JPH1070324A - 多層磁性薄膜層を有する磁気抵抗効果センサ - Google Patents

多層磁性薄膜層を有する磁気抵抗効果センサ

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JPH1070324A
JPH1070324A JP8227958A JP22795896A JPH1070324A JP H1070324 A JPH1070324 A JP H1070324A JP 8227958 A JP8227958 A JP 8227958A JP 22795896 A JP22795896 A JP 22795896A JP H1070324 A JPH1070324 A JP H1070324A
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JP
Japan
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thin film
magnetic
film layer
magnetic thin
valve sensor
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Application number
JP8227958A
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English (en)
Inventor
Koichi Nishioka
浩一 西岡
Takayuki Izeki
隆之 井関
Hideo Fujiwara
英夫 藤原
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Hitachi Ltd
Victor Company of Japan Ltd
University of Alabama UA
Original Assignee
Hitachi Ltd
Victor Company of Japan Ltd
University of Alabama UA
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】低飽和保磁力、低異方性磁場および低磁歪定数
の軟磁性を与えた磁性体薄膜層を有する磁気抵抗効果セ
ンサを提供する。 【解決手段】ひとつの磁性体極薄膜から他の磁性体極薄
膜について同一の結晶面配向性をもつ強磁性体材料で構
成された複数の磁性体薄膜層からなる少なくともひとつ
の磁性体薄膜層、および単相のエピタキシャル成長に不
連続性をもつ隣接しあった磁性体薄膜の間の中間層を有
する。各々の磁性体極薄膜は、鉄、ニッケルおよびコバ
ルトの各々を含む合金から構成され、90:10のコバ
ルトと鉄の重量比をもっている。結晶は、面心立方格子
で高度に方向性の揃った(111)結晶面配向面をもっ
た結晶構造を有している。中間層はニッケルあるいは銅
から構成された層となっている。全ての層は、焼鈍処理
の前の平衡状態と同一の材料組織の異方性エネルギーよ
りも小さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体薄膜層の磁
化の相対的な方向が、大きな磁気抵抗効果による外部印
加変動磁場に応答して変化する少なくとも2つの磁性体
薄膜層を用いた磁気抵抗効果センサに関る。本発明は、
特に、情報記憶および利用システムの磁気格納媒体上に
磁区として格納される情報を得るために用いられる。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗(MR)センサは、異方性磁気抵
抗(AMR)効果を活用したものとして従来から知られて
いる。異方性磁気抵抗(AMR)効果では、センサ内部の
抵抗成分が、センサの磁化方向とセンサ内を電流が流れ
る方向とがなす角度の余弦値の二乗に比例して変化す
る。特に最近は、大きな磁歪効果(GMR)を活用したMR
センサが出現してきており、これらは複数の層の磁性材
料を用い、そのセンサ内部の抵抗成分は、隣接し合う2
つの磁性体層の各々の磁化方向同士がなす角度の余弦値
に比例して変化する。
【0003】ある典型的なGMRセンサは、下記のような
様々な形態で、固定あるいはピン止めされた一つの磁化
された磁性層を有する。
【0004】(1)反強磁性体材料を一つの磁性層の他
方の磁性層から見た反対側に用いたもの。
【0005】ここでは、一方の磁性層の反強磁性体材料
と強磁性体材料との間の交換結合は、一方の磁性層の磁
化を、読み出すべき情報を運び出す外部からの磁化とは
一般的に独立して、固定するものとなる。
【0006】(2)硬磁性と軟磁性の材料からなる層を
用いるもの。
【0007】(3)隣接した永久磁性層または、外部か
ら与えられた電流によって磁化される隣接した磁性層を
用いるもの。
【0008】この種のGMRセンサは、スピンバルブとし
て知られている。米国特許5,159,513号(1992年10月27
日登録)で開示されているスピンバルブでは、ひとつの
磁性層の磁化は、隣接した反強磁性体材料を用いて固定
するか、あるいは、強磁性体層、十分な方形状を持ち、
高い飽和保磁力および高抵抗を示し、他の強磁性体層に
比べ磁化されにくい特性をもつ。
【0009】更に、二重スピンバルブは、三層の強磁性
体からなり、その外側の2つの強磁性体層の磁化は、例
えば、隣接した反強磁性体材料を用いることによって、
同じ方向に固定されており、一方、その中間に位置する
強磁性体層の磁化の方向は、外部から与えられる情報書
込み用の磁場の影響を受けるものとなっている。
【0010】本発明は、全ての種類のGMRセンサに広く
適用できるものであるが、スピンバルブあるいは二重ス
ピンバルブのGMRセンサに採用することが最も好適で有
利なものとなる。スピンバルブについては、米国特許第
5,373,238号(1994年12月13日)に詳しく開示されてい
る。
【0011】更に、米国特許第5,301,079号(1994年4月
5日)では、次のようなGMR効果センサが開示されてい
る。すなわち、2つの強磁性体層の各々が自由な磁化方
向をもつ、即ち、固定されず、また、外部から与えられ
る情報書き込み用の磁場に応じて各磁性体層内部の磁化
が磁化容易方向に対して同一または180°反対の向きに
なるようにセンサは構成されているもので、これによ
り、磁化方向が磁化容易方向に対して実質的に平行であ
るが反対方向になる範囲まで回転できるようになってい
る。本発明は、広く、このような磁性体層が1つ以上か
らなる構成に対して適用可能である。
【0012】一般に、強磁性体層中での磁化の方向は、
すべての層について「平行」で同じ向きになっているも
の、あるいは、隣接した強磁性体層ごと「対向(アンチ
パラレル)」でに交互に平行あるいはある相対的な一定
の角度をとりながら、異なる方向になっているものの2
種類がある。平行磁化の一例は、上記の米国特許第5,30
1,079号に詳述されている。また、対向磁化の一例は、
米国特許第5,313,186号に詳述されている。この磁化方
式は、磁化の方向が、強磁性体層間の非磁性体層の厚さ
に依存しているという原理を用いている。更に、隣接し
た2つの強磁性体層内の各々の磁化の方向は、互いにあ
る角度をもった一例が、米国特許第5,287,238号に詳述
されている。GMR効果のための「平行」および「対向」
磁化については、ホワイト、ロバート エル著「巨大磁
気抵抗:初歩」、アイ・イー・イー・イー 磁気学論文
集、第28巻、5号、1992年9月、頁2482−2
487に詳細に説明されている。
【0013】AMRまたはGMR効果センサで用いられるよう
な薄膜の磁性体層あるいは強磁性体層は、ここでは、均
質な単一の薄膜層、あるいは、多層薄膜層として定義さ
れ、多層薄膜層内の各層は、全て同一の材料または異な
る材料で構成されるものであってよい。しかし、単一層
または多層のいずれにおいても、薄膜の磁性体層あるい
は強磁性体層は、読み出し電流(AMR)に関して相対的
な角度で動く、あるいは他薄膜の磁性体層あるいは強磁
性体層の磁化の方向に関して相対的に動く単一の磁化方
向を与える、センサ中の一要素として機能するものであ
る。この構成により、この動きの角度の余弦値の2乗
(AMR)または、余弦値の1乗(GMR)は、外部から与え
られ、その強度が変化する磁場の強度を表わすものとな
る。
【0014】センサとして機能させるために、これらの
2つの磁性体層の間には十分間隔をおき、より好ましく
は、その間に非磁性体金属層を挟むようにする。「GMR
効果を得るためには、薄膜層の厚みは、非磁性体薄膜層
で仕切られた強磁性体薄膜層の配列中の電子の平均自由
行程よりも小さく、好ましくは、平均自由行程のある割
合になるほど小さくなることが必要である」旨が、前掲
の論文「巨大磁気抵抗:初歩」に書かれている。
【0015】多層薄膜強磁性体層については、文献「超
薄膜磁性体構造II;計測技術および磁性特性」スプリン
ガーベルラーグ出版、174ページから194ページに
詳述されている。特に、本文献では、反強磁性体層(Fe
Mn)と、NiFe膜とCo膜の多層からなる第1の磁性体層
と、銅からなる非磁性体分離薄膜層と、Cu薄膜とNiFe薄
膜の多層膜とからなる第2の磁性体薄膜層とを有するス
ピンバルブについて説明されている。ここでは、多層膜
内での、Cu薄膜とNiFe薄膜の相対位置が反転されたもの
が開示されている。本発明は、多層膜となる1つ以上の
磁性体薄膜層に関するものである。
【0016】上記で引用した文献では、基板、結合層、
接合層、磁性体薄膜層、非磁性体分離薄膜層、反強磁性
体層、酸化保護および不活性化層、磁気シールドならび
に導電層の各々に用いられる様々な異なる材料について
詳細に記述されている。更に、これらの文献では、材料
に様々な厚みを与えたり、材料の他の特性について言及
している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】AMRおよびGMRタイプの
センサでは、読取り電流は、センサ内の各層を流れ、層
間(直接的)の電圧および、各層の並列および直接接続
にともない発生する抵抗を介しての(間接的)電圧は、
情報を示す信号として検出されるものとなる。補助的
に、情報を含まない磁場は、バルクハウゼンノイズを減
少させたり除去するために、各層の長さ方向に通過する
ものであってよい。上記のAMR効果を用いたセンサとGMR
効果を用いたセンサを区別する特徴は、一例として、角
度の余弦値の使い方とはなっているが、この使い方には
もちろん角度の正弦値を用いる場合も考えられるよう
に、余弦値を使うことに限定されるものではない。
【0018】一般的には、外部から与えられる磁場に対
応して自由にその方向が変えられるような磁化特性をも
つ磁性体層にとっては、材料が軟磁性を備えていること
が望ましい。ここで用いられているように、軟磁性と
は、低い飽和保磁力、低い非等方性磁場および低い磁歪
を意味している。低い飽和保磁力とは、例えば、30 Oe
以下を指している。Coのような材料は、一般的に、高い
飽和保磁力をもっており、通常強磁性体層の材料として
用いられるNiFeよりも、更に30 Oe程度大きい値をもっ
ている。これらの飽和保磁力の低い材料および高い材料
の特性については、上記で引用した各文献において詳細
に定義され、その具体例について詳細に説明されてお
り、本発明においてもこの特性の違いが考慮されてい
る。
【0019】磁気抵抗の変化率(MR比)が大きい材料特
性をもつ材料は、広い動作範囲を実現することを考慮す
ると、磁気抵抗(MR)ヘッドに適用するのに適してい
る。センサのMR比が、AMR効果を利用したセンサの何倍
にもなることが、GMR効果を利用したセンサの最大の特
徴である。
【0020】本発明の目的は、巨大磁気抵抗型センサを
改良することである。
【0021】本発明の主たる目的は、低い飽和保磁力、
低い非等方性磁場および低い磁歪等のような、軟磁性を
磁性体薄膜層に与えること、特に、従来硬磁性を有して
いるとされているコバルト合金からなる第1の磁性体薄
膜層に与えることである。
【0022】本発明の他の目的は、スピンバルブセンサ
でのMR比を向上させることである。
【0023】更に、本発明の他の目的は、第2の磁性体
薄膜層の多層化あるいは第2の磁性体薄膜層の前に位置
する第1の磁性体薄膜層の多層化や、これらの組み合わ
せなどの手段によって、結晶面の向きや結晶の粒度の改
善など、磁性体薄膜層の材料組織を改善することによ
り、スピンバルブの磁性体薄膜層に強力なピン止め効果
を与えることである。
【0024】
【課題を解決するための手段】磁性体薄膜層に低い飽和
保磁力を持たせるためには、磁性体薄膜層を多層構造に
することが有効であり、この場合、多層構造内の各層の
厚みは30オングストローム以下に押さえることが望ま
しい。例えば、コバルト合金の薄膜層では、比較的大き
な結晶磁気異方性エネルギーのため、多結晶性の薄膜で
さえ低い飽和保磁力を得ることは困難である。本発明の
ように、薄膜を多層構造で構成し、各層の厚みを所定の
値以下になるように形成すると、層内部の材料の粒度は
より小さくなり、また、材料の粒界での交換結合により
結晶磁気異方性は平均化され、結果として低い飽和保磁
力を得ることができる。この現象は、多層構造内の各薄
膜の厚みが10から30オングストロームの間に保たれ
ている場合に特に顕著である。
【0025】磁性体薄膜層内に強度のピン止め磁場を実
現する上では、高度に方向が揃った結晶構造が重要とな
り、特に、磁性体薄膜層内の他の薄膜層、非磁性体薄膜
層および反強磁性体薄膜層内の(111)面が重要とな
る。従って、これら4つの薄膜層は全て同一の結晶構
造、例えば、fcc(面心立方格子)を持つ必要があり、
また、各層間で同じ結晶方向、例えば、実質的に平行で
あるか、または高度に方向がそろった、好ましくは(1
11)のような結晶面をもつことが必要である。
【0026】第1の磁性体薄膜層、非磁性体薄膜層、第
2の磁性体薄膜層および反強磁性体薄膜層の各層で、所
定の結晶面で高度に方向がそろった材料構造を実現する
ためには、第1の磁性体薄膜層を形成する前に、タング
ステン、ジルコニウム、ニオブ、チタンまたはハフニウ
ム等の下部層を形成しておくことが効果的であり、ま
た、第1の磁性体薄膜層と第2の磁性体薄膜層の両者あ
るいはいずれかの合金材料にニッケルを用いることも効
果的である。
【0027】磁気弾性効果のため磁区構造が複雑とな
り、バルクハウゼンノイズとなって現れることを避ける
ためには、第1の磁性体薄膜層の磁歪定数が小さいこと
が望ましい。この値は、3×10-6より小さいことが必
要であり、より好ましくは、1×10-6より小さいこと
が望ましい。
【0028】第1の磁性体薄膜層と第2の磁性体薄膜層
の両者あるいはいずれかの合金材料にコバルトを用いる
ことは、NiFe合金単独で得られるMR比より大きな値を与
えることができる。コバルトあるいはコバルト合金は磁
性体層に適している。コバルト合金は、通常、平衡状態
で20Oe程度の強度な異方性磁場を持つものと考えられ
ており、その強い磁場は、主に、原子対の順序によるも
のである。この磁場の強さの影響を抑えるために、本発
明では、磁場中でセンサを焼鈍して冷却する熱処理を施
している。
【0029】第1の磁性体薄膜層と第2の磁性体薄膜層
の両者あるいはいずれかの内部に高度に秩序のとれた材
料組織を実現する上では、コバルトあるいはコバルト合
金を単相の構造で用いるよりも、コバルト合金の極薄膜
を複数積み重ね、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金
のいずれかの材料を用いた中間薄膜層で極薄膜間を仕切
った多層構造を採用することが好ましい。これは、この
ような中間薄膜層によって生じる層間の不連続性によっ
て、材料組織内の結晶の並び方を改善できるためであ
る。このように高度に秩序のとれた材料組織は、交換結
合にとって重要となる。さらに、ある層内の組織の並び
方向は、以前にエピタキシャル成長によって形成された
層の組織の並び方向に依存するため、第1の薄膜層の配
向組織を改善するために多層構造を用いることにより、
エピタキシャル成長によって形成された第2の磁性体薄
膜層が多層構造でないにもかかわらず、第2の磁性体薄
膜層の配向性を実質的に向上させることができる。
【0030】本発明は、コバルトあるいはニッケルを含
むCoFe合金の多層構造に適用できるものであるが、CoFe
合金のみ、あるいはニッケルを含む合金の一成分として
CoFeを用いた場合に、コバルトと鉄の比を90:10に
して、磁気歪みをゼロにすることが、最も適している。
【0031】軟磁性は、第1および第2の磁性体薄膜層
を多層構造にし、焼鈍処理により異方性エネルギーを減
少させることにより達成できる。本発明は、様々な磁性
材料の選択の幅を広げるものであり、従来は適用できる
とは考えられなかったような磁性材料の採用を可能とす
るものである。特に、従来は硬磁性材料として考えられ
ていたコバルトについて、本発明によれば、軟磁性特性
をもつ薄膜層を構成する材料として用いることができ
る。従って、特に、スピンバルブとして、高いMR比と高
い感度が実現できる。交換結合に関して、同じ結晶構造
と同じ最適な配向特性をもつ多層構造により、ある特定
の種類の薄膜層にとって材料組織を改善することができ
る。従って、強力な交換結合が可能となる。
【0032】データ格納システムで用いられる大型の磁
気抵抗型のスピンバルブ読み込みヘッドは、一方の磁性
体薄膜と他方の磁性体膜でそれらの結晶の配向が同じ強
磁性材料で形成された複数の磁性体薄膜からなる多層構
造の薄膜層を少なくとも一つ有し、更に、その多層に含
まれる隣接しあう磁性体薄膜の間の界面を有し、その界
面は単結晶のエピタキシャル成長に関して不連続性を持
っている。多層に含まれる各々の磁性体薄膜は、鉄、ニ
ッケル、コバルトの各々を含む合金から構成されてい
る。結晶組織は、面中心立方の結晶構造となっており、
(111)結晶面は高度に配向している。各薄膜間の界
面は、ニッケルあるいは銅の薄膜層である。全ての薄膜
層は、焼鈍処理の前に比べて小さい異方性エネルギーを
第1の磁性体薄膜層に持たせるのに十分な強度の磁場の
中での焼鈍および冷却処理によって得られた、磁気の配
向性と焼鈍構造を持っている。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明は、外部磁場の変化を検出
するために広く適用できるものであるが、情報格納およ
び取り出しシステムのための読み出しヘッドとして特に
有用なものであり、そこでは情報は磁性媒体上の磁区の
配列として格納されるものとなっている。磁性媒体とし
ては、どのような種類のものであってもよく、例えば、
磁気テープ、磁気ドラム、一つまたは複数のハードディ
スク、あるいは一つまたは複数のフロッピーディスク等
がある。磁区は、通常、トラックに添って配置され、ト
ラックの構成としては、円環状、渦巻状、らせん状、も
しくは不定長のものがある。
【0034】代表的な情報各の有為および取り出し装置
の一例を、第1図に示す。汎用計算機1は、ネットワー
ク、キーボード、スキャナーもしくはこれら相当のもの
との間に1つもしくは複数のインターフェースをもつ入
力装置2を介して入力情報を受け取る。計算機は、一つ
もしくは複数の入力装置への接続に加え、一つもしくは
複数の出力装置に接続することが可能である。この出力
装置としては、計算機とインターフェースを介して接続
する、ネットワーク、プリンタ、表示装置、あるいはモ
デム等が考えられる。計算機1に関連する他のデータ格
納装置に加え、計算機は周辺装置である磁気格納装置4
へ情報を書き込んだり、磁気格納装置から情報を読み込
んだりする。磁気格納装置は、次の内部装置を含んでい
る。
【0035】(1)制御装置5:情報信号を書き込みヘ
ッド7に出力し、読み出しヘッド8から情報を入力し、
更に、ヘッドからのフィードバック信号を受け取るため
のデータの入出力部6を含む。
【0036】(2)ヘッド位置制御部9:ヘッド位置制
御信号を出力し、また、ヘッド位置検出信号を入力す
る。
【0037】(3)モーター制御部10:磁性媒体のヘ
ッドに対する相対的な運動に関する、速度、停止、開始
等の操作を制御し、本実施例の場合、一つあるいは複数
のディスク型の磁性媒体13をシャフト12によって回
転させるモータ11に、回転制御信号を出力する。各々
独立した書き込みヘッド7と読み出しヘッド8とを有す
るトランスデューサは、ディスク13とかすかに接触す
るか、わずかの間隙を保ってその上を浮上するように、
連結アーム14とボイスコイルモータ(VCM)15を
用いて、通常、ディスク13の半径方向に動く。
【0038】上記のように、第1図に示したデータ格納
装置は、あくまでも代表的なものである。第1図に示し
た装置の操作は自明であるため、ここではその詳細につ
いては説明しない。本発明による改善点は、図中の読み
出しヘッド8の構造に関するものである。
【0039】本発明の読み出しヘッドの一実施例を、第
2図に示す。磁性媒体13の一部分が、Z軸に沿って相
対的に動く読み出しヘッド8に対して、相対的な摂動方
向14を有することを示している。VCM15は相対的
に読み出しヘッドと磁区のトラックにアクセスするため
に、X軸に沿って動く一方、磁区のトラックは、通常、
読み出しヘッドに隣接したZ軸に沿って動く。磁性媒体
13は、Z磁区方向のトラックに沿って複数の磁区を有
し、その磁場hは、VCM15がZ軸に沿って相対的に
動くことによって、読み出しヘッドのY軸に沿って変化
する。また、、この磁場のラムダ変動が、格納される情
報を表し、読み出される。
【0040】書き込みヘッド7と読み出しヘッド8は複
数の層から構成され、これらのいくつかは第2図に示さ
れているが、結合層、パッシベーション層などの従来か
らあるいくつかの層は、図示されていない。製造の過程
では、まず、基板16を用意し、次に下部シールド17
をその上に堆積させた後、さらにその上に読み出しセン
サ18をエピタキシャル成長させ、最後に、読み出し電
流入力用リード線19と読み出し電流出力用リード線2
0とをその上に堆積させ、一体として読み出しヘッドを
形成する。更に、上部シールドあるいは下部コア21か
らなる書き込みヘッドを堆積させ、つぎに、コイル22
を堆積させ、その上に上部コア24を形成する。例えば
AL2O3からなる誘電層23を、センサ18と下部シール
ド17の間およびセンサ18と上部シールド21の間に
形成することが、より好ましい。
【0041】基板16は、シリコン、ガラス、セラミッ
クス、半導体、サファイア、水晶、酸化マグネシウム、
絶縁層をもつシリコン、ガリウム砒素、あるいはセラミ
ックスの材料で構成することができる。上部および下部
シールド21および17には、これらの目的に従った既
知の材料を用いることができる。リード線19および2
0には、アルミニウム、銅、金、銀を用いることができ
る。
【0042】本実施例にて採用した第2図に示した構造
は、一般的に、既知のものとなっており、本発明は、読
み出しセンサ18の構成とその形成方法に関するもので
ある。本発明に関わる部分は、第2図の一部分を拡大詳
細したものとして第3図に示した。センサ18は、磁気
抵抗型センサであり、特に、GMR効果センサである。
GMR効果センサでは、入力用リード線19を通して得
られる読み出しで電流がセンサ18中を流れ、出力用リ
ード線20を通して戻るものとなっている。センサの入
出力端子間に発生する電位差は直接あるいは間接的に計
測され、その変動は、磁性媒体上に格納された情報を表
すものである。この理由は、この電位は、センサの抵抗
値の変化にともなって変化するものであり、更に、この
抵抗値の変化は、外部から与えられる磁場hの変化によ
って生じるものである、以て、この磁場の強度は、磁性
媒体の磁区を含む情報に依って、磁区がセンサ18の前
を通過する際に変化するためである。
【0043】特に、センサ18は、第1の磁性体薄膜層
25、非磁性体薄膜層26、第2の磁性体薄膜層27、
反強磁性体薄膜層28およびバイアス磁場を与える相対
した電極(バイアス電極)29および30から構成され
る。既知の方法では、バイアス電極29および30は、
層25、26、27、28を通過し、長手方向の磁場s
を与えるものである。この構成によりバルクハウゼンノ
イズを減少する効果があるが、この特徴は副次的なもの
である。
【0044】第3図に示した本実施例のセンサは、単一
スピンバルブであり、本発明による改善点は、特に、第
1および第2の磁性体薄膜層25および27に関わるも
のであり、これらの層の構造は、他の層に影響を及ぼ
し、以て、情報の格納装置全体に影響を及ぼすものであ
る。上述のように、本発明による改善点は、二重スピン
バルブやその類似品のみならず他の汎用装置で用いる他
のセンサにも広く適用できるものである。
【0045】第4図から7図、および第9図から15図
は、本発明のもたらす重要な効果を示す実測データを表
している。これらの実測データを詳説する前に、まず、
第3図の一部分の拡大詳細図である第8図によって本実
施例の詳細について説明する。
【0046】下部層31は、エピタキシャル成長および
接合を促進するのに適した材料、例えば、タンタル、ジ
ルコニウム、ニオブ、チタンあるいはハフニウムからな
る。保護のために、下部層31と同一の材料からなる被
覆層32を設けることが望ましい。
【0047】本発明による改善点は、第1の磁性体薄膜
層25(および図示されていない第2の磁性体薄膜層2
7)を多層構造とすることである。この多層構造には、
界面で隔てられた複数の磁性体極薄膜(「極薄」とは、
薄膜層25、26、27よりも厚さが薄いことを指して
いる)層33が含まれ、特に、この界面は、中間極薄膜
層34により形成されている。すなわち、磁性体極薄膜
層33と中間極薄膜層34の両者が第1の磁性体薄膜層
34の多層を形成することになる。磁性体極薄膜層33
は、例えば、全てがX軸の右方向に向いている等、平行
な磁化方向をもち、これにより、第2の磁性体薄膜層2
7は、第1の磁性体薄膜層25に対してある特定の方
向、例えば、平行、対向平行、垂直方向、あるいは中間
的な角度をもつ方向となる磁化配向性をもっている。実
際には、外部から与えられる磁場の変化に応じて、全て
の極薄膜層中の磁化方向が、全て平行でありながらも、
いっしょに固定されるのか(27)、あるいは、いっし
ょに自由に動くのか(25)ということと、また、隣接
した磁性体薄膜層25、27の磁化方向が相対的に回転
して動き、センサへの流入電流に対するセンサ抵抗値
が、この回転角度の余弦値に比例して変化することが、
本発明には重要なものとなる。
【0048】先ずはじめに、第2の磁性体薄膜層27、
第1の磁性体薄膜層25の磁性体極薄膜層33の材料と
してCoFe(コバルトと鉄の重量%が、90:10のも
の)を選び、また、非磁性体薄膜層26と中間極薄膜層
34の材料として銅を選んだ。これは、これら2つの材
料が同じ結晶構造(面心立方構造)をもち、また、CoFe
がほとんどゼロの磁歪定数をもっていることに依る。こ
のように、2つの層が同一の結晶構造を有するというこ
とは、これらの層が同一配向に成長をする上で重要とな
る。なぜなら、同一の結晶構造とすることによって、X
−Y面に平行な(111)面の方向に磁化方向が高度に
揃うためである。約100オングストロームのタンタル
層を下部層31に用いた。ただし、ジルコニウム、チタ
ンあるいは他の適切な材料も、タンタルに代えて、下部
層31の材料として利用可能である。この下部層31
は、下部層の上でエピタキシャル成長した薄膜の材料組
織を改善し、結果として第2の磁性体薄膜層27と反強
磁性体薄膜層28との間の交換結合を改善するものであ
る。反強磁性体薄膜層28は、150オングストローム
厚のFeMn薄膜から構成されている。約24オングストロ
ーム厚の銅薄膜は、第1および第2の磁性体薄膜層2
5、27間の非磁性体薄膜層26に用いた。
【0049】CoFeの飽和保磁力の磁化容易軸に沿った厚
さ依存性を、以上で述べたセンサの構造に従って実験測
定した。実験結果を第4図に示す。本図は、CoFeの厚
み、100オングストローム、50オングストローム、
30オングストローム、25オングストローム、18オ
ングストローム、および10オングストロームの各々に
ついての、所定の測定値をグラフ上に描いたものであ
る。第4図によれば、CoFeの厚さが100オングストロ
ームから30オングストロームに減少するのに対応し、
飽和保磁力は57Oeから8Oeに急激に減少することがわ
かる。従って、30オングストローム以下の厚みについ
ては、飽和保磁力の減少のしかたに変化が現れ、飽和保
磁力の減少はさほど大きくなくなる。
【0050】第1の磁性体薄膜層25の厚さを変えなが
ら、2種類のスピンバルブ膜の特性について調べた。以
下に述べるように、下記の膜からなる多層構造をもつ特
定のスピンバルブについて調べた: 基板/100オングストローム厚のタンタル膜/100
から30オングストローム厚のCoFe膜/24オングスト
ローム厚の銅膜/30オングストローム厚のCoFe膜/1
50オングストローム厚のFeMn膜/50オングストロー
ム厚のタンタル膜 CoFe膜の厚さを、100オングストロームから30オン
グストロームに減少させるにつれ、第1の磁性体薄膜層
25の飽和保磁力は10Oe以下に減少した。しかし、第
2の磁性体薄膜層27と反強磁性体薄膜層28の間の交
換結合磁場(以下、「ピニング磁場」と称する)も、5
0Oeまで減少した。
【0051】第5図は、 FeMn膜の厚さが30オングス
トロームの場合の、上記の材料についての外部磁場に対
する磁気抵抗(MR)特性曲線、すなわちGMR比を表す。
スピンバルブとしての構造を用いた場合には、ピニング
磁場の強度は非常に小さい。ピンニング磁場の強度は、
第2の磁性体薄膜層27と反強磁性体薄膜層28の材料
組織に依存する。また、これらの好ましい材料組織とし
ては、単結晶のCoFe層からなる第1の磁性体薄膜層の厚
みが100オングストロームであることが判明した。こ
の材料組織には、面心立方構造の結晶構造と、膜表面に
平行な結晶面(111)の結晶配向性が含まれており、
以下、この材料組織を「fcc(111)組織」と称する。第4
図および第5図に示した上記の事件は、第1の磁性体薄
膜層25の全体を構成するCoFeからなる単相のエピタキ
シャル成長した均一層に関するものである。
【0052】次に、第1の磁性体薄膜層25の構成を、
銅からなる中間極薄膜層34で隔てられたCoFeからなる
極薄膜の多層構造とした場合の、上記のスピンバルブの
特性について実験測定した。第6図は、実験から得られ
たヒステリシス曲線を示す。曲線35は、100オング
ストローム厚のCoFeからなる単相の均一層として形成さ
れた第1の磁性体薄膜層25の第1のスピンバルブのヒ
ステリシス曲線を表す。曲線36は、磁性体極薄膜層3
3と中間極薄膜層34とを交互に重ね合わせた多層構造
として構成した全厚みが100オングストロームの第2
のスピンバルブのヒステリシス曲線を表す。ここで、薄
膜層は、100オングストローム厚のタンタルからなる
下部層31の上にエピタキシャル成長させ形成したもの
である。第1の磁性体薄膜層25を多層構造とすること
により、飽和保磁力は60Oeから8Oeにまで極端に減少
することが観測された。第1の磁性体薄膜層25を多層
構造とすることにより、材料の結晶組織も改善された。
【0053】第7図は、X線回折スペクトルを示すもの
で、曲線35’は、単相の均一CoFe層として形成した第
1の磁性体薄膜層25に対するものであり、一方、曲線
36’は、CoFeからなる磁性体極薄膜層33と銅からな
る中間極薄膜層34とを交互に重ね合わせた多層構造と
して形成した第1の磁性体薄膜層25に対するものであ
る。CoFe膜33と銅膜34をと交互に重ね合わせた多層
構造をもつ第1の磁性体薄膜層25(曲線36’)のfc
c(111)構造(を特定する)ピークが約2θ(45°)の
範囲に見られ、これは、単相の均一CoFe層として形成し
た第1の磁性体薄膜層25(曲線35’)のピークより
も大きいことが判明した。従って、第1の磁性体薄膜層
25を多層構造とすることにより、fcc(111)構造が改善
されることが分かる。この結果は、また、ロッキング曲
線(平面、この場合は膜のXY平面に対する結晶配向性
の分布を定量的に評価する特性曲線)を測定することに
よっても確認することができた。
【0054】上記の測定結果に基づき、磁性体極薄膜層
33と中間極薄膜層34とを含む多層構造をもつ第1の
磁性体薄膜層25を有するスピンバルブについて、第8
図および第3図について上述した特定の構造に従って、
調査しそのMR特性曲線を測定した。
【0055】実験的に形成したスピンバルブの反強磁性
体材料としてFeMnを用いたが、この反強磁性体材料とし
ては、FeMnに代えて、例えば、NiMnやNiFeMn等を用いる
ことも可能である。実験的に形成したスピンバルブの被
覆層としては、タンタルを用いた。
【0056】以下に示す(a)(b)(c)の3つの異
なったスピンバルブを作成し実験に用いた。これらのス
ピンバルブの材料構成は、基板材料の上に核材料を形成
する順で、下記に示す。これらのスピンバルブ(a)
(b)(c)の構造上の違いは、次の点にある。
【0057】・スピンバルブ(c)は第1および第2の
磁性体薄膜層の材料としてNiFeを用いている、 ・スピンバルブ(b)および(c)は、第1の磁性体薄
膜層として、単相の磁性材料をエピタキシャル成長させ
た均一層を用いている、更に、 ・スピンバルブ(a)は、5つの極薄膜層の隣接層間に
銅からなる極薄膜層(全部で4層)を挿入して、エピタ
キシャル成長させて形成した多重構造をもつ第1の磁性
体薄膜層25を有していることである。これらのスピン
バルブを構成する材料の厚さは、下記に示すとおりであ
る。
【0058】(a)基板/100オングストローム厚の
タンタル膜/18オングストローム厚のCoFe膜/(8オ
ングストローム厚の銅膜/18オングストローム厚のCo
Fe膜)の4層くりかえし/24オングストローム厚の銅
膜/30オングストローム厚のCoFe膜/150オングス
トローム厚のFeMn膜/50オングストローム厚のタンタ
ル膜。
【0059】(b)基板/100オングストローム厚の
タンタル膜/75オングストローム厚のCoFe膜/24オ
ングストローム厚の銅膜/75オングストローム厚のCo
Fe膜/150オングストローム厚のFeMn膜/50オング
ストローム厚のタンタル膜。
【0060】(c)基板/100オングストローム厚の
タンタル膜/100オングストローム厚のNiFe膜/24
オングストローム厚の銅膜/100オングストローム厚
のNiFe膜/150オングストローム厚のFeMn膜/50オ
ングストローム厚のタンタル膜。
【0061】第9図は、スピンバルブ(a)のMR比特性
曲線を示すものであり、同様に、第10図は、スピンバ
ルブ(b)のMR比特性曲線を示すもの、更に、第11図
は、スピンバルブ(c)のMR比特性曲線を示すものであ
る。これらの特性曲線から分かるように、スピンバルブ
(a)の第1の磁性体薄膜層25の飽和保磁力は、スピ
ンバルブ(b)に比べて、はるかに小さいものとなって
いる。また、第5図と併せて判断すると、スピンバルブ
(a)のピニング磁場の強度は、スピンバルブ(b)に
比べて、はるかに大きいものとなっている。従って、第
1の磁性体薄膜層25を多層構造とすることにより、飽
和保磁力を減少できることが第1の効果として得られ、
さらに、単結晶で成長形成した均一層に比べピニング磁
場の強度もより大きくできることが第2の効果として得
られた。また、スピンバルブ(a)のMR比は、スピンバ
ルブ(c)に比べて、はるかに大きいものとなってい
る。特に、第9図によれば、2HC2および2HC1が、他の第
10図のものに比べて小さく、HPが大きいことが分か
る。スピンバルブ(a)および(b)での磁気歪定数
は、実質的にゼロである。
【0062】スピンバルブ(a)および(b)での、コ
バルトと鉄の合金比は、90:10である。
【0063】上記のように、第1の磁性体薄膜層25を
多層構造とすることは、飽和保磁力を減少させる上で効
果的ではあったものの、平衡状態でのCoFeの異方性磁場
の強度は、20Oeと比較的大きい。本発明の特徴のひと
つとして、磁場の中でセンサを焼鈍処理し、焼鈍処理さ
れたセンサを冷却することにより、センサを構成する各
層が焼鈍・冷却処理により構造的に特徴を変え、異方性
磁場を抑えることが挙げられる。焼鈍処理を受けた後の
特徴的な構造を第12図および13図に示す。スピンバ
ルブ(a)を、(第9図から11図に結果を示した実験
の後で)所定の磁場の中で、80℃、100℃、140
℃、160℃、180℃、200℃および250℃の温
度で焼鈍・冷却処理した。
【0064】第12図は、スピンバルブ(a)の第1の
磁性体薄膜層25中での異方性磁場のベクトル変化を、
水平方向に伸びるベクトルを焼鈍処理前のものと定義し
て、示すものである。図中では、各々の焼鈍温度に対応
するベクトルは、その温度が上昇するにつれ、ベクトル
の伸びる角度が水平方向から垂直方向に変わり、250
℃では、垂直方向に向くベクトルとなっている。第12
図では、焼鈍温度の上昇に伴い、はじめは、異方性磁場
の強度が徐々に減少し、最小値に至ったものが、再び増
加に転じる。また、焼鈍温度の上昇に伴い、異方性磁場
の方向は、はじめはX軸に平行だったものが、Y軸に平
行になるように回転してゆく。異方性ベクトルの長さ
は、焼鈍温度と、その温度での保持時間によって決ま
る。スピンバルブ(a)のCoFeを材料とし多層構造をも
つ第1の磁性体薄膜層25の場合、異方性ベクトルの長
さは、焼鈍温度が140℃と160℃の間で、その温度
での保持時間が1時間の時に最小値をとる。
【0065】第13図は、スピンバルブ(a)のCoFeの
単結晶が連続した均一層からなる第2の磁性体薄膜層2
7中のピニング磁場のベクトル変化を示し、焼鈍処理を
160℃で行った場合に、ベクトルが水平方向から垂直
方向に回転する様子を表している。焼鈍処理中および焼
鈍後の冷却中に与える外部磁場の強度は、第1および第
2の磁性体薄膜層25および27を磁気的に飽和させる
のに必要な磁場の強度ものよりも大きなものとした。第
1の磁性体薄膜層25の磁化容易軸の方向とピニング磁
場の方向は、焼鈍処理前には、X軸と平行なものであ
る。焼鈍処理の間(焼き鈍し中と、その後の冷却中)で
は、外部から与えられる磁場の方向は、Y軸と平行なも
のである。スピンバルブを焼鈍温度に保持する時間は、
1時間である。焼鈍温度を上昇することにより、ピニン
グ磁場の方向は、X軸に平行な方向からY軸に平行な方
向に回転してゆく。ピニング磁場ベクトルの大きさは、
どのような焼鈍温度でも、変化しない。焼鈍温度が16
0°の場合、ピニング磁場ベクトルの方向は、Y軸に平
行となる。
【0066】異方性磁場ベクトルとピニング磁場ベクト
ルの、焼鈍温度および保持時間に対する依存性は、各層
に用いる材料によって変化する。第1および第2の磁性
体薄膜層25および27、あるいは反強磁性体薄膜層2
8に異なる材料を用いた場合には、その材料に関する異
方性磁場ベクトルとピニング磁場ベクトルの、焼鈍温度
および保持時間に対する依存性を考慮して、適切な焼鈍
温度とその温度での保持時間を設定する必要がある。
【0067】第1の磁性体薄膜層25を多層構造とする
ことによってスピンバルブ(a)の材料組織の改善を考
慮することによって、例えば、CoFeおよび銅を用いた第
2の磁性体薄膜層27(図示せず)を多層構造にするこ
とが、第2の磁性体薄膜層27中に強度の大きいピニン
グ磁場を発生させることに対して有効となるという効果
がある。この場合、中間極薄膜層の銅膜の厚さは、第2
の磁性体薄膜層27中のCoFe極薄膜の間の協力な結合を
促すための値よりも小さくする。この理由は、スピンバ
ルブ型のセンサについては、第2の磁性体薄膜層中の磁
化の全ては、ある特定の方向で強力にピン止めする必要
があるためである。すなわち、第1および第2の磁性体
薄膜層の両者について、これらを多層構造にした場合に
は、磁性体薄膜層25および27の間では、各々の磁化
方向が角度θだけ異なるように構成しながら、一方、磁
性体薄膜層27中および磁性体薄膜層25中では、内部
の極薄膜層が平行な磁化方向を有するように、磁性体極
薄膜層33間の分離が充分小さくなるようにす。このよ
うな分離性を実現するために、中間極薄膜層34の材料
としては銅を用い、その厚さは10オングストローム以
下とすることが望ましい。この中間極薄膜層34の厚さ
に関する指針は、層の厚さを10オングストローム以
上、10オングストローム、8オングストローム、およ
び4オングストロームに変えた材料を用いた実験結果か
ら導いたものである。
【0068】本発明の他の特徴として、第1および/ま
たは第2の磁性体薄膜層25、27の材料として用いる
ニッケルにCoFeを加えた合金とすることが有利であるこ
とが判明した点が挙げられる。特に、第1および/また
は第2の磁性体薄膜層25、27の合金材料中のニッケ
ル成分を増加させるに従って、ピニング磁場の強度がよ
り大きくなる。ニッケル成分の増加によって、次の2つ
の効果が得られる。第1の効果は、第2の磁性体薄膜層
27の飽和磁化力を減少できることである。第2の効果
は、全ての層の材料組織を改善できることである。第1
の効果に関して、交換結合エネルギーEex、ピニング磁
場強度Hpおよび飽和磁化度Msの関係は、次のようにな
る。
【0069】Eex = HpMs 交換結合エネルギーEexが一定値となる場合には、飽和
磁化度Msが減少すると、ピニング磁場強度Hpは増加す
る。ニッケルを用いることにより結晶組織構造を改善で
きるという第2の効果に関して、第14図に説明する。
第14図は、下記の各層から構成されるスピンバルブの
X線回折結果をグラフ表示したものである。
【0070】・厚さ100オングストロームのタンタル
からなる下部層31 ・次の各層からなる第1の磁性体薄膜層25 厚さ18オングストロームのCoNiFe層 厚さ8オングストロームの銅薄膜と厚さ18オングスト
ロームのCoNiFe層とを交互に4層づつ積み重ねた層 厚さ24オングストロームの銅からなる非磁性体層 ・次の各層からなる第2の磁性体薄膜層27 厚さ30オングストロームのCoNiFe層 厚さ150オングストロームのFeMnからなる反強磁性体
薄膜層 ・厚さ50オングストロームのタンタルからなる被覆層
32 上記のニッケル合金で、ニッケル成分の含有比を増加さ
せると、(111)結晶構造を特徴づけるスペクトルピーク
の強度はより大きくなる。これは、ニッケル成分の増加
により、第14図に示したように、材料結晶組織が改善
できることを意味する。
【0071】第14図において、特性曲線37は、ニッ
ケルの重量含有率0%の場合を表し、以下、特性曲線3
8は、ニッケルの重量含有率29%の場合を表し、特性
曲線39は、ニッケルの重量含有率34%の場合を表
し、特性曲線40は、ニッケルの重量含有率40%の場
合を表し、特性曲線41は、ニッケルの重量含有率49
%の場合を表し、特性曲線42は、ニッケルの重量含有
率53%の場合を表す。
【0072】第15図は、CoNiFe合金中での、第1およ
び/あるいは第2の磁性体薄膜層25、27の成分への
ニッケル含有率の影響を示したものである。第14図お
よび15図の両者について、コバルトと鉄の重量比は9
0:10である。特性曲線43は、実点で示された離散
的な測定点間を補間して描いたものであり、ピニング磁
場強度に対するニッケル含有率の影響を示したものであ
る。特性曲線44は、実点で示された離散的な測定点間
を補間して描いたものであり、第2の磁性体薄膜層27
の飽和磁化特性に対するニッケル含有率の影響を示した
ものである。本図より、(Co90Fe10)Ni合金中でのニッケ
ルの含有率が、0%から53%に増加すると、ピニング
磁場強度は150Oeから260Oeに増加することが分か
る。
【0073】以上のことから、本発明は改良型GMRセン
サに関わり、本発明による改善点は、第1および第2の
磁性体薄膜層の一方あるいは両方を多層構造として構成
することにある。この他にも、二重スピン弁の構造中に
見られるような磁性体薄膜層や、付加的な磁性体薄膜層
についても、本発明によれば、これらを多層構造で構成
することで利点が得られることがわかる。本発明によれ
ば、多層構造で構成された磁性体薄膜層に含まれる磁性
体極薄膜層は、以下に示すような特性をもっている。
【0074】・極薄膜内の磁化方向は、平行で、全ての
磁化要素が同じ方向に向いている。
【0075】・多層構造で構成された磁性体薄膜層全体
にわたって、結晶の配向性が高く、すなわち、単相組織
が一層中に均一にエピタキシャル成長して構成された薄
膜に比べ、薄膜の内部全てにわたって特定の結晶面の配
向性がはるかに高い。これは、各層間の界面での揺動
(材料組織の乱れ)をXY平面での粒度が充分小さくな
る程度、すなわち、多層に分かれた個々の薄膜層が、X
Y平面上で粒度が大きくなり極薄膜間の界面を通して一
方の極薄膜から他方の極薄膜にわたって連続的に成長す
ることがない程度まで充分に材料組織が分散することに
よって、磁性体材料の多層構造が、結晶がエピタキシャ
ル成長した形で構成されているためと考えられる。
【0076】・非磁性体材料である銅のような分離層に
関しては、薄膜層間の界面での材料組織の乱れの程度
が、磁性体材料33からなる多層構造中の各層間で対向
平行な磁化方向を生じさせるには不十分となっている。
【0077】より好ましくは、コバルトと鉄の含有率比
は、90:10である。また、同様に、コバルトと鉄の
合金に、ニッケルをある割合だけ加えることが好まし
い。
【0078】結晶の配向性に関して、材料の結晶組織
は、結晶の方向が高度に揃っているようになっており、
すなわち、多層構造にすることによりこのような結晶の
配向性の秩序を増加させるようになっている。結晶の配
向性としては、結晶面(111)が薄膜の主要な面に対
して実質的に平行になるようなものが好ましい。多層構
造の磁性体薄膜層に含まれる層の数が増えれば増えるほ
ど、結晶の配向性は、より高くなる。磁性体極薄膜層3
3、第1および第2の磁性体薄膜層25、27、および
非磁性体薄膜層26に用いられる磁性材料と同じ結晶構
造をもつように、中間極薄膜層34の材料を選ぶことに
よって、結晶の高度な配向性を確保される。薄膜層2
5、26、27、28のエピタキシャル成長の開始の間
に、結晶面(111)に高度に揃った良好な配向性をも
つように、下部層31(の材料)を選択する。
【0079】結晶の成長が進むにつれて、結晶の配向性
が悪くなってくる。これは、例えば、中間極薄膜層34
(磁性体材料あるいは非磁性体材料)の妨害によって生
じる、エピタキシャル成長の中断によって、次のエピタ
キシャル成長が良好な配向性をもって開始できるよう
に、材料組織中に(111)平面を再編成する。結果と
して、多層構造の磁性体薄膜のXY平面での平均粒度が
減少するためと考えられる。平均粒度の減少は、有利な
ものと考えられるが、その理由は、隣接した結晶粒の間
の交換結合が存在し、その結晶粒の交換結合の量は、粒
度の減少に比例して大きくなるためであり、これも本発
明による多層構造のもたらす利点である。第9図(本発
明による多層構造に関する実験結果)と第10図(磁性
体薄膜層の厚さについての単結晶の成長に関する実験結
果)を比較することにより、MR比が改善されていること
が分かる。
【0080】下部層にタンタルを用いることが、結晶面
(111)への配向性を向上させることになることが分
かるが、多層構造によってこの配向性がよりいっそう確
実なものになることが、本発明の有利な点である。
【0081】たとえ多層構造を採用しても、もし極薄膜
層33の磁化方向が対向平行であるならば、多層構造は
効果的でないと考えられる。
【0082】本発明をさらに変形改良することも考えら
れる。例えば、スピンバルブの第2の磁性体薄膜層の磁
化方向をピン止めするために、反強磁性体材料を用いる
代わりに、永久磁石を用いたり、第1の磁性体薄膜層の
軟磁性材料とは対照的に、硬磁性体材料を用いることが
可能である。
【0083】適切な磁場を用いた焼鈍・冷却処理は、本
発明による多層構造の磁性体薄膜層にとって特に有利で
ある。層の厚さ方向全体にわたって単結晶がエピタキシ
ャル成長した磁性体薄膜は、fcc(111)結晶構造での配向
性をあまり示さない。一方、本発明による多層構造をも
つ同一の磁性体薄膜層は、fcc(111)結晶構造で高度に結
晶の向きが揃って配向性がよい。
【0084】多層構造では、平行な磁化方向となるため
に多層構造に含まれる各々の薄膜層が充分均一であるこ
とや、また結晶の配向性が各層間で同じに保つために充
分薄いことが必要ではあるが、全ての中間極薄膜層34
が同一の厚さをもつことや、全ての磁性体極薄膜層33
が同一の厚さをもつことは本質的なことではない。
【0085】基板の材料は、AlTiCであってもよい。被
覆層の材料は、絶縁材としてのA12O3であってよい。磁
気遮蔽材料は、Ni80Fe20あるいはFeAlSiであってもよ
い。磁性体極薄膜層33は、NiFe、CoFeあるいはCoNiFe
で構成されてもよい。中間極薄膜層34および薄膜層2
6は、銅、ニッケルあるいはNiFeで構成されてもよい。
【0086】より強力に磁化方向を固定するためには、
Hpを増加させることが好ましい。第9図の特性曲線がよ
り大きな高さをもつことが、このましい特性を表す。第
9図に関しては、水平方向に特性曲線が分かれることが
好ましく、この結果、より小さなHc2およびHc1が得られ
る。
【0087】反強磁性体材料としては、FeMn、NiMnある
いはNiOを用いてもよい。
【0088】本発明の一実施例について、以上で様々な
種類と変形例を詳細に述べてきたが、以下の請求項の趣
旨と範囲に従えば、本発明の様々な側面をとらえ、その
利点を生かした形で他の実施例や変形が可能である。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、多層構造で構成された
磁性体薄膜層に含まれる磁性体極薄膜層は、従来技術よ
りも優れた、以下に示すような特性をもっている。
【0090】・極薄膜内の磁化方向は、平行で、全ての
磁化要素が同じ方向に向いている。
【0091】・多層構造で構成された磁性体薄膜層全体
にわたって、軟磁性が良く、結晶の配向性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による、情報格納および検索
システムの概略図である。
【図2】特に、第1図に示した情報格納および検索シス
テムの読み出し・書き込みヘッドの一部として用いられ
る、本発明の磁気抵抗センサの構造を示す部分斜視図で
ある。
【図3】本発明の読み出しセンサに係る部分を特に詳細
に示す第2図の部分拡大図である。
【図4】ガラス基板の上に形成した厚さ100オングス
トロームのタンタルからなる下部層上のCoFe薄膜の飽和
保持力の、薄膜の厚さに対する依存特性を示すグラフで
ある。
【図5】下から順に、基板、厚さ100オングストロー
ムのタンタルからなる下部層、30オングストロームの
CoFeからなる磁性体薄膜層、厚さ150オングストロー
ムのFeNiからなる反強磁性体薄膜層、厚さ50オングス
トロームのタンタル層で構成されたセンサに関する、外
部磁場に対する磁気抵抗の変化を示すグラフである。
【図6】厚さ100オングストロームの単層のFeCo薄膜
層のヒステリシスを最も外側に描き、更に、厚さ18オ
ングストロームのFeCo薄膜層(厚さ100オングストロ
ームのタンタルの下部層の上に形成したもの、図中スケ
ールAは、20Oeを表わす)と、厚さ8オングストロー
ムの銅の層、更に厚さ18オングストロームのCoFeの薄
膜層を多層に重ねた構成でのヒステリシスを併せて描い
た、実際のヒステリシス特性曲線を図示したものであ
る。
【図7】厚さ100オングストロームのCoFeの単結晶か
らなる薄膜層のX線回折結果と、厚さ18オングストロ
ームのFeCo薄膜層(厚さ100オングストロームのタン
タルの下部層の上に形成したもの、図中スケールAは、
20Oeを表わす)と、厚さ8オングストロームの銅の
層、更に厚さ18オングストロームのCoFeの薄膜層を多
層に重ね、各薄膜層の界面に対して(111)結晶面で
面中心立方の結晶構造をもち各θは上述した角度になっ
ている多層薄膜のX線回折結果を、各々グラフ表示した
ものである。
【図8】本発明の磁気抵抗センサの一部の拡大断面図で
ある。
【図9】下から順に、基板、厚さ100オングストロー
ムのタンタルからなる下部層、厚さ18オングストロー
ムのCoFe層、厚さ8オングストロームの銅薄膜と厚さ1
8オングストロームのCoFe層とを交代交代に4層、厚さ
24オングストロームの銅薄膜の非磁性体層、厚さ30
オングストロームのCoFeの磁性体層、厚さ150オング
ストロームのFeMnの反強磁性体層、および厚さ50オン
グストロームのタンタルの薄膜層(コバルトと鉄の比
は、90:10)を積み重ねて形成した多層の磁気抵抗
薄膜の磁場特性に対する磁気抵抗の変化を示すグラフで
ある。
【図10】基板、厚さ100オングストロームのタンタ
ル層、厚さ70オングストロームのCoFeからなる磁性体
層、厚さ24オングストロームの銅からなる非磁性体分
離層、厚さ75オングストロームのCoFeの磁性体層、厚
さ150オングストロームのFeMnの反強磁性体層、およ
び厚さ50オングストロームのタンタルの薄膜層を積み
重ねて形成した多層の磁気抵抗薄膜の、外部磁場に対す
る磁気抵抗の変化を示すグラフである。
【図11】基板、厚さ100オングストロームのタンタ
ル層、厚さ100オングストロームのNiFe層、厚さ24
オングストロームの銅層、厚さ100オングストローム
のNiFe層、厚さ150オングストロームのFeMn層、およ
び厚さ50オングストロームのタンタル層を積み重ねて
形成した多層の磁気抵抗薄膜の、外部磁場に対する磁気
抵抗の変化を示すグラフである。
【図12】スピンバルブの第1の磁性体薄膜層のための
CoFeと銅からなる多層構造をもつ薄膜層での異方性磁場
のベクトル変化を示す図であり、記された各温度での焼
鈍処理による磁場ベクトルの変化を、水平方向に伸びる
ベクトルを焼鈍処理前のものと定義して表わしている。
【図13】第12図に示した他の磁性体薄膜層とともに
構成したスピンバルブのFeMnからなる反強磁性体層に隣
接したCoFeからなる単一の磁性体薄膜層内でのピン止め
された磁場ベクトルの変化について、その変化を示され
た各温度で記録し、水平方向に伸びるベクトルを焼鈍処
理前のものと定義して表わしている。
【図14】次の各層から構成される磁気抵抗薄膜のX線
回折結果をグラフ表示したものである。厚さ100オン
グストロームのタンタル層、厚さ18オングストローム
のCoNiFe層、厚さ8オングストロームの銅薄膜と厚さ1
8オングストロームのCoNiFe層とを交代交代に積み重ね
た層(多層構造内の各層は5層づつ積み重ね、全部で1
0層からなる多層となっている)、厚さ24オングスト
ロームの銅層、厚さ30オングストロームのCoNiFe層、
厚さ150オングストロームのFeMn層、および厚さ50
オングストロームのタンタル層。図中、上から下に向け
て描かれた曲線は、各々異なるNi含有量をもつ磁性体層
に対応するもので、また、センサは、各薄膜層の界面に
対して(111)結晶面で面中心立方の結晶構造をもつ
スピンバルブであり、更に、各々の合金でのコバルトと
鉄の比は、90:10である。
【図15】ピン止めされた磁場の、ニッケル含有率への
依存関係と、上述の第11図に示したCoNiFeからなる磁
性体薄膜層で形成されたスピンバルブの飽和磁化特性を
表わすグラフであり、左下から右上に上昇している特性
カーブは、ピン止め磁場のニッケル含有率への依存関係
を表わし、一方、左上から右下に下降している特性カー
ブは、飽和磁化特性を表わすものである。
【符号の説明】
16 基板、 17 下部シ−ルド、 18 読み出し
センサ、19、20 リ−ド線、 21 上部シ−ル
ド、 22 コイル、23 誘電層、 24 上部コ
ア、 25 第1磁性体薄膜層、27 第2磁性体薄膜
層、 28 反強磁性体薄膜層、29、30 バイアス
電極、 31 下部層、 32 被覆層、33 磁性体
極薄膜層、 34 中間極薄膜層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西岡 浩一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 井関 隆之 神奈川県横浜市神奈川区守谷町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 藤原 英夫 アメリカ合衆国 35456 アラバマ州、 ダンカンヴィル、オールドドミニオンドラ イブ 11197

Claims (56)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に強磁性体材料からなる第1の磁性
    体薄膜層と、 実質的に強磁性体材料からなる第2の磁性体薄膜層と、 前記第1および第2の磁性体薄膜層の間に挟まれた非磁
    性体金属材料からなる非磁性体薄膜層と、 前記第2の磁性体薄膜層に隣接し、実質的に第1の固定
    した方向にそって前記第2の磁性体薄膜層の磁化方向を
    固定するために、前記第2の磁性体薄膜層と隣接し合う
    面で交換結合を行う反強磁性体材料で構成された薄膜層
    とからなる巨大磁気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセン
    サであって、 前記第1の磁性体薄膜は、検出対象となる外部から与え
    られた磁場に対して、前記第1の方向に対して相対的に
    自由に動く第2の方向にある磁化方向を有し、これによ
    って、検出電流に対する薄膜層の抵抗を、前記第1の方
    向と前記第2の方向とがなす角θの余弦値の1乗に比例
    して変化させ、 前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁性体薄膜層およ
    び反強磁性体材料からなる前記薄膜層並びに前記非磁性
    体薄膜層は、同一の結晶構造と結晶面配向性を有し、 前記第1の磁性体薄膜層は、一方の極薄膜層から他方の
    極薄膜まで同一の結晶面配向性を有する強磁性体材料か
    らなる複数の磁性体極薄膜層と、単結晶のエピタキシャ
    ル成長に不連続性を示す前記磁性体極薄膜のそれぞれ隣
    接する磁性体極薄膜の間にある中間層とを有することを
    特徴とする巨大磁気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセン
    サ。
  2. 【請求項2】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記磁性体極薄膜層の各々は、鉄、ニッケル
    およびコバルトの各々を含む合金から構成される磁気抵
    抗スピンバルブセンサ。
  3. 【請求項3】第2項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記合金は、コバルトと鉄を、90:10の
    重量比で含むことを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサ。
  4. 【請求項4】第3項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記合金は、重量比50%を上回る銅を含
    み、残りの合金成分に鉄とニッケルを含むことを特徴と
    する磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  5. 【請求項5】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記第1の磁性体薄膜層と前記第2の磁性体
    薄膜層はお互いに平行な方向に磁化配向性を有すること
    を特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  6. 【請求項6】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記結晶構造は面心立方構造であることを特
    徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  7. 【請求項7】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記結晶の配向性は、前記薄膜層の全てに対
    して実質的に平行となる結晶面(111)の方向となっ
    ていることを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  8. 【請求項8】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記第1の磁性体薄膜層内の各磁性体極薄膜
    は30オングストローム未満の厚さを有することを特徴
    とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  9. 【請求項9】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセンサ
    において、前記第1の磁性体薄膜層は、単結晶の結晶粒
    のエピタキシャル成長を阻止する中間層によって各々が
    隔てられた複数の前記磁性体薄膜層を有し、また、前記
    中間層は、前記磁性体薄膜層と同一の結晶構造と結晶面
    配向性を有することを特徴とする磁気抵抗スピンバルブ
    センサ。
  10. 【請求項10】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、更に、すべての前記薄膜層を介して長手方
    向に伸びる磁場であって、バルクハウゼンノイズを減少
    させるのに充分な量の磁場を与える手段を有することを
    特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  11. 【請求項11】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記第1の磁性体薄膜層は、3×10-6
    満の磁歪定数を有することを特徴とする磁気抵抗スピン
    バルブセンサ。
  12. 【請求項12】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記第1の磁性体薄膜層は、1×10-6
    満の磁歪定数を有することを特徴とする磁気抵抗スピン
    バルブセンサ。
  13. 【請求項13】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記中間層は、単体の銅あるいは銅合金を
    含むことを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  14. 【請求項14】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記中間層は、単体のニッケルあるいはニ
    ッケル合金を含むことを特徴とする磁気抵抗スピンバル
    ブセンサ。
  15. 【請求項15】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁性
    体薄膜層、反強磁性体材料からなる前記薄膜層および前
    記非磁性体薄膜層は、焼鈍処理の前と同一の材料組織の
    異方性エネルギーよりも小さい、平衡状態にある前記第
    1の磁性体薄膜層の異方性エネルギーを与えるのに充分
    な強度の磁場中での焼鈍および冷却処理の結果として得
    られる、磁化方向の配向性および焼鈍処理による材料構
    造を有することを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセン
    サ。
  16. 【請求項16】第9項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記中間層の各々は10オングストローム
    未満の厚さを有することを特徴とする磁気抵抗スピンバ
    ルブセンサ。
  17. 【請求項17】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サは、更に、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、チタニ
    ウムおよびハフニウムのいずれかの材料からなる下部層
    と、前記第1の磁性体薄膜層のとの間で前記下部層を挟
    む基板とそ含むことを特徴とする磁気抵抗スピンバルブ
    センサ。
  18. 【請求項18】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サは、更に、反強磁性体材料からなる前記磁性体薄膜層
    と前記第1の磁性体薄膜層と各々の表面上に設けられた
    第1および第2の遮蔽シールドを有し、前記表面は前記
    第2の磁性体薄膜層とは反対側の面となっていることを
    特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  19. 【請求項19】実質的に強磁性体材料からなる第1の磁
    性体薄膜層と、 実質的に強磁性体材料からなる第2の磁性体薄膜層と、 前記第1および第2の磁性体薄膜層の間に挟まれた非磁
    性体金属材料からなる非磁性体薄膜層とからなる巨大磁
    気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセンサであって、 前記第2の磁性体薄膜層は、実質的に第1の固定した方
    向にそった固定した磁化方向を有し、 前記第1の磁性体薄膜は、検出対象となる外部から与え
    られた磁場に対して、前記第1の方向に対して相対的に
    自由に動く第2の方向にある磁化方向を有し、これによ
    って、検出電流に対する薄膜層の抵抗を、前記第1の方
    向と前記第2の方向とがなす角θの余弦値の1乗に比例
    して変化させ、 前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁性体薄膜層およ
    び反強磁性体材料からなる前記薄膜層並びに前記非磁性
    体薄膜層は、同一の結晶構造と結晶面配向性を有し、 前記第1の磁性体薄膜層は、一方の極薄膜層から他方の
    極薄膜まで同一の結晶面配向性を有する強磁性体材料か
    らなる複数の磁性体極薄膜層と、単結晶のエピタキシャ
    ル成長に不連続性を示す前記磁性体極薄膜のそれぞれ隣
    接する磁性体極薄膜の間にある中間層とを有することを
    特徴とする巨大磁気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセン
    サ。
  20. 【請求項20】第19項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記合金は、コバルトと鉄を、90:1
    0の重量比で含むことを特徴とする磁気抵抗スピンバル
    ブセンサ。
  21. 【請求項21】第20項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記合金は、重量比50%を上回る銅を
    含み、残りの合金成分に鉄とニッケルを含むことを特徴
    とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  22. 【請求項22】第19項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記結晶構造は面心立方構造であること
    を特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  23. 【請求項23】第19項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記結晶の配向性は、前記薄膜層の全て
    に対して実質的に平行となる結晶面(111)の方向と
    なっていることを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセン
    サ。
  24. 【請求項24】第19項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第1の磁性体薄膜層内の各磁性体極
    薄膜層は30オングストローム未満の厚さを有すること
    を特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  25. 【請求項25】第19項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第1の磁性体薄膜層は、単結晶の結
    晶粒のエピタキシャル成長を阻止する中間層によって各
    々が隔てられた複数の前記磁性体薄膜層を有し、また、
    前記中間層は、前記磁性体薄膜層と同一の結晶構造と結
    晶面配向性を有することを特徴とする磁気抵抗スピンバ
    ルブセンサ。
  26. 【請求項26】第1項記載の磁気抵抗スピンバルブセン
    サにおいて、前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁性
    体薄膜層および前記非磁性体薄膜層は、焼鈍処理の前と
    同一の材料組織の異方性エネルギーよりも小さい、平衡
    状態にある前記第1の磁性体薄膜層の異方性エネルギー
    を与えるのに充分な強度の磁場中での焼鈍および冷却処
    理の結果として得られる、磁化方向の配向性および焼鈍
    処理による材料構造を有することを特徴とする磁気抵抗
    スピンバルブセンサ。
  27. 【請求項27】実質的に強磁性体材料からなる第1の磁
    性体薄膜層と、 実質的に強磁性体材料からなる第2の磁性体薄膜層と、 前記第1および第2の磁性体薄膜層の間に挟まれた非磁
    性体金属材料からなる非磁性体薄膜層とからなる巨大磁
    気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセンサであって、 前記第2の磁性体薄膜層は、実質的に第1の方向にそっ
    た磁化方向を有し、 前記第1の磁性体薄膜は、検出対象となる外部から与え
    られた磁場に対して、前記第1の方向に対して相対的に
    自由に動く第2の方向にある磁化方向を有し、これによ
    って、検出電流に対する薄膜層の抵抗を、前記第1の方
    向と前記第2の方向とがなす角θの余弦値の1乗に比例
    して変化させ、 前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁性体薄膜層およ
    び反強磁性体材料からなる前記薄膜層並びに前記非磁性
    体薄膜層は、同一の結晶構造と結晶面配向性を有し、 前記第1の磁性体薄膜層は、一方の極薄膜層から他方の
    極薄膜まで同一の結晶面配向性を有する強磁性体材料か
    らなる複数の磁性体極薄膜層と、単結晶のエピタキシャ
    ル成長に不連続性を示す前記磁性体極薄膜のそれぞれ隣
    接する磁性体極薄膜の間にある中間層とを有することを
    特徴とする巨大磁気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセン
    サ。
  28. 【請求項28】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記磁性体国薄膜の各々は、鉄、ニッケ
    ルおよびコバルトの各々を含む合金から構成される磁気
    抵抗スピンバルブセンサ。
  29. 【請求項29】第28項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記合金は、コバルトと鉄を、90:1
    0の重量比で含むことを特徴とする磁気抵抗スピンバル
    ブセンサ。
  30. 【請求項30】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記結晶構造は面心立方構造であること
    を特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  31. 【請求項31】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記結晶の配向性は、前記薄膜層の全て
    に対して実質的に平行となる結晶面(111)の方向と
    なっていることを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセン
    サ。
  32. 【請求項32】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第1の磁性体薄膜層内の前記磁性体
    極薄膜層は30オングストローム未満の厚さを有するこ
    とを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  33. 【請求項33】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第1の磁性体薄膜層は、単結晶の結
    晶粒のエピタキシャル成長を阻止する中間層によって各
    々が隔てられた複数の前記磁性体薄膜層を有し、また、
    前記中間層は、前記磁性体薄膜層と同一の結晶構造と結
    晶面配向性を有することを特徴とする磁気抵抗スピンバ
    ルブセンサ。
  34. 【請求項34】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁
    性体薄膜層、反強磁性体材料からなる前記薄膜層および
    前記非磁性体薄膜層は、焼鈍処理の前と同一の材料組織
    の異方性エネルギーよりも小さい、平衡状態にある前記
    第1の磁性体薄膜層の異方性エネルギーを与えるのに充
    分な強度の磁場中での焼鈍および冷却処理の結果として
    得られる、磁化方向の配向性および焼鈍処理による材料
    構造を有することを特徴とする磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサ。
  35. 【請求項35】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第2の磁性体薄膜層は外部から与え
    られた電流により発生した永久磁場を有することを特徴
    とする磁気抵抗スピンバルブセンサ。
  36. 【請求項36】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第2の磁性体薄膜層は永久磁石によ
    り与えられる永久磁場を有することを特徴とする磁気抵
    抗スピンバルブセンサ。
  37. 【請求項37】第27項記載の磁気抵抗スピンバルブセ
    ンサにおいて、前記第2の磁性体薄膜層は、軟磁性の前
    記第1の磁性体薄膜層と比較して、より硬磁性の強磁性
    体材料からなる第2の磁性体薄膜層により与えられる永
    久磁場を有することを特徴とする磁気抵抗スピンバルブ
    センサ。
  38. 【請求項38】磁気情報データ格納システムであって、 複数のトラックを含み、分離した磁区としてデータを記
    録するための、磁気格納媒体と、磁気トランスデューサ
    を有し、 該磁気トランスデューサは、該磁気トランスデューサと
    前記磁気格納媒体の間の相対的移動中、前記磁気格納媒
    体に対して近接した位置を保たれるように構成され、 前記トランスデューサは、 実質的に強磁性体材料からなる第1の磁性体薄膜層と、 実質的に強磁性体材料からなる第2の磁性体薄膜層と、 前記第1および第2の磁性体薄膜層の間に挟まれた非磁
    性体金属材料からなる非磁性体薄膜層とからなる巨大な
    磁気抵抗型の磁気抵抗スピンバルブセンサを含み、 前記第2の磁性体薄膜層は、実質的に第1の方向にそっ
    た磁化方向を有し、 前記第1の磁性体薄膜は、 検出対象となる外部から与えられた磁場に対して、前記
    第1の方向に対して相対的に自由に動く第2の方向にあ
    る磁化方向を有し、これによって、検出電流に対する薄
    膜層の抵抗を、前記第1の方向と前記第2の方向とがな
    す角θの余弦値の1乗に比例して変化させ、 前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁性体薄膜層およ
    び前記非磁性体薄膜層は、エピタキシーを有し、さらに
    ともに同一の結晶構造と結晶面配向性を有し、 前記第1の磁性体薄膜層は、一方の極薄膜層から他方の
    極薄膜まで同一の結晶面配向性を有する強磁性体材料か
    らなる複数の磁性体極薄膜層と、単結晶のエピタキシャ
    ル成長に不連続性を示す前記磁性体極薄膜のそれぞれ隣
    接する磁性体極薄膜の間にある中間層とを有することを
    特徴とる磁気情報デ−タ格納システム。
  39. 【請求項39】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記第1および第2の磁性体薄膜層の各
    々に関する磁化容易軸は、実質的に前記トラックのトラ
    ックの幅方向に対して垂直であることを特徴とする磁気
    情報データ格納システム。
  40. 【請求項40】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムは、更に、 前記磁気格納媒体と前記磁気抵抗型センサの間に連結さ
    れ、前記トラックに沿って前記磁気抵抗型センサを相対
    的に動かすためのモータと、 前記磁気格納媒体と前記磁気抵抗型センサの間に連結さ
    れ、前記磁気抵抗型センサと前記磁気抵抗型センサとを
    各々相対して、前記トラックに対して一般的に垂直の方
    向に、動かすための独立モータと、 前記2つのモータの回転数と動作を制御するための制御
    回路とを含むことを特徴とする磁気情報データ格納シス
    テム。
  41. 【請求項41】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記中間層は磁性体材料から構成される
    ことを特徴とする磁気情報データ格納システム。
  42. 【請求項42】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記中間層は非磁性体材料から構成され
    ることを特徴とする磁気情報データ格納システム。
  43. 【請求項43】第24項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、結晶の成長は、前記第1の磁性体薄膜層
    の平均の結晶粒度が、単結晶のエピタキシャル層のみか
    らなる点を除いては前記第1の磁性体薄膜層と同一の構
    成をもつ薄膜層の平均の結晶粒度よりも、実質的に小さ
    くなるように、前記第1の磁性体薄膜層の平面中で前記
    複数の極薄膜の間で不連続であることを特徴とする磁気
    情報データ格納システム。
  44. 【請求項44】第24項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記磁性体極薄膜層は、層間で適合した
    交換結合を有することを特徴とする磁気情報データ格納
    システム。
  45. 【請求項45】第24項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記磁性体極薄膜層の各々は、同一の材
    料組成を有することを特徴とする磁気情報データ格納シ
    ステム。
  46. 【請求項46】第24項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記合金は、重量含有率が50%を上回
    るコバルト成分を有することを特徴とする磁気情報デー
    タ格納システム。
  47. 【請求項47】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記磁性体極薄膜層の各々は、鉄、ニッ
    ケルおよびコバルトの各々を含む合金から構成されるこ
    とを特徴とする磁気情報データ格納システム。
  48. 【請求項48】第47項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記合金は、コバルトと鉄を、90:1
    0の重量比で含むことを特徴とする磁気情報データ格納
    システム。
  49. 【請求項49】第47項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記合金は、ニッケルを、30%と53
    %の間の重量比で含むことを特徴とする磁気情報データ
    格納システム。
  50. 【請求項50】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記結晶構造は面心立方構造であること
    を特徴とする磁気情報データ格納システム。
  51. 【請求項51】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記結晶の配向性は、前記薄膜層の全て
    に対して実質的に平行となる結晶面(111)の方向と
    なっていることを特徴とする磁気情報データ格納システ
    ム。
  52. 【請求項52】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記第1の磁性体薄膜層各磁性体極薄膜
    層は30オングストローム未満の厚さを有することを特
    徴とする磁気情報データ格納システム。
  53. 【請求項53】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記第1の磁性体薄膜層は、単結晶の結
    晶粒のエピタキシャル成長を阻止する中間層によって各
    々が隔てられた複数の前記磁性体薄膜層を有し、また、
    前記中間層は、前記磁性体薄膜層と同一の結晶構造と結
    晶面配向性を有することを特徴とする磁気情報データ格
    納システム。
  54. 【請求項54】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記第1の磁性体薄膜層、前記第2の磁
    性体薄膜層および前記非磁性体薄膜層は、焼鈍処理の前
    と同一の材料組織の異方性エネルギーよりも小さい、平
    衡状態にある前記第1の磁性体薄膜層の異方性エネルギ
    ーを与えるのに充分な強度の磁場中での焼鈍および冷却
    処理の結果として得られる、磁化方向の配向性および焼
    鈍処理による材料構造を有することを特徴とする磁気情
    報データ格納システム。
  55. 【請求項55】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記磁気抵抗型センサは、更に、前記第
    2の磁性体薄膜層に隣接し、実質的に固定した第1の方
    向にそって前記第2の磁性体薄膜層の磁化方向を固定す
    るために、前記第2の磁性体薄膜層との境界面で交換結
    合をおこなう反強磁性体材料からなる薄膜層を含むこと
    を特徴とする磁気情報データ格納システム。
  56. 【請求項56】第38項記載の磁気情報データ格納シス
    テムにおいて、前記磁気抵抗型センサは、更に、前記第
    1の方向を固定する手段を含むことを特徴とする磁気情
    報データ格納システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105453290A (zh) * 2013-08-19 2016-03-30 应用材料公司 用于金属导电性强化的磁场导引式晶体方向系统
CN110603618A (zh) * 2017-03-10 2019-12-20 西蒙·弗雷泽大学 磁耦合层、包括磁耦合层的结构及其制造和/或使用它们的方法

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