JPH1057495A - バルーンカテーテル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な柔軟性とプッシュ性をバランスよく兼
ね備えたバルーンカテーテルを提供すること。 【解決手段】 バルーンカテーテル１は、同軸に配置さ
れた外側チューブ４及び内側チューブ６を有し、内側チ
ューブ６は、外部樹脂層６ａ、補強部材２０、および内
部樹脂層６ｂの３層構造になっている。補強部材２０
は、直径約０．０３ｍｍのステンレス線２本を１組に束
ねて、その束ねたもの８組を平行に右巻で螺旋状に巻回
すると共に、別の８組を平行に左巻で螺旋状に巻回し、
その右巻の８組と左巻の８組とが交互に重なるように交
差させて編成された網状体で、螺旋が１回転する間に軸
方向に進むピッチが、遠位端側で短く、近位端側で長く
され、遠位端側部分の方がより細かい網目を形成してい
る。この補強部材２０は、バルーン２の略中央付近まで
設けられ、それより遠位端側には設けられていない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＩＡＢＰ（大動脈
内バルーンパンピング）に用いられるバルーンカテーテ
ルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、心機能が低下したときに行う
補助循環法の一つであるＩＡＢＰ（大動脈内バルーンパ
ンピング）は、比較的簡便で有効な方法として広く医療
現場で実施されており、このＩＡＢＰを実施する際に
は、例えば図４に示す様な、いわゆるダブルルーメンタ
イプのバルーンカテーテル１００がよく使われている。

【０００３】このバルーンカテーテル１００は、バルー
ン１０２、外側チューブ１０４、内側チューブ１０６、
先端チップ１０８、およびＹコネクタ１１０などから構
成され、バルーン１０２及び外側チューブ１０４の内部
を貫通させて内側チューブ１０６を配置することで、２
つのルーメン、すなわち、外側チューブ１０４の内周面
と内側チューブ１０６の外周面の間隙である第１ルーメ
ンと、内側チューブ１０６の内腔である第２ルーメンを
形成したものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の如き
ダブルルーメンタイプのバルーンカテーテルでは、従
来、内側チューブとして、金属製チューブや樹脂製チュ
ーブが採用されていたが、それぞれに一長一短があっ
た。

【０００５】すなわち、内側チューブが金属製チューブ
の場合、樹脂製チューブに比べて材料そのものの強度が
高いことから、外径（以下、カテーテル径という）を細
径化した場合にも比較的高いプッシュ性を確保でき、血
管内において容易に血流に逆行させて押し進めることが
でき、また、バルーンパンピング時の応答性や血管内へ
の挿入性なども樹脂製チューブに比べて良好であった
が、その反面、金属製チューブは、曲げ剛性が高すぎて
柔軟性に欠けるため、血管が蛇行しているような場合に
は、血管内への挿入が困難で、無理に挿入すれば血管を
傷つける恐れがあった。

【０００６】一方、内側チューブが樹脂製チューブの場
合、金属製チューブに比べて柔軟性が高いことから、血
管が蛇行している場合でも良好に血管内へ導入すること
ができ、また、材料として選択し得る樹脂の種類が豊富
で成形加工もしやすかったが、その反面、樹脂製チュー
ブは、カテーテル径の細径化を進めるほど必要な曲げ剛
性を確保することが難しくなり、曲げ剛性が不足した場
合、血流の力でチューブが過剰に湾曲し、最悪の場合、
チューブに折れ曲がり（キンク）が発生する恐れがあっ
た。

【０００７】つまり、内側チューブとして金属製チュー
ブや樹脂製チューブを採用した従来のカテーテルでは、
良好な柔軟性と良好なプッシュ性の双方を兼ね備えるこ
とは困難であった。本発明は、上記問題を解決するため
になされたものであり、その目的は、良好な柔軟性とプ
ッシュ性をバランスよく兼ね備えたバルーンカテーテル
を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段、および発明の効果】上述
の目的を達成するため、本発明は、請求項１記載の通
り、内部に給排される流体により拡張／収縮可能なバル
ーンと、該バルーンの後端部に遠位端側が接合され、該
バルーンの内部に連通する内腔を介して近位端側から前
記流体をバルーン内に給排可能な外側チューブと、該外
側チューブの近位端側から前記バルーンの先端部まで、
外側チューブ及びバルーンの内部を貫通するように配設
された内側チューブとを備えたバルーンカテーテルにお
いて、前記内側チューブに金属線からなる補強部材を固
着したことを特徴とする。

【０００９】本発明のバルーンカテーテルにおいて、バ
ルーン、外側チューブ、および内側チューブは、従来品
と同様に、それぞれに適した樹脂材料で作製されるが、
特に、内側チューブについては、金属線からなる補強部
材が固着される。この金属線は、内側チューブに追従し
て柔軟に湾曲する程度に細いものであるが、樹脂材料よ
りは高い強度を有し、内側チューブの折れ曲がりや潰れ
に対する強度を向上させるように作用する。

【００１０】したがって、この様な補強部材を備える内
側チューブは、樹脂材料のみからなるチューブに比べて
強度があり、一方、金属材料のみからなるチューブに比
べて柔軟性がある。そのため、樹脂製チューブよりも、
容易にカテーテル径の細径化を図ることができ、また、
血管内でのプッシュ性が良好となる。また、金属製チュ
ーブよりも、柔軟性が高く、血管が蛇行している場合で
も良好に追従させて導入することができる。つまり、柔
軟性又はプッシュ性のいずれかを犠牲にすることなく、
双方の性能をバランスよく改善することができる。

【００１１】本発明のバルーンカテーテルにおいて、補
強部材は、１本の金属線で構成されていても、複数本の
金属線で構成されていてもよい。また、補強部材は、内
側チューブの外周面上又は内周面上のいずれに固着され
ていてもよく、樹脂材料中に埋め込まれる形で固着され
ていてもよい。更に、内側チューブの軸方向に平行に固
着された直線状の金属線であっても、内側チューブの軸
周りに固着された螺旋状に巻回された金属線であっても
よいが、特に、請求項２記載の如く、前記補強部材が、
内側チューブに対し、左巻で螺旋状に巻回される１本又
は複数本の金属線と、右巻で螺旋状に巻回される１本又
は複数本の金属線とを、交互に交差させつつ巻回して編
成された網状体であると、柔軟性の高い細い金属線を使
っても、比較的高い強度を付与することができるので望
ましい。

【００１２】また、請求項３記載の如く、前記補強部材
が、螺旋状に巻回された金属線によって構成され、前記
螺旋が１回転する間に軸方向に進むピッチが、遠位端側
で短く、近位端側で長くされていると、近位端側では金
属線が軸方向へまっすぐ延びる状態に近づく分、曲がり
やすさよりもプッシュ性が高くなって、仮に挿入操作時
に大きな負荷がかかっても曲がりにくくなり、一方、遠
位端側では金属線が緻密に巻回される分、より柔軟に曲
げやすくなるので、血管に沿って湾曲させつつ前進させ
る場合でも、よりスムーズな挿入操作ができるようにな
る。

【００１３】なお、上記ピッチは、遠位端側から近位端
側にかけて連続的に徐々に長くされているものはもちろ
んのこと、複数の区間に区切って各区間では同一ピッチ
とし、遠位端側の区間よりも近位端側の区間で長くされ
ていても相応の効果がある。更に、請求項４記載の如
く、前記補強部材が、前記外側チューブの遠位端部より
も遠位端側かつ前記内側チューブの近位端部よりも近位
端側となる所定位置から、前記外側チューブの近位端部
までの範囲内に設けられていると、バルーンの先端側で
の柔軟性が更に高くなるので、よりスムーズな挿入操作
ができるようになる。しかも、外側チューブ部分とバル
ーン部分とでは、バルーン部分の方が曲げ剛性が低く、
一般に、外側チューブとバルーンとの接合部付近では内
側チューブの折れ曲がりが発生しやすいが、その部分に
補強部材が配設されて内側チューブが折れにくくなって
いるため、接合部付近における折れ曲がりが発生しにく
い。

【００１４】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。なお、以下に説明するバルーンカテ
ーテルは、本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明の
構成手段は例示した具体的な装置等に限定されない。

【００１５】バルーンカテーテル１は、周知のダブルル
ーメンタイプのもので、図１（ａ）に示す通り、バルー
ン２、外側チューブ４、内側チューブ６、先端チップ
８、およびＹコネクタ１０などから構成され、外側チュ
ーブ４の内周面と内側チューブ６の外周面の間隙は、近
位端側でＹコネクタ１０のインデフレーションポート１
２に、遠位端側でバルーン２内へそれぞれ連通し、イン
デフレーションポート１２から供給されるヘリウムガス
をバルーン２へ供給可能な給排路を形成し、一方、内側
チューブ６の内腔は、近位端側でＹコネクタ１０のガイ
ドワイヤポート１４に、遠位端側で先端チップ８の最先
端部にある開口１６にそれぞれ連通し、事前に血管内に
挿入・留置されるガイドワイヤを挿通可能な通路を形成
している。

【００１６】また、本バルーンカテーテル１における特
徴的な構成として、内側チューブ６には補強部材２０が
固着されている。この補強部材２０は、直径約０．０３
ｍｍの金属線（材質：ステンレス（ＳＵＳ３１６））２
本を１組に束ねて、その束ねたもの８組を平行に右巻で
螺旋状に巻回すると共に、別の８組を平行に左巻で螺旋
状に巻回し、その右巻の８組と左巻の８組とが交互に重
なるように交差させて編成された網状体で、図１（ｂ）
に拡大して示す様に、内側チューブ６（外径：約１．４
ｍｍ、内径約１．０ｍｍ）を形成するポリアミド樹脂中
に埋め込まれる形で設けられ、これにより、内側チュー
ブ６は、外部樹脂層６ａ、補強部材２０、および内部樹
脂層６ｂの３層構造になっている。

【００１７】また、補強部材２０は、図１（ａ）に示す
様に、螺旋が１回転する間に軸方向に進むピッチが、遠
位端側で短く、近位端側で長くされている。同図では、
ピッチの違いを明示的に表す都合上、実際のピッチとは
厳密に一致していないが、各金属線は、遠位端側部分で
約４ｍｍ、近位端側部分で約５ｍｍ程度のピッチで巻回
され、平行に巻かれる８組の金属線は、１／８ピッチ分
ずつ軸方向へずらすことで互いの間隔が等しくなるよう
に巻かれている。この様にピッチを変えると、遠位端側
よりも近位端側で内側チューブ６の曲げ剛性が高くなる
ので、挿入操作時に大きな負荷がかかっても近位端側で
は折れ曲がらず、一方、血管に沿って湾曲しつつ前進す
る必要がある遠位端側の柔軟性は過剰に損なわれず、よ
りスムーズな挿入操作ができるようになる。

【００１８】また更に、補強部材２０は、バルーン２の
略中央付近まで設けられ、それより遠位端側には設けら
れていないため、バルーン２の先端側での柔軟性はより
高くなり、一方、バルーン２と外側チューブ４との接合
部付近で発生しやすい折れ曲がりは、補強部材２０によ
って抑制される。なお、金属線のなす螺旋のピッチは、
上記の如く２通りに変更してもよいが、更に複数通りの
領域に分けてそれぞれピッチを変えたり、全体にわたっ
て連続的にピッチを変えてもよい。

【００１９】以上の様に構成されたバルーンカテーテル
１によれば、補強部材２０を備える内側チューブ６は、
樹脂材料のみからなるチューブに比べて強度があり、一
方、金属材料のみからなるチューブに比べて柔軟性があ
るため、樹脂製チューブよりも、血管内でのプッシュ性
が良好で、また、金属製チューブよりも、柔軟性が高く
なり、従来品の如く柔軟性又はプッシュ性のいずれかを
犠牲にしなくても、双方の性能がバランスよく改善され
る。

【００２０】また、この様なバルーンカテーテル１であ
れば、従来の樹脂製チューブを採用したものとは異な
り、Ｘ線透視下におけるカテーテルの造影効果について
も期待でき、カテーテルの挿通経路上で折れ曲がりが発
生しているような場合に、容易に問題箇所を発見するこ
とができる。

【００２１】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明の構成手段については上記実施形態以外にも
種々考えられる。以下、有用な変形例について説明す
る。例えば、図２に示すバルーンカテーテル３０は、上
記バルーンカテーテル１とは異なり、内側チューブ３２
の全体にわたって補強部材３４を設けてある。この補強
部材３４は、金属線のなす螺旋のピッチが全体にわたっ
て同じになっているが、この様な補強部材３４を設けた
場合でも、内側チューブ３２の強度は改善され、樹脂チ
ューブ以上に高いプッシュ性を付与でき、しかも、金属
チューブに比べて柔軟に湾曲するので、良好な柔軟性と
プッシュ性をバランスよく兼ね備えたものとなる。

【００２２】また、このバルーンカテーテル３０の場
合、最先端部に周囲の圧力を計測可能な圧力センサ３６
が配設されている。この圧力センサ３６は、圧力変化に
伴う変形に応じて電気抵抗が変化する半導体歪ゲージ
で、Ｙコネクタ３７から外部へと導出されるリード線３
８とは、補強部材３４を介して電気的に接続されてい
る。すなわち、このバルーンカテーテル３０において、
補強部材３４は、内側チューブ３２のプッシュ性及び柔
軟性を改善する他に、信号線としても利用されている。
この様なバルーンカテーテル３０によれば、リード線３
８を圧力モニタ装置Ｍへ接続することで、バルーン留置
位置付近での血圧をモニタすることができる。

【００２３】更に、上記バルーンカテーテル１、３０
は、いずれも網状に編成した金属線からなる補強部材を
設けてあったが、図３に示すバルーンカテーテル４０の
様に、内側チューブ４２に対して平行に１本の金属線か
らなる補強部材４４を固着しても、内側チューブ４２の
強度は改善され、樹脂チューブ以上に高いプッシュ性を
付与でき、しかも、金属チューブに比べて柔軟に湾曲す
るので、良好な柔軟性とプッシュ性をバランスよく兼ね
備えたものとなる。但し、補強部材が螺旋を描いて内側
チューブを取り巻いている方が、内側チューブの潰れに
対する強度をより高め得ると考えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のバルーンカテーテルの一例を示し、
（ａ）はその側面図、（ｂ）は要部の内部構造を拡大し
て示す斜視図である。

【図２】 本発明のバルーンカテーテルの別の一例を示
す側面図である。

【図３】 本発明のバルーンカテーテルの更に別の一例
を示す側面図である。

【図４】 従来のバルーンカテーテルの一例を示す側面
図である。

【符号の説明】

１，３０，４０・・・バルーンカテーテル、２・・・バ
ルーン、４・・・外側チューブ、６，３２，４２・・・
内側チューブ、８・・・先端チップ、１０，３７・・・
Ｙコネクタ、１２・・・インデフレーションポート、１
４・・・ガイドワイヤポート、１６・・・開口、２０，
３４，４４・・・補強部材、３６・・・圧力センサ、３
８・・・リード線。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に給排される流体により拡張／収縮
   可能なバルーンと、該バルーンの後端部に遠位端側が接
   合され、該バルーンの内部に連通する内腔を介して近位
   端側から前記流体をバルーン内に給排可能な外側チュー
   ブと、該外側チューブの近位端側から前記バルーンの先
   端部まで、外側チューブ及びバルーンの内部を貫通する
   ように配設された内側チューブとを備えたバルーンカテ
   ーテルにおいて、 前記内側チューブに金属線からなる補強部材を固着した
   ことを特徴とするバルーンカテーテル。
2. 【請求項２】 請求項１記載のバルーンカテーテルにお
   いて、 前記補強部材が、内側チューブに対し、左巻で螺旋状に
   巻回される１本又は複数本の金属線と、右巻で螺旋状に
   巻回される１本又は複数本の金属線とを、交互に交差さ
   せつつ巻回して編成された網状体であることを特徴とす
   るバルーンカテーテル。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２記載のバルーンカ
   テーテルにおいて、 前記補強部材が、螺旋状に巻回された金属線によって構
   成され、前記螺旋が１回転する間に軸方向に進むピッチ
   が、遠位端側で短く、近位端側で長くされていることを
   特徴とするバルーンカテーテル。
4. 【請求項４】 請求項１〜請求項３記載のいずれかにバ
   ルーンカテーテルにおいて、 前記補強部材が、前記外側チューブの遠位端部よりも遠
   位端側かつ前記内側チューブの近位端部よりも近位端側
   となる所定位置から、前記外側チューブの近位端部まで
   の範囲内に設けられているを特徴とするバルーンカテー
   テル。