JPH1054697A - エネルギー物質加工構造体 - Google Patents

エネルギー物質加工構造体

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JPH1054697A
JPH1054697A JP8214571A JP21457196A JPH1054697A JP H1054697 A JPH1054697 A JP H1054697A JP 8214571 A JP8214571 A JP 8214571A JP 21457196 A JP21457196 A JP 21457196A JP H1054697 A JPH1054697 A JP H1054697A
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explosive
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gas generating
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Tadao Yoshida
忠雄 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インフレータガス発生剤、発射薬、破砕剤、
発熱剤、爆薬等は、その燃焼温度を下げ、その強い爆発
力、爆風等の害をできるだけ少なくし、同時に、その強
い爆発力、爆風等を抑制するが、本来の目的は効果的に
果たされるエネルギー物質加工構造体を提供することを
目的とする。 【解決手段】高吸水性高分子に水を十分に吸収させた高
含水高分子物質を介在させて、インフレータガス発生
剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬から選択される少な
くとも1種のエネルギー物質を、充填容器、破砕孔又は
発破孔中に充填した、例えば該エネルギー物質が、周囲
に高含水高分子物質中を介在させ、或いは、エネルギー
物質の充填物の中心付近に該高含水高分子物質を介在さ
せた構造、或いは、エネルギー物質の充填物と該充填容
器の間に該高含水高分子物質を介在させた構造を有する
エネルギー物質加工構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、爆発物の燃焼温
度、燃焼速度を抑制したエネルギー物質加工構造体に関
する。本発明のエネルギー物質加工構造体は、高含水高
分子を介在させて、エネルギー物質を、特殊な構造で充
填容器に充填しものである、即ち、エネルギー物質の燃
焼時のガス発生量を高め、同時に、それにより、爆薬近
傍の岩石の損傷を抑制するように爆発力、爆風を弱める
ことができた構造体である。
【0002】
【従来の技術】エアバッグ等の用途のガス発生剤及び砲
弾等の用途の発射薬においては燃焼温度の低いことが求
められている。エアバッグにおいては、燃焼温度を下げ
ることにより、COやNOX等の毒性ガスの生成が少な
くなり、浮游粒子状物質の生成が少なくなり、放出され
るガス温度が低くなり、バッグ及び人体に損傷を与えな
い構造が望まれている。一方、砲弾等の発射薬の燃焼温
度が下がると、砲孔内の腐食が抑制され、砲身の寿命が
延びることは知られている。
【0003】岩石発破や都市構造物発破解体に用いられ
る破砕剤の分野では、幅広い破砕剤が用いられている。
即ち、トンネル発破に用いられる高爆速で後ガスのよい
(COやNOxの少ない)ダイナマイトや含水爆薬、中
爆速でバルクで扱うことができ低価額の硝安油剤爆薬、
発破後の岩石の最終壁面を平滑に残す制御発破用爆薬、
都市構造物発破解体に用いられる爆発音が小さく飛散物
の少ない都市発破用火薬、例えばコンクリート破砕薬、
爆発ではなく静的な膨張力を利用して岩石や構造物の破
砕を行う静的破砕剤などが知られている。急速な都市化
の中で飛石等を出さない破砕、騒音・振動の少ない破砕
が望まれている。一方、破砕後の最終壁面がきれいな破
砕が望まれている。
【0004】インフレータガス発生剤、発射薬、破砕
剤、発熱剤、爆薬等は、その爆発力、爆風等の強い瞬発
力が強すぎると、種々の問題が生じるので、それを調節
あるいは抑制する方法が、種々提案されている。また、
一般的に、爆発類での安全性の面でも更なる改良が要望
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インフレー
タガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬等のエネ
ルギー物質の燃焼温度又は爆発温度を下げ、一方ではガ
ス発生量を増すことにより、性能を向上させると共に爆
発力等で生じる害、問題を無くし、あるいは、抑制する
方法或いは製品を提供することを目的とする。即ち、イ
ンフレータガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬
等よりなるエネルギー物質加工構造体において、その高
燃焼温度、飛散物、爆発騒音等を抑制するが、本来の目
的は効果的に果たされるエネルギー物質加工構造体を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、高吸水性高分子物
質に水を十分に吸収させた高含水高分子物質を介在させ
て、インフレータガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱
剤、爆薬から選択される少なくとも1種のエネルギー物
質を、充填容器中又は発破孔中に充填したことを特徴と
するエネルギー物質加工構造体を提供する。
【0007】そして、インフレータガス発生剤、発射
薬、破砕剤、発熱剤、爆薬から選ばれる少なくとも1種
のエネルギー物質を粒子状にして、高含水高分子物質中
に散在させると、エネルギー物質の燃焼又は爆発と共
に、含水高分子物質中の水が蒸発するので、外にその爆
発力、爆風が出ることは抑制される。また、インフレー
タガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬のまわり
に該高含水高分子物質を介在させると、燃焼又は爆発の
エネルギーが高含水高分子物質中の水の蒸発に使われる
ので、燃焼又は爆発の温度を下げ、単位エネルギー物質
当りのガス発生量を増し、爆薬の爆ごうで発生する衝撃
波を和らげる。
【0008】エネルギー物質の充填物の周囲又は中間付
近に該高含水高分子物質を介在させ、爆発或いは急速又
は緩慢燃焼のときに、該高含水高分子物質が効率的に蒸
発し、燃焼温度を下げ、衝撃波を和らげ、ガス圧力を発
生せしめることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のエネルギー物質加工構造
体は、インフレータガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱
剤、爆薬から選ばれる少なくとも1種のエネルギー物質
を利用し、充填容器中に充填し、爆発又は燃焼させて、
その爆発力、膨張力を利用して、自動車の衝突安全のた
めのエアバック用のガス発生剤として、或いは、銃、砲
等の弾丸、砲弾を発射するための発射薬、岩石や構造物
等を破砕するための破砕剤、トンネルの周壁や切取発破
の最終壁面の損傷をできるだけ小さくし、平滑な面を残
すための制御発破のための爆薬に用いられる。これらの
エネルギー物質を、充填容器中に充填方法として、高含
水高分子物質を介在させることを特徴とするものであ
る。
【0010】ここで、“高含水高分子物質”とは、高吸
水性高分子物質に水を十分に吸収させた高含水高分子物
質をいう。高吸水性高分子物質としては、通常、現在市
販の高吸水性高分子物質を使用できる。例としては、可
溶性でんぷん及び高吸水性樹脂を挙げることができる。
高吸水性樹脂としては、例えば、スミカゲルS−50
(住友化学製)、その他、下記に挙げる市販品を用いる
ことができる。そして、高含水高分子は、高吸水性樹脂
と水を混合することにより、作ることができる。加熱処
理や添加剤の添加などにより物性を調整することができ
る。高含水高分子の水の含有量には、特に制限はない
が、使用目的により、適切な可塑性と適切な流動性と非
浸透性などの性質をもった状態で使用される。
【0011】本発明によると、更に、エネルギー物質の
充填物、エネルギー物質加工構造体の保持安定性が顕著
に向上できることが期待できる。ここで、“エネルギー
物質”とは、それ自身で、“燃焼”や“化学的爆発”現
象を起こす物質、薬剤を言い、ここでは、前記のよう
に、インフレータガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱
剤、爆薬を表す用語である。即ち、“爆発”とは、急激
な圧力の発生又は開放により、爆発音を伴ってガスが膨
張する現象をいう。爆発には、例えば、ゴム風船の爆
発、ボイラーの爆発等のように物理的爆発と、プロパン
ガスと空気の混合物にスパークで点火したときの爆発の
ように、化学変化、化学反応に基づく爆発即ち、化学的
爆発がある。この“燃焼”とは、熱と光を伴う化学反応
を言い、広義には、化学的爆発も含まれるが、普通は爆
発的でない現象を言い、それ自体で強い発熱をして燃焼
する物質も“エネルギー物質”という。テルミット剤の
ような発熱剤が“燃焼”するエネルギー物質の例であ
る。また、“化学的爆発”現象を起こす薬剤を、“爆発
物”或いは“エネルギー物質”と称し、外的刺激により
爆発反応を起こし得る単一物質又はその混合物のことで
ある。本発明では、インフレータガス発生剤、発射薬、
破砕剤、発熱剤、爆薬の5種のエネルギー物質に適用さ
れる。
【0012】“ガス発生剤”は、自動車用等のエアバッ
グ用インフレータガスを発生させるもので、金属アジ化
物、硝酸塩、過塩素酸塩、金属酸化物、硫化物などの種
々の物質が使われているが、現在、主にアジ化ナトリウ
ムを基剤としたアジ化系が多く用いられ、それに、酸化
剤、燃焼触媒等を添加したものである。然し乍ら、その
原料であるアジ化ナトリウムは毒性があり、燃焼時に、
有毒なナトリウム・ミストを発生するという問題を有す
る。
【0013】有毒なアジ化ナトリウムを使用しない非ア
ジ化系ガス発生剤の開発が行われつつある。適切な燃焼
速度を持ち、燃焼温度が低く、ガス発生剤単位質量当り
のガス発生量が多く、固体生成物が少なく、熱安定性が
良く、取扱い時の危険性のない非アジ化系ガス発生剤が
求められている。このようなガス発生剤に、本発明が適
用される。
【0014】“発射薬”は、銃砲の発射薬として用いら
れているが、一般的に無煙火薬、特にダブルベース無煙
火薬は高性能で燃焼温度が高く、砲孔内を腐食し易いと
いう問題がある。この問題を解決するために、ダブルベ
ース無煙火薬成分に、第3成分としてニトログアニジン
を加え、燃焼温度を下げた組成物がトリプルベース無煙
火薬として用いられている。一方、花火の打ち上げ用の
発射薬として、黒色小粒薬があるが、燃焼温度は、無煙
火薬に比べ低いが、それでも花火の打ち上げ筒の保護の
ためには燃焼温度はより低いことが望ましい。即ち、
“発射薬”は、性能を減じることなく、燃焼温度を下げ
ることが望まれている。本発明により、“発射薬”の燃
焼温度を下げ、ガス圧、推進力等の性能をほとんど変わ
ることなく、或いは、高めることができる。
【0015】“破砕剤”は、岩石や構造物を破砕するた
めに用いられるが、爆薬、火薬、非火薬破砕剤がある。
法律上、コンクリート破砕器は、火工品であるが、爆発
的燃焼により生じるガス圧で、岩石やコンクリート構造
物を破砕するものである。
【0016】また、“発熱剤”とは、テルミット剤等
の、金属と金属酸化物との混合物で法律上、火薬類に属
さず、高温で非爆発的にガスを発生せずに燃焼し、多量
の熱を発生する薬剤を言う。即ち、テルミット剤等の
“発熱剤”に、高含水高分子を介在して、用いることに
より、テルミット剤の発熱性と水蒸気のガス膨張力を利
用して、騒音、振動及び飛び石の少ない環境に優しい破
砕を行なうことができる。ここで、破砕剤から生じた水
蒸気は空気中に出ると急速に温度が下がり、凝縮して爆
風の発生を少なくする。“発熱剤”とは、それ自身で、
高熱を発して非爆発的に燃焼するガス発生量の少ない物
質を言う。
【0017】“爆薬”とは、一般的には、破壊的爆発の
用途に供されるものであり、火薬類取締法及び同施行規
則で定めるものであるが、本発明により供せられるもの
は、爆薬に高含水高分子物質を介在させて用いる制御発
破用爆薬であり、それは、トンネルの周壁や切取発破の
最終壁面の損傷をできるだけ少なくし、平滑な面を残す
ための制御発破用爆薬である。現在実用されている制御
発破法は、プレスプリセッテイング法とスムースプラス
チック法がある。各々、専用の爆薬が使用されている。
一方、普通の爆薬を間隔をあけて、導爆線で連結し、こ
れを発破孔に装填して制御発破を行なうデッキチャージ
法も知られている。即ち、ダイナマイト、含水爆薬等の
爆薬は、通常の使用方法では、爆ごうによって発生する
衝撃波によって爆薬近傍の岩盤が損傷を受けてしまう。
従って、“爆薬”についても、用途によっては、爆発
力、破砕力の制御が必要である。
【0018】本発明のエネルギー物質加工構造体の用い
られる高含水高分子物質を作成するものとしては、現在
知られている高吸水性高分子物質を使用できる。この高
吸水性高分子物質は、自重の数十倍から千倍もの水を吸
収し、しかも一旦水を吸収して膨張したヒドロゲルは、
多少の圧力をかけても離水しない、優れた保水性を有す
るものである。具体例としては、高吸水性でんぷん、高
吸水性樹脂、例えば、スミカゲル(特に、S−50:住
友化学製)、アラソープ(荒川化学工業製)、ワンダー
ゲル(花王製)、サンウェット(三洋化成工業製)、K
Iゲル(クラレイソブレン製)、ランシール(日本エク
スラン工業製)、GP(日本合成化学工業製)、アクア
リック(日本触媒化学工業製)等がある。また、外国製
では、D.W.A.L.(ダウケミカル製)、アクアロ
ン(ハーキュリ製)、アクセル(エンカ製)等がある。
【0019】例えば、自動車用ガス発生剤を充填すると
きに本発明により高含水高分子物質を介在するには、高
含水高分子物質をガス発生剤容器(キャニスター)即
ち、充填容器の底に置き、その上にガス発生剤を置く構
造にする。又はキャニスターの外周に高含水高分子物質
を置く。このように高含水高分子物質を配置することに
より、ガス発生剤の燃焼で発生した高温ガスが、高含水
高分子物質に吹き付られ、高含水高分子物質中の水を蒸
発させ、発生ガス量を増し、発生ガス温度を下げること
ができる。
【0020】次に、発射薬に、本発明により、高含水高
分子物質を介在させ、充填する場合には、発射薬の中心
部或いは、外周又は端面に(即ち、充填容器と隙間
に)、高含水高分子物質を置く。このような構成によ
り、発射薬の燃焼により発生する高温ガスで、高含水高
分子物質中の水を蒸発させ、燃焼生成ガス温度を下げる
ことができる。
【0021】また、破砕剤に、本発明により、高含水高
分子物質を介在させる場合には、破砕剤の中心部或い
は、破砕孔との隙間の外周又は断面に、高含水高分子物
質を置く。そして、込め物を完全にして密閉度を高め
て、破砕剤に点火して燃焼させるものである。破砕剤の
高温燃焼ガスにより、高含水高分子物質中の水が蒸発
し、内部の圧力を高め、岩石又は構造物に亀裂を作るこ
とができる。岩石から噴き出した水蒸気は外に出ると急
冷され、凝縮し、爆風効果を小さくすることができる。
【0022】また、発熱剤に、本発明により、高含水高
分子物質を介在させる場合には、発熱剤の外周又は断面
に、高含水高分子物質を置くと、発生する熱が直接高含
水高分子物質に当り、急速に水蒸気を発生させることが
でき、温度上昇を弱めると同時に、水蒸気の圧力により
容易に破砕力を発生させることができる。
【0023】また、爆薬の充填に、本発明により、高含
水高分子物質を介在させる方法の1具体例として、爆薬
と爆薬との間に適当な長さの高含水高分子物質を、円筒
形にして、挟む構成がある。この高含水高分子物質は、
爆薬同志を殉爆させるが、その後に爆薬の爆発熱で蒸発
し、ガスとして岩石の亀裂を入れるのに助けとなる。ま
た、爆薬の衝撃波エネルギーは、この分弱くなり、近傍
の岩石を傷付けることが少なくなる。
【0024】また、爆発騒音及び飛散物の抑制に、爆薬
又は爆発性物品と高含水高分子物質を組成物にする、即
ち、爆薬又は爆発性物品を高含水高分子物質中に入れ
て、起爆する。爆発音と飛散物を抑制することができ
る。例えば、周りに、砂袋を積み上げて囲いを作り、そ
の隙間に砂を詰め、囲いの中に高含水高分子物質を流し
込んで、その中で爆発を行なわせることができる。
【0025】以上のように、本発明によると、エネルギ
ー物質加工構造体での、爆発性粉体及び粒状物質を、適
度の粘度と持つ高含水高分子物質中に、分散させる。す
ると、爆発性がなくなる。そのための爆発性物質と高含
水高分子物質の割合は、この処理をする物質の感度も考
慮して決められる。
【0026】本発明のエネルギー物質加工構造体におい
ては、上記の2つの主成分;エネルギー物質と高含水高
分子物質を用いるもので、両者をどのように組合せるか
が問題となる。特に、ガス発生剤については、ガス発生
剤の粒子の周囲に高含水高分子物質を介在させて、放出
ガス温度を下げたガス発生剤構造体を作成できる。ま
た、本発明のエネルギー物質加工構造体では、高含水高
分子物質の他に、燃焼触媒、燃焼調整剤、スラグ形成剤
等を添加することができる。
【0027】高含水高分子物質は、粒子状、塊状、シー
ト状、ゲル状、スラリー状、ペースト状にして使用す
る。また、エネルギー物質の中央部又は周囲に充填す
る。中央、周り、或いは両側のエネルギー物質の爆発に
より、高含水高分子物質が高温にさらされ、高含水高分
子物質中の水を水蒸気に急速に変える。
【0028】例えば、高含水高分子物質の粒子を、エネ
ルギー物質の周囲に介在分散させる場合、その高含水高
分子の含水量及び粒度は特に限定されず、適切に選択す
ることができる。また、本発明によると、高含水高分子
物質は、1種を単独に使用でき、又は2種以上を併用す
ることができる。高含水高分子物質は、市販品をそのま
ま使用することができる。
【0029】本発明のエネルギー物質加工構造体に高含
水高分子物質を配合する場合、その配合量は特に制限さ
れないが、エネルギー物質加工構造体の配合比率、エネ
ルギー物質と高含水高分子との割合は、広い範囲から適
宜選択できる。通常エネルギー物質と高含水高分子物質
との合計量100重量部に対して、1〜95重量部程
度、好ましくは10〜90重量部程度とすればよい。但
し、爆発騒音及び飛散物の防止のためには、95重量部
程度以上が必要である。
【0030】本発明のエネルギー物質加工構造体は、適
当な形状の充填容器にすることができる。例えば、本発
明のエネルギー物質加工構造体では、高含水高分子物質
は、そのまま、又は加熱処理あるいはバインダーを適量
混合して、円筒形又はドーナツ状充填容器中に、充填す
る。バインダーとしては、かかる目的に常用されている
もの、たとえばアクアガム等を使用すればよい。
【0031】本発明のエネルギー物質加工構造体は、ポ
リエチレン等の合成樹脂製又は金属製の容器を用いる。
また、発破孔又は破砕孔に充填する使用目的では、発破
孔又は破砕孔に入れるに適する容器を用いる。
【0032】次に、本発明のエネルギー物質加工構造体
の構造を具体的に実施例により説明するが、本発明はそ
れらによって限定されるものではない。
【0033】以下、実施例、比較例及び試験例を挙げ、
説明するが、用いた原料の供給源は、特に断わらない限
り、次の通りである。
【0034】
【実施例1】 [インフレータガス発生剤]先ず、スミカゲルS−50
(住友化学製高吸水性樹脂)5gを500mlの水の中
に入れ、かきまぜると、流動性が小さく、砂中への浸透
性のない可塑性の高含水高分子が得られる。次に、TA
GN(トリアミノグアニジン・ナイトレート)26.5
重量部、ウラゾール20.5重量部、硝酸ストロンチウ
ム55重量部を混合し、これに酢酸セルロース2重量部
を、アセトン20重量部に溶解して、溶液として加えて
混合した。 この膠状物質を、1mm目の篩を通して、
顆粒にした。この顆粒を、80℃で1時間乾燥した。こ
れをガス発生剤として用いた。
【0035】得られたガス発生剤(5)7gを、図1に
示すような燃焼チャンバー10中で燃焼させて、得られ
る圧力を、圧力センサー1で測定した。即ち、圧力セン
サー1を設けた、その中に、高含水高分子物質4を周辺
部に、ガス発生剤5を中央部に入れ、ニクロム線2に通
電し、加熱し、伝火薬8に点火して、高含水高分子物質
4を介在させたガス発生剤を燃焼させる。
【0036】チャンバー10には、オリフィス7(銅
製)とアルミ破裂板6を設けてあり、爆発の圧力を逃が
す。ガス発生剤5の周囲に介在させた高含水高分子物質
4は、燃焼温度を低下させ、ガス発生量を増加させる効
果を有する。また、脚線3は、ニクロム線2に通電する
ためのものである。
【0037】また、同じ条件で、ガス発生剤のみ7gを
燃焼チャンバー10に入れて燃焼させた。同様に、燃焼
圧力は、圧力センサー1で測定した。燃焼圧力は、圧力
センサー、増幅器を通してオシログラフ上に記録した。
得られた結果を、表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】以上の実験から、本発明によるガス発生剤
組成物(即ち、エネルギー物質加工構造体)は、高含水
高分子物質の含有により、最高圧力が増加することが分
かる。一方、上記の実験では、高含水高分子物質中の水
の一部が蒸発し、残部は残留した。実験からは、蒸発し
た水の内どれだけが燃焼反応に関与したかを知ることは
困難である。ここで、関与した水の割合を仮定して、N
ASAの平衡計量プログラムCET89(B.McBride、“CET89
-Chemical Equilibrium with Transport Properties、
1989”、COSMIC Program# LEW-15113、1989)を用いて断
熱火炎温度及び燃焼ガスの平衡濃度を求めた。その結果
を、表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】ガス発生剤の燃焼に、水が関与することに
より、断熱火炎温度が下がり、CO、NO及びNO2
平衡濃度が下がることが分かる。
【0042】
【実施例2】 [発射薬と破砕剤]黒色小粒火薬20gを、図2に示す
ようにポリエチレン袋に入れ、これを内径30.4m
m、外径34mm、高さ50mmの底付き、ネジ蓋付き
の鋼管中に入れる。黒色火薬の上には、点火用ニクロム
線(直径0.5mm、長さ100mm)を埋め込み、脚
線を接続する。これを試料1とする。上記鋼管の底に、
高含水高分子物質5gを入れた上と同様のものを試料2
とする。これらの鋼管を10mmの深さの砂中に埋め
て、ニクロム線に10アンペアの電流を通じて点火した
(図2)。このときの爆発的燃焼で生成した漏斗孔の長
径、短径及び深さを測定し、漏斗孔容積を算出した。そ
の結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】黒色小粒薬の爆発威力は、高含水高分子を
併用することにより減少する。爆発燃焼の激しさが緩和
されることが分かる。黒色小粒火薬と水の混合物の定容
断熱火災温度と最大燃焼圧力を前記のNASAプログラ
ムCET89を用いて、計算した。その結果を表4に示
す。
【0045】
【表4】
【0046】使用した黒色小粒火薬は、KNO3/C/
S=7.7/1.0/1.3(質量比)の組成である。黒色
小粒火薬を発射薬として使用するときは、高含水高分子
物質が介在するときは、燃焼温度が下がり、圧力が増加
することが分かる。黒色小粒火薬を破砕剤として使用す
るときは、破砕圧力が増し、一方で外部に対する爆発の
激しさが減少することが分かる。
【0047】
【実施例3】 [発熱剤]Al/Fe34テルミット15gを、実施例
2のポリエチレン袋に入れ、この上部に珪素鉄/鉛丹着
火剤2gを載せる。着火剤中に直径0.5mm、長さ1
00mmのニクロム線を埋め込む。このポリエチレン袋
を実施例2で用いたネジ蓋付き鋼管の中に入れる。これ
を試料1とする。試料1の底に高含水高分子物質5gを
置いたものを試料2とする。ニクロム線に結線し、ニク
ロム線2に10アンペアの電流を流し、テルミット剤を
燃焼させた。テルミット剤単独の燃焼では、ほとんどガ
スの噴出はなかった。テルミット剤が高含水高分子物質
を介在させたエネルギー物質構造体では、水蒸気が噴出
した。テルミット剤は高含水高分子物質を介在させるこ
とによって、高圧の水蒸気を発生させることができる。
【0048】以上のようなテルミット剤の燃焼方式2つ
において、即ち、試料1と試料2の両方において、砂内
に何ら円錐形の孔が形成されなかった。即ち、爆発的燃
焼は起こらなかった。
【0049】テルミット剤を、高含水高分子物質を介在
させたエネルギー物質構造体として、燃焼させた場合の
定容断熱火炎温度と最大圧力を前記のNASAプログラ
ムCET89により計算した結果を表5に示す。但し、
水を加えないテルミットのNASAプログラムCET89による
計算では答えが得られないので別の計算値(S.H.Fischer
and M.C.Grnbelich、“A Survey of Combustible Meta
ls, Thermites, and Intermetallics for Pyrotechnic
Applications”、the 32nd AIAA/ASME/SAE/ASEE Joint
Propulsion Conference、Lake Buena Vista、FL、USA、
July1-3、1996)を用いた。
【0050】
【表5】
【0051】テルミット剤は、高含水高分子を介在させ
ることにより、その中の水を気化膨張して、高い圧力を
発生できたことが分かる。
【0052】
【実施例4】 [制御発破用爆薬]市販のカヤマイト(日本化薬製エマ
ルジョン爆薬:直径30mm、質量100g)1本を、
VP30塩ビ管に入れ、一端に6号雷管を装着した。こ
れを試料1とする。同じエマルジョン爆薬を半分に切
り、その間に直径30mm、長さ20mmの紙筒につめ
た高含水高分子物質を挾んだ。このサンドイッチ型爆薬
をVP30塩ビ管につめ、一端に6号雷管を装着したも
のを試料2とする。これらの試料を横向きに深さ20c
mの砂中に埋め、起爆した。起爆により生成した漏斗孔
の大きさを表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】エマルジョン爆薬に高含水高分子物質を介
在して爆発させても全体としての爆発威力は変化しなか
った。一方、爆薬単位長当りの爆発エネルギーは高含水
高分子物質の介在により減少し、爆薬近傍の岩盤の損傷
の低減が期待される。
【0055】0.6gの爆薬を含む6号電気雷管を起爆
し、20m離れた地点で爆発騒音レベルを測定した。一
方、6号雷管を深さ20cm、直径40cmの円錐形の
砂の穴の底に置き、その上を高含水高分子物質で覆っ
た。高含水高分子物質は、砂中に浸透することはなかっ
た。この爆薬を起爆して、20mm離れたところで爆発
騒音レベルを測定した。その結果を表7に示す。
【0056】
【表7】
【0057】以上の実験結果から、本発明による、高含
水高分子物質を介在させた爆薬は、爆発威力には、差異
がないが、単位長当りの爆発エネルギーは減少し、騒音
レベルは下がり、また、爆発による飛散物の飛散は、狭
い範囲になる。
【0058】
【発明の効果】本発明のエネルギー物質加工構造体は、
次のごとき技術的効果がある。即ち、第1に、インフレ
ータガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬等は、
その燃焼温度を下げ、その強い爆発力、爆風等の害をで
きるだけ、少なくし、同時に、その効果を減退しないエ
ネルギー物質充填構造体を提供する。第2に、インフレ
ータガス発生剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬等より
なるエネルギー物質加工構造体において、その燃焼温度
を下げ、その強い爆発力、爆風等を抑制するが、本来の
目的は効果的に果たされた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエネルギー物質加工構造体の試験装置
の構造を示す断面図である。
【図2】本発明のエネルギー物質加工構造体の試験装置
の他の例の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 圧力センサー 2 ニクロム線 3 脚線 4 高含水高分子物質 5 ガス発生剤 6 アルミ破裂板 7 オリフィス(銅板) 8 点火薬 10 ネジ蓋 11 鋼管 12 黒色小粒火薬 13 ポリエチレン袋 14 高含水高分子物質

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高吸水性高分子に水を十分に吸収させた
    高含水高分子物質を介在させて、インフレータガス発生
    剤、発射薬、破砕剤、発熱剤、爆薬から選択される少な
    くとも1種のエネルギー物質を、充填容器中に充填した
    ことを特徴とするエネルギー物質加工構造体。
  2. 【請求項2】インフレータガス発生剤、発射薬、破砕
    剤、発熱剤、爆薬から選ばれる少なくとも1種のエネル
    ギー物質を粒子状にして、高含水高分子物質中に散在さ
    せたことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー物質
    加工構造体。
  3. 【請求項3】インフレータガス発生剤、発射薬、破砕
    剤、発熱剤、爆薬から選ばれる少なくとも1種のエネル
    ギー物質の充填物の中心部、端又は周囲に該高含水高分
    子物質を介在させ、爆発或いは急速燃焼、或いは緩慢燃
    焼のときに、該高含水高分子物質が効率的に水蒸気圧力
    を発生せしめる構造を有することを特徴とする請求項1
    に記載のエネルギー物質加工構造体。
  4. 【請求項4】爆薬を用いた岩石等の発破において、爆薬
    の間又は周囲に該高含水高分子物質を介在させ、爆薬が
    爆ごうするとき、周囲の岩盤を損傷しないようにしたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のエネルギー物質加工構
    造体。
JP8214571A 1996-08-14 1996-08-14 エネルギー物質加工構造体 Pending JPH1054697A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022541598A (ja) * 2019-07-22 2022-09-26 コンセルヴァトワール タイチェ ベイーヤ ビー.ブイ. 設備を清掃する為のデバイス及び設備を清掃する方法

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JP2022541598A (ja) * 2019-07-22 2022-09-26 コンセルヴァトワール タイチェ ベイーヤ ビー.ブイ. 設備を清掃する為のデバイス及び設備を清掃する方法

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