JPH10511851A - 脊椎動物の皮膚を試験管内で成長させる方法 - Google Patents

脊椎動物の皮膚を試験管内で成長させる方法

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JPH10511851A JP8521187A JP52118796A JPH10511851A JP H10511851 A JPH10511851 A JP H10511851A JP 8521187 A JP8521187 A JP 8521187A JP 52118796 A JP52118796 A JP 52118796A JP H10511851 A JPH10511851 A JP H10511851A
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Abstract

(57)【要約】 試験管内で完全な脊椎動物の皮膚を成長させるための方法であって、脊椎動物の皮膚の断片を得るステップと、前記皮膚の細胞の増殖を維持するのに十分な栄養を含む人工的細胞増殖培地に前記皮膚断片を入れるステップと、前記皮膚断片が前記培地内にある間、前記皮膚断片に引っ張る力を加えるステップと、を含むことを特徴とする方法。本方法及び本方法を行うための装置により生産された皮膚も本発明の一部である。

Description

【発明の詳細な説明】 脊椎動物の皮膚を試験管内で成長させる方法 導 入 技術分野 本発明は、細胞及び組織培養の分野にあり、特に皮膚層及び表皮層の両方を有 する脊椎動物の皮膚の生産に関する。 背 景 脊椎動物の皮膚は、外側の表皮層及び該表皮層の下にある皮膚層の2つの主要 な層を含む複合器官である。皮膚がその通常の外観を保持し、通常の様式で十分 に機能するために、皮膚の両方の層が存在することが必要とされる。 皮膚移植は、熱傷、外傷、腫瘍切除、及び先天性異常の矯正の後の再形成手術 の本質的な構成である。米国において1年に約 100万の熱傷があり、それは熱傷 単位に 100,000の入院を生じ、その約 1/3 は皮膚移植を必要とする。再形成手 術における皮膚移植は、変形を緩和することがしばしば必要とされる。移植のた めに利用できる最も可能性ある皮膚は、(自家移植片と呼ばれる)体の他のドナ ー部位から取られた同じ患者からの皮膚であろう。しかしながら、適切な皮膚移 植片ドナー部位は、体の表面領域に限定されるばかりでなく、先の移植片の採取 量又は外傷によっても影響を受ける。それゆえ、ドナーの皮膚が制限され、移植 に必要とされる皮膚の量が極めて多く、十分な自家移植が利用できない場合があ る。感染を防ぐことにおける皮膚の重要性のため、いずれのドナーの皮膚ももと に覆われていたより大きい領域を覆うように用いられなければなら ず、又はいくつかの適切な置換材料が用いられなければならない。 現在、ドナー領域の皮膚の量を増加させるために、いくつかの技術が用いられ ている。移植片の全領域を増加させるために、ドナー皮膚のメッシング(meshin g)(皮膚を切断して膨張可能なメッシュパターンを形成すること)が用いられ る。しかしながら、メッシングは、移植片の大きさを最小限に増加させることが できるだけで、移植片の外観を大きく損ない、顔上での再形成には許容されず、 手、腕、及び首上の移植にも理想からはるかに遠い。限られたドナーの皮膚の部 位を有する大きな熱傷を受けた患者において、死体の同種移植片が一時的な皮膚 の覆いのために一般に用いられるが、最終的にはこのような同種移植片は排除さ れ、永久的な自家移植片が要求される。更に、同種移植片は、ヒト免疫不全ウイ ルス又は肝炎ウイルスのようなドナーに存在するウイルス又は他の病因性生物に よる受容者の感染の危険にも困る。 限られたドナー領域での患者の移植を助けるために、処理されている患者由来 の培養された上皮細胞が多くの移植の適用に利用されている。一般に、培養培地 上で増殖した上皮細胞の単層の形態においてその細胞が用いられる。このような 培養物の調製は、何週間又は何ヶ月も必要とし、その産物は、多重上皮細胞層が 多層皮膚代用物を形成するのに用いられる場合でさえそのもろさのため取り扱う のが極めて困難である。 同じドナーから多数の皮膚移植片を収集することがしばしば用いられるが、こ のような収集は、新しい皮膚をドナー部位上で成長させるための手順間に数週間 から数ヶ月を必要とする。それは、多数のうんざりする手術が行われなければな らないので、極めて外傷性の技術でもある。 生体内技術である組織拡大技術は10年にわたって形成外科におい て用いられており、ドナー組織の領域を増加させる助けとなり得る。拡大器を皮 下において、それに塩類溶液を頻繁に注入することにより、皮膚が拡げられ、そ の表面領域が増加する。これは、隣接する組織床の拡大の後に局所的な皮膚の再 形成を許容する。しかしながら、拡大器は多くの手順を必要とするため理想的で はない。局所的な組織が多数の再形成もしくは照射を受け、又は熱傷を受けてい る患者の場合にあり得る質の悪いものである場合、拡大器は実行可能な選択物で はない。組織拡大の一般的適用の例については、例えば、Argenta の“Controll ed tissue expansion in reconstructive tissue,“Brit.J.Plas.Surg.,37 :520-529(1984)、及び、Argenta らの“The Use of Tissue Expansion in He ad and Neck Reconstruction.“Ann.Plast.Surg.,11:31-37(1983)を参照 のこと。 皮膚移植の一般的分野における更なる背景的情報は科学文献において利用でき る。いくつかの例的出版物は次の通りである: Kirsner らの“The Biology of Skin Grafts.”Arch.Derinatol.,129:481 -483(1993)。 Gallico の“Biologic Skin Substitutes.”Clinics in Plastic Surgery.17 :519-526(1990)。 Nanchahal 及びWard.の“New grafts for old ? A review of altematives t o autologous skin.“Brit.J.Plas.Surg.,45:354-363(1992)。 Camey の“Generation of autograft:the state of the art.“Burns.12:2 31-235(1986)。 Greenwald らの“Full-Thickness Skin Wound Explants in Tissue Cultures :A Mechanical Evaluation of Healing.“Plastic and Reconstructive Surge ry,90:289-294(1992)。 Arons らの“The surgical applications and implications of cultured hum an epidermis:A comprehensive review,“Surgery,111:4-11(1992)。 先に再び言及される先行技術の欠点の観点において、小さなドナー皮膚断片か ら大きな表面領域の通常の皮膚を供する技術がそれゆえ必要とされる。望ましく は、皮膚は自家移植片であるべきであり、出来る限り短時間に利用できるべきで ある。このような技術は、患者に要求される外科的手順の数を制限するであろう ので、再形成手術患者に大きな利点となろう。それは、大量の皮膚移植を必要と する患者においてより迅速に創傷を閉じることによっても生存性を潜在的に増加 させるだろう。 図面の簡単な記載 本発明の特定の態様は、本明細書の一部を形成する図面を引用することにより よりよく理解されよう: 図1は、本発明の装置の第1の実施形態の垂直断面図である。 図2は、本発明の装置の第2の実施形態の垂直断面図である。 発明の概要 従って、本発明の目的は、通常の皮膚自家移植片を生産する方法を提供するこ とである。 本発明の更なる目的は、ドナー移植部位の領域より大きい表面を有する通常の 皮膚自家移植片を提供することである。 本発明の他の目的は、可能な限り短い時間で通常の皮膚自家移植片を提供する ことである。 本発明の目的は、試験管内で大量に生産され得る毛又は柔皮支持性皮膚を提供 することである。 本発明のこれら及び他の目的は、試験管内で脊椎動物の皮膚を成長させるため の方法を提供することにより達成された。その方法は、表皮層及び通常の皮膚層 の少くとも一部を含む脊椎動物の皮膚の断片を得るステップと、前記皮膚の細胞 の増殖を維持するのに十分な栄養素を含む人工細胞増殖培地に前記皮膚断片を入 れるステップと、前記皮膚断片が前記培地中にある間、前記皮膚断片に引っ張る 力を加えるステップと、を含む。この技術により生産された皮膚も本発明の対象 物である。 本発明の種々の実施形態において、引っ張る力は動的もしくは静的で、直交状 もしくは放射状で、又は一定もしくは変移性である。皮膚は好ましくは、ヒト受 容体に用いられるが、新しい皮膚の獣医学での使用も本発明に含まれる。本発明 の他の実施形態は以下に詳細に記載される。 特定の実施形態の記載 本発明は、先に得られていない結果を達成するための新しい様式における先に 周知のいくつかの技術即ち、自家移植ドナー部位より大きく、試験管内で調製さ れる(皮膚層及び表皮層の両方を含む)通常の自家移植皮膚セグメントを組み合 わせる。本発明の方法は、利用できる耐久性のある自家移植皮膚を、近く又は遠 くの位置のいずれかへの移動に利用できる大きさに大きく増加させる。組織培養 の間に試験管内で皮膚上に引っ張る力を用いることにより、皮膚移植に関連する 患者の合併症頻度を減少させながら、皮膚の潜在的利用性を最大にする目的が達 成され得る。更に、同種移植片及び培養された上皮細胞を用いて以前に存在して いた問題に出くわすことはないだろう。潜在的にこの技術は、多数の麻酔薬に関 連する危険及び複合体再形成の場合に時々必要とされる外科的手順も削減しなが ら、患者が要求するであろう外科的手術の数を最小にすることにより、コストを 節約し得る。 十分に開発され、これによりより詳細に本明細書に記載されないであろうもと の皮膚断片の切除、完全な皮膚の成長及び維持のための培養培地の製造、及び移 植片のホストへの付着のための移植技術のための方法のような本発明に補助的な いくつかの技術がある。このような方法及び材料は本明細書に列示され、適切に は本発明が直ちに実施され得るように、科学文献が引用される。しかしながら、 これらの補助的方法及び材料の多くのバリエーションが存在し、本発明が本明細 書に供される特定の実施例に限定されないことは当業者に認められよう。 一般に、本発明の方法は、脊椎動物の皮膚の断片を得るステップと、前記皮膚 断片の細胞の増殖を維持するのに十分な栄養素を含む人工細胞増殖培地中に前記 皮膚断片を入れるステップと、前記皮膚断片が培地中にある間、前記皮膚断片に 引っ張る力をかけるステップと、を含む試験管内で完全な脊椎動物の皮膚を成長 させる方法を提供する。ここで、“培地内”とは、皮膚の表皮側が通常空気に露 出されるので、皮膚の少くとも皮膚側が培地と接触することを意味する。しかし ながら、皮膚断片は、必要に応じて栄養素培地中に完全に浸され得る。皮膚が引 っ張る力をかけながら、増殖培地中に存在する場合、皮膚層及び表皮層の両方を 有する通常の十分な厚さの皮膚を形成するように細胞分割及び増殖がおこる。こ の様に生産された皮膚は、完全な皮膚損失(皮膚層及び表皮層の両方損失)の場 所に移植するのに、及び本明細書に記載される他の使用に特に適する。 本発明の種々の実施形態の以下の記載において、本発明はヒト皮膚自家移植片 で実施されるものとして記載される。しかしながら、 本発明はこれらに限定されず、同種移植片(同じ種であるが、ドナーと受容体と が異なる個体であるもの)及び異種移植片(異なる種からのドナー及び受容体) の両方に用いられ得る。更に、本発明は、異種移植片により供される感染及びセ プシスに対する一時的保護でさえ受容生物の命を救うことができるので、自家移 植片もしくは同種移植片として獣医的使用又は(産物の皮膚が移植片として用い られる場合に受容体の免疫システムの抑制を通常要求するであろう)異種移植片 の産物における使用のいずれかで、種々の大量の脊椎動物の通常の皮膚を生産す るのに有利に実施され得るので、ヒトの皮膚の調製に限定されない。獣医的又は 異種移植的使用のために、ドナーの皮膚は、いずれかの脊椎動物、好ましくは受 容体に可能な限り近い関係にあるものから得られ得る。非排他的な例は、ヒト、 他の霊長類、牛及び他の畜牛、ブタ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、トリ及びハ虫 類からの皮膚を含む。本方法は、ラッコ、アシカ、及びトラ等を含む自家的に生 産するのが困難であり、又は危険である動物のような動物の犠牲を必要としない 人工毛皮を生産するための毛皮工業にも用いられ得る。はげを治療するのに用い るための毛支持性のヒトの皮膚の生産も本発明の一部である。スプリット(spli t)厚の皮膚が小胞を欠いている場合、毛又は毛皮での引っ張られた皮膚の生産 のために、十分な厚さの皮膚が用いられる。 脊椎動物の皮膚の断片(移植片ドナー断片)が、この目的に通常利用できる技 術のいずれか、通常(十分な厚さの皮膚のための)外科的切除又は(スプリット (SPlit)厚の皮膚のための)デルマトームの使用により得られる。デルマトー メ(即ち被検体から皮膚を除去するためのいずれかの平面様の装置)が用いられ るなら、層の厚さは皮膚層の少くともいくらかが存在するのを確実にするよう選 択されるべきである。この厚さは種の間で、及び個体の胴体の位置の 間でさえ種々であろう。スプリット厚のヒトの皮膚を調製するのに用いられるデ ルマトーメのための典型的なセッティングは1インチの約12/1000(約0.3mm) である。皮膚断片は、皮膚及び表皮層が分離した断片で存在するように得られる 。皮膚表面は完全(十分な厚さの皮膚)又は不完全(スプリット厚の皮膚)のい ずれかで得られうるが、皮膚層のいくらかは存在するべきである。 全厚の皮膚断片は、外科的切除により一般に得られ、スプリット厚の皮膚断片 はデルマトーメにより得られる。これらの両方の技術、並びにGrabb and Smith ,Plastic Surgery,Little Brown & Company,Boston,Mass.,USA,4th Ed. (1991),James W.Smith and Sherrel J.Aston,edsのChapterl(pp.1〜90 )に記載されるような皮膚移植の分野における他の一般的技術が用いられる。分 離した皮膚は、通常培養培地、ほとんどの場合培地に移す前に乾燥されていない 培養培地に移される。分離した皮膚断片の形状は本発明の実施に本質的でないが 、特定の形状は、本明細書に記載される個々の特定の装置により適するだろう。 ドナーの皮膚断片の大きさは、引っ張られるであろう装置と共に用いることの 便利のために一般に選択され、置換されるものと同じタイプのドナー皮膚組織の 入手性にも極めて依存し得る。典型的なヒト皮膚組織断片は1×1〜10×30cmで あるが、ドナーの皮膚の入手性に大きく依存し得る。本発明の方法への移植片サ イズの影響は一般になく、手術及び他の手順が組織の大きさを決定するのにより 重要である。外科的皮膚移植における取り扱いの容易さのために、5×5〜15× 15cmの大きさの範囲の断片が好ましい。 皮膚断片の細胞の増殖を維持するのに十分な栄養素を含む人工細胞増殖培地の 調製及び使用は、十分に確立された技術であり、本明細書に詳細に記載する必要 はない。このような培地は、栄養培地又 は組織培養培地としても言及される。(すでに知られているものでないなら)い ずれかの供された培地が満足いくものであるか否かは、以下の実施例に示される 皮膚増殖のための手順を用いて実験的に容易に決定され得る。多くのこのような 培地は10%胎児ウシ血清を含むDulbecco's modified Eagle's 培地(DMEM)のよ うに市販される。他の適切な培地は、ウシ血清(15%)が補給された Hanks's B SS(85%)を含む基底培地(Eagle)及び胎児ウシ血清(10%)が補給されたHam 's FIZ 培地(90%)を含む。血清が人工培地を補給するのに用いられる場合、 胎児の血清、特に移植片の受容体と同じ種からの胎児の血清が好ましい。これが 可能でない又は道徳上要求されない場合、受容体自体の血清が用いられ得る。皮 膚組織を成長させるのに用いられ得るいくつかの培地については、例えばタイト ルCatalogue of Cell Lines & HybridomasのAmerican Type Culture Collection 出版物のいずれかの巻の培地製剤セクション(例えば、5th edition;1985、ペ ージ265〜273)を参照のこと。このATCC出版物は、皮膚から得られた組織又は細 胞培養物と共に用いるための最も優れた培地の(特定の皮膚由来細胞系に関する )情報も含む。 組織培養及びストレッチング(Stretching)が行われる装置は、簡単な又は複雑 なもののいずれかであり、広く種々であり得る。単純な装置の例は、組織培養培 地を含み、クランプが培地中で分離した皮膚セグメントに取付けられ得、ワイヤ ーによりクランプに取付けられ、摩擦を削減するために滑車により吊るされた重 みによりクランプに力が適用されるように配されたクランプ、ワイヤー、滑車、 及び重りのセットを有するペトリ皿(又は類似したもの)である。より複雑な装 置は、クランプに力を供給するため、又は培養培地を循環させるための電気モー ター、力及び引っ張る距離を測定するためのセンサー、新鮮な培地及び使用した 培地のためのリザーバー、 並びに制御された大気等を含み得るだろう。最小限で、本発明の装置は、組織培 養培地を保持するための容器、皮膚断片上の少くとも2つの位置において培養培 地中の分離した皮膚断片を保持するための少くとも2のコネクターであって、前 記容器に取付けられているもの、並びに皮膚断片への取付け手段により反対側へ の力を供給するための手段を含むだろう。その容器は本装置の一体化部分であり 得、又は特定の位置において本装置により保持された分離した容器であり得る。 後者の場合、コネクターは、容器を保持するであろう装置のフレームに固定され ることにより容器に間接的に“取付け”られる。 他の装置は、開口端を有する管状流体リザーバー、該リザーバーの開口端に位 置したクランプであって、流体の密接な密閉を供するため前記開口端上で皮膚断 片を密閉するのに適合したクランプ、並びに前記リザーバー内に位置した流体に 静水圧を供給するための手段を含み得る。“管状”という言葉は、本明細書に用 いられる場合、円形断面を必要としないことが本明細書で認められるはずである 。静電圧を供給するための手段の例は、(1)管状流体リザーバーに流れるよう に連結され、本装置がその通常の作動位置に位置した時に皮膚断片より高い重力 ポテンシャルにある栄養素リザーバー又は(2)管状リザーバーに流れるよう接 続されたポンプを含む。ポンプは、1つの位置から他の位置へ流体を動かすいず れかの機械的装置であり、液圧ピストンを含む。適切なクランプの例は、管状リ ザーバーの開口端上のフランジに対して密接に適合するよう適合された環材であ り得る。適切なクランプの例は、皮膚がドラムのようなリザーバーの端上に取付 けられている管状リザーバーの端において流体密閉シールを供するように皮膚セ グメントがそれらの間に位置したフランジに対して環材を固定するためのねじ、 ボルト、又は 蝶ナット等を含むように適合されたフランジ又は環材(又は両方)内に穴又は溝 を有する管状の開口端上にフランジに対して密接して適合された環材であろう。 新しく収集された皮膚は弾性体であるので、更なる密閉は必要とされないが、( O−リングのような)柔軟性のある密閉材が、例えばフランジと環材の間に必要 に応じて供され得る。 先に記載される2つの実施形態は、図1及び2に例示される。ここで、同じ引 用番号は、異なる実施形態の対応する特徴を示す。 図1は、栄養素リザーバー10が脚部20により供給される本発明の装置の第1の 実施形態を示す。皮膚断片は、自由に吊り下げられたおもり70に滑車を通してつ ながるワイヤー60を通して取付けられたクランプ40によりその場に保持される。 栄養培地は皮膚断片30を覆うのに十分な量でリザーバー10中に存在する。 図2は、管状リザーバー10が栄養培地80を含む本発明の装置の第2の実施形態 を示す。皮膚断片30は、本実施形態においてリザーバー10の端においてフランジ 14に取付けられた蝶ボルト12に適合し、かみあう溝44を有する環材42であるクラ ンプ40によりリザーバー10の端の上に保持される。液圧は、リザーバー10へのパ イプ72を通して流れるよう連続されるポンプ70により供給される。 読者は、一般的組織培養の観点に関するこのような装置の詳細のための組織培 養の分野における特徴又は他の出版物のいずれかに注意すべきである。 本発明の態様の錠は、分離した皮膚断片を、該皮膚断片が組織培養培地中にあ る間、引っ張る力を加えることである。ここで“引っ張る力”とは、皮膚表面の 平面に平行な1以上の方向において皮膚断片に適用された1以上の力を意味する 。引っ張る力の物理的性質のため、(等しく反対の力のNewtonのよく知られてい る法則のため )少くとも2つの反対の力が皮膚断片に適用される。2つの反対の力のみが存在 するなら、引っ張ること(ストレッチング)は、分離した皮膚断片の隣接領域に 沿っていくらか更に引っ張る力と同軸の線に沿ったものである。これは、最も単 純なストレッチング状態であるか、結果として皮膚の変形が生ずるので特に要求 されない。更なる力が、皮膚のより規則的なストレッチングを供するのに適用さ れ得る。(分離した皮膚断片の反対の端に取付けられた2つの広い剛性のクラン プにより適用されるであろうような)平行な反対の力は、皮膚の単一寸法に沿っ て引っ張ることを導く。平行でない多数のストレッチング力(例えば中心から外 側に放射状に、又は皮膚の平面において直交して)は、分離した皮膚断片の2つ の次元の両方に引っ張る(即ち、2つの次元は皮膚表面の平面に平行である)。 皮膚表面に全体的に平行でない力が適用され得る:しかしながら、力のいくら かの部分は引っ張るために皮膚表面に平行でなければならない。例えば、凸状固 体表面又はその端が固定されている分離した皮膚断片の表面に対して加えられる 流体により、皮膚の表面に直交した及び平行な両方の力が皮膚断片にかけられる であろう;このように引っ張ることは、本発明の範囲内である。 分離した皮膚断片が引っ張られている間、その断片の端はいくつかの物理的装 置により組織培養においてその場に保持される。その場に端を保持するのに用い られ得るいずれの装置も適用されるだろう。典型的な取付け装置は、クランプ、 フック、縫合、及び接着剤を含む。クランプは、狭く(例えば端の長さの 1/10 未満が保持される)又は広い(端の幅まで又はそれを超えるもの、及び一般に端 の幅の 1/2 より幅の広い場合に一般に広いと考えられる)。反対方向に広いク ランプが用いられるなら、クランプの端の間のストレッチングは、直交する引っ 張る力が皮膚上にも存在するなら一般に 制限されるだろう。引っ張る効能を最大にするために、引っ張る過程の間に互い から離れて動くことができる多数の取付け点が好ましい。例えば、円形の分離し た皮膚断片に全体的に円形の様式に取付けられた、その断片の中心から放射状に 外側に適用された力が加えられた多数の小さなフック又はクランプは、引っ張る ことが続けられる場合、互いから離れるように自動的に動き、これにより内の接 線に沿って、及び半径に沿って引っ張る力を供給する。 力自体は、おもり、ばね、又はモーターのような力を供給するためのいずれか の手段により供給され得る。力は静的又は動的であり得る。ここで、静的力とは 、細胞増殖及び分割がおこり、時が経つにつれて取付け点間の力を減少させる場 合に互いから更に離れるように動かない2つの取付け点の間に適用されるもので ある。例えば、2つのクランプが分離した皮膚断片の反対の端に取付けられ得、 ここでクランプの1つ(又は両方)は、クランプ間の距離が種々であり得るよう ねじに取付けられる。ねじを動かすと、互いから離れたクランプどめされた端は 皮膚断片に最初の力を形成するが、この力は皮膚中の細胞が増殖及び分割するに つれて減少する。他方、動的力は、一定の力が維持されるように動くことができ る2つの取付け点の間に供されるものである。例えば、2つのクランプは、分離 した皮膚断片の反対の端から滑車システムを通して吊り下げられた重りに取付け られ得る。このような装置における皮膚断片への力は、皮膚細胞が増殖し、分割 する場合も一定であり続ける。 皮膚に適用される力の量は、最小には皮膚が引っ張られるのに必要とされる量 であり、皮膚が破壊されるのに必要とされる量を超えないであろう量である。同 じドナーから得られた異なる皮膚断片の強さは種々であるので、その力は、得ら れる皮膚の引っ張りの量により経験的に最もよく決定される。多くの場合、実際 の力はねじベ ースの装置においてそうであるように決して測定又は知られないであろう。典型 的な引っ張られる皮膚断片は、(適切な時間にわたって)引っ張る力が供された 後に、引っ張る力が供される前の皮膚断片のそれの少くとも2倍である領域を有 する。ヒトの皮膚のために、1日に少くとも2%、好ましくは少くとも5%、更 に好ましくは少くとも10%の引っ張りが要求される。非ヒトの皮膚は、ヒトの皮 膚より強い又は強くない(ここで“強い”とは引っ張りへの耐性をいう)のいず れかであり得、これによりこれらの量よりかなり少く、又は多く引っ張られ得る 。一般に、皮膚は、破壊又は細胞死か引っ張りの力により導かれるまで引っ張ら れ得、次に直ちに細胞学的実験が行われ得る。いくつかの場合において、細胞死 を避けるために1日当り15%未満、他の場合12%未満の引っ張りを維持すること が要求され得る。しかしながら、最大の継続的な引っ張りの比率は、最初のガイ ドラインのいくつかを用いて経験的に最も良く決定される。皮膚が栄養培地に最 初におかれる場合、体から除かれた皮膚は一般に、もとの寸法のほぼ半分に収縮 するので、実際の引っ張りが測定される前に生体内のもとの大きさに戻るように 引っ張られるべきである。手又は柔皮支持性皮膚を成長させる場合、考慮される べき更なる因子は、引っ張り比率が、全厚の皮膚における他の細胞増殖及び分割 と共におこるであろう新しい毛の小胞の発生の比率である。引っ張る比率は、最 大に持続可能な引っ張り比率について単に選択するよりむしろ要求される柔皮( 毛)密度を供するために、このような場合に選択され得る。 引っ張られた皮膚断片がそのもとの厚さに再成長した後、その皮膚断片は移植 片として用いられ得、又は、1以上の更なる断片が再び本発明の方法にかけられ るように更なる断片に分割され得る。細胞増殖が続く限り、新しい通常の皮膚は 、もとのドナー移植片の部 分から作られ得る。その表面がもとのドナーの皮膚断片のそれの少くとも2倍、 通常少くとも4倍、そして少くとももとのそれの8倍である皮膚が、(数回にわ たって続き得る)1回の引っ張り作業で供され得る。次に引っ張られた皮膚は分 割され、結果として生ずる断片が再び引っ張られるので、皮膚の指数的生産が可 能である。 引っ張られた皮膚移植片生成物が調製されたなら、それは引っ張られていない 移植片ドナー皮膚断片と同様に皮膚移植に用いられる。柔皮支持性皮膚は、柔皮 衣類を作るために動物の毛皮を用いる通常の様式で用いられ得る。 本発明は、一般的に記載され、実例のためだけに本明細書に供され、本発明を 限定するとして考えられるべきでない本発明の以下の詳細な実施例を引用するこ とによりより理解されよう。 実施例 材料及び方法 Sprague-Dawleyラットを処置された皮膚移植片の収集及び配置に用いる。全て の外科手順を、普通の研究技術及び動物管理ガイドラインに従って一般的な麻酔 下で行う。各々のラットをペントバルビタール50mg/kgで腹腔内に麻酔する。次 に全厚の腹部の移植片を普通の感染予防技術を用いて収集し、その創傷を吸収性 縫合糸で閉じる。これらの移植片の半分をReese デルマトーメを用いてスプリッ ト厚の移植片に薄くし、その移植片の半分を全厚の移植片として処理する。その 動物を、目を覚まし、歩き回り次にそれらの家に戻るまで観察する。 収集する前後に皮膚移植片の大きさを測定し、次に異なるタイプの皮膚引っ張 り装置を用いて試験管内で引っ張る。引っ張ることは、拡大距離の毎日の増加を 一般に利用する。全ての移植片を10%胎児ウシ血清を任意に含むDulbecco's mod ified Eagle's 培地(DMEM )内に入れ、拡大の間、滅菌ペトリ皿上におく。いくつかの実験において、細胞 増殖の最大速度のために要求される多くの栄養培地を供するように10%胎児ウシ 血清を混合物に加える。引っ張っている間の皮膚移植片支持のための一定の環境 を維持するために、移植片を5%二酸化炭素を含む雰囲気での37℃のインキュベ ーター内に保存する。その移植片を毎日観察し、引っ張り、その培地を1日おき に取り換える。 皮膚移植片拡大をグループに分ける。全厚でスプリット厚の移植片の1つのグ ループを最初に2×通常の大きさまで引っ張る。第2のグループは4×通常の大 きさに引っ張り、そして第3のグループは8人通常の大きさに引っ張る。いくつ かの移植片は更に引っ張る。 最初の研究は37℃(ヒトのコア温度)で行う。しかしながら、皮膚の代謝を遅 くし、生存性、“引っ張り能力”、及び増殖能力を増加させるためにより低い温 度が用いられ得る。 皮膚移植片を引っ張り、その皮膚をもとの状態に回復させた後、動物をペント バルビタールで再び麻酔する。皮膚の外科的欠損を単純な皮膚切除により形成し た後、その皮膚移植片を動物の背の側の表面に付着させる。移植の時に移植片の 大きさを測定し、記録する。皮膚移植片を検査するため、及び該移植片の拘縮を 検査するため、術後14日まで毎日動物を検査する。術後14日に、動物を殺して、 生きている皮膚移植片領域及びその大きさでベーバーパターンを作る。生きてい る領域の大きさを、最初の手順において除去されたもの及び試験管内引っ張り後 に移植されたものと比較する。DMEM中に入れられた非拡大移植片のグループを対 照として用いる。その手段のいずれかの偏差を見つけるために、標準統計法を用 いて、実験動物を対照と比較する。用いた動物の数を、過剰の動物を殺すことな く統計的に有意な結果を得るよう選択する。先に行われた典型的な研究において 、統計的な有意さを証明するために10〜30の動物を用いた。対照グループの標準 偏差は、標準的な技術によっても異なる皮膚移植片の生存のため、適度に種々で あろう。20の実験ラットのサンプルの大きさは、統計分析を確実にするのに十分 に大きなサンプルを一般に供するだろう。 結 果 現在までに得られた結果は、本発明の既述事項を確認する。腹部のラットの全 厚皮膚移植片を収集し、Reese デルマトーメで切断し、スプリット厚の皮膚断片 を供した。全厚の皮膚移植断片も用いた。約4cm平方(収集前)のラット皮膚移 植片を、組織拡大器(本質的に膨張可能バルーン)の周りに移植片を包み、吸収 縫合糸を用いて拡大器を囲ってそれ自体に縫合することにより引っ張った。その 周囲に移植片を有する拡大器を組織培養培地(DMEM)の浴中に入れ、37℃のイン キュベーターに入れた。毎日拡大器を浴から除去し、水を拡大器に注入して更に 膨張させた。縫合糸移植片を通してちぎれた時に実験を停止した。しかしながら 、拡大された皮膚は、拡大器の毎日の膨張でその大きさを著しく増加させ、1週 間の終わりには表面領域のほぼ2倍の増加が見られた。この成功率は数回繰り返 された。 本発明細に言及される全ての出版物及び特許出願は、個々の出版物及び特許出 願が引用により組み込まれて詳しくかつ個々に示されるのと同程度まで、引用に より本明細書に組み込まれる。 本発明は十分に記載され、添付の請求の範囲の主旨及び範囲から離れることな く多くの変換及び改良が行われ得ることは当業者に明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AL,AM,AT,AU,A Z,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN ,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,U A,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.試験管内で完全な脊椎動物の皮膚を成長させるための方法であって、 脊椎動物の皮膚の分離した断片を得るステップと、 前記皮膚の細胞の増殖を維持するのに十分な栄養を含む人工的細胞増殖培地に 前記皮膚断片を入れるステップと、 前記皮膚断片が前記培地内にある間、前記皮膚断片に引っ張る力を加えるステ ップと、 を含むことを特徴とする方法。 2.前記引っ張る力が一方向において前記皮膚断片を引っ張ることを特徴とす る請求項1に記載の方法。 3.前記引っ張る力が二方向において前記皮膚断片を引っ張ることを特徴とす る請求項1に記載の方法。 4.前記皮膚断片が、前記引っ張る力をかけた後、前記引っ張る力がかけられ る前の前記皮膚断片の領域の2倍の領域を有することを特徴とする請求項1に記 載の方法。 5.前記皮膚断片に静的な引っ張る力がかけられることを特徴とする請求項1 に記載の方法。 6.前記皮膚断片が全厚に再生した後、前記皮膚断片が更なる断片に分割され 、該更なる断片の少くとも1つが前記方法にかけられることを特徴とする請求項 5に記載の方法。 7.前記皮膚断片に動的な引っ張る力がかけられることを特徴とする請求項1 に記載の方法。 8.前記皮膚断片が哺乳動物の皮膚であることを特徴とする請求項1に記載の 方法。 9.前記皮膚断片がヒトの皮膚であることを特徴とする請求項8 に記載の方法。 10.請求項1に記載の方法により生産される皮膚層及び表皮層を有する分離し た皮膚断片。 11.皮膚組織を培養するための装置であって、 皮膚層側及び表皮層側を有する分離した皮膚断片を、該断片の少くとも前記皮 膚層において栄養培地に接触させるための手段と、 前記接触を維持する間、前記皮膚を引っ張るための手段と、 を含むことを特徴とする装置。 12.前記装置が、 前記栄養培地を保持するための容器と、 前記皮膚断片上の少くとも2つの位置において、前記培地内に前記皮膚断片を 保持するための前記容器に取付けられた少くとも2つのコネクターと、 前記皮膚断片に前記コネクターを通して反対方向の力を供するための手段と、 を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。 13.前記コネクターがクランプを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置 。 14.前記力を供するための手段が、前記コネクターの1つに取付けられた少く とも1つの自由に吊り下げられたおもりを含むことを特徴とする請求項12に記載 の装置。 15.前記力を供するための手段が、前記コネクターの1つに取付けられた少く とも1つのねじ調節装置を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。 16.前記力を供するための手段が、前記コネクターの1つに取付けられた少く とも1つの電気モーターを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。 17.前記装置が、 開口端を有する管状流体リザーバーと、 流体のタイトな密閉を供するために前記開口端上を前記皮膚断片で密閉するの に適合した前記リザーバーの前記開口端に位置したクランプと、 前記リザーバー内に位置した流体に静水圧を供するための手段と、 を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。 18.前記静水圧を供するための手段が、(1)前記管状流体リザーバーに流れ るよう連結され、前記装置がその通常の作動位置に位置した時に前記皮膚断片よ り高い重力ポテンシャルに位置する栄養リザーバーと、(2)前記管状リザーバ ーに流れるように連結されたポンプと、を含むことを特徴とする請求項17に記載 の装置。
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