JPH1053600A - (1→3)β−D−グルカン又は/及びペプチドグリカンの溶出用液 - Google Patents

(1→3)β−D−グルカン又は/及びペプチドグリカンの溶出用液

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JPH1053600A
JPH1053600A JP14589097A JP14589097A JPH1053600A JP H1053600 A JPH1053600 A JP H1053600A JP 14589097 A JP14589097 A JP 14589097A JP 14589097 A JP14589097 A JP 14589097A JP H1053600 A JPH1053600 A JP H1053600A
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glucan
peptidoglycan
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albumin
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JP14589097A
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Masakazu Tsuchiya
正和 土谷
Nobuo Asahi
信雄 朝日
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Wako Pure Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体の表面に付着又は吸着された、水や生理
食塩水では溶出されないβ−グルカンやペプチドグリカ
ンを、効率良く溶出し得る溶液等の提供。 【手段】 アルブミン及び/又はグロブリンを含んで成
る、(1→3)β−D−グルカン又は/及びペプチドグ
リカン溶出用液及びこれを用いる溶出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、固体の表面に付着又は
吸着された(1→3)β−D−グルカン又は/及びペプ
チドグリカンの溶出用液等に関する。
【0002】
【発明の背景】(1→3)β−D−グルカン(以下、β
−グルカンと略記する。)、ペプチドグリカン等は各種
微生物の細胞壁構成成分として知られており、例えば医
療用器具や細胞培養用器具中のこれらの有無を調べるこ
とにより、これら器具がどのような微生物種(例えば真
菌、グラム陰性菌、グラム陽性菌等)により汚染されて
いるかをある程度確定し得ることは知られている。
【0003】また、β−グルカンには免疫賦活作用があ
り、ペプチドグリカンには体液性免疫応答の増強効果、
腫瘍壊死因子(TNF)誘導物質の効果を高める作用、
細菌内毒素等の生物への影響を高める作用等があること
も知られている。そのため、医療用器具や細胞培養用器
具に付着又は吸着しているβ−グルカンやペプチドグリ
カンの量を管理することは、今後益々重要となると考え
られている。
【0004】しかしながら、医療用器具や細胞培養用器
具に付着又は吸着したβ−グルカンやペプチドグリカン
は、従来から用いられている蒸留水や生理食塩水等では
充分に溶出することができないため、その量を精度良く
測定することは難しいという問題点があり、これらの効
果的な溶出方法の開発が望まれている現状にある。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明は、上記のごとき状況
に鑑みなされたもので、固体の表面に付着又は吸着され
た、水や生理食塩水では溶出されないβ−グルカンやペ
プチドグリカンを、効率良く溶出し得る溶液等の提供を
その課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルブミン及
び/又はグロブリンを含んで成る、β−グルカン又は/
及びペプチドグリカン溶出用液の発明である。
【0007】また、本発明は、アルブミン及び/又はグ
ロブリンを含む溶液を用いて溶出することを特徴とす
る、β−グルカン又は/及びペプチドグリカンの溶出方
法の発明である。
【0008】更に、本発明は、(1→3)β−D−グル
カン又は/及びペプチドグリカンで汚染された容器又は
器具をアルブミン及び/又はグロブリンを含む溶液を用
いて処理することを特徴とする、容器又は器具の洗浄方
法の発明である。
【0009】更にまた、本発明は、アルブミン及び/又
はグロブリンを含んで成る、β−グルカン又は/及びペ
プチドグリカンで汚染された容器又は器具の洗浄剤の発
明である。
【0010】即ち、本発明者らは、固体の表面に付着又
は吸着されたβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン
を効率良く溶出する方法について鋭意研究の結果、通
常、水や生理食塩水では溶出されない、固体の表面に付
着又は吸着されたβ−グルカン又は/及びペプチドグリ
カンが、アルブミン及び/又はグロブリンを含む溶液、
特にアルブミンを含む溶液を用いると極めて効率良く溶
出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】本発明の溶出用液である、アルブミン及び
/又はグロブリンを含んで成る溶液としては、例えばア
ルブミン及び/又はグロブリンを含む、水溶液や各種緩
衝液の他に、アルブミン及びグロブリンを主たる蛋白成
分としている血漿や血清、或いはこれらを各種緩衝液等
で適宜希釈したもの等も挙げることができる。
【0012】本発明で用いられる血漿又は血清として
は、脊椎動物由来の血漿または血清であれば特に限定さ
れることなく挙げることができる。
【0013】本発明で用いられるアルブミン及び/又は
グロブリンとしてはこれらの血漿又は血清中の蛋白成分
を精製又は部分精製することにより得られたアルブミン
又は/及びグロブリンが代表的なものとして挙げられ
る。
【0014】本発明の溶出用液である、アルブミン及び
/又はグロブリンを含んで成る溶液(以下「アルブミン
溶液等」と略記する。)は必ずしもその為に特別に調製
されたものである必要はなく、例えば、日本赤十字社等
より市販されている新鮮液状血漿及び新鮮凍結人血漿、
或は、日本製薬(株)、ローラー社、アーマー社、カッタ
ー社、バクスター社、(株)ミドリ十字社及び化血研等よ
り市販されている加熱人血漿たん白製剤及び人血清アル
ブミン製剤、また、武田薬品工業(株)、大塚製薬(株)、
(株)ミドリ十字社、ヘキスト社、日本赤十字社及び富士
レビオ(株)等より市販されている人免疫グロブリン製
剤、更には、ウィタカー社、ハイクロン社、ギブコ社及
びベーリンガーマンハイム社等より市販されている仔牛
胎児血清等を用いて調製したもの等も本発明の溶出用液
の範疇に含まれる。
【0015】これら本発明に係るアルブミン溶液等の中
で最も好ましいのは人血清アルブミンを含む水溶液(以
下、HSA溶液と略記する。)である。
【0016】本発明の溶出用液を用いて、例えば医療用
器具、細胞培養用器具等の容器や器具に付着又は吸着さ
れたβ−グルカンやペプチドグリカンを溶出するには、
言い換えれば、本発明の溶出方法を実施するには、例え
ば以下の如く行えばよい。即ち、目的の容器や器具を、
本発明の溶出用液中に適当な方法で浸漬するか、容器等
の内部に本発明の溶出溶液を吸引する等しておき、通常
0〜100℃、好ましくは15〜100℃で、通常数秒〜12時
間程度、好ましくは数秒〜2時間静置しておくか若しく
は適当に攪拌を行うことによりこれら容器や器具に付着
又は吸着されたβ−グルカンやペプチドグリカンを溶出
することができる。
【0017】このようにして得られる溶出液中の、β−
グルカン又は/及びペプチドグリカン量を自体公知のβ
−グルカン又は/及びペプチドグリカンの測定法、例え
ば、カイコ等の昆虫体液から調製された試薬を用いる測
定方法等により測定すれば容器、器具等のβ−グルカン
又は/及びペプチドグリカンによる汚染の度合をより正
確に測定することができる。
【0018】本発明の溶出方法をかかる目的に応用する
場合には、当然のことながら、溶出に用いるアルブミン
溶液等は、測定に影響を与える量のβ−グルカン又は/
及びペプチドグリカンを含んでいてはならない。
【0019】そのためには、β−グルカン又は/及びペ
プチドグリカン含有量の少ないロットのアルブミン溶液
等を選択するか、或は、β−グルカン又は/及びペプチ
ドグリカンを含んだアルブミン溶液等を使用する場合
は、予めフィルター等を用いてβ−グルカン又は/及び
ペプチドグリカンを除去する必要がある。
【0020】この場合に使用可能なフィルターとして
は、例えばゼータポアメンブレン(キュノ(株)社商品
名)、ウルチポア(日本ポール社商品名)、ベイオダイ
ン(日本ポール社商品名)等のナイロン66製フィルタ
ー、例えばPTFE膜(日東電工(株)製)等のポリテ
トラフルオロエチレンフィルター等が挙げられる。ま
た、これらフィルターのポアサイズとしては特に限定さ
れないが、例えば0.2〜0.65μmのものが挙げられる。
【0021】本発明で使用される本発明の溶出用液中の
アルブミン又は/及びグロブリンの濃度としては、使用
するアルブミン又は/及びグロブリンの種類やロットの
違い、或は容器や器具等へのβ−グルカン又は/及びペ
プチドグリカンの付着や吸着の程度等によって異なり必
ずしも一定ではないが、通常、溶液中に蛋白濃度として
0.0001mg/ml以上、好ましくは0.0001〜6.00mg/ml程度、
より好ましくは0.02〜3.00mg/ml程度が挙げられる。よ
り具体的には、例えば人血清アルブミンを用いる場合に
は、通常、0.001mg/dl以上、好ましくは0.001〜6.00mg/
ml程度、より好ましくは0.02〜3.00mg/ml程度であり、
人血漿を用いる場合には、通常0.0001mg/ml以上、好ま
しくは0.0001〜1.0mg/ml程度、より好ましくは0.1〜0.5
mg/ml程度である。
【0022】本発明の溶出方法により得られた溶出液
を、そのβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン濃度
を測定すべく、例えばカイコ等の昆虫体液から調製され
た試薬を用いる測定方法に付した場合、通常は測定に何
ら支障を生じず、正確な測定値が得られるが、溶出に用
いた本発明の溶出用液中のアルブミン等の濃度が高すぎ
ると正確な値が得られなくなる場合もある。
【0023】即ち、本発明の溶出用液であるアルブミン
溶液等、即ち、人血清アルブミン(HSA)溶液、人血
漿溶液、人血清溶液、牛胎児血清溶液、牛血清アルブミ
ン(BSA)溶液、グロブリン溶液等は、何れも蛋白濃
度が高くなると、上記した如き方法による、溶出後のβ
−グルカン又は/及びペプチドグリカンの測定に於て、
反応阻害作用が生じ、実際の値よりも低い値が出る。従
って、容器や器具等の固体表面に付着又は吸着されたβ
−グルカン又は/及びペプチドグリカンの量を測定しよ
うとする場合等にはそのような高濃度のものは好ましく
ない。上述した如きβ−グルカン又は/及びペプチドグ
リカンの測定法による測定時に阻害を生じるアルブミン
等の濃度はその種類により著しく異なる。即ち、例えば
HSAの場合には蛋白濃度が0.1mg/ml程度で阻害が起る
が、人血漿の場合には蛋白濃度1mg/ml程度で阻害が起
る。尚、単に洗浄又は溶出のみに使用する場合には高濃
度のものでも一向に差支えない。
【0024】尚、アルブミン等による、β−グルカン又
は/及びペプチドグリカンの測定への阻害作用は、アル
ブミン等を予めオートクレーブ処理しておくことにより
ある程度回避し得る。この場合のオートクレーブの条件
としては、例えば通常用いられる温度(121℃程度)で1
5〜120分程度が挙げられる。このようなオートクレーブ
処理を行ったHSA溶液の場合には、阻害が起こる蛋白
濃度は1.0mg/ml程度(未処理の場合の約十倍濃度)とな
る。
【0025】本発明の溶出方法により得られた溶出液中
のβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン量を測定す
る場合に用いられる試薬としては、例えば以下のような
ものが挙げられる。即ち、先ず、β−グルカン又は/及
びペプチドグリカンを測定するための試薬としては、例
えば昆虫の体液成分から調製されたβ−グルカン又は/
及びペプチドグリカンと特異的に反応する試薬が挙げら
れる。
【0026】β−グルカンを測定するための試薬として
は、例えば昆虫の体液成分から調製されたβ−グルカン
と特異的に反応する試薬や、例えばリムルス属(Limulu
s),タキプレウス属(Tachypleus),或いはカルシノ
スコルピウス属(Carcinoscorpius)に属するカブトガ
ニの血球成分を含みβ−グルカンとは反応するがエンド
トキシンとは反応しない性質を有する試薬が挙げられ
る。尚、これら試薬は、目視にてβ−グルカンの存在を
確認できる試薬(例えば合成基質を用いる試薬等)でも
良い。これら試薬は市販されているものを適宜使用して
もよいし、また公知の方法により自製したものを使用し
てもよい。
【0027】ペプチドグリカンを測定するための試薬と
しては、例えば昆虫の体液成分から調製されたペプチド
グリカンに対して特異的な試薬等が挙げられ、市販され
ているものを適宜使用してもよいし、また公知の方法に
より自製したものを使用してもよい。
【0028】昆虫の体液成分から、上記した如きβ−グ
ルカン又は/及びペプチドグリカンを測定するための試
薬を調製する方法としては、例えば、β−グルカン測定
用試薬については特開昭63-141598号公報、ペプチドグ
リカン測定用試薬については特開昭63-141599号公報に
示されているような以下の方法が挙げられる。
【0029】即ち、体液の得られる昆虫としては、特に
制限はないが、なるべく大型のもので飼育方法の確立し
ているものが望ましく、例えば、タバコスズメガ,カイ
コガ等の鱗翅類、センチニクバエ,イエバエ等の双翅
類、トノサマバッタ,エンマコオロギ等の直翅類、セン
ノキカミキリ等の甲虫類等が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。体液としては体腔から得られる
ヘモリンパ(hemolymph)が最も得られやすくより一般
的である。体液を得る方法としては、例えば、昆虫を氷
上に置き動きを止めた後、トウキビ因子(サトウキビに
含まれるグルコース,アミノ酸などから成る高分子物
質)を不純物として含む蔗糖、またはトウキビ因子その
ものを含む生理食塩水を体腔に注射し、その後しばらく
放置して、体腔よりヘモリンパを集めるといった方法等
が挙げられる。ヘモリンパを遠心分離機にかけ、血球を
除いた後透析すれば血漿が得られ、この血漿中にはエン
ドトキシンとは反応しないがβ−グルカンと特異的に反
応して酵素活性を発現する物質(或は発現を誘引する物
質)と、ペプチドグリカンと特異的に反応して酵素活性
を発現する物質(或は発現を誘引する物質)とが共存し
ている。そのため、これはこのまま、β−グルカン又は
/及びペプチドグリカンを測定するための試薬として使
用することができる。
【0030】また、これから、β−グルカン測定用試薬
を得ようとする場合には、上記血漿中よりペプチドグリ
カンと反応して酵素活性を発現する(或は発現を誘引す
る)物質を除去すれば、これをβ−グルカンと特異的に
反応する試薬とすることができる。また、ペプチドグリ
カン測定用試薬を得ようとする場合には、上記血漿中よ
りβ−グルカンと反応して酵素活性を発現する(或は発
現を誘引する)物質を除去すれば、これをペプチドグリ
カンと特異的に反応する試薬とすることができる。上記
血漿中からペプチドグリカンと反応して酵素活性を発現
する(或は発現を誘引する)物質又はβ−グルカンと反
応して酵素活性を発現する(或は発現を誘引する)物質
を除去する方法としては、一般に生化学の分野で用いら
れている分離精製法がいずれも挙げられるが、ペプチド
グリカンと反応して酵素活性を発現する(或は発現を誘
引する)物質を除去する場合にはペプチドグリカンを結
合させた担体を、また、β−グルカンと反応して酵素活
性を発現する(或は発現を誘引する)物質を除去する場
合にはβ−グルカンを結合させた担体を用いるアフィニ
ティークロマトグラフィーにより極めて容易に且つ効率
よく行うことができる。
【0031】また、本発明の溶出方法により得られた溶
出液中のβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン量を
上記した如き昆虫体液由来の試薬を用いて測定する場合
の手法は、通常この分野で用いられる方法(例えば特開
昭63-141598号公報や特開昭63-141599号公報等に開示さ
れた方法)であれば特に限定されることなく使用可能で
ある。
【0032】通常良く用いられる手法としては、例え
ば、溶出液の適当量と上記した如き昆虫由来の試薬の適
当量とを混合して一定時間反応させた後、反応液の色調
の変化の程度を目視にて判定し、それに基づいて溶出液
中のβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン量を半定
量する目視判定法や、マイクロプレートリーダー[例え
ばモレキュラーデバイス社製のサーモマックス(THERMO
max)等]やエンドトキシン測定装置(例えば和光純薬
工業(株)製のトキシノメーターET-301等)を用いて、溶
出液の適当量と上記した如き昆虫由来の試薬の適当量と
を混合して反応を開始させ、その反応の結果生じる色
素量を吸光度変化としてとらえ、吸光度が予め設定した
閾値に達するための時間を活性化時間として求めるか、
その反応の結果生じる色素量を透過光量の変化として
とらえ、透過光量が予め設定した閾値に減少するまでの
時間をゲル化時間として求めるかし、当該活性化時間又
はゲル化時間を指標に溶出液中のβ−グルカン又は/及
びペプチドグリカン量を定量する方法等が挙げられる。
【0033】本発明の溶出用液は、固体の表面に付着又
は吸着されたβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン
を効果的に溶出するために用いられるものであり、その
構成要素の好ましい態様や具体例は上で述べたとおりで
ある。また、本発明の溶出液は、β−グルカン又は/及
びペプチドグリカンで汚染された容器や器具等の洗浄剤
にもなり得る。
【0034】また、必然的に本発明の溶出方法はβ−グ
ルカン又は/及びペプチドグリカンで汚染された容器や
器具等の洗浄方法にもなり得る。
【0035】本発明の洗浄方法の対象となる容器や器具
等としては、例えばディスポーザブル注射針、ディスポ
ーザブル注射筒、ディスポーザブル輸血セット及び輸液
セット、ディスポーザブル採血用器具、人工心肺用ディ
スポーザブルセット、医療用人工血管、人工心臓弁、心
臓ペースメーカー、透析型人工腎臓装置等の医療用具
や、β−グルカン又は/及びペプチドグリカン試験に使
用するディスポーザブル実験器具(滅菌済みピペット、
滅菌済み試験管、滅菌済みピペットチップ等)等が挙げ
られるがこれらに限定されるものではない。
【0036】以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定
されるものではない。
【0037】
【実施例】
実施例1 〔試薬〕 (1)ペプチドグリカン標準液 ミクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus)の乾
燥菌体1gを、シュレイファーらの方法(Schleifer,K.
H.,and Kandler,O.,Bacteriol.Rev.,36,407-477(197
2))に準じて処理し、トリプシン処理細胞壁(ペプチド
グリカン)95mgを得た。この20mgを注射用水[大塚製薬
(株)製、SLP試薬セット(和光純薬工業(株)製)に
よりβ−グルカン又は/及びペプチドグリカンが検出さ
れないことを確認済み]20mlに加え、超音波処理により
分散させたものをペプチドグリカン標準液とした。尚、
これを使用するにあたっては、必要に応じて注射用水
[大塚製薬(株)製、SLP試薬セット(和光純薬工業
(株)製)によりβ−グルカン又は/及びペプチドグリカ
ンが検出されないことを確認済み]で適宜希釈して用い
た。 (2)β−グルカン又は/及びペプチドグリカン測定用試
薬 SLP試薬セット(和光純薬工業(株)製)を使用した。 (3)HSA溶液(溶出用液) HSA25%溶液(カッター社製、注射用)を注射用水
[大塚製薬(株)製、SLP試薬セット(和光純薬工業
(株)製)によりβ−グルカン又は/及びペプチドグリカ
ンが検出されないことを確認済み]で2%まで希釈し、
121℃、20分間オートクレーブ処理した後、更に注射用
水で20倍に希釈したものをHSA溶液とした。尚、SL
P試薬セット(和光純薬工業(株)製)によりβ−グルカ
ン又は/及びペプチドグリカンが検出されないことを確
認した後に使用した。 (4)蒸留水 SLP試薬セット(和光純薬工業(株)製)によりβ−グ
ルカン又は/及びペプチドグリカンが検出されないこと
を確認した自製の蒸留水を使用した。
【0038】〔操作〕予め乾熱滅菌処理(250℃、2時
間)したガラス製試験管に、HSA溶液又は蒸留水5ml
を分注し、これに市販ピペットチップ(個別滅菌包装
品)を1本浸漬させ、攪拌後、室温で1時間静置して、
β−グルカン又は/及びペプチドグリカンの溶出を行っ
た。その後、溶液中からピペットチップを取り去り溶出
液を得た。この溶出液中のβ−グルカン又は/及びペプ
チドグリカン濃度を、トキシノメーターET-301(和光純
薬工業(株))を用いて測定した。測定操作は常法に従っ
て以下のように行った。0.1mlのβ−グルカン又は/及
びペプチドグリカン測定用試薬に0.1mlの溶出液を加
え、攪拌後、30℃保温下に、上記混合液の透過光量が5
%減少するまでの時間(以下、Taと略称する。)を測
定した。別に、注射用水とペプチドグリカン標準液を用
いて作成した各種濃度のペプチドグリカン溶液を検体と
して同様の測定を行い、ペプチドグリカン濃度とTaと
の関係を表す検量線を作成した。この検量線にもとづい
て溶出液中のβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン
濃度を、ペプチドグリカン濃度として算出した。
【0039】〔結果〕図1に、市販ピペットチップから
の溶出液中のペプチドグリカン濃度の測定結果を示す。
図1の結果から明らかな如く、ピペットチップに付着又
は吸着されたβ−グルカン又は/及びペプチドグリカン
は、蒸留水では殆ど溶出されないが、本発明のHSA溶
液を用いることにより、効率よく溶出し得ることが判
る。
【0040】実施例2 〔試薬〕 (1)ペプチドグリカン溶液 実施例1で調製したペプチドグリカン標準液を注射用水
で希釈して、1μg/mlの溶液としたものをペプチドグリ
カン溶液とした。 (2)β−グルカン又は/及びペプチドグリカン測定用試
薬 実施例1で用いたものと同じ。 (3)HSA溶液 実施例1で用いたものと同じ。 (4)蒸留水 実施例1で用いたものと同じ。 〔操作〕予め乾熱滅菌処理(250℃、2時間)したガラ
ス製試験管に、HSA溶液又は蒸留水4mlを分注し、こ
れを市販の使い捨て血清用ピペット(10ml用。個別滅菌
包装品)に吸引、吐出させる操作を2回行って溶出液を
得た。この溶出液中のβ−グルカン又は/及びペプチド
グリカン濃度をペプチドグリカン濃度として、実施例1
と同様の操作により求めた。図2に、市販の使い捨て血
清用ピペットからの溶出液中のペプチドグリカン濃度の
測定結果を示す。図2の結果から明らかな如く、使い捨
て血清用ピペットに付着又は吸着されたβ−グルカン又
は/及びペプチドグリカンは、蒸留水では殆ど溶出され
ないが、本発明のHSA溶液を用いることにより、効率
よく溶出し得ることが判る。
【0041】実施例3 〔試薬〕 (1)ペプチドグリカン溶液 実施例1で調製したペプチドグリカン標準液を注射用水
で希釈して、1μg/mlの溶液としたものをペプチドグリ
カン溶液とした。 (2)β−グルカン又は/及びペプチドグリカン測定用試
薬 実施例1で用いたものと同じ。 (3)HSA溶液 実施例1で用いたものと同じ。 (4)蒸留水 実施例1で用いたものと同じ。 〔操作〕市販のガラス製試験管又はポリプロピレン製試
験管にペプチドグリカン溶液4mlを分注し、室温で2時
間放置した。その後、ペプチドグリカン溶液を除去し、
クリーンベンチ内で12時間風乾した。次いで、これら
試験管にHSA溶液又は蒸留水2mlを分注し、攪拌後、
室温で1時間静置して、β−グルカン又は/及びペプチ
ドグリカンの溶出を行った。この溶液(溶出液)中のβ
−グルカン又は/及びペプチドグリカン濃度をペプチド
グリカン濃度として、実施例1と同様の操作により求め
た。 〔結果〕図3に、市販のガラス製試験管からの溶出液中
のペプチドグリカン濃度の測定結果を、また、図4に、
市販のポリプロピレン製試験管からの溶出液中のペプチ
ドグリカン濃度の測定結果を夫々示す。図3及び図4の
結果から明らかな如く、ガラス製試験管及びポリプロピ
レン製試験管に付着又は吸着されたβ−グルカン又は/
及びペプチドグリカンは、蒸留水では殆ど溶出されない
が、本発明のHSA溶液を用いることにより、効率よく
溶出し得ることが判る。
【0042】実施例4 〔試薬〕 (1)β−グルカン溶液 カードラン(β−グルカン、和光純薬工業(株)製)20
mgを0.25N NaOH溶液 20mlに溶解した後、これを注射用
水[大塚製薬(株)製、SLP試薬セット(和光純薬工
業(株)製)によりβ−グルカン又は/及びペプチドグリ
カンが検出されないことを確認済み]で希釈して10ng/m
lの溶液としたものをβ−グルカン溶液とした。 (2)β−グルカン又は/及びペプチドグリカン測定用試
薬 実施例1で用いたものと同じ。 (3)HSA溶液 実施例1で用いたものと同じ。 (4)蒸留水 実施例1で用いたものと同じ。 〔操作〕市販のポリスチレン製試験管又はポリプロピレ
ン製試験管にβ−グルカン溶液4mlを分注し、室温で2
時間放置した。その後、β−グルカン溶液を除去し、ク
リーンベンチ内で12時間風乾した。次いで、これら試
験管にHSA溶液又は蒸留水2mlを分注し、室温で1時
間静置して、β−グルカン又は/及びペプチドグリカン
の溶出を行った。この溶液(溶出液)中のβ−グルカン
又は/及びペプチドグリカン濃度をβ−グルカン濃度と
して、以下の操作により求めた。0.1mlのβ−グルカン
又は/及びペプチドグリカン測定用試薬に0.1mlの溶出
液を加え、攪拌後、30℃保温下に、上記混合液の透過光
量が5%減少するまでの時間(以下、Taと略称す
る。)を測定した。別に、注射用水と各種濃度のβ−グ
ルカン溶液を検体として同様の測定を行い、β−グルカ
ン濃度とTaとの関係を表す検量線を作成した。この検
量線にもとづいて溶出液中のβ−グルカン又は/及びペ
プチドグリカン濃度を、β−グルカン濃度として算出し
た。 〔結果〕図5に、市販のポリスチレン製試験管からの溶
出液中のβ−グルカン濃度の測定結果を、また、図6
に、市販のポリプロピレン製試験管からの溶出液中のβ
−グルカン濃度の測定結果を夫々示す。図5及び図6の
結果から明らかな如く、ポリスチレン製試験管及びポリ
プロピレン製試験管に付着又は/吸着されたβ−グルカ
ン又は/及びペプチドグリカンは、蒸留水では殆ど溶出
されないが、本発明のHSA溶液を用いることにより、
効率よく溶出し得ることが判る。
【0043】
【発明の効果】本発明は、容器、器具等の固体表面に付
着又は吸着されたβ−グルカン又は/及びペプチドグリ
カンを効率良く溶出する方法を提供するものであり、本
発明の溶出方法によれば従来の溶出方法では溶出困難で
あったものまで、簡便にかつ効果的に溶出できる点に顕
著な効果を奏するものであり、斯業に貢献するところ大
なる発明である。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた、市販のピペットチップか
らの溶出液中のペプチドグリカン濃度の測定結果を示
す。
【図2】実施例2で得られた、市販の使い捨て血清用ピ
ペットからの溶出液中のペプチドグリカン濃度の測定結
果を示す。
【図3】実施例3で得られた、市販のガラス製試験管か
らの溶出液中のペプチドグリカン濃度の測定結果を示
す。
【図4】実施例3で得られた、市販のポリプロピレン製
試験管からの溶出液中のペプチドグリカン濃度の測定結
果を示す。
【図5】実施例4で得られた、市販のポリスチレン製試
験管からの溶出液中のβ−グルカン濃度の測定結果を示
す。
【図6】実施例4で得られた、市販のポリプロピレン製
試験管からの溶出液中のβ−グルカン濃度の測定結果を
示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルブミン及び/又はグロブリンを含
    んで成る、(1→3)β−D−グルカン又は/及びペプ
    チドグリカン溶出用液。
  2. 【請求項2】 アルブミンを含んで成る溶液である、請
    求項1に記載の溶出用液。
  3. 【請求項3】 アルブミンが人血清アルブミンである、
    請求項1又は2に記載の溶出用液。
  4. 【請求項4】 アルブミン及び/又はグロブリンを含む
    溶液を用いて処理することを特徴とする、(1→3)β
    −D−グルカン又は/及びペプチドグリカンの溶出方
    法。
  5. 【請求項5】 (1→3)β−D−グルカン又は/及び
    ペプチドグリカンで汚染された容器又は器具をアルブミ
    ン及び/又はグロブリンを含む溶液を用いて処理するこ
    とを特徴とする、容器又は器具の洗浄方法。
  6. 【請求項6】 アルブミン及び/又はグロブリンを含ん
    で成る、(1→3)β−D−グルカン又は/及びペプチ
    ドグリカンで汚染された容器又は器具の洗浄剤。 【0001】
JP14589097A 1996-05-21 1997-05-20 (1→3)β−D−グルカン又は/及びペプチドグリカンの溶出用液 Withdrawn JPH1053600A (ja)

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