１に示すように、エン
ジンのピストン１の頂部11に、形成したキャビティ２の
底面中央部に環状の突起部21を設けて、この外側に主燃
焼部２ａを形成し、この内側に副燃焼部２ｂを形成す
る。
て、図面を参照して説明する。図１に示すように、エン
ジンのピストン１の頂部11に、形成したキャビティ２の
底面中央部に環状の突起部21を設けて、この外側に主燃
焼部２ａを形成し、この内側に副燃焼部２ｂを形成す
る。
【００１１】この副燃焼部２ｂは、低速・低負荷時の燃
料噴霧量に合わせて、副燃焼部２ｂ内に発生する混合気
の濃度が良好な燃焼を行える理論空燃比に近い濃度にな
るように、その大きさを決め、その形状は、噴射された
燃料噴霧がこの副燃焼部２ｂの底部に衝突した後でも拡
散しないように、環状の突起部21に囲まれた、例えば、
円筒状凹部に形成する。
料噴霧量に合わせて、副燃焼部２ｂ内に発生する混合気
の濃度が良好な燃焼を行える理論空燃比に近い濃度にな
るように、その大きさを決め、その形状は、噴射された
燃料噴霧がこの副燃焼部２ｂの底部に衝突した後でも拡
散しないように、環状の突起部21に囲まれた、例えば、
円筒状凹部に形成する。
【００１２】この副燃焼部２ｂは、セラミック等の断熱
材22を用いて、副燃焼部２ｂの周壁である環状の突起部
21と底部24を形成すると、これらの部分の温度の低下が
抑制されて、比較的高温に維持できるので、良好な燃焼
状態を実現でき、その上、これらの部分に衝突して付着
した燃料の蒸発を促進できる。そのため、この副燃焼部
２ｂは断熱材22で形成するのが好ましい。
材22を用いて、副燃焼部２ｂの周壁である環状の突起部
21と底部24を形成すると、これらの部分の温度の低下が
抑制されて、比較的高温に維持できるので、良好な燃焼
状態を実現でき、その上、これらの部分に衝突して付着
した燃料の蒸発を促進できる。そのため、この副燃焼部
２ｂは断熱材22で形成するのが好ましい。
【００１３】そして、主燃焼部２ａは、高負荷運転時の
燃料噴霧量に合わせて、理論空燃比に近い濃度になるよ
うに、前述の副燃焼室２ｂの大きさや後述する燃料噴射
の方向とその各方向への噴射燃料の分量も考え合わせな
がら、その大きさや形状を決める。また、エンジンのピ
ストン１の頂部11に形成したキャビティ２に対面させ
て、シリンダヘッド３に燃料噴射ノズル４を設ける。こ
の燃料噴射ノズル４には主燃焼部２ａの側壁23を指向し
て噴射するための複数の主噴孔４ａと副燃焼部２ｂの底
部24に指向して噴射する副噴孔４ｂを設けて、二種類の
噴射方向を選択して噴射できるようにする。
燃料噴霧量に合わせて、理論空燃比に近い濃度になるよ
うに、前述の副燃焼室２ｂの大きさや後述する燃料噴射
の方向とその各方向への噴射燃料の分量も考え合わせな
がら、その大きさや形状を決める。また、エンジンのピ
ストン１の頂部11に形成したキャビティ２に対面させ
て、シリンダヘッド３に燃料噴射ノズル４を設ける。こ
の燃料噴射ノズル４には主燃焼部２ａの側壁23を指向し
て噴射するための複数の主噴孔４ａと副燃焼部２ｂの底
部24に指向して噴射する副噴孔４ｂを設けて、二種類の
噴射方向を選択して噴射できるようにする。
【００１４】この燃料噴射ノズル４は、具体的には、図
２に示すように、ニードル弁20を円筒状に形成した外側
ニードル20ｂと、この円筒内に摺動自在に嵌装した内側
ニードル20ａの二重構造のニードルで構成し、ノズルボ
ディ16の先端部に内側ニードル20ａによって開孔（開
弁）および閉孔（閉弁）される主噴孔４ａを複数個設
け、同様に、外側ニードル20ｂによって開孔および閉孔
される副噴孔４ｂを単数または複数個設ける。また、噴
射ノズルの先端から見た時の、主噴孔４ａと副噴孔４ｂ
の配置は、図２（ｂ）に示すように、同じ直径上ではな
く、円周方向に位相がずれるように配置される。
２に示すように、ニードル弁20を円筒状に形成した外側
ニードル20ｂと、この円筒内に摺動自在に嵌装した内側
ニードル20ａの二重構造のニードルで構成し、ノズルボ
ディ16の先端部に内側ニードル20ａによって開孔（開
弁）および閉孔（閉弁）される主噴孔４ａを複数個設
け、同様に、外側ニードル20ｂによって開孔および閉孔
される副噴孔４ｂを単数または複数個設ける。また、噴
射ノズルの先端から見た時の、主噴孔４ａと副噴孔４ｂ
の配置は、図２（ｂ）に示すように、同じ直径上ではな
く、円周方向に位相がずれるように配置される。
【００１５】この外側ニードル20ｂの後端部に戻しスプ
リング７ｂを設けて、外側ニードル20ｂを閉弁方向に付
勢させると共に、先端部には、燃料溜５を形成して、こ
の燃料溜５にノズルボディ16の胴部に開孔する燃料通路
６を通じて、図示しない燃料ポンプから、加圧燃料を燃
料溜５に供給できるよう配管する。次に内側ニードル20
ａの後端部に駆動部８を設け、ノズル制御装置15の制御
信号に従って、主噴孔４ａを開孔または閉孔するように
構成する。
リング７ｂを設けて、外側ニードル20ｂを閉弁方向に付
勢させると共に、先端部には、燃料溜５を形成して、こ
の燃料溜５にノズルボディ16の胴部に開孔する燃料通路
６を通じて、図示しない燃料ポンプから、加圧燃料を燃
料溜５に供給できるよう配管する。次に内側ニードル20
ａの後端部に駆動部８を設け、ノズル制御装置15の制御
信号に従って、主噴孔４ａを開孔または閉孔するように
構成する。
【００１６】この駆動部８は、図２に示すように、内側
ニードル20ａの後端部に鉄心からなるプランジャ９を取
付け、さらに、戻しスプリング７ａを挟んで、コア12を
ケーシング11にネジ10で固定し、これらプランジャ９と
コア12の周囲にソレノイド14を配置した電磁駆動装置で
構成してもよいが、これに限定されることなく、例え
ば、油圧シリンダと電磁切換弁等からなる油圧式の駆動
部８でもよく、制御装置15の指令に従って、主噴孔４ａ
を開孔または閉孔できるものであればよい。
ニードル20ａの後端部に鉄心からなるプランジャ９を取
付け、さらに、戻しスプリング７ａを挟んで、コア12を
ケーシング11にネジ10で固定し、これらプランジャ９と
コア12の周囲にソレノイド14を配置した電磁駆動装置で
構成してもよいが、これに限定されることなく、例え
ば、油圧シリンダと電磁切換弁等からなる油圧式の駆動
部８でもよく、制御装置15の指令に従って、主噴孔４ａ
を開孔または閉孔できるものであればよい。
【００１７】以上のような構成により、図３に示すよう
な運転領域（Ａ＋Ｂ）内の、少なくとも低速・低負荷運
転領域Ｂにおいては、副噴孔４ｂのみから燃料噴射する
ようにし、高速時や高負荷時の運転領域Ａでは、主噴孔
４ａからも燃料噴射するように駆動部８を制御する。先
ず、低速・低負荷時には、燃料ポンプと燃料通路６の間
に設けた図示しない燃料弁を開弁することにより、燃料
通路６から燃料溜５に加圧燃料を供給する。すると、燃
料溜５の油圧により、外側ニードル20ｂを戻しスプリン
グ７ｂのバネ力に抗してリフトして、副噴孔４ｂを開孔
するので、この副噴孔４ｂから、副燃焼部２ｂの底部に
向かって燃料が噴射される。この時、主噴孔４ａは、内
側ニードル20ａによって閉孔しているので、燃料は、副
噴孔４ｂだけから副燃焼部２ｂ内の底部24に向かって噴
射される。
な運転領域（Ａ＋Ｂ）内の、少なくとも低速・低負荷運
転領域Ｂにおいては、副噴孔４ｂのみから燃料噴射する
ようにし、高速時や高負荷時の運転領域Ａでは、主噴孔
４ａからも燃料噴射するように駆動部８を制御する。先
ず、低速・低負荷時には、燃料ポンプと燃料通路６の間
に設けた図示しない燃料弁を開弁することにより、燃料
通路６から燃料溜５に加圧燃料を供給する。すると、燃
料溜５の油圧により、外側ニードル20ｂを戻しスプリン
グ７ｂのバネ力に抗してリフトして、副噴孔４ｂを開孔
するので、この副噴孔４ｂから、副燃焼部２ｂの底部に
向かって燃料が噴射される。この時、主噴孔４ａは、内
側ニードル20ａによって閉孔しているので、燃料は、副
噴孔４ｂだけから副燃焼部２ｂ内の底部24に向かって噴
射される。
【００１８】そして、所定量の燃料噴射を行うと、燃料
通路６への燃料供給が断たれ、燃料溜５内の燃料油圧力
が低下するので、外側ニードル20ｂは戻しスプリング７
ｂによって閉孔位置に戻され、副噴孔４ｂが閉止し、燃
料噴射は停止する。このようにして、低速・低負荷の、
噴射燃料量が少なく、また、ピストン１の頂部11の温度
上昇が不十分な運転領域では、副噴孔４ｂのみを開孔し
て、副燃焼部２ｂに向かってのみ燃料噴射できるので、
混合気を理論空燃比に近い濃度にすることができ、良好
な燃焼状態にして、未燃ＨＣの発生を抑制でき、大幅に
排気ガス中のＨＣの排出量を低減できる。
通路６への燃料供給が断たれ、燃料溜５内の燃料油圧力
が低下するので、外側ニードル20ｂは戻しスプリング７
ｂによって閉孔位置に戻され、副噴孔４ｂが閉止し、燃
料噴射は停止する。このようにして、低速・低負荷の、
噴射燃料量が少なく、また、ピストン１の頂部11の温度
上昇が不十分な運転領域では、副噴孔４ｂのみを開孔し
て、副燃焼部２ｂに向かってのみ燃料噴射できるので、
混合気を理論空燃比に近い濃度にすることができ、良好
な燃焼状態にして、未燃ＨＣの発生を抑制でき、大幅に
排気ガス中のＨＣの排出量を低減できる。
【００１９】次に、高速時又は高負荷時には、燃料通路
６から燃料溜５に加圧燃料を供給して、副噴孔４ｂから
燃料噴射すると共に、制御装置15は、図示していない回
転数センサーや負荷センサーなどの信号からこの運転状
態を検知して、駆動部８に駆動指令を出す、具体的に
は、駆動部８のソレノイド14に電流を流し、戻しスプリ
ング７ａのバネ力に抗して、プランジャ９を引き上げて
内側ニードル20ａをリフトさせる。すると、主噴孔４ａ
も開孔し、燃料は主燃焼部２ａの側壁23に向けても噴射
される。
６から燃料溜５に加圧燃料を供給して、副噴孔４ｂから
燃料噴射すると共に、制御装置15は、図示していない回
転数センサーや負荷センサーなどの信号からこの運転状
態を検知して、駆動部８に駆動指令を出す、具体的に
は、駆動部８のソレノイド14に電流を流し、戻しスプリ
ング７ａのバネ力に抗して、プランジャ９を引き上げて
内側ニードル20ａをリフトさせる。すると、主噴孔４ａ
も開孔し、燃料は主燃焼部２ａの側壁23に向けても噴射
される。
【００２０】そして、所定量の燃料噴射を行うと、燃料
通路６への燃料供給が断たれ、燃料溜５内の燃料油圧力
が低下するので、外側ニードル20ｂは戻しスプリング７
ｂによって元の位置に戻され、副噴孔４ｂが閉止され
る。また、それと共に、制御装置15からソレノイド14へ
の電流が断たれ、内側ニードル20ａが戻しスプリング７
ａのバネ力により、閉孔位置に戻り主噴孔４ａも閉止さ
れる。
通路６への燃料供給が断たれ、燃料溜５内の燃料油圧力
が低下するので、外側ニードル20ｂは戻しスプリング７
ｂによって元の位置に戻され、副噴孔４ｂが閉止され
る。また、それと共に、制御装置15からソレノイド14へ
の電流が断たれ、内側ニードル20ａが戻しスプリング７
ａのバネ力により、閉孔位置に戻り主噴孔４ａも閉止さ
れる。
【００２１】このようにして、高負荷の噴射燃料量が多
い運転領域においては、副噴孔４ｂに加えて、主噴孔４
ａでも燃料噴射するので、主燃焼部２ａと副燃焼部２ｂ
とを合わせた広いキャビティ全体の空間で、混合気を発
生でき、理論空燃比に近い濃度で燃焼することができる
ので、スモークの発生を少なくできる。従って、このよ
うな直接噴射式ディーゼルエンジンによれば、低速・低
負荷運転領域では、未燃ＨＣの発生を抑制できて、排気
ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減できると共に、エン
ジンの高負荷運転領域では、排気ガス中のスモークの排
出量を低量にすることができる。
い運転領域においては、副噴孔４ｂに加えて、主噴孔４
ａでも燃料噴射するので、主燃焼部２ａと副燃焼部２ｂ
とを合わせた広いキャビティ全体の空間で、混合気を発
生でき、理論空燃比に近い濃度で燃焼することができる
ので、スモークの発生を少なくできる。従って、このよ
うな直接噴射式ディーゼルエンジンによれば、低速・低
負荷運転領域では、未燃ＨＣの発生を抑制できて、排気
ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減できると共に、エン
ジンの高負荷運転領域では、排気ガス中のスモークの排
出量を低量にすることができる。
【００２２】なお、高速・低負荷時においては、噴射燃
料が少なくて希薄混合気が生じるが、高速なので、単位
時間あたりの燃焼量が比較的多く、エンジンの温度が上
昇するので、高温状態で燃焼できるため、未燃ＨＣの発
生量は少なくて済む。また、この主噴孔４ａは、高速運
転領域や高負荷運転領域で常時開孔する必要はなく、噴
射燃料量や燃焼温度などによって、良好な燃焼が、副噴
孔４ｂのみの燃料噴射で行うことができれば、その運転
状態に応じて、主噴孔４ａを燃料噴射期間中の一部又は
全体に渡って閉止してもよい。
料が少なくて希薄混合気が生じるが、高速なので、単位
時間あたりの燃焼量が比較的多く、エンジンの温度が上
昇するので、高温状態で燃焼できるため、未燃ＨＣの発
生量は少なくて済む。また、この主噴孔４ａは、高速運
転領域や高負荷運転領域で常時開孔する必要はなく、噴
射燃料量や燃焼温度などによって、良好な燃焼が、副噴
孔４ｂのみの燃料噴射で行うことができれば、その運転
状態に応じて、主噴孔４ａを燃料噴射期間中の一部又は
全体に渡って閉止してもよい。
【００２３】
【発明の効果】本発明により、少なくともエンジンの低
速・低負荷運転領域では、少量の燃料を、ピストンのキ
ャビティの底面中央部に形成した狭い副燃焼部に向かっ
てのみ噴射し、更に、高負荷運転領域では、前記副燃焼
部に加えて広いキャビティ全域に向かって多量の燃料を
噴射することができるので、全運転領域で、混合気を理
論空燃比に近い状態になるように、燃料噴射ノズルの噴
孔を選択して噴射して良好な燃焼を行うことができる。
速・低負荷運転領域では、少量の燃料を、ピストンのキ
ャビティの底面中央部に形成した狭い副燃焼部に向かっ
てのみ噴射し、更に、高負荷運転領域では、前記副燃焼
部に加えて広いキャビティ全域に向かって多量の燃料を
噴射することができるので、全運転領域で、混合気を理
論空燃比に近い状態になるように、燃料噴射ノズルの噴
孔を選択して噴射して良好な燃焼を行うことができる。
【００２４】従って、エンジンの低速・低負荷運転領域
では、少量の燃料を主として狭い副燃焼部において、最
適な混合気濃度にして燃焼させるようにしたので、排気
ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減できると共に、高負
荷運転領域では、多量の燃料を広いキャビティ全域で最
適な混合気濃度にして燃焼させるようにしたので、排気
ガス中のスモークの排出量を低減することができて、全
運転領域において、排気ガスを改善できる直接噴射式デ
ィーゼルエンジンを得られる。
では、少量の燃料を主として狭い副燃焼部において、最
適な混合気濃度にして燃焼させるようにしたので、排気
ガス中のＨＣの排出量を大幅に低減できると共に、高負
荷運転領域では、多量の燃料を広いキャビティ全域で最
適な混合気濃度にして燃焼させるようにしたので、排気
ガス中のスモークの排出量を低減することができて、全
運転領域において、排気ガスを改善できる直接噴射式デ
ィーゼルエンジンを得られる。
【図１】本発明の実施の形態のキャビティと燃料噴射ノ
ズルを示すピストン上部の断面図である。
ズルを示すピストン上部の断面図である。
【図２】（ａ）は本発明の実施の形態の燃料噴射ノズル
の構成を示す断面図であり、（ｂ）は、Ａ−Ａ方向から
見た主噴孔と副噴孔の配置を示す下面図である。
の構成を示す断面図であり、（ｂ）は、Ａ−Ａ方向から
見た主噴孔と副噴孔の配置を示す下面図である。
【図３】本発明の燃料噴射ノズルの制御を行うエンジン
の運転領域を示す図である。
の運転領域を示す図である。
【図４】本発明の燃料噴霧の状況を示すピストン上部の
断面図であり、（ａ）は副噴孔のみ燃料噴射する場合で
あり、（ｂ）は主噴孔と副噴孔の両方で燃料噴射する場
合である。
断面図であり、（ａ）は副噴孔のみ燃料噴射する場合で
あり、（ｂ）は主噴孔と副噴孔の両方で燃料噴射する場
合である。
【図５】従来技術におけるエンジン負荷に対する排気ガ
ス中のスモーク、ＨＣの排出濃度を示す図である。
ス中のスモーク、ＨＣの排出濃度を示す図である。
【図６】従来技術における噴霧燃料の拡散状態を説明す
るためのピストン上部の模式図であり、（ａ）は側面断
面図であり、（ｂ）はシリンダヘッド側から見た平面図
である。
るためのピストン上部の模式図であり、（ａ）は側面断
面図であり、（ｂ）はシリンダヘッド側から見た平面図
である。
１ … ピストン ２ … キャビテ
ィ ２ａ… 主燃焼部 ２ｂ… 副燃焼部 ３ … シリンダヘッド ４ … 燃料噴射
ノズル ４ａ… 主噴孔 ４ｂ… 副噴孔 11 … 頂部 21 … 突起部 22 … 断熱材 23 … 側壁 24 … 底部 Ｆ … 燃料噴霧
ィ ２ａ… 主燃焼部 ２ｂ… 副燃焼部 ３ … シリンダヘッド ４ … 燃料噴射
ノズル ４ａ… 主噴孔 ４ｂ… 副噴孔 11 … 頂部 21 … 突起部 22 … 断熱材 23 … 側壁 24 … 底部 Ｆ … 燃料噴霧
Claims (1)
- 【請求項１】 エンジンのピストン（１）の頂部（11）
に形成したキャビティ（２）に対面させて、シリンダヘ
ッド（３）に燃料噴射ノズル（４）を設けると共に、前
記キャビティ（２）の底面中央部に環状の突起部（21）
を設けて、該突起部（21）の外側の主燃焼部（２ａ）と
前記突起部（21）の内側の副燃焼部（２ｂ）を形成し、
更に、前記燃料噴射ノズル（４）に、主燃焼部（２ａ）
の側壁（23）を指向して燃料噴射する複数の主噴孔（４
ａ）と副燃焼部（２ｂ）の底部（24）を指向して燃料噴
射する副噴孔（４ｂ）を設け、少なくともエンジンの低
速・低負荷運転領域において、前記副噴孔（４ｂ）のみ
から燃料噴射するように構成した直接噴射式ディーゼル
エンジン。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8229613A JPH1073065A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 直接噴射式ディーゼルエンジン |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8229613A JPH1073065A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 直接噴射式ディーゼルエンジン |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1073065A true JPH1073065A (ja) | 1998-03-17 |
Family
ID=16894932
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8229613A Pending JPH1073065A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 直接噴射式ディーゼルエンジン |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1073065A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007080746A1 (ja) * | 2006-01-13 | 2007-07-19 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | 予混合圧縮自着火燃焼機関 |
| JP2011241746A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Hino Motors Ltd | 排気浄化装置 |
| CN110953394A (zh) * | 2019-10-14 | 2020-04-03 | 中国北方发动机研究所(天津) | 一种燃烧室喷嘴电磁阀 |
-
1996
- 1996-08-30 JP JP8229613A patent/JPH1073065A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007080746A1 (ja) * | 2006-01-13 | 2007-07-19 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | 予混合圧縮自着火燃焼機関 |
| JP2011241746A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Hino Motors Ltd | 排気浄化装置 |
| CN110953394A (zh) * | 2019-10-14 | 2020-04-03 | 中国北方发动机研究所(天津) | 一种燃烧室喷嘴电磁阀 |
| CN110953394B (zh) * | 2019-10-14 | 2022-07-29 | 中国北方发动机研究所(天津) | 一种燃烧室喷嘴电磁阀 |
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