JPH1064697A - プラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理装置

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JPH1064697A
JPH1064697A JP8229393A JP22939396A JPH1064697A JP H1064697 A JPH1064697 A JP H1064697A JP 8229393 A JP8229393 A JP 8229393A JP 22939396 A JP22939396 A JP 22939396A JP H1064697 A JPH1064697 A JP H1064697A
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JP
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antenna
power
discharge vessel
plasma processing
plasma
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JP8229393A
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Inventor
Kenichi Takagi
憲一 高木
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Canon Anelva Corp
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Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 13.56MHz以上の高周波電力を用いる
ときアンテナのインピーダンスを低く抑え、アンテナで
の電力損失を低減し、プラズマ生成効率を向上し、プロ
セス特性とプロセス速度を両立したプラズマ処理装置を
提供する。 【解決手段】 電力導入窓11を備える放電容器13と、放
電容器と連通される真空容器15と、放電容器内に高周波
電力を供給するアンテナを備えたプラズマ生成機構と、
放電容器等内を減圧する排気機構と、放電容器等内に反
応ガスを導入するガス導入機構と、真空容器内に設置さ
れる基板保持機構を備え、さらに、アンテナ100 が、環
状であって電力導入窓の周囲に配置され、かつ電力導入
窓に対する投影面積が小さくなるように形成され、電気
的に並列接続された等しい長さの複数の通電経路101-10
4 で構成され、複数の通電経路の各々が電力導入窓の大
気側の表面に沿って配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ処理装置に
関し、特に、主にプラズマCVDやプラズマエッチング
に応用されるプラズマ処理装置の誘導結合型プラズマ源
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の誘導結合型プラズマ処理装置は、
処理すべき基板が内部に配置された真空容器と、真空容
器の上側に取り付けられた放電容器を備える。放電容器
は、側部周囲壁を形成する誘電体製の電力導入窓と、こ
の電力導入窓の一方の端部を閉じる電極と、電力導入窓
の周囲に配置され、放電容器内に高周波電力を供給する
環状アンテナから構成される。放電容器の下部は開放さ
れ、上記真空容器の内部空間に通じている。放電容器の
内部空間にはプラズマが生成される。当該放電容器は誘
導結合型プラズマ源を構成する。真空容器内に配置され
る基板は、放電容器の下部開口部を通して、その内部空
間に生成されるプラズマに臨む。基板はプラズマに含ま
れる活性種によって処理される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】誘導結合型のプラズマ
処理装置について、本発明者は先に、放電容器の内側壁
面のスパッタを防止し、基板処理中の汚染をなくし、放
電容器の耐久性と安全性を高めたプラズマ処理装置を提
案した(特願平7−27582号)。当該プラズマ処理
装置を図9〜図12を参照して説明する。
【0004】図9で、プラズマ処理装置の構成を説明す
る。プラズマ処理装置は、誘電体製で円筒状電力導入窓
51を備える。電力導入窓51は、例えば内径φ420
mm、高さ100mmであり、その上方の端部は、導電
性で接地電位に保持された電極52により閉じられてい
る。電力導入窓51と電極52により放電容器53が形
成され、その内部空間にプラズマが生成される。放電容
器53の周囲には、環状で一巻きのアンテナ54が配置
される。また電極52はヒータ線55からなる温度調整
機構を備えている。
【0005】放電容器53は金属製の真空容器56の上
に載置され、放電容器53と真空容器56の内部は連通
し、真空槽を形成している。反応ガスは電極52または
真空容器56等から図示しないガス導入系により放電容
器52等の内部に導入される。真空容器56と放電容器
53の中を排気系により100Pa以下の圧力に維持し
た状態で、アンテナ54と電力導入窓51から例えば周
波数13.56MHzの高周波電力を導入し、放電容器
53内にプラズマを発生する。放電容器53の出口近傍
において基板保持機構57に配置された基板58の表面
は、当該プラズマ内に存在する活性種によって処理され
る。
【0006】次に図10〜図12を参照してアンテナ5
4について説明する。図10はアンテナ54の外観図で
あり、図11はC1−C1線断面図である。アンテナ5
4の断面形状は図11に示すように例えばアンテナ幅
(a)が2mm、アンテナ厚み(b)が15mmの矩形
である。通常、誘導結合型プラズマ処理装置のプラズマ
源におけるプラズマとアンテナの間の電力結合は誘導結
合と容量結合からなる。アンテナ54とプラズマを等価
回路で示すと、図12のようになる。この等価回路で、
10は自己インダクタンス、Mは相互インダクタンス、
1 ,C2 はアンテナ54とプラズマの間の容量、R10
はアンテナ54の抵抗、Rp はプラズマの抵抗である。
アンテナ54自身のアンテナ両端でのインピーダンスZ
10は下記の(数1)式となる。
【0007】
【数1】
【0008】プラズマを生成した場合、アンテナ54の
等価回路はA−A’間で観測されるインピーダンスZ
10p は下記の(数2)式となる。
【0009】
【数2】
【0010】ここでアンテナ54を用いた誘導結合型プ
ラズマ源で周波数13.56MHzの高周波電力を用い
た場合には、ほぼ完全な誘導結合によるプラズマ生成を
行うことが可能である。アンテナ54では、プラズマに
対する、すなわち電力導入窓51に対するアンテナの投
影面積を、アンテナ幅を狭くしかつ一重の環状アンテナ
とすることで小さくし、容量結合C1 ,C2 を無視でき
るほど小さくすることで、ほぼ完全な誘導結合(L,
M)のみによるプラズマ生成を達成した。このとき、プ
ラズマ生成時におけるアンテナ両端の位相角の差は約9
0゜となり、プラズマ密度が上昇した。この結果から、
アンテナ54を用いると、誘導結合による効率的なプラ
ズマ生成を行える誘導結合型プラズマ源を実現できるこ
とが判明した。
【0011】次に上記プラズマ処理装置によるプロセス
特性の課題を述べる。
【0012】上記プラズマ処理装置のプロセス特性は、
導入された反応ガスの励起状態に依存する。例えば酸化
膜エッチングではフロン系ガスが用いられる。フロン系
ガスを用いる場合、分解して発生するFの原子およびイ
オンが相対的に増加したプラズマほど、プロセス特性の
1つである、酸化膜に対するマスク材の選択比が悪化す
る傾向にある。これは、プロセス特性を良好にするため
には、解離度の低いフロン系ガスのプラズマが有効であ
ることを意味している。
【0013】他方、プロセス速度を上昇させるために
は、高周波電力を上昇させ、プラズマ密度を上昇させる
ことが必要である。誘導結合プラズマの解離度は高周波
電力にほぼ比例して上昇する。従って、解離度の低いプ
ラズマが有効であるとされる上記酸化膜エッチングのご
ときプロセスでは、プロセス特性の向上とプロセス速度
の上昇との両立を図ることが難しい。これを解決するた
めには、解離度の低いプラズマを効率的に生成して、プ
ロセス特性とプロセス速度の両立を図る必要がある。
【0014】一方、生成されるプラズマの特性を制御す
る因子として高周波電力の周波数が挙げられる。誘導結
合型プラズマ源では、高周波電力の周波数を高くするこ
とにより、ガスの解離度が低いプラズマを得ることがで
きると考えられる。これは、高周波電力では1周期の時
間が短いため、1周期の間にプラズマ生成を主に担う電
子に与えるエネルギを低くすることが可能であることに
よる。
【0015】しかしながら、前述の誘導結合型プラズマ
源では、高周波電力の周波数が高くなると、アンテナ5
4の自己インダクタンスが大きくなり、アンテナ54の
インピーダンスが大きくなるので、アンテナ54での電
力損失が大きくなる。さらにアンテナ54に流れる高周
波電流が小さくなるため、高いプラズマ密度のプラズマ
を効率的に生成することができない問題がある。
【0016】本発明の目的は、上記の問題を解決するこ
とにあり、例えば13.56MHz以上の高周波電力を
用いた場合に、アンテナのインピーダンスを低く抑える
ことによりアンテナでの電力損失を低減し、プラズマ生
成効率を向上し、解離度の低いプラズマを効率的に生成
してプロセス特性とプロセス速度の両立を図ることので
きるプラズマ処理装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
プラズマ処理装置は、上記の目的を達成するために、次
のように構成される。
【0018】第1の本発明(請求項1に対応)は、電力
導入窓を備える放電容器と、放電容器の内部と連通され
る真空容器と、放電容器内に高周波電力を供給するアン
テナを備えたプラズマ生成機構と、放電容器と真空容器
の内部を減圧状態に保つ排気機構と、放電容器等の内部
に反応ガスを導入するガス導入機構と、放電容器の内部
に向けて真空容器内に設置される基板保持機構を備える
ものであって、さらに特徴的構成として、上記アンテナ
が、環状であって電力導入窓の周囲に配置され、かつ電
力導入窓に対する投影面積が小さくなるように形成さ
れ、さらに、電気的に並列接続された好ましくは等しい
長さの複数の通電経路で構成され、複数の通電経路の各
々が電力導入窓の大気側の表面に沿って配置される。
【0019】第1の本発明では、環状のアンテナが、高
周波電力の周波数との関係で決まる経路長を有するよう
に、例えば4分割された通電経路から構成され、これら
の通電経路が電気的に並列に接続されることにより、ア
ンテナ全体のインピーダンスが低減され、より高い周波
数の高周波電力の供給を可能にする。これにより、アン
テナでの電力損失を低減し、プラズマ生成効率を向上
し、解離度の低いプラズマを効率的に生成してプロセス
特性とプロセス速度の両立を達成する。
【0020】第2の本発明(請求項2に対応)は、第1
の発明の構成において、上記複数の通電経路の各々の経
路長は、各通電経路に導入される高周波電力の周波数の
波長の実質的に1/4(1/4程度)以下であることが
ことが好ましく、さらに好ましくは1/25〜1/4で
あることを特徴とする。ここで、通電経路の経路長と
は、例えば円弧形状の通電経路では好ましくは内周弧長
であり、高周波電力の周波数が200MHzであると
き、約300mm程度の長さである。
【0021】第3の本発明(請求項3に対応)は、第1
または第2の発明の構成において、好ましくは、複数の
通電経路の各々には共通な電力導入系から高周波電力が
導入されることを特徴とする。この場合、各通電経路に
導入される高周波電力の周波数は同じになるので、各通
電経路の経路長は等しくなる。
【0022】第4の本発明(請求項4に対応)は、第1
または第2の発明の構成において、好ましくは、複数の
通電経路の各々は独立な電力導入系を備えることを特徴
とする。
【0023】第5の本発明(請求項5に対応)は、第1
または第2の発明の構成において、複数の通電経路の電
力導入系が、1つの信号発生器と各通電経路ごとの位相
調整器とから構成され、各通電経路に導入される高周波
電力が位相差を有するように位相調整器で制御されるこ
とを特徴とする。
【0024】第6の本発明(請求項6に対応)は、上記
の各発明の構成において、好ましくは、複数の通電経路
で構成されるアンテナは1重ループの形態を有すること
を特徴とする。
【0025】第7の本発明(請求項7に対応)は、上記
の各発明の構成において、複数の通電経路の各々は複数
の平行な枝路によって構成されることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0027】図1〜図3を参照して第1の実施形態を説
明する。図1で、誘電体製の好ましくは円筒状の電力導
入窓11は例えば内径φが420mm、高さ100mm
である。電力導入窓11の材質としては耐熱衝撃性が強
い例えば石英が用いられる。電力導入窓11の上端の開
口部には金属製の電極12が取り付けられ、電力導入窓
11の端部を封じる真空フランジの役目を持っている。
電極12は好ましくは接地電位に保持され、また電力導
入窓側の電極表面は、ヒータ線14からなる温度調整機
構により所望温度、例えば70℃以上の温度に保持され
ている。上記の電力導入窓11と電極12は放電容器1
3を形成する。放電容器13は真空容器15の上側に固
定される。放電容器13の下側は開放され、放電容器1
3の内部空間と真空容器15の内部空間は連通されてい
る。放電容器13と真空容器15によって真空槽が形成
されている。なお真空容器15の下部は、図示例では開
放されているが、実際の装置では真空槽を形成すべく閉
じた構造をなっている。
【0028】上記電極12には、交流バイアスもしくは
直流バイアスを印加することができ、または併用するこ
ともできる。これらのバイアスにより電極13の表面を
常に正常に保つことが可能である。
【0029】また図1の構造ではガス導入機構を図示し
ていないが、ガス導入機構として例えば電極12にシャ
ワーヘッド状のガス吹出し口を設けることができる。真
空容器15の内部には基板保持機構16が配置され、基
板保持機構16の上には被処理基板17が載置される。
【0030】電力導入窓11の周囲には、電力導入窓1
1を取り囲むようにして配置された全体としてほぼ環状
の形状を有するアンテナ100が設けられる。ただしア
ンテナ100は、例えば4分割され、好ましくは等しい
長さの円弧状の通電経路101〜104から構成され
る。通電経路101〜104の各々の間隔は等しい。ア
ンテナ100の形態や構造の特徴は後で詳細に説明され
る。
【0031】上記プラズマ処理装置を動作させるために
は、真空容器15に付設された排気系により真空槽内を
所定の真空状態にした後、ガス導入系(図示せず)によ
り反応ガスを放電容器13等内に導入し、同時に真空排
気を行いながら100Pa以下の所定の減圧状態を保
つ。次に図1中で図示しない電力導入系からアンテナ1
00に高周波電力を供給し、アンテナ100から放電容
器13内に高周波電力を導入し、放電容器13内でプラ
ズマを生成する。このプラズマによって反応ガスの粒子
は活性化される。電極12に対向するように設けられた
基板保持機構16上の基板17の表面は、放電容器13
内で生成されたプラズマ中の活性種により処理される。
【0032】図2に示すように、アンテナ100の通電
経路101〜104は、円筒形の電力導入窓11の周囲
面に接近して当該周囲面に沿うように配置されている。
アンテナ100は、既に(発明の解決しようとする課
題)の欄で説明したように、アンテナ幅2mm、アンテ
ナ厚み15mmの偏平な断面を有する全体として環状の
アンテナである。換言すれば、アンテナ100(個々の
通電経路101〜104)は、電力導入窓11に対する
投影面積が小さくなるように形成されている。アンテナ
100は、本実施形態の場合4等分され、さらに各々の
アンテナ弧長(通電経路の経路長)を数十mm短くする
ことにより各通電経路101〜104が形成される。通
電経路101〜104の各々の内周弧長(経路長)は、
例えば約300mmである。なお、アンテナ100の通
電経路101〜104の内周弧長は、導入される高周波
電力の波長(または周波数)に依存して決定され、通常
では、波長の1/4程度とする。本実施形態では、給電
される高周波電力の周波数を200MHz程度としてい
る。さらに、通電経路101〜104の内周弧長は、導
入される高周波電力の波長に対して実質的に1/4であ
ればよく、実際には当該高周波電力の波長の1/4以下
であることが好ましい。さらに好ましくは通電経路10
1〜104の内周弧長は1/25〜1/4である。この
「1/25」は、高周波電力の周波数が13.56MH
zであり、使用されるアンテナの直径が1000mmで
ある場合に、電磁波速度を当該周波数で割って得られる
値と、当該アンテナの直径とに基づいて得られる数値で
ある。本実施形態の場合、共通の電力導入系18から同
じ周波数の高周波電力が各通電経路に導入されるため、
各通電経路101〜104の内周弧長は等しくなってい
る。
【0033】アンテナ100は、4つの通電経路101
〜104を1つの単位として構成されている。アンテナ
100では、各通電経路101〜104が電力導入窓1
1に沿うように同心円上で等間隔の配置になっている。
電力導入窓11の中心軸方向における通電経路101〜
104の配置位置は、電力導入窓11の側面中央とし、
接地電位である真空容器15または電極12との間で大
気放電等の異常放電が発生しない程度の配置になってい
る。通電経路101〜104と、接地電位である真空容
器15または電極12との距離は、整合回路の違い、使
用する高周波電力、高周波電力の周波数に依存して異な
る。さらに通電経路101〜104と接地電位である部
分の間にテフロン等の絶縁体を設け、大気放電の発生を
抑制し、これにより放電容器13の高さをさらに短くす
ることもできる。通電経路101〜104では、円弧部
分の一端が接地電位に保持され、円弧部分の他の一端に
は電力導入系18から同位相で等しい電力の高周波電力
が導入される。このとき、通電経路101〜104に流
れる電流の方向が、放電容器13の中心軸を中心として
同じ回転方向となるよう構成されている。
【0034】アンテナ100を電気回路として等価回路
で示すと、図3のごとくなる。図3で、Ri (i=10
1〜104)は通電経路101〜104の抵抗であり、
i(i=101〜104)は通電経路101〜104
の自己インダクタンスである。ここで、通電経路101
〜104の抵抗Ri および自己インダクタンスLi は、
それぞれ前述したアンテナ54の抵抗R10、自己インダ
クタンスL10のおよそ1/4となる。関係を示すと、下
記の(数3)式となる。
【0035】
【数3】
【0036】従って通電経路101〜104のインピー
ダンスZi (i=101〜104)は、次の(数4)式
で与えられる。ただし本実施形態では、計算の簡単化の
ため、上記の「およそ1/4」を「1/4」としてい
る。
【0037】
【数4】
【0038】またアンテナ100として図3のB−B’
の間でのインピーダンスZ100 は、次の(数5)式で与
えられる。
【0039】
【数5】
【0040】(数1)式で与えられるアンテナ54のイ
ンピーダンスZ10と、(数5)式で与えられるアンテナ
100のインピーダンスZ100 を比較すると、本実施形
態によるアンテナ100のインピーダンスは、アンテナ
10のインピーダンスの約1/16程度に低く抑えられ
ることが判る。放電容器13で、アンテナ100を用い
てプラズマを生成した場合のインピーダンスZ100pは、
(数2)式で算出されるインピーダンスZ10p の1/1
0程度の値となる。アンテナ100の両端における位相
差は89゜程度と算出され、ほぼ完全な誘導結合が達成
される。
【0041】以上の結果から、第1の実施形態によれ
ば、アンテナ100を通電経路101〜104によって
構成したため、アンテナのインピーダンスを低く抑え、
かつほぼ完全な誘導結合によるプラズマ生成機構を実現
することができる。すなわち、アンテナ100のインピ
ーダンスが低いことから、アンテナ100での電力損失
を抑制できる。さらに、アンテナに流れる高周波電流を
大きくできることから、誘導結合によるプラズマ生成の
効率を向上できる。そして、誘導結合によるプラズマ生
成で問題となる周波数の高さに比例してアンテナのイン
ピーダンスが大きくなる点も、アンテナ100によれ
ば、インピーダンスを小さくすることで対応できる。な
お上記実施形態では、アンテナ100を4分割とした
が、導入される高周波電力の周波数との関係において2
分割、3分割、または他の分割数で分割することも可能
である。
【0042】図4を参照して本発明の第2の実施形態を
説明する。図4は図2と同様な図であり、図2に示した
要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付してい
る。上記第1実施形態では、1つの電力導入系18から
出力した高周波電力を4つに分割し、通電経路101〜
104の各々に導入した。これに対して第2実施形態で
は、図4に示すように、通電経路101〜104のそれ
ぞれに1つの電力導入系18a〜18dを設けるように
した。この実施形態の場合には、各電力導入系の電源を
通電経路101〜104に実質的に直結し、高周波電力
を給電するための電流通路長を短くすることができ、こ
れにより、全体の電流通路におけるジュール損失を小さ
くすることができる。なおこの実施形態では、各電力導
入系18a〜18dから出力される高周波電力の周波数
を等しいものとしている。この場合には各通電経路10
1〜104の経路長は等しくなる。また各電力導入系1
8a〜18dから出力される高周波電力の周波数を異な
らせることも可能である。この場合には、通電経路10
1〜104の経路長は、各々に導入される高周波電力の
周波数に応じて前述の通りに決められる。
【0043】図5を参照して本発明の第3の実施形態を
説明する。図5は図2と同様な図であり、図2に示した
要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付してい
る。本実施形態では、1つの信号発信器19から複数の
位相調整器20a〜20dの各々を経由して複数の増幅
回路21a〜21dに信号を送り、その信号を増幅回路
21a〜21dで増幅して通電経路101〜104の各
々に高周波電力を導入している。第3の実施形態の構成
によれば、増幅回路21a〜21dに入力される、信号
発信器19からの信号の位相を、位相調整器20a〜2
0dで制御することで、各増幅回路21a〜21dから
各通電経路101〜104に導入される高周波電力の位
相を制御している。従って各通電経路101〜104に
導入された高周波電力の位相を最適化でき、プラズマ生
成の最適化を図ることができる。
【0044】図6〜図8を参照して本発明の第4の実施
形態を説明する。図6は第4実施形態の要部の外観図で
ある。本実施形態では、第1実施形態と同様に、4つの
通電経路201〜204を電力導入窓11の大気側の表
面に沿って配置することによってアンテナ200を構成
する。第1実施形態と相違する特徴的な構造は、図6か
ら明らかなように、通電経路201〜204の各々が好
ましくは平行な円弧状枝路1a〜1eを有するように形
成されることである。
【0045】図6では通電経路201のみの構造を示し
ているが、通電経路202〜204も同じ構造を有す
る。通電経路201は、電力導入窓11の表面に沿って
5つの円弧状枝路1a〜1eが一定の間隔をあけて平行
に積み重ねられた状態で配置されている。各円弧状経路
1a〜1eの一端には電力分岐枝路2a〜2e、他端に
は接地分岐枝路3a〜3eが設けられる。電力分岐枝路
2a〜2eは電力導入部22に接合されており、電力導
入部22から導入される電力が5つの電力分岐枝路2a
〜2eに等分に分配される。接地分岐枝路3a〜3e
は、接地集合部23に接合され、接地電位に保持され
る。
【0046】上記アンテナ200の平面形状を図7に示
す。平面形状は図2で示した第1実施形態の場合と同じ
であり、1つの電力導入系18から、アンテナ200を
構成する複数の通電経路201〜204の各々に同じ高
周波電力が供給される。
【0047】電力導入部22の電力導入点Cから接地集
合部23の接地点Dに至るその間の経路は各円弧状枝路
1a〜1eを経由する経路であり、その経路長は、導入
される高周波電力の波長の1/4程度とした。円弧状枝
路1a〜1eの各々は、断面形状に関して、第1の実施
形態で説明された通電経路101〜104と実質的に同
じ寸法の形状を有している。かかる第4実施形態の構造
により、各円弧状枝路1a〜1eに導入される高周波電
力は、実質的に同位相で等しい高周波電力である。
【0048】通電経路201の等価回路を図8に示す。
ここで、R201-i (i=1〜5)は円弧状枝路1a〜1
eの抵抗であり、L201-i (i=1〜5)は円弧状枝路
1a〜1eの自己インダクタンスである。ここで、本実
施形態に示した円弧状枝路1a〜1eの抵抗R201-i
自己インダクタンスL201-i は、それぞれ、アンテナ5
4の抵抗R10と自己インダクタンスL10のおよそ1/4
となり、次の(数6)式でその関係を表すことができ
る。
【0049】
【数6】
【0050】従って、通電経路201の円弧状枝路1a
〜1eを経由する電力導入点Cから接地集合部23の接
地点Dの間の最短通電路のインピーダンスZ201-i は、
次の(数7)式で与えられる。ただし本実施形態での計
算でも、第1実施形態の場合と同様に、上記「およそ1
/4」を「1/4」として行っている。
【0051】
【数7】
【0052】上記の場合において、通電経路201のE
−E’間で観測されるインピーダンスZ201 は、次の
(数8)式で与えられる。
【0053】
【数8】
【0054】先に述べたように通電経路202〜204
は通電経路201と同一である。通電経路201〜20
4を並列に接続したアンテナ200のインピーダンスZ
200は、次の(数9)式で与えられる。
【0055】
【数9】
【0056】前述したアンテナ54のインピーダンスZ
10と、(数9)式のインピーダンスZ200 とを比較する
と、本実施形態によるアンテナ200のインピーダンス
200 はアンテナ54の約1/80程度となり、第1の
実施形態に比較してもさらに低く抑えることができる。
このアンテナ200を用いてプラズマを生成した場合に
は、(数2)式で算出されたインピーダンスZ10p の1
/60程度の値となる。またアンテナ200の両端にお
ける位相差は89゜程度と算出され、ほぼ完全な誘導結
合も達成することできる。
【0057】以上の結果から、第4の実施形態を用いる
ことにより、アンテナのインピーダンスを第1実施形態
よりもさらに低く抑えることできる。アンテナでの電力
損失を抑制し、アンテナに流れる高周波電流を大きくす
ることで、誘導結合によるプラズマ生成効率を向上でき
る。また誘導結合によるプラズマ生成で問題となる周波
数の高さに比例してアンテナのインピーダンスが大きく
なる点も、より低いインピーダンスを実現できることか
ら、プラズマの生成効率を高い周波数の高周波電力に対
しても維持できる。本実施例では、通電経路201〜2
04を4分割とした例を示したが、第1実施形態の場合
と同様に分割数は任意に設定できる。
【0058】なお、上記第4実施形態に対して前述の図
4および図5に示した構成を組み合わせることが可能で
ある。
【0059】上記の実施形態は次のように変更すること
ができる。1重ループ形態の環状アンテナを用いる代わ
りに多重ループ形態の環状のアンテナを用いることがで
きる。13.56MHz以上の高い周波数の高周波電力
に対して適用する場合を説明したが、それよりも低い周
波数の高周波電力を用いることも可能である。放電容器
13内に磁場を形成する磁場形成機構を設け、プラズマ
の効率的な維持を図ることも可能である。また円筒状の
電力導入窓を用いた例を示したが、矩形または多角形状
の筒となった放電容器に対しても適用可能である。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、誘導結
合型プラズマ処理装置の誘導結合型プラズマ源に本発明
のアンテナ構造を適用することで、当該プラズマ源のア
ンテナのインピーダンスを低くでき、アンテナでの電力
損失を低減でき、プラズマ生成機構をほぼ完全な誘導結
合によるものとすることができる。これにより、誘導結
合型プラズマ源に高い周波数ので高周波電力を導入して
も、高いプラズマ生成効率を維持することができる。ま
た従来用いていた周波数の高周波電力、例えば13.5
6MHzを印加する場合に、プラズマ生成効率を向上す
ることができる。さらに、解離度の低いプラズマを効率
的に生成してプロセス特性とプロセス速度の両立を達成
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置
の一部を切り欠いた外観図である。
【図2】第1実施形態でのアンテナの平面形状と電力供
給回路を示す図である。
【図3】第1実施形態のアンテナの等価回路図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図2と同様な図
である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図2と同様な図
である。
【図6】本発明の第4の実施形態の要部を示す外観図で
ある。
【図7】第4実施形態でのアンテナの平面形状と電力供
給回路を示す図である。
【図8】第4実施形態のアンテナの等価回路図である。
【図9】従来のプラズマ処理装置の一部を切り欠いた外
観図である。
【図10】従来のアンテナの図である。
【図11】図10におけるC1−C1線断面図である。
【図12】従来のアンテナとプラズマの等価回路図であ
る。
【符号の説明】
11 電力導入窓 12 電極 13 放電容器 15 真空容器 16 基板保持機構 17 基板 100,200 アンテナ 101〜104 通電経路 201〜204 通電経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/3065 H01L 21/302 B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力導入窓を備える放電容器と、前記放
    電容器の内部と連通される真空容器と、前記放電容器内
    に高周波電力を供給するアンテナを備えたプラズマ生成
    機構と、前記放電容器と前記真空容器の内部を減圧状態
    に保つ排気機構と、前記放電容器内に反応ガスを導入す
    るガス導入機構と、前記放電容器の内部に向けて前記真
    空容器内に設置される基板保持機構を備えたプラズマ処
    理装置において、 前記アンテナは、環状であって前記電力導入窓の周囲に
    配置され、前記電力導入窓に対する投影面積が小さくな
    るように形成され、さらに、電気的に並列接続された等
    しい長さの複数の通電経路で構成され、前記複数の通電
    経路の各々は前記電力導入窓の大気側の表面に沿って配
    置されることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の通電経路の各々の経路長は、
    各通電経路に導入される高周波電力の周波数の波長の実
    質的に1/25〜1/4であることを特徴とする請求項
    1記載のプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の通電経路の各々には共通な電
    力導入系から高周波電力が導入されることを特徴とする
    請求項1または2記載のプラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】 前記複数の通電経路の各々は独立な電力
    導入系を備えることを特徴とする請求項1または2記載
    のプラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】 前記複数の通電経路の電力導入系は、1
    つの信号発生器と各通電経路ごとの位相調整器とからな
    り、各通電経路に導入される高周波電力が位相差を有す
    るように前記位相調整器で制御されることを特徴とする
    請求項1または2記載のプラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】 前記複数の通電経路で構成される前記ア
    ンテナは1重ループの形態を有することを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 【請求項7】 前記複数の通電経路の各々は複数の並列
    の枝路からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載のプラズマ処理装置。
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