JPH1067689A - 糖尿病診断剤 - Google Patents

糖尿病診断剤

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JPH1067689A
JPH1067689A JP8225243A JP22524396A JPH1067689A JP H1067689 A JPH1067689 A JP H1067689A JP 8225243 A JP8225243 A JP 8225243A JP 22524396 A JP22524396 A JP 22524396A JP H1067689 A JPH1067689 A JP H1067689A
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glucose
diabetic
insulin
rats
blood
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JP8225243A
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Tadashi Kono
匡 河野
Gosaburo Hosoi
五三郎 細井
Junko Oshima
淳子 大嶋
Kunihiko Shibata
邦彦 柴田
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Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
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  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 特定位の炭素が13Cで置換されたグルコ
ースを含む糖尿病診断剤。 【効果】 本発明によれば、被験者の身体的負担が小さ
く、正確な検査結果を即時に知ることができ、かつ副作
用がなく安全に使用できる糖尿病診断剤が提供される。
本発明の糖尿病診断剤は、見逃しやすい状況下において
も健常人と糖尿病患者の判断はもとより、糖尿病の型
(インスリン依存型、非依存型)の判別をも可能にする
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖尿病診断剤、詳
しくは特定位の炭素が13Cで置換されたグルコースを含
む糖尿病診断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病診断の一次スクリーニングに一般
的に用いられている検査法は、尿糖検査、空腹時血糖値
検査である。これらの検査で陽性の場合、グルコース負
荷テストを行い、確定診断に至る。最近では、過去の平
均血糖値を反映する血中のHbAlCやフルクトサミン
を検査する場合もあり、これは一次スクリーニングで陽
性と出た場合に、グルコース負荷テストを行う前の二次
スクリーニングとして主に用いられる。しかし、尿糖検
査、空腹時血糖値検査では、多くの糖尿病患者で尿糖が
陰性となり、血糖値が正常値を示すため、糖尿病患者を
見逃してしまうことも多く、その感度の低さが問題とな
っている。また、グルコース負荷テストは優れた検査法
であるが、大量のグルコースを採取したことによる副作
用、数時間の拘束、度重なる採血が必要で、被験者の身
体的負担が大きく、手間もかかるため現実には限られた
対象者にしか実施できない。また、HbAlCやフルク
トサミンの結果は次の来院時まで知ることができず、迅
速性に欠けるという欠点がある。
【0003】また、糖尿病の病型診断(インスリン依存
型、非依存型)や治療方針決定のための検査は、インス
リン治療を実施するかどうか、どういうインスリン治療
を行うかを決定することを目的とし、主に血中インスリ
ン濃度の測定、血中または尿中C−ペプチドの測定、グ
ルコース負荷テストにおける血糖値、血中インスリン濃
度の経時変化の測定により行われている。しかし、グル
コース負荷テストは前記のように被験者の身体的負担が
大きいため実際にはなかなか行われず、血中インスリン
濃度、血中または尿中C−ペプチドの結果は次の来院時
まで知ることができず、迅速性に欠ける。
【0004】さらに、血糖管理の良否を知るための検査
としては、血中のHbAlC、フルクトサミン、1,5
AGの検査が一般的であり、これに加えてグルコース負
荷テストを実施すれば十分な情報を得ることができる。
しかし、グルコース負荷テストは被験者の身体的負担が
大きく、HbAlC、フルクトサミン、1,5AGは結
果をその場で知ることが一般的にはできないので、前回
の来院時の血糖管理の良否の結果を参照しながら指導を
行うことになる。かかる状況下、糖尿病の診断には、被
験者への負担が小さく、かつ結果が即時に精度よく得ら
れる検査の開発が望まれるところである。
【0005】一方、13Cで標識したグルコースを投与
し、呼気中に二酸化炭素として排出される13Cを測定し
て生物体内でグルコースの酸化率を解析することが一般
的に行われている。ここで、投与物質である13Cで標識
したグルコースには全ての炭素が13Cで標識されたグル
コース、まれに1−13C−グルコースが用いられてい
る。しかし、この解析では、血液中でのグルコースの濃
度や、血糖を制御するインスリン等のホルモンの濃度の
経時変化の影響を受けないように、持続投与による定常
状態で行なわざるを得ない。よって、拘束時間が長く、
被験者の負担が大きいので糖尿病の診断には事実上使用
できない。
【0006】また、トウモロコシ等の植物で自然に13
で濃縮されたグルコースを一時投与すると、糖尿病患者
の場合、13Cの呼気への排出率が低下することが報告さ
れている [P.Lefebvre, et al., Diabetologia 14, 39-
45 (1978); M.J. Arnaud, etal., Nutrition and the D
iabetic Child, Pediat. adolesc. Endocr., vol.7,pp.
203-212, 1979]。しかしながら、トウモロコシ等の植物
で自然に13Cで濃縮されたグルコースは6個の炭素が均
等に標識されているため、代謝経路の変動に関する情報
を得ることができない。さらに、ここで使用されるトウ
モロコシ等の植物で自然に13Cが濃縮されたグルコース
13C濃度は2%程度なので、呼気中の13CO2 濃度の
変化を見るためには大量のグルコースを投与する必要が
あり、被験者の負担が大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、被検
者の負担が小さく、正確な検査結果を即時に得ることが
できる糖尿病診断剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定位の炭素が13
Cで置換されたグルコースを投与し、呼気中の13CO2
濃度の増加率を測定することにより糖尿病、およびその
病型を正確に診断することができることを見出し、本発
明を完成するに到った。すなわち、本発明は、特定位の
炭素が13Cで置換されたグルコースを含む糖尿病診断剤
である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の糖尿病診断剤のグルコー
スは、特定位の炭素が13Cで置換されたグルコースであ
り、置換位は1位〜6位のいずれであってもよい。13
は安定同位体であるので、放射線被爆の危険は一切な
く、検査を安全に行うことができる。
【0010】特定位の炭素を13Cで置換したグルコース
としては、例えば1−13C−グルコース, 2−13C−グ
ルコース, 6−13C−グルコース (それぞれEURISO-TOP
社,CIL 社, ISOTEC社, ICON社製) 、3−13C−グルコ
ース (CIL 社, ICON社製) 、4−13C−グルコース, 5
13C−グルコース (それぞれCIL 社製) 等の市販品を
用いることができる。
【0011】本発明の糖尿病診断剤を用いた検査は、投
与後の呼気中の13C濃度を測定し、投与後一定時間(例
えば5分、20分)経過後における呼気中の13CO2
増加(Δ13C(‰))、あるいは投与後一定時間までの呼
気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰))の経時変化(立ち
上がりの傾き、傾きの変化、ピークの時間等)のデータ
を評価する。また、かかる呼気テストによる評価は、単
独でも有用であるが、血糖値、フルクトサミン値等と組
み合わせて総合的に判断することがより好ましい。
【0012】ここで、呼気中の13C濃度の測定は、ガス
クロマトグラフ−質量分析法(GC-MS)、赤外分光法、質
量分析法、光電音響分光法、NMR(核磁気共鳴)法で
行うことができる。本発明の糖尿病診断剤は、健常者か
ら糖尿病患者を検出することのみならず、糖尿病の病型
(インスリン依存型であるか非依存型であるか)を分別
することが可能である。
【0013】また、13Cで置換されるグルコース中の炭
素位の違いによって、糖尿病診断に有利なそれぞれ特有
の評価材料が得られる。例えば、1位の炭素が13Cで置
換されたグルコース(1−13C−グルコース)は、正常
血糖値を示す集団の中の健常と糖尿病の判別を行えるこ
とから、一次スクリーニングに有利であり、また総イン
スリン分泌量と良好な相関がみられることから、治療方
針決定のための検査に有利である。3位の炭素が13Cで
置換されたグルコース(3−13C−グルコース)は、血
糖値がほぼ同様な場合にインスリン依存型と非依存型の
区別ができ、糖尿病の病型診断に有利である。また、同
様のフルクトサミン値である場合に、インスリン非依存
型とインスリン依存型を区別できることから、フルクト
サミン値のみによる評価で見逃しがちな病態の変化(非
依存型から依存型への移行)を知るための検査に有利で
ある。
【0014】さらに、図1に示すように、グルコース内
の炭素はその位置によって脱炭酸される代謝経路が異な
る。したがって、特定位の炭素が13Cで置換されたグル
コースを投与した場合は、13Cの呼気への排出率を測定
することで、グルコースが代謝される経路の変動に関す
る情報も得ることが出来る。
【0015】本発明の糖尿病診断剤は、上記の特定位の
炭素が13Cで置換されたグルコース(以下、置換グルコ
ースという)を単独で、あるいは賦形剤または担体と混
合し、投与経路に応じて経口剤(錠剤、カプセル剤、粉
剤、顆粒剤、液剤等)、注射剤などに製剤化される。賦
形剤または担体としては、当分野で常套的に使用され、
薬剤学的に許容されるものであればよく、その種類及び
組成は、投与経路や投与方法によって適宜変更される。
例えば、液状担体としては水が用いられる。固体担体と
しては、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロー
ス誘導体、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸塩な
どが使用される。注射剤の場合、一般に水、生理食塩
水、各種緩衝液が望ましい。また、凍結乾燥製剤とし経
口剤として用いたり、それを投与時に注射用の適当な溶
剤、例えば滅菌水、生理食塩水、電解質溶液等の静脈投
与用液体に溶解して投与することもできる。
【0016】製剤中における置換グルコースの含量は、
製剤の種類により異なるが、通常10〜100 重量%、好ま
しくは50〜100 重量%である。例えば注射剤の場合に
は、通常1〜40重量%となるよう置換グルコースを添加
すればよい。カプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉剤の場合
は、置換グルコースの含量は、約10〜100 重量%、好ま
しくは50〜100 重量%であり、残部は担体である。
【0017】本発明の糖尿病診断剤の投与量は、投与に
よる呼気中の13CO2 濃度の増加率を確認できる量が必
要であり、患者の年齢、体重、検査目的により異なる
が、例えば1回当たりの投与量は成人の場合、1〜2000
mg/kg 体重程度である。以下に、本発明を実施例により
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに何ら影響
されることはない。
【0018】
【実施例】
〔試験例〕 [1] 材料および方法 (1) 被検動物 雄性Sprague-Dawley系(SD)ラットを、日本チャールズリ
バー社より購入した。新生児ラットについては、保育親
とともに購入した。購入したラットは、23±2℃、湿度
55±10%の条件で使用時まで飼育した。
【0019】(2) 糖尿病ラットの作成 インスリン依存型糖尿病ラットとして、成熟ラットへの
ストレプトゾトシン(STZ)投与によりインスリン欠
乏タイプの糖尿病を発症させた(細胞工学別冊、医学実
験マニュアルシリーズ 糖尿病研究ストラテジー 清野
進、岡芳和編、秀潤社刊)。
【0020】一晩絶食した成熟ラットにSTZ(SIGMA
製 No.S-0130)を90mg/kg 腹腔内投与した。投与後、餌
を与えて飼育し、2 日後に尾静脈より血液を採取し、Te
rumoメディエース(血糖測定セット)を用いて随時血糖
値を測定し、400mg/dl以上の個体を選抜した。STZ
は、クエン酸緩衝液(pH4.5) に溶解し、溶解後5分以内
に投与が終了するようにした。
【0021】一方、インスリン非依存型糖尿病ラットと
して、新生児期ラットへのストレプトゾトシン(ST
Z)投与によりインスリン分泌不全タイプの糖尿病を発
症させた(細胞工学別冊、医学実験マニュアルシリーズ
糖尿病研究ストラテジー 清野進、岡芳和編、秀潤社
刊)。
【0022】生後2日目のラットにSTZを90mg/kg を
皮下投与した。2日後に心臓より血液を採取しTerumoメ
ディエース(血糖測定セット)を用いて随時血糖値を測
定し、275mg/dl以上の個体を選抜した。STZは、クエ
ン酸緩衝液(pH4.5) に溶解し、溶解後5分以内に投与が
終了するようにした。
【0023】(3) 13C呼気テスト 一晩絶食したラットをネンブタール腹腔内投与(50mg/k
g)にて麻酔し、手術台に仰向けにして固定した。尾静脈
より血液を採取し、Terumoメディエース(血糖測定セッ
ト)を用いて血糖値を測定した。大腿静脈より生理食塩
水に溶解した13C−グルコース(0.1 g/ml) を100mg/kg
を投与し、頭部には円筒形のチューブを被せ、炭酸ガス
計CAPSTAR-100(CWE, Inc) を用いて呼気を吸引し、ハミ
ルトンシリンジで呼気を1回に約25μl採取した(図
2)。この際、炭酸ガス濃度が3.5±0.5%となるように
炭酸ガス計の流量を調整した。呼気中の13C濃度はガス
クロマトグラフ−質量分析計(GC-MS)にて測定した。 G
C-MSの分析条件は下記の通りである。
【0024】 [GC−MS条件] 装置 Shimadzu GC-MS QP-5000 [(株)島津製作所] カラム 0.32mm×25m (ID ×L) fused silica capillar y column イオン化法 EI (electron impact) 法 気化室温度 60℃ カラム温度 60℃ GCインターフェース温度 230 ℃ キャリアガス He キャリアガス圧力 20Kpa 測定モード SIM (selected ion monitoring) 測定イオン m/z=45, 46, 47 試料注入量 20μl
【0025】尚、13C−グルコースは1−13C−グルコ
ース(EURISO-TOP 社またはCIL 社、1位の炭素の13C純
度が99atom%)、2−13C−グルコース(ISOTEC 社、2位
の炭素の13C純度が99atom%)、3−13C−グルコース(I
CON 社、3位の炭素の13C純度が99atom%)、6−13C−
グルコース(CIL社またはICON社、6位の炭素の13C純度
が99atom%)を使用した。実験を通して直腸温をモニター
し、保温マットにより体温を37℃に保った。実験終了
後、開腹し、腹部大静脈より全採血し、血中フルクトサ
ミン濃度測定用のサンプルとした。フルクトサミンはBM
L 社に分析を委託した。実験に用いたラットは採血後、
過剰量の麻酔薬を投与し屠殺した。
【0026】[13C濃度計算方法]酸素同位体存在比を天
然存在比とし、m/z=45, 46のイオンピーク面積より13
濃度を下式により算出した。m/z=45, 46の面積比 (A45/
A46)をaとする(特開平7-120434号に基づく)。
【0027】
【式1】13C濃度(%) ={(0.004176-0.0007462a)/(0.99
44396+0.0034298a) }×100
【0028】[Δ13C(‰)計算方法]各時点の呼気の13
C 濃度(13C tmin)とCO2 標準ガスの13C 濃度(13C std)
から下式により算出した。
【0029】
【式2】 Δ13C 濃度(‰)={(13C tmin-13C 0min)/13
C std }×1000
【0030】(4) 血中インスリン濃度の測定 一晩絶食し、ネンブタール腹腔内投与(50mg/kg)にて麻
酔したラットの大腿動脈と大腿静脈にカニュレーション
処置を行いバイパスを作成した。バイパス内に分岐を設
けて、ヘパリン(GIBCO.BRL製 No.15077-019)を投与(100
U/rat)した。分岐部より生理食塩水に溶解した13C−グ
ルコース(0.1 g/ml) を100mg/kg投与した後、経時的に
採血し、血糖値およびインスリン濃度を測定した。イン
スリン濃度はインスリン測定キット(森永生科学研究所
製)を用いて測定した。
【0031】[2] 結果 (1) 1−13C−グルコース呼気テスト 被検動物として雄性Sprague-Dawley系(SD)健常ラット
(8週齢4匹、11週齢4匹) 、雄性SDインスリン非依存
型糖尿病ラット(8週齢4匹、11週齢4匹) 、雄性SDイ
ンスリン依存型糖尿病ラット(8週齢4匹、9週齢4
匹、11週齢4匹;7週齢でSTZを投与)を使用した。
1−13C−グルコースを100mg/kg静注投与後20分におけ
る呼気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰))を測定した
結果を図3に示す。また、同被検動物を用い、1−13
−グルコースを100mg/kg静注投与後20分における呼気中
13CO2 の増加(Δ13C(‰))と同個体におけるグ
ルコース投与直前の血糖値を測定した結果を図4に示
す。
【0032】投与後20分のΔ13C値の分布(図3)は、
約125 ‰を境に、健常ラットでは高値を、インスリン依
存型糖尿病ラットおよびインスリン非依存型糖尿病ラッ
トでは低値を示した。投与前の血糖値が高い場合、投与
した1−13C−グルコースの血中での希釈率が大きくな
ることで13Cの呼気への排出率が小さくなると考えられ
る。実際、血糖値が高くなるほどΔ13C値が低くなるこ
とが認められる(図4)。しかし、正常血糖範囲(100m
g/dl程度) においても、血糖値はほぼ同じであるにもか
かわらず、健常と比較して糖尿病のΔ13C値は小さい
(図4)。したがって、1−13C−グルコース呼気テス
トは、単に投与した1−13C−グルコースの希釈率、す
なわち、血糖値を反映しているわけではないと言える。
【0033】このように、1−13C−グルコース呼気テ
ストは、正常血糖値を示す集団の中の健常と糖尿病の判
別を行えることから、感度の高い、優れた一次スクリー
ニング法になり得ると考えられる。
【0034】(2) 1−13C−グルコース呼気テスト 被検動物として雄性SD健常ラット(11週齢5匹)、雄性
SDインスリン非依存型糖尿病ラット(11週齢5匹)を使
用した。1−13C−グルコース呼気テストと血中インス
リン濃度の測定を同一個体で行った。大腿動脈と大腿静
脈の間に作成したバイパスに設けた分岐部から1−13
−グルコースを100mg/kg投与し、投与前および1、2、
3、5、7、10、15分に採血し、血中インスリンを測定
し、それより求めた15分までのインスリン総分泌量と、
呼気中の13CO2 の増加の測定値を図5に示す。
【0035】1−13C−グルコース呼気テストにおける
Δ13Cの20分値が、15分までの総インスリン分泌量と良
好な相関がみられることから(図5)、本テストは治療
方針決定のための検査法としても有用であると考えられ
る。
【0036】(3) 3−13C−グルコース呼気テスト 被検動物として雄性SD健常ラット(8週齢4匹、11週齢
4匹) 、雄性SDインスリン非依存型糖尿病ラット(8週
齢4匹、11週齢4匹) 、雄性SDインスリン依存型糖尿病
ラット(8週齢4匹、9週齢4匹、11週齢4匹;7週齢
でSTZを投与)を使用した。3−13C−グルコースを
100mg/kg静注投与後20分における呼気中の13CO2 の増
加(Δ13C(‰))と同個体におけるグルコース投与直前
の血糖値を測定した結果を図6に示す。
【0037】投与後20分のΔ13C 値の分布(図6)は、
1−13C−グルコース呼気テストの場合と同様に、投与
前の血糖値の影響を受けて、血糖値が高いほど低値を示
す傾向がある。しかしながら、血糖値がほぼ同様なイン
スリン依存型糖尿病ラットとインスリン非依存型糖尿病
ラットを比較すると、インスリン依存型糖尿病ラットの
Δ13C 値が小さい傾向を示した。従って、本テストは血
糖値の測定と併用することで、糖尿病の病型診断に利用
できると考えられる。
【0038】(4) 3−13C−グルコース呼気テスト 被検動物として雄性SD健常ラット(11週齢4匹) 、雄性
SDインスリン非依存型糖尿病ラット(11週齢6匹) 、雄
性SDインスリン依存型糖尿病ラット(11週齢4匹;9週
齢でSTZを投与)を使用した。
【0039】3−13C−グルコースを100mg/kg静注投与
後5、10、15、20分における呼気中の13CO2 の増加
(Δ13C(‰))を測定した結果を図7に示す。3−13
C−グルコース呼気テストで20分までのΔ13C カーブを
見ると(図7)、インスリン非依存型糖尿病ラットでは
後半で傾きが減少する傾向が見られた。そこで10分から
20分までの傾きに注目すると、健常ラット>インスリン
非依存型糖尿病ラット>インスリン依存型糖尿病ラット
という傾向が見られた(図8)。したがって、3−13
−グルコースは糖尿病診断、糖尿病の病型診断いずれに
も利用できると考えられる。
【0040】(5) 3−13C−グルコース呼気テスト 被検動物として雄性SD健常ラット(8週齢4匹,11週
齢4匹)、雄性SDインスリン非依存型糖尿病ラット(8
週齢4匹,11週齢4匹)、雄性SDインスリン依存型糖
尿病ラット(8週齢4匹,9週齢4匹,11週齢4匹;
7週齢でSTZを投与)を使用した。3−13C−グルコ
ースを100mg/kg静注投与後20分における呼気中の13CO
2 の増加(Δ13C(‰))と血中フルクトサミン濃度を測
定した結果を図9に示す。
【0041】投与後20分のΔ13C 値とフルクトサミン値
をプロットすると、同様のフルクトサミン値であって
も、インスリン非依存型ラットと比較してインスリン依
存型糖尿病ラットでΔ13C 値が低値を示した(図9)。
糖尿病の発症初期ではインスリン非依存型の病態を示し
ていた患者がインスリン依存型に移行する例が多く報告
されている。こうした病態の変化に応じてインスリン治
療等の方法を変更していく必要があるが、通常行われて
いるフルクトサミンやHbAIC等の平均血糖値を知る
ための検査法だけではこの変化を見逃す恐れがある。よ
って、3−13C−グルコース呼気テストはこうした病態
の変化を知るための検査法としても有用である。
【0042】(6) 2−13C−グルコース、および6−
13C−グルコース呼気テスト 被検動物として雄性SD健常ラット(8週齢2匹) 、雄性
SDインスリン非依存型糖尿病ラット(8週齢2匹) 、雄
性SDインスリン依存型糖尿病ラット(8週齢2匹)を使
用した。2−13C−グルコースを100mg/kg静注投与後40
分までの呼気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰) )を経
時的に測定した結果を図10に示す。また6−13C−グ
ルコースを100mg/kg静注投与後20分までの呼気中の13
2 の増加(Δ13C(‰))を経時的に測定した結果を図
11に示す。2−13C−グルコース呼気テスト(図1
0)、および6−13C−グルコース呼気テスト(図1
1)ともにインスリン非依存型糖尿病ラットと比較し
て、インスリン依存型糖尿病ラットでΔ13C 値が低値を
示したことから、これらはいずれも糖尿病の病型診断に
利用できると考えられる。
【0043】〔製剤例1〕 (注射剤) 1−13C−グルコース10重量部に対し、生理食塩水を
加え全量を100重量部として、これを溶解後ミリポア
フィルターを用いて除菌濾過した。この濾液をバイアル
瓶にとり、密封して注射剤を得た。
【0044】〔製剤例2〕 (内服液剤) 1−13C−グルコース10重量部に対し、精製水を加え
全量を100重量部として、これを溶解後ミリポアフィ
ルターを用いて除菌濾過した。この濾液をバイアル瓶に
とり、密封して内服液剤を得た。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、被験者の身体的負担が
小さく、正確な検査結果を即時に知ることができ、かつ
副作用がなく安全に使用できる糖尿病診断剤が提供され
る。本発明の糖尿病診断剤は、見逃しやすい状況下にお
いても健常人と糖尿病患者の判断はもとより、糖尿病の
型(インスリン依存型、非依存型)の判別をも可能にす
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭酸に着目したグルコースの代謝経路の模式
図を示す(CO2 の横のかっこ内の数字は、グルコース
における炭素位置を示す)。
【図2】ラットの呼気回収法の模式図を示す。
【図3】1−13C−グルコースを100mg/kg静注投与後20
分における呼気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰))を
示す。
【図4】1−13C−グルコース呼気テストと血糖値の関
係を示す。
【図5】1−13C−グルコース呼気テストとインスリン
総分泌量の関係を示す。
【図6】3−13C−グルコース呼気テストと血糖値の関
係を示す。
【図7】3−13C−グルコースの呼気テストにおいて呼
気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰))の経時変化を示
す。
【図8】3−13C−グルコースの呼気テストにおいて投
与後10分から20分までの呼気中の13CO2 の増加(Δ13
C(‰))を示す。
【図9】3−13C−グルコースの呼気テストと血中フル
クトサミン濃度の関係を示す。
【図10】2−13C−グルコースの呼気テストにおいて
呼気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰))の経時変化を
示す。
【図11】6−13C−グルコースの呼気テストにおいて
呼気中の13CO2 の増加(Δ13C(‰))の経時変化を
示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定位の炭素が13Cで置換されたグルコ
    ースを含む糖尿病診断剤。
  2. 【請求項2】 1位の炭素が13Cで置換された、請求項
    1記載の糖尿病診断剤。
  3. 【請求項3】 3位の炭素が13Cで置換された、請求項
    1記載の糖尿病診断剤。
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