JPH1057082A - 大腸菌中で制限エンドヌクレアーゼSapIをクローニング及び産生する方法 - Google Patents

大腸菌中で制限エンドヌクレアーゼSapIをクローニング及び産生する方法

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JPH1057082A
JPH1057082A JP9173894A JP17389497A JPH1057082A JP H1057082 A JPH1057082 A JP H1057082A JP 9173894 A JP9173894 A JP 9173894A JP 17389497 A JP17389497 A JP 17389497A JP H1057082 A JPH1057082 A JP H1057082A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、SapI制限エンドヌクレアーゼ
及び修飾メチラーゼをコードする組換えDNA、及び、
組換えDNAからのSapI制限エンドヌクレアーゼの
産生、並びに、大腸菌のような適当な宿主中での放線菌
類Actinomycetes遺伝子のクローニング方
法を提供する。 【解決手段】 単離DNAがSaccharopoly
spora種から得られることを特徴とするSapI制
限エンドヌクレアーゼをコードする単離DNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SapI制限エン
ドヌクレアーゼ及び修飾メチラーゼをコードする組換え
DNA、並びに、組換えDNAからのSapI制限エン
ドヌクレアーゼの産生に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】クラス
IIの制限エンドヌクレアーゼは、細菌中に天然に存在す
る一群の酵素である。これらの酵素を細菌の他の成分か
ら分離して精製することができれば、実験室で制限エン
ドヌクレアーゼを使用し、DNA分子を分子クローニン
グ及び遺伝子キャラクタリゼーションのための正確なフ
ラグメントに開裂させることが可能である。
【0003】制限エンドヌクレアーゼは、DNA分子に
沿ってヌクレオチドの特定配列(「認識配列」)を認識
しこの配列に結合することによって作用する。制限エン
ドヌクレアーゼは一旦結合すると、次いで認識配列の内
部またはその片側で分子を開裂する。異なる制限エンド
ヌクレアーゼは異なる認識配列に親和性を有している。
今日まで試験された数百種類の細菌について、ユニーク
な特異性を有する制限エンドヌクレアーゼは200種類
以上同定されている。
【0004】概して、細菌は、個々の種毎には少数の制
限エンドヌクレアーゼしか有していない。典型的には起
原となる細菌に因んでエンドヌクレアーゼが命名されて
いる。従って、例えばDeinococcus rad
iophilus種は異なる3種類の制限エンドヌクレ
アーゼを合成し、これらはDraI、DraII及びDr
aIII と命名されている。これらの酵素は夫々、配列
5′TTTAAA3′、5′PuGGNCCPy3′及
び5′CACNNNGTG3′を認識し開裂する。他方
で、大腸菌Escherichia coli RY1
3は、配列5′GAATTC3′を認識する1種類の酵
素EcoRIだけを合成する。
【0005】制限エンドヌクレアーゼは本来は細菌細胞
の自己防御機能を果たすと考えられている。制限エンド
ヌクレアーゼの存在によって細菌は、ウイルス及びプラ
スミドのような細菌を破壊したりまたは細菌に寄生した
りする外来DNA分子の感染に対して耐性になる。制限
エンドヌクレアーゼは、認識配列が発生する度毎に侵入
性外来DNA分子を開裂することによって耐性を与え
る。開裂が生じると、感染遺伝子の多くはその能力を失
い、感染遺伝子のDNAは非特異的ヌクレアーゼによっ
て更に分解され易くなる。
【0006】細菌の防御系の第二成分は、修飾メチラー
ゼである。この酵素は、制限エンドヌクレアーゼに相補
的であり、細菌がそれ自体のDNAを保護して外来の感
染性DNAから識別できるようにする手段を提供する。
修飾メチラーゼは、対応する制限エンドヌクレアーゼと
同じ認識配列を認識し該認識配列に結合するが、DNA
を開裂するのでなく、メチル基を付加することによって
配列内部のヌクレオチドのいずれかを化学的に修飾す
る。メチル化後の認識配列は制限エンドヌクレアーゼに
よってもはや開裂されない。細菌細胞のDNAはその修
飾メチラーゼの活性によって常に十分に修飾されてい
る。従って、該DNAは、内在性制限エンドヌクレアー
ゼの存在に対しては完全に不感受性である。制限エンド
ヌクレアーゼによる認識及び開裂に感受性なのは、修飾
されていないため外来であることが確認された外来DN
Aだけである。
【0007】遺伝子工学技術の出現に伴って、遺伝子を
クローニングし、これらの遺伝子がコードしているタン
パク質及び酵素を従来の精製技術で得られるよりも大量
に産生することがいまや可能になっている。制限エンド
ヌクレアーゼ遺伝子の単離クローンを得るためには、複
合「ライブラリー」内部のクローン、即ち、「ショット
ガン」手順によって10-3から10-4という低い頻度で
発生するクローンの集団を同定する簡便で信頼できる方
法を開発することが必要である。所望の希少なクローン
を生存させながら大多数の不要なクローンを破壊するよ
うにその方法が選択的であるのが好ましい。
【0008】クラスIIの制限−修飾系がクローニングさ
れる頻度は増加しつつある。クローニングされた最初の
系は、制限エンドヌクレアーゼクローンを同定または選
択する手段としてバクテリオファージ感染を使用した
(EcoRII:Kosykhら,Molec.Gen.
Genet.178:717−719(1980);H
haII:Mannら,Gene 3:97−112(1
978);PstI:Walderら,Proc.Na
t.Acad.Sci.78:1503−1507(1
981))。細菌中に制限−修飾系が存在すると、細菌
はバクテリオファージ感染に対して耐性になる。従って
原則的には、クローニングされた制限−修飾遺伝子を含
む細胞はファージに接触したライブラリーから生存細胞
として選択的に単離され得る。しかしながらこの方法は
余り有用でないことが判明した。即ち、クローニングさ
れた制限−修飾遺伝子は選択的生存を与えるための十分
なファージ耐性を必ずしも示さないことが判明したから
である。
【0009】別のクローニング方法では、最初にプラス
ミド耐性(plasmid−borne)であると特性
決定された系を大腸菌クローニングプラスミドに導入す
る。(EcoRV:Bougueleretら,Nuc
l.Acid.Res.12:3659−3676(1
984);PaeR7:Gingeras andBr
ooks,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 80:402−406(1983);Theri
ault and Roy,Gene 19:355−
359(1982);PvuII:Blumenthal
ら,J.Bacteriol.164:501−509
(1985))。
【0010】系をクローニングする場合の使用頻度が増
えている第三の方法は、活性メチラーゼ遺伝子の選択を
用いるクローニング方法である(1993年4月6日許
諾の米国特許第5,200,333号及びBsuRI:
Kissら,Nucl.Acid.Res.13:64
03−6421(1985))。制限遺伝子と修飾遺伝
子とはしばしば密接に結合しているので、双方の遺伝子
がしばしば同時にクローニングされる。この選択は完全
な制限系を必ずしも産生せず、メチラーゼ遺伝子だけを
産生したりする(BspRI:Szomolanyi
ら,Gene 10:219−225(1980);B
cnI:Janulaitisら,Gene 20:1
97−204(1982);BsuRI:Kiss a
nd Baldauf,Gene 21:111−11
9(1983);及びMspI:Walderら,J.
Biol.Chem.258:1235−1241(1
983))。
【0011】もっと最近になって、dinD::lac
Z融合を含む指標大腸菌株に基づいて大腸菌中の制限エ
ンドヌクレアーゼ遺伝子を直接クローニングする方法
(“endo−blue method”)が発表され
た(Fomenkovら,Nucl.Acids Re
s.22:2399−2403,1994)。この方法
は、制限エンドヌクレアーゼまたは非特異的ヌクレアー
ゼによってDNA損傷を生じた大腸菌のSOS応答を利
用する。複数の熱安定ヌクレアーゼ遺伝子(Tth11
1I,BsoBI,Tfヌクレアーゼ)がこの方法によ
ってクローニングされた(1996年3月12日許諾の
米国特許第5,498,535号)。
【0012】大腸菌中でのこれらの系のクローニングの
別の障害は多様なメチラーゼ遺伝子をクローニングする
過程で発見された。(クローニングに常用されている菌
株を含む)多くの大腸菌株はシトシンメチル化を含むD
NAの導入に抵抗する系を有している(Raleigh
and Wilson,Proc.Natl.Aca
d.Sci.,USA 83:9070−9074(1
986))。従って、(1つまたは複数の)どの大腸菌
株をクローニングに使用するかを慎重に考慮することも
必要である。
【0013】精製された制限エンドヌクレアーゼ、より
限定的には修飾メチラーゼは実験室で遺伝子キャラクタ
リゼーションを行うための有効なツールであるから、こ
れらの酵素を大量に合成する細菌株を組換えDNA技術
によって得ることは商業的な動機からも要望されてい
る。このような菌株が有用である理由は、これらの菌株
が精製作業を容易にし且つ工業的に有用な量を産生する
手段を提供するからである。
【0014】上記に指摘したような制限−修飾遺伝子の
クローニングに関連する問題以外にも、大腸菌にこのよ
うな外来制限修飾系をクローニング及び導入する場合、
恐らくは大腸菌中の遺伝子の無効な転写または翻訳が原
因で、天然エンドヌクレアーゼ産生菌株に比較してメチ
ラーゼ及びエンドヌクレアーゼの収率が極めて低い値に
なったりする。特に放線菌類Actinomycete
sの遺伝子を大腸菌にクローニングするときにはこれら
の2種類の微生物のGC含量が違っているのが原因でこ
のような低収率が生じ易い。従って、Saccharo
polyspora種に由来のSapI制限エンドヌク
レアーゼ遺伝子のような放線菌類Actinomyce
tesの遺伝子を大腸菌中で十分に発現させ効率的な遺
伝子発現に基づいて選択させ得るクローニング系の開発
が望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、修飾メチラー
ゼ選択方法によって大腸菌中でSapI制限−修飾系の
メチラーゼをクローニングする方法に関する。本発明方
法の好ましい段階を図1に示す。放線菌Actinom
yceteのSapIメチラーゼ遺伝子のクローニング
において、Saccharopolyspora種から
目標のメチラーゼ遺伝子(SapIメチラーゼ遺伝子)
をクローニングするために、pUC19ベクターを用い
る標準メチラーゼ遺伝子選択方法を使用した。1つのS
apIメチラーゼ遺伝子(M1)をクローニングした。
SapIの認識配列は非対称なので(一方のストランド
は5′GCTCTTC3′、他方のストランドは5′G
AAGAGC3′である)、SapI制限−修飾系は2
つのメチラーゼと1つのエンドヌクレアーゼとを含んで
いるに違いないと推測した。M1 DNAの左半部と右
半部をプローブとして用いるサザンブロット法によって
ゲノムDNA地図を作成した。メチラーゼ選択方法によ
って第二のメチラーゼ遺伝子をクローニングするため
に、EcoRI、KpnI及びSmaIのゲノムDNA
ライブラリーを構築した。
【0016】第二のSapIメチラーゼ遺伝子(M2)
をクローニングし配列決定した後、2つのSapIメチ
ラーゼ遺伝子の上流及び下流のDNAフラグメントのク
ローニング及び配列決定を試みた。通常は、特定の制限
−修飾系におけるメチラーゼ遺伝子及びエンドヌクレア
ーゼ遺伝子は互いに極めて近接した位置に存在する。M
2遺伝子の上流の合計1731bpのDNAを配列決定
し、GenBankの全ての既知遺伝子と比較した。こ
のDNAは、抗生物質合成に関与する1つの遺伝子に相
同性を有する推定遺伝子を含む。SapI制限エンドヌ
クレアーゼはM2の上流には存在せず、M1遺伝子の下
流に存在するらしいという結論が得られた。M1と下流
のDNAとを含むより大きいゲノムインサートをクロー
ニングするために、NlaIII 部分ゲノムライブラリー
を構築した。下流のDNAをNlaIII ライブラリーか
らスクリーニングし配列決定した。このDNAは657
bpの長さしかなく、完全エンドヌクレアーゼ遺伝子を
コードできる十分な大きさではなかった。次に、エンド
ヌクレアーゼ遺伝子を含むと考えられる配列の残部を逆
PCRを使用して増幅しクローニングした。
【0017】別々の逆PCR増幅を2回行った後、M1
の下流のDNAフラグメントをクローニングして配列決
定し、1つの読取り枠を発見した。この読取り枠(OR
F)はGenBankの既知の遺伝子に相同性を全く有
していなかった。これをSapI制限エンドヌクレアー
ゼ遺伝子であると推測した。SapI制限−修飾系の遺
伝子編成を図2に示す。M1遺伝子及びM2遺伝子をp
ACYC184またはpSC101に由来のベクターに
クローニングし、染色体DNAを予め修飾するために大
腸菌中に形質転換させた。
【0018】推定SapIエンドヌクレアーゼ遺伝子を
PCRによって増幅し、pUC19にクローニングし、
予め修飾した大腸菌宿主を形質転換させた。pUC19
中のインサートを含むプラスミドは、細胞抽出物中で低
いSapIエンドヌクレアーゼ活性を示したが、大量培
養物中では全部の単離物が活性を喪失しており、クロー
ンが安定でないことを示した。発現クローンを安定化す
るために、M2の手前に有効なリボソーム結合部位を組
み込んで、pACYC184にクローニングした。M1
遺伝子も同じベクターにクローニングした。SapIエ
ンドヌクレアーゼ遺伝子を、T7プロモーターの上流に
転写ターミネーターを有しているT7発現ベクター(p
ET21誘導体)にクローニングした。転写ターミネー
ターは更に、非誘導条件下の遺伝子発現の基底レベルを
更に低下させた。エンドヌクレアーゼ遺伝子をPCRに
よって増幅し、T7発現ベクターに挿入した。最終構築
物はpUC19−SapIRよりも安定であった。
【0019】
【発明の実施の形態】SapIのメチラーゼ遺伝子及び
エンドヌクレアーゼ遺伝子をクローニングし発現させる
本発明の方法は図1に示されており、以下の段階を含
む。
【0020】1.Saccharopolyspora
種のゲノムDNAを精製した。
【0021】2.Sau3AIもしくはNlaIII また
はそのアイソシゾマーのいずれかのような、完全Sap
Iメチラーゼ遺伝子を含む(1つまたは複数の)DNA
フラグメントを生じさせる制限エンドヌクレアーゼによ
ってDNAを部分消化する。2−20kbの範囲のDN
Aフラグメントをゲル精製した。
【0022】3.段階2でSau3AI消化したゲノム
DNAをBamHI開裂/CIP処理したpUC19ク
ローニングベクターに結合させた。NlaIII 消化した
ゲノムDNAをSphI開裂/CIP処理したpUC1
9クローニングベクターに結合させた。得られた混合物
を用いて適当な宿主、即ち大腸菌RR1株のようなHs
dR- 、McrBC- 、Mrr- 菌株を形質転換させ
た。DNA/細胞混合物を形質転換細胞用のアンピシリ
ン選択培地で平板培養した。インキュベーション後、形
質転換コロニーを収集し、収集コロニーを一緒にして一
次細胞ライブラリーを作製した。
【0023】4.一次細胞ライブラリーから組換えプラ
スミドを完全に(in toto)精製して一次プラス
ミドライブラリーを作製した。精製したプラスミドライ
ブラリーを次に、SapIエンドヌクレアーゼまたは任
意のSapIアイソシゾマーによってin vitro
で完全消化した。SapIエンドヌクレアーゼ消化は非
修飾のメチラーゼ非含有クローンを選択的に破壊し、S
apIメチラーゼを含むクローンの相対頻度が増加し
た。
【0024】5.SapIメチラーゼクローンの同定。
消化したプラスミドライブラリーDNAで大腸菌RR1
のような宿主を再度形質転換させ、アンピシリンプレー
トに平板培養することによって形質転換コロニーを再度
調製した。コロニーを採取し、それらのプラスミドDN
Aを調製し、SapIメチラーゼ遺伝子の存在を分析す
るために、精製したプラスミドDNAをSapIエンド
ヌクレアーゼと共にinvitroでインキュベートす
ることによってSapI消化に耐性であるか否かを判定
した。
【0025】6.メチラーゼ遺伝子がクローニングされ
たことを確認した後、制限地図作成及び欠失地図作成に
よってクローンを分析した。完全インサートを配列決定
し、SapI M1メチラーゼ遺伝子に対応する1つの
読取り枠を発見した(図3、配列番号1参照)。
【0026】7.M1遺伝子の近傍のゲノムDNA地図
を構築するために、M1クローンに由来の2つのDNA
フラグメント(ClaI−SmaIフラグメント及びC
laI−SphIフラグメント)を、AatII、Eco
O109I、EcoRI、KpnI、PvuI、Sma
I、SphI、SspI、XbaI、XmnI、Afl
II、AvrII、BsgI、BspEI、BstBI,B
su36I、DraIII、EagI、Eco47III 、
EcoNI、MscI、MunI、NcoI、Nde
I、NruI、PflMI、PmlI、RsrII、Sa
cII、SnaBI、SpeIまたはStyIによって消
化されたゲノムDNAを検出するサザンブロットのプロ
ーブとして使用した。サザンブロットは、EcoRI
(11kb)、KpnI(5.8kb)及びSmaI
(6.5kb)のフラグメントがSapIM2遺伝子及
び/またはSapI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子のク
ローニングの有望な候補であることを示した。
【0027】8.ゲノムDNAをEcoRI、KpnI
またはSmaIで消化した。約11kbのEcoRIフ
ラグメント、約5.8kbのKpnIフラグメント及び
約6.5kbのSmaIフラグメントをゲル精製し、E
coRI、KpnIまたはSmaI消化しCIP処理し
たpUC19ベクターに結合させ、結合したDNAでR
R1コンピテント細胞を形質転換させてEcoRI、K
pnI及びSmaIゲノムDNAライブラリーを構築し
た。ライブラリーDNAを一緒に混合し、SapI制限
エンドヌクレアーゼで消化し、RR1コンピテント細胞
を再度形質転換させ、SapI耐性クローンをスクリー
ニングした。
【0028】9.SapI消化に部分耐性を示すクロー
ンとして5.8kbのKpnIフラグメントインサート
を含む3つのクローンを単離した。制限地図作成及び欠
失地図作成によってこれらのクローンを分析した。サブ
クローンを配列決定した。第二のメチラーゼ(M2)を
コードする読取り枠を発見した(図4、配列番号2参
照)。
【0029】10.5.8kbのKpnIフラグメント
インサートはM2遺伝子全部とM1遺伝子の大部分とを
含む。読取り枠の位置の検出を期待してM2の上流のD
NAを配列決定した。M2遺伝子の上流の合計1731
bpのDNAを配列決定し、この新しい配列をGenB
ankの全部の既知遺伝子に比較した。抗生物質合成に
関与するabaA遺伝子に相同性を有する1つの読取り
枠を発見した。SapI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子
はM2遺伝子の上流には存在しないという結論が得られ
た。
【0030】11.M1遺伝子の下流のDNA配列を増
幅するために逆PCRを行った。Saccharopo
lyspora種のゲノムDNAをAflIII 、Age
I、AseI、BglII、BsaHI、BsrFI、B
stYI、ClaI、EcoRI、KasI、Kpn
I、MluI、NgoMI、PaeR7I、Ppu10
IまたはPstIのような制限酵素または逆PCR反応
に適した大きさの鋳型DNA(10kb未満)を生じる
任意の他の制限酵素によって消化した。消化したDNA
は低いDNA濃度(1mlあたり2マイクログラム未
満)で自己結合した。結合した環状DNAを鋳型として
使用し、SapI M1遺伝子の末端にアニーリングし
た1組のプライマー(実施例1、第5項参照)を用いて
逆PCR反応を行った。
【0031】12.AflIII 、AgeI、AseI、
BsaHI、BsrFI、BstYI、ClaI、Ka
sI、MluI、PaeR7I及びPpu10Iで消化
し自己結合した、逆PCRで用いたDNA鋳型中に増幅
産物が検出された。ClaI反応からの逆PCR産物
(1.4kb)及びNsiI反応からの逆PCR産物
(1.6kb)をT4ポリヌクレオチドキナーゼ及びT
4 DNAポリメラーゼによって処理し、HincII開
裂/CIP処理したpUC19ベクターにクローニング
した。完全インサートを配列決定した。SapIエンド
ヌクレアーゼ遺伝子(図5、配列番号3)をコードして
いる1つの読取り枠がM1遺伝子に対して対向方向に存
在することが判明した。
【0032】13.大腸菌宿主を予め修飾するためにS
apIのM1遺伝子及びM2遺伝子をpACYC184
にクローニングした。2つのプライマーを用いたPCR
によって完全読取り枠(SapIエンドヌクレアーゼ遺
伝子)を増幅させた。ATG開始コドンの前に有効なリ
ボソーム結合部位と7bpのスペーシングとを作製し
た。エンドヌクレアーゼ遺伝子を先ずpUC19のよう
な高コピー数発現ベクターにクローニングした。しかし
ながらクローンは安定でなかった。SapIエンドヌク
レアーゼ活性は10ml培養物の細胞抽出物から検出で
きるが、500ml培養物からは検出できない。クロー
ンを安定化するために、エンドヌクレアーゼ遺伝子を修
飾されたT7発現ベクターpET21tに挿入し、Sa
pIメチラーゼで修飾した細胞の形質転換に用いた。E
R2504〔pACYC−SapIM1−M2,pET
21t−SapIR〕(NEB#998;New En
gland Biolabs,Inc.;Beverl
y,Massachusetts)は湿潤大腸菌細胞1
gあたり約20,000単位のSapIエンドヌクレア
ーゼ活性を産生した。NEB#998のサンプルはブダ
ペスト条約の約定及び条件に従って1996年7月11
日付けでAmerican Type Culture
CollectionにATCC受託番号98102
で寄託されている。
【0033】以下の実施例は現在好ましく実施されてい
る本発明の実施態様を説明する。この実施例は単なる代
表例であり本発明を限定するものではないこと、及び、
本発明は特許請求の範囲の記載によって限定されること
は理解されよう。
【0034】前出及び後出の引用文献は参照によって本
発明に含まれるものとする。
【0035】実施例1 SapI制限−修飾系のクローニング 1.SapIメチラーゼ遺伝子(M1)のクローニング 10μgのSaccharopolyspora種のゲ
ノムDNAを4、2、1、0.5、0.25単位のSa
u3AIによって37℃で30分間部分開裂した。部分
消化したDNAをゲル電気泳動によって分析した。1単
位及び0.5単位のSau3AI消化によって限定部分
消化が生じることが知見された。200μgのDNAに
ついて部分消化を繰り返した(試験管あたり10μgの
DNAを用いて20の消化を実施した)。アガロースゲ
ルからDNAを切り出し、凍結−解凍し、遠心すること
によって、2−20kbの範囲のゲノムDNAフラグメ
ントをゲル精製した。DNA含有上清を95%エタノー
ルで沈降させた。ペレットを70%エタノールで洗浄
し、乾燥し、TEバッファに再懸濁させた。Sau3A
Iで部分消化したSaccharopolyspora
種のゲノムDNAをBamHI開裂/CIP処理したp
UC19 DNAに16℃で一夜結合させた。結合した
DNAでRR1コンピテント細胞を形質転換させ、アン
ピシリンプレートで平板培養した。形質転換に由来する
細胞が合計で約5×104 個得られた。これらの細胞を
一緒にプールし、1リットルのLBブイヨンにApを加
えた培地に接種し、37℃で一夜培養した。一次細胞ラ
イブラリーからプラスミドDNAを調製した。10、
5、2、1μgのプラスミドDNAをSapI制限エン
ドヌクレアーゼによって37℃で4時間開裂した。Sa
pI消化したDNAでRR1コンピテント細胞を再度形
質転換させた。生存する形質転換体からプラスミドDN
Aを再度単離し、プラスミドDNAがSapI消化に耐
性であるか否かを確認するためにSapI制限酵素によ
って消化した。72プラスミドがSapI消化耐性につ
いてチェックされた。約1.5kbのゲノムDNAイン
サートを含む1つの耐性クローン(#32)が見出され
た。欠失クローン及びカスタムプライマーによるプライ
マーウォーキングを用いて完全インサートを配列決定し
た。インサートはSapIメチラーゼ遺伝子(M1)を
含んでいることが判明した。予測されたアミノ酸(a
a)配列は、保存されたN4 シトシンメチラーゼモチー
フVXDPXGGXGT(配列番号4)及びSPPFを
含む。DNAコーディング配列と予測されたaa配列と
を図3に示す。
【0036】2.SapI M1遺伝子の周囲のゲノム
DNAの制限地図作成 M1クローンに由来のM1メチラーゼのC末端をコード
する1つのClaI−SmaI DNAフラグメント
を、AatII、EcoO109I、EcoRI、Kpn
I、PvuI、SmaI、SphI、SspI、Xba
I、XmnI、AflII、AvrII、BsgI、Bsp
EI、BstBI、Bsu36I、DraIII 、Eag
I、Eco47III 、EcoNI、MscI、Mun
I、NcoI、NdeI、NruI、PflMI、Pm
lI、RsrII、SacII、SnaBI、SpeIまた
はStyIによって消化されたゲノムDNAを検出する
サザンブロットのプローブとして使用した。エンドヌク
レアーゼ消化したゲノムDNAを0.8%アガロースゲ
ルで電気泳動処理した。DNAを変性し、ブロッティン
グによってニトロセルロース膜に移した。膜のDNAと
ビオチニル化したClaI−SmaIフラグメントプロ
ーブとを65℃で一夜ハイブリダイズさせた。ハイブリ
ダイズしたDNAをNEBlot(登録商標)ホトトー
プ(phototope)検出システムによって検出し
た(New England Biolabs,In
c.Beverly,Massachusetts)。
同じゲノムDNAの膜をストリッピングし、SapIメ
チラーゼM1のN末端をコードするClaI−SphI
DNAプローブによって再度プロービングした。サザ
ンブロットは、EcoRI(11kb)、KpnI
(5.8kb)及びSmaI(6.5kb)のフラグメ
ントが、SapI M2遺伝子及び/またはSapI制
限エンドヌクレアーゼ遺伝子をコードする周囲のDNA
のクローニングの有望な候補であることを示した。
【0037】3.SapIメチラーゼ遺伝子M2のクロ
ーニング Saccharopolyspora種のゲノムDNA
をEcoRI、KpnIまたはSmaIによって開裂し
た。消化したDNAを0.8%アガロースゲルで電気泳
動処理した。約11kbのEcoRIフラグメント、約
5.8kbのKpnIフラグメント及び約6.5kbの
SmaIフラグメントをゲル精製し、EcoRI、Kp
nIまたはSmaI消化しCIP処理したpUC19ベ
クターに結合した。結合したDNAでRR1コンピテン
ト細胞を形質転換させた。約6,000のコロニーを一
緒にプールし、500mlのLBブイヨンにApを加え
た培地に接種し、一夜培養した。混合した一次細胞ライ
ブラリーからプラスミドDNAを調製した。10、5、
2、1μgのプラスミドDNAをSapI制限エンドヌ
クレアーゼによって37℃で4時間開裂した。SapI
消化したDNAでRR1コンピテント細胞を再度形質転
換させた。M1 DNAプローブを用いて形質転換体の
コロニーハイブリダイゼーションを行った。プラスミド
DNAを陽性クローンから単離し、プラスミドDNAが
SapI消化に耐性であるか否かを判断するためにSa
pI制限酵素によって消化した。単離物#5、#18及
び#32はSapI消化に部分的に耐性であり、5.8
kbのKpnIゲノムインサートを含む。制限地図作
成、欠失地図作成及びDNA配列決定は、インサートが
第二のメチラーゼ遺伝子M2とM1の大部分とを含むこ
とを示した。M2のコーディング配列と予測aa配列と
を図4に示す。SapI M2メチラーゼはまた、保存
されたN4 シトシンメチラーゼモチーフVXDPXGG
XGT(配列番号4)及びSPPYを含む。M2の上流
の余分なDNAは約3.3kbである。SapIエンド
ヌクレアーゼ遺伝子である読取り枠を見出すことを期待
してM2に隣接のDNAを配列決定した。合計1731
bpのDNAを配列決定し、GenBankの全部の既
知遺伝子に比較して相同性を検査した。M2の上流の1
つの読取り枠は、抗生物質合成に関与する1つの遺伝子
に類似性を有することが判明した。M2遺伝子の上流の
この読取り枠はSapI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子
でないという結論が得られた。
【0038】4.部分NlaIII ライブラリーの構築に
よるSapI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子の一部分の
クローニング SapIエンドヌクレアーゼ遺伝子がM1遺伝子の下流
の位置に存在する可能性が高いので、M1とSapIエ
ンドヌクレアーゼ遺伝子との双方を含むより大きいDN
Aフラグメントのクローニングを試験した。Sacch
aropolyspora種のゲノムDNAをNlaII
I 制限エンドヌクレアーゼによって部分消化した。3−
20kbの範囲のゲノムDNAフラグメントをゲル精製
し、SphI消化しCIP処理したpUC19に挿入し
た。結合したDNAを用いてRR1コンピテント細胞を
形質転換させた。一次細胞ライブラリーからプラスミド
DNAを調製した。10、5、2、1μgのプラスミド
DNAをSapI制限エンドヌクレアーゼによって37
℃で4時間開裂した。SapI消化したDNAでRR1
コンピテント細胞を再度形質転換させた。プラスミドD
NAを単離し、プラスミドDNAがSapI消化に耐性
であるか否かを観察するためにSapI制限酵素によっ
て消化した。153のプラスミド単離物のスクリーニン
グ後、pUC19−ゲノムインサート#9、#13、#
14、#59、#83、#84、#88、#109、#
118、#123、#126、#133、#148はS
apI消化に耐性であることが判明した。制限地図作成
によれば、#13、#14及び#59が同じインサート
を含むことが判明し、M1メチラーゼ遺伝子の下流のD
NAが配列決定された。#13のインサートはM1イン
サートから更に657bpだけ伸びる余分なDNAを含
んでいた。しかしながらこの657bpは完全SapI
制限エンドヌクレアーゼ遺伝子をコードできる大きさで
はない。#13は細胞抽出物中で検出可能な制限エンド
ヌクレアーゼ活性を全く示さなかった。
【0039】5.逆PCRによるSapエンドヌクレ
アーゼ遺伝子の残部のクローニング M1遺伝子の下流に存在するDNA配列を増幅するため
に逆PCRを使用した。Saccharopolysp
ora種のゲノムDNAをAflIII 、AgeI、As
eI、BglII、BsaHI、BsrFI、BstY
I、ClaI、EcoRI、KasI、KpnI、Ml
uI、NgoMI、PaeR7I、Ppu10Iまたは
PstIから成る制限酵素によって消化した。消化した
DNAは低いDNA濃度で自己結合した(結合反応:2
0μlの消化DNA、約1μg、50μlの10×結合
バッファ、5μlのT4 DNAリガーゼ、425μl
の滅菌蒸留水,16℃、一夜)。結合した環状DNAを
フェノール−CHCl3 抽出及びエタノール沈降によっ
て精製し、SapI M1遺伝子の末端にアニーリング
した1組のプライマーを用いる逆PCR反応の鋳型とし
て使用した。逆PCRに使用したプライマー配列を以下
に示す。
【0040】順方向(forward)プライマー:
5′TAAGCTATCTTGGTCAGTCAAAG
3′(配列番号5) 逆方向(reverse)プライマー:5′AACAG
GAGATGATGTTTAGTTGTA3′(配列番
号6) 逆PCRの反応条件は、95℃で1分間、60℃で1分
間及び72℃で2分間であり、これを30サイクル反復
した。逆PCR産物は、AflIII 、AgeI、Ase
I、BsaHI、BsrFI、BstYI、ClaI、
KasI、MluI、PaeR7I及びPpu10Iで
消化し自己結合したDNA鋳型中で検出された。Cla
I反応からの逆PCR産物(1.4kb)及びNsiI
反応からの逆PCR産物(1.6kb)をT4ポリヌク
レオチドキナーゼ及びT4 DNAポリメラーゼで処理
し、HincII開裂/CIP処理pUC19ベクターに
クローニングした。欠失クローン及びカスタムプライマ
ーを用いて完全インサートを配列決定した。M1遺伝子
に対して対向方向で存在する1つの読取り枠が発見され
た。DNAコーディング配列及び予測aa配列を図5に
示す。
【0041】6.pUC19中のSapIエンドヌクレ
アーゼ遺伝子の発現 SapI M1遺伝子をpR976(TcR 、pACY
C184誘導体、図6)にサブクローニングし、M2遺
伝子をpLG339(KnR ,pSC101誘導体、S
tokerら,Gene 18:335−341)にク
ローニングした。宿主染色体を予め修飾するために、p
R976−M1及びpLG339−M2の双方で大腸菌
を形質転換した。SapIエンドヌクレアーゼ遺伝子を
PCRによって増幅し、pUC19に結合させた。低レ
ベルのSapI発現が大腸菌〔pR976−M1、pL
G339−M2、pUC19−SapIR〕中で得られ
たが、菌株は安定でなかった。SapI活性は10ml
の培養物中でのみ検出された。500ml培養物中では
SapI活性は喪失していた。
【0042】7. tac プロモーターコントロール下の
低コピー数プラスミドpR976中のSapIエンドヌ
クレアーゼ遺伝子の発現 pUC19のような高コピー数プラスミド中のSapI
発現が安定でなかったので、低コピー数プラスミド中の
発現は安定化されるであろうと考えた。宿主DNAを修
飾するために大腸菌コンピテント細胞をpUC19−M
1及びpLG339−M2で形質転換させた。SapI
エンドヌクレアーゼ遺伝子をPCRによって増幅し、p
R976のPstI部位に挿入した。大腸菌株〔pUC
19−M1、pLG339−M2、pR976−Sap
IR〕は、湿潤大腸菌細胞1gあたり約1,000単位
のSapIを産生し、これは天然型菌株の3倍の産生量
であった。この場合にも、大量細胞培養物中では活性が
減少したので菌株は安定でなかった。この不安定性の原
因はおそらくメチル化が不十分なこと、及び、Ptac
ロモータからの構成的エンドヌクレアーゼ発現にある。
【0043】8.pUC19及びpACYC184にお
けるM1及びM2の発現 SapI発現クローンは安定でなかったので、SapI
メチラーゼ遺伝子M1及びM2の過剰発現(overe
xpression)が問題解決の助けとなると考えら
れた。有効なリボソーム結合部位GGAGGT及び6b
pのスペーシングAAATAAをPCRによってM2遺
伝子の手前に作製し、遺伝子をpUC19−SapIM
1に挿入した。得られたプラスミドはpUC19−Sa
pIM1−M2(ベクター中に1つのSapI部位が存
在する)であった。このプラスミドを単離しSapIで
消化すると、DNAの約70%だけがSapI消化に耐
性であった。これはin vivoではSapIメチラ
ーゼの発現が少なく/SapIメチラーゼタンパク質が
不安定であることを示す。
【0044】in vivoのSapIメチラーゼ修飾
レベルを比較するために、M1遺伝子及びM2遺伝子を
pACYC184にもクローニングした。得られたプラ
スミドはpACYC184−SapIM1−M2であっ
た。このプラスミドとpUC19で大腸菌細胞を同時形
質転換させた。プラスミドDNA混合物を細胞から単離
し、SapI消化処理した(pUC19中には1つのS
apI部位が存在するが、pACYC184−SapI
M1−M2中にはSapI部位が存在しない)。pUC
19 DNAの約70%がSapI消化に耐性であるこ
とが判明した。これは、高コピー数プラスミド及び低コ
ピー数プラスミドを用いてメチラーゼを発現させた場合
同様のレベルのSapI部位修飾が生じたことを示す。
【0045】9.修飾されたT7発現ベクター中のSa
pIエンドヌクレアーゼ遺伝子の発現 SapIエンドヌクレアーゼ遺伝子を増幅するために2
つのプライマーを作製した。プライマー配列は、 順方向プライマー:5′CGCTCTAGA(XbaI
部位)GGAGGT(リボソーム結合部位)TAAAT
A(スペーシング)ATGCGGAGGCTTGCTA
CACAACGACGC3′(配列番号7) 逆方向プライマー:5′GAGGGATCC(BamH
I部位)TCAGTCCAGTGGTAGTGCTTC
ATCGAG3′(配列番号8) SapIエンドヌクレアーゼ遺伝子をSaccharo
polyspora種のゲノムDNAから増幅させるた
めに、Taq DNAポリメラーゼ及びVent(登録
商標)DNAポリメラーゼ(50:1の割合)を用い、
95℃で1分間、60℃で1分間、72℃で1分30秒
間のサイクルを20回反復するPCR条件で処理した。
PCR DNAをフェノール−CHCl3 抽出及びエタ
ノール沈降によって精製し、TEバッファに再懸濁させ
た。DNAをBamHI及びXbaI制限エンドヌクレ
アーゼによって消化し、修飾したT7発現ベクターpE
T21tに結合させた。発現ベクターpET21tは、
非誘導条件下の基底発現レベルを更に低下させるために
T7プロモーターの上流に転写ターミネーターを含んで
いる(pET21tはH.Kong,New Engl
and Biolabs,Inc.,Beverly,
Massachusettsによって構築され提供され
たものである)。結合したDNAを使用してSapIメ
チラーゼで修飾した細胞ER2504〔pACYC−S
apIM1−M2〕を形質転換させた。ER2504は
TonA- 及びDNasI- のBL21(λDE3)誘
導体である。大腸菌細胞ER2504〔pACYC−S
apIM1−M2、pET21t−SapIR〕をLB
ブイヨン中で後期対数増殖期(約150klett単
位)まで増殖させ、エンドヌクレアーゼ産生を誘発する
ためにIPTGを最終濃度0.5mMまで添加した。I
PTG誘発と細胞培養とを3時間継続した。細胞を遠心
によって採取し、音波処理バッファ(10mMのβ−メ
ルカプトエタノール、50mMのTris−HCl,p
H7.5)に再浮遊させた。リゾチームを添加して細胞
を溶解し、音波処理した。落屑細胞を遠心によって除去
し、上清のSapI活性をλDNAに対するアッセイに
よって検定した。菌株は湿潤大腸菌細胞1gあたり約2
0,000単位のSapI制限エンドヌクレアーゼを産
生していた。100リットルの発酵槽で培養した細胞も
やはりSapIエンドヌクレアーゼを産生した。
【0046】10.組換えSapI制限エンドヌクレア
ーゼの精製 組換えSapI制限エンドヌクレアーゼを、ヘパリン−
セファロースカラム、ホスホセルロースカラム及びQ−
セファロースHPLCを用いたクロマトグラフィーによ
って精製した。精製した酵素をλ DNA及びpUC1
9を基質としたアッセイによって検定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】SapI制限エンドヌクレアーゼのクローニン
グ及び産生を示すスキームである。
【図2】SapI制限−修飾系の遺伝子編成の概略図で
ある。
【図3】SapIM1遺伝子のDNA配列(配列番号
1)及びこれによってコードされたタンパク質配列であ
る。
【図4】SapIM2遺伝子のDNA配列(配列番号
2)及びこの配列にコードされているタンパク質配列で
ある。
【図5】SapIR遺伝子のDNA配列(配列番号3)
及びこの配列にコードされているタンパク質配列であ
る。
【図6】pR976の構築を示す。ベクターpR976
は、Ptac プロモーターとPtac プロモーターの下流の
多重クローニング部位とを有するpACYC184誘導
体である。このベクターは更に、Ptac プロモーターか
らの遺伝子発現を調節するためのLacリプレッサーを
コードしているlacI遺伝子を含んでいる(Aman
nら,Gene 25:167−178(198
3))。
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1131 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムDNA 配列の特徴 特徴を表す記号:コーディング配列 存在位置:1...1128 配列
【化1】
【化2】 配列番号:2 配列の長さ:1302 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムDNA 配列の特徴 特徴を表す記号:コーディング配列 存在位置:1...1299 配列
【化3】
【化4】 配列番号:3 配列の長さ:1299 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムDNA 配列の特徴 特徴を表す記号:コーディング配列 存在位置:1...1296 配列
【化5】
【化6】
【化7】 配列番号:4 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列
【化8】 配列番号:5 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:一本鎖DNA 配列
【化9】 配列番号:6 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:一本鎖DNA 配列
【化10】 配列番号:7 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:未解明 トポロジー:未解明 配列の種類:cDNA 配列
【化11】 配列番号:8 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:未解明 トポロジー:未解明 配列の種類:一本鎖DNA 配列
【化12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:21) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/10 C12R 1:19) (C12N 9/16 C12R 1:19) (72)発明者 ロバート・イー・モーナス アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 01923、ダンバース、キンバリー・ドライ ブ・10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離DNAがSaccharopoly
    spora種から得られることを特徴とするSapI制
    限エンドヌクレアーゼをコードする単離DNA。
  2. 【請求項2】 SapI制限エンドヌクレアーゼをコー
    ドするDNAセグメントが挿入されたベクターから成る
    組換えDNAベクター。
  3. 【請求項3】 単離DNAがATCC No.9810
    2から得られることを特徴とするSapI制限エンドヌ
    クレアーゼ及びメチラーゼをコードする単離DNA。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の単離DNAを含むクロ
    ーニングベクター。
  5. 【請求項5】 請求項2または4に記載のクローニング
    ベクターによって形質転換された宿主細胞。
  6. 【請求項6】 請求項2または4に記載のベクターによ
    って形質転換された宿主細胞をSapI制限エンドヌク
    レアーゼの発現に好適な条件下で培養することを特徴と
    するSapI制限エンドヌクレアーゼの産生方法。
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