【発明の詳細な説明】
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリノン誘導体類、それらの調
製方法及び使用
本発明は、療法的に活性な複素環式化合物、それらの製造方法、それらの化合
物を含んで成る医薬組成物、及びそれらによる治療方法に関する。
より特定的には、本発明は、興奮性アミノ酸の過剰活性により引き起こされる
いづれかの徴候の治療に有用である〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キ
ノキサリノン誘導体に関する。
種々の関連化合物が従来技術から知られている。
すなわち、EP−A−0040401号は、たとえばアルキル、アシル又はカルバルコ
キシ基によりトリアゾロ環で置換されたトリアゾロキノキサリン−4−オンを一
般的に記載している。それらの化合物は有用な抗−高血圧活性を有することが主
張されている。
アメリカ特許第5,153,196号には、いくつかの興奮性アミノ酸受容体アンタゴ
ニスト及びそれらの使用方法が開示されている。それらの化合物は、トリアゾロ
環で、H、アルキル、芳香族又はCF3である1つの置換基を有するトリアゾロキ
ノキサリノンに特に関する。
さらに、国際特許出願第WO93/20077号は中でも、モノ−又はジ(低級アルキ
ル)アミノにより置換され得る低級アルキルによりトリアゾロ−環において任意
に置換された融合キノキサリノン誘導体に関する。
L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸及び多くの他の密接に関連するアミノ
酸は通常、中枢神経系(CNS)におけるニューロンを活
性化する能力を有する。生化学、電気生理学及び薬理学研究は、これを具体化し
て来ており、そして酸性アミノ酸が哺乳類CNSにおける大多数の興奮性ニューロ
ンのための伝達物質であることを示している。
グルタミン酸介在の神経伝達との相互作用は、神経学及び精神医学的疾病の処
理において有用なアプローチと思われる。従って、興奮性アミノ酸の既知のアン
タゴニストは、有能な抗不安薬(Stephensなど.,Psychophremacology 90,143-1
47,1985)、鎮痙薬(Cruncherなど.,Science 216,899-901,1982)及び筋肉弛緩
性質(Turskiなど.,Neurosci.Lett.53,321-326,1985)を示している。
細胞外興奮性アミノ酸の蓄積、続くニューロンの過剰刺激が、神経学的障害、
たとえば筋萎縮性外側硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー症、ハンチント
ン症、てんかん、及び脳虚血症、酸素欠乏及び低血糖症又は頭及び脊髄損傷の状
況の後に見られる精神及び運動性能の欠損に見られるニューロン変性を説明する
ことができることが示唆されている(McGeerなど.,Mature 263,517-519,1976
;Simonなど.,Science 226,850-852,1984; Wieioch,Science 230,681-683
,1985; Fadenなど.,Science 244,798-800,1989; Turskiなど.,Nature 349
,414-418,1991)。他の可能な徴候は、精神病、筋硬直、嘔吐及び無痛覚症で
ある。
興奮性アミノ酸は、シナプス後部又はシナプス前部に位置する特定の受容体を
通してそれらの作用を発揮する。そのような受容体は、電気生理学的及び神経化
学的出来事に基づいて現在、便利には次の3つのグループに分割される:1 NM
DA(N−メチル−D−アスパラギン酸)受容体、2 AMPA受容体及び3 カイニ
ン酸受容体。L−グルタミン酸及びL−アスパラギン酸はたぶん、上記タイプの
すべての興奮性アミノ酸受容体及びあるいは他のタイプの受容体も
活性化する。
興奮性アミノ酸受容体のNMDA,AMPA及びカイニン酸受容体への上記分類は、主
に次の電気生理学及び神経化学的発現に基づかれている。
1)N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体は、興奮性NMDAのために
高い選択性を示す。イボテニン酸、L−ホモシステイン酸、D−グルタミン酸及
びトランス−2,3−ピペリジンジカルボン酸(トランス−2,3−PDA)は、そ
れらの受容体に対して強いアゴニスト活性〜中位いのアゴニスト活性を発揮する
。最とも有力で且つ選択的なアンタゴニストは、2−アミノ−5−ホスホノカル
ボン酸のD−異性体、たとえば2−アミノ−5−ホスホノ−吉草酸(D-APV)及び
3〔(±)−2−カルボキシ−ピペラジン−4−イル〕−プロピル−1−ホスホ
ン酸(CPP)であり、そして中位のアンタゴニスト活性は、長鎖の2−アミノジカ
ルボン酸のD−異性体(たとえばD−2−アミノ−アジピン酸)及び長鎖のジア
ミノジカルボン酸(たとえばジアミノピメリン酸)のD−異性体である。NMDA−
誘発されたシナプス応答は、哺乳類CNS、特に脊髄において広範に研究されてお
り(J.Daviesなど.,J.Physiol.297,621-635,1979)、そしてその応答はMg2+
により強く阻害されることが示されている。
2)AMPA受容体はAMPA(2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソ
キサゾールプロピオン酸)により選択的に活性化され、他の有力なアゴニストは
キスカル酸及びL−グルタミン酸である。グルタミン酸ジエチルエステル(GDEE
)はこの部位の選択的ではあるが、しかしひじょうに弱いアンタゴニストである
。AMPA受容体はMg2-に対して比較的鈍感である。
グルタミン酸開放は、大脳虚血に起因するニューロン死に主要な
役割を演じていると長く考えられて来た(Benveniste,H.など.,J.Neurochem
.43,1369-1374,1984)。NMDA受容体誘発性Ca2+流入が虚血性ニューロン細胞
損失において重要な機構であることは良く知られている。非−NMDA受容体結合の
ノオノファはカルシウムに対して透過できない。しかしながら、CA1領域におけ
るScaffer側副枝による興奮は非−NMDA受容体により付与され、そしてこの事実
は後虚血期間における出来事のために重要なものである。最近の研究は、選択性
AMPAアンタゴニストが、再灌流の数時間後でさえ、アレチネズミにおける完全な
虚血に神経保護効果を有することを示している(Sheardownなど.,Science 247,
571-574,1990)。
従って、AMPAアンタゴニストは大脳虚血の処理において有用である。
3)カイニン酸受容体。カイニン酸に対する興奮性応答はNMDA−アンタゴニス
ト及びGDEEによる拮抗作用に対して比較的鈍感であり、そしてカイニン酸が第三
サブクラスの酸性アミノ酸受容体を活性化することが報告されている。カイニン
酸の一定のラクトン化された誘導体が選択的なアンタゴニストであり(O.Goldbe
rgなど.,Neurosci.Lett.23,187-191,1981)、そしてジペプチド3−グルタ
ミン−グリシンがまた、カイニン酸受容体に対していくらかの選択性も示す。Ca2+
(Mg2+ではない)は、カイニン酸結合の強いインヒビターである。
1又は複数の種々のタイプの興奮性アミノ酸受容体についての物質の親和性を
単純な結合実験において研究することができる。本質的に、その方法は、受容体
を含む脳ホモジネートと共に特定の選択された放射性ラベルされた腺及び研究さ
れるべき特定の物質のインキュベーションを包含する。受容体占有の測定が前記
ホモジネートに結合される放射能の決定及び非特異的結合を差引くことにより行
なわれる。
AMPA受容体結合が、放射性リガンドとして3H−AMPAを用いることによって研
究することができる。
グルタミン酸受容体相互作用の二次効果に対するグルタミン酸類似体の影響を
、鶏網膜における拡延性抑制(spreading depression)の現象を用いることによ
ってインビトロで研究することができる。そのような実験は試験物質の効能(ア
ゴニスト/アンタゴニスト)に関する情報を提供するであろう。これは、結合研
究とは著しく異なっており、これは受容体に対する化合物の親和性に基づく情報
を単に提供する。
本発明の化合物は、AMPA受容体に対する親和性を有し、そしてこのタイプの受
容体に関するアンタゴニストであり、このため興奮性アミノ酸の過剰活性により
引き起こされる多くの徴候のいづれか、特に筋萎縮性外側硬化症、ハンチントン
舞踏病、パーキンソン病、てんかん及び老人性痴呆症において観察されるニュー
ロン変性、又は脳虚血、酸素欠乏、低血糖症及び頭及び脊髄損傷の状況の後に見
られる精神及び運動機能障害の処理において有用であることが今や、見出された
。他の可能な徴候は、精神病、筋硬直、嘔吐及び慢性炎症及び無痛覚症である。
本発明の化合物は、下記一般式(I):
〔式中、R1はPOX′X″、又はCOX′もしくはPOX′X″により
置換された直鎖又は枝分れ鎖のC1-6−アルキルであり、そしてX′及びX″は
独立して、ヒドロキシ又はC1-6−アルコキシであり;そして
R6,R7,R8及びR9は独立して、水素;C1-6−アルキル;ハロゲン;NH2;
NO2;CN;CF3;SO2NY′Y″;COZ′(ここでZ′はNY′Y′又はC1-6−アルキル
であり、そしてY′及びY″は独立して、水素又はC1-6−アルキルである);
トリアゾリル;イミダゾリル;ピペリジノ;ピペラジニル;モルホリノ;チオモ
ルホリノであり、前記環は1又は複数のフェニル又はC1-6−アルキルにより任
意に置換され、そしてフェニルはC1-6−アルコキシにより任意に置換されてい
る〕で表わされ、さらに前記化合物の医薬的に許容される塩にも関する。
本明細書で使用される場合、用“C1-6−アルキル”とは、1〜6個の炭素原
子を有する直鎖又は枝分れ鎖の飽和炭化水素鎖、たとえばメチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル、3−ペンチ
ル、ネオペンチル又はn−ヘキシルに関する。
本明細書で使用される場合、用語“C1-6−アルコキシ”とは、単独で又は組
合して、エーテル酸素からの遊離価結合を有するエーテル酸素を通して結合され
るC1-6−アルキル基を含んで成る一価の置換基、たとえばメトキシ、エトキシ
、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、ブトキシ、ペントキ
シに関する。
本明細書で使用される場合、用語“ハロゲン”とは、弗素、塩素、臭素及びヨ
ウ素に関する。
本発明の好ましい態様においては、R1はCOX′又はPOX′X″により置換された
C1-6−アルキルである。
本発明のもう1つの好ましい態様においては、R6,R7,R8
及びR9は独立して、水素;塩素;NO2;CN;CF3;ピペリジノ;モルホリノ;チ
オモルホリノ;ピペラジニル;メチル、フェニル又はメトキシフェニルにより置
換されたピペラジニル;メチルにより置換されたトリアゾリル;メチル、エチル
、フェニルにより置換されたイミダゾリルである。
本発明のさらにもう1つの好ましい態様においては、R6及びR9は水基である
。
本発明の好ましい化合物は、次のものである:
1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(4−メチル−2−
フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチル〔1,2
,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4−(5H)−オン;
8(4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−1−ホス
ホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕
キノキサリン−4(5H)−オン;
1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(2−エチル−4−
メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチル〔1,2,
4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
8−(2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−1−ホス
ホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕
キノキサリン−4(5H)−オン;
8−モルホリノ−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4
〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
8−モルホリノ−1−(1−ホスホノエチル)−7−トリフルオロメチル〔1
,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−
4(5H)−オン;
8−ピペリジノ−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4
〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−(2−エトキシカルボニルエチル)−8−モルホリノ−7−トリフルオロ
メチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オ
ン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−モルホリノ−7−トリフルオロメチル〔
1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン。
本発明の他の好ましい化合物は次のものである:
8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−1−ホスホノメ
チル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキ
サリン−4(5H)−オン;
7−シアノ−8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−1
−ホスホノメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(
5H)−オン;
8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−ニトロ−1
−ホスホノメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(
5H)−オン;
7−シアノ−8−(2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル
)−1−ホスホノメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン
−4(5H)−オン;
7−シアノ−8−モルホリノ−1−ホスホノメチル〔1,2,4〕トリアゾロ
〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
8−モルホリノ−7−ニトロ−1−ホスホノメチル〔1,2,4〕トリアゾロ
〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
7−シアノ−1−ホスホノメチル−8−チオモルホリノ〔1,2,4〕トリア
ゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−ホスホノメチル−8−チオモルホリノ−7−トリフルオロメチル〔1,2
,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
7−シアノ−1−ホスホノメチル−8−ピペリジノ〔1,2,4〕トリアゾロ
〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−ホスホノメチル−8−(ピペラジン−1−イル)−7−トリフルオロメチ
ル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
7−シアノ−1−ホスホノメチル−8−(ピペラジン−1−イル)〔1,2,
4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
8−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−1−ホスホノメチル−7−トリ
フルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5
H)−オン;
7−シアノ−8−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−1−ホスホノメチ
ル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
8−(4−(3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−1−ホスホノ
メチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノ
キサリン−4(5H)−オン;
8−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−1−ホスホノ
メチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノ
キサリン−4(5H)−オン;
8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−1
−ホスホノエチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
7−クロロ−8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−1
−ホスホノメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(
5H)−オン;
8−(3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ホス
ホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕
キノキサリン−4(5H)−オン;
8−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−ホスホノメチル−7−トリフ
ルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H
)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾー
ル−1−イル)−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−
a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−(2−エチル−4−メチル−1H−イミ
ダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4
,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−7−シアノ−8−(2,4−ジメチル−1H
−イミダゾール−1−イル)〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサ
リン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−(4−フェニルピペラジン−1−イル)
−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリ
ン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−(2,4−ジメチル−1H−イミダゾー
ル−1−イル)−7−ニトロ〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサ
リン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−7−シアノ−8−モルホリノ〔1,2,4〕
トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−モルホリノ−7−ニトロ〔1,2,4〕
トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−(4−メチルピペラジン−1−イル)−
7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン
−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−7−クロロ−8−(2,4−ジメチル−1H
−イミダゾール−1−イル)〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサ
リン−4(5H)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラ
ジン−1−イル)−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
−a〕キノキサリン−4(5)−オン;
1−(2−カルボキシエチル)−8−ピペリジノ−7−トリフルオロメチル〔
1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5)−オン。
本発明の化合物は、異なった互変異性体で表わされ得る。従って、本発明はす
べてのそのような互変異性体を包含する。
本発明のもう1つの態様は、式Iの〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕
キノキサリノン誘導体の医薬的に許容される塩である。そのような塩は、無機及
び有機酸、たとえば塩酸、臭酸、酢酸、硫酸、硝酸、蓚酸、フマル酸、酒石酸か
ら誘導されたものを包含する。他の塩はアルカリ金属の塩、たとえばナトリウム
又はカリウム塩;アルカリ土類金属の塩、たとえばカルシウム又はマグネシウム
塩;及びアンモニウム塩を包含する。
さらに、本発明のもう1つの観点においては、医薬として使用するための、好
ましくは興奮性神経伝達物質及び特にAMPA受容体の過剰活性に関する徴候を処理
するための医薬として使用するための一般式(I)の化合物又は医薬的に許容で
きるその塩に関する。
本発明はまた、上記化合物を調製するための方法にも関する。式Iの化合物は
、
a)下記式II:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有する〕で表わされる
化合物をベンジルハロゲニドによりアルキル化し、下記式III:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有する〕で表わされる
化合物を形成し、そして前記化合物をハロゲン化し、下記式IV:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてQはBr,
Cl又はIである〕で表わされる化合物を形成し;そして前記化合物とヒドラジン
とを反応せしめ、下記式V:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有する〕で表わされる
化合物を形成し、そして前記化合物を、下記式VI:
R1−COCl (VI)
〔式中、R1は一般式Iの化合物について上記で定義されたような意味を有し、
ここでX′及びX″はC1-6−アルコキシである〕を有するアシルクロリドによ
りアシル化し、下記式VII:
〔式中、R1,R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有する〕で表わ
される化合物を形成し、そして前記化合物を水添分解し、下記式VIII:
〔式中、R1,R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有する〕で表わ
される化合物を形成し、続いて熱環化し、そして同時脱酸素化し、式I〔式中、
X′及びX″は独立して、ヒドロキシ又はC1-6−アルコキシである〕で表わさ
れる化合物を形成し、又は
b)下記式IX:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し
、そしてQはBr,Cl又はIである〕で表わされる化合物と下記式VI:
R1−COCl (VI)
〔式中、R1は一般式Iの化合物について上記で定義されたような意味を有し、
ここでX′及びX″はC1-6−アルコキシである〕で表わされる化合物とを反応
せしめ、下記式XI:
〔式中、R1,R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてQ
はBr,Cl又はIである〕で表わされる化合物を形成し、そして次に、環化し、続
いて加水分解し、又は同時環化し、そして加水分解し、式I〔式中、X′及びX
″は独立して、ヒドロキシ又はC1-6−アルコキシである〕で表わされる化合物
を形成し、又は
c)下記式XII:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてZはハロ
ゲン、又はC1-6−アルコキシのいづれかである〕で表わされる化合物を、一、
二又は三エトキシ置換されたベンジルアミンにより置換し、下記式XIII:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてV′及び
V″は独立して、水素又はメトキシである〕で表わされる化合物を形成し、そし
て前記化合物とエチルオキサリルクロリドとを反応せしめ、下記式XIV:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてV′及び
V″は独立して、水素又はメトキシである〕で表わされる化合物を形成し、そし
て次に、水素化し、中間体である環化されたN−ヒドロキシ化合物を形成し、続
いて脱酸素化し、又は水素化により環化し、下記式XV:
〔式中、R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてV′及び
V″は独立して、水素又はメトキシである〕で表わされる化合物を形成し、前記
XVの化合物をハロゲン化し、その得られた化合物とヒドラジンとを反応せしめ、
続いて、上記で定義されたような一般式VIのアシルクロリドによりアシル化し、
そして次に、環化し、下記式XVI:
〔式中、R1,R6,R7,R8及びR9は上記で定義された意味を有し、そしてV
′及びV″は独立して、水素又はメトキシである〕で表わされる化合物を形成し
、そして加水分解し、式I〔式中、X′及びX″は独立して、水素又はC1-6−
アルコキシである〕で表わされる化合物を形成し、又は
d)式I〔式中、X′及びX″はC1-6−アルコキシである〕で表わされる化
合物を水性塩基により加水分解し、式I〔式中、X′はヒドロキシであり、そし
てX″はC1-6−アルコキシである〕で表わされる化合物を形成し、又は
e)式I〔式中、X′はヒドロキシ又はC1-6−アルコキシであり、そしてX
″はC1-6−アルコキシである〕で表わされる化合物とハロトリメチルシランと
を反応せしめ、式I〔式中、X′及びX″はヒドロキシである〕で表わされる化
合物を形成することによって調製される。
医薬的に許容できる塩は、式Iの化合物を適切な酸又は塩基により処理するこ
とによる標準の方法により調製され得る。
その調製が本明細書に記載されていない出発材料は、既知の化合物(たとえば
、国際出願PCT-DK94/00170からの)又は既知化合物の調製に類似して、又は既
知方法に類似して調製され得る化合物のいづれかである。
本発明の化合物の薬理学的性質は、AMPAタイプの受容体から放射性ラベルされ
た2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸
(AMPA)を置換するためのそれらの能力を決定することによって例示され得る。
この化合物のアンタゴニスト性質は、鶏の網膜におけるキスカル酸刺激された拡
延性抑制を拮抗するそれらの能力により示される。
前記化合物の置換活性は、3H−AMPAの特異的結合の50%の置換を引き起こす
濃度(μM)を示すIC50値を決定することによって示され得る。
拮抗性は、キスカル酸刺激された拡延性抑制の鶏の網膜における50%最大阻害
を生成する濃度を示すIC50値を決定することによって測定される。
3H−AMPA結合(試験1)
トリス−HCl(30mM),CaCl2(2.5mM)及びKSCN(100mM)中、融解されたラット大脳
皮質膜ホモジネート500μlを、0℃で30分間、H−AMPA(5nMの最終濃度)25
μl及び試験化合物並びに緩衝液と
共にインキュベートした。非特異的結合を、L−グルタミン酸(600μMの最終濃
度)と共にインキュベートすることにより決定した。結合反応を、氷冷却された
緩衝液5mlの添加により停止せしめ、続いてWhatman GF/Cガラス繊維フィルタ
ーを通して濾過し、そして氷冷却された緩衝液5mlにより2度、洗浄した。結合
された放射能を、シンチレーションカウンティングにより測定した。IC50を、少
なくとも4種の濃度の試験化合物のHill分析により決定した。
拡延性抑制(試験2)
鶏(生後3〜10日)を断頭し、眼を摘出し、そして水平面にそって切開した。
前眼房及び硝子体の除去の後、個々の眼の後眼房を、次の組成物(mM):NaCl(1
00),KCl(6.0),CaCl2(1.0),MgSO4(1.0),NaHCO3(30),NaH2PO4(1.0)、グルコ
ース(20)から成る生理食塩水(P.S.S.)を含む小さなペトリ皿に配置した。
前記溶液を100%O2により飽和し、そして26℃の温度で維持した。
眼を最初、通常のP.S.S.に15〜30分間インキュベートし、そして次に、キスカ
レート(1μg/ml)を含むP.S.S.に移した。この“刺激溶液”においては、S.
D.が網膜の端から通常、自発的に開始し、そして眼により容易に観察され得る。
個々の眼においてS.D.が開始する時間を測定した。
通常のP.S.S.におけるさらなる15分間のインキュベーションの後、眼を、試験
化合物を含む通常のP.S.S.に移し、そして15分間インキュベートした。その後、
眼を、同時濃度の試験化合物を含む“刺激溶液”に移した。個々の眼においてS.
D.が開始するために取られる時間を再び測定した。次に、眼を通常のP.S.S.に戻
し、そして15分後、S.D.が開始する時間を再び取り、いづれかの薬物効果からの
回復の程度を評価した。
S.D.が開始するために取られる時間の対照よりも30秒長い時間の増加は、S.D.
の100%阻害性であると思われる。従って、薬物効果は、一定の用量に対して得
られた%最大応答として表わされる。従って、この試験の値は、50%最大阻害(
IC50)を生成する試験物質の濃度(μM)として示される。
本発明のいくつかの化合物を試験することによって得られる試験結果が次の表
1に示される。
本発明の化合物を含んで成る医薬組成物は、経口、直腸又は非経口路によりヒ
ト又は動物に投与され得る。
活性化合物又は医薬的に許容できるその塩の有効量は、通常の要因、たとえば
処理を必要とする哺乳類の状態の性質及び重度、並びに重量に従って決定され得
る。
従来の賦形剤は、活性化合物と有害的に反応しない、非経口又は腸内適用のた
めに適切な医薬的に許容できる有機又は無機キャリヤー物質である。
そのようなキャリヤーの例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリヒドロキシエトキシル化されたヒマシ油、ゼラチン、ラクトース、ア
ミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、脂肪酸モノグリセリド及
びジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセル
ロース及びポリビニルピロリドンである。
本発明の医薬製剤は、殺菌され、そして活性化合物と有害的に反
応しない助剤、たとえば滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響
を与えるための塩、緩衝液及び/又は着色物質及び同様のものと共に混合され得
る。
注射用溶液又は懸濁液、好ましくはポリヒドロキシル化されたヒマシ油に溶解
された活性化合物を有する水溶液は、非経口投与のために特に適切である。
アンピルは便利な単位投与形である。
タルク及び/又はキャリヤー又は結合剤又は同様のものを含む錠剤、糖剤又は
カプセルは特に、経口投与のために適切である。キャリヤーは好ましくは、ラク
トース及び/又はコーンスターチ及び/又はジャガイモスターチである。
シロップ、エリキシル又は同様のものが、甘味されたビークルが使用され、又
は所望される場合、使用され得る。
一般的に、本発明の化合物は、単位用量当たり医薬的に許容できるキャリヤー
に又はそれと共に活性成分0.5〜1000mgを含んで成る単位用量形に分散される。
本発明の化合物の用量は、薬物として患者、たとえばヒトに投与される場合、
1〜500mg/日、たとえば50〜100mg/用量である。
従来の錠剤形成技法により調製され得る典型的な錠剤は下記のものを含む:
コア:
被膜:
アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を形成する本発明の遊離化合物は、その
ような塩形で使用され得る。そのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩は
、前記化合物と水酸化物としての選択されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属
の等量又は過剰量とを反応せしめることにより、時々及び適切には、塩が沈殿さ
れ、又は他の従来の手段、たとえば蒸発により回収され得る中性溶媒の存在下で
の混合により通常、形成される。本発明の化合物の投与はしばしば、好ましくは
医薬的に許容できる水溶性アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩の形で存在し、
そして経口、直腸又は非経口的には、医薬的に許容できる液体又は固体キャリヤ
ー又は希釈剤と一緒に存在する医薬組成物の形で存在する。
従来のアジュバント、キャリヤー又は希釈剤と共に本発明の化合物は医薬組成
物及びその単位用量形に配置され、そしてそのような形においては、固体、たと
えば錠剤又は充填されたカプセル、又は液体、たとえば溶液、懸濁液、エマルジ
ョン、エリキキシル又はそれらにより充填されたカプセルとして経口使用のため
に用いられ;又は非経口使用(皮下を包含する)のためには滅菌注射用溶液の形
で用いられる。そのような医薬組成物及びその単位用量形は、追加の活性化合物
又は成分を伴って又はそれらを伴わないで、従来の割合で従来の成分を含んで成
り、そのような単位用量形は使用される意図された毎日の用量範囲と釣り合って
、いづれかの適切な有効AMPA拮抗量の活性成分を含むことができる。錠剤当たり
1〜500mgの活性成分又はより特定には10〜200mgの活性成分を含む錠剤が、適
切な代表的単位用量形である。
最とも好ましい治療基準を共に示す、それらの高い程度のAMPA拮抗活性及びそ
れらの低い毒性のために、本発明の化合物は、AMPA受容体状態の変化に対して敏
感である徴候、たとえば硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチン
トン病、てんかん、虚血症の後の欠損症、酸素欠乏、低血糖症、頭及び脊髄損傷
、精神病、筋硬直、嘔吐及び無痛覚症の処理、排除、緩和又は回復の必要な対象
、たとえば生存動物体に、しばしば好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類
金属塩の形で、医薬的に許容できるキャリヤー又は希釈剤と同時に又はそれと一
緒に、及び好ましくはその医薬組成物の形で、経口、直腸、又は非経口(皮下を
包含する)路のいづれかにより、効果的な量で投与され得る。
適切な用量範囲は、投与の正確な方式、投与される形、投与が指図される徴候
、関与する対象及びその対象の体重、及び担当医者又は獣医の能力及び経験に依
存して、毎日1〜500mg、好ましくは毎日10〜200mg、及び特に毎日50〜100mgで
ある。
本発明のAMPA拮抗化合物、又は医薬的に許容できるその塩の神経学的有効量を
対象に投与する段階を含んで成る、興奮性神経伝達物質及び特にAMPA受容体の過
剰活性により引き起こされ又はそれに関与する徴候を処理するための方法が記載
される。
さらに、本発明は、対象において興奮性神経伝達物質、及び特にAMPA受容体の
過剰活性により引き起こされ又はそれに関与する徴候を処理するための医薬の調
製のためへの本発明の化合物の使用に関する。
本発明は現在、次の例により一層詳細に記載されるであろう:
例1
1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(4−
メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−イル)−7−トリフ
ルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
a.1−ベンジルオキシ−3−クロロ−6−(4−メチル−2−
フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2(1H)−オン塩酸塩
トルエン(18.2ml,35mモル)中、20%ホスゲンの溶液を、無水N,N−ジメ
チルホルムアミド100ml中、1−ベンジルオキシ−6−(4−メチル−2−フェ
ニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン
−2,3(1H,4H)−ジオン(8.8g,17.5mモル)の撹拌溶液に0℃で滴
下した。その混合物を室温で一晩、撹拌し、そして沈殿した固体を濾過により分
離し、そしてエーテルにより洗浄し、標記化合物8.0g(84%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6):δ2.42(s,3H),5.35(s,2H),7.30-7.61(m,10H),7
.62(s,1H),7.75(s,1H),8.48(s,1H)。
b.1−ベンジルオキシ−3−ヒドラジノ−6−(4−メチル−
2−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2(1H)−オン
ジクロロメタン40ml中、1−ベンジル−3−クロロ−6−(4−メチル−2−
フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサ
リン−2(1H)−オン塩酸塩(2.0g,3.6mモル)及びヒドラジン水和物(0.74
ml,15mモル)の混合物を0℃で1時間、撹拌し、そして真空下で蒸発乾燥せし
めた。残留物を水と共に粉砕し、標記化合物(M.P.127〜130℃)1.59g(87%
)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6):δ2.21(s,1H),5.34(s,2H),7.01(s,
1H),7.18(s,1H),7.27(s,5H),7.37-7.45(m,3H),7.48(s,1H),7.51-7.60(
m,2H)。
c.1−ベンジルオキシ−3−〔2−〔(ジエトキシホスホリル
)アセチル〕ヒドラジノ〕−6−(4−メチル−2−フェニル−1
H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2(1H)−オン
無水テトラヒドロフラン20ml中、(ジエトキシホスホリル)アセチルクロリド
(0.67g,3.1mモル)の溶液を、無水テトラヒドロフラン50ml中、1−ベンジ
ルオキシ−3−ヒドラジン−6−(4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾ
ール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2(1H)−オン(
1.52g,3.0mモル)及び無水トリエチルアミン(0.43ml,3.1mモル)の撹拌溶
液に滴下した。
その混合物を室温で一晩撹拌し、そして次に、真空下で蒸発乾燥せしめた。残
留物を水と共に粉砕し、M.P.>90℃(分解)の標記化合物1.8g(88%)を得た
。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.10-1.21(m,6H),2.20(s,3H),2.99(d,2H),4.0
1(quint.,4H),5.40(s,2H),7.04(s,1H),7.24(s,6H),7.37-7.46(m,3H),
7.50-7.62(m,3H),10.26(s,1H),10.38(s,1H)。
d.3−〔2−〔(ジエトキシホスホリル)アセチル〕ヒドラジ
ノ〕−1−ヒドロキシ−6−(4−メチル−2−フェニル−1H−
イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2(1H)−オン
エタノール50ml中、1−ベンジルオキシ−3−〔2−〔(ジエトキシホスホリ
ル)アセチル〕ヒドラジノ〕−6−(4−メチル−2−フェニル−1H−イミダ
ゾール−1−イル)−7−トリフルオロ
メチルキノキサリン−2(1H)−オン(1.8g,2.6mモル)及び炭素上5%パラ
ジウム50mgの懸濁液を、室温及び大気圧下で9時間、水素化した。前記触媒を濾
過により除去し、濾液を真空下で蒸発乾燥せしめ、そして残留物を最後に、エー
テルと共に粉砕し、標記化合物1.51g(97%)を得た。M.p.>177℃(分解)。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.10-1.22(m,6H),2.23(s,3H),2.98(d,2H),4.0
0(quint.,4H),7.12(s,1H),7.18-7.30(m,5H),7.31(s,1H),7.92(s,1H),
10.24(s,2H),12.52(br.s,1H)。
e.1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(
4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7
−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
氷酢酸50ml中、3−〔2−〔(ジエトキシホスホリル)アセチル〕ヒドラジノ
〕−1−ヒドロキシ−6−(4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−
1−イル)−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2(1H)オン(1.5g,2.
5mモル)及びトリフェニルホスフィン(1.3g,5mモル)の溶液を、120℃で一晩
撹拌した。
その冷却された混合物を濾過し、そして分離された生成物をエーテルにより洗
浄し、標記化合物0.64g(48%)を得た。M.p.303-308℃。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.10(t,3H),2.25(s,3H),3.87(quint,2H),3.97(d
,2H),7.12(s,1H),7.14-7.45(m,5H),7.72(s,1H),8.62(s,1H),12.4(s
,1H)。
例2
8−(4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−1−イ
ル)−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
ブロモトリメチルシラン(1ml,7mモル)を、無水N,N−ジメチルホルム
アミド20ml中、1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(4−
メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメ
チル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
(500mg,0.94mモル)の撹拌溶液に滴下した。
その溶液を室温で一晩撹拌し、そして真空下で蒸発乾燥せしめた。残留物を水
10mlと共に粉砕し、そして沈殿した固体を濾過により分離した。少量の水及びエ
タノールにより洗浄し、純粋な標記化合物(m.p.321-325℃)0.45g(95%)を
得た。
1H-NMR(DMSO-d6):δ2.35(s,3H),3.93(d,2H),7.22-7.52(m,6H),7.7
4(s,1H),8.79(s,1H),12.4(s,1H)。
例3
1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(2−
エチル−4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−トリ
フルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例1に記載される方法に類似する方法により1−ベンジルオキ
シ−6−(2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−7−ト
リフルオロメチルキノキサリン−2,3(1H,4H)−ジオンから調製した。
但し、最終生成物(理論的には10.8mモル)を次の手段で加工した。冷却された
溶液に、ジクロロメタン100ml及びエーテル100mlを添加した。沈殿した固体を濾
過により分離し、そして熱湯により抽出した(2×100ml)。水性相を約100mlに濃
縮し、そして氷浴上で冷却した。得られる沈殿物
を濾過により分離し、そして乾燥せしめ、標記化合物0.90g(17%)を得た。
1H-NMR(CF3COOD):δ1.38(t,3H),1.45(t,3H),2.51(s,3H),2.72-3.10(
m,2H),4.31(quit.,2H),4.58(dd,2H(部分的に交換されている)),7.22(s,1
H),8.32(s,1H),9.00(s,1H)。
例4
8−(2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル
)−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例2に記載される方法に類似する方法により、1−(エトキシ
−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−(2−エチル−4−メチル−1H−イ
ミダゾール−1−イル)−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔
4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン(870mg,1.8mモル)から調製した
。収量:710mg(86%)。M.p.>300℃。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.10(t,3H),2.20(s,3H),2.27-2.77(m,2H),3.62-
3.95(m,2H),7.07(s,1H),7.85(s,1H),8.55(s,1H);MS(FAB):m/e457(MH+
)。
計算値:C43.88 H3.68 N18.06
実測値:C44.07 H3.56 N18.02
例5
8−モルホリノ−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメチル
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
a.1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−モ
ルホリノ−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例1に記載される方法に類似する方法により1−ベンジルオキ
シ−6−モルホリノ−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2,3〔1H,4
H〕−ジオンから調製した。但し、最終生成物を次の手段により分離した。混合
物を真空下で蒸発乾燥せしめ、そして残留物を、ジクロロメタン200ml及びクロ
ロホルム50mlの混合物に採取した。その得られる溶液を水により抽出し(6×100
ml)、そして水溶液を1−プロパノールによる共沸蒸留により減圧下で蒸発乾燥
せしめ、粗生成物を得、これを追加の精製を伴わないで次の段階に使用した。
b.8−モルホリノ−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメ
チル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例2に記載される方法に類似する方法により粗1−(エトキシ
−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−モルホリノ−7−トリフルオロメチル
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5)−オンから調
製した。M.p.>300℃(分解)(エタノール)。
1H-NMR(DMSO-d6):δ2.9-3.03(m,4H),3.66-3.78(m,4H),3.98(d,2H),7
.68(s,1H),8.39(s,1H),12.18(s,1H)。
例6
8−モルホリノ−1−(1−ホスホノエチル)−7−トリフルオ
ロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
a.1−(1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリル)エチル)
−8−モルホリノ−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例5に記載される方法に類似する方法により1−ベンジルオキ
シ−6−モルホリノ−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2,3(1H,4
H)−ジオンから調製した。但し、2−(ジエトキシホスホリル)プロピオニル
クロリドを、(ジエトキシホスホリル)アセチルクロリドの代わりに使用した。
粗生成物を、さらなる精製を伴わないで次の段階に使用した。
b.8−モルホリノ−1−(1−ホスホノエチル)−7−トリフ
ルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例2に記載される方法に類似する方法により、粗1−(1−(
エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリル)エチル)−8−モルホリノ−7−トリフル
オロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)
−オンから調製した。但し、最終生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製
した。M.p.>300℃(分解)。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.73(dd,3H),2.87-3.02(m,4H),3.68-3.78(m,4H)
,4.11-4.38(m,1H),7.68(s,1H),8.38(s,1H),12.18(s,1H)。
例7
8−ピペリジノ−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメチル
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
a.1−(エトキシ−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−ピ
ペリジノ−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例3に記載される方法に類似する方法により1−
ベンジルオキシ−6−ピペリジノ−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2,
3(1H,4H)−ジオンから調製した。但し、粗生成物を、さらなる精製を伴
わないで次の段階に使用した。
b.8−ピペリジノ−1−ホスホノメチル−7−トリフルオロメ
チル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例2に記載される方法に類似する方法により粗1−(エトキシ
−ヒドロキシ−ホスホリルメチル)−8−ピペリジノ−7−トリフルオロメチル
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オンから
調製した。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.48-1.72(m,6H),2.83-2.93(m,4H),3.90(d,2H),
7.65(s,1H),8.32(s,1H),12.12(s,1H)。
例8
1−(2−エトキシカルボニルエチル)−8−モルホリノ−7−
トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
標記化合物を、例1に記載される方法に類似する方法により1−ベンジルオキ
シ−6−モルホリノ−7−トリフルオロメチルキノキサリン−2,3(1H,4
H)−ジオン及びエチルスクシニルクロリドから調製した。但し、最終生成物を
次の手段により加工した。冷却された混合物を真空下で蒸発乾燥せしめ、そして
ジクロロメタン及び酢酸エチルにより連続的にフラシュ−クロマトグラフィーに
より精製した。エーテルによる粉砕は、粗生成物を付与した。M.P.204-210℃。
1H-NMR(DMSO-d6):δ1.22(t,3H),2.88-3.00(m,4H),3.02(t,2H),3.61-
3.82(m,6H),4.12(q,2H),7.71(s,1H),7.99(s,1H),12.2(br,s,1H)。
例9
1−(2−カルボキシエチル)−8−モルホリノ−7−トリフル
オロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕キノキサリン−4(5H)−オン
2Nの水酸化カリウム10ml中、1−(2−エトキシカルボニルエチル)−8−
モルホリノ−7−トリフルオロメチル〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕
キノキサリン−4(5H)−オン(365mg,0.83mモル)の懸濁液を、室温で3時
間、撹拌した。
得られる溶液を、濾過し、そして濾液を4Mの塩酸により酸性化し、沈殿物を
得た。生成物を、濾過により分離し、水により洗浄し、そして乾燥せしめ、標記
化合物を得た。M.p.170-176℃。
1H-NMR(DMSO-d6):δ2.88-3.02(m,6H),3.67(t,2H),3.68-3.80(m,4H),
7.71(s,1H),7.99(s,1H),12.26(br.s,1H)。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/495 ABE A61K 31/495 ABE
ACP ACP
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,
MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,R
O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM
,TT,UA,UG,US,UZ,VN