JPH1055890A - 有機elアレイ - Google Patents
有機elアレイInfo
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- JPH1055890A JPH1055890A JP21223796A JP21223796A JPH1055890A JP H1055890 A JPH1055890 A JP H1055890A JP 21223796 A JP21223796 A JP 21223796A JP 21223796 A JP21223796 A JP 21223796A JP H1055890 A JPH1055890 A JP H1055890A
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- JP
- Japan
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- electron injection
- window
- array
- organic
- insulating film
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- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Facsimile Heads (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 実装上の困難さを回避し、低コスト化や高密
度化を図ることのできる有機ELアレイの提供が望まれ
ている。 【解決手段】 複数の発光ドットを有する有機ELアレ
イ1である。絶縁性基板2と、これの上に形成された電
子注入電極3と、電子注入電極3の一部を覆って絶縁性
基板2上に形成され、かつ電子注入電極3の直上部で開
口する発光ドットとなる窓部4aを有した絶縁膜4と、
窓部4aを覆って窓部4a内から外に臨む電子注入電極
3に接して形成された発光層5と、窓部4aの直上位置
を覆って発光層5上にこれと接して形成された正孔輸送
層6と、正孔輸送層6と発光層5とを覆い、かつ正孔輸
送層6に接して絶縁性基板2上に形成された透明電極7
と、を備えてなる。
度化を図ることのできる有機ELアレイの提供が望まれ
ている。 【解決手段】 複数の発光ドットを有する有機ELアレ
イ1である。絶縁性基板2と、これの上に形成された電
子注入電極3と、電子注入電極3の一部を覆って絶縁性
基板2上に形成され、かつ電子注入電極3の直上部で開
口する発光ドットとなる窓部4aを有した絶縁膜4と、
窓部4aを覆って窓部4a内から外に臨む電子注入電極
3に接して形成された発光層5と、窓部4aの直上位置
を覆って発光層5上にこれと接して形成された正孔輸送
層6と、正孔輸送層6と発光層5とを覆い、かつ正孔輸
送層6に接して絶縁性基板2上に形成された透明電極7
と、を備えてなる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真式プリン
タにおける光プリンタヘッドに好適に用いられる有機E
L(electroluminescence )アレイに関する。
タにおける光プリンタヘッドに好適に用いられる有機E
L(electroluminescence )アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真プリンタの光源としては、従
来、例えば「電子写真学会誌 第24巻第2号(198
5)第31頁〜第36頁;LEDプリンタ(鈴木治、高
須広海、深津猛夫)」に開示されているようなLEDア
レイプリンタヘッドが知られている。このようなLED
アレイプリンタヘッドを備えたLEDプリンタは、光源
であるLEDアレイがヘッドとしてソリッドステート化
されており、またレーザプリンタのような機械的駆動部
がないため高い信頼性が得られ、さらに光路長が短いた
め小型化が可能である。また、LEDアレイは、量産実
績のある半導体製造技術で生産されているため、量産化
による低コスト化を期待することができる。
来、例えば「電子写真学会誌 第24巻第2号(198
5)第31頁〜第36頁;LEDプリンタ(鈴木治、高
須広海、深津猛夫)」に開示されているようなLEDア
レイプリンタヘッドが知られている。このようなLED
アレイプリンタヘッドを備えたLEDプリンタは、光源
であるLEDアレイがヘッドとしてソリッドステート化
されており、またレーザプリンタのような機械的駆動部
がないため高い信頼性が得られ、さらに光路長が短いた
め小型化が可能である。また、LEDアレイは、量産実
績のある半導体製造技術で生産されているため、量産化
による低コスト化を期待することができる。
【0003】前記文献において開示されたLEDプリン
タでは、その印字プロセスは以下のような順序で進めら
れる。まず、感光ドラムに帯電器を用いて一様な電荷を
与える。次に、感光ドラム面にLEDアレイからの光を
集束性ロッドレンズアレイを介して結像させ、潜像を形
成する。次いで、現像機により可視像とした、その後記
録紙に転写、定着させる。さらに、残留トナーのクリー
ニング、残留電位の除電を行い印字プロセスを終了す
る。なお、感光ドラムについても、LEDの発光波長に
合った感度特性をもつものが開発されている。
タでは、その印字プロセスは以下のような順序で進めら
れる。まず、感光ドラムに帯電器を用いて一様な電荷を
与える。次に、感光ドラム面にLEDアレイからの光を
集束性ロッドレンズアレイを介して結像させ、潜像を形
成する。次いで、現像機により可視像とした、その後記
録紙に転写、定着させる。さらに、残留トナーのクリー
ニング、残留電位の除電を行い印字プロセスを終了す
る。なお、感光ドラムについても、LEDの発光波長に
合った感度特性をもつものが開発されている。
【0004】また、このLEDプリンタにおいてLED
アレイを備えたLEDアレイプリンタヘッドは、アルミ
ナのセラミック基板に厚膜パターンを形成した基板を有
し、この基板の中央部にLEDチップを一直線上に並
べ、その両側にICチップを導電性ペーストにてダイボ
ンドし、ワイヤボンドによって電気的接続を行ったもの
である。信号および電源は、FPC(フレキシブルプリ
ント板)基板を介してセラミック基板に供給されるよう
になっている。また、LEDチップを連続的に接続でき
るかどうかは、チップの切断精度によって決まるように
なっている。
アレイを備えたLEDアレイプリンタヘッドは、アルミ
ナのセラミック基板に厚膜パターンを形成した基板を有
し、この基板の中央部にLEDチップを一直線上に並
べ、その両側にICチップを導電性ペーストにてダイボ
ンドし、ワイヤボンドによって電気的接続を行ったもの
である。信号および電源は、FPC(フレキシブルプリ
ント板)基板を介してセラミック基板に供給されるよう
になっている。また、LEDチップを連続的に接続でき
るかどうかは、チップの切断精度によって決まるように
なっている。
【0005】ところで、LEDの材料には三つの特性が
要求されている。 a)光のアイソレーションができること、 b)高密度化が可能な拡散プロセスを使えること、 c)経済的価格で安定した特性が得られること、 の三つであり、このような要求を満たすものとしては、
現在、GaAs基板上に気相成長したGaAsPが最適
であるとされている。
要求されている。 a)光のアイソレーションができること、 b)高密度化が可能な拡散プロセスを使えること、 c)経済的価格で安定した特性が得られること、 の三つであり、このような要求を満たすものとしては、
現在、GaAs基板上に気相成長したGaAsPが最適
であるとされている。
【0006】このようなLEDを製造するには、n型G
aAsPウエハにCVD法等によって拡散防止膜を形成
し、これにホトリソグラフィー法によって発光窓を開け
る。次に、ウエハおよびP型不純物を石英アンプルに真
空封入し、約700℃の温度で数時間拡散を行い、発光
窓にPN接合を形成する。このとき、拡散深さとしては
5〜7μmが適当である。
aAsPウエハにCVD法等によって拡散防止膜を形成
し、これにホトリソグラフィー法によって発光窓を開け
る。次に、ウエハおよびP型不純物を石英アンプルに真
空封入し、約700℃の温度で数時間拡散を行い、発光
窓にPN接合を形成する。このとき、拡散深さとしては
5〜7μmが適当である。
【0007】次いで、P側にAl、N側にAu合金をそ
れぞれ蒸着してオーミック電極を形成する。発光部寸法
は密度(解像度)によっておおむね決まり、16ドット
/mm(ピッチ62.5μm)では40μmになる。1
チップ当たりのドット数はチップ歩留りと寸法により6
4ドットまたは128ドットが実用的である。発光波長
は材料で決まり、この例では660nmとされている。
れぞれ蒸着してオーミック電極を形成する。発光部寸法
は密度(解像度)によっておおむね決まり、16ドット
/mm(ピッチ62.5μm)では40μmになる。1
チップ当たりのドット数はチップ歩留りと寸法により6
4ドットまたは128ドットが実用的である。発光波長
は材料で決まり、この例では660nmとされている。
【0008】1チップ内の光量バラツキは現状では±1
0%のレベルから±40%までが1ウエハ内に含まれて
おり、プローバ検査により選別され、±20%以下のも
のが使用されている。LEDチップの切断精度は配列精
度に影響し、±5μm以内の高精度な切断技術が必要と
される。この接続部分の切断については、へき開を利用
したスクライブ法が用いられている。
0%のレベルから±40%までが1ウエハ内に含まれて
おり、プローバ検査により選別され、±20%以下のも
のが使用されている。LEDチップの切断精度は配列精
度に影響し、±5μm以内の高精度な切断技術が必要と
される。この接続部分の切断については、へき開を利用
したスクライブ法が用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
LEDアレイプリントヘッドでは、そのLEDアレイに
ついて以下に述べる不都合がある。ウエハに内在する欠
陥や、製造工程の不均一性などに起因する素子間の性能
のばらつきが不可避である。また、LEDアレイの基板
となるGaAsなどの基板は、現在のところせいぜい3
インチ程度の大きさのものしか作製することができず、
しかも高価である。さらに、結晶の欠陥が多く、モノリ
シック型でドット数を多くすると歩留りが悪くなってし
まう。
LEDアレイプリントヘッドでは、そのLEDアレイに
ついて以下に述べる不都合がある。ウエハに内在する欠
陥や、製造工程の不均一性などに起因する素子間の性能
のばらつきが不可避である。また、LEDアレイの基板
となるGaAsなどの基板は、現在のところせいぜい3
インチ程度の大きさのものしか作製することができず、
しかも高価である。さらに、結晶の欠陥が多く、モノリ
シック型でドット数を多くすると歩留りが悪くなってし
まう。
【0010】そこで、少ないドット数のアレイチップを
多数作り、これらを接続して全記録幅をカバーするよう
にしているが、その場合、チップ接続部に配列誤差が生
じ、高密度になるにつれてこの配列誤差が大きくなるこ
となどから、基板への実装が非常に困難になってしま
う。このような実装上の困難さは、低コスト化や高密度
化を損なう大きな要因となっている。本発明は前記事情
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、実
装上の困難さを回避し、低コスト化や高密度化を図るこ
とのできる有機ELアレイを提供することにある。
多数作り、これらを接続して全記録幅をカバーするよう
にしているが、その場合、チップ接続部に配列誤差が生
じ、高密度になるにつれてこの配列誤差が大きくなるこ
となどから、基板への実装が非常に困難になってしま
う。このような実装上の困難さは、低コスト化や高密度
化を損なう大きな要因となっている。本発明は前記事情
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、実
装上の困難さを回避し、低コスト化や高密度化を図るこ
とのできる有機ELアレイを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の有機ELアレイ
では、絶縁性基板と、該絶縁性基板上に形成された発光
ドット数と略同数の電子注入電極と、これら電子注入電
極のそれぞれの一部を覆って前記絶縁性基板上に形成さ
れ、かつ該電子注入電極のそれぞれの直上部にて開口す
る発光ドットとなる窓部を有した絶縁膜と、前記窓部を
覆って該窓部内から外に臨む電子注入電極のそれぞれに
接して形成された発光層と、前記窓部の直上位置を覆っ
て前記発光層上にこれと接して形成された正孔輸送層
と、該正孔輸送層と前記発光層とを覆い、かつ該正孔輸
送層に接して前記絶縁性基板上に形成された透明電極
と、を備えたことを前記課題の解決手段とした。
では、絶縁性基板と、該絶縁性基板上に形成された発光
ドット数と略同数の電子注入電極と、これら電子注入電
極のそれぞれの一部を覆って前記絶縁性基板上に形成さ
れ、かつ該電子注入電極のそれぞれの直上部にて開口す
る発光ドットとなる窓部を有した絶縁膜と、前記窓部を
覆って該窓部内から外に臨む電子注入電極のそれぞれに
接して形成された発光層と、前記窓部の直上位置を覆っ
て前記発光層上にこれと接して形成された正孔輸送層
と、該正孔輸送層と前記発光層とを覆い、かつ該正孔輸
送層に接して前記絶縁性基板上に形成された透明電極
と、を備えたことを前記課題の解決手段とした。
【0012】この有機ELアレイによれば、ガラスなど
の細長く作ることが可能な絶縁性基板上に一括して作製
されるので、従来のLEDアレイのごとくLEDチップ
を多数一直線上に配列させるといった実装上の困難さが
避けられる。また、絶縁膜の窓部を形成した側、すなわ
ち絶縁性基板の上面側から光を取り出す構造としたの
で、例えばガラスからなる基板の裏面から光を取り出す
場合に起こる、ガラス裏面における全反射による光の損
失や、ガラスへの吸収による光の損失をなくして光を効
率良く外部に取り出すことが可能になる。
の細長く作ることが可能な絶縁性基板上に一括して作製
されるので、従来のLEDアレイのごとくLEDチップ
を多数一直線上に配列させるといった実装上の困難さが
避けられる。また、絶縁膜の窓部を形成した側、すなわ
ち絶縁性基板の上面側から光を取り出す構造としたの
で、例えばガラスからなる基板の裏面から光を取り出す
場合に起こる、ガラス裏面における全反射による光の損
失や、ガラスへの吸収による光の損失をなくして光を効
率良く外部に取り出すことが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の有機ELアレイを
その実施形態例によって詳しく説明する。図1(a)、
(b)は本発明の第1の実施形態例を示す図であり、こ
れらの図において符号1はプリントヘッドの光源となる
有機ELアレイである。この有機ELアレイ1は、多数
の発光ドット数を有するもので、ガラスからなる絶縁性
で矩形板状の基板2上に複数の電子注入電極3…と、絶
縁膜4と、発光層5と、正孔輸送層6と、透明電極7と
を備えて形成されたものである。
その実施形態例によって詳しく説明する。図1(a)、
(b)は本発明の第1の実施形態例を示す図であり、こ
れらの図において符号1はプリントヘッドの光源となる
有機ELアレイである。この有機ELアレイ1は、多数
の発光ドット数を有するもので、ガラスからなる絶縁性
で矩形板状の基板2上に複数の電子注入電極3…と、絶
縁膜4と、発光層5と、正孔輸送層6と、透明電極7と
を備えて形成されたものである。
【0014】電子注入電極3…は、図1(a)に示すよ
うに平面視矩形状のもので、発光ドット数に対応した数
の分基板2上に形成されたものであり、それぞれ所定間
隔をおいて基板2の短辺方向に向いた状態に並列させら
れたものである。これら電子注入電極3…としては、発
光層5への電子注入が容易なように仕事関数が低いもの
が好ましく、具体的にはMgAg合金、In、MgIn
合金、MgCu合金、MgLi合金などが好適とされ、
本例ではMgAg合金が用いられてこれが厚さ200n
mに形成されている。
うに平面視矩形状のもので、発光ドット数に対応した数
の分基板2上に形成されたものであり、それぞれ所定間
隔をおいて基板2の短辺方向に向いた状態に並列させら
れたものである。これら電子注入電極3…としては、発
光層5への電子注入が容易なように仕事関数が低いもの
が好ましく、具体的にはMgAg合金、In、MgIn
合金、MgCu合金、MgLi合金などが好適とされ、
本例ではMgAg合金が用いられてこれが厚さ200n
mに形成されている。
【0015】また、前記基板2上には、前記電子注入電
極3…のそれぞれの一部を覆って絶縁膜4が形成されて
いる。この絶縁膜4には、前記電子注入電極3…のそれ
ぞれの直上部にて平面視正方形状に開口する窓部4aが
形成されている。窓部4aは、発光ドットとなるもので
あり、この窓部4aが各電子注入電極3毎に形成される
ことにより、有機ELアレイは多数の発光ドットを有し
たものとなる。なお、この絶縁膜4が必要な理由は以下
の通りである。
極3…のそれぞれの一部を覆って絶縁膜4が形成されて
いる。この絶縁膜4には、前記電子注入電極3…のそれ
ぞれの直上部にて平面視正方形状に開口する窓部4aが
形成されている。窓部4aは、発光ドットとなるもので
あり、この窓部4aが各電子注入電極3毎に形成される
ことにより、有機ELアレイは多数の発光ドットを有し
たものとなる。なお、この絶縁膜4が必要な理由は以下
の通りである。
【0016】後述するように発光層5と正孔輸送層6と
は有機膜であることからホトリソグラフィー法を用いた
パターニングの工程に耐えられず、したがってこのパタ
ーニングが行えないものとなっている。しかして、電子
注入電極3と絶縁膜4の上に形成される発光層5とが接
する領域は、発光が起きる領域を規定するうえでその面
積を正確に形成しなければならない。そこで、電子注入
電極3を形成した後に該電子注入電極3と後に形成する
発光層5との間に正確なパターニングが可能な絶縁膜4
を形成してこれを介在させ、かつ電子注入電極3と発光
層5とを絶縁膜4に形成した窓部4aを介して接合させ
ることにより、該絶縁膜4の窓部4aのパターニングを
正確に行うことによって電子注入電極3と発光層5とが
接する領域、すなわち発光が起きる領域の面積を正確に
規定することができるのである。このような理由によ
り、絶縁膜4としてはホトリソグラフィー法によるファ
インパターン化が図れる材料から形成するのが好まし
く、この例では、SiNx 膜やSiOx 膜などが用いら
れてこれが厚さ300nmに形成されている。
は有機膜であることからホトリソグラフィー法を用いた
パターニングの工程に耐えられず、したがってこのパタ
ーニングが行えないものとなっている。しかして、電子
注入電極3と絶縁膜4の上に形成される発光層5とが接
する領域は、発光が起きる領域を規定するうえでその面
積を正確に形成しなければならない。そこで、電子注入
電極3を形成した後に該電子注入電極3と後に形成する
発光層5との間に正確なパターニングが可能な絶縁膜4
を形成してこれを介在させ、かつ電子注入電極3と発光
層5とを絶縁膜4に形成した窓部4aを介して接合させ
ることにより、該絶縁膜4の窓部4aのパターニングを
正確に行うことによって電子注入電極3と発光層5とが
接する領域、すなわち発光が起きる領域の面積を正確に
規定することができるのである。このような理由によ
り、絶縁膜4としてはホトリソグラフィー法によるファ
インパターン化が図れる材料から形成するのが好まし
く、この例では、SiNx 膜やSiOx 膜などが用いら
れてこれが厚さ300nmに形成されている。
【0017】また、この絶縁膜4の上には、その窓部4
aを覆って発光層5が形成されている。この発光層5
は、前述したように絶縁体4の窓部4a内から外に臨む
電子注入電極3…のそれぞれに接して形成されたもの
で、有機膜からなるものである。この発光層5として
は、電子が注入され易いようにその電子親和力が2.5
eV以上であることが望ましく、具体的には金属キレー
ト化合物、多環縮合または共役芳香族炭化水素、ベンズ
オキサゾールまたはベンゾチアゾール誘導体、ペリレン
系化合物、クマリン系化合物などが好適とされ、また、
発光の波長制御や高効率化のため、ピラン誘導体、クマ
リン誘導体、シアニン誘導体、キナクリドン誘導体など
の蛍光性色素をドーピングするのも有効である。また、
後述する正孔輸送層6から発光層5への正孔注入が容易
になるように、発光層5はそのイオン化ポテンシャルが
正孔輸送層6のそれより低くなければならない。そし
て、このような条件を踏まえて本例では、発光層5とし
て8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )を用
い、これを抵抗加熱による真空蒸着によって厚さ50n
mに形成している。なお、この真空蒸着としては、形成
したい領域だけ蒸着させるマスク蒸着を採用した。
aを覆って発光層5が形成されている。この発光層5
は、前述したように絶縁体4の窓部4a内から外に臨む
電子注入電極3…のそれぞれに接して形成されたもの
で、有機膜からなるものである。この発光層5として
は、電子が注入され易いようにその電子親和力が2.5
eV以上であることが望ましく、具体的には金属キレー
ト化合物、多環縮合または共役芳香族炭化水素、ベンズ
オキサゾールまたはベンゾチアゾール誘導体、ペリレン
系化合物、クマリン系化合物などが好適とされ、また、
発光の波長制御や高効率化のため、ピラン誘導体、クマ
リン誘導体、シアニン誘導体、キナクリドン誘導体など
の蛍光性色素をドーピングするのも有効である。また、
後述する正孔輸送層6から発光層5への正孔注入が容易
になるように、発光層5はそのイオン化ポテンシャルが
正孔輸送層6のそれより低くなければならない。そし
て、このような条件を踏まえて本例では、発光層5とし
て8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )を用
い、これを抵抗加熱による真空蒸着によって厚さ50n
mに形成している。なお、この真空蒸着としては、形成
したい領域だけ蒸着させるマスク蒸着を採用した。
【0018】この発光層5上には、絶縁膜4の窓部4a
の直上位置を覆って正孔輸送層6が形成されている。こ
の正孔輸送層6としては、イオン化ポテンシャルが低い
電子供与性の分子、または置換基を有したもので、発光
波長に対して透明である必要があり、具体的にはトリフ
ェニルアミン誘導体で、ベンジジン型、スチリルアミン
型、ジアミン型などが好適とされる。そして、この例で
はジアミン誘導体(TPD)が用いられ、前記発光層5
と同様に抵抗加熱による真空蒸着によって厚さ50nm
に形成されている。
の直上位置を覆って正孔輸送層6が形成されている。こ
の正孔輸送層6としては、イオン化ポテンシャルが低い
電子供与性の分子、または置換基を有したもので、発光
波長に対して透明である必要があり、具体的にはトリフ
ェニルアミン誘導体で、ベンジジン型、スチリルアミン
型、ジアミン型などが好適とされる。そして、この例で
はジアミン誘導体(TPD)が用いられ、前記発光層5
と同様に抵抗加熱による真空蒸着によって厚さ50nm
に形成されている。
【0019】また、前記基板2上には、正孔輸送層6と
発光層5とを覆い、かつ正孔輸送層5に接して透明電極
7が形成されている。この透明電極7は、透光性、すな
わち発光波長に対して透過性を有するものからなるもの
で、かつ、後述するように有機膜である正孔輸送層6へ
の正孔の注入を容易にするため、仕事関数が大きい導体
であることが好ましく、この例では、インジウム−スズ
酸化物(ITO)によって厚さ150nmに形成されて
いる。また、この透明電極7が正孔輸送層6および発光
層5を覆って形成されるのは、正孔輸送層6および発光
層5が有機膜であることから、これら有機膜の空気接触
による劣化を防ぐためである。
発光層5とを覆い、かつ正孔輸送層5に接して透明電極
7が形成されている。この透明電極7は、透光性、すな
わち発光波長に対して透過性を有するものからなるもの
で、かつ、後述するように有機膜である正孔輸送層6へ
の正孔の注入を容易にするため、仕事関数が大きい導体
であることが好ましく、この例では、インジウム−スズ
酸化物(ITO)によって厚さ150nmに形成されて
いる。また、この透明電極7が正孔輸送層6および発光
層5を覆って形成されるのは、正孔輸送層6および発光
層5が有機膜であることから、これら有機膜の空気接触
による劣化を防ぐためである。
【0020】この透明電極7は、図1(a)に示すよう
に基板2の両側に配置された共通電極8と電気的に接続
されている。この共通電極8は、電子注入電極3と同時
に形成されたものである。そして、このような構成のも
とに有機ELアレイ1は、絶縁膜4の窓部4aの部分に
て各々の電子注入電極3と透明電極7との間に発光層5
と正孔輸送層6とを挟んだものとなっている。
に基板2の両側に配置された共通電極8と電気的に接続
されている。この共通電極8は、電子注入電極3と同時
に形成されたものである。そして、このような構成のも
とに有機ELアレイ1は、絶縁膜4の窓部4aの部分に
て各々の電子注入電極3と透明電極7との間に発光層5
と正孔輸送層6とを挟んだものとなっている。
【0021】次に、このような構成の有機ELアレイ1
をプリントヘッドに適用した場合の例について図2を参
照して説明する。図2において符号1は図1(a)、
(b)に示した有機ELアレイであり、この有機ELア
レイ1の基板2はドライバーIC10とともに駆動回路
基板9上に実装されている。駆動回路基板9とドライバ
ーIC10とは、ボンディングワイヤ11によって電気
的接続がなされている。同様に、ドライバーIC10と
有機ELアレイ1の基板2、および有機ELアレイ1の
基板2と駆動回路基板9とについても、それぞれボンデ
ィングワイヤ11によって電気的接続がなされている。
をプリントヘッドに適用した場合の例について図2を参
照して説明する。図2において符号1は図1(a)、
(b)に示した有機ELアレイであり、この有機ELア
レイ1の基板2はドライバーIC10とともに駆動回路
基板9上に実装されている。駆動回路基板9とドライバ
ーIC10とは、ボンディングワイヤ11によって電気
的接続がなされている。同様に、ドライバーIC10と
有機ELアレイ1の基板2、および有機ELアレイ1の
基板2と駆動回路基板9とについても、それぞれボンデ
ィングワイヤ11によって電気的接続がなされている。
【0022】有機ELアレイ1の上方、すなわち有機E
Lアレイ1の基板2の上面側には、集束性ロッドレンズ
アレイ12、感光ドラム13がこの順に配設されてい
る。そして、このような構成のもとに、有機ELアレイ
1から発した光は基板2の上面側に出射し、集束性ロッ
ドレンズアレイ12を通って感光ドラム13に集光され
るようになっている。
Lアレイ1の基板2の上面側には、集束性ロッドレンズ
アレイ12、感光ドラム13がこの順に配設されてい
る。そして、このような構成のもとに、有機ELアレイ
1から発した光は基板2の上面側に出射し、集束性ロッ
ドレンズアレイ12を通って感光ドラム13に集光され
るようになっている。
【0023】次に、図2に示したプリントヘッドの構成
に基づき、図1(a)、(b)に示した有機ELアレイ
1の動作を説明する。まず、図2において、印字したい
内容のデータを駆動回路基板9上のドライバーIC10
に送る。すると、図1(a)、(b)に示した有機EL
アレイ1では、データが「ON」のドット(窓部4a)
にはその電子注入電極3に共通電極8からみて負電位と
なるように電圧が印加される。ここで、「ON」か「O
FF」かは、予め設定された電子注入電極3への印加電
圧の、2つのレベルの切り換えによる、電子注入電極3
と共通電極8との間の電圧差の発生の有無によって決ま
る。
に基づき、図1(a)、(b)に示した有機ELアレイ
1の動作を説明する。まず、図2において、印字したい
内容のデータを駆動回路基板9上のドライバーIC10
に送る。すると、図1(a)、(b)に示した有機EL
アレイ1では、データが「ON」のドット(窓部4a)
にはその電子注入電極3に共通電極8からみて負電位と
なるように電圧が印加される。ここで、「ON」か「O
FF」かは、予め設定された電子注入電極3への印加電
圧の、2つのレベルの切り換えによる、電子注入電極3
と共通電極8との間の電圧差の発生の有無によって決ま
る。
【0024】「ON」の場合には以下のように動作す
る。供給電流は共通電極8にボンディングワイヤ11を
通して供給され、さらに透明電極7へと流れる。その結
果、正孔輸送層6内への正孔注入が起こる。一方、電子
注入電極3からは、同様にして発光層5への電子注入が
起こる。発光層5に注入された電子は、発光層5の中を
正孔輸送層6へと向かって移動していき、正孔輸送層6
との境界面に達すると、発光層5と正孔輸送層6との電
子親和力の差によってその移動がブロックされる。
る。供給電流は共通電極8にボンディングワイヤ11を
通して供給され、さらに透明電極7へと流れる。その結
果、正孔輸送層6内への正孔注入が起こる。一方、電子
注入電極3からは、同様にして発光層5への電子注入が
起こる。発光層5に注入された電子は、発光層5の中を
正孔輸送層6へと向かって移動していき、正孔輸送層6
との境界面に達すると、発光層5と正孔輸送層6との電
子親和力の差によってその移動がブロックされる。
【0025】しかし、正孔輸送層6に注入された正孔
は、正孔輸送層6の中を発光層5へと向かって移動して
いき、発光層5との境界面に達すると、この発光層5内
に容易に注入され、そこで待機していた電子と再結合す
る。そして、この再結合エネルギーが発光層8を形成す
る8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )の励
起を引き起こし、さらに、この励起状態から基底状態に
戻るとき、540nmの発光波長の蛍光を発するのであ
る。
は、正孔輸送層6の中を発光層5へと向かって移動して
いき、発光層5との境界面に達すると、この発光層5内
に容易に注入され、そこで待機していた電子と再結合す
る。そして、この再結合エネルギーが発光層8を形成す
る8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )の励
起を引き起こし、さらに、この励起状態から基底状態に
戻るとき、540nmの発光波長の蛍光を発するのであ
る。
【0026】このようなメカニズムによって発生した光
のうち、透明電極7側への光はそのまま透明電極7を透
過し、一方、電子注入電極3側への光は該電子注入電極
3によって反射され、両者ともに基板の上面から外部に
取り出される。そして、この外部に取り出された光が、
図2に示したように集束性ロッドレンズアレイ12を通
って感光ドラム13に集光し、必要時間照射するものと
なる。ここから先は、通常の電子写真方式プリンタと同
様に動作する。なお、データが「OFF」のドット(窓
部4a)では、透明電極7と電子注入電極3との間に電
位差がないので、電流が流れず、これによりこのドット
では発光が起こらない。
のうち、透明電極7側への光はそのまま透明電極7を透
過し、一方、電子注入電極3側への光は該電子注入電極
3によって反射され、両者ともに基板の上面から外部に
取り出される。そして、この外部に取り出された光が、
図2に示したように集束性ロッドレンズアレイ12を通
って感光ドラム13に集光し、必要時間照射するものと
なる。ここから先は、通常の電子写真方式プリンタと同
様に動作する。なお、データが「OFF」のドット(窓
部4a)では、透明電極7と電子注入電極3との間に電
位差がないので、電流が流れず、これによりこのドット
では発光が起こらない。
【0027】したがって、このような有機ELアレイ1
にあっては、一枚の基板2上に一括して作製することが
できるので、従来のLEDアレイのごとくLEDチップ
を多数一直線上に配列させるといった実装上の困難さを
避けることができ、低コスト化を図ることができる。ま
た、基板2の上面側から光を取り出す構造としたので、
例えばガラスからなる基板の裏面から光を取り出す場合
に起こる、ガラス裏面における全反射による光の損失
や、ガラスへの吸収による光の損失をなくして光を効率
良く外部に取り出すことができ、これにより短時間で強
い光を取り出せることからプリンタによる印字の高速化
を可能にすることができる。
にあっては、一枚の基板2上に一括して作製することが
できるので、従来のLEDアレイのごとくLEDチップ
を多数一直線上に配列させるといった実装上の困難さを
避けることができ、低コスト化を図ることができる。ま
た、基板2の上面側から光を取り出す構造としたので、
例えばガラスからなる基板の裏面から光を取り出す場合
に起こる、ガラス裏面における全反射による光の損失
や、ガラスへの吸収による光の損失をなくして光を効率
良く外部に取り出すことができ、これにより短時間で強
い光を取り出せることからプリンタによる印字の高速化
を可能にすることができる。
【0028】図3(a)、(b)は、本発明の第2の実
施形態例を示す図であり、これらの図において符号20
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ20が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、電子注入電極21に、その厚さが絶縁膜4の窓
部4aの中心に向かって同心状に徐々に薄くなる凹部2
1aが設けられている点である。
施形態例を示す図であり、これらの図において符号20
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ20が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、電子注入電極21に、その厚さが絶縁膜4の窓
部4aの中心に向かって同心状に徐々に薄くなる凹部2
1aが設けられている点である。
【0029】すなわち、本実施形態例における有機EL
アレイ20の電子注入電極21には、絶縁膜4の窓部4
a内に位置する部分に階段状の凹部21aが形成されて
いる。この凹部21aは、絶縁膜4の窓部4aの中心に
向かうに連れ、電子注入電極21の厚さが階段状に徐々
に薄くなることによって形成されたもので、この例では
平面視正方形状の凹部が二段階に凹んで形成され、かつ
これら二段階の凹みが窓部4aの中心に対して同心状に
形成されたものである。ここで、凹部21aを同心状に
凹ませる理由は、出射光の強さに方向依存性が出ないよ
うにするためである。
アレイ20の電子注入電極21には、絶縁膜4の窓部4
a内に位置する部分に階段状の凹部21aが形成されて
いる。この凹部21aは、絶縁膜4の窓部4aの中心に
向かうに連れ、電子注入電極21の厚さが階段状に徐々
に薄くなることによって形成されたもので、この例では
平面視正方形状の凹部が二段階に凹んで形成され、かつ
これら二段階の凹みが窓部4aの中心に対して同心状に
形成されたものである。ここで、凹部21aを同心状に
凹ませる理由は、出射光の強さに方向依存性が出ないよ
うにするためである。
【0030】また、この凹部21aでは、図3(a)、
(b)中Pで示す平面視正方形状の領域が中心部であっ
て最も薄く形成された部分となり、このP領域の外側の
領域、すなわち図3(a)、(b)中Qで示す平面視正
方形枠状の領域が次に薄く形成された部分となってい
る。本実施形態例では、中心部の最も薄い部分であるP
で示す領域の膜厚を100nmとし、凹部21a内にお
ける階段の一段あたりの段差を1μmとした。よって、
電子注入電極21の最も厚い部分の膜厚は2.1μmと
なり、Qで示す領域の膜厚は1.1μmとなる。なお、
このような階段状の凹部21aの形状については、従来
公知のホトリソグラフィ技術、およびエッチング技術に
よって容易に加工可能であるので、ここではその説明を
省略する。
(b)中Pで示す平面視正方形状の領域が中心部であっ
て最も薄く形成された部分となり、このP領域の外側の
領域、すなわち図3(a)、(b)中Qで示す平面視正
方形枠状の領域が次に薄く形成された部分となってい
る。本実施形態例では、中心部の最も薄い部分であるP
で示す領域の膜厚を100nmとし、凹部21a内にお
ける階段の一段あたりの段差を1μmとした。よって、
電子注入電極21の最も厚い部分の膜厚は2.1μmと
なり、Qで示す領域の膜厚は1.1μmとなる。なお、
このような階段状の凹部21aの形状については、従来
公知のホトリソグラフィ技術、およびエッチング技術に
よって容易に加工可能であるので、ここではその説明を
省略する。
【0031】このような電子注入電極21を有した有機
ELアレイ20の製造にあたっては、当然電子注入電極
21を形成しさらにエッチッグによって凹部21aを形
成した後、絶縁膜4の形成、およびその窓部4aの加工
を行う。そして、その上に発光層5、正孔輸送層6、透
明電極7を順次形成するのであるが、絶縁膜4の窓部4
aはその内部に前記凹部21aが位置するように形成さ
れるので、該凹部21aは窓部4a内にて外側(上面
側)に露出することになる。したがって、発光層5は該
凹部21aに接して形成されることにより、図3(b)
に示したごとくこれにも見掛け上階段状の凹部が形成さ
れる。さらに、同様にして正孔輸送層6、透明電極7に
も、見掛け上の階段状凹部が形成される。
ELアレイ20の製造にあたっては、当然電子注入電極
21を形成しさらにエッチッグによって凹部21aを形
成した後、絶縁膜4の形成、およびその窓部4aの加工
を行う。そして、その上に発光層5、正孔輸送層6、透
明電極7を順次形成するのであるが、絶縁膜4の窓部4
aはその内部に前記凹部21aが位置するように形成さ
れるので、該凹部21aは窓部4a内にて外側(上面
側)に露出することになる。したがって、発光層5は該
凹部21aに接して形成されることにより、図3(b)
に示したごとくこれにも見掛け上階段状の凹部が形成さ
れる。さらに、同様にして正孔輸送層6、透明電極7に
も、見掛け上の階段状凹部が形成される。
【0032】このように電子注入電極21に凹部21a
を形成しておくことにより、後は通常の製造方法によっ
て発光層5、正孔拡散層6、透明電極7にも見掛け上の
凹部を形成することができる。したがって、特に絶縁膜
4の窓部4a内に形成される発光層5が、第1の実施形
態例のものに比べてその表面積自体が大きくなることか
ら、当然その発光面積も大きくなり、これにより単位時
間あたりの出射光の総量を増やすことができる。そし
て、このように出射光の総量を増やすことができること
により、図2に示したように集束性ロッドレンズアレイ
12を通って感光ドラム13に集光する光の総量を増や
すことができる。つまり、発光面積を大きくすることに
より、感光ドラム13に集光される単位時間あたりの光
の総量を増やすことができるのである。
を形成しておくことにより、後は通常の製造方法によっ
て発光層5、正孔拡散層6、透明電極7にも見掛け上の
凹部を形成することができる。したがって、特に絶縁膜
4の窓部4a内に形成される発光層5が、第1の実施形
態例のものに比べてその表面積自体が大きくなることか
ら、当然その発光面積も大きくなり、これにより単位時
間あたりの出射光の総量を増やすことができる。そし
て、このように出射光の総量を増やすことができること
により、図2に示したように集束性ロッドレンズアレイ
12を通って感光ドラム13に集光する光の総量を増や
すことができる。つまり、発光面積を大きくすることに
より、感光ドラム13に集光される単位時間あたりの光
の総量を増やすことができるのである。
【0033】このことは、図3に示したようなプリンタ
ヘッド構成において、後述するように所望する印字を行
うための発光時間を短縮することができることを意味す
る。ただし、発光面積を大きくするにあたっては、絶縁
膜4の窓部4aを大きくすることなく、発光面積を大き
くしなければならない。なぜなら、絶縁膜4の窓部4a
を広げる(大きくする)と、隣り合うドット(窓部4
a、4a)間で光の分離ができなくなる現象が起こり、
このような現象が起こるとトナーの定着が隣のドットと
重なり、印字品質が損なわれるからである。
ヘッド構成において、後述するように所望する印字を行
うための発光時間を短縮することができることを意味す
る。ただし、発光面積を大きくするにあたっては、絶縁
膜4の窓部4aを大きくすることなく、発光面積を大き
くしなければならない。なぜなら、絶縁膜4の窓部4a
を広げる(大きくする)と、隣り合うドット(窓部4
a、4a)間で光の分離ができなくなる現象が起こり、
このような現象が起こるとトナーの定着が隣のドットと
重なり、印字品質が損なわれるからである。
【0034】本実施形態例の有機ELアレイ20では、
前述したように電子注入電極21に凹部21aを形成し
たことにより、絶縁膜4の窓部4aを広げることなく、
発光面積を大きくした構造となっており、したがって前
記の印字品質が損なわれるといった不都合を回避するこ
とができるのである。以下に、本実施形態例の有機EL
アレイ20がどの程度発光時間を短縮できるかを、計算
によって求めた結果を示す。
前述したように電子注入電極21に凹部21aを形成し
たことにより、絶縁膜4の窓部4aを広げることなく、
発光面積を大きくした構造となっており、したがって前
記の印字品質が損なわれるといった不都合を回避するこ
とができるのである。以下に、本実施形態例の有機EL
アレイ20がどの程度発光時間を短縮できるかを、計算
によって求めた結果を示す。
【0035】一つの発光ドット(有機EL)、すなわち
一つの窓部4aからの単位時間あたりの出射光の総量P
t は、発光面積Aに比例する。これを式で表すと以下の
ようになる。 Pt =a×A …(1) ここで、aは単位時間、単位面積あたりの出射光の総量
であり、有機ELの特性によって決まる。
一つの窓部4aからの単位時間あたりの出射光の総量P
t は、発光面積Aに比例する。これを式で表すと以下の
ようになる。 Pt =a×A …(1) ここで、aは単位時間、単位面積あたりの出射光の総量
であり、有機ELの特性によって決まる。
【0036】ところで、電子写真方式の光プリンタにお
ける光源、特にLEDアレイや本発明の有機ELアレイ
においては、発光ドットの密度が決まればこれら発光ド
ットの寸法、面積がほぼ自動的に決まる。なぜなら、小
さすぎては光の量自体が少なくなってしまい、また大き
すぎては隣のドットまで感光させてしまう現象が起きる
からである。そこで、最適な寸法で形成された発光ドッ
トの面積をSとして固定する。このSは、本実施形態例
では絶縁膜4の窓部4aの面積に該当する。そして、こ
のSから取り出せる単位時間あたりの出射光の総量をP
s とすると、本実施形態例では、固定されたSの中で発
光面積を増やすことができることから、凹部21aの形
成による発光面積の増加分をαとすると、出射光の総量
をPs は以下のように表せる。 Ps =a×(S+α) …(2)
ける光源、特にLEDアレイや本発明の有機ELアレイ
においては、発光ドットの密度が決まればこれら発光ド
ットの寸法、面積がほぼ自動的に決まる。なぜなら、小
さすぎては光の量自体が少なくなってしまい、また大き
すぎては隣のドットまで感光させてしまう現象が起きる
からである。そこで、最適な寸法で形成された発光ドッ
トの面積をSとして固定する。このSは、本実施形態例
では絶縁膜4の窓部4aの面積に該当する。そして、こ
のSから取り出せる単位時間あたりの出射光の総量をP
s とすると、本実施形態例では、固定されたSの中で発
光面積を増やすことができることから、凹部21aの形
成による発光面積の増加分をαとすると、出射光の総量
をPs は以下のように表せる。 Ps =a×(S+α) …(2)
【0037】絶縁膜4の窓部4aから発せられる単位時
間あたりの出射光の総量Ps のうち、図2に示した集束
性ロッドレンズアレイ12を透過しさらに感光ドラム1
3に照射される光の単位時間あたりの総量(以下、発光
パワーと称する。)PD は、集束性ロッドレンズアレイ
12に入射できる確率や集束性ロッドレンズアレイ12
を透過できる確率などを考慮した効率をηとすると、以
下の式で表せる。 PD =Ps ×η …(3) さらに、式(3)に式(2)を代入すれば、以下のよう
になる。 PD =a×(S+α)×η …(4)
間あたりの出射光の総量Ps のうち、図2に示した集束
性ロッドレンズアレイ12を透過しさらに感光ドラム1
3に照射される光の単位時間あたりの総量(以下、発光
パワーと称する。)PD は、集束性ロッドレンズアレイ
12に入射できる確率や集束性ロッドレンズアレイ12
を透過できる確率などを考慮した効率をηとすると、以
下の式で表せる。 PD =Ps ×η …(3) さらに、式(3)に式(2)を代入すれば、以下のよう
になる。 PD =a×(S+α)×η …(4)
【0038】次に、発光時間をTとすると、露光に寄与
する光の総量、すなわち露光エネルギーEは、以下の式
で表わせる。 E=PD ×T …(5) 式(5)に式(3)を代入すれば、以下のようになる。 E=Ps ×η×T …(6) 式(6)に式(2)を代入すれば、以下のようになる。 E=a×(S+α)×η×T …(7) これをTについて表すと、以下となる。 T=E/{a×η×(S+α)} …(8) また、露光に寄与する光の総量、すなわち露光エネルギ
ーEも一定なので、以下のようになる。 T=K/(S+α) …(9) ここで、K=E/{a×η)は定数である。
する光の総量、すなわち露光エネルギーEは、以下の式
で表わせる。 E=PD ×T …(5) 式(5)に式(3)を代入すれば、以下のようになる。 E=Ps ×η×T …(6) 式(6)に式(2)を代入すれば、以下のようになる。 E=a×(S+α)×η×T …(7) これをTについて表すと、以下となる。 T=E/{a×η×(S+α)} …(8) また、露光に寄与する光の総量、すなわち露光エネルギ
ーEも一定なので、以下のようになる。 T=K/(S+α) …(9) ここで、K=E/{a×η)は定数である。
【0039】次に、本実施形態例によって、発光時間が
どれだけ短縮されたかを数値を用いて具体的に説明す
る。絶縁膜4の窓部4aの面積(S)を、S=15μm
×15μm=225μm2、図3(b)におけるP、Q
の各々の一辺の長さを5μm、10μmとした。したが
って、凹部21aによって増加した面積(α)は、 α=1μm(段差)×10μm(一辺長さ)×4(辺の
数)+1μm(段差)×5μm(一辺長さ)×4(辺の
数)=60μm2 となる。
どれだけ短縮されたかを数値を用いて具体的に説明す
る。絶縁膜4の窓部4aの面積(S)を、S=15μm
×15μm=225μm2、図3(b)におけるP、Q
の各々の一辺の長さを5μm、10μmとした。したが
って、凹部21aによって増加した面積(α)は、 α=1μm(段差)×10μm(一辺長さ)×4(辺の
数)+1μm(段差)×5μm(一辺長さ)×4(辺の
数)=60μm2 となる。
【0040】ゆえに、(S+α)/S=1.27とな
り、発光面積が27%増しとなる。なお、実測による
と、実際の発光パワーPD はほぼ50%増えていた。す
なわち、式(4)の関係では面積増加分だけしか増えな
いものの、実際のPD は式(4)で表される以上に大き
くなるのである。これは、発光時間Tは、面積効果しか
示さない式(9)ではなく、実際の発光パワーPD によ
り決定されるので式(5)に従うからであると考えられ
る。
り、発光面積が27%増しとなる。なお、実測による
と、実際の発光パワーPD はほぼ50%増えていた。す
なわち、式(4)の関係では面積増加分だけしか増えな
いものの、実際のPD は式(4)で表される以上に大き
くなるのである。これは、発光時間Tは、面積効果しか
示さない式(9)ではなく、実際の発光パワーPD によ
り決定されるので式(5)に従うからであると考えられ
る。
【0041】このように本実施形態例の有機ELアレイ
20にあっては、電子注入電極3に凹部21aを形成し
たので、これを形成しない場合に比べて発光パワーを
1.5倍にすることができ、これにより発光時間を約2
/3に短縮することができる。そして、発光時間を約2
/3にすることができることにより、1ラインあたりの
印字に必要な時間もほぼ2/3に短縮することができ、
したがって単位時間あたりにどれだけ印刷できるかとい
った印字速度を、ほぼ1.5倍にすることができる。す
なわち、本実施形態例では、電子注入電極3の形状加工
のみにより、印字速度を直接的に速くすることができる
のである。なお、本発明においては、凹部の形状につい
ては図3(a)、(b)に示した形状に限定されること
なく、電子注入電極3の厚さが絶縁膜4の窓部4aの中
心に向かって同心状に徐々に薄くなる形状であれば、例
えば3段以上の段差を有する形状や、テーパ状に徐々に
凹む形状などでもよいのはもちろんである。
20にあっては、電子注入電極3に凹部21aを形成し
たので、これを形成しない場合に比べて発光パワーを
1.5倍にすることができ、これにより発光時間を約2
/3に短縮することができる。そして、発光時間を約2
/3にすることができることにより、1ラインあたりの
印字に必要な時間もほぼ2/3に短縮することができ、
したがって単位時間あたりにどれだけ印刷できるかとい
った印字速度を、ほぼ1.5倍にすることができる。す
なわち、本実施形態例では、電子注入電極3の形状加工
のみにより、印字速度を直接的に速くすることができる
のである。なお、本発明においては、凹部の形状につい
ては図3(a)、(b)に示した形状に限定されること
なく、電子注入電極3の厚さが絶縁膜4の窓部4aの中
心に向かって同心状に徐々に薄くなる形状であれば、例
えば3段以上の段差を有する形状や、テーパ状に徐々に
凹む形状などでもよいのはもちろんである。
【0042】図4(a)、(b)は、本発明の第3の実
施形態例を示す図であり、これらの図において符号30
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ30が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、電子注入電極31に、他の箇所に比べて厚さの
薄い薄厚部31aが4つ形成されている点である。すな
わち、本実施形態例における有機ELアレイ30の電子
注入電極31には、絶縁膜4の窓部4a内に位置する部
分に4つの薄厚部31aが形成されている。薄厚部31
aは、平面視正方形状のもので、図4(a)に示したよ
うに窓部4aの四隅部に該窓部4aの中心から均等に配
置されたものである。ここで、このように4つの薄厚部
31aを中心から均等に配置した理由は、第2の実施形
態例の場合と同様に、出射光の強さに方向依存性が出な
いようにするためである。
施形態例を示す図であり、これらの図において符号30
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ30が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、電子注入電極31に、他の箇所に比べて厚さの
薄い薄厚部31aが4つ形成されている点である。すな
わち、本実施形態例における有機ELアレイ30の電子
注入電極31には、絶縁膜4の窓部4a内に位置する部
分に4つの薄厚部31aが形成されている。薄厚部31
aは、平面視正方形状のもので、図4(a)に示したよ
うに窓部4aの四隅部に該窓部4aの中心から均等に配
置されたものである。ここで、このように4つの薄厚部
31aを中心から均等に配置した理由は、第2の実施形
態例の場合と同様に、出射光の強さに方向依存性が出な
いようにするためである。
【0043】電子注入電極3において薄厚部31aは、
その厚さが100nmとされ、また電子注入電極3の他
の箇所との段差は1μmとされている。すなわち、電子
注入電極3は、薄厚部31a以外の箇所の膜厚が1.1
μmに形成されているのである。なお、このような薄厚
部31aについても、従来公知のホトリソグラフィ技
術、およびエッチング技術によって容易に加工可能であ
るので、その説明を省略する。
その厚さが100nmとされ、また電子注入電極3の他
の箇所との段差は1μmとされている。すなわち、電子
注入電極3は、薄厚部31a以外の箇所の膜厚が1.1
μmに形成されているのである。なお、このような薄厚
部31aについても、従来公知のホトリソグラフィ技
術、およびエッチング技術によって容易に加工可能であ
るので、その説明を省略する。
【0044】また、このような電子注入電極21を有し
た有機ELアレイ20の製造にあたっては、当然電子注
入電極21を形成しさらにエッチッグによって凹部21
aを形成した後、絶縁膜4の形成、およびその窓部4a
の加工を行う。そして、その上に発光層5、正孔輸送層
6、透明電極7を順次形成するのであるが、絶縁膜4の
窓部4aはその内部に前記凹部21aが位置するように
形成されるので、該凹部21aは窓部4a内にて外側
(上面側)に露出することになる。したがって、発光層
5は該凹部21aに接して形成されることにより、図3
(b)に示したごとくこれにも見掛け上の凹部が形成さ
れる。さらに、同様にして正孔輸送層6、透明電極7に
も、見掛け上の凹部が形成される。
た有機ELアレイ20の製造にあたっては、当然電子注
入電極21を形成しさらにエッチッグによって凹部21
aを形成した後、絶縁膜4の形成、およびその窓部4a
の加工を行う。そして、その上に発光層5、正孔輸送層
6、透明電極7を順次形成するのであるが、絶縁膜4の
窓部4aはその内部に前記凹部21aが位置するように
形成されるので、該凹部21aは窓部4a内にて外側
(上面側)に露出することになる。したがって、発光層
5は該凹部21aに接して形成されることにより、図3
(b)に示したごとくこれにも見掛け上の凹部が形成さ
れる。さらに、同様にして正孔輸送層6、透明電極7に
も、見掛け上の凹部が形成される。
【0045】また、前記第2の実施形態例と同様に、こ
のように電子注入電極21に薄厚部31a…を形成して
おくことにより、後は通常の製造方法によって発光層
5、正孔拡散層6、透明電極7にも見掛け上の凹部を形
成することができる。したがって、この第3の実施形態
例にあっても、特に絶縁膜4の窓部4a内に形成される
発光層5が、第1の実施形態例のものに比べてその表面
積自体が大きくなることから、当然その発光面積も大き
くなり、これにより単位時間あたりの出射光の総量を増
やすことができる。そして、このように出射光の総量を
増やすことができることにより、この第2の実施形態例
有機ELアレイ30にあっても、前述したように図2の
構成において集束性ロッドレンズアレイ12を通って感
光ドラム13に集光する光の総量を増やすことができ、
これにより感光ドラム13に集光される単位時間あたり
の光の総量を増やすことができる。
のように電子注入電極21に薄厚部31a…を形成して
おくことにより、後は通常の製造方法によって発光層
5、正孔拡散層6、透明電極7にも見掛け上の凹部を形
成することができる。したがって、この第3の実施形態
例にあっても、特に絶縁膜4の窓部4a内に形成される
発光層5が、第1の実施形態例のものに比べてその表面
積自体が大きくなることから、当然その発光面積も大き
くなり、これにより単位時間あたりの出射光の総量を増
やすことができる。そして、このように出射光の総量を
増やすことができることにより、この第2の実施形態例
有機ELアレイ30にあっても、前述したように図2の
構成において集束性ロッドレンズアレイ12を通って感
光ドラム13に集光する光の総量を増やすことができ、
これにより感光ドラム13に集光される単位時間あたり
の光の総量を増やすことができる。
【0046】以下に、第2の実施形態例の場合と同様
に、本実施形態例の有機ELアレイ30がどの程度発光
時間を短縮できるかを、数値を用いた計算によって具体
的に求めた結果を示す。絶縁膜4の窓部4aの面積
(S)を、S=15μm×15μm=225μm2、薄
厚部31aの平面視形状における一辺の長さを5μmと
した。したがって、4つの薄厚部31aによって増加し
た面積(α)は、 α=1μm(段差)×5μm(一辺長さ)×4(辺の数)×4(薄厚部の数) =80μm2 となる。ゆえに、(S+α)/S=1.36となり、発
光面積が36%増しとなる。なお、実測によると、実際
の発光パワーPD はほぼ70%増えていた。これは、第
2の実施形態例の場合と同様の効果が起きているためと
考えられる。
に、本実施形態例の有機ELアレイ30がどの程度発光
時間を短縮できるかを、数値を用いた計算によって具体
的に求めた結果を示す。絶縁膜4の窓部4aの面積
(S)を、S=15μm×15μm=225μm2、薄
厚部31aの平面視形状における一辺の長さを5μmと
した。したがって、4つの薄厚部31aによって増加し
た面積(α)は、 α=1μm(段差)×5μm(一辺長さ)×4(辺の数)×4(薄厚部の数) =80μm2 となる。ゆえに、(S+α)/S=1.36となり、発
光面積が36%増しとなる。なお、実測によると、実際
の発光パワーPD はほぼ70%増えていた。これは、第
2の実施形態例の場合と同様の効果が起きているためと
考えられる。
【0047】このように本実施形態例の有機ELアレイ
30にあっては、電子注入電極3に薄厚部31a…を形
成したので、これを形成しない場合に比べて発光パワー
を1.7倍にすることができ、これにより発光時間を約
3/5に短縮することができる。そして、発光時間を約
3/5にすることができることにより、1ラインあたり
の印字に必要な時間もほぼ3/5に短縮することがで
き、したがって、単位時間あたりにどれだけ印刷できる
かといった印字速度を、ほぼ1.7倍にすることができ
る。すなわち、本実施形態例では、電子注入電極3の形
状加工のみにより、印字速度を直接的に速くすることが
でき、しかも、4つの薄厚部31a…を一度のエッチン
グ工程で形成することができるので、工程を簡略化する
ことができ、これにより低コスト化を図ることもでき
る。なお、本発明においては、薄厚部31aの数につい
ては4つにに限定されることなく、複数であり、かつ製
造上可能であればいくつでもよい。
30にあっては、電子注入電極3に薄厚部31a…を形
成したので、これを形成しない場合に比べて発光パワー
を1.7倍にすることができ、これにより発光時間を約
3/5に短縮することができる。そして、発光時間を約
3/5にすることができることにより、1ラインあたり
の印字に必要な時間もほぼ3/5に短縮することがで
き、したがって、単位時間あたりにどれだけ印刷できる
かといった印字速度を、ほぼ1.7倍にすることができ
る。すなわち、本実施形態例では、電子注入電極3の形
状加工のみにより、印字速度を直接的に速くすることが
でき、しかも、4つの薄厚部31a…を一度のエッチン
グ工程で形成することができるので、工程を簡略化する
ことができ、これにより低コスト化を図ることもでき
る。なお、本発明においては、薄厚部31aの数につい
ては4つにに限定されることなく、複数であり、かつ製
造上可能であればいくつでもよい。
【0048】図5(a)、(b)は、本発明の第4の実
施形態例を示す図であり、これらの図において符号40
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ40が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、基板2と電子注入電極3との間に第2の絶縁膜
41が設けられ、この第2の絶縁膜41に、その厚さが
絶縁膜4の窓部4aの中心に向かって階段状に徐々に薄
くなる凹部41aが設けられている点である。
施形態例を示す図であり、これらの図において符号40
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ40が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、基板2と電子注入電極3との間に第2の絶縁膜
41が設けられ、この第2の絶縁膜41に、その厚さが
絶縁膜4の窓部4aの中心に向かって階段状に徐々に薄
くなる凹部41aが設けられている点である。
【0049】すなわち、本実施形態例における有機EL
アレイ40においては、電子注入電極3の形成に先立っ
て基板2上にSiNX 膜やSiOX 膜からなる第2の絶
縁膜41が形成されている。この第2の絶縁膜41に
は、第2の実施形態例における電子注入電極21に形成
した凹部21aと同じ形状の凹部41aが形成されてい
る。つまり、この凹部41aも前記凹部21aと同様
に、絶縁膜4の窓部4aの中心に向かうに連れて第2の
絶縁膜41の厚さが階段状に徐々に薄くなることによっ
て形成されたもので、平面視正方形状の凹部が二段階に
凹んで形成され、かつこれら二段階の凹みが窓部4aの
中心に対して同心状に形成されたものである。そして、
電子注入電極3は、このような凹部41aを形成した第
2の絶縁膜41上に形成されることにより、該凹部41
aの形状に沿った形状のものとなっている。
アレイ40においては、電子注入電極3の形成に先立っ
て基板2上にSiNX 膜やSiOX 膜からなる第2の絶
縁膜41が形成されている。この第2の絶縁膜41に
は、第2の実施形態例における電子注入電極21に形成
した凹部21aと同じ形状の凹部41aが形成されてい
る。つまり、この凹部41aも前記凹部21aと同様
に、絶縁膜4の窓部4aの中心に向かうに連れて第2の
絶縁膜41の厚さが階段状に徐々に薄くなることによっ
て形成されたもので、平面視正方形状の凹部が二段階に
凹んで形成され、かつこれら二段階の凹みが窓部4aの
中心に対して同心状に形成されたものである。そして、
電子注入電極3は、このような凹部41aを形成した第
2の絶縁膜41上に形成されることにより、該凹部41
aの形状に沿った形状のものとなっている。
【0050】なお、この凹部41aにおいても、図5
(a)、(b)中Pで示す平面視正方形状の領域が中心
部であって最も薄く形成された部分となり、このP領域
の外側の領域、すなわち図5(a)、(b)中Qで示す
平面視正方形枠状の領域が次に薄く形成された部分とな
っている。そして、本実施形態例では、第2の実施形態
例における凹部21aと同様に、Pで示す領域の膜厚を
100nmとし、凹部41a内における階段の一段あた
りの段差を1μmとした。よって、第2の絶縁膜41の
最も厚い部分の膜厚は2.1μmとなり、Qで示す領域
の膜厚は1.1μmとなる。このような階段状の凹部4
1aの形状については、従来公知のホトリソグラフィ技
術、およびエッチング技術によって容易に加工可能であ
るので、その説明を省略する。また、凹部41aを同心
状に凹ませる理由は、第2の実施形態例と同様に出射光
の強さに方向依存性が出ないようにするためである。
(a)、(b)中Pで示す平面視正方形状の領域が中心
部であって最も薄く形成された部分となり、このP領域
の外側の領域、すなわち図5(a)、(b)中Qで示す
平面視正方形枠状の領域が次に薄く形成された部分とな
っている。そして、本実施形態例では、第2の実施形態
例における凹部21aと同様に、Pで示す領域の膜厚を
100nmとし、凹部41a内における階段の一段あた
りの段差を1μmとした。よって、第2の絶縁膜41の
最も厚い部分の膜厚は2.1μmとなり、Qで示す領域
の膜厚は1.1μmとなる。このような階段状の凹部4
1aの形状については、従来公知のホトリソグラフィ技
術、およびエッチング技術によって容易に加工可能であ
るので、その説明を省略する。また、凹部41aを同心
状に凹ませる理由は、第2の実施形態例と同様に出射光
の強さに方向依存性が出ないようにするためである。
【0051】このような第2の絶縁膜41を有した有機
ELアレイ40の製造にあたっては、前述したように第
2の絶縁膜41を形成しさらにエッチッグによって凹部
41aを形成した後、電子注入電極3の形成、絶縁膜4
の形成、およびその窓部4aの加工を行う。このとき、
電子注入電極3は該凹部41aに接して形成されること
により、図5(b)に示したごとくこれにも見掛け上階
段状の凹部が形成される。次いで、絶縁膜4の上に発光
層5、正孔輸送層6、透明電極7を順次形成するのであ
るが、絶縁膜4の窓部4aはその内部に前記凹部41a
が位置するように形成されるので、該凹部41aの上に
形成された電子注入電極3の見掛け上の凹部は、窓部4
a内にて外側(上面側)に露出することになる。したが
って、発光層5、正孔輸送層6、透明電極7にも、それ
ぞれ見掛け上の階段状凹部が形成される。
ELアレイ40の製造にあたっては、前述したように第
2の絶縁膜41を形成しさらにエッチッグによって凹部
41aを形成した後、電子注入電極3の形成、絶縁膜4
の形成、およびその窓部4aの加工を行う。このとき、
電子注入電極3は該凹部41aに接して形成されること
により、図5(b)に示したごとくこれにも見掛け上階
段状の凹部が形成される。次いで、絶縁膜4の上に発光
層5、正孔輸送層6、透明電極7を順次形成するのであ
るが、絶縁膜4の窓部4aはその内部に前記凹部41a
が位置するように形成されるので、該凹部41aの上に
形成された電子注入電極3の見掛け上の凹部は、窓部4
a内にて外側(上面側)に露出することになる。したが
って、発光層5、正孔輸送層6、透明電極7にも、それ
ぞれ見掛け上の階段状凹部が形成される。
【0052】このように第2の絶縁膜41に凹部41a
を形成しておくことにより、後は通常の製造方法によっ
て電子注入電極3、発光層5、正孔拡散層6、透明電極
7にも見掛け上の凹部を形成することができる。したが
って、特に絶縁膜4の窓部4a内に形成される発光層5
が、凹部41aの形状に対応した階段状形状となること
により、第1の実施形態例のものに比べてその表面積自
体が大きくなる。よって、この実施形態例のものにあっ
ても、当然その発光面積が大きくなることから、単位時
間あたりの出射光の総量を増やすことができ、これによ
り図2に示した構成において感光ドラム13に集光され
る単位時間あたりの光の総量を増やすことができるので
ある。
を形成しておくことにより、後は通常の製造方法によっ
て電子注入電極3、発光層5、正孔拡散層6、透明電極
7にも見掛け上の凹部を形成することができる。したが
って、特に絶縁膜4の窓部4a内に形成される発光層5
が、凹部41aの形状に対応した階段状形状となること
により、第1の実施形態例のものに比べてその表面積自
体が大きくなる。よって、この実施形態例のものにあっ
ても、当然その発光面積が大きくなることから、単位時
間あたりの出射光の総量を増やすことができ、これによ
り図2に示した構成において感光ドラム13に集光され
る単位時間あたりの光の総量を増やすことができるので
ある。
【0053】なお、発光層5や正孔輸送層6は段差のあ
る部分で結晶化し易く、これらは一旦結晶化するとその
結晶領域が広がる。そして、これが発光領域にまで侵入
するとその部分は発光しないダークスポットとなり、点
欠陥を形成するものとなって印字品質を著しく損ねてし
まう。よって、不必要な段差形状は極力付与しないのが
望ましいのである。本実施形態例では、発光面積を大き
くする必要のある絶縁膜の窓部4内のみに凹凸形状を形
成しているので、発光層5や正孔輸送層6の結晶化に伴
う点欠陥の形成を最小限に抑え、歩留りの向上を図るこ
とができる。
る部分で結晶化し易く、これらは一旦結晶化するとその
結晶領域が広がる。そして、これが発光領域にまで侵入
するとその部分は発光しないダークスポットとなり、点
欠陥を形成するものとなって印字品質を著しく損ねてし
まう。よって、不必要な段差形状は極力付与しないのが
望ましいのである。本実施形態例では、発光面積を大き
くする必要のある絶縁膜の窓部4内のみに凹凸形状を形
成しているので、発光層5や正孔輸送層6の結晶化に伴
う点欠陥の形成を最小限に抑え、歩留りの向上を図るこ
とができる。
【0054】以下に、第2の実施形態例の場合と同様
に、本実施形態例の有機ELアレイ40がどの程度発光
時間を短縮できるかを、数値を用いた計算によって具体
的に求めた結果を示す。絶縁膜4の窓部4aの面積
(S)を、S=15μm×15μm=225μm2、図
5(b)中におけるP、Qの各々の一辺の長さを5μ
m、10μmとした。したがって、凹部41aによって
増加した面積(α)は、 α=1μm(段差)×10μm(一辺長さ)×4(辺の
数)+1μm(段差)×5μm(一辺長さ)×4(辺の
数)=60μm2 となる。ゆえに、(S+α)/S=1.27となり、発
光面積が27%増しとなる。なお、実測によると、実際
の発光パワーPD はほぼ50%増えていた。これは、第
2の実施形態例の場合と同様の効果が起きているためと
考えられる。
に、本実施形態例の有機ELアレイ40がどの程度発光
時間を短縮できるかを、数値を用いた計算によって具体
的に求めた結果を示す。絶縁膜4の窓部4aの面積
(S)を、S=15μm×15μm=225μm2、図
5(b)中におけるP、Qの各々の一辺の長さを5μ
m、10μmとした。したがって、凹部41aによって
増加した面積(α)は、 α=1μm(段差)×10μm(一辺長さ)×4(辺の
数)+1μm(段差)×5μm(一辺長さ)×4(辺の
数)=60μm2 となる。ゆえに、(S+α)/S=1.27となり、発
光面積が27%増しとなる。なお、実測によると、実際
の発光パワーPD はほぼ50%増えていた。これは、第
2の実施形態例の場合と同様の効果が起きているためと
考えられる。
【0055】このように本実施形態例の有機ELアレイ
40にあっては、第2の絶縁膜41に凹部41aを形成
したので、これを形成しない場合に比べて発光パワーを
1.5倍にすることができ、これにより発光時間を約2
/3に短縮することができる。そして、発光時間を約2
/3にすることができることにより、1ラインあたりの
印字に必要な時間もほぼ2/3に短縮することができ、
したがって、単位時間あたりにどれだけ印刷できるかと
いった印字速度を、ほぼ1.5倍にすることができる。
すなわち、本実施形態例では、電子注入電極3の形状加
工のみにより、印字速度を直接的に速くすることができ
るのである。なお、本発明においては、凹部の形状につ
いては図5(a)、(b)に示した形状に限定されるこ
となく、第2の絶縁膜4の厚さが絶縁膜4の窓部4aの
中心に向かって同心状に徐々に薄くなる形状であれば、
例えば3段以上の段差を有する形状や、テーパ状に徐々
に凹む形状などでもよいのはもちろんである。
40にあっては、第2の絶縁膜41に凹部41aを形成
したので、これを形成しない場合に比べて発光パワーを
1.5倍にすることができ、これにより発光時間を約2
/3に短縮することができる。そして、発光時間を約2
/3にすることができることにより、1ラインあたりの
印字に必要な時間もほぼ2/3に短縮することができ、
したがって、単位時間あたりにどれだけ印刷できるかと
いった印字速度を、ほぼ1.5倍にすることができる。
すなわち、本実施形態例では、電子注入電極3の形状加
工のみにより、印字速度を直接的に速くすることができ
るのである。なお、本発明においては、凹部の形状につ
いては図5(a)、(b)に示した形状に限定されるこ
となく、第2の絶縁膜4の厚さが絶縁膜4の窓部4aの
中心に向かって同心状に徐々に薄くなる形状であれば、
例えば3段以上の段差を有する形状や、テーパ状に徐々
に凹む形状などでもよいのはもちろんである。
【0056】図6(a)、(b)は、本発明の第5の実
施形態例を示す図であり、これらの図において符号50
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ50が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、絶縁膜4の窓部4a内に位置する部分に、各電
子注入電極3および該窓部4aを形成する絶縁膜4の側
面を覆って第2の電子注入電極51が設けられ、発光層
5が、該第2の電子注入電極51を覆って形成されてい
る点である。
施形態例を示す図であり、これらの図において符号50
は有機ELアレイである。この有機ELアレイ50が図
1(a)、(b)に示した有機ELアレイ1と異なると
ころは、絶縁膜4の窓部4a内に位置する部分に、各電
子注入電極3および該窓部4aを形成する絶縁膜4の側
面を覆って第2の電子注入電極51が設けられ、発光層
5が、該第2の電子注入電極51を覆って形成されてい
る点である。
【0057】すなわち、本実施形態例における有機EL
アレイ50においては、電子注入電極3形成し、さらに
絶縁膜4とその窓部4aを形成した後、電子注入電極3
に接してこれを覆い、かつ窓部4aを形成する絶縁膜4
の側面に接してこれを覆うとともに、該窓部4aの周辺
部分の絶縁膜4をも覆って第2の電子注入電極51を形
成している。この第2の電子注入電極51としては、発
光層5への電子注入が容易なよう仕事関数が低いものが
好ましく、具体的にはMgAg合金、In、MgIn合
金、MgCu合金、MgLi合金などが好適とされ、本
例ではMgAg合金が用いられてこれが厚さ100nm
に形成されている。ただし、本実施形態例においては、
電子注入電極3については発光層5への電子注入にほと
んど関係しなくなることから、仕事関数が低いものとす
る必要がなく、したがってAlを用いている。
アレイ50においては、電子注入電極3形成し、さらに
絶縁膜4とその窓部4aを形成した後、電子注入電極3
に接してこれを覆い、かつ窓部4aを形成する絶縁膜4
の側面に接してこれを覆うとともに、該窓部4aの周辺
部分の絶縁膜4をも覆って第2の電子注入電極51を形
成している。この第2の電子注入電極51としては、発
光層5への電子注入が容易なよう仕事関数が低いものが
好ましく、具体的にはMgAg合金、In、MgIn合
金、MgCu合金、MgLi合金などが好適とされ、本
例ではMgAg合金が用いられてこれが厚さ100nm
に形成されている。ただし、本実施形態例においては、
電子注入電極3については発光層5への電子注入にほと
んど関係しなくなることから、仕事関数が低いものとす
る必要がなく、したがってAlを用いている。
【0058】本実施形態例の有機ELアレイ50にあっ
ては、第2の電子注入電極51を、各電子注入電極3お
よび該窓部4aを形成する絶縁膜4の側面を覆って形成
したので、特に窓部4a内において光漏れを起こす絶縁
膜4の窓部4a側面においても、これが第2の電子注入
電極51で覆われていることにより、発生した光が該側
面で漏れることなく反射し、出射光として取り出され
る。その結果、出射光の総量PS を大きくすることがで
きるのである。
ては、第2の電子注入電極51を、各電子注入電極3お
よび該窓部4aを形成する絶縁膜4の側面を覆って形成
したので、特に窓部4a内において光漏れを起こす絶縁
膜4の窓部4a側面においても、これが第2の電子注入
電極51で覆われていることにより、発生した光が該側
面で漏れることなく反射し、出射光として取り出され
る。その結果、出射光の総量PS を大きくすることがで
きるのである。
【0059】以下に、第2の実施形態例の場合と同様
に、本実施形態例の有機ELアレイ50がどの程度発光
時間を短縮できるかを、数値を用いた計算によって具体
的に求めた結果を示す。第2の電子注入電極51によ
り、新たに反射されて出射光として外部に取り出せる光
の量は、以下の反射面積増大分βに相当する。 反射面積増大分β=0.3μm(絶縁膜の厚み)×15
μm(窓部の一辺長さ)×4(辺の数)=18μm2 ここで、反射面積をβだけ増やした場合に得られる発光
パワーをPD2とすると、PD2は以下のようになる。 PD2=PD (S+β)/S=1.08P 発光面積は変わらないものの、反射面積が8%増しとな
る。なお、実測によると、実際の発光パワーPD2はほぼ
20%増えていた。ここで、注目すべきは発光面積が変
わっていない点である。発光面積が大きくなれば、発光
パワーも上がるが、そのかわりに供給電流も増やさねば
ならない。しかし、本実施形態例では、発光面積を大き
くすることなく発光パワーを上げられるので、供給電流
を増やすことなく、発光パワーを上げる事が出来るので
ある。
に、本実施形態例の有機ELアレイ50がどの程度発光
時間を短縮できるかを、数値を用いた計算によって具体
的に求めた結果を示す。第2の電子注入電極51によ
り、新たに反射されて出射光として外部に取り出せる光
の量は、以下の反射面積増大分βに相当する。 反射面積増大分β=0.3μm(絶縁膜の厚み)×15
μm(窓部の一辺長さ)×4(辺の数)=18μm2 ここで、反射面積をβだけ増やした場合に得られる発光
パワーをPD2とすると、PD2は以下のようになる。 PD2=PD (S+β)/S=1.08P 発光面積は変わらないものの、反射面積が8%増しとな
る。なお、実測によると、実際の発光パワーPD2はほぼ
20%増えていた。ここで、注目すべきは発光面積が変
わっていない点である。発光面積が大きくなれば、発光
パワーも上がるが、そのかわりに供給電流も増やさねば
ならない。しかし、本実施形態例では、発光面積を大き
くすることなく発光パワーを上げられるので、供給電流
を増やすことなく、発光パワーを上げる事が出来るので
ある。
【0060】このように本実施形態例の有機ELアレイ
50にあっては、第2の電子注入電極51を、各電子注
入電極3および該窓部4aを形成する絶縁膜4の側面を
覆って形成したので、これを形成しない場合に比べて発
光パワーを1.2倍にすることができ、これにより発光
時間を約4/5に短縮することができる。そして、発光
時間を約4/5にすることができることにより、1ライ
ンあたりの印字に必要な時間もほぼ4/5に短縮するこ
とができ、したがって、単位時間あたりにどれだけ印刷
できるかといった印字速度を、ほぼ1.2倍にすること
ができる。また、本実施形態例では、供給電流を増やす
ことなく発光パワーを上げられるので、発光効率を向上
することができ、これにより消費電流の低減化を図るこ
とができる。
50にあっては、第2の電子注入電極51を、各電子注
入電極3および該窓部4aを形成する絶縁膜4の側面を
覆って形成したので、これを形成しない場合に比べて発
光パワーを1.2倍にすることができ、これにより発光
時間を約4/5に短縮することができる。そして、発光
時間を約4/5にすることができることにより、1ライ
ンあたりの印字に必要な時間もほぼ4/5に短縮するこ
とができ、したがって、単位時間あたりにどれだけ印刷
できるかといった印字速度を、ほぼ1.2倍にすること
ができる。また、本実施形態例では、供給電流を増やす
ことなく発光パワーを上げられるので、発光効率を向上
することができ、これにより消費電流の低減化を図るこ
とができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の有機ELア
レイは、絶縁性基板上に一括して作製可能なものである
から、従来のLEDアレイのごとくLEDチップを多数
一直線上に配列させるといった実装上の困難さを回避す
ることができ、これにより低コスト化を図ることができ
る。また、絶縁膜の窓部を形成した側、すなわち絶縁性
基板の上面側から光を取り出す構造としたので、例えば
ガラスからなる基板の裏面から光を取り出す場合に起こ
る、ガラス裏面における全反射による光の損失や、ガラ
スへの吸収による光の損失をなくして光を効率良く外部
に取り出すことができ、これにより短時間で強い光を取
り出せることからプリンタによる印字の高速化を可能に
することができる。
レイは、絶縁性基板上に一括して作製可能なものである
から、従来のLEDアレイのごとくLEDチップを多数
一直線上に配列させるといった実装上の困難さを回避す
ることができ、これにより低コスト化を図ることができ
る。また、絶縁膜の窓部を形成した側、すなわち絶縁性
基板の上面側から光を取り出す構造としたので、例えば
ガラスからなる基板の裏面から光を取り出す場合に起こ
る、ガラス裏面における全反射による光の損失や、ガラ
スへの吸収による光の損失をなくして光を効率良く外部
に取り出すことができ、これにより短時間で強い光を取
り出せることからプリンタによる印字の高速化を可能に
することができる。
【図1】(a)、(b)は本発明における有機ELアレ
イの第1の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
イの第1の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
【図2】図1に示した有機ELアレイを用いたプリント
ヘッドの概略構成図である。
ヘッドの概略構成図である。
【図3】(a)、(b)は本発明における有機ELアレ
イの第2の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
イの第2の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
【図4】(a)、(b)は本発明における有機ELアレ
イの第3の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
イの第3の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
【図5】(a)、(b)、(c)は本発明における有機
ELアレイの第4の実施形態例の概略構成を示す図であ
り、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断
面図、(c)は(a)のC−C線矢視断面図である。
ELアレイの第4の実施形態例の概略構成を示す図であ
り、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断
面図、(c)は(a)のC−C線矢視断面図である。
【図6】(a)、(b)は本発明における有機ELアレ
イの第5の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
イの第5の実施形態例の概略構成を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図
である。
1、20、30、40、50 有機ELアレイ 2 基板 3、21、31 電子注入電極 4 絶縁膜 4a 窓部 5 発光層 6 正孔輸送層 7 透明電極 21a 凹部 31a 薄厚部 41 第2の絶縁膜 41a 凹部 51 第2の電子注入電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸倉 和男 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 複数の発光ドットを有する有機ELアレ
イであって、 絶縁性基板と、 該絶縁性基板上に形成された前記発光ドット数と略同数
の電子注入電極と、 これら電子注入電極のそれぞれの一部を覆って前記絶縁
性基板上に形成され、かつ該電子注入電極のそれぞれの
直上部にて開口する発光ドットとなる窓部を有した絶縁
膜と、 前記窓部を覆って該窓部内から外に臨む電子注入電極の
それぞれに接して形成された発光層と、 前記窓部の直上位置を覆って前記発光層上にこれと接し
て形成された正孔輸送層と、 該正孔輸送層と前記発光層とを覆い、かつ該正孔輸送層
に接して前記絶縁性基板上に形成された透明電極と、を
備えたことを特徴とする有機ELアレイ。 - 【請求項2】 請求項1記載の有機ELアレイにおい
て、 前記電子注入電極には、前記絶縁膜の窓部内に位置する
部分に、その厚さが該窓部の中心に向かって同心状に徐
々に薄くなる凹部が設けられていることを特徴とする有
機ELアレイ。 - 【請求項3】 請求項1記載の有機ELアレイにおい
て、 前記電子注入電極には、前記絶縁膜の窓部内に位置する
部分に、他の箇所に比べて厚さの薄い薄厚部が複数形成
されていることを特徴とする有機ELアレイ。 - 【請求項4】 請求項1記載の有機ELアレイにおい
て、 前記絶縁性基板と電子注入電極との間には第2の絶縁膜
が設けられ、 該第2の絶縁膜には、前記絶縁膜の窓部内に位置する部
分に、その厚さが該窓部の中心に向かって同心状に徐々
に薄くなる凹部が設けられ、 前記電子注入電極は、前記凹部上にて該凹部の形状に沿
った形状となっていることを特徴とする有機ELアレ
イ。 - 【請求項5】 請求項1記載の有機ELアレイにおい
て、 少なくとも前記絶縁膜の窓部内に位置する部分には、前
記電子注入電極および該窓部を形成する絶縁膜の側面を
覆って第2の電子注入電極が設けられ、 前記発光層は、前記第2の電子注入電極を覆って形成さ
れたことを特徴とする有機ELアレイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21223796A JPH1055890A (ja) | 1996-08-12 | 1996-08-12 | 有機elアレイ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21223796A JPH1055890A (ja) | 1996-08-12 | 1996-08-12 | 有機elアレイ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1055890A true JPH1055890A (ja) | 1998-02-24 |
Family
ID=16619245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21223796A Pending JPH1055890A (ja) | 1996-08-12 | 1996-08-12 | 有機elアレイ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1055890A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001326068A (ja) * | 2000-03-06 | 2001-11-22 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 発光装置 |
US6825867B2 (en) | 2001-07-09 | 2004-11-30 | Seiko Epson Corporation | Organic electroluminescent array exposure head, method of fabricating the same, and image forming apparatus using the same |
JP2006167985A (ja) * | 2004-12-13 | 2006-06-29 | Samsung Yokohama Research Institute Co Ltd | 光記録ヘッドおよび画像形成装置 |
US7081912B2 (en) | 2002-03-11 | 2006-07-25 | Seiko Epson Corporation | Optical writing head such as organic EL array exposure head, method of manufacturing the same, and image forming apparatus using the same |
US7119826B2 (en) | 2002-12-16 | 2006-10-10 | Seiko Epson Corporation | Oranic EL array exposure head, imaging system incorporating the same, and array-form exposure head fabrication process |
JP2007087695A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Seiko Epson Corp | 発光装置及びその製造方法、並びに、光書き込みヘッド、電気光学装置、及び画像形成装置 |
US7420582B2 (en) | 2005-03-22 | 2008-09-02 | Seiko Epson Corporation | Light source device, method of manufacturing light source device, and line head module |
US9250559B2 (en) | 2013-07-10 | 2016-02-02 | Canon Kabushiki Kaisha | Printing apparatus |
-
1996
- 1996-08-12 JP JP21223796A patent/JPH1055890A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001326068A (ja) * | 2000-03-06 | 2001-11-22 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 発光装置 |
US6825867B2 (en) | 2001-07-09 | 2004-11-30 | Seiko Epson Corporation | Organic electroluminescent array exposure head, method of fabricating the same, and image forming apparatus using the same |
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US7119826B2 (en) | 2002-12-16 | 2006-10-10 | Seiko Epson Corporation | Oranic EL array exposure head, imaging system incorporating the same, and array-form exposure head fabrication process |
JP2006167985A (ja) * | 2004-12-13 | 2006-06-29 | Samsung Yokohama Research Institute Co Ltd | 光記録ヘッドおよび画像形成装置 |
US7420582B2 (en) | 2005-03-22 | 2008-09-02 | Seiko Epson Corporation | Light source device, method of manufacturing light source device, and line head module |
JP2007087695A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Seiko Epson Corp | 発光装置及びその製造方法、並びに、光書き込みヘッド、電気光学装置、及び画像形成装置 |
US9250559B2 (en) | 2013-07-10 | 2016-02-02 | Canon Kabushiki Kaisha | Printing apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040323 |