JPH1060416A - 帯電防止材 - Google Patents

帯電防止材

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JPH1060416A
JPH1060416A JP22007796A JP22007796A JPH1060416A JP H1060416 A JPH1060416 A JP H1060416A JP 22007796 A JP22007796 A JP 22007796A JP 22007796 A JP22007796 A JP 22007796A JP H1060416 A JPH1060416 A JP H1060416A
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JP
Japan
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antistatic
antistatic material
acrylic acid
acid derivative
monomer component
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JP22007796A
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English (en)
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Hideaki Nagano
英明 長野
Susumu Inaoka
享 稲岡
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた帯電防止性を有すると共に、繰り返し
使用によっても帯電防止性が低下しない帯電防止材を提
供する。 【解決手段】 一般式(1) 【化11】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
メチル基を表し、R3 は水素原子または有機残基を表
し、R4 は水素原子、有機残基または対イオンを表し、
nは4〜 100の整数を表す)で表されるアクリル酸誘導
体を含む単量体成分および/または該単量体成分を重合
してなる重合体から帯電防止材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な帯電防止材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、高分子材料は、成形品、シー
ト、フィルム、繊維等の種々の分野で用いられている。
そのなかでも、例えば、アクリロニトリルを主成分(85
重量%以上)とするアクリル繊維は、嵩高性、風合等、
他の合成繊維には見られない優れた特性を有する有用な
繊維である。
【0003】しかしながら、一般に、高分子材料は、電
気抵抗率が大きく、摩擦や剥離等によって容易に帯電す
る。このため、ゴミや埃を吸引して外観を損ねる等、成
形品、シート、フィルム、繊維等の種々の分野で様々な
トラブルの原因になっている。例えば、上記アクリル繊
維は、他の合成繊維と同様、静電気蓄積性が強い。この
ため、静電気発生による障害が多く、例えば、紡績およ
び編織工程での作業性の低下や、衣服の吊り上がり、埃
の吸着による汚れ等の問題を生じている。
【0004】そこで、このような帯電しやすい高分子材
料に帯電防止性を付与するために種々の検討がなされて
いる。このような方法を大別すると、(1)帯電防止剤
を高分子材料内部に練り込む方法、(2)帯電防止剤
(界面活性剤)を高分子材料表面に塗布する方法、
(3)シリコン系化合物を高分子材料表面に塗布する方
法、(4)高分子の構造を化学的に改質する方法に分類
することができる。
【0005】上記方法のなかでも、上記(4)高分子の
構造を化学的に改質する方法としては、一般的には、ア
ルキレンオキシド成分を共重合やその他の方法で導入す
る方法が用いられている。
【0006】例えば、アクリル繊維に帯電防止性を付与
するために、特公昭48−317号公報には、ポリエチ
レングリコールモノメタクリレートとアクリロニトリル
とを共重合すること、特公平6−94605号公報に
は、アルキルポリエチレングリコールアクリレートとア
クリロニトリルとを共重合することで、得られた共重合
体が帯電防止効果を示すことが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
エチレンオキシド鎖を含有する(メタ)アクリレート
は、塩基で加水分解し易い構造である。このため、洗濯
を繰り返すことで加水分解を起こし、ポリエチレングリ
コールが遊離して帯電防止性を低下させる虞れがある。
【0008】また、上記(1)帯電防止剤を高分子材料
内部に練り込む方法は、永久的な帯電防止には成功して
いない。つまり、上記方法によって得られた帯電防止材
は、帯電防止材表面に存在する帯電防止剤が洗浄や摩擦
等により除去されると、静電効果が失われるという問題
点を有している。
【0009】例外的に、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル等で、耐洗浄性のある内部練り込み
帯電防止材が実用化されている。ところが、上記帯電防
止材は、洗浄後、帯電防止効果が回復するまでに時間を
必要とすること、帯電防止剤が表面にブリードしすぎる
とゴミや埃の粘着が起こること等、上記問題点とは別の
問題が生じている。さらに、上記帯電防止材は、帯電防
止剤を添加する工程を必要とする。また、上記方法は、
透明、硬質品ではまだ実用化には至っていない。
【0010】(2)界面活性剤を高分子材料表面に塗布
する方法によって得られた帯電防止材は、洗浄によって
帯電防止効果が激減するという問題点を有している。
【0011】(3)シリコン系化合物を高分子材料表面
に塗布する方法によって得られた帯電防止材は、帯電防
止効果に優れ、半永久的な帯電防止効果が期待できる。
しかし、作業能率が悪く、コスト的に不利な面がある。
【0012】このため、優れた帯電防止性を有すると共
に、繰り返し使用によっても帯電防止性が低下しない帯
電防止材が求められている。即ち、本発明の目的は、優
れた帯電防止性を有すると共に、繰り返し使用によって
も帯電防止性が低下しない帯電防止材を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する
アクリル酸誘導体を含む単量体成分および/または該単
量体成分からなる重合体を含んでなる帯電防止材が、優
れた帯電防止性を有する共に、繰り返し使用によっても
帯電防止性が低下しないことを見い出して、本発明を完
成させるに至った。
【0014】即ち、請求項1記載の発明の帯電防止材
は、一般式(1)
【0015】
【化4】
【0016】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体を含む単量体成分および/または該単量体
成分からなる重合体を含んでなることを特徴としてい
る。
【0017】上記の構成によれば、該帯電防止材は、帯
電防止性に優れ、時間の経過や繰り返し使用、繰り返し
洗濯によっても帯電防止性が低下することがない。この
ため、帯電防止性を必要とする種々の用途に用いること
ができる。例えば、繊維の分野では、静電気の発生によ
る衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等を防止することが
できる。また、該帯電防止材あるいは、該帯電防止材で
処理した繊維は、吸水性に優れ、繰り返し洗濯による黒
ずみを防止することができる。その他、成形品、シー
ト、フィルム等の分野では、例えば、カセット式テープ
レコーダーケース、テレビブラウン管前面カバー、電気
掃除機集塵機、計装類カバー、IC、包装用品、音響材
料、建材、照明器具等、プラスチックを使用し、帯電防
止性を必要とする用途全般に適している。
【0018】請求項2記載の発明の帯電防止材は、請求
項1記載の発明の帯電防止材において、さらに熱可塑性
樹脂を含むことを特徴としている。
【0019】上記の構成によれば、該帯電防止材並びに
該帯電防止材を用いて得られた成形品は、帯電防止性に
優れ、時間の経過あるいは繰り返し使用によっても帯電
防止性が低下することがない。このため、プラスチック
を使用し、帯電防止性を必要とする用途全般に適してい
る。
【0020】また、必要に応じて上記単量体成分重合物
および熱可塑性樹脂の屈折率を制御することにより、透
明な帯電防止材を容易に得ることができる。
【0021】請求項3記載の発明の帯電防止材は、一般
式(1)
【0022】
【化5】
【0023】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレ
ン系不飽和化合物とを含む単量体成分からなる共重合体
を繊維状に形成してなることを特徴としている。
【0024】以上の構成によれば、該帯電防止材は、帯
電防止性に優れ、繰り返し使用、繰り返し洗濯によって
も帯電防止性が低下することがない。このため、静電気
の発生による衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等を防止
することができる。また、上記帯電防止材は吸水性に優
れ、繰り返し洗濯による黒ずみを防止することができ
る。さらに、上記帯電防止材は、嵩高性、風合い等の優
れた物性を保持している。
【0025】請求項4記載の発明の帯電防止材は、請求
項3記載の発明の帯電防止材において、上記単量体成分
がさらに重合性不飽和ビニル化合物を含むことを特徴と
している。
【0026】以上の構成によれば、該単量体成分が、上
記重合性不飽和ビニル化合物を含むことで、繊維性能の
バランスおよび紡糸原液の粘度調整を良好にし、かつ紡
糸安定性を高めることができる。また、その他難燃性や
染色性を付与することもできる。
【0027】請求項5記載の発明の帯電防止材は、合繊
繊維に付着させる帯電防止材であって、一般式(1)
【0028】
【化6】
【0029】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレ
ン系不飽和化合物とを含む単量体成分からなる共重合体
であることを特徴としている。
【0030】以上の構成によれば、上記帯電防止材、並
びに、該帯電防止材を付着させた合成繊維は、帯電防止
性に優れ、繰り返し使用、繰り返し洗濯によっても帯電
防止性が低下することがない。このため、静電気の発生
による衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等を防止するこ
とができる。また、上記帯電防止材を付着させること
で、該合成繊維に吸水性を付与することができ、繰り返
し洗濯による黒ずみを防止することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明にかかる帯電防止材は、一
般式(1)
【0032】
【化7】
【0033】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体を含む単量体成分および/または該単量体
成分からなる重合体を含んでなる。上記一般式(1)で
表されるアクリル酸誘導体は、特に限定されるものでは
ないが、式中、R1 、R2 で示される置換基がそれぞれ
独立して水素原子またはメチル基で構成され、R3 で示
される置換基が水素原子または有機残基で構成され、R
4 で示される置換基が水素原子、有機残基または対イオ
ンで構成され、nで表される繰り返し単位が4〜 100の
整数である化合物である。
【0034】そして、環状エーテルに由来する部分、即
ち、−CH2 −CHR2 −O−で示されるオキシアルキ
レン基の繰り返し構造は、以下の構造を有する。つま
り、上記R2 で示される置換基は、各オキシアルキレン
基毎に独立して水素原子またはメチル基で構成されてい
てもよく、これらオキシアルキレン基は、ブロックある
いはランダムに結合されていてもよい。
【0035】上記R3 で示される置換基のうち、有機残
基とは、具体的には、炭素数1〜18の直鎖状、枝分かれ
鎖状、若しくは環状のアルキル基、フェニル基、アルキ
ルフェニル基を示す。炭素数が18を越えると帯電防止効
果が低下する傾向にあり、帯電防止材の必要量が多くな
り、得られる成形品や繊維の物理的特性が劣化する。
【0036】また、上記R4 で示される置換基のうち、
有機残基とは、具体的には、炭素数1〜18の直鎖状、枝
分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基、アリール基、
炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20の
アルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アル
キル基を示す。
【0037】前記一般式(1)で表されるアクリル酸誘
導体としては、具体的には、例えば、α−(ヒドロキシ
ポリエチレンオキシメチル)アクリル酸メチル、α−
(ヒドロキシポリエチレンオキシメチル)アクリル酸エ
チル、α−(ヒドロキシポリエチレンオキシメチル)ア
クリル酸n−ブチル、α−(ヒドロキシポリエチレンオ
キシメチル)アクリル酸2−エチルヘキシル;α−(ヒ
ドロキシポリプロピレンオキシメチル)アクリル酸メチ
ル、α−(ヒドロキシポリプロピレンオキシメチル)ア
クリル酸エチル、α−(ヒドロキシポリプロピレンオキ
シメチル)アクリル酸n−ブチル、α−(ヒドロキシポ
リプロピレンオキシメチル)アクリル酸2−エチルヘキ
シル;α−(メトキシポリエチレンオキシメチル)アク
リル酸メチル、α−(メトキシポリエチレンオキシメチ
ル)アクリル酸エチル、α−(メトキシポリエチレンオ
キシメチル)アクリル酸n−ブチル、α−(メトキシポ
リエチレンオキシメチル)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、α−(メトキシポリエチレンオキシメチル)アクリ
ル酸2−(メトキシポリエチレンオキシ)エチル;α−
(メトキシポリプロピレンオキシメチル)アクリル酸メ
チル、α−(メトキシポリプロピレンオキシメチル)ア
クリル酸エチル、α−(メトキシポリプロピレンオキシ
メチル)アクリル酸n−ブチル、α−(メトキシポリプ
ロピレンオキシメチル)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、α−(メトキシポリプロピレンオキシメチル)アク
リル酸2−(メトキシポリプロピレンオキシ)プロピ
ル;α−(フェノキシポリエチレンオキシメチル)アク
リル酸メチル、α−(フェノキシポリエチレンオキシメ
チル)アクリル酸エチル、α−(フェノキシポリエチレ
ンオキシメチル)アクリル酸n−ブチル、α−(フェノ
キシポリエチレンオキシメチル)アクリル酸2−エチル
ヘキシル、α−(フェノキシポリエチレンオキシメチ
ル)アクリル酸2−(フェノキシポリエチレンオキシ)
エチル;α−(フェノキシポリプロピレンオキシメチ
ル)アクリル酸メチル、α−(フェノキシポリプロピレ
ンオキシメチル)アクリル酸エチル、α−(フェノキシ
ポリプロピレンオキシメチル)アクリル酸n−ブチル、
α−(フェノキシポリプロピレンオキシメチル)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、α−(フェノキシポリプロピ
レンオキシメチル)アクリル酸2−(フェノキシポリプ
ロピレンオキシ)プロピル、α−(ヒドロキシポリエチ
レンオキシメチル)アクリル酸およびその塩類等が使用
できる。
【0038】これらアクリル酸誘導体は、一種類のみを
用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いて
もよい。これらの化合物で言うポリエチレン或いはポリ
プロピレンのnで表される繰り返し単位は平均4〜100
の整数である化合物を用いることが好ましく、10〜50の
整数である化合物を用いることがさらに好ましい。上記
nが4より低い場合には、帯電防止材が帯電防止効果を
充分に発揮することができず、帯電防止材の必要量が多
くなり、得られる形成品や繊維の物理的特性が劣化す
る。また、nが100 を越えると、重合が困難となり、紡
糸原液も不安定となる。
【0039】上記一般式(1)で表されるアクリル酸誘
導体は、例えば、相当するα−ヒドロキシアルキルアク
リル酸エステル化合物と、エチレンオキシドおよび/ま
たはプロピレンオキシド等の環状エーテル化合物とを、
触媒として、例えば三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体
等のルイス酸の存在下で反応させる方法、および、相当
するα−ハロアルキルアクリル酸エステル化合物とポリ
アルキレンオキシドモノアルキルエーテルとを水酸化ナ
トリウム等のアルカリ触媒の存在下で反応させる方法を
用いることにより、容易に得ることができる。
【0040】上記の反応を行う際の反応条件等は、特に
限定されるものではない。但し、原料であるα−ヒドロ
キシアルキルアクリル酸エステル化合物およびα−ハロ
アルキルアクリル酸エステル化合物、並びに、生成物で
あるアクリル酸誘導体は、分子中にビニル基等を含有し
ているので、重合し易い性質を有している。従って、上
記一般式(1)で表されるアクリル酸誘導体を得る場合
には、該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル化
合物およびα−ハロアルキルアクリル酸エステル化合
物、並びに、アクリル酸誘導体の重合を抑制するため
に、反応系にヒドロキノン等の重合防止剤(または重合
禁止剤)や分子状酸素を添加(いわゆるバブリング)す
ることが好ましい。
【0041】上記反応は無溶媒で行うことができるが、
溶媒中で行うこともできる。上記の溶媒としては、具体
的には、例えば、メチルエチルケトン等のケトン類、ジ
プロピルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエ
ン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素
類等が挙げられるが、上記反応を阻害するものでなけれ
ば、特に限定されるものではない。
【0042】反応終了後、反応溶液には、触媒や少量の
不純物が含まれている。このため、反応溶液を酸吸着剤
等の吸着剤と接触させて、該吸着剤に溶液中の触媒を吸
着させて不溶物を形成し、次いで、反応溶液の濾過等を
行うことにより、該不溶物(触媒)を容易に除去するこ
とができる。但し、触媒の除去方法は種々の方法が使用
でき、特に限定されるものではない。また、触媒を除去
した溶液に水および水に不溶な有機溶剤を添加し、抽出
操作を行うことによりアクリル酸誘導体の精製を容易に
行うことができる。但し、アクリル酸誘導体の精製方法
は種々の方法が採用でき、特に限定されるものではな
い。つまり、反応終了後、所定の方法によって反応溶液
を精製することにより、上記一般式(1)で表されるア
クリル酸誘導体が容易に得られる。
【0043】本発明にかかる帯電防止材(以下、説明の
便宜上、帯電防止材(A)と称する)として、帯電防止
性を有する繊維(帯電防止性繊維)を得る場合には、上
記一般式(1)で表されるアクリル酸誘導体とアクリロ
ニトリルとを含む単量体成分からなる共重合体(以下、
アクリロニトリル系共重合体と記す)、または、上記一
般式(1)で表されるアクリル酸誘導体とエチレン性不
飽和化合物とを含む単量体成分からなる共重合体を繊維
状に形成すればよい。
【0044】上記エチレン性不飽和化合物としては、具
体的には、例えば、エチレン、プロピレン、3−メチル
ブテン−1、4−メチルペンテン−1、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、スチレン等が挙げられる。
【0045】上記一般式(1)で表されるアクリル酸誘
導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレン性不飽
和化合物とを共重合させる方法としては、特に限定され
るものではなく、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸
濁重合法、乳化重合法、または沈殿重合法等、従来公知
の種々の重合方法を用いることができる。
【0046】また、上記一般式(1)で表されるアクリ
ル酸誘導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレン
性不飽和化合物との共重合を行う際には、必要に応じ
て、該単量体成分に重合性不飽和ビニル化合物を加えて
もよい。該単量体成分に上記重合性不飽和ビニル化合物
を共重合成分として加えることで、繊維性能のバランス
および紡糸原液の粘度調整を良好にし、かつ紡糸安定性
を高めることができる。また、その他、難燃性や染色性
を付与することもできる。
【0047】上記重合性不飽和ビニル化合物としては、
具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸オクチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル等のメタ
クリル酸エステル類;α−ヒドロキシメチルアクリル酸
メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−
ヒドロキシメチルアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシ
メチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリ
ル酸オクチル等のα−置換アクリル酸エステル類;イタ
コン酸ジメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル
等のイタコン酸エステル類;アクリル酸、メタクリル
酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸、イタコン酸、マ
レイン酸等の不飽和一塩基酸または二塩基酸以上のカル
ボン酸類等のカルボン酸系化合物;アクリルアミド、N
−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、
tert−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミ
ド、N−エチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタク
リルアミド等の不飽和脂肪酸のモノ置換アミド体;N,
N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリ
ルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N
−ジエチルメタクリルアミド等の不飽和脂肪酸のジ置換
アミド体;α−クロロアクリロニトリル、α−メチルア
クリロニトリル、α−プロピルアクリロニトリル、α−
ブチルアクリロニトリル、α−シアノアクリロニトリ
ル、α−フェニルアクリロニトリル等のα−置換アクリ
ロニトリル;2−アクリロイルオキシエチルアシッドフ
ォスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッ
ドフォスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシ
エチルアシッドフォスフェート、ジブチル−2−メタク
リロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等のリン
酸アクリレート類;塩化ビニル;塩化ビニリデン;スチ
レン;酢酸ビニル;メタリルスルホン酸およびその塩
類;ビニルスルホン酸およびその塩類;ビニルスチレン
スルホン酸およびその塩類;スルホエチルアクリレート
およびその塩類;スルホプロピルアクリレートおよびそ
の塩類;スルホエチルメタクリレートおよびその塩類;
スルホプロピルメタクリレートおよびその塩類;ビニル
ピリジン類;ビニルピロリドン等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。これら重合性不飽和ビニル化
合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上
を適宜混合して用いてもよい。また、上記重合性不飽和
ビニル化合物の使用量は、特に限定されるものではな
い。
【0048】上記一般式(1)で表されるアクリル酸誘
導体は、アクリロニトリル系共重合体を単独で繊維状に
形成する場合には、上記アクリロニトリル系共重合体に
おける含有量(上記アクリロニトリル系共重合体を得る
ための単量体成分における該アクリル酸誘導体の含有
量)が、0.5 重量%〜10.0重量%の範囲内となるように
用いることが好ましい。該アクリル酸誘導体の含有量
が、上記の範囲内にあることで、帯電防止性に優れると
共に、吸水性にも優れる帯電防止材(A)を得ることが
できる。また、得られた帯電防止材(A)は、繰り返し
使用によっても帯電防止性が低下しない。一方、上記ア
クリル酸誘導体の含有量が0.5 重量%より少なければ、
得られる帯電防止材(A)が帯電防止性を発揮すること
ができないので好ましくない。また、上記アクリル酸誘
導体の含有量が10.0重量%を越えると、アクリロニトリ
ル系繊維が従来有している嵩高性、風合い等の物性が低
下するので好ましくない。
【0049】また、アクリロニトリル系共重合体を、他
のアクリロニトリル系共重合体、または、アクリロニト
リルとエチレン系不飽和化合物とからなる共重合体と混
合して、この重合体混合物を繊維状に形成する場合に
は、上記一般式(1)で表されるアクリル酸誘導体は、
上記重合体混合物における含有量(上記重合体混合物を
得るための各単量体成分の合計の重量に対する、各単量
体成分における該アクリル酸誘導体の合計の重量)が、
0.5 重量%〜10.0重量%の範囲内となるように用いるこ
とが好ましい。該アクリル酸誘導体の含有量が、上記の
範囲内にあることで、帯電防止性に優れると共に、吸水
性にも優れる帯電防止材(A)を得ることができる。ま
た、得られた帯電防止材(A)は、繰り返し使用によっ
ても帯電防止性が低下しない。一方、上記アクリル酸誘
導体の含有量が0.5 重量%より少なければ、得られる帯
電防止材(A)が帯電防止性を充分に発揮することがで
きないので好ましくない。また、上記アクリル酸誘導体
の含有量が10.0重量%を越えると、アクリロニトリル系
繊維が従来有している嵩高性、風合い等の物性が低下す
るので好ましくない。
【0050】上記アクリロニトリル系共重合体またはそ
の重合体混合物から繊維を得る際には、従来公知の種々
の方法を用いることができる。例えば、アクリロニトリ
ル系共重合体またはその重合体混合物を原液調整タンク
中で有機溶剤に溶解混合し、紡糸原液の粘度が 200ポイ
ズ〜 500ポイズとなるように調整する。上記有機溶剤と
しては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド等が用いられる。この紡糸原
液より、常法によって湿式または乾式紡糸し、後処理を
施せばよい。これにより、所望する帯電防止材(A)を
容易に得ることができる。
【0051】このようにして得られた帯電防止材(A)
は、帯電防止性に優れ、繰り返し使用、繰り返し洗濯に
よっても帯電防止性が低下することがない。このため、
静電気の発生による衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等
を防止することができる。また、上記帯電防止材(A)
は吸水性に優れ、繰り返し洗濯による黒ずみを防止する
ことができる。さらに、上記帯電防止材(A)は、嵩高
性、風合い等の優れた物性を保持している。
【0052】また、従来公知の合成繊維に、上記一般式
(1)で表されるアクリル酸誘導体とアクリロニトリル
および/またはエチレン系不飽和化合物とを含む単量体
成分を共重合してなる共重合体を付着させることによっ
ても、帯電防止性に優れると共に、吸水性に優れる繊維
を得ることができる。
【0053】即ち、上記一般式(1)で表されるアクリ
ル酸誘導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレン
系不飽和化合物とを含む単量体成分を共重合してなる共
重合体は、帯電防止性に優れ、合成繊維に付着させる帯
電防止材(以下、説明の便宜上、帯電防止材(B)と称
する)として用いられる。
【0054】このように、合成繊維に付着させる帯電防
止材(B)を得る場合、上記一般式(1)で表されるア
クリル酸誘導体のなかでも、nで表される繰り返し単位
が4〜 100の整数である化合物を用いることが好まし
く、10〜50の整数である化合物を用いることがさらに好
ましい。上記nが4より低い場合には、帯電防止材
(B)および該帯電防止材(B)付着後の合成繊維が帯
電防止効果を充分に発揮することができず、帯電防止材
(B)の必要量が多くなり、得られる成形品や繊維の物
理的特性が劣化する。また、nが 100を越えると、重合
が困難となり、紡糸原液も不安定となる。
【0055】上記帯電防止材(B)として、上記一般式
(1)で表されるアクリル酸誘導体とエチレン系不飽和
化合物とからなる共重合体を得る場合における、各単量
体の割合は、該アクリル酸誘導体 0.5重量%〜85重量
%、エチレン系不飽和化合物99.5重量%〜15重量%とす
ることが好ましい。上記一般式(1)で表されるアクリ
ル酸誘導体の割合が 0.5重量%よりも少なければ、帯電
防止材(B)および該帯電防止材(B)付着後の合成繊
維が帯電防止性を充分に発揮することができないので好
ましくない。一方、上記一般式(1)で表されるアクリ
ル酸誘導体の割合が85重量%よりも多ければ、該単量体
成分を共重合させる際の重合性が低下するので好ましく
ない。
【0056】また、上記帯電防止材(B)として、上記
一般式(1)で表されるアクリル酸誘導体とアクリロニ
トリルとからなる共重合体を得る場合における、各単量
体の割合は、該アクリル酸誘導体 0.5重量%〜85重量
%、アクリロニトリル99.5重量%〜15重量%とすること
が好ましい。上記一般式(1)で表されるアクリル酸誘
導体の割合が 0.5重量%よりも少なければ、帯電防止材
(B)および該帯電防止材(B)付着後の合成繊維が帯
電防止性を充分に発揮することができないので好ましく
ない。一方、上記一般式(1)で表されるアクリル酸誘
導体の割合が85重量%よりも多ければ、該単量体成分を
共重合させる際の重合性が低下するので好ましくない。
【0057】また、上記一般式(1)で表されるアクリ
ル酸誘導体とアクリロニトリルとからなる共重合体を得
る場合には、上記単量体成分は、さらに、エチレン系不
飽和化合物を含んでいてもよい。上記エチレン系不飽和
化合物は、必要に応じて、0重量%〜50重量%の範囲内
において用いられる。上記単量体成分中に、エチレン系
不飽和化合物をさらに含むことで、該帯電防止材(B)
付着後の合成繊維の染色性、可紡性、および延伸性を、
より一層向上させることができる。
【0058】また、上記アクリル酸誘導体とアクリロニ
トリルおよび/またはエチレン系不飽和化合物とを共重
合させる方法は、特に限定されるものではなく、前記ア
クリロニトリル系共重合体の製造方法において例示した
製造方法と同様の方法を用いることができる。
【0059】また、上記合成繊維としては、特に限定さ
れるものではないが、アクリル繊維が好ましく、ポリア
クリロニトリル、または、例えばアクリロニトリルとエ
チレン系不飽和化合物とを共重合させてなる公知のアク
リロニトリル系共重合体を繊維状に形成してなる合成繊
維(アクリロニトリル系繊維);ポリオレフィン系繊
維;ポリエステル系繊維;ナイロン系繊維等を用いるこ
とができる。
【0060】上記合成繊維としてアクリロニトリル系繊
維を用いる場合には、該帯電防止材(B)として、上記
一般式(1)で表されるアクリル酸誘導体30重量%〜85
重量%、アクリロニトリル70重量%〜15重量%、エチレ
ン系不飽和化合物0重量%〜50重量%(但し、各成分の
合計を100 重量%とする)からなる共重合体を用いるこ
とが好ましい。この共重合体を用いることで、上記アク
リロニトリル系繊維に、効率良く帯電防止性および吸水
性を付与することができる。
【0061】該帯電防止材(B)を合成繊維に付着させ
るには、この帯電防止材(B)を、均一に分散させるこ
とが可能な溶媒に分散させて、適当な濃度に調整した
後、例えばスプレー法や浸漬法、或いは、合成繊維を紡
糸する際に、紡糸孔吐出直前で交わらせ、凝固浴中に吐
出する方法等が採用できる。これにより、上記合成繊維
に帯電防止性を容易に付与することができる。
【0062】上記帯電防止材(B)を合成繊維に付着さ
せる方法として、上記スプレー法や浸漬法を採用した場
合、該帯電防止材(B)を合成繊維表面層に充分に固定
(固着)させるために、該合成繊維に帯電防止材(B)
を付着させた後、乾燥、熱処理を行うことが好ましい。
【0063】上記帯電防止材(B)を合成繊維に付着さ
せる工程は、繊維形成・水洗後の適当な段階で行うこと
ができる。例えば、合成繊維を、アクリロニトリル系重
合体等の、相当する重合体を前記の溶媒に溶解して紡糸
原液とし、この紡糸原液を常法によって紡糸することで
繊維を形成した後、水洗、延伸、乾燥、熱弛緩させるこ
とによって得る場合には、紡糸・水洗後、適当な段階で
行うことができる。
【0064】また、例えばアクリロニトリル系重合体紡
糸原液を湿式紡出後、水洗した繊維に、前記一般式
(1)で表されるアクリル酸誘導体30重量%〜85重量%
とアクリロニトリル70重量%〜15重量%とからなる共重
合体を有効成分として含む溶液を原液のまま付着させた
後、乾燥させることによっても、上記繊維に帯電防止性
を容易に付与することができる。
【0065】このように、従来公知の合成繊維に、上記
一般式(1)で表されるアクリル酸誘導体とアクリロニ
トリルおよび/またはエチレン系不飽和化合物とを含む
単量体成分からなる共重合体、即ち、帯電防止材(B)
を付着させることによって、該合成繊維に帯電防止性を
付与することができる。上記帯電防止材(B)および該
帯電防止材(B)を付着させた合成繊維は、帯電防止性
に優れ、繰り返し使用、繰り返し洗濯によっても帯電防
止性が低下することがない。このため、静電気の発生に
よる衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等を防止すること
ができる。また、該帯電防止材(B)を付着させた合成
繊維は、吸水性に優れ、繰り返し洗濯による黒ずみを防
止することができる。さらに、上記繊維は、嵩高性、風
合い等の優れた物性を保持している。
【0066】また、本発明にかかる帯電防止材(以下、
説明の便宜上、帯電防止材(C)と称する)として帯電
防止性樹脂を得る場合には、上記一般式(1)で表され
るアクリル酸誘導体と、帯電性を付与すべき高分子材料
とを含む単量体成分を共重合させた後、得られた重合体
(単量体成分重合物)と熱可塑性樹脂とを混合すればよ
い。また、上記単量体成分および/または単量体成分重
合物をそのまま帯電防止材(C)として用いることもで
きる。
【0067】この場合、上記一般式(1)で表されるア
クリル酸誘導体のなかでも、nで表される繰り返し単位
が4〜 100の整数である化合物が好ましく、9〜100 の
整数である化合物がさらに好ましい。上記nが4より低
い場合には、得られる帯電防止材(C)が帯電防止効果
を充分に発揮することができないため好ましくない。一
方、nが 100より多い場合には、上記一般式(1)で表
されるアクリル酸誘導体が、溶媒等に溶解し難くなり、
重合性が悪くなるので好ましくない。
【0068】上記単量体成分中における一般式(1)で
表されるアクリル酸誘導体の含有量は、5重量%〜90重
量%の範囲内が好ましく、10重量%〜80重量%の範囲内
がさらに好ましい。上記アクリル酸誘導体の含有量が5
重量%未満の場合には、得られる帯電防止材(C)が帯
電防止性を充分に発揮することができないので好ましく
ない。一方、上記アクリル酸誘導体の含有量が90重量%
を越えると、上記高分子材料との相溶性が悪くなるので
好ましくない。
【0069】上記高分子材料とは、特に限定されるもの
ではないが、例えば、ビニル単量体やビニリデン単量体
等が挙げられる。上記ビニル単量体またはビニリデン単
量体としては、公知の単量体を用いることができ、特に
限定されるものではないが、具体的には、例えば、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、不飽和ニト
リル、芳香族ビニル、アルキルビニルエーテル、アルキ
ルビニルケトン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート、ダイアセトンアクリルアミド、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステ
ル、イソブテン、2−アシッドホスフォキシエチル(メ
タ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスフォ
キシプロピルメタクリレート、α−ヒドロキシアルキル
アクリル酸アルキルエステル、α−ヒドロキシアルキル
アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、α−アシッド
ホスフォメチルアクリル酸アルキルエステル、3−スル
ホプロピル(メタ)アクリルアミド、2−スルホエチル
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】また、上記ビニル単量体またはビニリデン
単量体としてアクリロニトリルのように極性の大きな単
量体あるいはスルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基の
ようなイオン性置換基を含む単量体を用いれば、帯電防
止性はさらに向上する。これら高分子材料は、1種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。
【0071】また、上記一般式(1)で表されるアクリ
ル酸誘導体と高分子材料とを共重合させる方法として
は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液重合
法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等、従来公知
の種々の重合方法を用いることができる。尚、上記重合
を行う際の重合条件は、特に限定されるものではない。
【0072】このようにして得られた単量体成分重合物
と熱可塑性樹脂との混合割合は、特に限定されるもので
はないが、単量体成分重合物10重量%〜99重量%、熱可
塑性樹脂90重量%〜1重量%の割合で混合することが好
ましい。上記の割合で単量体成分重合物と熱可塑性樹脂
とを混合することによって、優れた帯電防止性を有する
帯電防止材(C)を得ることができる。
【0073】上記熱可塑性樹脂としては、具体的には、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、芳香
族ビニルポリマー、ニトリル樹脂、ポリメチルメタクリ
レートおよびその共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹
脂、ポリカーボネート、フッ素化樹脂等が挙げられる
が、特に限定されるものではなく、上記単量体成分重合
物と相溶性の良い樹脂であれば良い。
【0074】このようにして得られた帯電防止材(C)
並びに該帯電防止材(C)を用いて得られた成形品は、
帯電防止性に優れ、時間の経過あるいは繰り返し使用に
よっても帯電防止性が低下することがない。
【0075】また、必要に応じて上記単量体成分重合物
および熱可塑性樹脂の屈折率を制御することにより、透
明な帯電防止材(C)を容易に得ることができる。
【0076】また、上記帯電防止材(C)を用いて成形
品を得る際には、射出成形法、押し出し成形法、圧縮成
形法あるいは真空成形法等、従来公知の加工方法を用い
て成形することができる。これにより、帯電防止性に優
れる成形品、例えば、プラスチック成形品、シート、フ
ィルム、管等の所望する成形品を容易に得ることができ
る。
【0077】具体的な応用分野としては、具体的には、
例えば、カセット式テープレコーダーケース、テレビブ
ラウン管前面カバー、電気掃除機集塵機、計装類カバ
ー、IC、包装用品、音響材料、建材、照明器具等、プ
ラスチックを使用し、帯電防止性を必要とする用途全般
に適している。
【0078】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。尚、製造例並びに実施例およ
び比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は
「重量%」を示す。
【0079】先ず、一般式(1)で表されるアクリル酸
誘導体の製造例を以下に示す。
【0080】〔製造例1〕温度計、ガス吹き込み管、滴
下装置および攪拌羽根を取り付けた10Lのオートクレー
ブ(SUS316製)に、α- ヒドロキシアルキルアク
リル酸エステル化合物であるα−ヒドロキシメチルアク
リル酸エチル 780g、溶媒としてのトルエン1422g、触
媒としての三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体 8.6g、
および重合防止剤としてのフェノチアジン 0.8gを仕込
んだ。次に、該オートクレーブを窒素ガス置換した後、
反応溶液中に、不活性ガスとしての窒素ガスを圧力 0.5
kg/cm2 となるように吹き込んだ。次いで、該反応溶液
の温度を35℃〜40℃の範囲内に保ちながら、環状エーテ
ル化合物であるエチレンオキシド3960gを徐々に該反応
溶液に圧入した。
【0081】圧入終了後、上記の反応溶液を40℃で1時
間攪拌することにより反応を完了させた。そして、反応
終了後、該容器内の温度を40℃にすると共に 100mmHgに
減圧し、未反応のエチレンオキシドを除去した。次い
で、反応溶液に酸吸着剤としての「キョーワード100
0」(商品名;協和化学株式会社製)60gを添加し、50
℃で2時間攪拌することにより、該酸吸着剤に溶液中の
三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体を吸着させて不溶物
を形成した。次いで、反応溶液を吸引濾過し、該不溶物
を除去した。次いで、該反応溶液を20Lの攪拌羽根を取
り付けた分液槽に移し、水1422gを入れて3分間攪拌
後、静置した。2層に分液後、下層である水層(以下、
水層(1)と記す)を抜き出した。さらに、上層である
トルエン層に水1422gを入れて3分間攪拌後、静置し
た。2層に分液後、下層である水層(以下、水層(2)
と記す)を抜き出した。上記水層(1)と水層(2)と
を合わせて、温度計、ガス吹き込み管、真空蒸留装置、
滴下装置、攪拌装置のついた5Lの濃縮釜を用いて、空
気を吹き込みながら50mmHgの減圧下、50℃で水の留去を
行い、反応生成物であるアクリル酸誘導体(以下、アク
リル酸誘導体(I)と記す)としての淡黄色透明液体30
81gを得た。
【0082】所定の方法により測定したアクリル酸誘導
体(I)の水酸基価は 75.2mg KOH/gであり、この
結果から、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル1モ
ル当たりのエチレンオキサイドの付加モル数は、14.0モ
ルであることが判った。
【0083】〔製造例2〕温度計、ガス吹き込み管、お
よび攪拌装置を取り付けた1000mlの反応容器に、α−ハ
ロアルキルアクリル酸エステル化合物であるα−ブロモ
メチルアクリル酸エチル96.5g、触媒としての水酸化ナ
トリウム21g、および、重合防止剤としてのハイドロキ
ノン 0.1gを仕込んで攪拌した。次に、この反応溶液中
に、空気をバブリングすると共に、該反応溶液の温度を
45℃〜55℃の範囲内に保ちながら、ポリアルキレンオキ
シドモノアルキルエーテルであるメトキシポリエチレン
グリコール( 平均重合度;15) 346gを徐々に該反応溶
液に添加した。
【0084】添加終了後、上記の反応溶液を50℃で2時
間、さらに攪拌することにより反応を完了させた。次い
で、反応溶液を吸引濾過し、不溶物を除去した。次に、
該反応溶液(濾液)を、攪拌羽根を取り付けた20Lの分
液槽に移し、トルエン 265gおよび水 265gを入れて3
分間攪拌後、静置した。2層に分液後、下層である水層
(以下、水層(3)と記す)を抜き出した。さらに、上
層であるトルエン層に水 265gを入れて3分間攪拌後、
静置した。2層に分液後、下層である水層(以下、水層
(4)と記す)を抜き出した。水層(3)と水層(4)
とを合わせて、温度計、ガス吹き込み管、真空蒸留装
置、滴下装置、攪拌装置のついた2Lの濃縮釜を用い
て、空気を吹き込みながら50mmHgの減圧下、50℃で水の
留去を行い、反応生成物であるアクリル酸誘導体(以
下、アクリル酸誘導体(II) と記す)としての淡黄色透
明液体 336gを得た。
【0085】〔実施例1〕攪拌機、還流冷却器、滴下ロ
ート、温度計、およびガス導入管を備えた2000mlのガラ
スフラスコに、溶媒としてのトルエン 300gを仕込み、
80℃に昇温した。一方、製造例1で得られたアクリル酸
誘導体(I) 300g、高分子材料としてのスチレン 150
g、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル
(以下、AIBNと記す) 3.6g、および連鎖移動剤と
してのラウリルメルカプタン0.45gの混合溶液を滴下ロ
ートに仕込んだ。
【0086】次に、上記ガラスフラスコに、不活性ガス
としての窒素ガスの導入還流下で、上記混合溶液を8時
間連続的に滴下することにより、重合を行った。滴下終
了後、上記の反応溶液を 100℃で2時間攪拌して重合反
応を終了した。そして、反応終了後、この反応溶液を、
10倍量のn−ヘキサン中に投入して沈殿させた後、80℃
で減圧乾燥を行って、共重合体(以下、共重合体(1)
と記す)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により測定した共重合体(1)のポリス
チレン換算重量平均分子量(Mw)は40,000であった。
【0087】その後、熱可塑性樹脂としてのアクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂(商品
名:ABS−10、日本合成ゴム株式会社製)100 部に
対し、上記共重合体(1)10部を添加して、帯電防止材
(C)としての樹脂組成物(C−1)を得た。この樹脂
組成物(C−1)を、二軸押出機を用いて220 ℃で混練
りした後、温度220 ℃、圧力100kg /cm2 の条件下でプ
レスすることにより、所定の大きさを有する角板状の試
験片を得た。
【0088】この試験片の表面抵抗並びに半減期を以下
の方法により測定した。表面抵抗(Ω)は、表面抵抗測
定器(横河・ヒュレット・パッカード株式会社製;本体
品番4329A、セル品番 16008A)を用いて、
温度20℃、湿度65%の条件下で測定した。
【0089】半減期(秒)は、スタテックオネストメー
ター(宍戸静電気株式会社製)を用いて、温度20℃、湿
度65%、印加電圧10kV、印加電圧20秒の条件下で測定
した。尚、半減期の測定方法は、JIS L 1094
に順じた。この結果を表1に示す。
【0090】〔実施例2〕実施例1において、アクリル
酸誘導体(I)の代わりに、製造例2で得られたアクリ
ル酸誘導体(II) 300gを用いた以外は、実施例1と同
様の反応・操作を行って共重合体(以下、共重合体
(2)と記す)を得た。GPCにより測定した共重合体
(2)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は2
3,000であった。
【0091】次に、得られた共重合体(2)を用いて、
実施例1と同様の方法により、帯電防止材(C)として
の樹脂組成物(C−2)を得た。この樹脂組成物(C−
2)を用いて、実施例1と同様の方法により、所定形状
の試験片を得た。この試験片の表面抵抗並びに半減期を
実施例1と同様の方法を用いて測定した。この結果を表
1に示す。
【0092】〔比較例1〕実施例1において、共重合体
(1)の代わりに、従来の帯電防止剤であるポリエチレ
ングリコール(重量平均分子量:100,000 、以下、PE
Gと記す)10部を用いた以外は、実施例1と同様の反応
・操作を行って比較用の帯電防止材としての樹脂組成物
(C’−1)を得た。さらに、この比較用の樹脂組成物
(C’−1)を用いて、実施例1と同様の方法により、
所定形状の比較用の試験片を得た。この比較用の試験片
の表面抵抗並びに半減期を実施例1と同様の方法を用い
て測定した。この結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】〔実施例3〕攪拌機、還流冷却器、温度
計、およびガス導入管を備えた5000mlの重合反応釜に、
製造例1で得られたアクリル酸誘導体(I)20部、アク
リロニトリル80部、重合開始剤としての過硫酸アンモニ
ウム 0.5部、およびイオン水1000部を仕込み、硫酸でP
Hを 3.0に調整した。次いで、上記重合反応釜内を窒素
置換後、該反応溶液を温度50℃で8時間攪拌して重合反
応を行った。
【0095】反応終了後、得られたスラリーを濾過、水
洗後、乾燥させてアクリロニトリル系共重合体としての
共重合体(以下、共重合体(3)と記す)を得た。ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により
測定した共重合体(3)のポリスチレン換算重量平均分
子量(Mw)は57,000であった。
【0096】次いで、上記共重合体(3)を、溶媒とし
てのジメチルホルムアミド中に、濃度が15%となるよう
に25℃にて溶解させて、該濃度で8時間保持することに
より、紡糸原液とした。この紡糸原液を、10℃で、ジメ
チルホルムアミド50%水溶液中に押し出して凝固させた
後、水洗し、沸騰水中で7倍に熱延伸させることで、帯
電防止材(A)としての糸状のアクリロニトリル系繊維
(以下、アクリロニトリル系繊維(A−1)と記す)を
得た。
【0097】次いで、このアクリロニトリル系繊維(A
−1)を、80℃の熱風下で1時間乾燥した後、100 ℃で
湿熱処理を施した。該アクリロニトリル系繊維(A−
1)の摩擦帯電圧を以下の方法により測定すると共に、
半減期を実施例1と同様の方法を用いて測定した。
【0098】上記摩擦帯電圧(V)は、JIS L 1
094−1988のB法(20℃×30%RH)に規定され
ている測定法に準じて測定を行った。この結果を表2に
示す。
【0099】〔実施例4〕実施例3において、アクリル
酸誘導体(I)の代わりに、製造例2で得られたアクリ
ル酸誘導体(II)20部を用いた以外は、実施例3と同様
の反応・操作を行ってアクリロニトリル系共重合体とし
ての共重合体(以下、共重合体(4)と記す)を得た。
GPCにより測定した共重合体(4)のポリスチレン換
算重量平均分子量(Mw)は52,000であった。
【0100】次いで、上記共重合体(4)を用いて、実
施例3と同様の方法により、帯電防止材(A)としての
糸状のアクリロニトリル系繊維(以下、アクリロニトリ
ル系繊維(A−2)と記す)を得た。該アクリロニトリ
ル系繊維(A−2)の摩擦帯電圧および半減期を実施例
3と同様の方法を用いて測定した。この結果を表2に示
す。
【0101】〔実施例5〕実施例3と同様の反応・操作
を行って共重合体(3)を得た。一方、実施例3におい
て、アクリル酸誘導体(I)の代わりに、アクリル酸メ
チル20部を用いた以外は、実施例3と同様の反応・操作
を行ってアクリロニトリル系共重合体としての共重合体
(以下、共重合体(5)と記す)を得た。GPCにより
測定した上記共重合体(5)のポリスチレン換算重量平
均分子量(Mw)は64,000であった。
【0102】次いで、上記共重合体(3)50部および共
重合体(5)50部を混合してなる共重合体混合物を用い
て、実施例3と同様の方法により、帯電防止材(A)と
しての糸状のアクリロニトリル系繊維(以下、アクリロ
ニトリル系繊維(A−3)と記す)を得た。該アクリロ
ニトリル系繊維(A−3)の摩擦帯電圧および半減期を
実施例3と同様の方法を用いて測定した。この結果を表
2に示す。
【0103】〔実施例6〕先ず、実施例5と同様の反応
・操作を行って共重合体(5)を得た。次いで、上記共
重合体(5)を用いて、実施例3と同様の方法により、
アクリロニトリル系繊維(以下、アクリロニトリル系繊
維(D)と記す)を得た。さらに、このアクリロニトリ
ル系繊維(D)を、帯電防止材(B)としての共重合体
(3)のジメチルホルムアミド50%水溶液中に1時間浸
漬した。その後、該帯電防止材(B)を付着させたアク
リロニトリル系繊維(D)(以下、アクリロニトリル系
繊維(D’) と記す)を、80℃の熱風下で1時間乾燥し
た後、100 ℃で湿熱処理を施すことによって後処理を行
った。該アクリロニトリル系繊維(D’)の摩擦帯電圧
および半減期を実施例3と同様の方法を用いて測定し
た。この結果を表2に示す。
【0104】〔比較例2〕実施例6と同様の方法を用い
て、比較用のアクリロニトリル系繊維(D)を得た。即
ち、アクリロニトリル系繊維(D)に対して、共重合体
(3)による処理を行わなかった以外は、実施例6と同
様の反応・操作を行った。この比較用のアクリロニトリ
ル系繊維(D)の摩擦帯電圧および半減期を実施例3と
同様の方法を用いて測定した。この結果を表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】〔実施例7〕製造例1で得られたアクリル
酸誘導体(I)25部と、紫外線硬化型樹脂の単量体であ
るジペンタエリスリトールヘキサアクリレート45部およ
び1,6 −ヘキサンジオールジアクリレート30部と、光重
合開始剤である2,2 −ジエトキシアセトフェノン3部と
を混合することにより、帯電防止材(C)としての紫外
線硬化型単量体組成物(以下、単量体組成物(C−3)
と記す)を調製した。
【0107】次いで、上記の単量体組成物(C−3)を
被塗布物であるポリカーボネート板上に、硬化塗膜の厚
みが5μmとなるように塗布した。その後、ポリカーボ
ネート板からの高さが10cmとなるように設置された強度
80W/cmの高圧水銀灯から、塗布された上記単量体組成物
(C−3)に紫外線を10秒間照射した。これにより、上
記単量体組成物(C−3)を紫外線硬化させて硬化塗膜
を得た。得られた硬化塗膜の表面抵抗および半減期を実
施例1と同様の方法を用いて測定した。この結果を表3
に示す。
【0108】〔実施例8〕実施例7において、製造例1
で得られたアクリル酸誘導体(I)の代わりに、製造例
2で得られたアクリル酸誘導体(II) 25部を用いた以外
は、実施例7と同様の方法により帯電防止材(C)とし
ての紫外線硬化型単量体組成物(以下、単量体組成物
(C−4)と記す)を調製した。
【0109】次いで、この単量体組成物(C−4)を用
いて、実施例7と同様の方法により硬化塗膜を得た。得
られた硬化塗膜の表面抵抗および半減期を実施例1と同
様の方法を用いて測定した。この結果を表3に示す。
【0110】〔比較例3〕実施例7において、アクリル
酸誘導体(I)を用いなかったことを除けば、実施例7
と同様の方法により比較用の紫外線硬化型単量体組成物
を調製した。
【0111】次いで、この比較用の紫外線硬化型単量体
組成物を用いて、実施例7と同様の方法により硬化塗膜
を得た。得られた硬化塗膜の表面抵抗および半減期を実
施例1と同様の方法を用いて測定した。この結果を表3
に示す。
【0112】
【表3】
【0113】表1〜3に記載の結果から明らかなよう
に、本発明にかかる帯電防止材は、繊維や成形品等、種
々の用途に用いることができ、また、得られた帯電防止
材、および、該帯電防止材を用いた繊維や成形品や硬化
塗膜等は、何れも、帯電防止性に優れている。
【0114】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の帯電防止材は、
以上のように、一般式(1)
【0115】
【化8】
【0116】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体を含む単量体成分および/または該単量体
成分からなる重合体を含んでなる構成である。
【0117】上記の構成によれば、該帯電防止材は、帯
電防止性に優れ、時間の経過や繰り返し使用、繰り返し
洗濯によっても帯電防止性が低下することがない。この
ため、帯電防止性を必要とする種々の用途に用いること
ができるという効果を奏する。
【0118】本発明の請求項2記載の帯電防止材は、以
上のように、請求項1記載の帯電防止材において、さら
に熱可塑性樹脂を含む構成である。
【0119】上記の構成によれば、該帯電防止材並びに
該帯電防止材を用いて得られた成形品は、帯電防止性に
優れ、時間の経過あるいは繰り返し使用によっても帯電
防止性が低下することがない。このため、プラスチック
を使用し、帯電防止性を必要とする用途全般に適してい
る。
【0120】また、必要に応じて上記単量体成分重合物
および熱可塑性樹脂の屈折率を制御することにより、透
明な帯電防止材を容易に得ることができるという効果を
併せて奏する。
【0121】本発明の請求項3記載の帯電防止材は、以
上のように、一般式(1)
【0122】
【化9】
【0123】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレ
ン系不飽和化合物とを含む単量体成分からなる共重合体
を繊維状に形成してなる構成である。
【0124】以上の構成によれば、該帯電防止材は、帯
電防止性に優れ、繰り返し使用、繰り返し洗濯によって
も帯電防止性が低下することがない。このため、静電気
の発生による衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等を防止
することができる。また、上記帯電防止材は吸水性に優
れ、繰り返し洗濯による黒ずみを防止することができる
という効果を奏する。
【0125】本発明の請求項4記載の帯電防止材は、以
上のように、請求項3記載の帯電防止材において、上記
単量体成分がさらに重合性不飽和ビニル化合物を含む構
成である。
【0126】以上の構成によれば、該単量体成分が、上
記重合性不飽和ビニル化合物を含むことで、繊維性能の
バランスおよび紡糸原液の粘度調整を良好にし、かつ紡
糸安定性を高めることができる。また、その他難燃性や
染色性を付与することもできるという効果を併せて奏す
る。
【0127】本発明の請求項5記載の帯電防止材は、以
上のように、合繊繊維に付着させる帯電防止材であっ
て、一般式(1)
【0128】
【化10】
【0129】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子または有
機残基を表し、R4 は水素原子、有機残基または対イオ
ンを表し、nは4〜 100の整数を表す)で表されるアク
リル酸誘導体とアクリロニトリルおよび/またはエチレ
ン系不飽和化合物とを含む単量体成分からなる共重合体
である構成である。
【0130】以上の構成によれば、上記帯電防止材、並
びに、該帯電防止材を付着させた合成繊維は、帯電防止
性に優れ、繰り返し使用、繰り返し洗濯によっても帯電
防止性が低下することがない。このため、静電気の発生
による衣服の吊り上がりや埃の吸着汚れ等を防止するこ
とができる。また、上記帯電防止材を付着させること
で、該合成繊維に吸水性を付与することができ、繰り返
し洗濯による黒ずみを防止することができるという効果
を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01F 1/09 D01F 1/09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    メチル基を表し、R3 は水素原子または有機残基を表
    し、R4 は水素原子、有機残基または対イオンを表し、
    nは4〜 100の整数を表す)で表されるアクリル酸誘導
    体を含む単量体成分および/または該単量体成分からな
    る重合体を含んでなることを特徴とする帯電防止材。
  2. 【請求項2】さらに熱可塑性樹脂を含むことを特徴とす
    る請求項1記載の帯電防止材。
  3. 【請求項3】一般式(1) 【化2】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    メチル基を表し、R3 は水素原子または有機残基を表
    し、R4 は水素原子、有機残基または対イオンを表し、
    nは4〜 100の整数を表す)で表されるアクリル酸誘導
    体とアクリロニトリルおよび/またはエチレン系不飽和
    化合物とを含む単量体成分からなる共重合体を繊維状に
    形成してなることを特徴とする帯電防止材。
  4. 【請求項4】上記単量体成分がさらに重合性不飽和ビニ
    ル化合物を含むことを特徴とする請求項3記載の帯電防
    止材。
  5. 【請求項5】合繊繊維に付着させる帯電防止材であっ
    て、一般式(1) 【化3】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    メチル基を表し、R3 は水素原子または有機残基を表
    し、R4 は水素原子、有機残基または対イオンを表し、
    nは4〜 100の整数を表す)で表されるアクリル酸誘導
    体とアクリロニトリルおよび/またはエチレン系不飽和
    化合物とを含む単量体成分からなる共重合体であること
    を特徴とする帯電防止材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002352858A (ja) * 2001-05-23 2002-12-06 Nof Corp 重合性化合物、電気化学デバイス用電解質および重合性化合物の製造方法
JP2006233048A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Sanyo Chem Ind Ltd 粘度指数向上剤および潤滑油組成物
JP2007501296A (ja) * 2003-08-04 2007-01-25 マトリックス・イノベーション・インコーポレーテッド 新規のポリエーテルをベースとするモノマー及び高度に架橋された両親媒性樹脂

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