JPH10508852A - レトロアルドール反応操作のための方法 - Google Patents
レトロアルドール反応操作のための方法Info
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Abstract
(57)【要約】
β−ヒドロキシ含有化合物からβ−ヒドロキシ基を除去する方法を開示する。本方法は、トリメチルアミン−N−オキシド、トリエチルアミン−N−オキシド、トリメチルアミン−N−オキシド水和物およびトリメチルアミン水和物からなる群から選択されるレトロアルドール試薬の使用を含み、基質の非プロトン性溶媒への溶解および昇温下での反応を要する。本方法は複雑な環状ペプチド、直線状ペプチドおよび非ペプチドを包含する種々の基質に広範囲に適用できる。
Description
【発明の詳細な説明】
発明の名称
レトロアルドール反応操作のための方法
発明の背景
本発明は種々なβ−ヒドロキシ含有化合物、殊にペプチドからβ−ヒドロキシ
基を除去するレトロアルドール反応操作のための新規方法に関する。この方法は
所望の生成物の収率および純度が向上し、望ましくない副反応および副生成物が
回避されて、過去に記載のある方法よりもずっと効率的である。本発明ではまた
ヒドロキシ基が1個よりも多い時にはβ−ヒドロキシ基の選択的な除去が可能に
なる。さらに本レトロアルドール促進試薬の穏和な性質は基質上における例えば
エステルおよびラクトン結合のような他種官能基の存在を許容する。
複雑な環状ペプチドの関係では、既に記載のあるそのような反応のための方法
では典型的にはβ−ヒドロキシ基を除去するための触媒として作用する強塩基を
使用する。例えば、Takesakoなど、米国特許第5200505号および
Ikaiなど、J.Antibiotics、44巻:925頁(1991年)
はNaOHを触媒として用いてオーレオバシディウム属のある株の発酵によって
製造した複雑な環状ペプチド上にあるβ−ヒドロキシ−N−メチルバリンおよび
β−ヒドロキシ−N−メチルフェニルアラニンの両アミノ酸残基をN−メチルグ
リシンに変換したことを記載している。
これらの発酵生成物の非ヒドロキシ誘導体を製造するための他の方法には長く
面倒な全合成を含むが、実用的であるとの証明はない(欧州特許出願第5814
29−A2号およびKaromeなど「抗真菌性環状デプシペプチド、オーレオ
バシディンAの全合成」、ペプチドシンポジウム、アルバータ州エドモントン、
カナダ、1993年、を参照)。
β−ヒドロキシ基の非ペプチド化合物からの除去も当技術分野で発表されてお
り、ここでも触媒として作用する強塩基を使用している。例えば、March、
「アドバンスト・オーガニック・ケミストリー」、第3版、John−Wile
y・and・Sons社、ニューヨーク、1985年、831頁を参照。
発明の概要
本方法はトリメチルアミン−N−オキシド(TNO)(Aldrich・Ch
emical社、ミルウオーキー、WI)、トリエチルアミン−N−オキシド(
ICN・Biomedicals社、アーバイン、CA)、トリメチルアミン−
N−オキシド水和物(TNO−水和物)(Aldrich)およびトリメチルア
ミン水和物(Aldrich)がアルドール基を含むアルドール化合物からβ−
ヒドロキシ基の除去を起こすという発見に由来する。これに関わる反応は下記の
一般反応式:
によるレトロアルドール反応として特徴付けられる。
殊に、本発明はトリメチルアミン−N−オキシド、トリエチルアミン−N−オ
キシド、トリメチルアミン−N−オキシド水和物、およびトリメチルアミン水和
物から構成される群から選択されるレトロアルドール促進試薬の少なくとも約5
当量の存在下に、非プロトン溶媒中で基質を約50℃と約100℃との間に加熱
することを含むβ−ヒドロキシ含有アルドール基質からβ−ヒドロキシ基を除去
するための方法を提供する。
本発明の詳細な記載
本発明において、用語「アルドール」はアルコールおよびアルデヒドまたはケ
トンの双方に属する分子であってそのヒドロキシル官能基およびカルボニル官能
基が下記のように隣接する炭素原子上にある分子を示す。そこで、本明細書中で
使用する用語「β−ヒドロキシ基」は下記一般式の通りに、β−炭素およびβ−
炭素上に存在するヒドロキシル官能基の双方を含むアルコール部分を示す。
β−ヒドロキシ基除去のためのこの方法の使用はアルドール配置を持ついかな
る化合物にも広範囲に適用される。好適な基質では前式中でR1およびR2が独立
して水素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、フェニル、ベンジ
ル、ナフチルであるか、または両者が結合している炭素原子とともに安定な4員
環から7員環までの炭化水素環を形成し;R3は水素、C1〜C8−アルキル、C4
〜C8−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ナフチル、式:−C(O)R'で
示されるアシル、式:−C(O)OR'で示されるカルボキシル、式−N(R")
R'で示されるアミノ、式−C(O)N(R")R'で示されるアミド、またはペ
プチジルであり;R4は水素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル
、フェニル、ベンジル、ナフチル、−OR'、またはペプチジルであり;R'は水
素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ま
たはナフチルであり;およびR"は水素またはメチルである;化合物を包含する
。好適な化合物には前式中でR3およびR4がそれらが結合している原子とともに
環状ペプチドを形成するものも包含する。
用語「アルキル」はそれ自体として、またはその他の置換基の一部分として、
特段の指摘がない限り、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、2級−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オク
チル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシル基およびこれら残基の異性体
および高級同族体であって指定された数の炭素原子を有するもののような、飽和
で直線状または分枝状の脂肪族炭化水素残基を包含する。好適なアルキル基は炭
素原子8個またはそれ以下に限定される。
用語「シクロアルキル」は、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルのような指定した数の炭素原子
を有する飽和環構造を示す。好適には、この環状構造は炭素原子8個またはそれ
以下に限定される。
用語「アシル」は2価のカルボニル残基によって結合しているいかなる基をも
示す。好適には、この結合基は水素、アルキル、フェニルおよびベンジルを包含
する。
用語「ペプチド」または「ペプチジル」は通常に理解されている通りのもので
あって、アミノ酸残基複数が配列を構成している化合物または部分を示す。ペプ
チドは一般にカルボニル基とアミノ基との間の共有アミド結合によって識別され
る。これに加えて、この発明の目的のためには、これらのペプチドはたとえばエ
ステル結合およびラクトン結合のような他種の型の結合を包含することもある。
これらのペプチドは性質上、環状または直線状のいずれであってもよい。そこで
β−ヒドロキシ含有ペプチドはR1およびR2が前記定義の通りであり、R3およ
びR4がエステル結合またはアミド結合を介してアルドールに結合するアミノ酸
配列を含む前記構造を有するレトロアルドール基質である。R3およびR4が互い
に結合して環状ペプチドを形成することもある。
用語「水和物」は指定した試薬と水分子とのH−OH結合が破壊されていない
ままに維持されている会合体を示す。化合物によってはしばしば1種またはそれ
以上の水和物を形成する、すなわちある試薬に数の異なる水分子が会合すること
もある。水和した試薬に言及するにはその試薬に可能な水和物型をすべて包含す
ると解釈している。
本発明はβ−ヒドロキシ基除去のため、広範囲に適用できる方法を提供する。
適当な基質には複雑な環状ペプチドおよび直線状ペプチド、親水性または親油性
ペプチド、およびデプシペプチドを包含する。適当な基質にはまたβ−ヒドロキ
シ官能基を有する非ペプチド化合物も包含する。そこで、適当な基質としては、
広範囲のサイズが示され、非プロトン性溶媒に様々な溶解性を有し、また例えば
カルボキシル、アミノおよびヒドロキシルのような種々の不安定な官能基を包含
していてもよい。
適当なペプチド基質の特異的な例としてAureobasidium−pul
lulansの発酵物から得られる一連の環状デプシペプチドの各成分を含む。
発酵の主生成物であるR106成分1(以後、本明細書ではR106−1と記載
する)はβ−ヒドロキシ含有残基を有し、そのβ−ヒドロキシ側鎖は本レトロア
ルドール反応条件により、たとえばエステル結合切断のような望ましくない副反
応なしに容易に除去される(実施例1参照)。異なる近縁成分少なくとも17種
(R106−2からR106−18まで)が分離され、同定されている(米国特
許第5260214号、米国特許第5158876号、米国特許第505749
3号、米国特許第5200505号、J.Antibiotics、44(9)
巻:925頁(1991年)、J.Antibiotics、44(11)巻:
1187頁(1991年)参照)。これらのペプチドは高度に親油性である。
これらの天然生成物の多くは抗真菌剤である。R106−1はこれらの成分の
中で最も強力であり、たとえばカンジダ・アルビカンスのように様々な臨床的に
重要な病原性真菌に対して有効である。
最近まで、R106−1の力価を増強し、そのスペクトルを拡大する努力は、
入手可能な修飾用の化学的手段がないという分子の欠点のために限られていた。
その上、全合成によってこれらの化合物の化学的誘導体を作成するための努力は
満足すべきものではなかった。下記反応式1に示す通り、R106−1を基質と
して使用する時には、レトロアルドール切断は誘導体を作るために容易に修飾で
きる部位を有するザルコシン(sarcosine)と呼ばれる中間体を産生す
る。
反応式1:
ザルコシンは、たとえばNaOHまたはKOHのような知られている触媒試薬
を使用すれば低収率で作成できる。しかしながら、反応混合物中の水がエステル
結合を加水分解すると思われるので、これらの反応は乾燥/不活性な条件下で行
うのが重要である。それにもかかわらず、これらの条件下で反応を行った時も、
脱水および加水分解に起因する数種の副生成物が生成して収率が低下した。これ
に加えて所望の生成物の多くが後処理の間に失われた。
これとは対照的に、本方法のレトロアルドール促進試薬は最適化された条件の
下ではザルコシンの収率を典型的には主たる副生成物なしに92%を超えて向上
させた(実施例1参照)。
勿論、以前に誘導されたR106骨格を持つ化合物も同様にして本方法に従っ
て反応できる。
本方法はまた他の天然物にも利用できる。例えば、カンジダ・アルビカンスの
ような種々の日和見真菌感染症の病原菌に対して有効な抗真菌性環状ヘキサペプ
チドの一群はこのレトロアルドール反応の基質として役立つ(実施例3参照)。
これら環状ペプチドはその多数が既に当技術分野で知られている様々な微生物を
培養することによって製造される。これらの中にはエチノカンジンB(echi
nocandin・B)、アクレアシン(aculeacin)、ムルンドカン
ジン(mulundocandin)、スポリオファンジン(sporiofu
ngin)、L−671329、FR901379およびS31794/F1が
ある。これら抗真菌剤はすべてが脂肪酸アシル側鎖を有するアミノ酸残基を含む
環状ヘキサペプチド核または骨格によって構造的に特徴付けられている。例えば
エチノカンジンBはリノレオイル側鎖を持つが、アクレアシンはパルミトイル側
鎖を持つ。そこでこれらの環状ヘキサペプチドは極性の骨格を持つ一方で親油性
側鎖を持つという事実によってR106族の化合物と相違する。
また、エチノカンジン族の化合物も以前に修飾されているが、しかしこれらも
β−ヒドロキシ基を維持しており、レトロアルドール基質として役立つ。
これに加えて、β−ヒドロキシ基を有する直線状ペプチドも本反応の基質とし
て役立つ。
β−ヒドロキシ基を有する非ペプチドも本反応の基質として役立つ(実施例4
参照)。このような例では、β−ヒドロキシ基の除去に対する一般的な必須条件
は同一である。
本発明の実行には例えばDMF、THF、アセトニトリル、またはDMSOの
ような非プロトン性極性溶媒への基質の添加を必要とする。殊にアセトニトリル
の使用は所望の生成物の純度を向上させるので好適である。
少なくとも5当量(基質上に存在する除去すべきβ−ヒドロキシ基の数に対す
るモル当量)のトリメチルアミン−N−オキシド、トリエチルアミン−N−オキ
シド、トリメチルアミン−N−オキシド水和物、およびトリメチルアミン水和物
から構成される群から選択されるレトロアルドール促進試薬を添加し、反応を封
管中または水凝縮器を付した丸底フラスコ中で進行させる。少なくとも10当量
のレトロアルドール促進試薬を添加すると実質的に副生成物の量が減少し、反応
速度が増加するので、好適である。さらに、殊にトリメチルアミン−N−オキシ
ドおよびトリメチルアミン−N−オキシド水和物は高い収率および純度を促進す
るので本方法のための試薬として好適である。
水和した試薬は一般に非水和試薬を使用した時よりも反応を時間的に遅延させ
るが、しかし水和物試薬は典型的にはレトロアルドール生成物の収率および純度
を向上させるので好適である。そこで、本方法のためにはトリメチルアミン−N
−オキシド水和物が最も好適な試薬である。
非プロトン溶媒への基質およびレトロアルドール促進試薬の添加後、反応混合
物を約50℃および約100℃との間まで3時間から72時間加熱する。一般に
温度の上昇は反応を時間的に加速する。しかしながら温度の上昇は出発物質の安
定性に悪影響を与えることがある。そこで70〜100℃が好適な温度であり、
70℃が最も好適である。
このレトロアルドール反応が以前から知られている方法に従って、NaOHの
ような強塩基によって触媒される時には、反応混合物中における水の存在は得ら
れる収率に明らかに不利益な効果を示す。これとは対照的に、本発明のレトロア
ルドール促進試薬を使用する時には、所望最終生成物の収率と純度は水の濃度が
約20%に等しいか、またはそれ以下では本質的に影響がない。しかしながら、
水の濃度が約20%を超えると反応は2日後にも不完全である。そこで、約0%
および約20%の間の水の添加が好適である。水和物試薬を使用する時には、反
応混合物の水含有量が水和物試薬からのものだけであるような、約0%の水追加
量が殊に好適である。
科学文献にはいくつかのアミン−N−オキシド試薬のある温度条件下における
分解が記載されている。例えばトリメチルアミン−N−オキシドはマリン(ma
rine)サンプルを100℃で1時間または120℃で30分間加熱すること
によってトリメチルアミンおよびジメチルアミンに変換された。Tokunag
a,T.、日本水産学会誌、41(5)巻:535〜546頁(1975年)。
これでレトロアルドール促進試薬としてアミン−N−オキシドを使用すると反応
系内でトリメチルアミンが生成し、これが本レトロアルドール反応を起こす本当
の試薬になっているという可能性が提起された。しかしながら商業的に入手した
トリメチルアミンを試薬として使用したところ70℃で数日後にも出発物質のみ
が与えられた(実施例2、表1参照)。トリメチルアミンに水を添加すると実際
にR106−1から約33%のザルコシンを与えたが、分析用高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)によって高濃度のオレフィンおよび開鎖生成物をともに
含む脱水およびエステル加水分解が検出された。そこで、レトロアルドール促進
試薬としてトリメチルアミンを使用するには反応混合物に水を添加する必要があ
る。
多重にβ−ヒドロキシ基が存在する場合には、基質からβ−ヒドロキシ基を選
択的に除去するように本発明の反応条件を操作できる。例えば、Aureoba
sidium・pullalansの発酵生成物中の成分であるR106−4は
下記のようにβ−ヒドロキシバリン残基1個およびβ−ヒドロキシフェニルアラ
ニン残基1個を含む。レトロアルドール促進試薬の濃度を調整してバリン誘導体
の3級β−ヒドロキシ基を除去するより前にβ−ヒドロキシフェニルアラニンを
優先的に切断した。この結果は、反応開始に十分な量を使用すると両β−ヒドロ
キシ基をこの出発化合物から触媒的に除去してしまうR106−4に対するNa
OH/DMSOの使用とは対照的である。勿論本発明に従ってレトロアルドール
促進試薬を増量して導入する時には両β−ヒドロキシ基をR106−4から除去
することも可能である。
前記について、β−ヒドロキシ基除去の速度および程度に影響するように温度
および時間も操作できることが示唆される。
本明細書中に記載する発明をさらに完全に理解しうるように、以下の実施例を
記載する。これら実施例が例示目的のためのみのものであり、本発明の範囲を限
定するためのものではないことを理解すべきである。
実施例1
米国特許第5057493号(ここに参考のために引用)に記載された通りに
Aureobasidium・pullulansからの発酵によって調製した
R106−1(0.25g、0.22ミリモル)をアセトニトリル2.5mLに
溶解し、この溶液にTNO−水和物(0.25g、2.2ミリモル)を一度に添
加した。この反応混合物を70℃に24時間加熱し、次に室温まで放冷した後、
混合物を原容積の約半分まで真空下に濃縮した。粗製の残渣を酢酸エチル200
mLに溶解し、冷10%HCl、続いて飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し
た。有機層を濃縮し、粗製残渣を逆相分取HPLCによって精製して白色固体と
してザルコシン0.22g(92%)を得た。
高速原子衝撃質量分析スペクトル測定で化学式C57H87N8O10を有するこの
生成物の分子量を確認した。計算値:1044.3。実験値:1043.7。核
磁気共鳴(NMR)はβ−ヒドロキシバリンに関連するγ−メチル部分の消失を
確認し、また除去されたβ−ヒドロキシバリン側鎖の場所へのα−プロトンの出
現を記録した。
実施例2
実施例1におけるようにR106−1を基質に用いて、このレトロアルドール
反応のパラメーターをさらに研究した。様々な試薬を種々の反応条件下にテスト
した。表1は特定の試薬、溶媒、時間および採用した温度を記載し、様々な条件
の効果を示す。発生したオレフィン不純物および未反応出発原料の量の対比にお
いて、ザルコシン生成物の相対的な量を示した。オレフィン不純物とはβ−ヒド
ロキシアルコール部分のみからのヒドロキシ基の除去によって、α−炭素とβ−
炭素との間に二重結合が生じた副生成物を示す。エステル結合の切断に由来する
開環副生成物も表中に指摘したいくつかの条件下に生成した。実施例1で行った
HPLCの条件を使用してザルコシンを標準としてこれらの比率を定量した。
実施例3
トレオニン残基2個およびβ−ヒドロキシホモチロジン残基1個を環状ペプチ
ド上に有する下式に示すエチノカンジン分子(320mg、0.288ミリモル
)をアセトニトリルおよびDMF(1:1)の混合物に溶解した。この溶液にT
N
O水和物(1.6g、14.3ミリモル)を一度に添加した。反応混合物を10
0℃に48時間加熱した後に混合物を室温まで冷却し、原容積の約半分まで濃縮
した。粗製残渣を酢酸に溶解し、逆相分取HPLCによって精製して最終生成物
150mg(52%)を得た。TNO水和物はトレオニン2個をグリシン残基に
変換し、ホモチロジンは不変のまま残留したことを高速原子衝撃質量スペクトル
で確認し、さらに生成物の分子量も確認した。
化学式C54H65N7O13:計算値:1020.1。
実験値:1020.8。
実施例4
下式で示されるエチルフェニルβ−(ジメチルヒドロキシ)アセテートのアル
キルエステル誘導体についてTNO水和物を用いてレトロアルドール反応を促進
した。このアルコール(0.5g、2.2ミリモル)をアセトニトリル20mL
中に懸濁し、この溶液にTNO水和物(2.5g、22.4ミリモル)を一度に
添加した。この反応混合物を70℃に2時間加熱した。均質な溶液を室温まで放
冷し、約半容まで減圧下に濃縮した。粗製残渣を酢酸エチルに溶解し、冷10%
HCl、続いて飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。有機層を
濃縮し、粗製の残渣を逆相分取HPLCによって精製した。この操作がβ−ヒド
ロキシ基を除去してアセトンおよびエチルフェニルアセテート0.31g(84
%)を与えたことは、エチルフェニルアセテートの標品と比較したHPLC分析
によって確認した。NMRで原料物質からのβ−ヒドロキシ基の除去とそれに付
随するα−プロトンの付加を確認した。
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N
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- 【特許請求の範囲】 1.β−ヒドロキシ含有基質からβ−ヒドロキシ基を除去する方法であって、基 質を、非プロトン性溶媒中、トリメチルアミン−N−オキシド、トリエチルアミ ン−N−オキシド、トリメチルアミン−N−オキシド水和物およびトリメチルア ミン水和物からなる群から選択されるレトロアルドール促進試薬の少なくとも約 5当量の存在下で、約50℃および約100℃の間に加熱することを含んでなる 方法。 2.β−ヒドロキシ含有基質が、式: [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8 −シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ナフチルであるか、または両者が結合 している炭素原子とともに安定な4員環から7員環までの炭化水素環を形成し; R3は水素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、フェニル、ベ ンジル、ナフチル、式:−C(O)R'で示されるアシル、式:−C(O)OR' で示されるカルボキシル、式−N(R")R'で示されるアミノ、式−C(O)N (R")R'で示されるアミド、またはペプチジルであり; R4は水素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、フェニル、ベ ンジル、ナフチル、−OR'、またはペプチジルであり; R'は水素、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、フェニル、ベ ンジル、またはナフチルであり;および R"は水素またはメチルである] で示される化合物である請求項1の方法。 3.β−ヒドロキシ含有基質がペプチドである請求項2の方法。 4.R3およびR4が両者が結合している原子とともに環状ペプチドを形成する請 求項2の方法。 5.ペプチドが式: で示されるものである請求項3の方法。 6.ペプチドが式: で示されるものである請求項3の方法。 7.レトロアルドール促進試薬を少なくとも10当量存在させる請求項1の方法 。 8.レトロアルドール促進試薬がトリメチルアミン−N−オキシド水和物である 請求項1の方法。 9.追加する水の容量が約0%である請求項8の方法。 10.反応温度が約70℃である請求項1の方法。 11.水の含量が約0%から約20%までである請求項1の方法。 12.少なくとも10当量のレトロアルドール促進試薬が存在し、このレトロア ルドール促進試薬がトリメチルアミン−N−オキシド水和物であり、反応温度が 約70℃であって、追加する水の容量が約0%である請求項1の方法。
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