JPH1070518A - ディジタル放送用受信機 - Google Patents

ディジタル放送用受信機

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JPH1070518A
JPH1070518A JP8242664A JP24266496A JPH1070518A JP H1070518 A JPH1070518 A JP H1070518A JP 8242664 A JP8242664 A JP 8242664A JP 24266496 A JP24266496 A JP 24266496A JP H1070518 A JPH1070518 A JP H1070518A
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JP
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symbol
data
impulse response
frame
frequency
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JP8242664A
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English (en)
Inventor
Hidemi Usuha
英巳 薄葉
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Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝送信号中の一部に受信機側にて既知の情報
を含ませる送受信システムに関し、特に、音声圧縮(高
能率符号化)を用いた移動体向けのディジタル放送の復
調に関する。 【解決手段】 ディジタル放送用受信機において、受信
機の制御の基準周波数を発生するためのクロック発生部
と、クロック発生部の基準周波数に基づき伝送される信
号を順次サンプリングするA/D変換器と、参照シンボ
ル並びにデータシンボルを復調するためのサンプリング
データ群をA/D変換器のサンプリングデータ群の中か
ら順次確定する制御部と、確定されたサンプリングデー
タ群について高速フーリエ変換を施すことで、複数のキ
ャリア各々の位相情報を得る手段と、参照シンボルにつ
いてのインパルス応答を求める手段とを有し、制御部は
求めたインパルス応答に基づき、参照シンボル並びにデ
ータシンボルを復調するためのサンプリングデータ群を
順次確定するようにしたディジタル放送用受信機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【0001】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、伝送信号中の一部に受
信機側にて既知の情報を含ませる送受信システムに関
し、特に、音声圧縮(高能率符号化)を用いた移動体向
けのディジタル放送の復調に関する。
【0003】
【0002】
【0004】
【従来の技術】ディジタル放送に採用する変調方式とし
てOFDM(Orthogonal FrequencyDivision Multiplex
:直交周波数分割多重)方式が適していることが知ら
れている。OFDM方式とは、多数の搬送波(キャリ
ア)を用いる多搬送波変調方式であり、その各搬送波は
直交関係にある。このため、OFDM方式は周波数利用
効率が高いという利点を持つ。
【0005】
【0003】欧州で開発されたDAB(DIGITAL AUDIO
BROADCASTING)システムを例にとれば、送信機側では、
データ圧縮(高能率符号化)を施された入力データがシ
リアル−パラレル変換にてパラレルデータに変換された
後、パラレルデータは差動符号化によりπ/4シフトQ
PSKシンボルに変換される。
【0006】かかる処理にて、シンボルを構成する各キ
ャリアに各々2ビットのデータをのせることが可能とな
る。
【0007】そして、このシンボルには高速逆フーリエ
変換(IFFT)が施され、ベースバンド信号の同相成
分、直交成分が各々得られる。IFFTの各出力はD/
A変換を経て局部発振器からの発振信号(RF信号)に
より直交変調がなされると共に、所望の周波数帯域の伝
送信号に周波数変換され、アンテナより送信信号として
送信される。
【0008】
【0004】一方、受信機側では送信側と逆の処理が行
われる。即ち、アンテナにて得られた信号は直交復調器
を介して(または、更に周波数変換段を介して)ベース
バンド信号の同相成分及び直交成分を各々生成する。
【0009】この出力はA/D変換器にて所定のサンプ
リング周波数にて順次サンプリングされ、離散データと
して高速フーリエ変換器(FFT)に入力される。
【0010】更に、フーリエ変換によって搬送波毎の信
号が得られ、その後、搬送波毎に差動復号器によって差
動復号がなされる。
【0011】差動復号器の出力信号はパラレル−シリア
ル変換器でシリアルデータとされ、これが受信したデー
タとなる。実際にはこのシリアルデータはエラー訂正、
データ圧縮の復調などのデータ処理が施され、アナログ
信号に変換される。
【0012】
【0005】かかるDABシステムにおいては、時間軸
上、図11に模式的に示されるようなフォーマットで送
信信号が形成される。即ち、フレーム単位でデータが伝
送されると共に、1フレーム内に、順次、ヌルシンボ
ル、参照シンボル(リファレンスシンボル)、及び複数
のシンボル列からなるデータシンボル部が形成される。
ヌルシンボルは、伝送信号の存在しない期間であり、ヌ
ルシンボルを検出することでフレームの始まりを大まか
に識別することができる。参照シンボルは差動復号のた
めの基準位相を担い、データシンボルには本来伝送すべ
き音声信号などの主情報が割り当てられる。
【0013】また、各シンボルは、マルチパスの影響に
よる符号間干渉を避けるために設けられているガードイ
ンターバルと、これに後続する有効シンボルとから構成
されている。ガードインターバルは、これに続く有効シ
ンボルの約1/4の繰り返しである。受信機側では、例
えば、有効シンボル区間に対してFFT処理を行う。
【0014】
【0006】また、DABシステムにおいては、図12
に示されるような4つの伝送モードが規定されている。
これによれば、伝送モードによって、有効シンボル長や
キャリア数等が異なっていることが分かる。
【0015】従って、複数の伝送モードに対応するよう
に構成された受信機においては、手動、または自動的に
送信モードを認識し、FFT処理を行うシンボルの位置
を受信モードに応じて適切に確定するといった内部処理
が必要となる。なお、伝送モードを自動的に識別する手
法の1つは欧州特許公報(EP−0666661A2)
などに詳細に開示されており、ここでは、説明は割愛す
る。
【0016】
【0007】ところが、受信機にて正確にデータ復調を
行うためには、FFT処理を各シンボル区間に対して正
確に行うことが必要となり、送信側との同期は不可欠と
なる。受信機においては、送信データ中のヌルシンボル
にてフレームの始まりを検出することはできるが、受信
状態の変化の激しい移動体においては、電界の変動にて
送信信号がヌルシンボルのような落ち込みを示すことも
ある。従って、ヌルシンボル区間を正確に認識すること
は難しく、ヌルシンボルの検出のみでは、例えば、FF
Tの実施区間が同一シンボル内に設定できず、隣接する
シンボル間にわたるサンプリングデータ群に対してFF
T処理が実施され、FFT処理を各シンボルに対して正
確に実施することが難しくなる。また、受信機にては上
述の通り同相成分(I成分)、直交成分(Q成分)をA
/D変換器にてディジタル化するがこの時のサンプリン
グクロックは、受信機側の制御の基準となる発振器によ
って生成される。更に、この発振器はFFTの実施区間
(FFTの窓位置)を決定する基準としても動作する。
【0017】ところが、この受信機側の発振器の周波数
が送信機側の発振器の周波数と一致していない場合に
は、時間の経過と共にFFTの窓位置が送信データの各
シンボルに対して順次ずれていくということになる。F
FTの窓位置は有効シンボル長と同じであり、同一シン
ボル内であればどの位置にFFTの窓位置を設定しても
問題はないが、このようなずれがあると、結果として、
FFTの窓位置が隣接するシンボルを含むようになるの
で、正確な復調の妨げとなり、受信品質を悪化させる原
因となる。
【0018】
【0008】
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
を解決すべくなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、送受信間の精密な同期をとることができるディジ
タル放送用受信機を具体的に提供することにある。
【0020】
【0009】
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、受信機側にて既知の情報を担う参照シンボルと、伝
送すべき複数のデータシンボルと、フレームの開始を示
すヌルシンボルからなるシンボル群で1つのフレームを
構成し、かつ、所望の周波数帯域内の複数キャリア各々
を位相変調することで、参照シンボル並びにデータシン
ボルを構成するようにしたデジタル放送を受信可能なデ
ィジタル放送用受信機であって、ディジタル放送用受信
機は、基準周波数を発生するためのクロック発生部と、
クロック発生部の基準周波数に基づき伝送される信号を
順次サンプリングするA/D変換器と、参照シンボル並
びにデータシンボルを復調するためのサンプリングデー
タ群をA/D変換器のサンプリングデータ群の中から順
次確定する制御部と、確定されたサンプリングデータ群
について高速フーリエ変換を施すことで、複数のキャリ
ア各々の位相情報を得る手段と、参照シンボルについて
のインパルス応答を求める手段と、を有し、制御部は求
めたインパルス応答に基づき、参照シンボル並びにデー
タシンボルを復調するためのサンプルデータ群を順次確
定することを特徴とする。
【0022】
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
ディジタル放送用受信機であって、制御部は、現在受信
中のフレームについての参照シンボルのインパルス応答
と、現在受信中のフレームからm(mは1以上)フレー
ム後の参照シンボルのインパルス応答と、を求めるよう
に、インパルス応答を求める手段を制御し、得られたイ
ンパルス応答を比較し、その変化量に基づきクロック発
生部の基準周波数を確定することを特徴とする。
【0023】
【0011】請求項3に記載の発明は、受信機側にて既
知の情報を担う参照シンボルと、伝送すべき複数のデー
タシンボルと、フレームの開始を示すヌルシンボルから
なるシンボル群で1つのフレームを構成し、かつ、所望
の周波数帯域内の複数キャリア各々を位相変調すること
で参照シンボル並びにデータシンボルを構成するように
したデジタル放送を受信可能なディジタル放送用受信機
であって、ディジタル放送用受信機は、基準周波数を発
生するためのクロック発生部と、クロック発生部の基準
周波数に基づき伝送される信号を順次サンプリングする
A/D変換器と、参照シンボル並びにデータシンボルを
復調するためのサンプリングデータ群をA/D変換器の
サンプリングデータ群の中から順次確定する制御部と、
確定されたサンプリングデータ群について高速フーリエ
変換を施すことで、複数のキャリア各々の位相情報を得
る手段と、参照シンボルについてのインパルス応答を求
める手段と、を有し、制御部は、現在受信中のフレーム
についての参照シンボルのインパルス応答と、現在受信
中のフレームからm(mは1以上)フレーム後の参照シ
ンボルのインパルス応答と、を求めるように、インパル
ス応答を求める手段を制御し得られたインパルス応答を
比較し、その変化量に基づきクロック発生部の基準周波
数を確定することを特徴とする。
【0024】
【0012】
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明のディジタル放送用受信機
の一実施例であるOFDM方式のDAB受信機の概略構
成を示している。
【0027】図1において、アンテナ1にて受信したR
F(Radio Frequency )信号は、同調手段としてのフロ
ントエンド3に供給される。
【0028】フロントエンド3は、RF信号の内の所望
の周波数帯域の信号に同調し、更に、同調したRF信号
を中間周波数信号に変換し直交復調器4に供給する。
【0029】
【0013】直交復調器4は、例えば2つの混合器、移
相器等を含み、局部発振信号と中間周波数信号とを一方
の混合器にて混合して、ベースバンド信号の同相成分I
を出力する。他方の混合器には、局部発振信号を移相器
によって90度だけ位相シフトさせた信号と中間周波数
信号とが入力され、ベースバンド信号の直交成分Qを出
力する。
【0030】
【0014】同相成分Iは、LPF(ローパスフィル
タ)5Iを介してA/D変換器6Iに供給され、直交成
分Qは、LPF5Qを介してA/D変換器6Qに供給さ
れる。
【0031】A/D変換器6I、6Qは、クロック発生
部16にて生成されたクロック周波数に基づく入力信号
のサンプリングを、システム制御回路15の制御の下に
行い、入力同相成分I、入力直交成分Qをディジタル信
号に変換し、離散データとしてFFT(高速フーリエ変
換器)7に供給する。
【0032】FFT7は、周波数成分の解析手段を担
い、A/D変換器6I、6Qより供給される同相及び直
交成分のサンプリングデータを保持する保持部を含み、
保持されたデータに対してフーリエ変換による時間軸か
ら周波数軸上への変換を行う。
【0033】この変換は、後述のシステム制御回路15
からの制御信号に応じて設定された期間(FFTの窓位
置)についての変換であり、例えばFFTの窓位置を1
ms、サンプリング周波数を2.048MHZとすれ
ば、モード1で規定される1KHzステップで1536
個のキャリアについての位相情報Yk が得られる。
【0034】
【0015】FFT処理により求められた位相情報Yk
は差動復号器8に入力される。差動復号器8では、各々
のキャリアの位相情報に対して位相差が求められる。即
ち、FFT処理にて得られた位相情報を(in、qn)
とすれば、前回シンボルの位相情報(in-1 、qn-1 )
の共役複素数と、今回シンボルの位相情報(in、q
n)との乗算が行われるのである。
【0035】このようにして求められたキャリア毎の位
相差の情報を担う差動復号器8出力信号は、ビタビ復号
器9により、最も確からしい値のデータ列信号として確
定され、この確定されたデータ列信号が音声復号器10
に送出される。
【0036】
【0016】音声復号器10は、ビタビ復号器9からの
データ列信号に施されている音声圧縮を復号し、復号デ
ータは図示しないD/A変換器を経て通常のアナログ音
声信号に変換される。
【0037】尚、実際には差動復号器8の後段の処理と
してデインターリーブ等の処理も含まれるが本発明には
直接関係しないのでその説明は省略する。
【0038】
【0017】LPF5I、5Qの出力信号はまたヌル検
出器11にも供給される。ヌル検出器11は、各LPF
の出力に基づき、伝送される信号(図11参照)中のヌ
ル部の可能性のある無信号部分を検出して、ヌル検出信
号をシステム制御回路15に供給する。ヌル検出器11
においては、例えば入力信号のエンベロープに基づいた
ヌル検出がなされる。即ち、LPF5I、5Qから得ら
れる同相成分I´及び直交成分Q´より(I´2 +Q´
2 )を算出し、その算出値が基準値以下である時をヌル
部の検出時としてヌル検出信号を発生する。
【0039】
【0018】システム制御回路15は、得られたヌル検
出信号に応答して、伝送モードを確定し、続いて、FF
Tの窓位置、並びにA/D変換器のサンプリング周波数
を正確に入力信号に同期させる処理を行う。
【0040】かかる処理は、更に、後述する伝達関数算
出部12と、IFFT部13と、インパルス応答評価部
14と、クロック発生部16を用いることで達成され、
上述の処理はシステム制御回路15の制御の下で行われ
る。
【0041】
【0019】以上が受信機の概略構成である。次に、本
発明におけるシステム制御回路15の動作について図2
を用いて詳述する。
【0042】
【0020】1フレーム目 まず、システム制御回路15は、ステップS1にて、入
力信号の1フレームの始まりを検出する。これは、ヌル
検出器11からのヌル検出信号を所定のタイミングで監
視することで検出できる。
【0043】ステップS1にて1フレームのヌル部が検
出された時には、続いてステップS2にて伝送モードの
確定を行う。これは、例えば、ヌル部の時間(ヌル
長)、連続するヌル部の間隔(フレーム長)等をヌル検
出信号より求め、4つの伝送モードのいずれに最も近い
か否かを判定することで受信モードを確定することがで
きる。受信モードが決定されると、続いてステップS3
にて、有効シンボル長のFFTの窓位置を差し当たりF
FT7に対して設定する。
【0044】
【0021】ヌル検出信号の出力のみでは、FFT7の
窓位置を正確に同一シンボル内に設定することは難しい
ので、当然、図3のようにFFT7の窓位置は正確にシ
ンボルと一致せず、ずれることが多い。このFFT7の
窓位置のずれは、伝送路の伝達関数Hk によるものと見
なせるので、k番目のキャリアに重畳され、送信される
べき位相情報をXk 、受信機によって実際に復調される
位相情報をYk とすれば、 Yk =Hk ・Xk と表すことができる。上式より、伝達関数Hk は次式の
ように表せる。
【0045】Hk =Yk ・Xk * 但し、記号Xk * はXk の共役複素数を示す。
【0046】
【0022】他方、Kをキャリア数、Tを有効シンボル
長とすれば、OFDM信号の有効シンボル区間の信号y
(t)は、以下の式(1)で表される。
【0047】
【0023】
【0048】
【数1】
【0049】
【0024】受信機において、y(t)は、A/D変換
器にてT/Nの周期でサンプリングされるので、時刻n
(n=0、1、……N−1)における有効シンボル区間
の信号ynは、 yn=y(nT/N) で表せる。
【0050】更に受信機ではFFTが施されるので、受
信機によって復調される情報ベクトルYk は、以下の式
(2)で表される。
【0051】
【0025】
【0052】
【数2】
【0053】
【0026】但し、記号Fはフーリエ変換を示す。
【0054】従って、伝送路のインパルスhn (t)応
答は以下の式(3)で表される。
【0055】
【0027】
【0056】
【数3】
【0057】
【0028】但し、記号F-1は、逆フーリエ変換(IF
FT)を示す。
【0058】インパルス応答hn (t)を求めるために
は、伝送される位相情報Xk が受信側で既知であること
が必要である。DABでは、ヌル部に続く参照シンボル
は、受信機側においても既知の情報で規定されているの
で、受信機にて予め既知の情報となっている参照シンボ
ルに限り伝送路のインパルス応答は得ることが出来る。
このようにして求めたインパルス応答の例を図4に示
す。
【0059】この図4では、インパルス応答のピーク位
置がデータサンプリング数16個分の時間分だけ遅れて
いる例である。即ち、インパルス応答のピーク位置を評
価することで、この図4であれば伝送路による信号の遅
延時間を知ることができる。このことは、シンボルに対
する正確なFFTウインドウの位置を求めることと同じ
である。尚、この図4では説明を簡単にするためにマル
チパスなどの影響による遅延波のインパルス応答につい
ては、割愛している。
【0060】
【0029】従って、システム制御回路15はステップ
S4にて、伝達関数算出部12、IFFT部13、イン
パルス応答評価部14、を制御しFFT7の窓位置の補
正量を確定する。詳述すれば、まず、ヌルシンボルに続
く参照シンボルに対して、伝達関数算出部12にて、受
信した位相情報Yk と本来受信すべき位相情報Xk に基
づき、伝送路の伝達関数Hk を求めるよう制御する。
【0061】続いて、かかる伝達関数Hk より伝送路の
インパルス応答hn (t)を求めるようにIFFT部1
3を制御する。
【0062】更に、インパルス応答評価部14を制御
し、伝送路による信号の遅れ(進み)時間(サンプル
数)を求める。即ち、この評価結果がFFTの窓位置の
有効シンボルに対するずれ量となるのである。
【0063】
【0030】従って、例えば、図4のインパルス応答で
あれば、16サンプル分の遅延が生じているのでFFT
の窓位置のずれ量が16サンプルと決定され、例えば、
FFTの窓位置を現状より16サンプル分だけ補正し、
正確に有効シンボルとFFTの窓位置とが一致するよう
に制御が行われる。
【0064】尚、同一シンボル内にFFTの窓位置があ
れば、正確な復調ができるので、この補正量は、必ずし
も正確に有効シンボル区間に対してFFTの窓位置を設
定するような補正に限定されないことは言うまでもな
い。即ち、同一シンボル内にFFTの窓位置が設定され
るように補正出来ればよい。
【0065】
【0031】2フレーム目以降 1フレーム目にてFFTの窓位置の補正量が確定する
と、2フレーム目はこの補正量に基づきFFTの処理が
行われるように、ステップS5にて、システム制御回路
15は、FFT7に対して補正したFFTの窓位置制御
信号を出力する。
【0066】仮にA/D変換器6I、6Qのサンプリン
グ周波数fsが、送信側のサンプリング周波数と完全に
一致していれば、以後、受信機にての内部同期、即ち、
サンプル数をカウントし、このカウント値に基づきFF
Tの窓位置を設定しても、永久にシンボルに対して正確
にFFTの窓位置を設定することができる(インパルス
応答の位置は常に同じ値となる)。
【0067】
【0032】しかし、両者のサンプリング周波数にずれ
がある場合、FFTの窓位置を一旦シンボルに対して正
確に合わせたとしても、フレーム毎のインパルス応答h
n(t)のピーク位置は順次、少しづつずれていくこと
になる。
【0068】即ち、このずれが送受信間のサンプリング
周波数の相違に基づくものであるので、このずれを補正
するためにサンプリング周波数を正確に送信側のサンプ
リング周波数に合わせる補正を行う必要がある。ここ
で、インパルス応答の前回値からのずれ(変化量)をn
サンプルとし、送信側とのサンプリング周波数のずれ分
をδ(ppm)とすれば、現在の受信側のサンプリング
周波数は、(1+δ)fsで表され、更に、サンプリン
グ周波数のずれ分δは、 δ=−n・106 /(Nframe +n) で表すことができる。ここでNframe は、フレームのサ
ンプル数である。
【0069】
【0033】図12のモード2を例にとれば、受信側の
サンプリング周波数をfs=2.048MHz相当と
し、1フレーム間でのインパルス応答の変化量が1サン
プルであったときには、 Nframe =2.048(MHz)・24(ms)/1
(S)=49152となり、 変化量δ=20.345(ppm) である。
【0070】この値は、Δfs=41.7Hzに相当す
る。
【0071】よって、以後のA/D変換器のサンプリン
グ周波数をfs+Δfsに設定することで送受信間のサ
ンプリング周波数を正確に同期させることが可能とな
る。
【0072】但し、この処理にはインパルス応答の前回
値が必要となるので、2フレーム目以降においてのみ実
施可能な処理である。
【0073】
【0034】従って、かかる処理はシステム制御回路1
5の制御の下2フレーム目のステップS6〜S8にて行
なわれている。システム制御回路15は、まず、内部カ
ウンタにて1フレームの終了を判定し、ステップS5に
て、FFTの窓位置を修正する。続いて2フレーム目の
ヌルシンボルに対して補正された窓位置でのFFT処理
を行う。次いで、その結果に基づきヌルシンボルの電力
評価を行う(ステップS6)。
【0074】信号電力Pは、下記の式(4)にてFFT
出力の基づき求めることができる。
【0075】
【0035】
【0076】
【数4】
【0077】
【0036】ここでNは、FFTのポイント数である。
【0078】ヌルシンボルの信号電力をP1とし、デー
タシンボルの信号電力をP2とすれば、両電力の比を求
めることで、フレームに同期しているか否かの判定をな
すことができるのである。尚、この処理を行う場合は、
図1に示す信号電力算出部17を含む破線部の構成が必
要となる。
【0079】ステップS6では、ステップS5のヌル部
の電力評価に基づきフレームに正しく同期しているかが
判断される。
【0080】また、これに限らず、ヌル検出器11を監
視することでもヌルシンボルの評価は可能である。
【0081】
【0037】電力評価にてヌル部が検出されていないと
判断されることは、フレームに正しく同期していないこ
とを示している。この場合、第1フレーム目にて判定し
たヌル部が受信状況によって誤判断した可能性があると
して、ステップS1に戻り、再度同期処理をやり直す
(ステップS7:NO)。
【0082】フレームに正しく同期していると考えられ
る場合(ステップS7:YES)は、更に、ステップS
8にて、2フレーム目の参照シンボルについて1フレー
ム目のステップS4と同様にインパルス応答hn (t)
を求めると共にFFTウインドウの位置に修正の必要が
あれば補正するための補正量を確定する。
【0083】前述のように、送受信間でのサンプリング
周波数が完全に一致していればサンプリング周波数にず
れはないので、遅延波などの受信状況の変化がなければ
補正量は0となる。
【0084】
【0038】しかし、送受信間でのサンプリング周波数
にずれδ(オフセット)があれば、インパルス応答の変
化量としてとらえることができるので、ステップS9に
て、サンプリング周波数(1+δ)fsを補正するよう
にクロック発生部16を制御しA/D変換器のサンプリ
ング周波数を送信側のサンプリング周波数fsに正確に
同期させる。そして、内部カウンタにて1フレームの終
了を判定しステップS5に戻り、FFTの窓位置を更新
する。
【0085】尚、1フレーム経過時のインパルス応答の
変化量が、1サンプル以下であるときには、インパルス
応答のピーク位置のずれとして判別されないので、次式
を用いて複数フレームを単位として、インパルス応答を
監視することで、より正確な補正が可能となり、更に分
解能を上げることができる。
【0086】 δm =−n・106 /(m・Nframe +n) ここで記号mは、対象とするフレームの数を示す。
【0087】
【0039】この処理は、例えば、ステップS9を更に
図5のように変更することで容易に実現できる。図5で
は、mフレームを単位とするオフセット量δm の算出
(ステップS93)を実施する制御例である。尚、記号
C、はカウンタの値を示し、初期設定は0に設定されて
いる。
【0088】
【0040】ところが、実際には、図4のインパルス応
答には、マルチパスなどの影響による遅延波のインパル
ス応答も考慮する必要がある。
【0089】以下、この点につき説明する。図6は、1
波の遅延波の方が直接波よりレベルが大きい場合のイン
パルス応答の一例である。
【0090】この場合、複数のインパルス応答から、F
FTの窓位置を正確にシンボル内に位置するように設定
するように制御する必要がある。
【0091】例えば、図6の窓位置1のように設定すれ
ば問題はないが、インパルス応答の値が直接波より大な
る間接波に対して、図6の窓位置2のように設定する
と、図6の区間Eにおいて、直接波の後続のシンボルが
FFTの区間に入るためエラー率の悪化が生じる。この
区間Eが広くなるほどエラー率は悪化する。
【0092】移動体受信では遅延波が生じる状況は、度
々発生するのでこのような遅延波を考慮した同期処理が
必要となる。
【0093】
【0041】図7は、このような問題点を解決する同期
処理の一例を示すフローチャートである。かかる処理は
システム制御回路15にて行われ、図2のステップS
4、S8の処理の一部として実施される。
【0094】システム制御回路15では、インパルス応
答を求めた後に、大別して、遅延波の影響を無視できる
範囲(ガードインターバル範囲)内でシンボルパワーが
最大となる区域の決定処理と、そこで決定された区間の
中で干渉ノイズが最小となる区域の決定処理から構成さ
れる。
【0095】まず、ステップS101にて、シンボルパ
ワーが大となる区域が決定される。ここで、本発明で
は、シンボルパワーSPを、ガードインターバル長分の
インパルス応答の積算値と定義する。
【0096】インパルス応答h(n)は、図8のよう
に、nポイント(−N/2≦n≦(N/2)−1:Nは
FFTのポイント数)で得られるので、ガードインター
バル長をg、区間iのシンボルパワーをSPとすれば、
以下の式(5)で与えられる。
【0097】
【0042】
【0098】
【数5】
【0099】
【0043】従って、i=−N/2、(−N/2)+
1、……、(N/2)−g+1各々についてのシンボル
パワー、SP(−N/2)、……、SP((−N/2)
−g+1)を順次、求めることができる。
【0100】ステップS101では、このようにして求
めたシンボルパワーSP(i)にて、最大(または最大
から順に上位複数個)のシンボルパワーを得た区間i´
(単数、または複数個)を確定、保持する。
【0101】
【0044】続いて、ステップS102ではステップS
101で求めた所定個の区間データi´の中でシンボル
間干渉が最小となる区間データi″を決定する。
【0102】ガードインターバル長で設定された区間
外、即ち、上式にて積分されなかったインパルス応答は
全て干渉ノイズとみなせる。
【0103】この干渉ノイズのパワーは積分範囲からの
距離(時間)に比例する。図8を用いて説明すると、例
えば区間データiで与えられる区間の左端h(i)から
m個分左方向に外れたh(i−m)は、干渉ノイズであ
り、そのノイズパワーはh(i−m)・mで与えられる
ことになる。また、同様に、区間の右端h(i+g−
1)から右方向にk個分はずれたh(i+g−1+k)
も干渉ノイズであり、そのノイズパワーはh(i+g−
1+k)・kで与えられる。
【0104】よって、任意の区間iにおけるノイズパワ
ーN(i)は、以下の式(6)で与えられる。
【0105】
【0045】
【0106】
【数6】
【0107】
【0046】但し、−N/2=i−M、(N/2)−1
=i+g−1+k である。
【0108】よって、ステップS102にてステップS
101で決定された1または複数の区間i´について、
各々ノイズパワーN(i´)をもとめ、ステップS10
3にてシンボル間干渉ノイズN(i´)が最も小さい区
間を求めることで、シンボルパワーが大きく、且つ、干
渉ノイズパワーが最も小さい確定区間データi″が確定
する。
【0109】
【0047】ここで確定された、区間データi″が持つ
意味を説明する。
【0110】ガードインターバルを越えない同一シンボ
ルの重ね合わせは、位相並びに振幅に変位を与えるが、
位相の変位はFFT処理により求められた位相データの
差動を求めることで復調に影響を与えない。
【0111】即ち、区間i″内に発生するインパルス応
答は、復調の妨げにならないといえる。よって、区間
i″の最も時間的に早い所(図8で示される区間で説明
すれば最も左側に位置するh(i))をFFTの窓位置
の始点とすれば、復調に支障は生じないことになる。
【0112】また、上述の処理で求められた区間i″は
そのシンボルパワーが最高、又は、比較的大きいものと
なるので、復調に適しているといえる。
【0113】
【0048】従って、求められた区間i″の先端をFF
Tの窓位置の開始点と設定することで、正確な復調が可
能となる。
【0114】また、干渉ノイズが最小となるように区間
i″を設定するのでエラー率の悪化が最も小さくなるよ
うにFFTの窓位置を設定できる。即ち、図9に示すよ
うなa、b、cの3波が存在する時は、本手法ではシン
ボルパワーが最大且つ、干渉ノイズパワーが最小となる
ように区間データi″が確定されるので、図9のg1の
区間が決定される。この決定に伴い設定されたFFTの
窓位置1と干渉ノイズパワーを考慮しない窓位置2とを
比較すると、区間g1とg2では、シンボルパワーが同
じであるが、窓位置2の方がa波の後続シンボルの影響
を受ける領域(図9の斜線の部分)が大となり、窓位置
2の方がC/Nの悪化が大きくエラー率が悪化する。よ
って、本手法の方がエラー率の悪化を効果的に抑制でき
ると言える。従って、本手法を受信フレームに対して順
次適用することで、受信状況の変化に的確に適応できる
ことになるのである。
【0115】
【0049】尚、実際には、図10で示すように、同一
のシンボルパワーをとる区間が複数生じる場合が多い。
図10にてh(i+c−1)とh(i+g−1)のみに
インパルス応答が生じているとすれば、シンボルパワー
が最大となる区間は、連続する区間gf〜区間gbであ
る。尚、ここで記号cは同じシンボルパワーを持つ区間
iの数の総数である。
【0116】この各々の区間について、順次干渉ノイズ
パワーを求めることで良好な区間i″を求めてもよい
が、計算量が膨大となる。
【0117】ここで干渉ノイズに着目すると、例えば、
図10のh(i−m)の所に干渉ノイズがあると考える
と、干渉ノイズの影響が最も少ない区間はgfとなる。
【0118】他方、図10のh(i+c+g−2+k)
の所に干渉ノイズがあると考えると、干渉ノイズの影響
が最も少ない区間は、gbとなる。
【0119】
【0050】従って、干渉ノイズがある場合は、区間g
fまたは、区間gbしか良好な区間i″にならないこと
が分かる。よって、区間gmaxの左右の区間g´並び
にg″の干渉ノイズを各々求めその差(g´−g″)を
求めることで、図10の左右どちらの区間の干渉ノイズ
が大きいかを調べ、区間g´の方が大きい場合は、区間
gfを選択し、区間g″の方が大きい場合は、区間gb
を選択するように制御することで計算量を削減可能であ
る。この処理をステップS102に追加することで、同
一シンボルパワーで連続する区間gmax部分の干渉ノ
イズ計算処理を簡素化できる。この処理を、例えば、ス
テップS101にて実施することで、ステップS102
移行の計算量が削減できる。
【0120】
【0051】
【0121】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、受信状況
に応じた最適のFFTウインド位置の確定が可能とな
り、エラー率の悪化を抑制することができる。
【0122】また、送受信間のサンプリング周波数を正
確に合せることが可能となるので、内部同期による復調
の信頼性をより一層上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による1実施例のOFDM方式DAB受
信機のが概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による同期処理の手順の一例を示す図で
ある。
【図3】受信波とFFTの窓位置の相対関係の一例を示
す図である。
【図4】受信波のインパルス応答の一例を示す図であ
る。
【図5】本発明による同期処理を示す図である。
【図6】遅延波と直接波の関係の一例を示す図である。
【図7】本発明による同期処理を示す図である。
【図8】インパルス応答と、シンボルパワーとの関係を
示す図である。
【図9】FFTの窓位置と干渉ノイズとの関係を示す図
である。
【図10】インパルス応答と、シンボルパワーとの関係
を示す図である。
【図11】DABシステムの伝送信号のフォーマットを
示す図である。
【図12】DABシステムの伝送モードを示す図であ
る。
【符号の説明】
1・・・アンテナ 3・・・フロントエンド 4・・・直交復調器 5I、5Q・・・LPF 6I、6Q・・・A/D変換器 7・・・FFT 8・・・差動復号器 9・・・ビタビ復号器 10・・音声復号器 11・・ヌル検出器 12・・伝達関数算出部 13・・IFFT部 14・・インパルス応答評価部 15・・システム制御回路 16・・クロック発生部 17・・信号電力算出部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝送信号中の一部に受
信機側にて既知の情報を含ませる送受信システムに関
し、特に、音声圧縮(高能率符号化)を用いた移動体向
けのディジタル放送の復調に関する。
【0002】
【従来の技術】ディジタル放送に採用する変調方式とし
てOFDM(OrthogonalFrequency
Division Multiplex :直交周波
数分割多重)方式が適していることが知られている。O
FDM方式とは、多数の搬送波(キャリア)を用いる多
搬送波変調方式であり、その各搬送波は直交関係にあ
る。このため、OFDM方式は周波数利用効率が高いと
いう利点を持つ。
【0003】欧州で開発されたDAB(DIGITAL
AUDI0 BROADCASTING)システムを
例にとれば、送信機側では、データ圧縮(高能率符号
化)を施された入力データがシリアル−パラレル変換に
てパラレルデータに変換された後、パラレルデータは差
動符号化によりπ/4シフトQPSKシンボルに変換さ
れる。かかる処理にて、シンボルを構成する各キャリア
に各々2ビットのデータをのせることが可能となる。そ
して、このシンボルには高速逆フーリエ変換(IFF
T)が施され、ベースバンド信号の同相成分、直交成分
が各々得られる。IFFTの各出力はD/A変換を経て
局部発振器からの発振信号(RF信号)により直交変調
がなされると共に、所望の周波数帯域の伝送信号に周波
数変換され、アンテナより送信信号として送信される。
【0004】一方、受信機側では送信側と逆の処理が行
われる。即ち、アンテナにて得られた信号は直交復調器
を介して(または、更に周波数変換段を介して)ベース
バンド信号の同相成分及び直交成分を各々生成する。こ
の出力はA/D変換器にて所定のサンプリング周波数に
て順次サンプリングされ、離散データとして高速フーリ
エ変換器(FFT)に入力される。更に、フーリエ変換
によって搬送波毎の信号が得られ、その後、搬送波毎に
差動復号器によって差動復号がなされる。差動復号器の
出力信号はパラレル−シリアル変換器でシリアルデータ
とされ、これが受信したデータとなる。実際にはこのシ
リアルデータはエラー訂正、データ圧縮の復調などのデ
ータ処理が施され、アナログ信号に変換される。
【0005】かかるDABシステムにおいては、時間軸
上、図11に模式的に示されるようなフォーマットで送
信信号が形成される。即ち、フレーム単位でデータが伝
送されると共に、1フレーム内に、順次、ヌルシンボ
ル、参照シンボル(リファレンスシンボル)、及び複数
のシンボル列からなるデータシンボル部が形成される。
ヌルシンボルは、伝送信号の存在しない期間であり、ヌ
ルシンボルを検出することでフレームの始まりを大まか
に識別することができる。参照シンボルは差動復号のた
めの基準位相を担い、データシンボルには本来伝送すべ
き音声信号などの主情報が割り当てられる。また、各シ
ンボルは、マルチパスの影響による符号間干渉を避ける
ために設けられているガードインターバルと、これに後
続する有効シンボルとから構成されている。ガードイン
ターバルは、これに続く有効シンボルの約1/4の繰り
返しである。受信機側では、例えば、有効シンボル区間
に対してFFT処理を行う。
【0006】また、DABシステムにおいては、図12
に示されるような4つの伝送モードが規定されている。
これによれば、伝送モードによって、有効シンボル長や
キャリア数等が異なっていることが分かる。従って、複
数の伝送モードに対応するように構成された受信機にお
いては、手動、または自動的に送信モードを認識し、F
FT処理を行うシンボルの位置を受信モードに応じて適
切に確定するといった内部処理が必要となる。なお、伝
送モードを自動的に識別する手法の1つは欧州特許公報
(EP−0666661A2)などに詳細に開示されて
おり、ここでは、説明は割愛する。
【0007】ところが、受信機にて正確にデータ復調を
行うためには、FFT処理を各シンボル区間に対して正
確に行うことが必要となり、送信側との同期は不可欠と
なる。受信機においては、送信データ中のヌルシンボル
にてフレームの始まりを検出することはできるが、受信
状態の変化の激しい移動体においては、電界の変動にて
送信信号がヌルシンボルのような落ち込みを示すことも
ある。従って、ヌルシンボル区間を正確に認識すること
は難しく、ヌルシンボルの検出のみでは、例えば、FF
Tの実施区間が同一シンボル内に設定できず、隣接する
シンボル間にわたるサンプリングデータ群に対してFF
T処理が実施され、FFT処理を各シンボルに対して正
確に実施することが難しくなる。また、受信機にては上
述の通り同相成分(I成分)、直交成分(Q成分)をA
/D変換器にてディジタル化するがこの時のサンプリン
グクロックは、受信機側の制御の基準となる発振器によ
って生成される。更に、この発振器はFFTの実施区間
(FFTの窓位置)を決定する基準としても動作する。
ところが、この受信機側の発振器の周波数が送信機側の
発振器の周波数と一致していない場合には、時間の経過
と共にFFTの窓位置が送信データの各シンボルに対し
て順次ずれていくということになる。FFTの窓位置は
有効シンボル長と同じであり、同一シンボル内であれば
どの位置にFFTの窓位置を設定しても問題はないが、
このようなずれがあると、結果として、FFTの窓位置
が隣接するシンボルを含むようになるので、正確な復調
の妨げとなり、受信品質を悪化させる原因となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
を解決すべくなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、送受信間の精密な同期をとることができるディジ
タル放送用受信機を具体的に提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、受信機側にて既知の情報を担う参照シンボルと、伝
送すべき複数のデータシンボルと、フレームの開始を示
すヌルシンボルからなるシンボル群で1つのフレームを
構成し、かつ、所望の周波数帯域内の複数キャリア各々
を位相変調することで、参照シンボル並びにデータシン
ボルを構成するようにしたデジタル放送を受信可能なデ
ィジタル放送用受信機であって、ディジタル放送用受信
機は、基準周波数を発生するためのクロック発生部と、
クロック発生部の基準周波数に基づき伝送される信号を
順次サンプリングするA/D変換器と、参照シンボル並
びにデータシンボルを復調するためのサンプリングデー
タ群をA/D変換器のサンプリングデータ群の中から順
次確定する制御部と、確定されたサンプリングデータ群
について高速フーリエ変換を施すことで、複数のキャリ
ア各々の位相情報を得る手段と、参照シンボルについて
のインパルス応答を求める手段と、を有し、制御部は求
めたインパルス応答に基づき、参照シンボル並びにデー
タシンボルを復調するためのサンプルデータ群を順次確
定することを特徴とする。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
ディジタル放送用受信機であって、制御部は、現在受信
中のフレームについての参照シンボルのインパルス応答
と、現在受信中のフレームからm(mは1以上)フレー
ム後の参照シンボルのインパルス応答と、を求めるよう
に、インパルス応答を求める手段を制御し、得られたイ
ンパルス応答を比較し、その変化量に基づきクロック発
生部の基準周波数を確定することを特徴とする。
【0011】請求項3に記載の発明は、受信機側にて既
知の情報を担う参照シンボルと、伝送すべき複数のデー
タシンボルと、フレームの開始を示すヌルシンボルから
なるシンボル群で1つのフレームを構成し、かつ、所望
の周波数帯域内の複数キャリア各々を位相変調すること
で参照シンボル並びにデータシンボルを構成するように
したデジタル放送を受信可能なディジタル放送用受信機
であって、ディジタル放送用受信機は、基準周波数を発
生するためのクロック発生部と、クロック発生部の基準
周波数に基づき伝送される信号を順次サンプリングする
A/D変換器と、参照シンボル並びにデータシンボルを
復調するためのサンプリングデータ群をA/D変換器の
サンプリングデータ群の中から順次確定する制御部と、
確定されたサンプリングデータ群について高速フーリエ
変換を施すことで、複数のキャリア各々の位相情報を得
る手段と、参照シンボルについてのインパルス応答を求
める手段と、を有し、制御部は、現在受信中のフレーム
についての参照シンボルのインパルス応答と、現在受信
中のフレームからm(mは1以上)フレーム後の参照シ
ンボルのインパルス応答と、を求めるように、インパル
ス応答を求める手段を制御し得られたインパルス応答を
比較し、その変化量に基づきクロック発生部の基準周波
数を確定することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明のディジ
タル放送用受信機の一実施例であるOFDM方式のDA
B受信機の概略構成を示している。図1において、アン
テナ1にて受信したRF(Radio Frequen
cy)信号は、同調手段としてのフロントエンド3に供
給される。フロントエンド3は、RF信号の内の所望の
周波数帯域の信号に同調し、更に、同調したRF信号を
中間周波数信号に変換し直交復調器4に供給する。
【0013】直交復調器4は、例えば2つの混合器、移
相器等を含み、局部発振信号と中間周波数信号とを一方
の混合器にて混合して、ベースバンド信号の同相成分I
を出力する。他方の混合器には、局部発振信号を移相器
によって90度だけ位相シフトさせた信号と中間周波数
信号とが入力され、ベースバンド信号の直交成分Qを出
力する。
【0014】同相成分Iは、LPF(ローパスフィル
タ)51を介してA/D変換器61に供給され、直交成
分Qは、LPF5Qを介してA/D変換器6Qに供給さ
れる。A/D変換器6I、6Qは、クロック発生部16
にて生成されたクロック周波数に基づく入力信号のサン
プリングを、システム制御回路15の制御の下に行い、
入力同相成分I、入力直交成分Qをディジタル信号に変
換し、離散データとしてFFT(高速フーリエ変換器)
7に供給する。FFT7は、周波数成分の解析手段を担
い、A/D変換器61、6Qより供給される同相及び直
交成分のサンプリングデータを保持する保持部を含み、
保持されたデータに対してフーリエ変換による時間軸か
ら周波数軸上への変換を行う。この変換は、後述のシス
テム制御回路15からの制御信号に応じて設定された期
間(FFTの窓位置)についての変換であり、例えばF
FTの窓位置を1ms、サンプリング周波数を2.04
8MHZとすれば、モード1で規定される1KHzステ
ップで1536個のキャリアについての位相情報Ykが
得られる。
【0015】FFT処理により求められた位相情報Yk
は差動復号器8に入力される。差動復号器8では、各々
のキャリアの位相情報に対して位相差が求められる。即
ち、FFT処理にて得られた位相情報を(in、qn)
とすれば、前回シンボルの位相情報(in−1、qn−
1)の共役複素数と、今回シンボルの位相情報(in、
qn)との乗算が行われるのである。このようにして求
められたキャリア毎の位相差の情報を担う差動復号器8
出力信号は、ビタビ復号器9により、最も確からしい値
のデータ列信号として確定され、この確定されたデータ
列信号が音声復号器10に送出される。
【0016】音声復号器10は、ビタビ復号器9からの
データ列信号に施されている音声圧縮を復号し、復号デ
ータは図示しないD/A変換器を経て通常のアナログ音
声信号に変換される。尚、実際には差動復号器8の後段
の処理としてデインターリーブ等の処理も含まれるが本
発明には直接関係しないのでその説明は省略する。
【0017】LPF5I、5Qの出力信号はまたヌル検
出器11にも供給される。ヌル検出器11は、各LPF
の出力に基づき、伝送される信号(図11参照)中のヌ
ル部の可能性のある無信号部分を検出して、ヌル検出信
号をシステム制御回路15に供給する。ヌル検出器11
においては、例えば入力信号のエンベロープに基づいた
ヌル検出がなされる。即ち、LPF5I、5Qから得ら
れる同相成分I´及び直交成分Q´より(I´+Q´
)を算出し、その算出値が基準値以下である時をヌル
部の検出時としてヌル検出信号を発生する。
【0018】システム制御回路15は、得られたヌル検
出信号に応答して、伝送モードを確定し、続いて、FF
Tの窓位置、並びにA/D変換器のサンプリング周波数
を正確に入力信号に同期させる処理を行う。かかる処理
は、更に、後述する伝達関数算出部12と、IFFT部
13と、インパルス応答評価部14と、クロック発生部
16を用いることで達成され、上述の処理はシステム制
御回路15の制御の下で行われる。
【0019】以上が受信機の概略構成である。次に、本
発明におけるシステム制御回路15の動作について図2
を用いて詳述する。
【0020】1フレーム目 まず、システム制御回路15は、ステップS1にて、入
力信号の1フレームの始まりを検出する。これは、ヌル
検出器11からのヌル検出信号を所定のタイミングで監
視することで検出できる。ステップS1にて1フレーム
のヌル部が検出された時には、続いてステップS2にて
伝送モードの確定を行う。これは、例えば、ヌル部の時
間(ヌル長)、連続するヌル部の間隔(フレーム長)等
をヌル検出信号より求め、4つの伝送モードのいずれに
最も近いか否かを判定することで受信モードを確定する
ことができる。受信モードが決定されると、続いてステ
ップS3にて、有効シンボル長のFFTの窓位置を差し
当たりFFT7に対して設定する。
【0021】ヌル検出信号の出力のみでは、FFT7の
窓位置を正確に同一シンボル内に設定することは難しい
ので、当然、図3のようにFFT7の窓位置は正確にシ
ンボルと一致せず、ずれることが多い。このFFT7の
窓位置のずれは、伝送路の伝達関数Hkによるものと見
なせるので、k番目のキャリアに重畳され、送信される
べき位相情報をXk、受信機によって実際に復調される
位相情報をYkとすれば、 Yk=Hk・Xk と表すことができる。上式より、伝達関数Hkは次式の
ように表せる。 Hk=Yk・Xk 但し、記号Xk はXkの共役複素数を示す。
【0022】他方、Kをキャリア数、Tを有効シンボル
長とすれば、OFDM信号の有効シンボル区間の信号y
(t)は、以下の式(1)で表される。
【0023】
【数1】
【0024】受信機において、y(t)は、A/D変換
器にてT/Nの周期でサンプリングされるので、時刻n
(n=0、1、……N−1)における有効シンボル区間
の信号ynは、 yn=y(nT/N) で表せる。更に受信機ではFFTが施されるので、受信
機によって復調される情報ベクトルYkは、以下の式
(2)で表される。
【0025】
【数2】
【0026】但し、記号Fはフーリエ変換を示す。従っ
て、伝送路のインパルスhn(t)応答は以下の式
(3)で表される。
【0027】
【数3】
【0028】但し、記号F−1は、逆フーリエ変換(I
FFT)を示す。インパルス応答hn(t)を求めるた
めには、伝送される位相情報Xkが受信側で既知である
ことが必要である。DABでは、ヌル部に続く参照シン
ボルは、受信機側においても既知の情報で規定されてい
るので、受信機にて予め既知の情報となっている参照シ
ンボルに限り伝送路のインパルス応答は得ることが出来
る。このようにして求めたインバルス応答の例を図4に
示す。この図4では、インパルス応答のピーク位置がデ
ータサンプリング数16個分の時間分だけ遅れている例
である。即ち、インパルス応答のピーク位置を評価する
ことで、この図4であれば伝送路による信号の遅延時間
を知ることができる。このことは、シンボルに対する正
確なFFTウインドウの位置を求めることと同じであ
る。尚、この図4では説明を簡単にするためにマルチパ
スなどの影響による遅延波のインパルス応答について
は、割愛している。
【0029】従って、システム制御回路15はステップ
S4にて、伝達関数算出部12、IFFT部13、イン
パルス応答評価部14、を制御しFFT7の窓位置の補
正量を確定する。詳述すれば、まず、ヌルシンボルに続
く参照シンボルに対して、伝達関数算出部12にて、受
信した位相情報Ykと本来受信すべき位相情報Xkに基
づき、伝送路の伝達関数Hkを求めるよう制御する。続
いて、かかる伝達関数Hkより伝送路のインパルス応答
hn(t)を求めるようにIFFT部13を制御する。
更に、インパルス応答評価部14を制御し、伝送路によ
る信号の遅れ(進み)時間(サンプル数)を求める。即
ち、この評価結果がFFTの窓位置の有効シンボルに対
するずれ量となるのである。
【0030】従って、例えば、図4のインパルス応答で
あれば、16サンプル分の遅延が生じているのでFFT
の窓位置のずれ量が16サンプルと決定され、例えば、
FFTの窓位置を現状より16サンプル分だけ補正し、
正確に有効シンボルとFFTの窓位置とが一致するよう
に制御が行われる。尚、同一シンボル内にFFTの窓位
置があれば、正確な復調ができるので、この補正量は、
必ずしも正確に有効シンボル区間に対してFFTの窓位
置を設定するような補正に限定されないことは言うまで
もない。即ち、同一シンボル内にFFTの窓位置が設定
されるように補正出来ればよい。
【0031】2フレーム目以降 1フレーム目にてFFTの窓位置の補正量が確定する
と、2フレーム目はこの補正量に基づきFFTの処理が
行われるように、ステップS5にて、システム制御回路
15は、FFT7に対して補正したFFTの窓位置制御
信号を出力する。仮にA/D変換器61、6Qのサンプ
リング周波数fsが、送信側のサンプリング周波数と完
全に一致していれば、以後、受信機にての内部同期、即
ち、サンプル数をカウントし、このカウント値に基づき
FFTの窓位置を設定しても、永久にシンボルに対して
正確にFFTの窓位置を設定することができる(インパ
ルス応答の位置は常に同じ値となる)。
【0032】しかし、両者のサンプリング周波数にずれ
がある場合、FFTの窓位置を一旦シンボルに対して正
確に合わせたとしても、フレーム毎のインパルス応答h
n(t)のピーク位置は順次、少しづつずれていくこと
になる。即ち、このずれが送受信間のサンプリング周波
数の相違に基づくものであるので、このずれを補正する
ためにサンプリング周波数を正確に送信側のサンプリン
グ周波数に合わせる補正を行う必要がある。ここで、イ
ンパルス応答の前回値からのずれ(変化量)をnサンプ
ルとし、送信側とのサンプリング周波数のずれ分をδ
(ppm)とすれば、現在の受信側のサンプリング周波
数は、(1+δ)fsで表され、更に、サンプリング周
波数のずれ分δは、 δ=−n・10/(Nframe+n) で表すことができる。ここでNframeは、フレーム
のサンプル数である。
【0033】図12のモード2を例にとれば、受信側の
サンプリング周波数をfs=2.048MHz相当と
し、1フレーム間でのインパルス応答の変化量が1サン
プルであったときには、 Nframe=2.048(MHz)・24(ms)/
1(S)=49152 となり、 変化量δ=20.345(ppm) である。この値は、Δfs=41.7Hzに相当する。
よって、以後のA/D変換器のサンプリング周波数をf
s+Δfsに設定することで送受信間のサンプリング周
波数を正確に同期させることが可能となる。但し、この
処理にはインパルス応答の前回値が必要となるので、2
フレーム目以降においてのみ実施可能な処理である。
【0034】従って、かかる処理はシステム制御回路1
5の制御の下2フレーム目のステップS6〜S8にて行
なわれている。システム制御回路15は、まず、内部カ
ウンタにて1フレームの終了を判定し、ステップS5に
て、FFTの窓位置を修正する。続いて2フレーム目の
ヌルシンボルに対して補正された窓位置でのFFT処理
を行う。次いで、その結果に基づきヌルシンボルの電力
評価を行う(ステップS6)。信号電力Pは、下記の式
(4)にてFFT出力の基づき求めることができる。
【0035】
【数4】
【0036】ここでNは、FFTのポイント数である。
ヌルシンボルの信号電力をP1とし、データシンボルの
信号電力をP2とすれば、両電力の比を求めることで、
フレームに同期しているか否かの判定をなすことができ
るのである。尚、この処理を行う場合は、図1に示す信
号電力算出部17を含む破線部の構成が必要となる。ス
テップS6では、ステップS5のヌル部の電力評価に基
づきフレームに正しく同期しているかが判断される。ま
た、これに限らず、ヌル検出器11を監視することでも
ヌルシンボルの評価は可能である。
【0037】電力評価にてヌル部が検出されていないと
判断されることは、フレームに正しく同期していないこ
とを示している。この場合、第1フレーム目にて判定し
たヌル部が受信状況によって誤判断した可能性があると
して、ステップS1に戻り、再度同期処理をやり直す
(ステップS7:NO)。フレームに正しく同期してい
ると考えられる場合(ステップS7:YES)は、更
に、ステップS8にて、2フレーム目の参照シンボルに
ついて1フレーム目のステップS4と同様にインパルス
応答hn(t)を求めると共にFFTウインドウの位置
に修正の必要があれば補正するための補正量を確定す
る。前述のように、送受信間でのサンプリング周波数が
完全に一致していればサンプリング周波数にずれはない
ので、遅延波などの受信状況の変化がなければ補正量は
0となる。
【0038】しかし、送受信間でのサンプリング周波数
にずれδ(オフセット)があれば、インパルス応答の変
化量としてとらえることができるので、ステップS9に
て、サンプリング周波数(1+δ)fsを補正するよう
にクロック発生部16を制御しA/D変換器のサンプリ
ング周波数を送信側のサンプリング周波数fsに正確に
同期させる。そして、内部カウンタにて1フレームの終
了を判定しステップS5に戻り、FFTの窓位置を更新
する。尚、1フレーム経過時のインパルス応答の変化量
が、1サンプル以下であるときには、インパルス応答の
ピーク位置のずれとして判別されないので、次式を用い
て複数フレームを単位として、インバルス応答を監視す
ることで、より正確な補正が可能となり、更に分解能を
上げることができる。 δm=−n・10/(m・Nframe+n) ここで記号mは、対象とするフレームの数を示す。
【0039】この処理は、例えば、ステップS9を更に
図5のように変更することで容易に実現できる。図5で
は、mフレームを単位とするオフセット量δmの算出
(ステップS93)を実施する制御例である。尚、記号
c、はカウンタの値を示し、初期設定は0に設定されて
いる。
【0040】ところが、実際には、図4のインパルス応
答には、マルチパスなどの影響による遅延波のインパル
ス応答も考慮する必要がある。以下、この点につき説明
する。図6は、1波の遅延波の方が直接波よりレベルが
大きい場合のインパルス応答の一例である。この場合、
複数のインパルス応答から、FFTの窓位置を正確にシ
ンボル内に位置するように設定するように制御する必要
がある。例えば、図6の窓位置1のように設定すれば問
題はないが、インパルス応答の値が直接波より大なる間
接波に対して、図6の窓位置2のように設定すると、図
6の区間Eにおいて、直接波の後続のシンボルがFFT
の区間に入るためエラー率の悪化が生じる。この区間E
が広くなるほどエラー率は悪化する。移動体受信では遅
延波が生じる状況は、度々発生するのでこのような遅延
波を考慮した同期処理が必要となる。
【0041】図7は、このような問題点を解決する同期
処理の一例を示すフローチャートである。かかる処理は
システム制御回路15にて行われ、図2のステップS
4、S8の処理の一部として実施される。システム制御
回路15では、インパルス応答を求めた後に、大別し
て、遅延波の影響を無視できる範囲(ガードインターバ
ル範囲)内でシンボルバワーが最大となる区域の決定処
理と、そこで決定された区間の中で干渉ノイズが最小と
なる区域の決定処理から構成される。まず、ステップS
101にて、シンボルパワーが大となる区域が決定され
る。ここで、本発明では、シンボルパワーSPを、ガー
ドインターバル長分のインパルス応答の積算値と定義す
る。インパルス応答h(n)は、図8のように、nポイ
ント(−N/2≦n≦(N/2)−1:NはFFTのポ
イント数)で得られるので、ガードインターバル長を
g、区間iのシンボルパワーをSPとすれば、以下の式
(5)で与えられる。
【0042】
【数5】
【0043】従って、i=−N/2、(−N/2)+
1、……、(N/2)−g+1各々についてのシンボル
パワー、SP(−N/2)、……、SP((−N/2)
−g+1)を順次、求めることができる。ステップS1
01では、このようにして求めたシンボルパワ−SP
(i)にて、最大(または最大から順に上位複数個)の
シンボルパワーを得た区間i´(単数、または複数個)
を確定、保持する。
【0044】続いて、ステップS102ではステップS
101で求めた所定個の区間データi´の中でシンボル
間干渉が最小となる区間データi″を決定する。ガード
インターバル長で設定された区間外、即ち、上式にて積
分されなかったインパルス応答は全て干渉ノイズとみな
せる。この干渉ノイズのパワーは積分範囲からの距離
(時間)に比例する。図8を用いて説明すると、例えば
区間データiで与えられる区間の左端h(i)からm個
分左方向に外れたh(i−m)は、干渉ノイズであり、
そのノイズパワーはh(i−m)・mで与えられること
になる。また、同様に、区間の右端h(i+g−1)か
ら右方向にk個分はずれたh(i+g−1+k)も干渉
ノイズであり、そのノイズパワーはh(i+g−1+
k)・kで与えられる。よって、任意の区間iにおける
ノイズパワーN(i)は、以下の式(6)で与えられ
る。
【0045】
【数6】
【0046】但し、−N/2=i−M、(N/2)−1
=i+g−1+k である。よって、ステップS102にてステップS10
1で決定された1または複数の区間i´について、各々
ノイズパワ−N(i´)をもとめ、ステップS103に
てシンボル間干渉ノイズN(i´)が最も小さい区間を
求めることで、シンボルパワーが大きく、且つ、干渉ノ
イズパワーが最も小さい確定区間データi″が確定す
る。
【0047】ここで確定された、区間データi″が持つ
意味を説明する。ガードインターバルを越えない同一シ
ンボルの重ね合わせは、位相並びに振幅に変位を与える
が、位相の変位はFFT処理により求められた位相デー
タの差動を求めることで復調に影響を与えない。即ち、
区間i″内に発生するインパルス応答は、復調の妨げに
ならないといえる。よって、区間i″の最も時間的に早
い所(図8で示される区間で説明すれば最も左側に位置
するh(i))をFFTの窓位置の始点とすれば、復調
に支障は生じないことになる。また、上述の処理で求め
られた区間i″はそのシンボルパワーが最高、又は、比
較的大きいものとなるので、復調に適しているといえ
る。
【0048】従って、求められた区間i″の先端をFF
Tの窓位置の開始点と設定することで、正確な復調が可
能となる。また、干渉ノイズが最小となるように区間
i″を設定するのでエラー率の悪化が最も小さくなるよ
うにFFTの窓位置を設定できる。即ち、図9に示すよ
うなa、b、cの3波が存在する時は、本手法ではシン
ボルパワーが最大且つ、干渉ノイズパワーが最小となる
ように区間データi″が確定されるので、図9のg1の
区間が決定される。この決定に伴い設定されたFFTの
窓位置1と干渉ノイズパワーを考慮しない窓位置2とを
比較すると、区間g1とg2では、シンボルパワーが同
じであるが、窓位置2の方がa波の後続シンボルの影響
を受ける領域(図9の斜線の部分)が大となり、窓位置
2の方がC/Nの悪化が大きくエラー率が悪化する。よ
って、本手法の方がエラー率の悪化を効果的に抑制でき
ると言える。従って、本手法を受信フレームに対して順
次適用することで、受信状況の変化に的確に適応できる
ことになるのである。
【0049】尚、実際には、図10で示すように、同一
のシンボルパワーをとる区間が複数生じる場合が多い。
図10にてh(i+c−1)とh(i+g−1)のみに
インパルス応答が生じているとすれば、シンボルパワー
が最大となる区間は、連続する区間gf〜区間gbであ
る。尚、ここで記号cは同じシンボルパワーを持つ区間
iの数の総数である。この各々の区間について、順次干
渉ノイズパワーを求めることで良好な区間i″を求めて
もよいが、計算量が膨大となる。ここで干渉ノイズに着
目すると、例えば、図10のh(i−m)の所に干渉ノ
イズがあると考えると、干渉ノイズの影響が最も少ない
区間はgfとなる。他方、図10のh(i+c+g−2
+k)の所に干渉ノイズがあると考えると、干渉ノイズ
の影響が最も少ない区間は、gbとなる。
【0050】従って、干渉ノイズがある場合は、区間g
fまたは、区間gbしか良好な区間i″にならないこと
が分かる。よって、区間gmaxの左右の区間g´並び
にg″の干渉ノイズを各々求めその差(g´−g″)を
求めることで、図10の左右どちらの区間の干渉ノイズ
が大きいかを調べ、区間g´の方が大きい場合は、区間
gfを選択し、区間g″の方が大きい場合は、区間gb
を選択するように制御することで計算量を削減可能であ
る。この処理をステッブS102に追加することで、同
一シンボルパワーで連続する区間gmax部分の干渉ノ
イズ計算処理を簡素化できる。この処理を、例えば、ス
テップS101にて実施することで、ステップS102
移行の計算量が削減できる。
【0051】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、受信状況
に応じた最適のFFTウインド位置の確定が可能とな
り、エラー率の悪化を抑制することができる。また、送
受信間のサンプリング周波数を正確に合せることが可能
となるので、内部同期による復調の信頼性をより一層上
げることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受信機側にて既知の情報を担う参照シン
    ボルと、伝送すべき複数のデータシンボルと、フレーム
    の開始を示すヌルシンボルからなるシンボル群で1つの
    フレームを構成し、かつ、所望の周波数帯域内の複数キ
    ャリア各々を位相変調することで、前記参照シンボル並
    びにデータシンボルを構成するようにしたデジタル放送
    を受信可能なディジタル放送用受信機であって、 前記ディジタル放送用受信機は、 基準周波数を発生するためのクロック発生部と、 前記クロック発生部の基準周波数に基づき前記伝送され
    る信号を順次サンプリングするA/D変換器と、 前記参照シンボル並びにデータシンボルを復調するため
    のサンプリングデータ群を前記A/D変換器のサンプリ
    ングデータ群の中から順次確定する制御部と、 前記確定されたサンプリングデータ群について高速フー
    リエ変換を施すことで、前記複数のキャリア各々の位相
    情報を得る手段と、 前記参照シンボルについてのインパルス応答を求める手
    段と、を有し、 前記制御部は前記求めたインパルス応答に基づき、前記
    参照シンボル並びにデータシンボルを復調するためのサ
    ンプルデータ群を順次確定することを特徴とするディジ
    タル放送用受信機。
  2. 【請求項2】 前記制御部は、現在受信中のフレームに
    ついての参照シンボルのインパルス応答と、現在受信中
    のフレームからm(mは1以上)フレーム後の参照シン
    ボルのインパルス応答と、を求めるように、前記インパ
    ルス応答を求める手段を制御し、 得られたインパルス応答を比較し、その変化量に基づき
    前記クロック発生部の基準周波数を確定することを特徴
    とする請求項1記載のディジタル放送用受信機。
  3. 【請求項3】 受信機側にて既知の情報を担う参照シン
    ボルと、伝送すべき複数のデータシンボルと、フレーム
    の開始を示すヌルシンボルからなるシンボル群で1つの
    フレームを構成し、かつ、所望の周波数帯域内の複数キ
    ャリア各々を位相変調することで前記参照シンボル並び
    にデータシンボルを構成するようにしたデジタル放送を
    受信可能なディジタル放送用受信機であって、 前記ディジタル放送用受信機は、 基準周波数を発生するためのクロック発生部と、 前記クロック発生部の基準周波数に基づき前記伝送され
    る信号を順次サンプリングするA/D変換器と、 前記参照シンボル並びにデータシンボルを復調するため
    のサンプリングデータ群を前記A/D変換器のサンプリ
    ングデータ群の中から順次確定する制御部と、 前記確定されたサンプリングデータ群について高速フー
    リエ変換を施すことで、前記複数のキャリア各々の位相
    情報を得る手段と、 前記参照シンボルについてのインパルス応答を求める手
    段と、を有し、 前記制御部は、現在受信中のフレームについての参照シ
    ンボルのインパルス応答と、現在受信中のフレームから
    m(mは1以上)フレーム後の参照シンボルのインパル
    ス応答と、を求めるように、前記インパルス応答を求め
    る手段を制御し得られたインパルス応答を比較し、その
    変化量に基づき前記クロック発生部の基準周波数を確定
    することを特徴とするディジタル放送用受信機。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001119369A (ja) * 1999-10-08 2001-04-27 Mitsubishi Electric Inf Technol Center Europ Bv データ送信方法および受信機
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