JPH106912A - エアバッグ用ガス発生器及びその組立方法 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生器及びその組立方法

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JPH106912A
JPH106912A JP8186728A JP18672896A JPH106912A JP H106912 A JPH106912 A JP H106912A JP 8186728 A JP8186728 A JP 8186728A JP 18672896 A JP18672896 A JP 18672896A JP H106912 A JPH106912 A JP H106912A
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JP
Japan
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cooling
filter member
gas generator
lid
gas
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JP8186728A
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Nobuaki Yokote
信昭 横手
Takashi Saso
高 佐宗
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Sensor Technology Co Ltd Japan
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Sensor Technology Co Ltd Japan
Nippon Kayaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 摩擦圧接時にガス発生剤の共回り現象が発生
しないようにし、リテーナリングを除去しても冷却・フ
ィルタ部材からのスラグの外部流出の防止を達成できる
構造とし、性能を損なうことなくより安価なガス発生器
及びその組立方法を提供する。 【解決手段】 複数個のガス流出孔10を有する側筒1
bと該側筒1bの端部を上蓋1a及び下蓋2aで閉鎖す
ることにより形成されたハウジング3の内側には、中央
から径方向外側に向けて点火器4、ガス発生剤6、冷却
・フィルタ部材8が順次配置されると共に、前記ガス流
出孔10を内側から覆う金属箔11が前記側筒1bの内
壁面に貼り付けられ、更に前記冷却・フィルタ部材8が
前記上蓋1aから下蓋2aにかけて介装され、前記冷却
・フィルタ部材8が軸方向に前記上蓋1a及び下蓋2a
間に圧縮された状態で介装される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の衝突事故
等による衝撃から自動車の運転者及び乗員の安全を確保
するためのエアバッグ安全装置に用いられるガス発生器
であって、特に性能を損なうことなく部品点数を削減し
てコストの低減を図ることができるエアバッグ用ガス発
生器(以下、単に「ガス発生器」という。)及びその組
立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のガス発生器の最新のものとして
は、本出願人による先の特許出願(特願平7−3339
02)がある。このガス発生器の構造は、図7に示すよ
うに、一方端(図では上方端)が閉鎖された2重管構造
のアルミ製上容器101と、軸中心部に開口部を有する
2重短管構造のアルミ製下容器104とを、各内側円筒
壁102、105の先端同士及び各外側円筒壁103、
106の先端同士の2か所を突合せ摩擦溶接することに
より、中央空間部とその周囲の環状空間部が形成された
ハウジング構造を有している。中央空間部には、下方か
らスクイブ118、伝火薬119が内装されることによ
り点火室Pが形成されている。又、環状空間部には、リ
テーナリング116が、その内周縁部116d、外周縁
部116eで夫々、上容器101の圧接バリ102b、
圧接バリ103bに当接する様に固定配置されている。
そして、上容器101とリテーナリング116とで挟ま
れた環状空間部内にガス発生剤107、冷却部材及び/
又はフィルタ部材(以下「冷却・フィルタ部材」とい
う。)110が径方向に順に収納されることにより、燃
焼室G、フィルタ室Fが形成されている。
【0003】このようなガス発生器では、そのハウジン
グが、いわば2重管の内管同士及び外管同士を突合せ摩
擦圧接した接合構造であるため、その接合強度の信頼性
は非常に高くなり、ガス発生器の安全性を高めることが
できる点、及び摩擦圧接による接合方式ゆえに高価な溶
接設備を必要とせず、製作コストの低減化を図ることが
できる点で大きなメリットを有している。
【0004】ところで、摩擦圧接を実施する際には、一
般に圧接時の高さ管理が難しいという事情があり、特に
ガス発生器のように内部に火薬の一種であるガス発生剤
が装填される場合は、特別の配慮が必要である。即ち、
高さ管理が不調なために例えば摩擦圧接時の下容器10
4の回転中に、この下容器104の下蓋121が冷却・
フィルタ部材110に万一接触すると、冷却・フィルタ
部材110も一緒に回転してしまう。いわゆる共回りと
いう現象の発生である。このような事態が発生すると冷
却・フィルタ部材110の内面によりガス発生剤107
が擦られるため、ガス発生剤の種類やガス発生器の使用
温度等の環境によっては最悪の場合、発火し爆発に至る
おそれがあり、非常に危険である。
【0005】そこで、上記の先行例に係るガス発生器に
おいても、このような事態の発生を回避すべく、まずハ
ウジング構造として、冷却・フィルタ部材110と下容
器104の下蓋121との間に隙間140を確保して圧
接時の高さ管理を容易にする一方で、この隙間140を
設けたがために燃焼室Gの気密性を確保して燃焼ガス中
のスラグが冷却・フィルタ部材110の端部から流出し
ないようにする必要性からリテーナリング116を必須
部材として配置し、これにより、ガス発生器としての性
能が損なわれることのない様にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、エアバッグ装
置が標準化されつつある状況下、ガス発生器に対するコ
スト低減の要請は一層急務とされており、本発明者等も
この点に鑑み、特に部品点数の削減がコスト低減に有効
であることを重視して、かかる観点から鋭意検討を続け
た結果、本発明を完成したものである。
【0007】即ち、本発明の目的とするところは、摩擦
圧接時に冷却・フィルタ部材の共回り現象が発生しない
様にし、この結果、共回り防止を1つの目的にしている
という理由から従来必須の部品とされていたリテーナリ
ングを不要とする一方、リテーナリングを除去してもリ
テーナリングが果たしていた他の目的(冷却・フィルタ
部材からのスラグの外部流出防止)を保持できる構造と
し、最終的に性能を損なう事なく、より安価なガス発生
器及びその組立方法を提供しようとする点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1記載の発明は、複数個のガス
流出孔を有する側筒と該側筒の端部を上蓋及び下蓋で閉
鎖することにより形成されたハウジングの内側には、中
央から径方向外側に向けて点火器、ガス発生剤、冷却・
フィルタ部材が順次配置されると共に、前記ガス流出孔
を内側から覆う金属箔が前記側筒の内壁面に貼り付けら
れ、さらに前記冷却・フィルタ部材が前記上蓋から下蓋
にかけて介装されてなるエアバッグ用ガス発生器であっ
て、前記冷却・フィルタ部材が軸方向に圧縮可能な部材
であり、かつ該部材が前記上蓋及び下蓋間に圧縮された
状態で介装されてなることを特徴とする。
【0009】このようなガス発生器は、先行例のガス発
生器(図7参照)と比べた場合、リテーナリング116
を不要とすると共に、下容器104の下蓋121と冷却
・フィルタ部材110との間に存在していた隙間140
を無くするようにした構造であるといえる。従って、部
品点数の削減によるガス発生器の低コスト化は勿論、空
間部140の解消による一層の小型化も進められる利点
がある。また、リテーナリングが無くても、冷却・フィ
ルタ部材が上蓋及び下蓋間に圧縮固定された状態で保持
されているため、燃焼ガス中のスラグが冷却・フィルタ
部材の緻密化された上下両端部を通過して外部に流出す
ることはなく、性能上問題となることはない。
【0010】又、請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明の構成のうち、冷却・フィルタ部材が金属線のク
リンプ加工品の成形体であることを特徴とする。ここで
いう「クリンプ加工」とは、細い線材を波状やコイル状
等に屈曲加工することを意味する。従って、クリンプ加
工により得られた屈曲線材を積層した後、圧縮して得ら
れた成形体は、軸方向に圧縮性が付与された状態にあ
る。これにより、「軸方向に圧縮可能な部材」としての
冷却・フィルタ部材を汎用線材から簡単に得る事ができ
るので、ガス発生器のコストの一層の低減化に役立つ。
【0011】又、請求項3記載の発明は、請求項1記載
の発明の構成のうち、冷却・フィルタ部材が金属線のメ
リヤス網品の成形体であることを特徴とする。これによ
り、入手容易な金属製のメリヤス網品を積層したものを
プレス成形だけして用いればよく、本発明も請求項4記
載の発明と同様、ガス発生器のコストの低減化に役立
つ。
【0012】又、請求項4記載の発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれか一項に記載の構成に加えて、冷却・
フィルタ部材の外周側に多数の孔を有する金属円筒を配
置すると共に、その金属円筒とハウジングの側筒の内壁
面との間に空間を形成させた事を特徴とする。この様な
多孔金属円筒の配置により、ガス発生器の組立時(冷却
・フィルタ部材の圧縮時)の冷却・フィルタ部材の径方
向の変化が抑制され且つ冷却・フィルタ部材を流れるガ
スの分散化が促進される。従って、冷却・フィルタ部材
の径方向への動き(変形)が生じないため、その上下両
端部の気密性は十分確保され且つガスの分散化により冷
却・フィルタ部材の利用効率は向上する。この結果、更
にガス発生器の小型化、軽量化が可能となる。
【0013】又、請求項5記載の発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかに記載の構成に加えて、冷却・フィ
ルタ部材とハウジングの側筒の内壁面との間に金網を配
置したことを特徴とする。本発明は、請求項4記載の発
明の応用例とでもいえるものであり、同様の作用効果が
得られる。
【0014】又、請求項6記載の発明は、請求項1乃至
請求項5のいずれか一項に記載の構成のうち、冷却・フ
ィルタ部材の上蓋に当接する端部の外周側に少なくとも
1つの切込み凹部が形成されると共に、該切込み凹部に
係合可能な凸部を上蓋にも形成したことを特徴とする。
本発明の組立方法は、後述する様に、共回り現象を生じ
させない事を特徴とするが、下容器を回転させるモータ
等の万一の不調な事態が生じ、下容器が冷却・フィルタ
部材に接触してもこの冷却・フィルタ部材を共回りさせ
ない様な安全対策を考慮しておく必要があり、本発明は
かかる要請にも対応しうる安全性の高いガス発生器であ
る。
【0015】更に、請求項7記載の発明は、ガス発生剤
及び冷却・フィルタ部材が配置された上容器の側筒の先
端部を、点火器が配置された下容器の下蓋に突き合わせ
た後、下容器を回転させながら圧下することにより上容
器と下容器とを摩擦圧接にて固着するエアバッグ用ガス
発生器の組立方法であって、圧下を開始後、下容器の下
蓋が冷却・フィルタ部材の端面に接する前に下容器の回
転を停止し、その状態のまま下容器の圧下を続行し、冷
却・フィルタ部材が下蓋により圧縮され始めた時に、そ
の圧下を停止することを特徴とする。この場合、摩擦圧
接作業は、上容器を下に置き、下容器を上方に置いて圧
下させることによって行われる。
【0016】これにより、圧下開始後の初期加熱で圧接
部は溶融し、回転停止までの圧下で上下容器の接合が進
み、下容器の回転が停止した時点では、下容器は未だ冷
却・フィルタ部材に接触していないので、冷却・フィル
タ部材の共回りが生じる事はない。従って、ガス発生剤
が摩擦により発火し爆発するおそれを回避する事ができ
る。又、下容器の回転が止まった後も、下容器の圧下は
続行され、冷却・フィルタ部材が所定量だけ圧縮された
時にその圧下が停止される。従って、冷却・フィルタ部
材の特に上下両端部の密度が増す状態となるので、この
部分の気密性は十分確保される事になる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態を
示す断面模式図である。図1において、1はアルミ製の
上容器であり、上蓋1a及びこの上蓋1aの外周縁部か
ら垂下する側筒1bとを有し、更に側筒1bには周方向
に複数のガス流出孔10が形成されている。2はアルミ
製の下容器であり、下蓋2aと、この下蓋2aの外周部
に形成された段部2dの外周縁部から上容器1の側筒1
bを周りから囲むように立ち上がるフランジ筒部2b
と、それに続いて水平に折れるサイドフランジ部2cと
を有している。そして、上容器1の側筒1bの下端が下
容器2の下蓋2aの段部2dに摩擦圧接されて、ハウジ
ング3が形成されている。
【0018】ハウジング3内には、中央部に点火器4が
シール5を介して固定され、その周囲にはガス発生剤6
が上蓋1aから下蓋2aにわたって装填されるが、下蓋
2aとの間には弾力性を有するクッション材7を介在さ
せて固定されている。なおガス流出孔10の内側にはア
ルミ箔11が貼着されており、前記シール5の存在と相
まってガス発生剤6の防湿や変質を防止している。
【0019】更に、8は軸方向に圧縮可能な冷却・フィ
ルタ部材であり、ガス発生剤6の周囲を囲む様に上蓋1
aと下蓋2aとの間に圧縮された状態で介装されてい
る。即ち、冷却・フィルタ部材8の上端部及び下端部共
に、上蓋1aと下蓋2aとの間で圧縮されて密着固定さ
れているため、燃焼ガス中のスラグが冷却・フィルタ部
材8の上下両端部を通過して外部に流出することはな
い。従って、本実施形態では、従来、共回り防止のため
の必須部材とされていたリテーナリングを省略した状態
での摩擦圧接構造のガス発生器でありながら、冷却・フ
ィルタ部材からのスラグの外部流出防止を実現する事が
できるため、性能を損なう事なく、より安価なガス発生
器を提供する事ができる。
【0020】尚、軸方向に圧縮可能な冷却・フィルタ部
材8としては、クリンプ加工を施して波状やコイル状に
屈曲させた0.1〜1mm程度の耐熱金属線材を積層し
た後プレス成形して円筒形状にしたものや、メリヤス金
網(図2(a)参照)をプレス成形したもの(図2
(b)参照)の採用が、材料面及び組立工程面から有利
であり、ガス発生器のコストの低減化にも役立つので、
好ましい形態として推奨される。
【0021】又、図1において、冷却・フィルタ部材8
の外周側には多数の孔を有する金属円筒9が配置される
と共に、この金属円筒9とハウジング3の側筒1bの内
壁面との間には空間Sが形成されている。従って、冷却
・フィルタ部材8の外周面に多孔金属円筒9を添設する
事により、この多孔金属円筒9が、ガス発生器の組立時
(摩擦圧接時)に冷却・フィルタ部材8が軸方向に圧縮
されて径方向に変化しようとしてもそれを抑制する効果
を発揮する。又、多孔体の存在で冷却・フィルタ部材8
を流れるガスの分散化が促進される。
【0022】更に、空間Sの形成により、この空間Sが
ガス溜まりとなって均圧化される結果、ガス流出孔10
によるガス流の絞り効果の影響は少なくなり、燃焼ガス
は冷却・フィルタ部材8の容積の大部分を通過するよう
になって、冷却・フィルタ部材8の利用効率が向上す
る。このため、ガス発生器の一層の小型化,軽量化を促
進させる事が可能となる。
【0023】次に、他の実施の形態を図3に基づき説明
する。即ち、冷却・フィルタ部材8とハウジング3の側
筒1bの内壁面との間、即ち空間Sに粗い網目を有する
金網部材13を配置した点に特徴があり、他の構成は図
1と同様である。図1の例では、空間Sを確保するため
には、多孔金属円筒9を位置決めする必要があり、その
ために上蓋1a及び下蓋2aに多少の溝加工を施す等の
配慮が必要となる。この点、本例の場合には、金網13
をハウジング3内にセットするだけで金網13の厚みに
相当する分の空間Sを確保することができる。従って、
図1の場合と同様の作用効果を得られる上、組立効率の
改善により、ガス発生器の更なるコストの低減化に役立
つ。
【0024】更に、他の実施の形態を図6に基づき説明
する。図6(a)に示す様に、冷却・フィルタ部材8の
上蓋1aに当接する端部の外周側には、切込み凹部8a
が形成されている。一方、図6(b)に示すように、上
蓋1aには、冷却・フィルタ部材8の切込み凹部8aに
係合可能な凸部1cが形成されている。これにより、ガ
ス発生器の組立時(摩擦溶接時)の万一の不調で下蓋2
aが冷却・フィルタ部材8に接触しても、この冷却・フ
ィルタ部材8を共回りさせない構造であり、安全対策上
非常に有効である。
【0025】次に、本発明のガス発生器の組立方法の一
例を、図1及び図4を参照しつつ説明する。先ず、上容
器1の側筒1bの内周面にガス流出孔10を塞ぐための
アルミ箔11を貼着した後、この上容器1をその開口部
が上を向くように所定の架台上に固定する。次いで、上
容器1内に、外周面に予め多孔金属円筒9を巻装した円
筒状の冷却・フィルタ部材8を、上方から(図面では下
方から)側筒1bの内壁面側に空間Sが確保されるよう
に装入しする。次に、リング状のガス発生剤6を冷却・
フィルタ部材8の内周面に沿って装填し、最上段のガス
発生剤6の上面(図では下面)にリング状のクッション
材7を敷く。
【0026】ガス発生剤6及び冷却・フィルタ部材8の
装入配置が完了した上容器1の側筒1bの先端面が、予
め点火器4が装着された下容器2の下蓋2aの外周部の
段部2dの上面に対峙し当接する様にセットし、この状
態で固定された上容器1に対して下容器2を把持して所
定の圧力で回転させながら圧下を開始し、下容器2の内
面と冷却・フィルタ部材8の端面との間隔が、初期のl
0 から、下容器2と冷却・フィルタ部材8とが接触する
手前の間隔lになると、その回転のみを停止する〔図4
(a)、(b)参照〕。即ち、この間隔がl0 からlに
至る間の適当な時期に下容器の回転にブレーキを掛け始
め、間隔lになると完全に回転は停止する様に制御され
る。一方、圧下動作は継続されているので、下蓋2aは
回転が止まった状態で冷却・フィルタ部材8に当接し、
続いてこれを圧縮する。そして上蓋と下蓋との間隔L
が、冷却・フィルタ部材8の高さL0 よりも小さくなる
と、この圧下動作を終了する〔図4(c)参照〕。
【0027】従来の組立方法では、下容器2の初期回転
時の加熱により圧接部が溶融され、その後は何の配慮も
なくその回転状態を保ったままで圧下が進むため、圧接
時の高さ調整管理が不十分な結果として下蓋2aが冷却
・フィルタ部材8に接触すると、冷却・フィルタ部材8
も下容器2と一緒に回転する。その結果、ガス発生剤6
も共回りし、危険な状況に陥るおそれがあった。
【0028】しかし、本組立方法では、回転による初期
加熱後の圧下段階で既に下容器2にブレーキを掛け始め
ており、下蓋2aが冷却・フィルタ部材8の先端面に接
触する前に下容器2の回転を強制的に完全に停止させ、
その状態のまま下容器2の圧下を続行し、冷却・フィル
タ部材8が下蓋2aにより圧縮され始めた時点でその圧
下を停止し、摩擦圧接を終了する。終了時点では、軸方
向に圧縮可能な部材である冷却・フィルタ部材8が、ハ
ウジング3の上蓋1a及び下蓋1b間に予め設定された
量だけ軸方向に圧縮されて固定された状態となってい
る。こうして、ガス発生器の組立作業は終了する。
【0029】この様に本組立方法であれば、圧下開始後
の初期加熱で圧接部は溶融し、回転停止までの圧下で上
下容器(1,2)の接合が進み、そして下容器2の回転
が停止した時点では、下容器2は未だ冷却・フィルタ部
材8に接触していないので、冷却・フィルタ部材8の共
回りが生じる事はない。従って、ガス発生剤6が冷却・
フィルタ部材8との摩擦により発火し爆発に至るおそれ
はない。従って、図7に示す従来のガス発生器の様なリ
テーナリング116が無くても、摩擦圧接を適切且つ安
全に行う事ができ、部品点数の削減によるガス発生器の
低コスト化を図る事が可能となる。
【0030】又、本組立方法では、下容器2の回転が停
止した後も、下容器2の圧下は続行され、冷却・フィル
タ部材8が所定量だけ圧縮されてその圧下が停止され
る。従って、従来のリテーナリング116が無くても、
圧縮固定された冷却・フィルタ部材8の効果により、燃
焼ガス中のスラグが冷却・フィルタ部材8と密着した上
下蓋部材との間を通過して外部に流出する事は防止さ
れ、ガス発生器の性能上特に問題となる事はない。
【0031】尚、本発明における軸方向に圧縮可能な冷
却・フィルタ部材のハウジング内への圧縮固定配置の手
段は、溶接型ハウジング構造のガス発生器にも適用可能
であり、例えば、図5に示すように、冷却・フィルタ部
材8を上容器1に装入配置したとき、その先端面(図で
は下端面)が側筒1bの下端面よりも少し突き出る様に
設定しておき、下容器2を押下げて(図では押上げて)
上容器1の側筒1bの下端面を下容器2の内面外周縁部
に当接する様にセットし、冷却・フィルタ部材8が予め
所定量だけ軸方向に圧縮された状態にしておいて、その
側筒1bと下容器2の重なり合った部分を、例えばレー
ザ溶接する(図中12が溶接箇所)等により、ガス発生
器を製作する事も可能である。
【0032】尚、上記の本発明の実施形態の説明では、
冷却・フィルタ部材の圧縮固定の概念を適用し得るハウ
ジング構造として、単一側筒構造のものを例示したが、
内外側筒の2筒を有するハウジング構造にも有効に適用
できることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】本発明のうち請求項1記載の発明のガス
発生器は、要するに摩擦圧接構造品でありながら先行例
のガス発生器(図7参照)と比べた場合、リテーナリン
グ116を省略すると共に、下容器104の下蓋121
と冷却・フィルタ部材110との間に存在していた隙間
140を無くするようにした構造である。従って、部品
点数の削減によるガス発生器の低コスト化と共に、内部
容積の減少による一層の小型化も進められる利点があ
る。又、リテーナリングを省略しても、冷却・フィルタ
部材が上蓋及び下蓋間に設定量だけ圧縮固定された状態
で配置されているため、燃焼ガス中のスラグが、冷却・
フィルタ部材の緻密化され且つ上下蓋部材に密着した上
下両端部を通過して外部に流出する事は完全に防止され
る事になる。
【0034】又、請求項2記載の発明は、金属線のクリ
ンプ加工品の成形体を冷却・フィルタ部材として使用す
るものである。従って、本発明の構成要素である「軸方
向に圧縮可能な冷却・フィルタ部材」を汎用線材から簡
単に得る事ができ、ガス発生器のコストの一層の低減化
に役立つ。
【0035】又、請求項3記載の発明は、金属線のメリ
ヤス網品の成形体を冷却・フィルタ部材として使用する
ものである。従って、入手容易な金属製メリヤス網品を
積層したものをプレス成形して用いればよく、組立作業
の簡素化が図れるので、ガス発生器の一層のコスト低減
化に貢献できる。
【0036】又、請求項4記載の発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれか一項に記載の構成に加えて、冷却・
フィルタ部材の外周側に多数の孔を有する金属円筒を配
置すると共に、その金属円筒とハウジングの側筒の内壁
面との間に空間を形成させたものである。この結果、多
孔金属円筒の配置により、ガス発生器の組立時(冷却・
フィルタ部材の圧縮時)の冷却・フィルタ部材の径方向
の変化が抑制され且つ冷却・フィルタ部材を流れるガス
の分散化が促進される。従って、冷却・フィルタ部材の
径方向への動き(変形)が生じないため、その上下両端
部の気密性は十分確保され、かつガスの分散化により冷
却・フィルタ部材の利用効率は向上する。この結果、更
に小型化,軽量化の促進可能なガス発生器とする事がで
きる。
【0037】又、請求項5記載の発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれか一項に記載の構成に加えて、冷却・
フィルタ部材とハウジングの側筒の内壁面との間に金網
を配置したものであり、前記請求項4記載の発明の応用
例とでもいえるものであって、同様の作用効果が得られ
る。
【0038】又、請求項6記載の発明は、請求項1乃至
請求項5のいずれか一項に記載の構成の内、冷却・フィ
ルタ部材の上蓋に当接する端部の外周側に少なくとも1
つの切込み凹部を形成すと共に、該切込み凹部に係合可
能な凸部を上蓋にも形成したものである。従って、ガス
発生器の組立時(摩擦溶接時)の万一の不調で、下蓋が
冷却・フィルタ部材に接触しても、この冷却・フィルタ
部材を共回りさせない構造となっており、安全対策上極
めて有効である。
【0039】更に、請求項7記載の発明のガス発生器の
組立方法は、ガス発生剤及び冷却・フィルタ部材が配置
された上容器の側筒の先端部を、点火器が配置された下
容器の下蓋に突き合わせた後、下容器を回転させながら
圧下することにより上容器と下容器とを摩擦圧接にて固
着するエアバッグ用ガス発生器の組立方法であって、圧
下を開始後、下容器の下蓋が冷却・フィルタ部材の端面
に接する前に下容器の回転を停止し、その状態のまま下
容器の圧下を続行し、冷却・フィルタ部材が下蓋により
圧縮され始めた時点でその圧下を停止するものである。
【0040】これにより、圧下開始後の初期加熱で圧接
部は溶融し、回転停止までの圧下で上下容器の接合が進
み、そして下容器の回転が停止したときは、この下容器
がまだ冷却・フィルタ部材に接触していないので、冷却
・フィルタ部材の共回りが生じることはない。従って、
ガス発生剤が冷却・フィルタ部材との摩擦により発火し
て爆発に至るおそれは回避する事ができる。又、下容器
の回転が止まった後も下容器の圧下は続行され、冷却・
フィルタ部材が所定量だけ圧縮された時点で、その圧下
が停止されハウジング内に固定される。この結果、冷却
・フィルタ部材の特に上下両端部の密度が増す状態とな
り且つ上下蓋部材に密着した状態になるので、この部分
の気密性は十分確保される。従って、先行例の様な必須
部材としてのリテーナリングが不要となり、圧縮固定さ
れた冷却・フィルタ部材の効果によって、燃焼ガス中の
スラグが冷却・フィルタ部材の上下両端部を通過して外
部に流出する事は防止される。。即ち、最終的に性能を
損なう事なく、より安価なガス発生器を提供する事が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明に係る軸方向に圧縮可能な冷却・フィル
タ部材としてのメリヤス金網を示す図であり、(a)は
部材としてのメリヤス金網の外形図、(b)は円筒状に
プレス成形したメリヤス金網加工品を示す斜視図であ
る。
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面模式図であ
る。
【図4】本発明のガス発生器の組立方法を示す概略説明
図である。
【図5】本発明を溶接型ハウジング構造のガス発生器に
適用した例を示す断面模式図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す概略説明図であ
り、(a)は冷却・フィルタ部材の斜視図、(b)は要
部断面図である。
【図7】先行例に係るガス発生器を示す断面模式図であ
る。
【符号の説明】
1 上容器 1a 上蓋 1b 側筒 1c 凸部 2 下容器 2a 下蓋 3 ハウジング 4 点火器 5 シール 6 ガス発生剤 7 クッション材 8 冷却・フィルタ部材 8a 切込み凹部 9 多孔金属円筒 10 ガス流出孔 11 アルミ箔 12 溶接箇所 13 粗金網
フロントページの続き (72)発明者 佐宗 高 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内センサー・テクノロ ジー株式会社姫路テクニカルセンター内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個のガス流出孔(10)を有する側
    筒(1b)と該側筒(1b)の端部を上蓋(1a)及び
    下蓋(2a)で閉鎖することにより形成されたハウジン
    グ(3)の内側には、中央から径方向外側に向けて点火
    器(4)、ガス発生剤(6)、冷却・フィルタ部材
    (8)が順次配置されると共に、前記ガス流出孔(1
    0)を内側から覆う金属箔(11)が前記側筒(1b)
    の内壁面に貼り付けられ、更に前記冷却・フィルタ部材
    (8)が前記上蓋(1a)から下蓋(2a)にかけて介
    装されてなるエアバッグ用ガス発生器であって、 前記冷却・フィルタ部材(8)が軸方向に圧縮可能な部
    材であり且つ該部材が前記上蓋(1a)及び下蓋(2
    a)間に圧縮された状態で介装されてなることを特徴と
    するエアバッグ用ガス発生器。
  2. 【請求項2】 前記冷却・フィルタ部材(8)が金属線
    のクリンプ加工品の成形体である請求項1記載のエアバ
    ッグ用ガス発生器。
  3. 【請求項3】 前記冷却・フィルタ部材(8)が金属線
    のメリヤス網品の成形体である請求項1記載のエアバッ
    グ用ガス発生器。
  4. 【請求項4】 前記冷却・フィルタ部材(8)の外周側
    に多数の孔を有する金属円筒(9)が配置され且つ該金
    属円筒(9)と前記ハウジング(3)の側筒(1b)の
    内壁面との間に空間が形成されてなる請求項1乃至請求
    項3のいずれか一項に記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 【請求項5】 前記冷却・フィルタ部材(8)と前記ハ
    ウジング(3)の側筒(1b)の内壁面との間に金網が
    配置されてなる請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載のエアバッグ用ガス発生器。
  6. 【請求項6】 前記冷却・フィルタ部材(8)の上蓋
    (1a)に当接する端部の外周側に少なくとも1つの切
    込み凹部(8a)が形成されると共に、該切込み凹部
    (8a)に係合可能な凸部(1c)が上蓋(1a)にも
    形成されたものである請求項1乃至請求項5のいずれか
    一項に記載のエアバッグ用ガス発生器。
  7. 【請求項7】 前記ガス発生剤(6)及び冷却・フィル
    タ部材(8)が配置された上容器(1)の側筒(1b)
    の先端部を、前記点火器(4)が配置された下容器
    (2)の前記下蓋(2a)に突き合わせた後、下容器
    (2)を回転させながら圧下することにより上容器
    (1)と下容器(2)とを摩擦圧接にて固着するエアバ
    ッグ用ガス発生器の組立方法であって、 前記圧下を開始後、下容器(2)の下蓋(2a)が前記
    冷却・フィルタ部材(8)の端面に接する前に該下容器
    (2)の回転を停止し、その状態のまま該下容器(2)
    の圧下を続行し、前記冷却・フィルタ部材(8)が下蓋
    (2a)により圧縮され始めた時にその圧下を停止する
    ことを特徴とするエアバッグ用ガス発生器の組立方法。
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