JPH10506798A - 新規pka結合タンパク質及びその使用 - Google Patents

新規pka結合タンパク質及びその使用

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JPH10506798A
JPH10506798A JP9506832A JP50683297A JPH10506798A JP H10506798 A JPH10506798 A JP H10506798A JP 9506832 A JP9506832 A JP 9506832A JP 50683297 A JP50683297 A JP 50683297A JP H10506798 A JPH10506798 A JP H10506798A
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ロバート, オウェン ロッカービー,
アダム カシシャン,
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イコス コーポレイション
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規PKA結合タンパク質、そのポリペプチドをコードする核酸及びそのポリペプチドと特異的な免疫反応性を有する抗体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規PKA結合タンパク質及びその使用 発明の属する技術分野 本発明は、一般にプロテインキナーゼAに結合するタンパク質に関する。さら に詳細には、本発明は、細胞内でプロテインキナーゼAを局在化させる新規タン パク質及びそれらのタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関する。 発明の背景 ホルモン及びサイトカインなどの細胞外シグナルは、アデニル酸シクラーゼを 活性化し、cAMPの細胞内レベルを増大し、そして最終的にはcAMP依存性キナーゼ (PKA)を活性化することによって、細胞における多くのプロセスのモジュレー ションを行う。PKAは、例えば、グリコーゲンホスホリラーゼの可逆的なリン酸 化によるグリコーゲン代謝の調節[Walshら、J.Biol.Chem.、243巻、3763〜3765 頁(1969)]、及びRasによるRaf-1活性化を阻害することによるMAPキナーゼのシ グナル伝達の調節[Vojtekら、Cell、74巻、205〜214頁(1993)及びHafnerら、Mo l.Cell Biol.、14巻、6696〜6703頁(1994)]などの多くの細胞内経路において機 能する、普遍的な酵素である。不活性なPKAは四量体として存在し、ここで2つ の同じ触媒サブユニットが2つの調節サブユニットの二量体に結合している。cA MPによるPKAの活性化は、活性を有する触媒サブユニット(C)の遊離を惹起こ す調節サブユニット(R)の各々に、cAMP分子が結合することによって成し遂げ られる。Cサブユニットのフォームは1つだけ同定されており、一方、Rサブユ ニットは2つのク ラス、すなわち、RI及びRIIが存在し、明らかにこれらは細胞下分布が異なっ ている。RIイソフォーム(RIα及びRIβ)は主として細胞質にあり核には認 められないことが報告されており、他方RIIイソフォーム(RIIαまたはRIIβ )の75%までが、粒状で(particulate)、細胞質膜、細胞骨格成分、分泌顆粒 、ゴルジ装置、中心体またはおそらくは核のいずれかに会合している[Scott、P harmac.Ther.、50巻、123〜145頁(1991)]。おそらく、様々なRサブユニットに おける相違(物理的または生理的相違)によって、細胞がCサブユニットの活性 を所望の経路に限定することができる手段が提供される。 近年に得られた証拠から、潜在的基質の付近に不活性な酵素を局在化すること によって、細胞がPKA活性を導くことができ、それにより、Rサブユニットへのc AMPの結合による遊離に続いてCサブユニットの活性が限定されることが示唆さ れている。この「区画化(compartmentalization)」が、特定のシグナル伝達経 路において関与するものとPKAとを分かち、異なる細胞外刺激に呼応するPKAの特 異性に寄与する。PKAの区画化は、特異的な細胞内部位に不活性なホロ酵素を局 在化またはアンカー形成させる特異的なタンパク質との、Rサブユニットの相互 作用または繋留によって、少なくとも部分的に惹起こされるものである。PKAを 特異的に分かつタンパク質は、キナーゼアンカータンパク質(A Kinase Anchor P roteins)、あるいはAKAPと称されている[Hirshら、J.Biol.Chem.、267巻、21 31〜2134頁(1992)]。あるAKAPは、PKAに加えて他のタンパク質に結合及びアン カー形成することが示されているという事実に鑑みて、このタンパク質のファミ リーは一般にアンカー形成タンパク質(anchoring protein)として言及される 。 今日までに、多くのアンカー形成タンパク質が同定されてお り[後述]、これらは明らかに、両親媒性のヘリックス領域を含む共通のカルボ キシ末端二次構造モチーフによってPKAに結合するものである[Scott及びMcCart ney、Mol.Endo.、8巻、5〜11頁(1994)]。すべてとは言えないかもしれないが、 ほとんどの同定されたアンカー形成タンパク質へのPKAの結合は、この共通の二 次ヘリックス構造を模したペプチド(Ht31)の存在下に阻止することができるが 、一方、かかるペプチドのヘリックス性を破壊するような単一のアミノ酸置換を 含む変異型Ht31ペプチドは、PKA/アンカー形成タンパク質結合に対していかよ うな効果も有していない[Carrら、J.Biol.Chem.、266巻、14188〜14192頁(1991 )]。PKA/アンカー形成タンパク質の相互作用が共通の二次構造によって成し遂 げられるとしても、アンカー形成タンパク質(あるいは、異なる種に見出される アンカー形成タンパク質相同体)は、様々な生物において同定されてきて現在も その同定数が増加しているアンカー形成タンパク質によって証明されるように、 概して独自の一次構造を有する。おそらくは、その独自のアミノ酸構造(タンパ ク質のアミノ末端領域で最も顕著である)が、様々な特異的細胞型に独自なもの として同定されるアンカー形成タンパク質を、そしてPKAの局在化が観察されて いる様々な特異的細胞内区画を、部分的に担うものである。 例えば、哺乳動物の脳に主に発現されているアンカー形成タンパク質は、ラッ ト(AKAP 150)及びウシ(AKAP 75)において[Bergmanら、J.Biol.Chem.、267 巻、7207〜7213頁(1992)]、ならびにヒト(AKAP 79)において[Carrら、J.Bio l.Chem.、267巻、16816〜16823頁(1992)]同定されている。ニューロンに特異的 なこれらのタンパク質間におけるアミノ酸の同一性及び免疫学的交差反応性によ って、それらが種間の相同体に相当す るものであることが示されている。他の例として、AKAP 100は、ヒト及びラット の心筋及び骨格筋に特異的であるらしく、一方これら哺乳動物の脳細胞において はより低い程度しか発現されていないようである。また別の例としては、AKAP H t31[Carrら、J.Biol.Chem.、267巻、13376〜13382頁(1992)]は甲状腺細胞に特 異的であると考えられる。これらとは逆に、AKAP 95は、多数の細胞型において 発現されており、明瞭な組織または細胞型特異性を示さないことが示されている 。 特異的な細胞内区画内の局在化に関して、AKAP 75(微少管に会合するタンパ ク質(MAP-2))[Threurkauf及びVallee、J.Biol.Chem.、257巻、3284〜3290頁 (1982)ならびにDeCamilliら、J.Cell Biol.、103巻、189〜203頁(1986)]、AKAP 79[Glantzら、J.Biol.Chem.、268巻、12796〜12804頁(1993)]及びAKAP 150[ Glantzら、Mol.Biol.Cell、3巻、1215〜1228頁(1992)]は、細胞骨格構造タンパ ク質に密接に会合しており、AKAP 75は、シナプス後膜肥厚に、より特異的に会 合している[Carrら、J.Biol.Chem.、267巻、16816〜16823頁(1992)]。さらに 別のアンカー形成タンパク質は、広範に細胞構造へ局在することがより少ないこ とが示されており、これらには、中心体に会合するAKAP 350[Keryerら、Exp.Ce ll Res.、204巻、230〜240頁(1993)]、ラット心組織の筋小胞体に会合するAKAP 100[McCartneyら、J.Biol.Chem.、270巻、9327〜9333頁(1995)]、及びPKAを ゴルジ装置に結び付ける85 kDaのAKAP[Riosら、EMBO J.、11巻、1723〜1731頁( 1992)]が包含される。 AKAP 95は見かけ上ジンクフィンガーのDNA結合領域を有し、核内に専ら存する ようである[Coghlanら、J.Biol.Chem.、269巻、7658〜7665頁(1994)]。AKAP 9 5のDNA結合ドメインによって、おそらくは転写因子のリン酸化のためのPKAのポ ジショニン グによる遺伝子の転写におけるPKAの直接的な関与に対する役割が提供されるも のである。アンカー形成タンパク質/PKA結合により影響を受けることが示され ている他の別種の細胞活性が、相互作用の破壊によって立証されており、この例 を挙げれば、T細胞におけるPKA/アンカー形成タンパク質結合の破壊によってc AMPで誘導されるインターロイキン2発現の抑制が可逆化されることが示されて いること[Lockerbieら、J.Cell Biochem.、追捕版21A巻、76頁、要旨D2155(199 5)]、そして海馬のニューロンにおけるPKA/アンカー形成タンパク質結合の破 壊によってアルファ-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオ ン酸/カイナートグルタミン酸受容体を通じた全体の細胞の流れが減衰されるこ とが示されていること[Rosenmundら、前出]などである。アンカー形成タンパ ク質がIL-2発現を調節し、そしてグルタミン酸受容体活性を調節する能力は、ア ンカー形成タンパク質がカルシニューリンに結合できると以前立証されたことと 組み合わせて、アンカー形成タンパク質とアンカー形成タンパク質の細胞成分へ の結合をモジュレートする分子とが、多様な治療上の適用に供されうることを示 唆するものである。 しかして、今日までに同定されたアンカー形成タンパク質の細胞型での発現、 細胞下の局在性の双方に関する多様性、及び生理学的活性に鑑みて、当該技術分 野では、新規のアンカー形成タンパク質及びそれらをコードする核酸を同定し続 ける要求が現存している。アンカー形成タンパク質の一次構造の独自性によって 、特異的にPKAの局在性を調節する標的が提供され、そしてこれによって、特異 的な細胞プロセスにおけるその機能が提供される。 発明の要約 本発明は、PKA結合性及び細胞下区画化の生物学的特性を有するタンパク質を コードする、精製され単離されたポリヌクレオチド配列を提供する。現在のとこ ろ好ましいポリヌクレオチドは、配列番号:5に示される。本発明のポリヌクレ オチドは、厳密なハイブリダイゼーション条件下で配列番号:5のポリヌクレオ チドにハイブリダイズするポリヌクレオチドをも含むものである。本発明のポリ ヌクレオチドは、DNAまたはRNAでよく、そのDNA分子のセンス鎖またはアンチセ ンス鎖にハイブリダイズするものでもよい。DNAは、cDNA、ゲノムDNAまたは化学 的に合成されたDNAでもよい。本発明のポリヌクレオチドは、コンプリメンテー ション(complementation)、低厳密度ハイブリダイゼーション、及び本発明の ポリヌクレオチドの配列の知識に基づいて作製されたプライマーを利用するPCR などの標準技術によって同定することができる。 本発明によってさらに提供されるのは、プロモーター及び転写ターミネーター などの転写調節エレメントに作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを 含む組換え発現構築体である。転写調節エレメントは、同種性でも異種性でもよ い。 本発明の他の範疇は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフ ェクトされた宿主細胞である。宿主細胞は、原核生物細胞でも真核生物細胞でも よい。かように形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、本発明のPK A結合ポリペプチドの発現のために特に有用であり、これらポリペプチドは、そ の宿主細胞または該宿主細胞が生育された培地から単離することができる。 本発明のさらなる範疇は、本発明のポリヌクレオチドでコードされるPKA結合 ポリペプチドである。好ましいPKA結合ポリペ プチドは、配列番号:5に示されるポリヌクレオチドでコードされるものである 。本発明のポリペプチドは、天然の供給源から精製しても、または本発明の宿主 細胞を用いて組換え法によって製造してもよい。野生型のポリペプチドの生物学 的活性を維持している変異ポリペプチドも企図されており、これには、PKA結合 ポリペプチドの機能的または免疫学的性質をモジュレートする、付加、欠失また は保存的アミノ酸置換が組み込まれた類似体が包含されている。他の変異ポリペ プチドには、アッセイ支持体上での精製または固定化を容易ならしめる付加的な ポリペプチド配列が組み込まれた融合タンパク質が包含される。本発明のさらな るポリペプチドは、配列番号:5のポリヌクレオチドにコードされるポリペプチ ドとの免疫学的交差反応性によって同定されうる。 本発明はさらに、前記のPKA結合ポリペプチドに特異的に結合するポリペプチ ド及び非ポリペプチド分子も提供する。好ましい結合分子には、抗体(例えば、 ポリクローナル、モノクローナル、組換え抗体またはそれらの結合性断片)が包 含される。結合分子は、PKA結合ポリペプチドの精製、PKA結合タンパク質を発現 している細胞の同定、及びPKAとPKA結合ポリペプチドとの間のin vivoの相互作 用のモジュレーションのために有用である。本発明のPKA結合ポリペプチドと特 異的な免疫反応性を有する抗体を生産するハイブリドーマ細胞系も、提供される 。かようなハイブリドーマを、当該技術分野でよく知られた技術により製造し、 同定してもよい。 PKAと本発明のPKA結合タンパク質との間の相互作用を破壊する分子を同定する ためのアッセイもまた、提供される(例えば、固定化結合アッセイ、溶液結合ア ッセイ、シンチレーション近接アッセイ、ジ−ハイブリッドスクリーニングアッ セイ等) 。ある例では、PKAと本発明のポリペプチドとの間の結合をモジュレートするこ とが望ましいかもしれない。他の例では、PKA結合ポリペプチドと、それが結合 する細胞成分(PKA以外)との間の結合を特異的にモジュレートすることが望ま しいかもしれない。いずれの場合でも、本発明のポリペプチドによって、本発明 のアッセイのための有用なスクリーニングの標的が提供されるのである。本発明 のアッセイは、米国特許第5,283,173号及び特許協力条約(PCT)公開番号第WO91 /16457号にそれぞれ記載されるような、ジ−ハイブリッドスクリーニングまたは 相補性アッセイなどの、細胞をベースとするアッセイを包含する様々な様式で実 施することができる。この型のアッセイは、化合物の細胞内での効力を評価する ために特に有用である。本発明の細胞をベースとしないアッセイには、シンチレ ーション近接アッセイ、cAMP競合アッセイ、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッ セイ、化学発光アッセイ等が包含される。このようなアッセイ法は、当該技術分 野においてよく知られており、例えば、Boudetら、J.Immunol.Meth.、142巻、73 〜82頁(1991);Ngaiら、J.Immunol.Meth.、158巻、267〜276頁(1993);Pruslin ら、J.Immunol.Meth.、137巻、27〜35頁(1991);Udenfriendら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA、82巻、8672〜8676頁(1985);Udenfriendら、Anal.Biochem.、161巻 、494〜500頁(1987);Bosworth及びTowers、Nature、341巻、167〜168頁(1989) ;Gilman、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、67巻、305〜312頁(1970);ならびに米国 特許第4,568,649号などに、普く記載されている。アンカー形成タンパク質の結 合をモジュレートする化合物の用途は明白である。例えば、小分子が、PKA/ア ンカー形成タンパク質結合または特異的な細胞成分とのアンカー形成タンパク質 の相互作用のいずれかを阻害することが見出されるかもしれな い。この型のモジュレーターは、PKAの特異的なプールを脱局在化して、標的と されるシグナル伝達系のみに作用するであろう。他の細胞成分に対するアンカー 形成タンパク質の結合のモジュレーターの同定が、同じように有益であるかもし れない。例えば、これまでに同定された免疫抑制剤と類似の様式でカルシニュー リン活性に作用しながらも、副作用が少ない因子などは、現在毒性がより強い免 疫抑制剤を用いて処置されている病態の処置に有用であるかもしれない。加うる に、細胞活性におけるアンカー形成タンパク質の関与をモジュレートする因子の 同定は、現在容認されている治療上の介入の代替としても有用であるかもしれな い。例えば、IL-2発現のアンカー形成タンパク質による調節を調節する因子は、 外来性の組換えIL-2の投与の代替として有用であるかもしれない。 発明の詳細な説明 以下の実施例は、例示として提供されるものであり、本発明を限定するもので はない。実施例1には、ヒトcDNAライブラリーからのT細胞に特異的なアンカー 形成タンパク質の同定を述べる。実施例2には、同定されたアンカー形成タンパ ク質のRII結合特異性を記載する。実施例3は、アンカー形成タンパク質のヌク レオチド配列の決定に関する。実施例4には、アンカー形成タンパク質クローン の発現を述べる。実施例5は、アンカー形成タンパク質の細胞及び組織分布に関 する。実施例6には、アンカー形成タンパク質の、潜在性を有する治療上の適用 及びアンカー形成タンパク質結合をモジュレートする分子を記載する。 実施例1 T細胞で発現されるアンカー形成タンパク質の同定 T細胞の新規アンカー形成タンパク質を同定する試みにおいて、ZAPII Expres s(Stratagene社、La Jolla、カリホルニア州)にサブクローニングしたヒトJur katT細胞のcDNAライブラリーを、Carrら、J.Biol.Chem.、267巻、16816〜16823 頁(1992)に記載される通りのRIIαオーバーレイ技術によってスクリーニングし た。 端的に説明すると、ライブラリーファージ(5 × 104pfu)1μlを、OD600=0 .5にまで生育させた10 mM MgSO4中の大腸菌株XL-1 Blue MRF’(Stratagene社)60 0μlに添加した。細菌及びファージは、37℃にて15分間インキュベートし、その 後、7.5 mlのトップアガー(NZY培地(1%[重量/容量]N-Z-Amine Type A、0.5 %[重量/容量]酵母抽出物、86 mM NaCl、8 mM MgSO4・7H2O、1.5%[重量/容量] Bactoアガー、pH 7.5)、0.7%アガロース)をその懸濁液に加えた。こうして得 られた混液を、予め37℃に暖めておいたNZYプレートに直ちに播いた。プレート を、室温にまで冷まし、そして42℃にて4時間インキュベートした。10 mMイソ プロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド(IPTG)に予め浸しておいたニトロ セルロースフィルターをプレート上に置き、そのプレートをさらに37℃にて4時 間インキュベートした。フィルターを取り出し、TBS(50 mM Tris、pH 7.5、150 mM NaCl)中で3回洗浄し、Block(TBS、5%脱脂乳、0.1% BSA)中で4℃にて 終夜ブロッキングを行った。同様に準備した第2組のニトロセルロースフィルタ ーをプレート上に被せ、そして4℃にて終夜インキュベートした。フィルターを 洗浄(前記の通り)し、室温にて1時間ブロッキング(やはり前記の通り)を行 った。 およそ4μg(6μl)の組換えマウスRIIαを、2.35μg(0.5 μl)のPKAの組換えウシ触媒サブユニットと、2.5μlの[32P]ATP(25μCi、3000 Ci/mmole)と1μlの緩衝液(0.5 M MOPS、pH 7.0、0.5 M NaCl、20 mM MgCl2、 及び10 mM DTTを含有する)とを含有する反応液中で混合した。30℃にて30分間 反応を進行させて、その後取り込まれなかった標識を、Execellulose GF-5カラ ム(Pierce社)を使用して除去した。室温にて6時間、[32P]R IIα(Block中 、100,000 cpm/ml)でフィルターをプローブ探査した。インキュベーションの後 、1% Tween-20を含有するTBS中でフィルターを3回洗浄し、X線フィルムに16 時間露光した。 スクリーニングを行ったおよそ1 × 106のプラークのうち、1つの陽性プラー クであるプラーク#11が、標識したRIIαに結合するものとして同定された。プ ラーク#11について、最初のスクリーニングにて記載した技術によって第二次ス クリーニングを行い、これにより、プラーク#11の子孫もまた放射線標識された RIIαに結合することができることが示唆された。 実施例2 プラーク#11へのRIIα結合の特異性 ペプチドHt31(配列番号:1)は、アンカー形成タンパク質へのPKAの結合を 包括的に阻止することができること、及びHt31のプロリン変異体(下記の配列番 号:2を参照のこと、配列中、プロリン置換は、強調文字及び下線で示す)はや はり前記したように、かような阻止ができないことに鑑みて、いずれかのHt31ペ プチドの存在下でRIIαオーバーレイを実施した平行実験で、プラーク#11への RIIα結合の特異性を調べた。 端的に説明すると、実施例1に記載した通りにニトロセルロースフィルターリ フトを調製した。ここで、得られたプラークリフトは、Ht31ペプチドまたはプロ リン変異Ht31ペプチドのいずれかを1μM含有するBlock中で、室温にて15分間プ レインキュベートしたことを除いては、実施例1に記載の方法に従った。プレイ ンキュベーションに続いて、実施例1に記載の通りに[32P]RIIαでフィルター をプローブ探査し、次いでそのフィルターをオートラジオグラフィーに付した。 オートラジオグラムによって、Ht31ペプチドと共にプラーク#11をプレインキ ュベートすると、[32P]RIIαの結合が阻止され、一方プロリン変異型のHt31ペ プチドと共にプレインキュベートした場合にはなんらの効果も示されないことが 明らかになった。これらの結果によって、プラーク#11によりコードされるポリ ペプチドへのRIIα結合は、以前に同定されたアンカー形成タンパク質により利 用されたと同様に、プラーク#11の二次構造によりもたらされることが示唆され る。 実施例3 プラーク#11 cDNAのクローニング プラーク#11のファージ内のインサートのヌクレオチド配列を決定し、コード されるタンパク質のアミノ酸配列を決める試みにおいて、ExAssist/XLOLR Syste m(Stratagene社)を使用して製造業者の使用説明に従って、in vivoでプラーク #11のcDNAイ ンサートを切り出した。 端的に説明すると、NZYプレートからプラーク#11を取り出し、500μlのSM緩衝 液(100 mM NaCl、8 mM MgSO4・7H2O、50 mM Tris-HCl、pH 7.5、0.01%[重量/ 容量]ゼラチン)及び20μlのクロロホルムと混合した。混液を渦巻状に混合し、 4℃に保存した(ファージのストック)。XL-1 Blue MRF'及びXLOLR細胞(双方と もStratagene社)を、0.2%(容量/容量)のマルトースを含有する10 mM MgSO4 ・ 7H2Oを追加したLBM培地中で、30℃にて終夜、別々に生育させた。終夜培養した 0.5 mlの培地及び50 mlのLBM培地を用いて、XL-1 Blue MRF'細胞の1/100希釈液 を調製し、そして、その希釈液は、対数増殖期中期まで、37℃にて2〜3時間生 育させた(XL-1 Blue MRF'細胞についてはOD600=0.2〜0.5、あるいはXLOLR細胞 についてはOD600=0.5〜1.0)。培養液は1500 × gで遠心し、これによって得ら れたペレットは、OD600=1.0の密度になるよう、10 mM MgSO4・7H2O中に再懸濁し た。 そのXL-1細胞200μl、前記のファージのストック懸濁液250μl、及びExAssist ヘルパーファージ(Stratagene社)1μlを合わせて、37℃にて15分間インキュベ ートした。3 mlのLBM培地を加えて、その混液を振盪しながら、さらに37℃にて2 .5時間インキュベートした。インキュベーションの後、混液を2000 × gにて15 分間遠心した。上清を回収し、70℃にて15分間インキュベートし、そして4000 × gにて15分間遠心した。こうして得られた上清には、ファージミドpBK-CMVに プラーク#11がパッケージングされた繊維状ファージが含まれていた。このファ ージミドは、10μlのファージミドストックとともに200μlのXLOLR細胞(前記の 通りに調製)を混合し、37℃にて15分間インキュベートすることによって救出し た。インキュベーションの後、300 μlのLBM培地を添加し、その混液をさらに37℃にて45分間インキュベートした。 その結果得られた細胞懸濁液を、50μg/mlのカナマイシンを含有するLBM上に、 プレート当たり200μlで播いた。 プラスミドの調製は、標準法によって行い、これにはWizard Miniprep Kits( Promega社)の使用が包含されていた。プラーク#11から単離されたプラスミドDN Aは、クローン#11と名付けられた。そのcDNAインサートを、EcoRI及びBamHIを用 いて消化することによりベクターから切り出し、そして得られた断片をアガロー スゲル電気泳動を使用して分離した。クローン#11インサートは、2850 bpの鎖長 であることが確かめられた。クローン#11のネステッド(nested)欠失体を、Era se-A-Base System(Promega社、Madison、ウィスコンシン州)を用いて作製し、 そしてクローン#11を、Universal T3(ATTAACCCTCACTAAAG[配列番号:3])及 びT7(GATATCACTCAGCATAA[配列番号:4])プライマーならびにPrism Ready R eaction DyeDeoxy Terminator Cycle Kit(Perkin Elmer社)を使用して、ABI37 3 DNA Sequencer(Perkin Elmer社、Foster City、カリホルニア州)にて配列決 定した。 クローン#11のDNA配列を、配列番号:5に示す。このヌクレオチド配列内に適 切な開始コドンを検出することができなかったので、クローン#11に対して導き 出されるアミノ酸配列及び分子量を決定するのは不可能であった。T3プライマー から得られた配列のヌクレオチドレベルBlast Search(1995年6月16日、14:01: 37 EDT)によると、「Homo Sapiens cDNA 3'-end similar to none」(受託#T32 770)と名付けられたクローンとの相同性が示され、一方、T7プライマーから得 られた配列データによって、「Homo Sapiens cDNA 5'end similar to none」 (受託#T31099)と名付けられたクローンとの、クローン#11の1905〜2248までの 343塩基の連なりにわたる98%の相同性が示された。加うるに、クローン#11は、 「Homo Sapiens partial cDNA sequence,clone 66D04」(受託#Z24883)と名付 けられたクローンと、ヌクレオチド2308〜2640までの332塩基の連なりにわたっ て98%の相同性を示した。 実施例4 クローン#11の発現 クローン#11の遺伝子産物に対する近似分子量を決定するために、XLOLR細胞内 でのクローン#11を終夜培養したもの(実施例3に記載の通りに調製)を、LBM培 地/テトラサイクリン(12.5μg/ml)中で生育させ、次いで250 mlの同培地に接 種するために使用した。インキュベーションは、37℃にてOD600=1.2になるまで 進行させ、その後、6000 × gにて15分間で細菌をペレット化した。そのペレッ トを計量し、10倍容量(重量/容量)のFP緩衝液(1% Triton X-100、150 mM N aCl、1 mM EGTA、1 mM EDTA、10 mM Tris、pH 7.4、1% Aprotinin、0.2%NaN3 )に再懸濁させた。細胞をFrench Pressで破砕し、40,000× gで30分間遠心する ことによってその溶解液を清澄化した。次いで、溶解液はCentricon-10(Amicon 社)を使用して濃縮した。濃縮した溶解液のアリコートを10% Tris-グリシンゲ ル(Novex社)に付し、電気泳動して、Immobilon(Millipore社)に転写した。 ブロット膜は、[32P]RIIαを用いてプローブ探査した。およそ120 kDの単一バ ンドが検出され、これはHt31ペプチドにより競合して部分的に除かれた(compet e away)。これらの結果から、クローン#11が、PKA結合ポリペプチドとPKAとの 間の結合の阻害剤を同定するアッセイにおいて使用することが できるPKA結合タンパク質をコードしていることが示唆される。 実施例5 クローン#11の細胞及び組織分布 クローン#11発現の細胞及び組織分布を調べるために、逆転写酵素PCR(RT-PCR )を利用して、クローン#11のmRNAレベルを評価した。 端的に説明すると、先ず初めに、実施例3において決定した核酸配列に基づい て、クローン#11配列の300 bpにわたるようにプライマーを設計した。クローン# 11に対する配列(配列番号:5)において、プライマー2T3はヌクレオチド266〜 283に対応し、プライマーM2T3はヌクレオチド434〜453に対応し、プライマーR2T 3はヌクレオチド601〜622に対応し、プライマーR2T7はヌクレオチド2229〜2250 に対応し、プライマーM2T7はヌクレオチド2337〜2400に対応し、そしてプライマ ー2bT7はヌクレオチド2256〜2592に対応している。RNA Isolation Kit(Stratag ene社)を使用して、様々な細胞及び組織型(結果についての議論にて後記)か らRNAを調製した。RT-PCRは、下記のごとく実施した。最初にRNA(10μlの水中 におよそ1μg)を80℃にて3分間インキュベートすることにより変性させ、その 後RNAは下記のように逆転写酵素反応を行うまで、さらに氷上でインキュベート した。変性したRNAは、8μlの5× MMuLV-RT緩衝液(Boehringer社)、8μlの2.5 mM dNTP混液、2T3及びR2T3プライマーかまたは2bT7及びR2T7プライマーのいず れか0.5μgを含有する1μlの水、1μlのRNAse阻害剤(Boehringer社)、1μlの MMuLV-RT(Boehringer社)ならびに水11μlと混合し、そして42℃にて1時間イ ンキュベートした。 PCRは、以下のように行った。前記の逆転写酵素反応液から2 μlを、3μlの2.5 mM dNTP混液、3μlの10× Taqポリメラーゼ緩衝液(Boehring er社)、3μl(0.3μg)の2T3プライマーと3μl(0.3g)のR2T3プライマー、あ るいは3μl(0.3μg)の2bT7プライマーと3μl(0.3g)のR2T7プライマー、0.5 μlのTaqポリメラーゼ、及び14.5μlの水と混合した。混液を94℃に4分間加熱し 、その後30回の反応サイクル(94℃で1分間、60℃で1分間及び72℃で1分間) を完遂した。 PCRからの増幅産物は、1%アガロースゲルの電気泳動によって分離し、続いて 標準法によってNytran Plus膜(S+S)に転写した。PCR産物をUV照射で膜に交差 結合させ、次いでその膜は、5× SSPE、0.5%SDS、0.1 mM Tris、pH 7.5、及び2 × Denhardt's中で42℃にて3時間プレハイブリダイゼーションを行った。 ハイブリダイゼーションプローブは以下のような端部標識付けによって調製し た。2μl(200 ng)のプライマーM2T3を、2μlのプライマーM2T7(200 ng)、2 μlの10×ポリヌクレオチドキナーゼ緩衝液(Boehringer社)、10μlの32P-ATP (100μCi、3000 Ci/mmole)、2μl(20単位)のT4ポリヌクレオチドキナーゼ( Boehringer社)及び2μlの水と混合した。反応を37℃にて30分間進行させ、その 後2μlの0.5 M EDTAを添加することにより反応を停止し、そして取り込まれなか った標識は、Centristepカラム(Princeton Separation,Inc.)を用いて遠心す ることによって除去した。次いで、前記プレハイブリダイゼーション用緩衝液に さらに400 ng(各々200 ng)の32Pで標識したプライマーM2T3及びM2T7を含有す る緩衝液中で、膜を42℃にて終夜プローブ探査した。ハイブリダイゼーションの 後、膜を0.2%SDSを含む0.5× SSC中で各々10分間、室温にて3回洗浄し、次い でオートラジオグラフィーに供した。 細胞に基づいての結果から、クローン#11は、Ramos細胞(B細胞)、Jurkat細 胞(T細胞)、U973細胞(単球)、T84細胞(結腸癌)、HL60細胞(前骨髄細胞 性白血病)、A549細胞(肺上皮)、及びHela(上皮性癌)で発現されていること が示唆された。組織分析の結果、クローン#11は、ヒト睾丸、肝及び脳の後頭皮 質において発現されていることが示唆された。 実施例6 潜在性を有する治療への適用 AKAP 79がカルシニューリンに結合するということについて以前に行われた証 明は、カルシニューリンが、シクロスポリン及びFK506という2つの強力な且つ 臨床的に有用な免疫抑制剤の標的であるという事実に鑑みて意味を有するもので あり、これら薬剤の双方ともがカルシニューリン活性を阻害するものである。以 下に記載するように、シクロスポリン及びFK506は双方とも、様々な疾患の処置 において有用であるが、重大な、使用を限定する副作用を有する。おそらくは、 アンカー形成タンパク質/カルシニューリン結合をモジュレートする因子は、究 極的には、シクロスポリン及びFK506の活性と類似した経緯で、カルシニューリ ン活性をモジュレートするのかもしれない。かかるモジュレーターで、特に、他 の免疫抑制剤で観察されるものより副作用が少ないモジュレーターを同定すれば 、おそらく、現在はシクロスポリンまたはFK506を用いて処置されている数多く の疾患の処置に、広範なる治療用途がもたらされよう。 シクロスポリン及びFK506の、数多くの臨床的適応指標が報告されている。例 えば、一般にFK506の方が強い免疫抑制剤であると考えられているのであるにせ よ、肝臓、肺、腸、及び膵臓移植を可能とする移植後免疫抑制として、シクロス ポリンが標準 的に用いられるものと規定されている。シクロスポリンまたはFK506のいずれに も耐性を有しないあるいは功を奏しない移植患者の場合、時として他の薬剤に変 えて成功を修めることがある。 他の例として、炎症性腸疾患(IBD)は、異なる臨床的様相を有する2つの疾 患、すなわち、クローン病及び潰瘍性大腸炎(UC)に対して用いられる一般用語 である。クローン病を処置するために、シクロスポリンが用いられて成功を修め ており、疾患の活性の少なくとも1つの指標において、統計学的に有意な処置結 果が立証されている[Brynskov、Dan.Med.Bull.、41巻、332〜344頁(1994)]。 しかしながら、急性の増悪の消散に最も相関性を示す他の指標では、有意な改善 傾向が示されなかった。シクロスポリンは、重篤な急性ステロイド耐性UCにおい ても、活性を示している(倫理上の理由により試験が中止されたので、データに 有意性はない)。硬化性胆管炎及びUCに罹患した患者で別途試験を行うと、UCの 経過の緩解に対し、有意性有無の境界線にあることが示された。使用停止後の再 発が一般に認められ、そして毒性への懸念により処置は限定を受ける[Choi及び Targan、Dig.Dis.and Sci.、39巻、1885〜1892頁(1994)]。加えて、メトトレ キサート、アザチオプリン、及び6-MPなどの他の免疫抑制剤が、IBDにおいて用 いられて成功を修めている。 他の例として、シクロスポリンは、慢性関節炎リウマチの処置で(疾患の第二 または第三番目の系列の治療として用いられる場合、すなわち、他の確立された 療法に失敗して疾患が重篤な患者にて行われた様々な試みにおいて)有効である ことが立証されている。これらの試みでは、シクロスポリンは一般に、金、抗マ ラリア薬、アザチオプリン、D-ペニシラミン、及びメ トトレキサートなどの、他の第二系列の薬剤と同程度に有効且つ毒性を有するこ とが見出された[Wells及びTugwell、Br.J.Rheum.、32巻(追補1)、51〜56頁(199 3);Forreら、Arth.Rheum.、30巻、88〜92頁(1987)]。これらの試みでは、シク ロスポリンの「潜在的に不可逆的な毒性」のゆえに、「極めて重篤で、療治し難 い活性RA」の処置が報告されているにすぎない[Dougados及びTorley、Br.J.R heum.、32巻(追補1)、57〜59頁(1993)]。腎の毒性は、NSAID腎毒性を増悪化す る腎臓の血管収縮を主に介するものであると考えられており、腎疾患は、慢性関 節炎リウマチに付随する[Leaker及びCairns、Br.J.Hosp.Med.、52巻、520〜534 頁(1994);Sturrockら、Nephrol.Dial.Transplant、9巻、1149〜1156頁(1994); Ludwin及びAlexopolulou、Br.J.Rheum.、32巻(追補1)、60〜64頁(1993)]。シ クロスポリンを用いて処置したRA患者からの腎生検の約10%がシクロスポリン毒 性の形態学的特徴を示した[Inter-national Kidney Biopsy Registry of Cyclo sporin in Autoimmune Doseases、Br.J.Rheum.、32巻(追補1)、65〜71頁(1993 )]。 さらなる別の例として、シクロスポリンはステロイド依存性の喘息の処置に有 効であることが報告されている。1つの試験で、少数の患者に無作為にシクロス ポリンまたは偽薬を与えると、シクロスポリン群では、気流及びFVCの増大を呈 するのみならず、プレドニゾロンでの救助を要する回数が少なかった。 他の例としては、シクロスポリンはステロイド依存性最小変化性疾患ネフロー ゼ症候群の処置において有効であることが示された。この試験における患者は、 低用量のシクロスポリンでステロイド要求性が低くなることが示されたが、シク ロスポリン投与を中断すると、すべて再発した。ネフローゼ症候群のス テロイド耐性型は、シクロスポリンに対してわずか20〜30%の応答率しか有しな い[Meyrier、Nephrol.Dial.Transplant、9巻、596〜598頁(1994);Hultonら、P ediatr.Nephrol.、8巻、401〜403頁(1994)]。 全身性狼瘡紅斑(SLE)の処置に関して、予期される、無作為化せず対照をと らない研究において、SLE活性指標の有意な低下が報告された研究がある[Tokud aら、Arthr.Rheumat.、37巻、551〜558頁(1994)]。しかしながら、他の研究で は、SLEにおける有効性は立証されていない。 他の例として、シクロスポリンは最初の発症の後迅速に開始した場合に、イン シュリン依存性の真性糖尿病の緩和を誘導することが示されている。緩和は平均 約1年認められたが、850日まで延びる者もみられた[Jennerら、Diabetalogia 、35巻、884〜888頁(1992);Bougneresら、Diabetes、39巻、1264〜1272頁(1990 )]。1つの研究でさらに長期間追跡調査されたが、シクロスポリンの効果がそ れ以上に持続することは認められなかった[Martinら、Diabetalogia、34巻、42 9〜434頁(1991)]。しかしながら、別の研究で、12〜18カ月間処置を続ける間に 腎機能が悪化し、偽薬でのレベルに完全には回復しなかったので、何らかの慢性 腎損傷が発生しているかもしれないことが示唆された[Feldt-Rasmussenら、Dia betes Medicine、7巻、429〜433頁(1990)]。インシュリン依存性真性糖尿病の 治療経過における免疫抑制剤療法の効果を増強するためには、初期に介入するこ とが必要とされよう。いくらかの研究者が、一親等でスクリーニングを行い、糖 尿病指標を有するものの予防的処置に成功を修めている[Elliot及びChase、Dia betologia、34巻、362〜365頁(1991)]。 さらに別の例として、シクロスポリンによって乾癬が有効に 処置されている[Cuellarら、Balliere's Clin.Rheum.、8巻、483〜498頁(1994) ;Ellisら、JAMA、256巻、3110〜3116頁(1986)]。乾癬性関節炎(破壊性の関節 炎の特に重篤な型)の処置に対して、高投与量での療法は有効であり、療法を中 断すると、その後一般に皮膚及び関節の増悪を伴った。潜在的な副作用及び継続 的な長期間の処置の必要性に鑑みて、シクロスポリンは、他の手段によって適切 に処置されない、難治性の乾癬性関節炎の場合のみに投与の必要が示される。 加えて、シクロスポリンは、偽薬を対照とした2重盲検試験において、重篤な アトピー性皮膚炎の処置に有効であることが立証されている[Van Joostら、Br. J.Derm.、130巻、634〜640頁(1994);Cooper、J.Invest.Derm.、102巻、128〜13 7頁(1994)]。未処置の疾患患者より、薬物に起因する悪心、腹部不快、知覚異 常、胆汁うっ滞及び腎不全が患者に好発した。別の無作為化した2重盲検の、偽 薬を対照とした研究で、シクロスポリン処置によって重篤なアトピー性皮膚炎の 患者に対する生活の質が有意に高められることが見出された[Salekら、Br.J.De rm.、129巻、422〜430頁(1993)]。シクロスポリンを止めると速やかに皮膚の障 害は再発したが、生活の質の向上は維持された。 さらに別の例として、シクロスポリンは手の慢性皮膚炎の処置に用いられてい る。前記慢性皮膚炎は、報告されている罹患率が4〜22%であり、典型的には、 局所ステロイドをもって処置されるものの、この処置は多くの患者に非感応的で ある。公開研究において、低投与量のシクロスポリンにより7人中6人の患者が 有効処置されることが示されている[Reitamo及びGranlund、Br.J.Derm.、130巻 、75〜78頁(1994)]。シクロスポリンを中断すると、患者のおよそ半分で再発が 起こった。 さらに別の例として、シクロスポリンは、蕁麻疹(hive)及び皮下の腫脹とし て発症する突発性皮膚疾患である、蕁麻疹(urticaria)及び血管浮腫の処置に おいて利用されている。その病理学は肥満細胞に関わるものであり、処置が功を 奏しないことがある。ある試験では、難治性の蕁麻疹及び血液浮腫に罹患した3 名の患者にシクロスポリンを用いた処置を行い、すべての症候群が、1週間以内 に回復した[Fradinら、J.Am.Acad.Derm.、25巻、1065〜1067頁(1991)]。副作 用のためにすべての患者で治療停止の必要が生じ、この療法を中断した後には、 症候群が再発した。 他のリウマチ学的疾患に関して、ベーチェット病[Pacorら、Clin.Rheum.、13 巻、224〜227頁(1994)]、ベグネル肉芽腫症[Allenら、Cyclosporin A Therapy for Wegner's Granulomatosis、於 ANCA-Associated Vasculitides:Immunolog ical and Clinical Aspects、Gross編、Plenum Press(1993)]、及び免疫が媒介 する血小板減少症[Schultzら、Blood、85巻、1406〜1408頁(1995)]を包含する 、前記のものより希な、自己免疫疾患で、シクロスポリンにより有効に処置され たとの試験報告がなされている。 前記した多くの試験において、シクロスポリンまたはFK506の使用は、多くの 望ましくない副作用を伴っていた。一般的に、通常の免疫抑制は感染及び悪性化 の危険性の増加を伴い、そしてアンカー形成タンパク質が関わる免疫抑制が同様 の危険性を孕んでいないであろうとは考え難い。しかしながら、アンカー形成タ ンパク質の組織特異性によって、他の副作用は回避または低減されるかもしれな い。シクロスポリン及びFK506の双方による最も一般的で重大な副作用は腎毒性 であり、これは少なくともある程度までは投与量に関連し、そして、一般的に、 処置 中に糸球体濾過速度が低下するという様式で、ほとんどの患者に発症するもので ある。しかしながら、この副作用は、薬剤投与を中断すれば、少なくとも部分的 に回復する[Leaker及びCairns、前出]。典型的には、進行性の腎不全の罹患は 認めらないものの、確定的に評価を下すためには、さらなる継続管理が必要であ る。低投与量(3〜4 mg/kg/日)のシクロスポリンを与えられている患者で、慢 性の傷害も観察されており、これら患者の生検の約40%で、間質性の繊維症、細 管萎縮、及び動脈疾患などの変化が示された[Svarstadら、Nephrol.Dial.Trans plant、9巻、1462〜1467頁(1994);Youngら、Kidney International、46巻、121 6〜1222頁(1994)]。組織学的切片で、内皮細胞における変化も明らかに認めら れた[Kahan、N.Engl.J.Med.、321巻、1725〜1748頁(1989)]。細管細胞及び血 管間質細胞に対して、薬剤が直接的に毒性を呈する[Platzら、Transplantation 、58巻、170〜178頁(1994)]ことも示されてはいるが、腎毒性は、動脈血管収縮 及び慢性で低い程度の虚血に、主に起因していると推定された[Leaker及びCari ns、前出]。腎毒性の発症率及び重篤さの度合いは、FK506を用いた場合の方が わずかに高いかもしれないことを示唆する報告がある[Platzら、前出]。 シクロスポリン及びFK506の双方の重大な毒性で他に報告されているのは神経 毒性であり、臨床上明示されるものに、てんかん発作、錯乱、視覚消失、昏睡、 頭痛、運動失調、パーキンソン症候群、感覚異常、精神病、焦点欠失(focal de ficit)、無動無言症、振戦、ニューロパシー、及び睡眠障害が包含される[Shi mizuら、Pediatr.Nephrol.、8巻、483〜385頁(1994);Wilsonら、Muscle and Ne rve、17巻、528〜532頁(1994);Reeceら、Bone Marrow Transpl.、8巻、393〜40 1頁(1991); Eidelmanら、Transpl.Proc.、23巻、3175〜3178頁(1991);de Groenら、N.Engl. J.Med.、317巻、861〜566頁(1987)]。肝移植の後、FK506で処置した患者の10〜 20%、及び、シクロスポリンで処置した患者の3〜12%に、中程度から重篤なも のまで、神経毒性が惹起こされることが示されている。神経毒性は、血清脂質異 常及び肝不全とも関係がある。 シクロスポリン及び/またはFK506の他の副作用には、肝毒性、グルコース不 耐症、高血圧、多毛症、胃腸管症候群、血管血栓症、膵臓炎、及び歯肉過形成が 包含される[Morris、J.Heart Lung Transplant、12巻、S275〜S286頁(1993);F ungら、Transpl.Proc.、23巻、3105〜3108頁(1991);Mason、Phamacol.Rev.、42 巻、423〜434頁(1989);Kahan、N.Engl.J.Med.、321巻、1725〜1738頁(1989);T homasonら、Renal Failure、16巻、731〜745頁(1994)]。従って、広範なるシク ロスポリン及びFK506の利用、ならびにそれらの使用に付随する副作用に鑑みて 、代替の免疫抑制剤の開発は、極めて有益なこととなりうるであろう。 例えば、T細胞アンカー形成タンパク質と推定されるものからカルシニューリ ンを脱局在化することで、T細胞活性化におけるカルシニューリン活性が阻害さ れるかもしれず、それによって、シクロスポリンまたはFK506の用途を有しなが らも副作用は少ない、T細胞特異的な免疫抑制剤を提供することが可能である。 T細胞アンカー形成タンパク質からのPKAの脱局在化によって、刺激された細胞 におけるIL-2発現が増強されることがこれまでに観察されており、これは、アン カー形成タンパク質で局在化されたPKAが、なんらかの経緯を経て、T細胞活性 化に際してのIL-2発現における調節機構に寄与していることを示唆するものであ った。T細胞特異的なPKAの脱局在化は、従って、 in vivoにおけるIL-2分泌の増強のための手段を提供するかもしれず、それによ って、組換えIL-2投与を模倣し且つ、おそらくは以下に記載する報告されている IL-2処置による毒性を低減することができるかもしれない。 IL-2は、転位性の腎ガン腫の処置薬として認可されており、転位性腎細胞ガン 腫または悪性黒色腫の患者のおよそ15〜20%がIL-2療法に感応性である。かかる 感応のいくつかは持続性であり、66カ月以上の持続が認められる[Dillman、Can cer Biotherapy、9巻、183〜209頁(1994);Whittington及びFaulds、Drugs、46 巻、446〜514頁(1993)]。投与量の高い丸剤による療法は、種々の重篤な副作用 を伴っており(以下に記載の通り)、低投与量の皮下または持続型注入療法では 毒性は減じられるものの、感応率はあまり優れない(12%)[Vogelzangら、J.C lin.Oncol.、11巻、1809〜1816頁(1993)]。 IL-2療法(インターフェロン-α及び他の薬剤を併用、または単独投与)は、 他の悪性疾患の処置において検証されてきた。例えば、腫瘍床に直接投与した後 神経膠腫を削取すると、臨床上の感応性が維持されるが、療治には至らない[Me rchantら、J.Neuro.、8巻、173〜188頁(1990)]。さらに別の試験では、リンパ 腫[Dillman、前出]、結腸直腸ガン腫[Whittington及びFaulds、前出]、限局 性AML[Bruton及びKoeller、Pharmacotherapy、14巻、635〜656頁(1994)]、卵 巣ガン及び初期膀胱ガン[Whittington及びFaulds、前出]において、限定的な 効能が報告されている。しかしながら、これらの研究の各々における協力者の数 は非常に少ないので、有効性に関して有意な結論を導くことはできない。 IL-2は、採用されている免疫療法と組み合わせても用いられており、転位性腎 ガン腫の処置に有効であることが立証されて いる[Pierceら、Sem.Oncol.、22巻、74〜80頁(1995);Belldegrunら、J.Urol. 、150巻、1384〜1390頁(1993)]。加うるに、IL-2は、皮内注射に伴って皮膚細 菌量及び患者体内の抗原レベルを低下させることにより、らい病患者において特 定の感染症を処置する上でも有効であるかもしれない[Kaplan,,J.Infect.Dis. 、167巻(追補1)、S18〜22頁(1993)]。さらに、PPD陽性の健常対照者に比して 、結核病の患者からのリンパ球はIL-2産生量が低いことも観察されており[Sanc hezら、Inf.Immun.、62巻、5673〜5678頁(1994)]、結核菌感染の処置にIL-2療 法が価値を有するかもしれないことを示唆している。 IL-2の潜在的な治療上の価値に関わらず、サイトカインもまた、有意な毒性を 伴うものである[他に該当するものがなければ、情報源としては、Whittington 及びFaulds、DillmanならびにBrutonならびにKoeller、前出を参照されたい]。 処置を限定する主要な副作用は、毛細管漏出症候群である。IL-2の投与によって 、血管透過性が増大し、間質性浮腫及び肺浮腫が惹起こされ、昇圧を必要とする 実質的な数値を伴って低血圧を発症する患者が認められる。激しい体液の蘇生に よって、生命を脅かす肺浮腫が惹起こされうる。20%までの患者に、挿管及び機 械的換気を施すことが必要となるかもしれない。高い投与量で丸剤を投与すると 、低投与量または徐々に持続的に注入するよりも、より重篤な漏出を惹起こし、 組織(regiment)によっては、患者の100%がIL-2処置に際してICUでのサポート を要する場合がある。心筋炎、心筋症及び心不整脈もまた観察されている。急性 の腎不全も、毛細血管漏出症候群で誘導される低血圧の結果発症するのかもしれ ない。 IL-2は、電解質の不均衡、胆汁うっ滞、甲状腺不全、及び急性膵臓炎を伴う、 重篤な下痢も惹起こす可能性がある。輸血を 必要とする貧血が、処置患者の15〜20%で発症している[MacFarlaneら、Cancer 、75巻、1030〜1037頁(1995)]。出血を伴う血小板減少症が発症する可能性もあ り、血液凝固経路の欠陥が一般的である。70%を越える患者が、偏執病様妄想、 幻覚、興味喪失、睡眠妨害、及び眠気等を包含する、精神状態の変化を経験して いる。昏睡、視覚異常、一過性虚血性発作及び知覚異常も報告されている。外来 性のIL-2がもたらすこれらの欠点のために、例えば、内在性IL-2産生をモジュレ ートし、かくして外来性IL-2処置に対する要求を廃することができるような代替 物が、潜在的治療薬として探査されるべきであることが示唆される。 アンカー形成タンパク質の同定によって、免疫抑制剤及びIL-2産生のモジュレ ーターを同定するための可能な手段を提供することに加えて、アンカー形成タン パク質が関与していることが示される多岐にわたる代謝経路に鑑みれば、他の細 胞活性の調節が可能ならしめられる。例えば、おそらくはPKA、PKC及びカルシニ ューリンの結合を介して、AKAP 79はニューロンのシナプス後膜肥厚における、 グルタミン酸受容体で調節されているイオンチャンネルの調節に重要な役割を果 たしている。PKAは、AMPA受容体で調節されているチャンネルの活性を調節し、 そして、PKAの脱局在化または阻害によって、AMPAイオンチャンネル活性が減衰 する。PKCは、NMDA受容体で調節されているチャンネルの活性を調節し、そして 、カルシニューリンが刺激に対するNMDA受容体の脱感作を行うことが示されてい る。これらの観察で、局在化したキナーゼ(PKA及びPKC)は、ニューロンにおい てグルタミン酸受容体の活性を調節しているかもしれないことが示唆される。カ ルシニューリンによる脱リン酸化は、NMDA受容体の対抗調節機構である。このモ デルは、シクロスポリンま たはFK506によって誘導されるてんかん発作の徴候と、生理学的に符合する。 加えて、グルタミン酸受容体は、多くの神経学的疾患に関わっている。グルタ ミン酸及び他の興奮性アミノ酸は、ニューロンに興奮性毒性を生じることができ 、そしてシナプス後のグルタミン酸受容体の過剰な刺激は、ニューロンに対して 毒性であって、急性のニューロン変性を惹起こすことが示されている。低酸素( 脈拍停止または心停止に続く低酸素など)及びCNS外傷は、細胞外空間へのグル タミン酸の顕著な流出を惹起こすことが示されており、次いで、このグルタミン 酸がグルタミン酸受容体と相互作用して、興奮性毒性のカスケードの引き金を引 く。抗興奮性試薬は、動物モデルにおける脳の損傷に対して保護をすることが示 されている[Olney、Neurobiology of Aging、15巻、259〜260頁(1994)]。興味 深いことに、NMDAアンタゴニストは、ある型のニューロンに対して毒性を有し、 それら細胞において、グルタミン酸が他の興奮性経路を阻害するかもしれないこ とが示唆されている。FK506などのマクロライド抗体もまた、培養されたニュー ロンにおけるNMDA興奮性毒性に対する保護能を示すが、カイナートではそのよう な作用は示さない[Manevら、Brain Res.、624巻、331〜335頁(1993)]。 グルタミン酸は、パーキンソン病にも関わっている。NMDAアンタゴニストは、 MPTP(ヒト及びその他の霊長類でパーキンソン症候群を誘導する化学薬品)に曝 されたサルの黒質におけるドーパミン作動性ニューロンを保護する。アマンチジ ン及びメマンチンは、NMDAアンタゴニストであり、パーキンソン病を処置するた めに欧州で使用されているが、いずれの薬剤とも、ある患者で精神病を惹起こす ことが示されている。また、グルタミン酸作動性ニューロンが、パーキンソン病 で活動亢進してい るかもしれないことの、ある程度の証拠もあり、これを阻害すれば、パーキンソ ン病における運動性症候群を低減することができた[Lange及びRiederer、Life Sciences、55巻、2067〜2075頁(1994)]。 グルタミン酸は、発作疾病においても役割を果たしており、発作活動の開始、 伝播、及び維持に関与している。NMDA及び非NMDAアンタゴニストは、強力な抗痙 攣剤である[Meldrum、Neurology、44巻(追補8)、S14〜S23頁(1994)]。AMPA 受容体もまた、ALSに関わっており、受容体アンタゴニストの試験が、現在進行 中である。49 これらの観察すべてに鑑みれば、数多くの他の免疫抑制剤が臨床試験中である ことは、驚くに足りない。このような試験に関する下記の情報は、Haydon及びHa ynes、Balliere's Clin.Gastroentero、8巻、455〜464頁(1994);Thomason及びS tarzi、Immunol.Rev.1993、71〜98頁(1993);ならびにMorris、J.Heart Lung T ransplant、12巻、S275〜S286頁(1993)より得たものである。例えば、アザスピ ラン(azaspirane)は、移植片細胞の浸潤及びIL-2Rの誘導を抑制するSKB社の化合 物であり、IL-2及びIFN-γの産生も廃除する。見かけ上、アザスピランは、ある 型のサプレッサー細胞を抑制し、シクロスポリンとの相乗効果の証拠が挙げられ ている。 他の例として、ミコフェノラート(mycophenolate)は、Syntex社の化合物で あり、プリン合成を阻害して、T及びB細胞選択的な抗増殖効果を有する。これ は、抗体を枯渇させる。ミコフェノラート・モフェシャル(mofetial)は、細胞 表面から接着分子をも枯渇させる。この薬物は見かけ上低毒性であるが、白血球 減少症を発症させるかもしれず、また、20年間にわたって、乾癬を処置するため に用いられている。 他の例として、ミゾリビン(mizoribine)は、Sumitomo社の化合物であり、DN A合成を阻害する。作用の機構は、ミコフェノラートと同様である。 他の例として、ブレキナー(brequinar)は、DuPont-Merck社の化合物であり 、ジヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼを阻止することによって、ピリミジン合成を阻 害する。臨床試験に関する完全な報告が待たれる。この薬剤は、シクロスポリン と相乗的に作用することが報告されているが、血小板減少症、皮膚炎及び粘膜炎 を発症しうる。 さらに別の例として、15-デオキシスペルギューリン(Deoxyspergualin)は、 Nippon-Kayaku社の化合物であり、酸化的代謝、リソソームの酵素合成、IL-1産 生及びMHCクラスII抗原の細胞表面での発現の阻害を包含する、単球/マクロフ ァージ機能に主に影響を及ぼす。この薬剤は、難治性の腎臓拒絶において70〜90 %有効であるが、高投与量では、骨髄毒性が発症するかもしれない。 他の例として、レフルノミド(leflunomide)は、Hoechst社の化合物であり、 サイトカイン作用を阻害し、T細胞活性化及び抗体合成を阻止する。この薬剤は 、腎臓または骨髄に対する毒性は有しない。 別の例として、ラパマイシン(rapamycin)は、FK506に関連する、Wyeth-Ayer st社の化合物である。これは、活性となるためにイムノフィリンと結合しなけれ ばならないプロドラッグであり、カルシニューリンを阻害したり、T細胞のサイ トカイン産生を阻止するものではない。機構は解明されていないが、ラパマイシ ンはG1期からS期への移行を阻止する。 上述の例示的な実施例において示した本発明に、数多くの修正や変更をなすこ とが、当業者にあっては想起されると予測さ れる。従って、添付の特許請求の範囲によってのみ、本発明は限定されるもので ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 16/18 C07K 16/42 16/42 C12P 21/08 C12N 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/08 C12N 5/00 B G01N 33/53 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),AM,AT,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES ,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,M D,MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ, TM,TT,UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:5で示される、タンパク質をコードする配列を含む、精製され 単離されたポリヌクレオチド。 2.DNA分子である請求の範囲第1項記載のポリヌクレオチド。 3.cDNA分子である請求の範囲第2項記載のDNA分子。 4.ゲノミックDNA分子である請求の範囲第2項記載のDNA分子。 5.全体的または部分的に化学合成されたDNA分子である請求の範囲第2項記 載のDNA分子。 6.精製され単離されたポリヌクレオチドであって、以下の群、すなわち、 a)配列番号:5で示されるヒトDNA配列、及び b)前記a)のDNAの非コード鎖に厳密な条件下でハイブリダイズするDNA分子 よりなる群から選択されるポリヌクレオチド。 7.請求の範囲第2項記載のDNA分子を含んでなるDNA発現構築体。 8.請求の範囲第2項記載のDNA分子で形質転換された宿主細胞。 9.配列番号:5で示されるポリヌクレオチドによってコードされるヒトポリ ペプチドを製造するための方法であって、以下の工程、すなわち、 好適な培地で請求の範囲第8項記載の宿主細胞を生育し、及び 該宿主細胞またはその生育培地から、前記ポリペプチドを単離する工程を含む 方法。 10.配列番号:5で示されるポリヌクレオチド配列によりコードされる、精製 され単離されたポリペプチド。 11.請求の範囲第10項記載のポリペプチドに特異的に結合することができる ポリペプチド。 12.抗体である、請求の範囲第11項記載のポリペプチド。 13.モノクローナル抗体である、請求の範囲第12項記載の抗体。 14.請求の範囲第13項記載のモノクローナル抗体に対して特異的な、抗イデ ィオタイプ抗体。 15.請求の範囲第13項記載のモノクローナル抗体を生産する、ハイブリドー マ細胞系。
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