JPH1072416A - シクロプロピルグリシン誘導体及び代謝調節型l−グルタミン酸受容体アゴニスト - Google Patents

シクロプロピルグリシン誘導体及び代謝調節型l−グルタミン酸受容体アゴニスト

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JPH1072416A
JPH1072416A JP19062997A JP19062997A JPH1072416A JP H1072416 A JPH1072416 A JP H1072416A JP 19062997 A JP19062997 A JP 19062997A JP 19062997 A JP19062997 A JP 19062997A JP H1072416 A JPH1072416 A JP H1072416A
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JP
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cyclopropylglycine
difluoro
mhz
nmr
carboxy
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JP19062997A
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English (en)
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Atsuhiko Shinozaki
温彦 篠崎
Takeo Taguchi
武夫 田口
Michiko Ishida
美知子 石田
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Nippon Chemiphar Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemiphar Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来知られていた代謝調節型L−グルタミン
酸受容体アゴニストよりも、より選択的で優れた特性を
示す新規なシクロプロピルグリシン誘導体を提供するこ
と。 【解決手段】 下記式: 【化1】 [ただし、R1 とR2 とは、それぞれ独立に、水酸基も
しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、R3 とR
4 とは、それぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜
6のアルキル基を表わし、X1 とX2 とは、それぞれ独
立に、ハロゲン原子を表わす。]で表わされるシクロプ
ロピルグリシン誘導体、その合成中間体、そしてシクロ
プロピルグリシン誘導体は、新規な化合物であり、従来
知られていた代謝調節型L−グルタミン酸受容体アゴニ
ストよりも選択性が高く、優れた特性を示す代謝調節型
L−グルタミン酸受容体アゴニスト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なシクロプロ
ピルグリシン誘導体、およびそのシクロプロピルグリシ
ン誘導体を有効成分とする代謝調節型L−グルタミン酸
受容体アゴニストに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、グルタミン酸受容体は、イオンチ
ャンネル型(iGluR)と代謝調節型(mGluR)
とに大きく分類されている。そして、iGluRはさら
にNMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)型と非
−NMDA型とに分類される。(「神経精神薬理」第1
8巻5号、345〜365頁、1996年) NMDA型受容体については、アゴニストにより活性化
されるこの受容体の作用によってCa2+が細胞内に流入
して、細胞内Ca2+濃度が上昇すること、そしてその結
果、種々のCa2+依存性酵素が活性化され、次いで発生
する連鎖的な細胞内変化が一定の閾値を越えると、不可
逆的な細胞死へ移行することが推測されている。(「日
薬理誌」104号、177〜187頁(1994年))
【0003】一方、mGluRは、その配列の相同性、
細胞内情報伝達機構、およびアゴニスト選択性により、
現在では三つのグループ(グループI、II、III )に分
けられている。mGluRのグループIのアゴニストと
しては、キスカル酸が強い活性を示し、このものは、イ
ノシトール三燐酸(IP3 )の生成と細胞内Ca2+動態
の変動を促す。mGluRのグループII、III のアゴニ
ストは、forskolinで誘発した細胞内cAMP
の生成を抑制する。mGluRのグループIIとIII との
間には、アゴニストの選択性に差異がある。mGluR
のグループIIのアゴニストとしては、DCG−IV(2
S,1’R,2’R,3’R)−2−(2,3−ジカル
ボキシシクロプロピル)グリシン)及びL−CCG−I
((2S,1’S,2’S)−2−(2−カルボキシシ
クロプロピル)グリシン)が知られており、mGluR
のグループIII のアゴニストとしては、L−AP4(L
−2−アミノ−4−ホスホノ酪酸)が知られている。
(特開平6−256323号公報、特開平6−2497
0号公報、「神経精神薬理」第18巻6号、419〜4
25頁、1996年)
【0004】ところで、mGluRのグループIIに属す
るアゴニストは、シナプスにおいて伝達物質の放出を抑
制して、シナプス伝達の効率を悪くすることが確認され
ている。中枢神経系でシナプス伝達の効率を悪くする
と、運動系に対して筋弛緩が考えられ、実際に、麻酔剤
との併用では、麻酔の著しい増強が認められることが動
物実験で確認されており、また鎮静、ないしはトランキ
ライザー様作用、抗てんかん作用も認められている。更
に、mGluRのグループIIに属するアゴニストは、i
n vitroおよびin vivoで興奮性アミノ酸
による神経細胞死を防護する作用があり、神経細胞保護
剤として強い期待が持たれている。また、このような中
枢抑制作用は、今までに類を見ない新しい形のグルタミ
ン酸受容体アゴニストであり、今後の中枢作用薬の研究
に必須であるため、研究用試薬としてもその重要性が高
い。(「日薬理誌」104号、177〜187頁(19
94年))。従って、mGluRのグループIIに属する
アゴニストであるDCG−IVは、強力にmGluRを活
性化することから、その神経細胞保護作用に対する期待
が持たれている。またDCG−IVは、mGluRを活性
化すること以外にも、興奮性アミノ酸による神経細胞死
との関連性を持つと考えられているNMDA型受容体を
も活性化することが知られていることから、NMDA成
分を持たない新規なmGluRのアゴニストの開発が待
たれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来知られ
ていた代謝調節型L−グルタミン酸受容体アゴニストよ
りも、より選択的で優れた特性を示す新規なシクロプロ
ピルグリシン誘導体を提供することを目的とする。本発
明は、また上記の新規なシクロプロピルグリシン誘導体
を製造するための中間体として有用な新規な化合物を提
供することも、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の一般式
(I):
【0007】
【化4】
【0008】[ただし、R1 とR2 とは、それぞれ独立
に、水酸基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表わ
し、R3 とR4 とは、それぞれ独立に、水素原子もしく
は炭素数1〜6のアルキル基を表わし、X1 とX2
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表わす。]で表わ
されるシクロプロピルグリシン誘導体にある。
【0009】本発明はまた、上記の一般式(I)で表さ
れるシクロプロピルグリシン誘導体を有効成分として含
む代謝調節型L−グルタミン酸受容体アゴニストにもあ
る。本発明はまた、上記の一般式(I)で表されるシク
ロプロピルグリシン誘導体を有効成分として含む医薬組
成物にもある。また、本発明が提供する中間体は、下記
の一般式(2):
【0010】
【化5】
【0011】[ただし、R2 は、水酸基もしくは炭素数
1〜6のアルコキシ基を表わし、R3は、水素原子もし
くは炭素数1〜6のアルキル基を表わし、X1 とX2
は、それぞれ独立にハロゲン原子を表わす。]で表わさ
れるラクタム誘導体である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のシクロプロピルグリシン
誘導体は、下記の一般式[I]:
【0013】
【化6】
【0014】[ただし、R1 とR2 とは、それぞれ独立
に、水酸基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基(例、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロ
ポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基)を表わ
し、R3 とR4 とは、それぞれ独立に、水素原子もしく
は炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基)を表わし、そしてX1 とX2 とは、それ
ぞれ独立に、ハロゲン原子(例、弗素、塩素、臭素、沃
素)を表わす。]で表わされるシクロプロピルグリシン
誘導体である。なお、本発明のシクロプロピルグリシン
誘導体は遊離酸の状態でも、あるいは塩の状態にあって
もよい。
【0015】本発明のシクロプロピルグリシン誘導体
は、一般式[I]でR1 とR2 とが共に水酸基を表わ
し、R3 とR4 とが共に水素原子を表わし、そしてX1
とX2 とが共に弗素原子を表わす化合物(即ち、2−
(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロ
プロピルグリシン)であることが好ましい。この化合物
には下記の合計8個の光学異性体がある。 L−I:(2S,1’S,2’S)−2−(2’−カル
ボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリ
シン L−II:(2S,1’R,2’R)−2−(2’−カル
ボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリ
シン L−III :(2S,1’S,2’R)−2−(2’−カ
ルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグ
リシン L−IV:(2S,1’R,2’S)−2−(2’−カル
ボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリ
シン D−I:(2R,1’R,2’R)−2−(2’−カル
ボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリ
シン D−II:(2R,1’S,2’S)−2−(2’−カル
ボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリ
シン D−III :(2R,1’R,2’S)−2−(2’−カ
ルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグ
リシン D−IV:(2R,1’S,2’R)−2−(2’−カル
ボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリ
シン
【0016】上記の各異性体のなかでは、L−1の(2
S,1’S,2’S)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシンが、
最も好ましい。
【0017】本発明のシクロプロピルグリシン誘導体
は、下記の反応経路図−1に示すように、公知のオレフ
ィン化合物(E−1またはZ−1:J.Org.Che
m.,59(1),97−103(1994)参照)に
クロロジフルオロ酢酸ナトリウムを作用させて2−
(2’−ベンジルオキシメチル−3’,3’−ジフルオ
ロ)シクロプロピルエチレングリコール 1,2−O−
アセトニドのそれぞれ二種の光学活性異性体を得て(E
−1からの反応については、Tetrahedron:
Asymmetry,5(8),1423−1426
(1994)に記載されている)、次にそれらを出発原
料として反応経路図−2に示すような方法(反応経路の
例として、L−1とD−IIの製造例を挙げてある)を利
用して得ることができる。
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【発明の効果】後記の薬理実験結果からわかるように、
本発明のシクロプロピルグリシン誘導体、特に(2S,
1’S,2’S)−2−(2’−カルボキシ−3’,
3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシンは、代謝調
節型L−グルタミン酸受容体アゴニストとして優れた特
性を示すため、たとえば、ハンチントン氏病、てんか
ん、パーキンソン氏病などの各種神経変性疾患あるいは
虚血性神経細胞死に由来する各種の脳中枢の機能障害の
治療に、また鎮静剤、鎮痛剤、麻酔増強剤あるいは抗痙
攣剤として用途が期待される。さらに、本発明のシクロ
プロピルグリシン誘導体はグルタミン酸受容体のアンタ
ゴニスト等への開発の糸口を提供し、更に各種の試薬お
よび医薬品としての利用が期待される。
【0021】
【実施例】次に本発明のシクロプロピルグリシン誘導体
の合成例を示す。なお、この合成例に記載のない本発明
のシクロプロピルグリシン誘導体についても同様な方法
を利用して容易に製造することができる。
【0022】[実施例1][Z−1]から[(2S,
1’R,2’S)−2]及び[(2S,1’S,2’
R)−2]の製造−−[前記反応経路図−1] (Z,4’S)−3−ベンジルオキシ−1−(2’,
2’−ジメチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−イ
ル)−1−プロペン(Z−1)(7.5g)のジエチレ
ングリコ−ルジメチルエーテル溶液を180℃に加熱し
た。この溶液にクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(4
5.8g)のジエチレングリコールジメチルエーテル溶
液を10時間で滴下し、さらに180℃で1時間加熱し
た。冷却後、反応溶液に氷水を加え、ヘキサンで抽出し
た。ヘキサン抽出液を水で洗浄したのち、硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリ
カゲルカラムグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3
0:1、体積比)にかけて粗精製したのち、中圧クロマ
トグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1、体積
比)で各異性体を分離することによって、[(2S,
1’R,2’S)−2]を2.6g、そして[(2S,
1’S,2’R)−2]を5.6g得た。 [(2S,1’R,2’S)−2] 無色油状物、[α]D 27.6 :−37.6(c 0.97
8、CHCl3 ) [(2S,1’S,2’R)−2] 無色油状物、[α]D 28.0 :−35.6(c 0.99
9、CHCl3
【0023】[実施例2][E−1]から[(2S,
1’S,2’S)−2]及び[(2S,1’R,2’
R)−2]の製造−−[前記反応経路図−1] (E,4’S)−3−ベンジルオキシ−1−(2’,
2’−ジメチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−イ
ル)−1−プロペン(E−1)(1.3g)から、実施
例1に記載の方法と同様な方法を利用して、[(2S,
1’S,2’S)−2]を0.76g、そして[(2
S,1’R,2’R)−2]を0.45g得た。 [(2S,1’S,2’S)−2] 無色油状物、[α]D 26.0 :−20.9(c 1.0
0、CHCl3 ) [(2S,1’R,2’R)−2] 無色油状物、[α]D 24.8 :+28.7(c 1.0
6、CHCl3
【0024】[実施例3](2R,1’S,2’S)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[D−II]およびそのエステルの
製造(反応経路図−3)
【0025】
【化9】
【0026】(1)[(2S,1’S,2’S)−2]
から[(2S,1’S,2’S)−3]の製造 [(2S,1’S,2’S)−2](300mg)のメ
タノール(2mL)溶液に10%塩酸(0.5mL)を
滴下し、室温にて6時間反応させた。減圧下で濃縮した
のち、飽和炭酸水素ナトリウム水を加え、酢酸エチルで
抽出した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥したのち、減圧下で濃縮した。得ら
れた残渣を次の反応に直接用いた。アルゴン雰囲気下、
粗生成物のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶
液にイミダゾール(138.0mg)を加え、0℃でt
−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS−Cl)
(167.0mg)を加えたのち、室温で5時間撹拌し
た。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエー
テルで抽出した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で乾燥した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、
ヘキサン/酢酸エチル(15/1、体積比)溶出部分か
ら[(2S,1’S,2’S)−3]を302.0mg
得た。 [(2S,1’S,2’S)−3] 無色油状物、[α]D 28.4 :−10.6(c 1.0
0、CHCl3
【0027】(2)[(2S,1’S,2’S)−3]
から[(2R,1’S,2’S)−4]の製造 アルゴン雰囲気下、[(2S,1’S,2’S)−3]
(136mg)とトリフェニルホスフィン(165m
g)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に、0℃でジ
フェニルホスホリルアジド(0.12mL)とジエチル
アゾジカルボキシレート(87μL)を加え、室温で6
時間撹拌した。反応液に飽和食塩水を加えてジエチルエ
ーテルで抽出した。エーテル抽出層を無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥したのち、減圧下で濃縮した。得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘキ
サン/酢酸エチル(15/1、体積比)溶出部分から
[(2R,1’S,2’S)−4]を92mg得た。 [(2R,1’S,2’S)−4] 無色油状物、[α]D 26.8 :−3.03(c 0.9
9、CHCl3
【0028】(3)[(2R,1’S,2’S)−4]
から[(2R,1’S,2’S)−5]の製造 [(2R,1’S,2’S)−4](92mg)のテト
ラヒドロフラン(3mL)溶液に0℃でテトラブチルア
ンモニウムフルオライドを加え、3時間撹拌した。飽和
食塩水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を
無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、減圧下で濃縮し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製し、ヘキサン/酢酸エチル(10/1、体積
比)溶出部分から[(2R,1’S,2’S)−5]を
65mg得た。 [(2R,1’S,2’S)−5] 無色油状物、[α]D 26.0 :−42.4(c 0.9
7、CHCl3
【0029】(4)[(2R,1’S,2’S)−5]
から[(2R,1’S,2’S)−6]の製造 [(2R,1’S,2’S)−5](2.1g)と5%
Pd/活性炭の酢酸エチル(2mL)の懸濁液を水素ガ
ス雰囲気下、室温常圧で3時間撹拌した。反応液を濾過
したのち、減圧濃縮し、得られた残渣を次の反応に用い
た。残渣のジオキサン/水(体積比2/1の混合溶液を
18mL)溶液に炭酸水素ナトリウム(3.1g)と二
炭酸−ジ−t−ブチル(Boc2 O)(3.5g)を加
え、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和食塩水を加
え、酢酸エチルで抽出し、得られる有機抽出層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。得ら
れた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
し、ヘキサン/酢酸エチル(3/2、体積比)溶出部分
から[(2R,1’S,2’S)−6]を3.3g得
た。 [(2R,1’S,2’S)−6] 無色プリズム晶、融点:101.5〜103.5℃ [α]D 29.6 :−19.99(c 1.01、CHCl
3
【0030】(5)[(2R,1’S,2’S)−6]
から[(2R,1’S,2’S)−7]の製造 [(2R,1’S,2’S)−6](500mg)のア
セトン(20mL)溶液に氷冷下でJones試薬(5
mL)を加えた。1時間後、イソプロピルアルコール
(3mL)を加え、30分間撹拌したのち、水を加えて
酢酸エチルで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウム
で乾燥したのち、減圧濃縮し、残渣を得た。残渣をジエ
チルエーテル(5mL)に溶解し、氷冷下でジアゾメタ
ンのエーテル溶液を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮
し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製し、ヘキサン/酢酸エチル(5/1、体積比)
溶出部分から[(2R,1’S,2’S)−7]を44
2mg得た。 [(2R,1’S,2’S)−7] 無色プリズム晶、融点:59.0〜61.0℃ [α]D 29.2 :−34.84(c 0.528、CHC
3
【0031】(6)[(2R,1’S,2’S)−7]
から[(2R,1’S,2’S)−8]の製造 [(2R,1’S,2’S)−7](1.0g)と水酸
化パラジウムとの酢酸エチル(1mL)懸濁液を水素ガ
ス雰囲気下で室温常圧で5時間撹拌した。この反応液を
濾過したのち、減圧下で濃縮し、得られた残渣を上記
(5)の変換操作に掛け、未精製の濃縮残渣を得た。得
られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製し、ヘキサン/酢酸エチル(1/1、体積比)を用い
て溶出粗精製した。粗精製の濃縮残渣をベンジルアルコ
ール(5mL)に溶解し、チタンテトライソプロポキシ
ド(0.87mL)を加えて、70℃で3時間撹拌し
た。反応溶液をシリカゲルカラムグラフィー(ヘキサ
ン:酢酸エチル=20:1、体積比)にかけて粗精製し
たのち、中圧クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチ
ル=4:1、体積比)で精製して、[(2R,1’S,
2’S)−8]を393.0mg得た。 [(2R,1’S,2’S)−8] 無色プリズム晶、融点:114.5〜116.5℃ [α]D 28.0 :+12.12(c 1.006、CHC
3
【0032】(7)[(2R,1’S,2’S)−8]
から[(2R,1’S,2’S)−9]の製造 [(2R,1’S,2’S)−8](100mg)と水
酸化パラジウムとをメチルアルコール(0.5mL)に
懸濁し、水素ガス雰囲気下にて3時間撹拌した。この反
応液を濾過した後、減圧下で濃縮し、得られた残渣をテ
トラヒドロフラン/水(1/1、体積比)(1.5m
L)混合液に溶解し、36%塩酸(50μL)を加え、
50℃で2時間撹拌した。反応液を濃縮した後、逆相カ
ラムクロマトグラフィー(ODSカラム)を用いたHP
LC(H2 O)で精製し、[(2R,1’S,2’S)
−9](本発明の化合物のD−II:(2R,1’S,
2’S)−2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフ
ルオロ)シクロプロピルグリシン)の塩酸塩)を18.
7mg得た。
【0033】[(2R,1’S,2’S)−9]=D−
IIの塩酸塩 無色プリズム晶、融点:160℃(分解) [α]D 25.6 :−38.54(c 0.890、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3447,3034,292
4,1717,1637,1398,1239,102
8,948,792.1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.73(1
H,ddd,J=11.4,10.9,7.3Hz),
2.97(1H,dd,J=14.1,7.2Hz),
3.82(1H,d,J=10.9Hz).
【0034】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:30.56(dd,J=10.2,9.3Hz),
33.84(dd,J=11.1,10.9Hz),5
3.05,113.08(dd,J=292.3,28
5.7Hz),171.89,173.29.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−71.
72(1F,dd,J=158.2,11.8Hz),
−70.05(1F,dd,J=159.8,13.7
Hz).
【0035】(8)[(2R,1’S,2’S)−7]
から[(2R,1’S,2’S)−10]の製造 [(2R,1’S,2’S)−7](74.8mg)
を、上記の(6)と同様な手順で脱ベンジルエーテル、
Jones酸化して得られる残渣を10%塩酸/テトラ
ヒドロフラン(1/1、体積比)混合液の溶解し、50
℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮したのち、逆相カラ
ムクロマトグラフィー(ODSカラム)を用いたHPL
C(H2 O)で精製して、[(2R,1’S,2’S)
−10](本発明の化合物のD−II:(2R,1’S,
2’S)−2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフ
ルオロ)シクロプロピルグリシン)のモノメチルエステ
ルの塩酸塩)を14.5mg得た。
【0036】[(2R,1’S,2’S)−10]=D
−IIのエステルの塩酸塩 無色プリズム晶、[α]D 26.0 :−31.99(c
1.45、H2 O)1 HNMR(300MHz,D2 O)δ:2.73(1
H,ddd,J=18.4,11.4,1.7Hz),
2.97(1H,dd,J=14.4,7.5Hz),
3.88(3H,s),4.14(1H,d,J=1
1.0Hz).
【0037】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:29.78(dd,J=11.5,8.4Hz),
33.87(dd,J=10.9,10.9Hz),5
2.24,57.15,112.86(dd,J=29
2.1,286.0Hz),171.05,171.7
9.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−71.
70(1F,dd,J=160.6,9.3Hz),−
70.01(1F,dd,J=157.9,14.0H
z).
【0038】[実施例4](2S,1’S,2’S)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[L−I]およびそのエステルの
製造(反応経路図−4)
【0039】
【化10】
【0040】(1)[(2S,1’S,2’S)−3]
から[(2R,1’S,2’S)−11]の製造 [(2S,1’S,2’S)−3](3.0g)とトリ
フェニルホスフィン(4.0g)のテトラヒドロフラン
(10mL)溶液に、氷冷下、ジエチルアゾジカルボキ
シレート(2.1mL)と安息香酸(1.6g)とを加
え、室温で2時間撹拌した。反応液に飽和食塩水を加
え、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル抽出層を無
水硫酸ナトリウムで乾燥したのち、減圧下で濃縮した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製し、ヘキサン/酢酸エチル(30/1、体積比)溶
出部分から[(2R,1’S,2’S)−11]を3.
5g得た。 [(2R,1’S,2’S)−11] 無色油状物、[α]D 25.6 :+3.00(c 1.00
0、CHCl3
【0041】(2)[(2R,1’S,2’S)−1
1]から[(2R,1’S,2’S)−3]の製造 [(2R,1’S,2’S)−11](3.3g)のメ
チルアルコール(10mL)溶液に1N−NaOH(5
mL)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物を減
圧下で濃縮し、残渣に水を加え、ジエチルエーテルで抽
出した。エーテル抽出層を無水硫酸マグネシウムで乾燥
したのち、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘキサン/酢酸
エチル(15/1、体積比)溶出部分から[(2R,
1’S,2’S)−3]を1.7g得た。 [(2R,1’S,2’S)−3] 無色油状物、[α]D 24.4 :−16.89(c 1.0
06、CHCl3
【0042】(3)[(2R,1’S,2’S)−3]
から[(2S,1’S,2’S)−9]の製造 上記の(2)で得られた[(2R,1’S,2’S)−
3]に対して実施例3の(2)〜(7)に記載の処理を
順次施し、本発明の化合物の[(2S,1’S,2’
S)−9]、すなわち、(2S,1’S,2’S)−2
−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シク
ロプロピルグリシン[L−I]の塩酸塩を得た。
【0043】[(2S,1’S,2’S)−9]=L−
Iの塩酸塩 無色プリズム晶、融点:155℃(分解) [α]D 24.0 :+50.64(c 1.398、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3414,3061,171
2,1616,1477,1226,1040,73
7,620.1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.78(1
H,ddd,J=13.0,10.8,7.5Hz),
2.86(1H,dd,J=14.2,7.5Hz),
3.92(1H,d,J=10.7Hz).
【0044】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:30.88(dd,J=12.0,8.9Hz),
33.29(dd,J=11.1,10.9Hz),5
3.20,113.26(dd,J=289.6,28
6.3Hz),171.77,172.89.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−70.
35(1F,dd,J=157.9,13.1Hz),
−67.51(1F,dd,J=156.9,12.8
Hz).
【0045】(4)[(2R,1’S,2’S)−3]
から[(2S,1’S,2’S)−−10]の製造 前記の(2)で得られた[(2R,1’S,2’S)−
3]に対して実施例3の(8)に記載の処理を施し、本
発明の化合物の[(2S,1’S,2’S)−10]、
即ち、(2S,1’S,2’S)−2−(2’−カルボ
キシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシ
ン[L−I]のモノメチルエステルの塩酸塩を得た。
【0046】[(2S,1’S,2’S)−10]=L
−Iのエステルの塩酸塩 無色プリズム晶 [α]D 24.8 :+52.88(c 1.49、H2 O)1 HNMR(300MHz,D2 O)δ:2.60〜
2.80(2H,m) 3.91(3H,s) 4.16(1H,d,J=10.7Hz).
【0047】13CNMR(75.5MHz,D2 O)
δ:29.94(dd,J=13.0,8.3Hz),
33.38(dd,J=11.1,10.8Hz),5
3.39,57.08,112.73(dd,J=29
0.0,286.2Hz),170.61,171.4
3.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−70.
65(1F,dd,J=160.7,13.0Hz),
−67.81(1F,dd,J=157.4,13.4
Hz).
【0048】[実施例5](2R,1’R,2’R)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[D−I]の製造(反応経路図−
5)
【0049】
【化11】
【0050】(1)[(2S,1’R,2’R)−2]
から[(2R,1’R,2’R)−9]の製造 [(2S,1’R,2’R)−2]に対して実施例3の
(1)〜(7)に記載の処理を順次施し、本発明の化合
物の[(2R,1’R,2’R)−9]、すなわち、
(2R,1’R,2’R)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[D
−I]の塩酸塩を得た。
【0051】[(2R,1’R,2’R)−9]=D−
Iの塩酸塩 無色プリズム晶、融点:153℃(分解) [α]D 27.6 :−47.49(c 0.88、H2 O) IR(KBr)νcm-1:3424,3035,172
1,1638,1477,1212,1045,73
8,622.1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.72(1
H,ddd,J=13.2,10.8,7.6Hz),
2.80(1H,dd,J=14.4,7.5Hz),
3.81(1H,d,J=10.7Hz).13 CNMR(100.6MHz,D2 O)δ:31.2
4(dd,J=11.8,8.9Hz),33.78
(brt),53.76,113.52(dd,J=2
89.0,286.0Hz),172.37,173.
58.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−70.
11(1F,dd,J=157.4,13.3Hz),
−67.44(1F,dd,J=157.4,15.9
Hz).
【0052】[実施例6](2S,1’R,2’R)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[L−II]およびそのエステルの
製造(反応経路図−6)
【0053】
【化12】
【0054】(1)[(2R,1’R,2’R)−1
1]から[(2S,1’R,2’R)−9]の製造 実施例4に記載の方法に準じて、本発明の化合物の
[(2S,1’R,2’R)−9]、即ち(2S,1’
R,2’R)−2−(2’−カルボキシ−3’,3’−
ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[L−II]の塩酸
塩を得た。
【0055】[(2S,1’R,2’R)−9]=L−
IIの塩酸塩 無色プリズム晶、融点:165℃(分解) [α]D 24.0 :+40.68(c 0.870、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3209,3046,292
8,1716,1646,1387,1226,102
8,950,784.1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.67(1
H,dddd,J=11.6,10.9,7.3,1.
6Hz),2.90(1H,dd,J=14.3,7.
3Hz),3.72(1H,d,J=10.9Hz).
【0056】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:30.66(dd,J=10.0,9.5Hz),
34.12(dd,J=10.8,10.6Hz),5
3.29,113.21(dd,J=291.9,28
5.7Hz),172.21,173.64.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−71.
73(1F,dd,J=160.8,12.7Hz),
−70.07(1F,dd,J=159.7,13.6
Hz).
【0057】(2)[(2R,1’R,2’R)−7]
から[(2S,1’R,2’R)−10]の製造 実施例4に記載の方法に準じて、本発明の化合物の
[(2S,1’R,2’R)−10]、すなわち、(2
S,1’R,2’R)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[L
−II]のモノメチルエステルの塩酸塩を得た。
【0058】[(2S,1’R,2’R)−9]=L−
IIのモノメチルエステル塩酸塩 無色プリズム晶、[α]D 25.6 :+50.67(c
1.03、H2 O)1 HNMR(300MHz,D2 O)δ:2.81(1
H,ddd,J=18.4,11.3,1.7Hz),
3.07(1H,dd,J=14.0,7.1Hz),
3.91(3H,s),4.20(1H,J=11.3
Hz).13 CNMR(100.6MHz,D2 O)δ:29.7
8(dd,J=11.2,9.0Hz),33.99
(br),52.22,57.14,112.93(d
d,J=292.2,286.0Hz),171.0
4,171.77.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ: −71.70(1F,dd,J=157.6,9.5H
z),−70.01(1F,dd,J=160.1,1
3.8Hz).
【0059】(3)[(2R,1’R,2’R)−9]
から[(2S,1’R,2’R)−12]の製造 上記の(1)で得た[(2R,1’R,2’R)−9]
(10mg)をジエチルエーテルとメチルアルコールと
の混合溶媒(1:1、体積比)に溶解し、ジアゾメタン
のエーテル溶液を加えた。減圧下で濃縮した後、10%
塩酸を加えて減圧下で濃縮して、本発明の化合物の
[(2S,1’R,2’R)−12]、即ち、(2S,
1’R,2’R)−2−(2’−カルボキシ−3’,
3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[L−II]
のジメチルエステルの塩酸塩を11.2mg得た。
【0060】[(2S,1’R,2’R)−12]=L
−IIのジメチルエステル塩酸塩 無色プリズム晶1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.88(1
H,dd,J=18.6,11.3Hz),3.18
(1H,dd,J=13.6,7.3Hz),3.83
(3H,s),3.90(3H,s),4.21(1
H,J=11.1Hz).
【0061】13CNMR(75.5MHz,D2 O)
δ:29.56(dd,J=8.9,8.5Hz),3
3.07(dd,J=12.5,10.2Hz),5
1.99,56.29,57.02,112.90(d
d,J=292.0,286.6Hz),170.1
3,170.71.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−71.
80(1F,dd,J=161.1,12.9Hz),
−70.15(1F,dd,J=160.7,13.1
Hz).
【0062】[実施例7](2R,1’R,2’S)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[D−III ]の製造(反応経路図
−7)
【0063】
【化13】
【0064】(1)[(2S’,1’R,2’S)−
2]から[(2R,1’R,2’S)−7]の製造 実施例3に記載の方法に準じて、[(2S’,1’R,
2’S)−2]を順次処理し、[(2R,1’R,2’
S)−7]を無色油状物として得た。
【0065】(2)[(2R,1’R,2’S)−7]
から[(3S,4R,5R)−13]の製造 [(2R,1’R,2’S)−7](125mg)と5
%パラジウム/活性炭とのメチルアルコール(1mL)
懸濁液を水素ガス雰囲気下、室温常圧で2時間撹拌し
た。反応液を濾過、減圧濃縮し、得られた残渣をアセト
ン(5mL)に溶解し、Jones試薬を加え、30分
間撹拌したのち、イソプロピルアルコールを滴下し、さ
らに30分間撹拌した。反応液に飽和食塩水を加え、ジ
エチルエーテルで抽出した。抽出有機層を無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥したのち、減圧濃縮して得られた残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸
エチル=5:1、体積比)で精製を行ない、[(3S,
4R,5R)−13]を無色油状物として60mg得
た。
【0066】(3)[(3S,4R,5R)−13]か
ら[(3S,4R,5R)−14]及び[(2R,1’
R,2’S)−9]の製造 [(3S,4R,5R)−13](33mg)に1N塩
酸(4mL)を加えて60℃で5時間撹拌した。反応液
を減圧下で乾燥したのち、逆相カラムクロマトグラフィ
ーを用いたHPLC(H2 O)で精製し、[(3S,4
R,5R)−14]を7.9mg、そして本発明の化合
物の[(2R,1’R,2’S)−9]、即ち、(2
R,1’R,2’S)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[D
−III ]の塩酸塩を7.6mg得た。
【0067】[(3S,4R,5R)−14] 無色プリズム晶1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:3.00(1
H,dd,J=11.7,8.2Hz),3.14(1
H,dd,J=10.9,8.2Hz),4.58(1
H,s).
【0068】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:30.18(dd,J=12.9,12.8H
z),32.84(dd,J=13.7,13.4H
z),56.81,112.11(dd,J=292.
5,278.2Hz),175.15,176.05.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−84.
26(1F,d,J=157.1Hz),−64.32
(1F,ddd,J=157.0,12.6,9.2H
z).
【0069】[(2R,1’R,2’S)−9]=D−
III の塩酸塩 無色プリズム晶 [α]D 25.0 :+17.34(c 0.830、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3422,3038,172
1,1627,1471,1400,1225,104
5,975,710.1 HNMR(300MHz,D2 O)δ:2.61(1
H,ddd,J=11.8,11.7,11.6Hz)
3.01(1H,dd,J=12.6,11.4H
z),4.55(1H,d,J=11.3Hz).
【0070】13CNMR(75.5MHz,D2 O)
δ:29.12(dd,J=11.7,8.9Hz),
31.25(dd,J=10.6,8.0Hz),5
0.46,112.5(dd,J=292.9,28
2.9Hz),171.60,173.44.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−79.
04(1F,d,J=159.1Hz),−59.05
(1F,ddd,J=157.0,13.1,13.0
Hz).
【0071】[実施例8](2S,1’R,2’S)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[L−IV]の製造(反応経路図−
8)
【0072】
【化14】
【0073】(1)[(2S,1’R,2’S)−2]
から[(2S,1’R,2’S)−7]の製造 実施例4に記載の方法に準じて、[(2S,1’R,
2’S)−2]を順次処理し、[(2S,1’R,2’
S)−7]を無色プリズム晶として得た。
【0074】(2)[(2S,1’R,2’S)−7]
から[(3S,4R,5S)−13]の製造 実施例7に記載の方法に準じて、[(2S,1’R,
2’S)−7]から[(3S,4R,5S)−13]を
無色プリズム晶として得た。
【0075】(3)[(3S,4R,5S)−13]か
ら[(3S,4R,5S)−14]及び[(2S,1’
R,2’S)−9]の製造 [(3S,4R,5S)−13]から実施例7に記載さ
れた方法を利用して[(3S,4R,5S)−14]、
そして本発明の化合物の[(2S,1’R,2’S)−
9]、すなわち、(2S,1’R,2’S)−2−
(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロ
プロピルグリシン[L−IV]の塩酸塩を得た。
【0076】[(3S,4R,5S)−14] 無色プリズム晶1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.99(1
H,dd,J=11.8,8.5Hz),3.17(1
H,ddd,J=10.6,8.1,7.9Hz),
4.93(1H,dd,J=7.4,1.8Hz).
【0077】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:28.59(dd,J=12.5,12.4H
z),33.83(dd,J=13.42,13.35
Hz),57.85,112.68(dd,J=29
3.0,279.5Hz),174.46,175.7
2.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−81.
75(1F,d,J=161.1Hz),−63.03
(1F,ddd,J=161.0,12.0,9.4H
z).
【0078】[(2S,1’R,2’S)−9]=L−
IVの塩酸塩 無色プリズム晶 [α]D 26.5 :+70.78(c 0.955、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3455,3032,173
2,1626,1472,1219,1156,108
5,1046,975.1 HNMR(300MHz,D2 O)δ:2.71(1
H,ddd,J=10.5,10.4,9.4Hz),
3.05(1H,dd,J=12.0,11.9H
z),4.71(1H,d,J=11.5Hz).
【0079】13CNMR(75.5MHz,D2 O)
δ:29.10(dd,J=10.1,9.9Hz),
31.07(dd,J=11.6,9.0Hz),4
8.76,112.51(dd,J=292.4,28
5.3Hz),171.73,172.64.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−83.
27(1F,d,J=161.3Hz),−59.10
(1F,ddd,J=161.2,10.7,9.3H
z).
【0080】[実施例9](2R,1’S,2’R)−
2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シ
クロプロピルグリシン[D−IV]の製造(反応経路図−
9)
【0081】
【化15】
【0082】実施例7に記載された方法を利用して
[(3R,4S,5R)−14]、そして本発明の化合
物の[(2R,1’S,2’R)−9]、すなわち(2
R,1’S,2’R)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[D
−IV]の塩酸塩を得た。
【0083】[(3R,4S,5R)−14] 無色プリズム晶1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.99(1
H,dd,J=11.9,8.6Hz),3.17(1
H,dd,J=18.7,8.1Hz),4.58(1
H,d,J=7.3Hz).
【0084】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:28.57(dd,J=12.5,12.4H
z),33.82(dd,J=13.4,13.3H
z),57.83,112.67(dd,J=293.
0,279.4Hz),174.44,175.70.
【0085】[(2R,1’S,2’R)−9]=D−
IVの塩酸塩 無色プリズム晶 [α]D 22.4 :−67.99(c 1.050、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3432,3039,173
1,1636,1471,1219,1155,108
4,1047,974.1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.65(1
H,dddd,J=11.8,11.7,10.1,
2.5Hz) 3.06(1H,ddd,J=12.2,12.1,
2.2Hz),4.58(1H,d,J=11.4H
z),
【0086】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:29.27(dd,J=10.3,9.6Hz),
31.50(brt),49.54,112.66(d
d,J=291.8,283.9Hz),171.7
8,173.25.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−83.
24(1F,d,J=161.4Hz),−59.14
(1F,ddd,J=161.4,11.7,9.9H
z).
【0087】[実施例10] (2S,1’S,2’
R)−2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオ
ロ)シクロプロピルグリシン[L−III ]の製造
(反応経路図−10)
【0088】
【化16】
【0089】実施例8に記載された方法を利用して
[(3R,4S,5S)−14]、そして本発明の化合
物の[(2S,1’S,2’R)−9]、すなわち(2
S,1’S,2’R)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[L
−III ]の塩酸塩を得た。
【0090】[(3R,4S,5S)−14] 無色プリズム晶1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:3.00(1
H,dd,J=11.7,8.2Hz),3.14(1
H,dd,J=10.9,8.3Hz),4.57(1
H,s).
【0091】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:30.19(dd,J=12.9,12.6H
z),32.84(t,J=13.4Hz),56.8
1,112.05(t,J=291.8Hz),17
5.16,176.06.
【0092】[(2S,1’S,2’R)−9]=L−
III の塩酸塩 無色プリズム晶 [α]D 25.4 :−13.90(c 0.820、H2
O) IR(KBr)νcm-1:3438,3033,172
0,1637,1471,1399,1224,104
3,974,708.1 HNMR(300MHz,D2 O)δ:2.58(1
H,ddd,J=11.7,11.5,11.3Hz) 2.99(1H,dd,J=12.2,10.7H
z),4.51(1H,d,J=11.5Hz),
【0093】13CNMR(75.5MHz,D2 O)
δ:29.37(dd,J=10.9,9.5Hz),
31.55(dd,J=10.8,10.2Hz),5
0.65,112.77(dd,J=292.7,28
2.9Hz),171.81,173.63.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−79.
02(1F,d,J=158.9Hz),−59.03
(1F,ddd,J=157.0,13.1,12.5
Hz).
【0094】[実施例11] (2R,1’R,2’
S)−2−(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオ
ロ)シクロプロピルグリシン[D−III ]の製
造(別法:反応経路図−11)
【0095】
【化17】
【0096】(1)(4S)−3−[(E)−4’−ブ
ロモ−4’,4’−ジフルオロ−2’−ブテノイル]−
4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(化合物5a)製
造 アルゴン雰囲気下、(4S)−N−ブロモアセチル−4
−ベンジル−2−オキサゾリジノン(3.7g)とトリ
フェニルホスフィン(3.6g)とのアセトニトリル
(15mL)溶液を50℃2日間撹拌した。この反応混
合物に2N−NaOH水溶液(6.5mL)を加えて、
エチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、ホスホラン9aの粗
体を残渣として得た。エチルブロモジフルオロアセテー
ト(1.7mL)とDIBAL−H(ジイソブチルアル
ミニウム・ハイドライド、0.93Mヘキサン溶液、1
4.7mL)とをエチルエーテル(10mL)に入れ、
−78℃で20分間撹拌した。この反応混合物にメチル
アルコール(5mL)、次いで5%HCl(10mL)
を順に加え、全体を室温で10分間撹拌した。この混合
物をエチルエーテルで抽出し、そしてその有機層を、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水とで順次洗浄
した。次に、この有機層を無水硫酸マグネシウムを用い
て乾燥し、減圧下で濃縮した。上記の残渣の溶液と前記
のホスホラン9aの粗体とをテトラヒドロフラン(TH
F)(38mL)中で室温下、5時間撹拌した。減圧下
で溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製して、2.88gの(4S)−3[(E)
−4’−ブロモ−4’,4’−ジフルオロ−2’−ブテ
ノイル]−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(化合
物5a)を無色油状物として得た。
【0097】(2)(2R,1’R,2’R,4”S)
−エチル N−ジフェニルメチリデン−2−[2’−
{(4”−ベンジル−2”−オキサゾリジノン−3”−
イル)カルボニル}−3’,3’−ジフルオロ]シクロ
プロピルグリシネート(7a)の製造 アルゴン雰囲気下、エチル・N−(ジフェニルメチリデ
ン)グリシネート(6)(756mg)とLDA(リチ
ウム・ジイソプロピルアミド、0.47mLのN,N−
ジイソプロピルアミンとn−ブチルリチウムのヘキサン
溶液(1.65M溶液、1.87mL)とから得たも
の)とを、ジメチルホルムアミド(DMF、15mL)
中、−20℃にて15分間撹拌した。これに、上記の
(4S)−3[(E)−4’−ブロモ−4’,4’−ジ
フルオロ−2’−ブテニル]−4−ベンジル−2−オキ
サゾリジノン(化合物5a)溶液(10mLのDMF中
に926mg)を加えた。同じ温度で2時間撹拌したの
ち、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止さ
せ、反応混合物をエチルエーテルで抽出した。有機層を
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥さ
せ、次いで減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1)
で精製したところ、758mg(54%)の標記化合物
(7a)(無色油状物)と245mg(16%)の(8
a)(無色油状物)が得られた。
【0098】(3)(2R,1’R,2’R)−2−
(2’−カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロ
プロピルグリシン[D−I]の製造 ベンジルアルコール(1mL)とTi(O−i−Pr)
4 (154mg)との混合物を減圧(40mmHg)
下、室温で30分間撹拌した。得られた残渣に、上記の
残渣(7a)(100mg)を加え、この混合物を70
℃で7時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)
で精製すると、無色油状物のジベンジルエステル体(1
1)が得られた(87mg、89%)。水素雰囲気下、
ジベンジルエステル体(11)(87mg)と5%パラ
ジウム/活性炭とを1mLのメチルアルコール中で室温
下、5時間撹拌した。触媒を濾別し、濾液をヘキサンと
水とで分配させた。水槽を減圧下で濃縮し、固体残渣を
得て、これをエチルエーテルで洗浄して、目的の(2
R,1’R,2’R)−2−(2’−カルボキシ−
3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピルグリシン[D
−I]を得た(31mg)。
【0099】無色プリズム晶、融点:200℃(分解) [α]D 23.2 :+39.4(c 1.00、H2 O) IR(KBr)νcm-1:3106,1621,153
0,1476,1393.1 HNMR(400MHz,D2 O)δ:2.72(1
H,m) 2.80(1H,dd,J=15.0,7.8Hz),
3.81(1H,d,J=10.7Hz).
【0100】13CNMR(100.6MHz,D2 O)
δ:31.3(dd,J=11.6,8.6Hz),3
4.1(br),54.2(br),113.7(d
d,J=288.2,286.1Hz),172.7,
173.7.19 FNMR(376.5MHz,D2 O)δ:−71.
4(1F,dd,J=157.6,13.6Hz),−
69.0(1F,dd,J=157.2,14.8H
z).
【0101】[薬理実験] (1)代謝調節型L−グルタミン酸受容体(mGlu
R)のグループIに対する作用脱分極活性の測定 被検薬物によって惹起される新生ラット脊髄摘出標本の
脱分極は、篠崎らの方法(Br.J.Pharmaco
l.98巻、1213〜1224頁、1989年)に従
った。即ち、新生ラット脊髄摘出標本を用いテトロドト
キシン0.5μMを含む人工脳脊髄液潅流下に、その運
動神経細胞前根からの脱分極の細胞外記録を、公知のm
GluRのアゴニストであるCCG(2−(カルボキシ
シクロプロピル)グリシン)及び本発明化合物につい
て、濃度10-3M〜10-7Mで測定し、最小有効濃度
(MEC)を求めた。活性の強さは、本発明の好ましい
化合物(8種:L−I〜IV、D−I〜IV)の光学配置に
それぞれに対応する各々のCCGの最小有効濃度(ME
C)の比で評価した(L−I〜IV及びD−I〜IVは全て
塩酸塩を用いた)。その結果を表1に示す。
【0102】
【表1】 対応する光学配置のCCGの活性の強さの比 ──────────────────────────────────── I II III IV ──────────────────────────────────── L体 3 0.3 2 1.5 D体 1.5 0.1 〈0.1 〈0.01 ────────────────────────────────────
【0103】
【表2】 光学配置が対応するCCGの最小有効濃度(μM) ──────────────────────────────────── I II III IV ──────────────────────────────────── L体 2 200 100 0.3 D体 3 0.1 300 5 ────────────────────────────────────
【0104】次に、3×10-5MのNMDA型のアンタ
ゴニストであるCPP(3−[(RS)−2−カルボキ
シピペラジン−4−イル]プロピル−1−ホスホン酸)
またはD−AP5(D(−)−2−アミノ−5−ホスホ
ノ吉草酸)を加えた人工脳脊髄液潅流下に同様の実験を
行なったところ、本発明の化合物のL−I及びL−IIの
脱分極活性は殆ど影響を受けないことが確認された。本
発明の化合物L−IによるNMDA様脱分極は、公知物
質であるDCG−IV((2S,1’R,2’R,3’
R)−2−(2,3−ジカルボキシシクロプロピル)グ
リシン)に比べると約1/33に相当し、弱いことが確
認された。これは、脱分極が事実上において無視できる
程度のものであることを意味する。次に、NMDA型受
容体アンタゴニストであるD−AP5および非NMDA
型受容体アンタゴニストであるCNQX(6−シアノ−
7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン)の各100
μMの存在下で同様の試験を行なった。その結果、L−
III 、L−IV及びD体では抑制が観察されたが、L−I
及びL−IIでは殆ど抑制されていなかった。一方、mG
luRのグループIのアンタゴニストであるMCPG
((RS)−α−メチル−4−カルボキシフェニルグリ
シン)(1mM)の存在下に同様の試験を行なったとこ
ろ、L−IおよびL−IIの脱分極が抑制されることが確
認された。
【0105】(2)mGluRのグループIIに対する作
単シナプス反射抑制活性の測定 新生ラット脊髄摘出標本における単シナプス反射測定
は、大塚(大塚正徳、生体の科学、36巻4号325〜
327頁)に報告されている方法により行なった。すな
わち、新生ウイスター系ラットの脊髄をエーテル麻酔下
に脊柱に囲まれたまま摘出し、酸素95%、炭酸ガス5
%を飽和した人工脳脊髄液に浸漬したまま実体顕微鏡下
にL3からL5までの前根および後根を付けたままの半
切脊髄摘出標本を潅流漕に移し、酸素95%炭酸ガス5
%で飽和した人工脳脊髄液で潅流する。後根に吸引電極
を介して単一刺激を加え、同一前根から前根反射電位を
記録すると、早い時間経過のスパイクに続いて、ゆっく
りとした脱分極とこれにのった非同期性の電位変化が観
察される。この早い時間経過のスパイクは、単シナプス
性反射に相当する。潅流液に種々の濃度の被検薬物を加
えて単シナプス性反射を測定し、その最小有効濃度(M
EC)を求めた。公知のmGluRのアゴニストである
L−CCG−Iの最小有効濃度は0.2μMであり、本
発明のシクロプロピルグリシン誘導体L−Iは、脊髄単
シナプス性反射を3倍強く抑制することが確認された。
次いで、mGluRのグループIIのアンタゴニストのM
CCG−I((2S,3S,4S)−α−メチル−2−
(2−カルボキシシクロプロピル)グリシン)0.3m
Mの存在下で、同様の試験を行なったところ、本発明の
化合物L−I及びL−IIの脊髄単シナプス性反射の抑制
作用は消失することが確認された。
【0106】(3)本発明のシクロプロピルグリシン誘
導体の薬理効果のまとめ 1)L−Iの脱分極活性は、NMDA型受容体アンタゴ
ニストであるD−AP5(100μM)で僅かに(5
%)抑制され、非NMDA型受容体アンタゴニストであ
るCNQXに非感受性であり、またmGluRのグルー
プIのアンタゴニストであるMCPG(1mM)でほぼ
完全に抑制された。またL−Iは、脊髄単シナプシス性
反射を減弱させ、この作用はmGluRのグループIIの
アンタゴニストであるMCCGで抑制された。従って、
このL−IはmGluRのグループI及びグループIIの
アゴニストの機能を有し、最小有効濃度で比較するとグ
ループIIのアゴニスト作用が強いといえる。
【0107】2)L−IIは、非NMDA型受容体アンタ
ゴニストであるCNQXに非感受性であり、mGluR
のグループIのアゴニストであると考えられる。 3)L−III およびL−IV、そしてD体の全ては、NM
DA型アゴニストと考えられる。 4)L−III では、L−CCG−III が有するトランス
ポーターへのグルタミン酸取り込み阻害作用が失われて
いることがわかる[日薬理誌、104、177〜187
(1994)、Br.J.Pharmacol.98
巻、1213〜1224頁、1989年]。
フロントページの続き (72)発明者 田口 武夫 東京都八王子市南大沢3−14−8−103 (72)発明者 石田 美知子 埼玉県川口市中青木3−9−1−312

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式: 【化1】 [ただし、R1 とR2 とは、それぞれ独立に、水酸基も
    しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、R3 とR
    4 とは、それぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜
    6のアルキル基を表わし、X1 とX2 とは、それぞれ独
    立に、ハロゲン原子を表わす。]で表わされるシクロプ
    ロピルグリシン誘導体。
  2. 【請求項2】 R3 とR4 とが共に水素原子を表わし、
    1 とX2 とが共にフッ素原子を表わす請求項1に記載
    のシクロプロピルグリシン誘導体。
  3. 【請求項3】 (2S,1’S,2’S)−2−(2’
    −カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピ
    ルグリシン。
  4. 【請求項4】 下記の一般式: 【化2】 [ただし、R2 は、水酸基もしくは炭素数1〜6のアル
    コキシ基を表わし、R3は、水素原子もしくは炭素数1
    〜6のアルキル基を表わし、X1 とX2 とは、それぞれ
    独立に、ハロゲン原子を表わす。]で表わされるラクタ
    ム誘導体。
  5. 【請求項5】 下記の一般式: 【化3】 [ただし、R1 とR2 とは、それぞれ独立に、水酸基も
    しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、R3 とR
    4 とは、それぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜
    6のアルキル基を表わし、X1 とX2 とは、それぞれ独
    立に、ハロゲン原子を表わす。]で表わされるシクロプ
    ロピルグリシン誘導体を有効成分とする代謝調節型L−
    グルタミン酸受容体アゴニスト。
  6. 【請求項6】 シクロプロピルグリシン誘導体の式のR
    3 とR4 とが共に水素原子を表わし、X1 とX2 とが共
    にフッ素原子を表わす請求項5に記載の代謝調節型L−
    グルタミン酸受容体アゴニスト。
  7. 【請求項7】 (2S,1’S,2’S)−2−(2’
    −カルボキシ−3’,3’−ジフルオロ)シクロプロピ
    ルグリシンを有効成分とする代謝調節型L−グルタミン
    酸受容体アゴニスト。
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