JPH1060326A - 導電性インク - Google Patents

導電性インク

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JPH1060326A
JPH1060326A JP21701596A JP21701596A JPH1060326A JP H1060326 A JPH1060326 A JP H1060326A JP 21701596 A JP21701596 A JP 21701596A JP 21701596 A JP21701596 A JP 21701596A JP H1060326 A JPH1060326 A JP H1060326A
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JP
Japan
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ink
conductive ink
weight
experimental example
potential
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Application number
JP21701596A
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English (en)
Inventor
Kenji Oshima
賢司 大島
Shigeyuki Takao
重幸 高尾
Takeshi Matsumoto
健 松本
Megumi Sakagami
恵 坂上
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、導電性インクの酸化還元電位を調
整して、対向電極の変質や導電性インクの電気的特性の
変動が抑制されることによって、インク吐出動作を行わ
ずに長時間放置した後においても、沸騰開始時間の変化
が極めて小さい通電式のインクジェットプリンタに用い
る導電性インクの提供を目的とする。 【解決手段】 本発明の導電性インクは、酸化力を有す
る電位調整剤を含有する構成よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通電により導電性
インクを沸騰させて発生する沸騰気泡の圧力により小滴
化された導電性インクを吐出して文字や画像を形成する
通電式のインクジェットプリンタに用いられる導電性イ
ンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンタは、静粛
性、高速記録、カラー印刷可能等の点から家庭用やオフ
ィス用コンピュータの出力機器として広く利用されてい
る。インクジェットプリンタは、インク滴を飛翔させて
記録紙上に付着させることで文字や画像を形成するもの
であり、インク滴の発生方法及び飛翔方向の制御方法に
よってコンティニアス方式とオンデマンド方式に大別さ
れる。
【0003】コンティニアス方式は、例えば米国特許第
3060429号に開示されているように、静電吸引に
より連続的に発生するインク滴を、記録信号に応じて選
択的に記録紙上に付着させるものであり、印字が高品質
である一方で、インク滴の発生に高電圧が必要であると
ともにマルチノズル化が困難である等の欠点を有する。
【0004】オンデマンド方式としては、米国特許第3
4747120号に開示されているなインクに接触した
ピエゾ振動素子を用いてインクに与えられる機械的振動
や、特公昭61−59911号公報、特公昭61−59
914号公報、特公昭62−11035号公報に開示さ
れているような発熱抵抗体を用いてインクを加熱沸騰さ
せることで発生する気泡の圧力により、インク滴を吐出
させて記録紙に付着させるものがある。これらの方式
は、コンティニアス方式に比べてマルチノズル化が容易
であるが、記録紙に付着したインク滴のドットの大きさ
を任意に変えることが難しい。
【0005】一方、オンデマンド方式の中でも、例えば
特開平2−233257号公報に開示されているよう
な、通電により導電性インクを沸騰させて発生する沸騰
気泡の圧力によりインク滴を吐出する方法は、導電性イ
ンクに通電する電流を制御することで、印字されるドッ
トの大きさを変えられることが知られている。
【0006】以下に、このような導電性インクを用いる
通電式のインクジェットプリンタの従来例について図面
を参照しながら説明する。
【0007】図1は従来の通電式のインクジェットプリ
ンタの要部断面図であり、図2は従来の通電式のインク
ジェットプリンタの要部透過斜視図である。
【0008】図1及び図2において、1は導電性イン
ク、2はインク沸騰室、3はノズル孔、4はノズル板、
5a,5bは対向電極、6はインクタンク、7は基板、
8は共通インク室、9はインク流路、10は電極駆動装
置、10a,10bはドライバ、11a,11bはリー
ド線、12は沸騰気泡、13はインク滴、14は記録
紙、15は絶縁層である。
【0009】図1及び図2において、基板7はホウケイ
酸ガラス、石英ガラス等の絶縁材料から形成されてお
り、この基板7上にスパッタ法、蒸着法、イオンプレー
テイング法等により金属薄膜を形成した後、エッチン
グ、ミリング等により所定の形状に加工することで、対
向電極5a,5bが形成される。また、対向電極5a,
5bには、耐食性に優れた金、白金、チタン、ニッケ
ル、パラジウム等の金属や、これらの金属の合金が用い
られる。特に、酸化物が安定で、耐食性に優れたチタン
が好適に用いられる。対向電極5a,5b上の絶縁層1
5は、ポリイミド等の樹脂や酸化珪素等のセラミックス
等から形成され、さらに絶縁層15上に形成されたノズ
ル板4には、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポ
リサルフォン等の樹脂等が用いられる。このノズル板4
には、エキシマレーザー等により搾孔されたノズル孔3
が形成されている。導電性インク1は、染料又は顔料を
含む記録材と、導電性を付与するための電解質と、記録
剤や電解質等を溶解する溶媒等から構成される。ここ
で、溶媒には一般的に水が使用され、電解質には常温で
液体で、入手が容易な水溶性有機アミン塩酸塩が好適に
用いられる。また、導電性インクには、印字のにじみの
防止や乾燥速度の調整、導電性インクの沸騰状態の調
節、対向電極の劣化防止、ノズル孔での目詰まりの防止
等の様々な目的から、アルコール類、グリコール類等の
水溶性有機溶媒や界面活性剤等が適宜添加され使用され
ている。
【0010】次に、上記従来の通電式のインクジェット
プリンタの構成とその動作について、図1及び図2を用
いてさらに詳細に説明する。
【0011】図1に示したように、インク沸騰室2は導
電性インク1で満たされており、導電性インク1は、導
電性インク1を一時的に保持している共通インク室8よ
り補充される。また、共通インク室8はインク流路9に
より導電性インク1を保持するインクタンク6と接続さ
れている。インク沸騰室2は、基板7上に配設された一
対の対向電極5a,5bとノズル板4に形成されたノズ
ル孔3を備えており、対向電極5a,5bとノズル孔3
は対をなしている。対向電極5a,5bはそれぞれリー
ド線11a,11bを介して電極駆動装置10内に配設
されたドライバ10a,10bに接続されており、ドラ
イバ10a,10bにより対向電極5a、5b間に通電
してインク沸騰室2内に発生する沸騰気泡12の圧力に
よって、ノズル孔3からインク滴13が吐出され、飛翔
して、記録紙14上に付着する。
【0012】また、図2に示したように、ノズル板4に
は複数のノズル孔3が形成され、基板7上には各ノズル
孔3に対応して配設された対向電極5a,5bが複数配
設されている。また、ノズル板4と基板7の間に配設さ
れた複数のインク沸騰室2は共通インク室8と連通して
いる。このような構成により、同時に複数のインク滴の
吐出が可能となっている。
【0013】次に、上記従来の通電式のインクジェット
プリンタの対向電極に流れる電流とインクの吐出時期に
ついて説明する。
【0014】図3は従来の通電式のインクジェットプリ
ンタの対向電極に流れる電流のタイミング図である。
【0015】図3にT0で示した通電開始時刻になる
と、インク沸騰室に満たされたインクに対向電極により
所定の電圧が印加される。これにより、導電性インクに
電流が流れると、導電性インク内に生じるジュール熱で
導電性インクが加熱されることにより、導電性インクの
比抵抗が小さくなるとともに、図3に示したように対向
電極間を流れる電流がほぼ直線的に増加する。
【0016】次に、沸騰開始時刻T1に至ると、導電性
インクの沸騰が開始され、導電性インク内に沸騰気泡が
発生する。導電性インク内に絶縁体である沸騰気泡が発
生すると、図3に示したように対向電極間を流れる電流
は、急激に低下する。尚、通電開始時刻T0から沸騰開
始時刻T1までの時間を沸騰開始時間とする。
【0017】さらに、沸騰気泡が膨張し、最大気泡体積
に至る最大気泡時刻T2において、ノズル孔から導電性
インクがインク滴として吐出されるとともに電流は極小
値となり、その後沸騰気泡は収縮に転じる。
【0018】インク滴が吐出された後、図3中のT3で
示す通電中止時刻に至ると、対向電極間への電圧の印加
が中止され、インク流路を介してインク沸騰室に導電性
インクが補充される。
【0019】ここで、通電開始時刻T0から通電中止時
刻T3までの時間(以下、駆動時間と略称する。)は、
通常40μsec程度である。また、通電時間と、通電
中止から次回のインク吐出動作における通電開始までの
導電性インクの補充時間等を含めた1回のインク吐出動
作に係る時間は125〜200μsecであり、5kH
z〜8kHzの駆動周期で連続して、あるいは記録像に
応じて断続的にインク吐出動作が繰り返されることで、
記録紙上にドットが印字される。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の導電性インクを用いるインクジェットプリンタでは
以下のような問題点を有していた。 (1)インクの吐出動作を行わずに長時間放置すると、
対向電極と導電性インクとの電気化学反応等により、対
向電極の表面形態や導電性インクの電気的特性が変化す
ることにより、対向電極間でのインピーダンスが変動し
て、放置する前に比べて沸騰開始時間が短くなる。 (2)沸騰開始時間の変化はインクの吐出動作を行わな
い放置時間に依存しており、放置時間が長くなるととと
もに沸騰開始時間が大幅に短くなる結果、導電性インク
が小規模な沸騰を複数回繰り返して、正常なインク吐出
が行えなくなる。 (3)(1)や(2)のようなインク吐出動作の不良に
より、長時間放置した後での印字では、インク滴の欠落
によるドット抜けやインク滴が霧状になるスプラッシュ
等が発生し、印字品質を著しく低下させる。
【0021】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
であり、対向電極との反応性が低く、インク吐出動作を
行わずに長時間放置した後においても沸騰開始時間の変
化が極めて小さい通電式のインクジェットプリンタに用
いる導電性インクの提供を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の導電性インクは、酸化力を有する電位調整剤
を含有している構成よりなる。
【0023】この構成により、対向電極との反応性が低
く、インク吐出動作を行わずに長時間放置した後におい
ても沸騰開始時間の変化が極めて小さい通電式のインク
ジェットプリンタに用いる導電性インクを提供すること
ができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、酸化力を有する電位調整剤を含有していることとし
たものであり、導電性インクの酸化還元電位を調整し
て、対向電極の変質や導電性インクの電気的特性の変動
を抑制することによって、インク吐出動作を行わずに放
置した場合にも、沸騰開始時間の変化を極めて小さくす
ることができるという作用を有する。
【0025】本発明の導電性インクには、電位調整剤と
ともに溶媒、記録像を形成するための記録剤、導電性を
付与するための電解質等が含有される。
【0026】溶媒としては、水、又は水と有機溶剤との
混合液が用いられる。水としては、精製水、純水、蒸留
水等が特に好適に用いられる。また、有機溶剤として
は、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルキルア
ルコール類や、アセトン、ジアセトンアルコール等のケ
トンアルコール類や、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド等のアミド類や、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等のエーテル類や、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル
等のエーテルアルコール類や、これらの混合物等が挙げ
られる。
【0027】導電性インクの全重量に対する水の重量比
は30〜80重量%が好ましく、特に50〜80重量%
がより好ましい。水の重量比が、50重量%よりも小さ
くなるにつれて、溶媒中への記録剤の溶解度が著しく低
下する傾向を生じ、80重量%よりも大きくなるにつれ
て記録紙への導電性インクの浸透性が低下する傾向を生
じるので、いずれも好ましくない。さらに、水の重量比
が30重量%よりも小さくなると、上記傾向が著しくな
るため特に好ましくない。
【0028】また、導電性インクの全重量に対する有機
溶剤の重量比は0.1〜30重量%が好ましく、特に1
〜20重量%がより好ましい。有機溶剤の重量比が、1
重量%よりも小さくなるにつれて、対向電極と導電性イ
ンクとの濡れ性が低下する傾向を生じ、20重量%より
も大きくなるにつれて、導電性インクの比抵抗が高くな
ってインクの吐出性が低下する傾向を生じるので、いず
れも好ましくない。さらに、有機溶剤の重量比が、0.
1重量%よりもちいさくなると、又は30重量%よりも
大きくなると、上記傾向が著しくなるので特に好ましく
ない。
【0029】記録剤としては、酸性染料、塩基性染料、
直接染料、分散染料、反応性染料、スピリット染料等の
染料や、カーボンブラック、アゾレーキ顔料、不溶性ア
ゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシア
ニン顔料、ベリレン顔料、ベリノン顔料、アトラキノン
顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオイン
ジコ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、
塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ、ニトロ顔料、
アニリンブラック、蛍光顔料、酸化チタン、酸化鉄等の
顔料が用いられる。
【0030】導電性インクの全重量に対する記録剤の重
量比は0.1〜20重量%が好ましく、特に1重量%〜
10重量%がより好ましい。記録剤の重量比が、1重量
%よりも小さくなるにつれて、記録紙上に形成されたド
ットの濃度が低くなる傾向を生じ、10重量%より大き
くなるにつれて、ノズル吐出孔の先端に記録剤が凝集し
て目詰まりする傾向を生じるので、いずれも好ましくな
い。さらに、記録剤の重量比が0.1重量%よりも小さ
くなると、又は20重量%よりも大きくなると、上記傾
向が著しくなるので特に好ましくない。
【0031】電解質としては、リチウム、ナトリウム、
カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物や、塩化アン
モニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無
機塩類や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリ
プロピルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、
ジメチレンアミン、トリメチレンアミン、ジエチレンア
ミン、トリエチレンアミン、ジプロピレンアミン、トリ
プロピレンアミン、ピリジン、ピロール等の水溶性アミ
ンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等が用いられる。
【0032】導電性インクの全重量に対する電解質の重
量比は1〜40重量%が好ましく、特に1.5〜30重
量%がより好ましく、更に2〜20重量%がより好まし
い。電解質の重量比が、2重量%よりも小さくなるにつ
れて、導電性インクの比抵抗が大きくなり導電性インク
の吐出性が低下する傾向を生じ、20重量%よりも大き
くなるにつれて、ノズル吐出孔の先端で目詰まりが起こ
る傾向を生じるので、いずれも好ましくない。さらに、
電解質の重量比が1.5重量%よりも小さく、特に1重
量%よりも小さくなると、又は30重量%よりも大き
く、特に40重量%よりも大きくなると、上記傾向が著
しくなるので、特に好ましくない。
【0033】電位調整剤であるアミノポリカルボン酸鉄
におけるアミノポリカルボン酸の具体例としては、Cy
DTA(1,2−シクロヘキサジアミン−N,N,
N’,N’−4酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミ
ン−5酢酸)、EDDA(エチレンジアミン−N,N’
−2酢酸)、EDMA(エチレンジアミン−N−モノ酢
酸)、EDTA(エチレンジアミン−4酢酸)、GED
TA(3,6−ジオキサ−1,8−オクタジアミン−
N,N,N’,N’−4酢酸)、HEDTA(N−(2
−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,
N’−3酢酸)、HIDA(N−(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノ2酢酸)、IDA(イミノ2酢酸)、TTH
A(トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,
N’’’,N’’’−6酢酸)、PDTA(プロピレン
ジアミン−4酢酸)等が挙げられる。
【0034】また、本発明の導電性インクには、溶媒、
記録剤、電解質の他に、必要に応じて湿潤剤、分散剤、
界面活性剤、pH調整剤等を添加してもよい。
【0035】湿潤剤は、主としてインク吐出孔における
乾燥防止を目的として水よりも沸点の高い有機溶剤等が
用いられる。より具体的には、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭
素原子を含むアルキレングリコールや、エチレングリコ
ールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエー
テル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のジエチ
レングリコールの低級アルキルエーテルや、グリセリン
等が挙げられる。
【0036】導電性インクの全重量に対する湿潤剤の重
量比は0.1〜10重量%が好ましく、特に0.5〜
5.0重量%がより好ましい。湿潤剤の重量比が、0.
5重量%よりも小さくなるにつれて、導電性インクの乾
燥によりインク吐出孔の先端で目詰まりする傾向を生
じ、5.0重量%よりも大きくなるにつれて、導電性イ
ンクの粘性率が高くなって導電性インクの吐出性が低下
する傾向を生じるので、いずれも好ましくない。
【0037】分散剤は、主として通電時における導電性
インクのインク沸騰室内での分散安定性を高めることを
目的としており、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポ
リマレイン酸、ポリアクリル酸−マレイン酸共重合物、
ポリマレイン酸オレフィン、イタコン酸、メタクリル
酸、及びそれらの塩等が挙げられ、これらを単独で又は
混合して用いられる。
【0038】導電性インクの全重量に対する分散剤の重
量比は0.001〜10重量%が好ましく、特に0.0
1〜5重量%がより好ましい。分散剤の重量比が、0.
01重量%よりも小さくなるにつれて、対向電極上の付
着物の量が多くなる傾向を生じ、5重量%よりも大きく
なるにつれて、インク吐出孔の先端で目詰まりする傾向
を生じるので、いずれも好ましくない。さらに、分散剤
の重量比が0.001重量%より小さいと、又は10重
量%よりも大きいと、上記傾向が著しくなるので特に好
ましくない。
【0039】界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル
硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、アルキルアミン塩等が挙げられる。
【0040】pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
【0041】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、pH測定用ガラス電極を用い
て測定した標準水素電極電位基準の25℃における導電
性インクの酸化還元電位が140mV〜310mV、好
ましくは190mV〜240mVであることとしたもの
であり、インク吐出動作を行わずに放置した場合にも、
対向電極の変質や導電性インクの電気的特性の変動を防
止することができるという作用を有する。
【0042】導電性インクの酸化還元電位が、190m
Vよりも小さくなるにつれて、対向電極の変質や導電性
インクの電気的特性の変動を十分に抑制できなくなる傾
向を生じ、240mVよりも大きくなるにつれて、導電
性インクの酸化力が強くなり過ぎて対向電極を変質劣化
させる傾向を生じるので、いずれも好ましくない。さら
に、導電性インクの酸化還元電位が、140mVよりも
小さくなると、又は310mVよりも大きくなると、上
記傾向が著しくなるので特に好ましくない。
【0043】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1又は2の内のいずれか1に記載の発明において、電位
調整剤の重量比が、導電性インクの全重量に対して0.
01〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%、よ
り好ましくは0.05〜1.5重量%であることとした
ものであり、導電性インクの酸化還元電位を調整して、
対向電極やインク沸騰室の構成材料の酸化や腐食等の劣
化を防止することができるという作用を有する。
【0044】電位調整剤の重量比が、0.05重量%よ
りも小さくなるにつれて、導電性インクの酸化還元電位
を所定の値に調整できなくなる傾向を生じ、1.5重量
%よりも大きくなるにつれて、導電性インクの酸化力が
強くなり過ぎて対向電極やインク沸騰室の構成材料を酸
化・腐食して劣化させる傾向を生じるので、いずれも好
ましくない。さらに、電位調整剤の重量比が0.01重
量%よりも小さくなると、又は2重量%よりも大きく特
に10重量%よりも大きくなると、上記傾向が著しくな
るので特に好ましくない。
【0045】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1乃至3の内のいずれか1に記載の発明において、電位
調整剤が、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリ
ウム、過酸化水素水、亜硝酸ナトリウム、アミノポリカ
ルボン酸鉄、メタほう酸ナトリウム、安息香酸ナトリウ
ムのいずれか1つ以上からなることとしたものであり、
導電性インクの酸化還元電位を調整して、インク吐出動
作を行わずに放置した場合の対向電極の変質及び導電性
インクの電気的特性の変動を抑制するという作用を有す
る。
【0046】
【実施例】次に、本発明を実験例により詳細に説明す
る。
【0047】(実験例1,実験例2)溶媒として精製水
76.9重量%、イソプロピルアルコール4重量%、ジ
エチレングリコール5重量%と、記録剤としてPRO
JET FAST BLACK 2 LIQUID(Z
ENECA社製)3重量%と、電解質としてモノエタノ
ールアミン硫酸塩11重量%と、電位調整剤としてフェ
リシアン化カリウム0.1重量%と、を混合して攪拌
し、均質な導電性インクを作製してこれを第1実験例と
した。
【0048】また、電位調整剤を含まず、溶媒の中の精
製水を77重量%としたことを除いて、第1実験例と同
一の原料を同量配合した導電性インクを作製し、これを
第2実験例とした。
【0049】〔電位測定〕第1実験例及び第2実験例の
導電性インクについて、各々をサンプル瓶に入れ、窒素
ガスで5分間バブリングした後、pH測定用ガラス電極
(東亜電波工業社製、PTS−5011C)とpHメー
タ(東亜電波工業社製、HM−20E)を用いて、液温
25℃で導電性インクの酸化還元電位を測定した。な
お、上記装置による酸化還元電位の測定値E1は、銀/
塩化銀電極基準の値であるので、これをE2(V)=E
1(V)+0.199の換算式を用いて、標準水素電極
基準の値E2に換算した。
【0050】次に、第1実験例及び第2実験例の導電性
インクを用いて、以下のような吐出試験を行った。
【0051】〔吐出試験〕対向電極としてチタン(電極
幅30μm、電極間距離3μm)を用いた図1に示した
ような構成のインクジェットプリンタの記録ヘッドを用
いて、印加電圧25V、駆動時間40μsec、駆動周
期5kHzの条件で導電性インクを吐出させて、対向電
極間に流れる電流の波形をオシロスコープを用いて測定
するとともに、電流波形からインク吐出動作の初期サイ
クルにおける沸騰開始時刻T1を決定した。さらに、上
記駆動条件で連続的にインク吐出動作を繰り返し、電流
波形の変化を検討した。尚、インクの吐出動作を繰り返
す間に、電流波形のみだれや、電流波形から1回の吐出
動作の中で導電性インクの小規模な複数回の沸騰(以
下、多段階沸騰と略称する。)が認められた場合には、
インク吐出動作を中止した。また、1億回連続してイン
クの吐出動作を繰り返しても、電流波形のみだれや、多
段階沸騰が認められない場合にも、インク吐出動作にお
ける耐久性に優れるものとして、インクの吐出動作を中
止した。
【0052】〔加速試験〕〔吐出試験〕において1億回
の連続吐出が可能であった場合について、長時間の放置
によるインク吐出動作への影響を検討するため、導電性
インクが入ったサンプル瓶に1億回の連続吐出を行った
後の記録ヘッドを浸漬し、密封した状態で60℃の恒温
槽中に7日間放置した後、〔電位測定〕に記載した方法
で導電性インクの酸化還元電位の測定し、〔吐出試験〕
に記載した条件で、インクの吐出動作を行い、電流波形
の観察と沸騰開始時刻T1の測定を行った。
【0053】〔電位測定〕及び〔加速試験〕における第
1実験例及び第2実験例の各々の導電性インクの酸化還
元電位と、〔吐出試験〕及び〔加速試験〕における第1
実験例及び第2実験例の各々の導電性インクを用いた場
合の沸騰開始時刻T1を(表1)に示した。
【0054】
【表1】
【0055】第2実験例の導電性インクでは、〔吐出試
験〕においては1億回まで電流波形の乱れや多段階沸騰
は認められなかったが、〔加速試験〕では多段階沸騰が
発生し、1億回連続してインクの吐出動作を行うことは
できなかった。また、(表1)に示したように、第2実
験例の導電性インクを用いた場合、初期サイクルでの沸
騰開始時刻T1は19μsecであったが、〔加速試
験〕での吐出動作では沸騰開始時刻T1は11μsec
となり、初期サイクルに比べて約40%沸騰開始時間が
短くなっていることが判った。一方、第1実験例の導電
性インクでは、〔吐出試験〕において1億回まで電流波
形の乱れや多段階沸騰は認められず、また〔加速試験〕
でも電流波形の乱れや多段階沸騰の発生は認められなか
った。さらに、(表1)に示したように、第1実験例の
導電性インクを用いた場合、初期サイクルでの沸騰開始
時刻T1は18μsec、〔加速試験〕での吐出動作に
おける沸騰開始時刻T1も18μsecであり、長時間
の放置においても沸騰開始時間に変化が認められないこ
とが判明した。
【0056】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤としてフェリシアン化カリウムを含有させ
ることにより、インク吐出動作を行わずに長時間放置し
た後においても沸騰開始時間の変化を防止できることが
明らかとなった。
【0057】(実験例3,4,5)電位調整剤としてフ
ェリシアン化カリウムを用いた場合の、フィリシアン化
カリウムの重量比の影響を検討するため、以下のような
導電性インクを作製した。
【0058】まず、フェリシアン化カリウムを1重量%
と、溶媒の中の精製水を76重量%としたことを除い
て、第1実験例と同一の原料を同量配合した導電性イン
クを作製し、これを第3実験例とした。
【0059】電位調整剤としてフェリシアン化カリウム
を用いた場合の、フィリシアン化カリウムの重量比の影
響を検討するため、以下のような導電性インクを作製し
た。
【0060】まず、フェリシアン化カリウムを1.5重
量%と、溶媒の中の精製水を75.5重量%としたこと
を除いて、第1実験例と同一の原料を同量配合した導電
性インクを作製し、これを第4実験例とした。
【0061】また、電位調整剤としてフェリシアン化カ
リウムを2重量%と、溶媒の中の精製水を75重量%と
したことを除いて、第1実験例と同一の原料を同量配合
した導電性インクを作製し、これを第5実験例とした。
【0062】第3実験例〜第5実験例の導電性インクに
ついて、第1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、
〔吐出試験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表
1)に示した。
【0063】まず、第3実験例及び第4実験例の導電性
インクでは、〔吐出試験〕において1億回まで電流波形
の乱れや多段階沸騰は認められず、また〔加速試験〕で
も電流波形の乱れや多段階沸騰の発生は認められなかっ
た。さらに、(表1)に示したように、第3実験例の導
電性インクを用いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時
刻T1は20μsec、〔加速試験〕での吐出動作にお
ける沸騰開始時刻T1も18μsecであり、また、第
4実験例の導電性インクを用いた場合も、初期サイクル
での沸騰開始時刻T1は19μsec、〔加速試験〕で
の吐出動作における沸騰開始時刻T1も18μsecで
あり、長時間の放置においても沸騰開始時間に変化が極
めて小さいことが判明した。一方、第5実験例の導電性
インクでは、〔吐出試験〕において電流波形の乱れが認
められ、1億回連続してインクの吐出動作を行うことは
できなかった。また、〔吐出試験〕後に光学顕微鏡によ
り第4実験例の導電性インクを用いた記録ヘッドの対向
電極を観察したところ、対向電極が白っぽく変色してい
ることが明らかとなった。このような対向電極の変化
は、フェリシアン化カリウムの重量比が大きい第5実験
例の導電性インクでは、導電性インクの酸化力が強すぎ
て、対向電極と導電性インクとの反応が生じたためでは
ないかと推定される。
【0064】以上のように本実験例より、電位調整剤と
してフェリシアン化カリウムを用いる場合には、その重
量比は1.5重量%以下が好ましいことが明らかとなっ
た。
【0065】(実験例6,7)電位調整剤として過マン
ガン酸カリウムを1重量%と、溶媒の中の精製水を76
重量%としたことを除いて、第1実験例と同一の原料を
同量配合した導電性インクを作製し、これを第6実験例
とした。
【0066】また、電位調整剤として過マンガン酸カリ
ウムを2重量%と、溶媒の中の精製水を75重量%とし
たことを除いて、第1実験例と同一の原料を同量配合し
た導電性インクを作製し、これを第7実験例とした。
【0067】第6実験例及び第7実験例の導電性インク
について、第1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、
〔吐出試験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表
1)に示した。
【0068】まず、第6実験例の導電性インクでは、
〔吐出試験〕において1億回まで電流波形の乱れや多段
階沸騰は認められず、また〔加速試験〕でも電流波形の
乱れや多段階沸騰の発生は認められなかった。さらに、
(表1)に示したように、第6実験例の導電性インクを
用いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時刻T1は17
μsec、〔加速試験〕での吐出動作における沸騰開始
時刻T1も16μsecであり、長時間の放置において
も沸騰開始時間に変化が極めて小さいことが判明した。
一方、第7実験例の導電性インクでは、〔吐出試験〕に
おいて電流波形の乱れが認められ、1億回連続してイン
クの吐出動作を行うことはできなかった。また、〔吐出
試験〕後に光学顕微鏡により第7実験例の導電性インク
を用いた記録ヘッドの対向電極を観察したところ、対向
電極が白っぽく変色していることが明らかとなった。こ
のような対向電極の変化は、過マンガン酸カリウムの重
量比が大きい第7実験例の導電性インクでは、導電性イ
ンクの酸化力が強すぎて、対向電極と導電性インクとの
反応が生じたためではないかと推定される。
【0069】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤として過マンガン酸カリウムを含有させる
ことにより、インク吐出動作を行わずに長時間放置した
後においても沸騰開始時間の変化を抑制できることが明
らかとなった。
【0070】(実験例8,9)電位調整剤として過酸化
水素水を1重量%と、溶媒の中の精製水を76重量%と
したことを除いて、第1実験例と同一の原料を同量配合
した導電性インクを作製し、これを第8実験例とした。
【0071】また、電位調整剤として過酸化水素水を2
重量%と、溶媒の中の精製水を75重量%としたことを
除いて、第1実験例と同一の原料を同量配合した導電性
インクを作製し、これを第9実験例とした。
【0072】第8実験例及び第9実験例の導電性インク
について、第1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、
〔吐出試験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表
1)に示した。
【0073】まず、第8実験例の導電性インクでは、
〔吐出試験〕において1億回まで電流波形の乱れや多段
階沸騰は認められず、また〔加速試験〕でも電流波形の
乱れや多段階沸騰の発生は認められなかった。さらに、
(表1)に示したように、第8実験例の導電性インクを
用いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時刻T1は19
μsec、〔加速試験〕での吐出動作における沸騰開始
時刻T1も17μsecであり、長時間の放置において
も沸騰開始時間に変化が極めて小さいことが判明した。
一方、第9実験例の導電性インクでは、〔吐出試験〕に
おいて電流波形の乱れが認められ、1億回連続してイン
クの吐出動作を行うことはできなかった。また、〔吐出
試験〕後に光学顕微鏡により第9実験例の導電性インク
を用いた記録ヘッドの対向電極を観察したところ、対向
電極が白っぽく変色していることが明らかとなった。こ
のような対向電極の変化は、過酸化水素水の重量比が大
きい第9実験例の導電性インクでは、導電性インクの酸
化力が強すぎて、対向電極と導電性インクとの反応が生
じたためではないかと推定される。
【0074】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤として過酸化水素水を含有させることによ
り、インク吐出動作を行わずに長時間放置した後におい
ても沸騰開始時間の変化を抑制できることが明らかとな
った。
【0075】(実験例10)電位調整剤として亜硝酸ナ
トリウムを0.1重量%と、溶媒の中の精製水を76.
9重量%としたことを除いて、第1実験例と同一の原料
を同量配合した導電性インクを作製し、これを第10実
験例とした。
【0076】第10実験例の導電性インクについて、第
1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、〔吐出試
験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表1)に示
した。
【0077】第10実験例の導電性インクでは、〔吐出
試験〕において1億回まで電流波形の乱れや多段階沸騰
は認められず、また〔加速試験〕でも電流波形の乱れや
多段階沸騰の発生は認められなかった。さらに、(表
1)に示したように、第10実験例の導電性インクを用
いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時刻T1は19μ
sec、〔加速試験〕での吐出動作における沸騰開始時
刻T1も18μsecであり、長時間の放置においても
沸騰開始時間に変化が極めて小さいことが判明した。
【0078】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤として亜硝酸ナトリウムを含有させること
により、インク吐出動作を行わずに長時間放置した後に
おいても沸騰開始時間の変化を抑制できることが明らか
となった。
【0079】(実験例11)電位調整剤としてエチレン
ジアミン−4酢酸鉄を0.05重量%と、溶媒の中の精
製水を76.95重量%としたことを除いて、第1実験
例と同一の原料を同量配合した導電性インクを作製し、
これを第11実験例とした。
【0080】第11実験例の導電性インクについて、第
1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、〔吐出試
験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表1)に示
した。
【0081】第11実験例の導電性インクでは、〔吐出
試験〕において1億回まで電流波形の乱れや多段階沸騰
は認められず、また〔加速試験〕でも電流波形の乱れや
多段階沸騰の発生は認められなかった。さらに、(表
1)に示したように、第11実験例の導電性インクを用
いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時刻T1は17μ
sec、〔加速試験〕での吐出動作における沸騰開始時
刻T1も16μsecであり、長時間の放置においても
沸騰開始時間に変化が極めて小さいことが判明した。
【0082】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤としてエチレンジアミン−4酢酸鉄を含有
させることにより、インク吐出動作を行わずに長時間放
置した後においても沸騰開始時間の変化を抑制できるこ
とが明らかとなった。
【0083】尚、(表1)には示していないが、エチレ
ンジアミン−4酢酸鉄の代わりに、1,2−シクロヘキ
サジアミン−N,N,N’,N’−4酢酸鉄、又はプロ
ピレンジアミン4酢酸鉄を第9実験例と同じ重量比で含
有した導電性インクについても、エチレンジアミン−4
酢酸鉄を用いた第11実験例の導電性インクと同様に、
〔加速試験〕後の沸騰開始時間の変化を抑制できること
が判明した。
【0084】(実験例12)電位調整剤としてメタほう
酸ナトリウムを0.05重量%と、溶媒の中の精製水を
76.95重量%としたことを除いて、第1実験例と同
一の原料を同量配合した導電性インクを作製し、これを
第12実験例とした。
【0085】第12実験例の導電性インクについて、第
1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、〔吐出試
験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表1)に示
した。
【0086】第12実験例の導電性インクでは、〔吐出
試験〕において1億回まで電流波形の乱れや多段階沸騰
は認められず、また〔加速試験〕でも電流波形の乱れや
多段階沸騰の発生は認められなかった。さらに、(表
1)に示したように、第12実験例の導電性インクを用
いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時刻T1は19μ
sec、〔加速試験〕での吐出動作における沸騰開始時
刻T1も19μsecであり、長時間の放置においても
沸騰開始時間に変化を防止できることが判明した。
【0087】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤としてメタほう酸ナトリウムを含有させる
ことにより、インク吐出動作を行わずに長時間放置した
後においても沸騰開始時間の変化を防止できることが明
らかとなった。
【0088】(実験例13)電位調整剤として安息香酸
ナトリウムを0.05重量%と、溶媒の中の精製水を7
6.95重量%としたことを除いて、第1実験例と同一
の原料を同量配合した導電性インクを作製し、これを第
13実験例とした。
【0089】第13実験例の導電性インクについて、第
1実験例と同様な方法で、〔電位測定〕、〔吐出試
験〕、〔加速試験〕を行った。その結果を(表1)に示
した。
【0090】第13実験例の導電性インクでは、〔吐出
試験〕において1億回まで電流薄膜磁気ヘッド系の乱れ
や多段階沸騰は認められず、また〔加速試験〕でも電流
は異形の乱れや多段階沸騰の発生は認められなかった。
さらに、(表1)に示したように、第13実験例の導電
性インクを用いた場合、初期サイクルでの沸騰開始時刻
T1は18μsec、〔加速試験〕での吐出動作におけ
る沸騰開始時刻T1も16μsecであり、長時間の放
置においても沸騰開始時間に変化が極めて小さいことが
判明した。
【0091】以上のように本実験例より、導電性インク
に電位調整剤として安息香酸ナトリウムを含有させるこ
とにより、インク吐出動作を行わずに長時間放置した後
においても沸騰開始時間の変化を抑制できることが明ら
かとなった。
【0092】(評価例1)〔吐出試験〕における1億回
のインクの連続吐出動作が可能で、かつ〔吐出試験〕と
〔加速試験〕における沸騰開始時間の変化が極めて小さ
かった第1、第3、第5、第7、第9〜第12実験例の
結果、及び電位調整剤を含まない第2実験例の結果よ
り、電位調整剤を含む導電性インクの酸化還元電位が1
40mV〜310mVとなるように、電位調整剤を添加
することが好ましいと言える。また、これらの結果に第
4、第6、第8実験例の結果を考慮すると、電位調整剤
を含む導電性インクの酸化還元電位は190mV〜24
0mVがより好ましい範囲である。
【0093】尚、これらの値は、〔電位測定〕に記載し
た測定装置及び標準水素電極電位を基準とした25℃に
おける結果であるので、基準となる電極電位や温度が異
なる場合には、適宜換算する必要がある。
【0094】
【発明の効果】以上のように本発明の導電性インクによ
れば、電位調整剤により導電性インクの酸化還元電位を
調整することで、対向電極と導電性インクとの反応性を
低くし、インク吐出動作を行わずに放置した場合にも、
対向電極の変質や導電性インクの電気的特性の変化が抑
制されることによって、長時間放置した後においても沸
騰開始時間の変化を極めて小さくすることができること
から、長時間放置後においても多段階沸騰等の異常なイ
ンク吐出動作を防止することができ、インクジェットプ
リンタの安定性や信頼性を向上することができるという
優れた効果が得られる。
【0095】また、長時間放置後によるインク吐出動作
の不良を防止できることから、インク滴の欠落によるド
ット抜けやインク滴が霧状になるスプラッシュ等の発生
を防止して、長期間高い印字品質での印刷を行うことが
できるという優れた効果が得られる。
【0096】また、長時間の放置においても導電性イン
クと対向電極との電気化学反応を抑制するともに、イン
ク沸騰室の構成材料の酸化や腐食等の劣化を防止するこ
とができることから、インクジェットプリンタの耐久性
を向上させることができるという優れた効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の通電式のインクジェットプリンタの要部
断面図
【図2】従来の通電式のインクジェットプリンタの要部
透過斜視図
【図3】従来の通電式のインクジェットプリンタの対向
電極に流れる電流のタイミング図
【符号の説明】
1 導電性インク 2 インク沸騰室 3 ノズル孔 4 ノズル板 5a,5b 対向電極 6 インクタンク 7 基板 8 共通インク室 9 インク流路 10 電極駆動装置 10a,10b ドライバ 11a,11b リード線 12 沸騰気泡 13 インク滴 14 記録紙 15 絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂上 恵 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化力を有する電位調整剤を含有している
    ことを特徴とする導電性インク。
  2. 【請求項2】pH測定用ガラス電極を用いて測定した標
    準水素電極電位基準の25℃における前記導電性インク
    の酸化還元電位が140mV〜310mV、好ましくは
    190mV〜240mVであることを特徴とする請求項
    1に記載の導電性インク。
  3. 【請求項3】前記電位調整剤の重量比が、前記導電性イ
    ンクの全重量に対して0.01〜10重量%、好ましく
    は0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜1.
    5重量%であることを特徴とする請求項1又は2の内の
    いずれか1に記載の導電性インク。
  4. 【請求項4】前記電位調整剤が、フェリシアン化カリウ
    ム、過マンガン酸カリウム、過酸化水素水、亜硝酸ナト
    リウム、アミノポリカルボン酸鉄、メタほう酸ナトリウ
    ム、安息香酸ナトリウムのいずれか1つ以上からなるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3の内のいずれか1に記載
    の導電性インク。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121437A (ja) * 2000-10-13 2002-04-23 Ulvac Corporate Center:Kk インクジェット用インク及びその製法
CN110774771A (zh) * 2018-07-31 2020-02-11 北京梦之墨科技有限公司 一种液态金属供墨系统的氧化物含量测试组件
WO2023047767A1 (ja) * 2021-09-27 2023-03-30 富士フイルム株式会社 インクジェットインク及び画像記録方法

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CN110774771A (zh) * 2018-07-31 2020-02-11 北京梦之墨科技有限公司 一种液态金属供墨系统的氧化物含量测试组件
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