JPH1064699A - 円形加速器 - Google Patents

円形加速器

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JPH1064699A
JPH1064699A JP22098496A JP22098496A JPH1064699A JP H1064699 A JPH1064699 A JP H1064699A JP 22098496 A JP22098496 A JP 22098496A JP 22098496 A JP22098496 A JP 22098496A JP H1064699 A JPH1064699 A JP H1064699A
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particle beam
resonance
circular accelerator
charged
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JP22098496A
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Kazuo Hiramoto
和夫 平本
Koji Matsuda
浩二 松田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】出射効率を高くするとともに、円形加速器の出
射部を小型化し、円形加速器全体を小型化する。 【構成】ベータトロン振動振幅を増加させて荷電粒子ビ
ームを出射する円形加速器において、出射部100に出
射用偏向器を設けずに、荷電変換薄膜3および収束用4
極電磁石6を設置して、荷電変換された荷電粒子ビーム
を輸送ダクト102に導く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子ビームを
周回させ荷電粒子ビームを出射させる円形加速器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】円形加速器を周回する荷電粒子ビームを
取り出すために、以下のような従来技術がある。
【0003】ベリリウムあるいは炭素の薄膜を設け、薄
膜を通り抜けて荷電変換された荷電粒子ビームを電磁石
で偏向して取り出すことが、“The Italian hadron the
rapyaccelerator complex”(G.Arduini et al.,p.340
(1994) Proc. of the FirstInternational Symposium
on Hadrontherapy Como,Italym 18−21 Oct. 1993)に
記載されている。この従来技術では、図2に示すように
荷電粒子を荷電変換薄膜3に当てるために、電磁石1を
用いて荷電粒子ビームの中心軌道を徐々に荷電変換薄膜
3に近付けている。
【0004】また、円形加速器を周回する荷電粒子ビー
ムに高周波を印加し、荷電粒子ビームのベータトロン振
動振幅を増加させる。そして、共鳴の安定限界の外に出
て共鳴状態になった荷電粒子ビームを出射用偏向器で取
り出すことが、特開平5− 198397号公報に記載されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
薄膜を用いたビームの取り出しでは、薄膜の端部に当た
った荷電粒子は、進行方向が変化する。また、ビーム中
心軌道を電磁石で曲げるため、ビーム中心軌道の軌道勾
配が変化する。これらの結果、出射ビーム50の軌道勾
配が変化し、真空ダクトの内壁に衝突して、出射効率が
低くなる問題があった。
【0006】荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を
増加させるビームの取り出しでは、図3に示す出射用偏
向器52の端部に荷電粒子が衝突して失われ、出射効率
が低くなる。また、出射用偏向器52は、電界で偏向を
行う静電偏向器を使用する。この静電偏向器はおよそ1
mの長さをもつので、円形加速器の出射部が大きく、円
形加速器全体が大型化していた。
【0007】本発明の第1の目的は、荷電粒子ビームの
出射効率が高い円形加速器およびその運転方法を提供す
ることにある。
【0008】本発明の第2の目的は、円形加速器の出射
部を小さくし、円形加速器を小型化することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
請求項1の円形加速器の特徴は、荷電粒子ビームの荷電
数を変換する荷電変換手段と、荷電数を変換された荷電
粒子ビームを輸送手段の方向に偏向する偏向手段とを有
することにある。共鳴の安定限界を越えた荷電粒子ビー
ムが荷電変換手段によって荷電数を変換され、荷電を変
換された荷電粒子ビームは、周回する荷電粒子ビームと
は別に輸送手段の方向に偏向されて、周回する荷電粒子
ビームの周回軌道から取り出される。従来の出射用偏向
器を用いないで荷電変換された荷電粒子ビームを偏向さ
せるから、出射用偏向器の端部に荷電粒子が衝突して失
われることもなく、出射効率を高くすることができる。
また、従来の出射用偏向器を用いないので、円形加速器
の出射部を小さくでき、円形加速器全体を小型化でき
る。
【0010】請求項2の円形加速器の特徴は、荷電粒子
ビームの荷電を変換する荷電変換薄膜と、荷電を変換さ
れた荷電粒子ビームを輸送手段の方向に偏向する偏向手
段とを有することにある。請求項2の円形加速器も請求
項1と同様の作用を発揮するとともに、共鳴の安定限界
が実質的に一定なので、共鳴の安定限界を越えた荷電粒
子ビームの軌道勾配も実質的に一定に保たれ、荷電粒子
ビームが荷電変換薄膜に入射する位置もほぼ一定に保た
れる。このため、荷電変換薄膜の端部に衝突しないの
で、通過した荷電粒子ビームの進行方向は通過前と変わ
らず、出射ビームの軌道勾配は実質的に一定に保たれ
る。従って、出射ビームが真空ダクトとの衝突により失
われることもなく輸送ダクトに移動する。従って、請求
項1よりも出射効率がよい。
【0011】請求項3の円形加速器の特徴は、4極電磁
石のうちの1つが偏向手段として用いられることにあ
る。請求項3の円形加速器も請求項2と同様の作用を発
揮する。偏向手段として用いられる4極電磁石によっ
て、周回する荷電粒子ビームは周回軌道に戻されるが、
荷電を変換された荷電粒子ビームは輸送ダクトの方向に
偏向されて出射される。従来の出射用偏向器を用いない
ので、出射用偏向器の端部に荷電粒子が衝突して失われ
ることもなく、出射効率を高くすることができる。請求
項4の円形加速器の特徴は、周回する荷電粒子ビームは
負イオンビームであり、荷電変換薄膜は、負イオンビー
ムから電子を奪って正イオンビームに変換する荷電変換
薄膜であり、偏向手段は、周回する荷電粒子ビームに対
して収束作用をもつ4極電磁石であることにある。請求
項4の円形加速器も請求項3と同様の作用を発揮する。
【0012】請求項5の円形加速器の特徴は、周回する
荷電粒子ビームは正イオンビームであり、荷電変換薄膜
は、正イオンビームから電子を奪ってより荷電数の大き
な正イオンビームに変換する荷電変換薄膜であり、偏向
手段は、周回する荷電粒子ビームに対して発散作用をも
つ4極電磁石であることにある。請求項5の円形加速器
も請求項3と同様の作用を発揮する。
【0013】請求項6の円形加速器の特徴は、荷電変換
手段は、真空ダクトと輸送ダクトとの結合部の荷電粒子
ビームの周回方向における上流に設けられ、4極電磁石
のうち第1の4極電磁石は、前記結合部の下流に設けら
れ、偏向手段が、荷電変換手段と第1の4極電磁石との
間に設けられ、偏向手段は4極電磁石のうち第2の4極
電磁石であって、周回する荷電粒子に対して第1の4極
電磁石と逆の作用をもつものであることにある。請求項
6の円形加速器も請求項3と同様の作用を発揮する。
【0014】請求項7の円形加速器の特徴は、ベータト
ロン振動振幅増加手段は、高周波信号が印加されること
によって高周波電磁界を発生し、荷電粒子ビームのベー
タトロン振動振幅を増加する高周波印加手段であること
にある。高周波信号が印加されたベータトロン振動振幅
増加手段が発生する高周波電磁界によって、荷電粒子ビ
ームはベータトロン振動振幅を増加する。請求項7の円
形加速器も請求項1と同様の作用を発揮する。
【0015】請求項8の円形加速器の特徴は、高周波信
号は、荷電粒子ビームのベータトロン振動に同期する周
波数成分を含む高周波信号であることにある。請求項1
0の円形加速器も請求項1と同様の作用を発揮する。
【0016】請求項9の円形加速器の特徴は、ベータト
ロン振動振幅増加手段が、高周波信号の周波数を偏向電
磁石の磁場強度に基づいて定める手段を有することにあ
り、高周波信号の周波数が偏向電磁石の磁場強度に基づ
いて定められる。請求項9の円形加速器も請求項1と同
様の作用を発揮する。
【0017】請求項10の円形加速器の特徴は、ベータ
トロン振動振幅増加手段は、高周波信号の大きさを周回
軌道から取り出された荷電粒子ビームの電流値に基づい
て定める手段を有することにあり、高周波信号の大きさ
が周回軌道から取り出された荷電粒子ビームの電流値に
基づいて決まるので所望の電流値の荷電粒子ビームを取
り出すことができる。
【0018】請求項11の円形加速器の運転方法の特徴
は、共鳴状態になった荷電粒子ビームの荷電を変化さ
せ、荷電が変化した荷電粒子ビームを周回軌道から取り
出すことにある。請求項11の円形加速器の運転方法も
請求項1と同様の作用を発揮する。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施例1)本発明の第1の実施例を以下に説明する。
本実施例は、周回する水素の負イオンビーム(H~ ビー
ム)を正イオンビーム(H+ ビーム)に変換して出射す
る。図1に、本実施例の円形加速器111を示す。円形
加速器111は、H~ ビームを入射エネルギーまで加速
する前段円形加速器16,H~ ビームを円形加速器11
1へ輸送する入射ビーム輸送系17,入射ビーム輸送系
17から円形加速器111へH~ ビームを入射する入射
器15,H~ ビームを囲む真空ダクト53,周回するH
~ ビームにエネルギーを与える高周波加速空胴8,H~
ビームの軌道を曲げる偏向電磁石2,H~ ビームのベー
タトロン振動を変化させる発散用4極電磁石5および収
束用4極電磁石6,H~ ビームに共鳴を励起するための
6極電磁石9,H~ ビームのベータトロン振動振幅を増
加させる高周波印加装置14,周回するH~ ビームをH
+ ビームに荷電変換する荷電変換薄膜3,H+ ビームを
円形加速器111の外部に輸送する輸送ダクト102を
備える。荷電変換薄膜3はベリリウム製で、真空ダクト
53内に設置されている。荷電変換薄膜3は荷電粒子の
2個の電子を失わせるものである。周回するH~ ビーム
の進行方向における荷電変換薄膜3の下流には、上記し
た収束用4極電磁石6の1つと、輸送ダクト102と真
空ダクト53の結合部を設置する。収束用4極電磁石6
は、円形加速器111を周回するH~ ビームに対しては
収束作用を発揮するが、H+ ビームに対しては逆の発散
作用を発揮する。以下では、荷電変換薄膜3から、収束
用4極電磁石6の1つと、輸送ダクト102と真空ダク
ト53の結合部が設置されている部分までを出射部10
0と呼ぶ。出射部100の下流に発散用4極電磁石5を
設置してある。
【0020】図4に高周波印加装置14の構造を図4に
示す。高周波印加装置14は、水平方向に平行に並べた
平板電極25,26,平板電極25,26にそれぞれ接
続された高周波電源24および負荷抵抗23を備える。
高周波電源24からの高周波電力を電極25,26に印
加すると、電極間に高周波電磁界が発生する。この高周
波電磁界によってH~ ビームのベータトロン振動の振幅
が増加する。負荷抵抗23は、印加した高周波電力が電
極端部から電源側に反射しないように接続している。
【0021】図5に高周波印加装置14の高周波電源2
4を示す。高周波電源24は、高周波信号を発振する発
振器200,発振器200から出力された高周波信号を
増幅する増幅器205を備える。発振器200は周波数
制御装置201および磁場測定装置202を有し、増幅
器205はビーム電流測定装置203および増幅度制御
装置204を有する。
【0022】発振器200は、frev・(n±νd)の周波
数を含む帯域が数10kHzの高周波信号を発生させる。
ただし、frevはH~ ビームの周回周波数、nは正の整
数、νdはチューンの小数部である。H~ イオンビーム
の周回周波数frev は、H~ ビームの運動量によって決
まる。H~ ビームの運動量は、偏向電磁石2や発散用4
極電磁石5および収束用4極電磁石6の磁場強度と比例
関係がある。磁場測定装置202は、これらの電磁石の
磁場強度を図示しないセンサーで測定し、周波数制御装
置201に出力する。周波数制御装置201は電磁石の
磁場強度に基づいて求めた周回周波数frevと、予め入力
されているnおよびνd とから発振周波数を定め、発振
器200に出力する。
【0023】出射ビームの電流値は、高周波電源24か
ら出力される高周波電力の大きさによって変えられる。
また、高周波電力の大きさによって、後述するベータト
ロン振動振幅の変位も変えられる。ビーム電流測定装置
203は、図示しないセンサーで出射ビームの強度を測
定し、増幅度制御装置204に出力する。増幅度制御装
置204はその測定値に基づいて、所望の出射ビームの
強度および所望のベータトロン振動振幅の変位が得られ
る増幅度を求め、増幅器205に出力する。この増幅度
にしたがって増幅器205は、高周波信号を増幅し、高
周波電力を高周波印加装置14に出力する。
【0024】円形加速器111を用いた荷電粒子ビーム
の出射を以下に説明する。
【0025】初めに、入射過程を説明する。イオン源
(図示せず)で作られた水素の負イオン(H~ )は、前
段円形加速器16で入射エネルギーまで加速され、入射
ビーム輸送系17を通って、入射器15から円形加速器
111に入射される。入射されたH~ は、偏向電磁石2
と発散用4極電磁石5および収束用4極電磁石6の働き
により、設計軌道のまわりをベータトロン振動しながら
周回する。
【0026】次に、H~ ビームの加速過程を説明する。
入射と加速の過程でH~ ビームを安定に周回させるに
は、円形加速器一周あたりのベータトロン振動数(チュ
ーン)が共鳴を生じない値にしておく必要がある。本実
施例では水平方向チューンνxを1.75,垂直方向チ
ューンνyを1.25になるように発散用4極電磁石5
および収束用4極電磁石6を調整しておく。さらに、偏
向電磁石2及び発散用4極電磁石5および収束用4極電
磁石6、磁場強度の比を一定に保ちながら、磁場強度を
増加する。加えて、高周波加速空胴8からの高周波の周
波数を大きくすることにより、目標エネルギーまでH~
ビームを加速する。ただし、H~ イオンを加速する際に
は、磁場強度が大き過ぎると電磁石中でH~ イオンの荷
電変換が起こるので、荷電変換が起こらない磁場強度に
調整する。
【0027】次に、出射過程を説明する。出射過程で
は、H~ ビームのベータトロン振動の共鳴を利用する。
ベータトロン振動の共鳴は、チューンが整数±1/3か
整数+1/2で生じるため、本実施例では、発散用4極
電磁石5および収束用4極電磁石6を用いて、水平方向
チューンνxを共鳴を発生する値1.6666 に近付け
る。同時に、6極電磁石9を励磁して、共鳴の安定限界
の大きさを予め決めておいた大きさにする。共鳴の安定
限界の大きさは、周回中のH~ ビームのうちベータトロ
ン振動振幅が大きい粒子が共鳴の安定限界内に納まる程
度にしておくが、その値は、あらかじめ計算で求める
か、出射の運転の繰り返しを通じて求める。出射の過程
では、発散用4極電磁石5,収束用4極電磁石6および
6極電磁石9の励磁量をほぼ一定に保って、共鳴の安定
限界の大きさをほぼ一定に保つ。
【0028】高周波印加装置14で、前述したベータト
ロン振動の周波数を含む高周波信号を印加する。これに
より、H~ ビームのベータトロン振動の振幅が増加す
る。
【0029】次に、出射部100において、ベータトロ
ン振動の振幅が増加したH~ ビームが出射される様子を
図6を用いて説明する。
【0030】ベータトロン振動の振幅が増加して、安定
限界の外側に移動したH~ イオン粒子は共鳴状態にな
り、ベータトロン振動振幅を急激に更に増加する。この
とき、共鳴の安定限界はほぼ一定なので、周回するH~
ビームの中心軌道に対する共鳴の安定限界を越えたH~
イオンの進行方向の変位(軌道勾配)もほぼ一定に保た
れる。従って、H~ イオンが薄膜を通過する位置もほぼ
一定に保たれる。本実施例では、荷電変換薄膜3の下端
部からおよそ5mmから10mmの範囲をH~ イオンが通過
するように、前述した高周波電源24から出力される高
周波電力の大きさを定めておく。荷電変換薄膜3を通過
する際に、H~ イオンは荷電変換されてH+ イオンとな
る。H+ ビームは、収束用4極電磁石6の発散作用によ
り円形加速器111の外周側へ偏向される。H~ イオン
は荷電変換薄膜3の下端部に衝突しないので、通過した
+ イオンの進行方向は通過前と変わらない。すなわ
ち、出射ビーム50の軌道勾配もほぼ一定に保たれる。
出射ビーム50は、真空ダクト53から輸送ダクト10
2に移動する。
【0031】以上で説明したように、本実施例において
は、出射ビーム50の軌道勾配はほぼ一定に保たれるの
で、出射ビーム50が真空ダクト53との衝突により失
われることもなく輸送ダクト102に移動する。従っ
て、出射効率を高くすることができる。また、出射用偏
向器を用いないで、従来から設置してある収束用4極電
磁石6を利用して荷電変換された荷電粒子ビームを偏向
させるから、出射用偏向器の端部に荷電粒子が衝突して
失われることもなく、出射効率を高くすることができ
る。
【0032】また、出射用偏向器を用いないでビームを
出射できるので、出射部100を小型化できる。従っ
て、円形加速器全体も小型化することができる。
【0033】本実施例では、ベリリウム製の荷電変換薄
膜3を使用しているが、炭素製あるいはアルミニウム製
等の薄膜でもよい。また、高周波印加装置14に平行平
板電極25,26を使用しているが棒状電極でもよい。
【0034】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
の円形加速器112を図7を用いて説明する。第1の実
施例の円形加速器111との違いは、周回する荷電粒子
が炭素の4価陽イオン(C4+イオン)であること、およ
び共鳴励起用の6極電磁石を使用しないで、高周波のみ
でビームのベータトロン振動を増加する点である。ま
た、収束用4極電磁石6と発散用4極電磁石5を入れ替
えて配置した。
【0035】運転方法は実施例1とほぼ同様である。た
だし、本実施例では、加速過程と出射過程でのチューン
の変更は行わず、同じ値にしておく。また、実施例1で
は高周波印加装置14からfrev・(n±νd)の周波数を
含む帯域が数10kHzの高周波をビームに印加したが、
本実施例ではfrev・(n±νd) の高周波を印加する。こ
のようなベータトロン振動に共鳴する周波数の高周波を
荷電粒子ビームに印加すると、荷電粒子ビームのベータ
トロン振動振幅が急激に増加する。従って、実施例1で
6極電磁石を励起して共鳴の安定限界の大きさを変化さ
せなくても、荷電粒子ビームを出射することができる。
【0036】周回するC4+イオンは、出射過程でベータ
トロン振動振幅を増加して荷電変換薄膜3に当たり、炭
素の6価陽イオン(C6+イオン)に荷電変換される。C
6+ビームは、発散用4極電磁石5の発散作用により円形
加速器111の外周側へ偏向され、出射ビームとなる。
このとき、発散用4極電磁石5は、C6+ビームと周回す
るC4+ビームの両方に対して発散作用を発揮するが、C
6+ビームの偏向角はC4+ビームの偏向角より大きい。従
って、C4+ビームは出射部100の下流の収束用4極電
磁石6によって収束され、周回ビームの軌道に戻るが、
6+の出射ビームは、真空ダクト53から輸送ダクト1
02に移動する。
【0037】本実施例によれば、実施例1と同様に出射
効率を高くすることができるとともに、出射部100を
小型化できる。また、6極電磁石を用いないので、実施
例1の円形加速器よりも全体を小型化できる。
【0038】
【発明の効果】請求項1の円形加速器によれば、従来の
出射用偏向器を用いないで荷電変換された荷電粒子ビー
ムを偏向させるから、出射用偏向器の端部に荷電粒子が
衝突して失われることもなく、出射効率を高くすること
ができる。また、従来の出射用偏向器を用いないので、
円形加速器の出射部を小さくでき、円形加速器全体を小
型化できる。請求項7,8,9および11も請求項1と
同様の効果を生じる。
【0039】請求項2の円形加速器によれば、荷電変換
薄膜の端部に衝突しないので、通過した荷電粒子ビーム
の進行方向は通過前と変わらず、出射ビームの軌道勾配
は実質的に一定に保たれる。従って、出射ビームが真空
ダクトとの衝突により失われることもなく輸送ダクトに
移動する。従って、請求項1よりも出射効率がよい。請
求項3,4,5および6も請求項2と同様の効果を生じ
る。
【0040】請求項10の円形加速器によれば、請求項
1と同様の効果を生じるとともに、高周波信号の大きさ
が周回軌道から取り出された荷電粒子ビームの電流値に
基づいて決まるので所望の電流値の荷電粒子ビームを取
り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の円形加速器111を示
す図である。
【図2】従来の薄膜を用いたビームの出射を示す図であ
る。
【図3】従来の出射用偏向器を用いたビームの出射を示
す図である。
【図4】高周波印加装置14を示す図である。
【図5】高周波電源24を示す図である。
【図6】出射部100を示す図である。
【図7】第2の実施例の円形加速器112を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…電磁石、2…偏向電磁石、3…荷電変換薄膜、5…
発散用4極電磁石、6…収束用4極電磁石、8…高周波
加速空胴、9…6極電磁石、14…高周波印加装置、1
5…入射器、16…前段円形加速器、17…入射ビーム
輸送系、23…負荷抵抗、24…高周波電源、25,2
6…平板電極、50…出射ビーム、52…出射用偏向
器、53…真空ダクト、100…出射部、111,11
2…円形加速器、200…発振器、201…周波数制御
装置、202…磁場測定装置、203…ビーム電流測定装
置、204…増幅度制御装置、205…増幅器。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子ビームを周回軌道に沿って周回さ
    せる手段、共鳴の安定限界の外側で前記荷電粒子ビーム
    のベータトロン振動を共鳴状態にする手段、前記共鳴の
    安定限界内の荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を
    増加させて、前記共鳴の安定限界内の荷電粒子ビームを
    前記共鳴の安定限界外に移動させるベータトロン振動振
    幅増加手段、および荷電粒子ビームを円形加速器の外部
    に輸送する輸送手段を備えた円形加速器において、 前記荷電粒子ビームの荷電数を変換する荷電変換手段
    と、前記荷電数を変換された荷電粒子ビームを前記輸送
    手段の方向に偏向する偏向手段とを有することを特徴と
    する円形加速器。
  2. 【請求項2】荷電粒子ビームを取り囲む真空ダクト、前
    記荷電粒子ビームの周回軌道に沿って設けられた偏向電
    磁石、4極電磁石および高周波加速空胴、共鳴の安定限
    界の外側で前記荷電粒子ビームのベータトロン振動を共
    鳴状態にする共鳴励起用電磁石、前記荷電粒子ビームの
    取り出し時において前記共鳴の安定限界を実質的に一定
    にするために、前記4極電磁石の励磁量を制御する制御
    手段及び前記共鳴励起用電磁石の励磁量を制御する制御
    手段、前記共鳴の安定限界内の荷電粒子ビームのベータ
    トロン振動振幅を増加させて、前記共鳴の安定限界内の
    荷電粒子ビームを前記共鳴の安定限界外に移動させるベ
    ータトロン振動振幅増加手段、および前記真空ダクトに
    結合されて、荷電粒子ビームを円形加速器の外部に輸送
    する輸送ダクトを備えた円形加速器において、 荷電粒子ビームの荷電数を変換する荷電変換薄膜と、前
    記荷電数を変換された荷電粒子ビームを前記輸送手段の
    方向に偏向する偏向手段とを有することを特徴とする円
    形加速器。
  3. 【請求項3】前記偏向手段は前記4極電磁石のうちの1
    つであることを特徴とする請求項2の円形加速器。
  4. 【請求項4】前記周回する荷電粒子ビームは負イオンビ
    ームであり、前記荷電変換薄膜は、負イオンビームから
    電子を奪って正イオンビームに変換する荷電変換薄膜で
    あり、前記偏向手段は、前記周回する荷電粒子ビームに
    対して収束作用をもつ前記4極電磁石のうちの1つであ
    ることを特徴とする請求項2の円形加速器。
  5. 【請求項5】前記周回する荷電粒子ビームは正イオンビ
    ームであり、前記荷電変換薄膜は、正イオンビームから
    電子を奪ってより荷電数の大きな正イオンビームに変換
    する荷電変換薄膜であり、前記偏向手段は、前記周回す
    る荷電粒子ビームに対して発散作用をもつ前記4極電磁
    石のうちの1つであることを特徴とする請求項2の円形
    加速器。
  6. 【請求項6】前記荷電変換手段は、前記真空ダクトと前
    記輸送ダクトとの結合部の前記荷電粒子ビームの周回方
    向における上流に設けられ、前記4極電磁石のうち第1
    の4極電磁石は、前記結合部の前記周回方向における下
    流に設けられ、前記偏向手段が、前記荷電変換手段と前
    記第1の4極電磁石との間に設けられ、前記偏向手段は
    前記4極電磁石のうち第2の4極電磁石であって、前記
    周回する荷電粒子ビームに対して前記第1の4極電磁石
    と逆の作用をもつものであることを特徴とする請求項2
    の円形加速器。
  7. 【請求項7】前記ベータトロン振動振幅増加手段は、高
    周波信号が印加されることによって高周波電磁界を発生
    し、前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加
    する高周波印加手段である請求項1または2の円形加速
    器。
  8. 【請求項8】前記高周波信号は、前記荷電粒子ビームの
    ベータトロン振動に同期する周波数成分を含む高周波信
    号である請求項9の円形加速器。
  9. 【請求項9】前記ベータトロン振動振幅増加手段は、前
    記高周波信号の周波数を偏向電磁石の磁場強度に基づい
    て定める手段を有することを特徴とする請求項7の円形
    加速器。
  10. 【請求項10】前記ベータトロン振動振幅増加手段は、
    前記高周波信号の大きさを前記周回軌道から取り出され
    た荷電粒子ビームの電流値に基づいて定める手段を有す
    ることを特徴とする請求項7の円形加速器。
  11. 【請求項11】荷電粒子ビームを周回軌道に沿って周回
    させ、前記荷電粒子ビームの取り出し時において前記共
    鳴の安定限界内の荷電粒子ビームのベータトロン振動振
    幅を増加させて、前記共鳴の安定限界内の荷電粒子ビー
    ムを前記共鳴の安定限界外に移動させ、共鳴状態になっ
    た前記荷電粒子ビームを前記周回軌道から取り出す円形
    加速器の運転方法において、 前記共鳴状態になった前記荷電粒子ビームの荷電数を変
    化させ、前記荷電数が変化した前記荷電粒子ビームを周
    回軌道から取り出すことを特徴とする円形加速器の運転
    方法。
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