JPH1061746A - ろう付け方法 - Google Patents

ろう付け方法

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Publication number
JPH1061746A
JPH1061746A JP21971196A JP21971196A JPH1061746A JP H1061746 A JPH1061746 A JP H1061746A JP 21971196 A JP21971196 A JP 21971196A JP 21971196 A JP21971196 A JP 21971196A JP H1061746 A JPH1061746 A JP H1061746A
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JP
Japan
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casing
induction heating
heating coil
frequency
brazing
Prior art date
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Application number
JP21971196A
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English (en)
Inventor
Isao Matsumoto
勲 松本
Hiroshi Sone
寛 曽根
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DKK Co Ltd
Original Assignee
Denki Kogyo Co Ltd
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Publication date
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  • General Induction Heating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケーシングを加熱する第1の高周波誘導加熱
コイルと、羽根及び連結リングを加熱する第2の高周波
誘導加熱コイルとに流す高周波電流の周波数をそれぞれ
異ならしめてそれぞれに適した適正周波数の高周波電流
とすることにより、高周波電源の損失を少なく抑えて、
効率良く高周波誘導加熱することができるようにしたろ
う付け方法を提供する。 【解決手段】 ケーシング2を加熱する渦巻形の第1の
高周波誘導加熱コイル(下部加熱コイル6)に第1の高
周波電源22より3KHz〜30KHzの高周波電流を
供給すると共に、複数の羽根3及び連結リング4を加熱
する第2の高周波誘導加熱コイル(上部加熱コイル7)
に第2の高周波電源23より60KHz〜200KHz
の高周波電流を供給することにより、ろう材を加熱溶融
させて第1及び第2の継手部A,Bにおけるろう付けを
行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機用トル
クコンバータの主要構成部材であるポンプインペラー機
構部の椀状のケーシング内に複数の羽根及び連結リング
を組付けて高周波誘導加熱によりろう付け(高周波雰囲
気ろう付け或いは高周波真空ろう付け)する方法に関す
るものである。さらに詳しくは、不活性ガス雰囲気或い
は還元性ガス雰囲気、又は真空に保持された気密容器内
に、自動変速機用トルクコンバータのポンプインペラー
機構部を構成する椀状のケーシングを被ろう付け部材と
して収納配置し、ろう材を高周波誘導加熱により加熱溶
融させることにより、前記ケーシングとこのケーシング
内の円環状領域において所定角度間隔をもって配置され
た複数の羽根との間の第1の継手部、及び、前記複数の
羽根とこれらの羽根を互いに位置決めして連結する連結
リングとの間の第2の継手部にそれぞれ流し込んでろう
付けを行なう方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、自動変速機用トルク
コンバータの主要部分を構成するポンプインペラー機構
部1は、厚鋼板から成る椀状のケーシング2と、このケ
ーシング2内の円環状領域に組込まれた薄鋼板から成る
複数の羽根3と、これらの羽根3の上部を互いに連結す
るように配設された薄鋼板から成る連結リング4とにて
構成されている。ケーシング2、複数の羽根3及び連結
リング4をろう付けするに当たっては、ケーシング2内
に複数の羽根3及び連結リング4を組込んで成るワーク
Wを気密容器5内に収容配置し、このワークWと共に図
外のろう材を高周波誘導加熱して溶融させることにより
ろう付けを行なうようにしている。すなわち、ケーシン
グ2の外側下部を高周波誘導加熱する渦巻形の第1の高
周波誘導加熱コイル(下部加熱コイル)6と、羽根3及
び連結リング4を高周波誘導加熱する渦巻形の第2の高
周波誘導加熱コイル(上部加熱コイル)7とを図6に示
す如くシリーズに結合(直列接続)し、これらの加熱コ
イル6,7に一つの高周波電源8から高周波電流を供給
することにより、ろう材を加熱溶融させてろう付けを行
なうようにしている。或いは、図示を省略したが、これ
らの加熱コイル6,7をそれぞれ別々の二つの高周波電
源に結合し、各々の高周波電源から各々の加熱コイルに
互いに同じ周波数の高周波電流を供給することにより、
ろう材を加熱溶融させてろう付けを行なう場合もある。
【0003】なお、従来においては、上述のように一電
源を使用する場合及び二電源を使用する場合の何れの場
合においても、第1及び第2の高周波誘導加熱コイル
6,7に電源を供給する高周波電源として7KHz〜1
0KHzの周波数のものを用い、これらの加熱コイル
6,7に7KHz〜10KHzの高周波電流を供給して
被加熱物の誘導加熱を行なうようにしているのが実状で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のろう付け方法におけるろう材の高周波誘導加熱
では、次のような問題点がある。すなわち、理想的なろ
う付けを行なうためにはポンプインペラー機構部1を構
成するケーシング2,羽根3及び連結リング4を同一の
昇温速度で高周波誘導加熱しなければならないが、これ
らの部材2,3,4はそれぞれ熱容量が大きく異なるた
め、第1及び第2の高周波誘導加熱コイル6,7を直列
接続して一電源から高周波電流をこれらのコイル6,7
に流すようにした方式を採用する場合には、各々の熱容
量に応じて各コイル6,7の配設位置を適宜に定める必
要がある。具体的には、ケーシング2と第1の高周波誘
導加熱コイル6との間隔を適正な所定間隔に設定する一
方、羽根3及び連結リング4と第2の高周波誘導加熱コ
イル7との間隔はこのワーク部分の負荷が軽いのでこれ
らの間の結合を良くするために前記所定間隔より小さく
設定しなければならない。しかし、羽根3及び連結リン
グ4と第2の高周波誘導加熱コイル7との間隔を小さく
設定すると、第2の高周波誘導加熱コイル7の渦巻状巻
回部分と対向するワーク部分とその他のワーク部分との
間で温度差が生じ、羽根3及び連結リング4が不均一加
熱されることとなる。そして、これに起因して、ろう材
も偏った流れ方となり、ろう付け後の羽根の変形に大き
な影響を及ぼす結果となる。
【0005】また、第1の高周波誘導加熱コイル6と第
2の高周波誘導加熱コイル7とに別々の二つの高周波電
源からそれぞれ別々に高周波電流を供給するようにした
方式の場合には、第1の高周波誘導加熱コイル6をケー
シング2に対して適正間隔をもって配置すると共に第2
の高周波誘導加熱コイル7を羽根3及び連結リング4に
対して適正間隔をもって配置した場合、既述の如く羽根
3及び連結リング4のワーク部分の負荷が軽いのでこれ
らの加熱に際しては余分な出力(エネルギー)を第2の
高周波誘導加熱コイル7に供給しなければならないとい
う問題がある。
【0006】本発明は、このような実状に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、ケーシングを加熱する第
1の高周波誘導加熱コイルと、羽根及び連結リングを加
熱する第2の高周波誘導加熱コイルとに流す高周波電流
の周波数をそれぞれ異ならしめてそれぞれに適した適正
周波数の高周波電流とすることにより、高周波電源の損
失を少なく抑えて、効率良く高周波誘導加熱することが
できるようにしたろう付け方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、不活性ガス雰囲気或いは還元性ガス
雰囲気、又は真空に保持された気密容器内に、自動変速
機用トルクコンバータのポンプインペラー機構部を構成
する椀状のケーシングを被ろう付け部材として収納配置
し、ろう材を高周波誘導加熱により加熱溶融させること
により、前記ケーシングとこのケーシング内の円環状領
域において所定角度間隔をもって配置された複数の羽根
との間の第1の継手部、及び、前記複数の羽根とこれら
の羽根を互いに位置決めして連結する連結リングとの間
の第2の継手部にそれぞれ流し込んでろう付けを行なう
方法において、厚鋼板から成る前記ケーシングを加熱す
べく前記ケーシングの外面に対応配置される渦巻形の第
1の高周波誘導加熱コイルに第1の高周波電源より3K
Hz〜30KHzの高周波電流を供給すると共に、薄鋼
板から成る前記複数の羽根及び連結リングを加熱すべく
これらの部材に対応配置される第2の高周波誘導加熱コ
イルに第2の高周波電源より60KHz〜200KHz
の高周波電流を供給することにより、ろう材を加熱溶融
させて前記第1及び第2の継手部におけるろう付けを行
なうようにしている。
【0008】また、本発明では、前記気密容器の内部を
20Torr〜760Torrの不活性ガス雰囲気或い
は還元性ガス雰囲気に保持して、前記ケーシング、複数
の羽根及び連結リングをろう材と共に誘導加熱してろう
付けを行うようにしている。
【0009】また、本発明では、前記第1及び第2の高
周波電源の電力を、前記ケーシングの重量と前記羽根及
び連結リングの総合重量との比率にほぼ応じた大きさに
設定するようにしている。
【0010】また、本発明では、前記椀状のケーシング
の開放口を上に向けた状態でワーク受け治具上に載置
し、前記第1の高周波誘導加熱コイルを前記ケーシング
の下面に対応する前記ケーシングの下部箇所に下部加熱
コイルとして配置すると共に、第2の高周波誘導加熱コ
イルを前記連結リングの上面に対応する前記連結リング
の上部箇所に上部加熱コイルとして配置するようにして
いる。
【0011】また、本発明では、前記ワーク受け治具を
回転させることにより、前記ケーシング,複数の羽根及
び連結リングの組立体から成るワークをその軸心を中心
に回転させながら前記ろう材と一緒に前記第1及び第2
の高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱するように
している。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について
図1〜図5を参照して説明する。なお、図1〜図5にお
いて、図6と共通する部分には同一の符号を付すること
とする。本実施例においては、本発明に係るろう付け方
法を施行することにより、自動車の自動変速機用トルク
コンバータの主要構成部材であるポンプインペラー機構
部1の製造(銅ろう付け)を行なうようにしている。
【0013】図1〜図3はポンプインペラー機構部(羽
根車)1の組立完成品を示すものであって、このポンプ
インペラー機構部1は、一端側に開放口10を有しかつ
他端側の中心部に開孔11を有する椀状のケーシング2
と、このケーシング2の内部の円周領域において等角度
間隔をもって配設された軟鋼製の複数枚(例えば,32
枚)の羽根3と、これらの羽根3の上部を互いに連結す
る位置決め兼補強用の連結リング4とから構成されるも
のである。なお、ケーシング2は相対的に厚い鋼板にて
構成され、羽根3及び連結リング4は相対的に薄い鋼板
にて構成されている。
【0014】上述の羽根3には図2に示すように3つの
突起12,13及び14が一体成形されており、これら
のうちの片側の一対の突起12,13がケーシング2の
径方向の2箇所に形成された凹部15,16にそれぞれ
係合された状態で、各羽根3の一端面3aがケーシング
2に当接配置されている。そして、羽根3の他端面3b
の中間箇所に一体成形された突起14が、前記連結リン
グ7の孔部17にそれぞれ挿入配置された状態となされ
ている。これにより、複数枚の羽根3は、ケーシング2
内の円環状領域において所定角度間隔をもって配置され
てこのケーシング2と連結リング4との間に一体に組付
けられると共に(図2及び図3参照)、ケーシング2の
径方向に対して所定の角度に傾斜された状態でろう付け
されるようになっている(図1参照)。
【0015】なお、図2及び図3において、Aは羽根3
とケーシング2とが互いに銅ろう付けにて結合される第
1の継手部であり、Bは羽根3と連結リング4とが互い
に銅ろう付けにて結合される第2の継手部である。ま
た、図示を省略したが、前記ケーシング2の中央箇所に
は開孔11を閉塞した状態で駆動軸が一体に結合される
ようになっている。
【0016】図4は、ポンプインペラー機構部1のケー
シング2内に複数の羽根3を組込んでろう付けを行なう
際に用いるろう付け装置20を示すものである。本実施
例のろう付け装置20は、図4に示すように、ポンプイ
ンペラー機構部1を構成する椀状のケーシング2を載置
して保持する回転式のワーク受け治具21と、内部が不
活性ガス雰囲気或いは還元性ガス雰囲気、又は真空に保
持され、ポンプインペラー機構部1の椀状のケーシング
2がワーク受け治具21の上部に位置決めされて載置さ
れた状態でその内部に収容配置される気密容器5と、ケ
ーシング2の内部に組付けられた複数の羽根3に対応す
るようにケーシング2の外側下面部分2aに対向配置さ
れる渦巻形の第1の高周波誘導加熱コイル(下部加熱コ
イル)6と、複数の羽根3及びこれらの羽根3の上部を
互いに連結する連結リング7の上方位置において連結リ
ング7ひいてはケーシング2の内側底面部分2bに対向
して配置される渦巻形の第2の高周波誘導加熱コイル
(上部加熱コイル)7と、前記第1の高周波誘導加熱コ
イル6用の第1の高周波電源22と、前記第2の高周波
誘導加熱コイル7用の第2の高周波電源23とで構成さ
れている。なお、第1の高周波電源22の電源周波数と
第2の高周波電源23の電源周波数とは互いに異なるよ
うに設定され、前者が3KHz〜30KHzであり、後
者が60KHz〜200KHzである。
【0017】上述の第1及び第2の高周波誘導加熱コイ
ル6,7は、図5に明示するように、銅パイプ材をワー
ク形状(複数の羽根3の配置形状)に合わせて渦巻状に
それぞれ巻回して成る本体部6a,7a、並びに、これ
らの本体部6a,7aの両端にそれぞれ接続されたリー
ド部6b,7bを具備している。かくして、第1の高周
波電源22からリード部6bを介して所定周波数の高周
波電流が単独に供給されると共に、第2の高周波電源2
3からリード部7bを介して所定周波数の高周波電流が
単独に供給されるように構成されている。
【0018】本例においては、前記第1及び第2の高周
波電源22,23から前記第1及び第2の高周波誘導加
熱コイル6,7にそれぞれ供給される高周波電流の周波
数は、互いに異なるように設定され、具体的には次のよ
うな範囲内の周波数に選定されるようになっている。す
なわち、第1の高周波誘導加熱コイル6には第1の高周
波電源22より3KHz〜30KHzの高周波電流が供
給されると共に、第2の高周波誘導加熱コイル7には第
2の高周波電源23より60KHz〜200KHzの高
周波電流が流されるように設定されている。
【0019】なお、これらの加熱コイル6,7は、図外
の駆動手段にて密閉容器5内において移動可能に支持さ
れており、第1の高周波誘導加熱コイル6がケーシング
2の外側部分のうち複数の羽根3に対応する下面部分2
aに対して僅かな隙間を隔てて対応配置されると共に、
第2の高周波誘導加熱コイル7がケーシング2内に組付
けられた複数の羽根3及び連結リング4の上部において
前記連結リング4に対して僅かな隙間を隔てて対応配置
されるようになっている。
【0020】ここで、本例においては上述の如く周波数
の異なる高周波電流を第1及び第2の高周波誘導加熱コ
イル6,7に供給するようにしている理由につき述べる
と、以下の通りである。まず、第1の高周波誘導加熱コ
イル6により加熱されるケーシング2と、第2の高周波
誘導加熱コイル7により加熱される羽根3及び連結リン
グ4とでは熱容量が大きく異なり、例えば、重量比でケ
ーシング2は全重量の84%であり、羽根3及び連結リ
ング7は16%である。また、羽根3及び連結リング4
は薄銅板より構成され、特に羽根3はケーシング2の底
部に対してワーク中心方向に垂直に配設されかつ第2の
高周波誘導加熱コイル7の渦巻形本体部7aの巻回方向
に対しても垂直に近い角度をもってワーク周方向に等間
隔に配設されるので、第2の高周波誘導加熱コイル7の
本体部7aが対向配置されるワークW(ポンプインペラ
ー機構部1)の上部部分の負荷が軽いことと相俟って、
第2の高周波誘導加熱コイル7とワークWの上部部分と
の間の電気的結合は良くない。このため、従来のように
7KHz〜10KHzの高周波電源により前記ワーク重
量比に相当するエネルギーを第2の高周波誘導加熱コイ
ル7へ供給しても、ケーシング2が所要温度に所定時間
で到達しても、この時点では羽根3及び連結リング4の
加熱温度は未だ所要温度に達しないという事態を生じ
る。
【0021】従って、第1及び第2の高周波誘導加熱コ
イル6,7へ10KHz以下の高周波電流を流した場合
には、板厚方向における高周波電流の浸透深さが羽根3
及び連結リング4に対して深過ぎるために電力損失が多
くなり、これらの部材3,4の温度はケーシング2と同
じ昇温速度をもって上昇せず、ワーク全体は均一な温度
に加熱されない。さらに具体的に説明すれば、第1の高
周波誘導加熱コイル6及び第2の高周波誘導加熱コイル
7をワークWに対してそれぞれ適正間隙をもって配置し
て誘導加熱した場合でも、ケーシング2,羽根3及び連
結リング4の各部材は昇温するものの、その際の昇温速
度はケーシング2のみが相対的に速く、羽根3及び連結
リング4は相対的に遅いため、ケーシング2が所要のろ
う付け温度に昇温した時点では羽根3及び連結リング4
が未だ所要のろう付け温度にまで昇温せず、これらの間
に温度差を生ずることとなる。
【0022】この温度差をなくすためにはワークWに対
する第2の高周波誘導加熱コイル7の電気的結合を良く
する必要があるが、その方策の1つとしてこの加熱コイ
ル7とワークてとの間隙(具体的には、連結リング4に
対する間隔)を適正間隔よりも小さくすることが挙げら
れる。しかし、この場合には、前記間隙を小さくするの
に伴い、第2の高周波誘導加熱コイル7の本体部7aの
巻回コイル部分に対応するワーク部分と、互いに隣接す
る巻回コイル部分間の部分に対応するワーク部分(本体
部7aの巻回コイルに対応しないワーク部分)との間で
温度差が生ずる。従って、羽根3及び連結リング4が不
均一加熱されることとなり、これに起因して、ろう材も
偏った流れ方をしてろう付け後の羽根3の変形に大きな
影響を及ぼすこととなって好ましくない。
【0023】そこで、本例においては、このような温度
差をなくすべくワークに対する第2の高周波誘導加熱コ
イル7の電気的結合を良くするための手段として、高周
波誘導加熱すべき被加熱部分の負荷に適合した周波数の
高周波電流を各加熱コイル6,7に流す方式を採用して
いる。すなわち、第1及び第2の高周波誘導加熱コイル
6,7をワークWに対して適正間隔をもって配置した状
態の下で、重い負荷のケーシング2を加熱するための第
1の高周波誘導加熱コイル6には第1の高周波電源22
(適正周波数電源)から相対的に低い3KHz〜30K
Hzの周波数の高周波電流を供給する一方、羽根3及び
連結リング4を加熱するための第2の高周波誘導加熱コ
イル7には第1の高周波電源23(適正周波数電源)か
ら相対的に高い60KHz〜200KHzの周波数の高
周波電流を供給するようにしているのである。一方、第
1及び第2の高周波電源22,23の電力は、ケーシン
グ2の重量と羽根3及び連結リング4の総合重量との比
率にほぼ応じた大きさに設定するようにしている。
【0024】このような手段を採用することにより、ケ
ーシング2と羽根3及び連結リング4との重量比に応じ
た高周波電力(エネルギー)を第1及び第2の高周波誘
導加熱コイル6,7にそれぞれ供給することが可能とな
り、これによってケーシング2と、羽根3及び連結リン
グ4とを同一の昇温速度で温度差なく能率的に加熱する
ことができ、ひいてはろう付け品質の優れたポンプイン
ペラー機構部1を製品として得ることができる。
【0025】次に、図4に示すろう付け装置20を用い
て高周波銅ろう付けを行なう際の操作工程につき説明す
る。
【0026】(1) まず、トルクコンバータのポンプ
インペラー機構部1の構成部材であるケーシング2上
に、所要膜厚の銅材金属被膜がろう材として予め形成さ
れた複数の羽根3を所定位置に載置してケーシング2の
凹部15,16内に各羽根3の突起12,13をそれぞ
れ係合させた状態で組付ける。しかる後に、連結リング
4の孔部17に各羽根3の突起14を嵌着させた状態で
この連結リング4を複数の羽根3の上部箇所に配置す
る。これにより、複数の羽根3をケーシング5と連結リ
ング7との間に位置決めした状態で組付けた組立体から
成るワークW(図2参照)を得る。
【0027】(2) 次に、このワークWを気密容器5
内(加熱時にプラズマを発生しない20Torr〜76
0Torrの不活性ガス雰囲気或いは還元性ガス雰囲
気、又は真空中)に収容して図4に示すように椀状のケ
ーシング2の開放口10を上に向けた状態でワーク受け
治具21上に載置し、図外の駆動手段にて第1の高周波
誘導加熱コイル6を前記羽根3に対応するケーシング2
の外側下面部分2aに対して僅かな間隔を隔てて対向配
置すると共に、第2の高周波誘導加熱コイル7を連結リ
ング4の上部においてこの連結リング4に対して僅かな
間隔を隔てた位置に配置し、これによりこれら両加熱コ
イル6,7間に被ろう付け部材である羽根6,連結リン
グ7及びケーシング2を所定の間隙をもって配置する。
【0028】(3) 次いで、気密容器5の蓋体(図示
せず)を閉じ、図外の真空ポンプにより気密容器2内を
所定圧力に真空引きした後、例えば窒素及び水素の混合
ガス等により気密容器5内を置換し、所要圧力とする。
そして、ワーク受け治具21をその軸心を中心に図4に
おいて矢印α方向に回転させることにより、ワーク受け
治具21上のワークWに回転を付与する。
【0029】(4) この状態の下で、第1の高周波電
源22から第1の高周波誘導加熱コイル6に3KHz〜
30KHzの周波数の高周波電流を供給すると共に、第
2の高周波電源23から第2の高周波誘導加熱コイル7
に60KHz〜200KHzの周波数の高周波電流を供
給し、ケーシング2,羽根3及び連結リング4の各部材
を所要のろう付け温度まで誘導加熱する。これに伴い、
羽根3の表面に予め形成されている銅材金属被膜が加熱
溶融されて羽根3の表面上を上下両方向に向けて流れ
(下方へは重力及び継手部Aの空隙部分の毛管作用によ
り、また上方へは継手部Bの空隙部分の毛管作用により
流れる)、所定のろう付けR(図3参照)がなされる。
【0030】(5) 所定のろう付け温度状態を所要時
間にわたって保持した後、前記両加熱コイル6,7への
通電を停止し、誘導加熱を終了する。
【0031】(6) このようにして誘導加熱が終了し
た後、ワークWを所要温度迄放冷してから、所定圧力の
窒素ガスをワークWに吹き付けて所要温度(例えば、大
気に晒しても変色を生じない200℃以下の温度)迄冷
却する。
【0032】(7) この後、真空ポンプを停止し、組
立の完了したポンプインペラー機構部1を気密容器2内
から製品として取出す。
【0033】以下に、本実施例の具体的な加工条件の1
つを例示的に記す。 加工条件の具体例 (1) ポンプインペラー機構部の寸法 〈ア〉 ケーシングの外径 : 260mm ケーシングの高さ : 65mm ケーシングの板厚 : 4mm 〈イ〉 羽根数 : 32枚 〈ウ〉 羽根の板厚 : 1.3mm 〈エ〉 連結リングの板厚 : 1.3mm (2) 羽根の被覆成形条件 〈ア〉 被膜形成方法(被覆方法) : 銅めっき法 〈イ〉 被膜の厚さ(膜厚) : 50μm (3) 気密容器内の雰囲気条件 〈ア〉 加熱時の置換ガス : 窒素+一酸化炭素(10%) 〈イ〉 加熱時の圧力 : 10Torr 〈ウ〉 冷却時加圧ガス : 窒素 〈エ〉 冷却時加圧ガス圧力 : 6kg/cm2 (4) 第1の高周波誘導加熱コイルによる加熱条件 〈ア〉 第1の高周波誘導加熱コイルに供給する高周波電流の周波数 (第1の高周波電源の周波数) : 7KHz 〈イ〉 第1の高周波電源の出力 : 135KW (5) 第2の高周波誘導加熱コイルによる加熱条件 〈ア〉 第2の高周波誘導加熱コイルに供給する高周波電流の周波数 (第2の高周波電源の周波数) : 100KHz 〈イ〉 第2の高周波電源の出力 : 25KW (6) その他の操作条件 〈ア〉 加熱時間 : 25秒 〈イ〉 保持時間 : 15秒 〈ウ〉 放冷時間 : 10秒 〈エ〉 加熱温度 : 1200℃ この加工条件により前記加工手順に従ってろう付加工す
ることにより、32枚の羽根3の全てがケーシング2及
び連結リング4に強固にろう付けされた。
【0034】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、負荷の重い厚鋼
板より構成されるケーシングを誘導加熱するための渦巻
形の第1の高周波誘導加熱コイルに第1の高周波電源よ
り3KHz〜30KHzの高周波電流を供給すると共
に、負荷の軽い薄鋼板より構成される複数の羽根及び連
結リングを誘導加熱するための第2の高周波誘導加熱コ
イルに第2の高周波電源より60KHz〜200KHz
の高周波電流を供給してろう付けを行なうようにしたも
のであるから、被加熱物の板厚に応じた適正周波数を選
定することによりケーシングの昇温速度と羽根及び連結
リングの昇温速度とをほぼ同じに設定することができ、
電力損失を少なく各々の構成部材(被ろう付け部材)を
効率良く均一に誘導加熱することができる。これによ
り、良好なろう付けを行なうことができる。
【0035】また、ろう付け作業が一旦完了した後には
気密容器を開けて製品を取り出し、次のろう付け作業を
行なう必要があり、この際には再度、気密容器内の圧力
を所定圧に設定しなければならないが、本発明によれ
ば、気密容器内の不活性ガス雰囲気或いは還元性ガス雰
囲気野圧力を比較的に高い圧力である20Torr〜7
60Torrにして高周波誘導加熱を行なうようにして
いるので、ろう付け作業時において気密容器内の圧力を
迅速に所定圧に設定でき、作業能率の向上を図ることが
できる。
【0036】また、本発明によれば、前記ワーク受け治
具を回転させることにより、前記ケーシング,複数の羽
根及び連結リングの組立体から成るワークをその軸心を
中心に回転させながら前記ろう材と一緒に前記第1及び
第2の高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱するよ
うにしているので、この回転によりワークの均一加熱が
より一層促進されることとなり、従ってワークの変形の
発生を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トルクコンバータのポンプインペラー機構部を
示す平面図である。
【図2】図1におけるX−X線拡大断面図である。
【図3】図1におけるY−Y線拡大断面図である。
【図4】ポンプインペラー機構部のケーシング,羽根及
び連結リングを高周波誘導加熱によりろう付けするのに
用いられるろう付け装置の断面図である。
【図5】上述のろう付け装置に用いられる第1及び第2
の高周波誘導加熱コイルを示す斜視図である。
【図6】従来のろう付け方法を施行するために用いられ
るろう付け装置の断面図である。
【符号の説明】
1 ポンプインペラー機構部 2 ケーシング 2a 外側下面部分 2b 内側底面部分 3 羽根 4 連結リング 5 気密容器 6 第1の高周波誘導加熱コイル(下部加熱コイル) 6a 渦巻状の本体部 7 第2の高周波誘導加熱コイル(上部加熱コイル) 7a 渦巻状の本体部 10 ケーシングの開放口 20 ろう付け装置 21 ワーク受け治具 22 第1の高周波電源 23 第2の高周波電源 A 第1の継手部 B 第2の継手部 W ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05B 6/10 331 H05B 6/10 331

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不活性ガス雰囲気或いは還元性ガス雰囲
    気、又は真空に保持された気密容器内に、自動変速機用
    トルクコンバータのポンプインペラー機構部を構成する
    椀状のケーシングを被ろう付け部材として収納配置し、
    ろう材を高周波誘導加熱により加熱溶融させることによ
    り、前記ケーシングとこのケーシング内の円環状領域に
    おいて所定角度間隔をもって配置された複数の羽根との
    間の第1の継手部、及び、前記複数の羽根とこれらの羽
    根を互いに位置決めして連結する連結リングとの間の第
    2の継手部にそれぞれ流し込んでろう付けを行なう方法
    において、厚鋼板から成る前記ケーシングを加熱すべく
    前記ケーシングの外面に対応配置される渦巻形の第1の
    高周波誘導加熱コイルに第1の高周波電源より3KHz
    〜30KHzの高周波電流を供給すると共に、薄鋼板か
    ら成る前記複数の羽根及び連結リングを加熱すべくこれ
    らの部材に対応配置される第2の高周波誘導加熱コイル
    に第2の高周波電源より60KHz〜200KHzの高
    周波電流を供給することにより、ろう材を加熱溶融させ
    て前記第1及び第2の継手部におけるろう付けを行なう
    ようにしたことを特徴とするろう付け方法。
  2. 【請求項2】 前記気密容器の内部を20Torr〜7
    60Torrの不活性ガス雰囲気或いは還元性ガス雰囲
    気に保持して、前記ケーシング、複数の羽根及び連結リ
    ングをろう材と共に誘導加熱してろう付けを行うように
    したことを特徴とする請求項1に記載のろう付け方法。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2の高周波電源の電力
    を、前記ケーシングの重量と前記羽根及び連結リングの
    総合重量との比率にほぼ応じた大きさに設定するように
    したことを特徴とする請求項1又は2に記載のろう付け
    方法。
  4. 【請求項4】 前記椀状のケーシングの開放口を上に向
    けた状態でワーク受け治具上に載置し、前記第1の高周
    波誘導加熱コイルを前記ケーシングの下面に対応する前
    記ケーシングの下部箇所に下部加熱コイルとして配置す
    ると共に、第2の高周波誘導加熱コイルを前記連結リン
    グの上面に対応する前記連結リングの上部箇所に上部加
    熱コイルとして配置するようにしたことを特徴とする請
    求項1乃至3の何れか1項に記載のろう付け方法。
  5. 【請求項5】 前記ワーク受け治具を回転させることに
    より、前記ケーシング,複数の羽根及び連結リングの組
    立体から成るワークをその軸心を中心に回転させながら
    前記ろう材と一緒に前記第1及び第2の高周波誘導加熱
    コイルにて高周波誘導加熱するようにしたことを特徴と
    する請求項4に記載のろう付け方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007172923A (ja) * 2005-12-20 2007-07-05 High Frequency Heattreat Co Ltd 誘導加熱コイル及びろう付け装置
CN103447711A (zh) * 2013-08-28 2013-12-18 黑龙江八一农垦大学 农机具触土部件等离子堆焊用耐磨合金粉末及堆焊方法
WO2015137613A1 (ko) * 2014-03-14 2015-09-17 삼성테크윈 주식회사 회전 기계의 회전부 접합 방법
CN105478989A (zh) * 2016-01-07 2016-04-13 山东齐鲁电机制造有限公司 一种空内冷汽轮发电机引出线的焊接工艺

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