JPH1050298A - 非水電解液二次電池およびその製造法 - Google Patents

非水電解液二次電池およびその製造法

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JPH1050298A
JPH1050298A JP8203386A JP20338696A JPH1050298A JP H1050298 A JPH1050298 A JP H1050298A JP 8203386 A JP8203386 A JP 8203386A JP 20338696 A JP20338696 A JP 20338696A JP H1050298 A JPH1050298 A JP H1050298A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】負極における黒鉛粉末の充填密度や多孔度を調
整し、リチウムイオンの吸蔵、放出の容易な状態とする
ことにより、充放電サイクルを経過した後も負極上への
リチウムの析出がなく、安全性に優れた非水電解液二次
電池を提供する。 【解決手段】負極合剤層中黒鉛が1.2g/cc以上の充填
密度を有し、かつ負極合剤層の空孔直径が0.5μm以
上の細孔の占める体積が空隙体積の80%以上を占め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解液二次電
池の、とくに負極の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、軽量化が進むにつ
れ、その電源としての電池に対しても小型、軽量化の要
望が高まっている。中でも負極にリチウム金属を用いる
非水電解液二次電池はその理論エネルギー密度が大なる
ことから大きな期待が寄せられてきた。しかしながら、
負極にリチウム金属を用いた場合、充電時に樹枝状のリ
チウム(デンドライト)が生成し、電池の充放電を繰り
返すうちにこのデンドライトが成長してセパレータを貫
通し、電池の内部短絡を引き起こす、さらにその極端な
場合には電池温度が急激に上昇するなどの問題があり、
現在に至るまで完全には解決されていない。
【0003】この問題を解決する手段として、リチウム
金属単独ではなく、アルミニウム、鉛、インジウム、ビ
スマス、カドミウムなどの低融点金属とリチウムの合金
を負極とする試みが種々なされてきたが、この場合も電
池の充放電に伴い、リチウムの吸蔵、放出を繰り返すう
ちに合金が微細化し、この微細な合金がセパレータを貫
通してリチウム金属負極と同様、電池が内部短絡し、急
激な温度上昇が解決されたとは言い難い。
【0004】一方、上記の問題を解決するものとして、
負極にカーボンを用いる電池が提案された。非水電解液
二次電池の負極としてカーボンを用いた電池は1986
年第27回電池討論会要旨集P.97、あるいは198
7年第28回電池討論会要旨集P.201に紹介されて
おり、活物質であるリチウムイオンを負極のカーボン中
へ担持させる方法としては電池系外での電気化学的な手
法によるとされ、正極活物質には五酸化バナジウム、二
酸化マンガン、または酸化クロムを用いている。中で
も、正極に五酸化バナジウム、負極にカーボンを用いた
電池が主としてメモリーバックアップ用途などに用いら
れるコイン形電池として実用化されている。この電池で
は負極へのリチウムの担持方法としては、電池内でリチ
ウム金属とカーボンとを電気的に接触させる方法がとら
れている。
【0005】最近に至り、1992年第33回電池討論
会要旨集P.83で電子機器用電源として、正極にLi
CoO2、負極にカーボンを用いた円筒形電池が提案さ
れ、深い深度の充放電において1200サイクル経過後
も初期の70%以上の容量が保持されていたと報告され
ている。現在ではこの電池系が4V級リチウムイオン二
次電池として実用化されている。この電池系の特徴は、
負極の充放電反応が負極のカーボン中へのリチウムイオ
ンの吸蔵、放出反応であり、充電に伴う負極上へのリチ
ウムの析出がおこらず、従ってデンドライトが生じない
ため良好なサイクル特性が得られるという点、またカー
ボンはリチウムイオンの吸蔵、放出反応の繰り返しにお
いてもリチウム合金のような微細化が起こらず、電池の
急激な温度上昇が起こらないと言う点があげられる。こ
の電池系のもう一つの特徴は、正極にLiCoO2とい
うリチウム含有複合酸化物を用いており、負極活物質で
あるリチウムイオンは正極から供給されるため、前述の
ような特別な処方により負極にリチウムイオンを担持さ
せる必要がないというところにある。
【0006】4V級リチウムイオン二次電池の正極活物
質としては上記のLiCoO2のみならず、LiNi
2,LiMn24、LiFeO2、あるいはこれらC
o,Ni,Mn,Feを他の金属元素で一部置換したも
のなどがこれまで検討されている。また、負極材料であ
るカーボンとして、当初はコークス、熱分解炭素、ある
いは各種有機物の低温焼成品などの、いわゆる非晶質カ
ーボンを中心に検討されてきたが、活物質であるリチウ
ムイオンの吸蔵、放出能力という観点から最近では高結
晶性のカーボン、いわゆる黒鉛系のカーボンが注目され
ている。
【0007】特開平4−115457号公報では負極と
して易黒鉛化性の球状粒子から成る黒鉛質材料が優れた
特性を示すとされている。黒鉛とリチウムイオンの層間
化合物であるC6Liは古くから知られており、電気化
学的にリチウムイオンを吸蔵、放出(インターカレーシ
ョン、デインターカレーション)した場合、理論容量は
カーボン1gに対し372mAhという非常に大きな値
を示す。それにもかかわらず、当初リチウムイオン二次
電池の負極として採用されなかったのはJournal of Ele
ctrochemical Society117,No2(1970)p.222で報告されて
いるように、現在非水電解液一次電池で電解液の溶媒成
分の一つとして広く用いられているプロピレンカ−ボネ
−トを用いると、その溶媒分子が黒鉛の表面で分解し、
リチウムイオンの黒鉛中へのインターカレーション反応
がスムースに行われないということにあった。これに対
し、1992年第59回電気化学大会講演要旨集P.2
38では電解液の溶媒成分にエチレンカーボネートを主
体として用いることにより、この問題が解決されると報
告されている。以降、天然黒鉛や種々の人造黒鉛がリチ
ウムイオン二次電池の負極として検討され、現在ではむ
しろ黒鉛系の負極が主流となってきている。
【0008】一方、電池の負極として求められる要件と
してカーボン自身のリチウムイオンの吸蔵、放出の能力
と共に、電池という限られた体積の中に如何に多量のカ
ーボンを積み込み得るかという充填性があり、これはカ
ーボンに限らず粉末であればその形状により大きく左右
されるものである。
【0009】カーボン粉末の形状を考えた場合、粒状、
塊状、鱗片状、繊維状の4つに大別される。リチウムイ
オン電池では通常、集電体である金属薄膜の両面または
片面にカーボンと結着剤の混合ペーストを塗布し、極板
としたものを乾燥後、適宜圧延して電極を形成するが、
上記4種の形状のうちでは鱗片状のカーボンがもっとも
充填性に優れている。すなわち、他の3種の形状のカー
ボンでは極板を乾燥後圧延しても粒子の形状は変わらず
単に密に充填されるだけであるが、鱗片状カーボンは圧
延により粒子が同一方向に配向するため、より充填性が
大となる。したがって、リチウムイオンの吸蔵、放出の
能力及びカーボン粉末の充填性という観点では、天然あ
るいは人造黒鉛でかつ粉末形状が鱗片状のものがカーボ
ン負極材料としてもっとも優れた材料であると言える。
【0010】しかしながら、天然黒鉛の場合には産出地
の違いによる材料のバラツキ、あるいは大量の不純物を
取り除くための特別な処理などによる材料の改質が必要
であるということを考慮すると、カーボン負極材料とし
ては鱗片状の人造黒鉛が最も優れたものであると言え
る。代表的な鱗片状の人造黒鉛としては石炭ピッチもし
くは石油ピッチを黒鉛化したもので、ロンザ社製、ある
いは日本黒鉛社製の人造黒鉛があげられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、黒鉛、
とくに鱗片状の人造黒鉛を負極材料として用いた場合、
負極を作製する際の圧延工程により黒鉛が配向するので
充填性が上がるが、逆に充填性が上がりすぎて電極内の
空孔部分が制限され、電池を構成したときに負極内部に
電解液が浸透しないという問題があった。そして、この
ために黒鉛中へのリチウムイオンのインターカレート、
デインターカレート反応は電極表面でしか行われず、電
池の高率充放電時の容量特性が良くないという課題が生
じていた。
【0012】また、この電池を急速充電した場合、電極
内部へのリチウムイオンの拡散が追いつかず、電極表面
のリチウムイオンの濃度が高くなり、黒鉛中にリチウム
イオンがインターカレートするよりも負極板表面に金属
リチウムが析出する方が容易に進行するようになる。こ
のような充電と放電を繰り返すうち負極表面でリチウム
がデンドライト状に堆積する場合もあり、この状態で電
池が高温下に置かれると、負極板上に析出したリチウム
金属と電解液との化学反応によって発熱が起こり、電池
温度が急激に上昇する可能性がある。
【0013】本発明は上記の課題を解決するものであ
り、黒鉛負極を用いた電池に関し、高率充放電特性が良
好で、負極表面に金属リチウムが析出することのない非
水電解液二次電池を提供することを目的としたものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために、本発明の非水電解液二次電池は、黒鉛を充填し
た負極合剤層に適切な孔径の空孔を適切な量有するもの
であり、これによって負極の内部にまで電解液が充分に
浸透し、リチウムイオンの吸蔵、放出反応が効率よく行
われるので、電池の高率充放電特性を向上させることが
できる。
【0015】そして、上記の非水電解液二次電池の製造
法は、負極合剤に固体から気体に変化する昇華性物質ま
たは熱処理によって分解、蒸発する物質を添加し、つい
でこれらを混合・練合して集電体用金属箔上に塗着後所
定の厚みまで圧延し、これを加熱乾燥して前記昇華性物
質、または熱処理によって分解、蒸発する物質を気化さ
せて負極の充填密度、空孔率を調整するものである。
【0016】または、負極合剤中に、電解液に可溶な固
体成分を黒鉛に対して添加し、ついでこれを混合・練合
し金属箔上に塗着後所定の厚みまで圧延して負極を構成
した後、前記電解液可溶成分を溶解させて負極の充填密
度、空孔率を調整するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、請求項1記載のよう
に、負極合剤層中において黒鉛が1.2g/cc以上の充填
密度を有し、かつ負極合剤層に直径が0.5μm以上で
ある空孔が占める体積が空隙体積の80%以上を占める
ようにして構成されたものである。
【0018】そして、上記の非水電解液二次電池の製造
法は、請求項2記載のように、負極合剤に固体から気体
に変化する昇華性物質または熱処理によって分解、蒸発
する物質を、負極の黒鉛材料に対して1〜10%添加
し、ついでこれを混合・練合し金属箔上に塗着後所定の
厚みまで圧延した後、加熱乾燥して前記昇華性物質、ま
たは熱処理によって分解、蒸発する物質を気化させて負
極の充填密度、空孔率を上記のようにして、電池を構成
するものである。
【0019】または、請求項3記載のように、負極合剤
中に、電解液に可溶な固体成分を黒鉛に対して1〜40
%添加し、ついでこれを混合・練合し金属箔上に塗着後
所定の厚みまで圧延して負極を構成した後、前記電解液
可溶成分を溶解させて負極の充填密度、空孔率を上記の
ようにするものである。
【0020】通常、負極作製時には圧延工程を設けて黒
鉛材料の充填状態を良好にするが、この黒鉛は圧延によ
り黒鉛の六角網面が電極表面に平行に配向した状態とな
るため、充放電時にリチウムイオンの出入りがしにくく
なるように配置して、さらに負極合剤層中で黒鉛が隙間
無く充填されていた。このような構成では、合剤中に細
孔がほとんど無いため、電解液が合剤層中の全黒鉛に充
分に浸透することはなく、電池の充放電反応は効率良く
行われなかった。
【0021】本発明は、負極作製時に合剤中に昇華性物
質、または熱処理によって分解、蒸発する物質を適量含
ませ、加熱処理によってこれらの物質を気化または、分
解、蒸発させて負極に適量の細孔部分を設けるものであ
る。または、負極作製時に負極合剤層に含ませた電解液
に可溶な成分を、電解液中に溶解して適量の細孔を設け
るものである。これらの方法によって負極合剤層中に黒
鉛が1.2g/cc以上の充填密度を有し、かつ負極合剤層
に孔径0.5μm以上の細孔が占める体積が空隙体積の
80%以上を占めるように構成することができ、極板内
部まで十分に液が浸透し全黒鉛が反応し得るようにな
り、リチウムイオンの吸蔵、放出反応が効率よく行わ
れ、急速充電時にもリチウムの析出がなく、高率充放電
特性および安全性に優れた非水電解液二次電池を提供す
ることができる。
【0022】
【実施例】以下、図面とともに本発明の実施例を説明す
る。実施例においては円筒形の電池を構成して評価を行
った。
【0023】図1に本実施例に用いた円筒形電池の縦断
面図を示す。図において1は負極で、ロンザ社製人造黒
鉛を主材料とし、これとアクリル系結着剤とを重量比で
100:6の割合で混合したものを銅箔の両面に塗着、
乾燥し、圧延した後所定の大きさに切断したものであ
る。これに2のニッケル製の負極リード板をスポット溶
接している。3は正極を示し、活物質であるLiCoO
2に導電材としてカーボンブラックを、結着剤としてポ
リ四フッ化エチレンの水性ディスバージョンを重量比で
100:3:9の割合で混合したものをアルミニウム箔
の両面に塗着、乾燥し、圧延した後、所定の大きさに切
断したものである。これに4のチタン製の正極リード板
をスポット溶接している。なお結着剤のポリ四フッ化エ
チレンの水性ディスバージョンの混合比率は、その固形
分で計算している。5はポリエチレン製の微孔性フィル
ムからなるセパレータで、正極1と負極3との間に介在
し、全体が渦巻状に巻回されて極板群を構成している。
この極板群の上下の端にはそれぞれポリプロピレン性の
上部絶縁板6、下部絶縁板7を配して鉄にニッケルメッ
キしたケース8に挿入する。そして正極リード板2をチ
タン製の封口板10に、負極リード板4をケース8の底
部にそれぞれスポット溶接した後、所定量の電解液をケ
ース内に注入し、ガスケット9を介して電池を封口板1
0で封口して完成電池とする。この電池の寸法は直径1
4mm、高さ50mmである。なお、11は電池の正極
端子であり、負極端子は電池ケース8がこれを兼ねてい
る。
【0024】電解液はエチレンカーボネートとジエチル
カーボネートを体積比1:1で混合した溶媒に溶質とし
て六フッ化リン酸リチウムを1.1モル/lの濃度で溶
解したものを用いた。
【0025】正極は充填密度・厚みは一定とした。負極
は銅芯材上の合剤の塗着量を一定とし圧延時の圧力と圧
延回数を調節することにより負極黒鉛材の充填密度を変
え電池A〜Dを作製した。また、負極作製時に昇華性物
質である粉末状のナフタリンを1、6、12%添加し、
塗着、圧延の後、加熱乾燥したものを電池E〜Gとし
た。また、電解液溶解成分として室温で固体であるエチ
レンカーボネート(以下ECと略記する)を用い、負極
合剤に5、20、50%添加し圧延、電池H〜Jを作製
した。電池H〜Jは45℃で5時間置き、負極板中のE
Cを電解液中に溶解した。
【0026】負極合剤の充填密度を変えることにより、
負極板の厚みが変わるため、正・負極板の長さを変え、
極板群が電池ケースにちょうど入る大きさとなるように
調節した。この場合正極の長さにより、電池の容量が決
定するため薄い負極板つまり負極活物質の充填密度が高
いものほど容量が大きくなった。
【0027】上記に示す10種類の電池を低率放電と高
率放電で定電流放電し、放電容量を比較した。試験条件
は、充放電電流100mA、充電終止電圧4.2V、放
電終止電圧3.0V、環境温度20℃とし、充放電を5
回繰り返した後、放電電流のみを500mAに変えて充
放電を100回行った。以上の電気特性試験終了後、充
電状態で電池を分解し極板表面状態を観察すると共に、
負極のX線回折測定により黒鉛のステージ構造の生成状
態を測定した。
【0028】理論容量、低率放電での5サイクル目の放
電容量、高率放電での放電容量、X線回折測定による1
stステージ、2ndステージ、3rdステージおよび黒鉛の
ピーク強度の比を(表1)に示す。
【0029】
【表1】
【0030】充電容量は充電末期に負極のリチウム吸蔵
能力が限界に達して負極電位が急激に下がり、正・負極
の電位差が充電終止電圧となった時点で充電が終了する
という現象によって決定される。一方、低率放電した場
合の充放電効率はいずれの電池もほぼ100%であり、
充電容量によって放電容量は決定され、また、高率放電
した場合の充放電効率は100%以下となり、放電時に
負極中をリチウムが移動する反応の容易さによって放電
容量が決定される。
【0031】黒鉛の充填密度による比較を行ってみると
(表1)より低率放電容量は充填密度が高いほど電池容
量は大きいが、充填密度が高く0.5μm以上の空孔の
体積が80%未満の場合(電池C,D)理論容量と実放
電容量との差が大きい。これは非水電解液が浸透するに
は細孔は0.5μm以上の孔径が必要で、充填密度が高
い場合0.5μm以上の細孔の体積が少ないために電解
液が十分に浸透せず、反応が十分に起こらないことから
極板の厚み方向で不均一な充電状態となり、結果として
理論容量よりも電池容量が小さくなると考えられる。
【0032】また、高率放電容量は電池C,Dは電池B
のよりも小さい。電池C、Dでは高率放電時負極中をリ
チウムが移動する反応が容易ではないが、電池Bは負極
中のリチウムの移動が容易なため低率放電時とほぼ同等
な容量が得られると考えられる。サイクル後の分解観察
によると電池Dは部分的に金属リチウムの析出が観察さ
れた。X線回折ピーク強度比(表1)を見ても、電池
C,Dは2ndステージのピーク強度が強いが、1st、3
rd、黒鉛のピークも観察され、不均一な充電がなされて
いる。電池A、B、Cは1stステージのピークが強く、
2ndステージは若干観察されたが、3rd、黒鉛のピーク
は全く検出されず、比較的均一な充電がなされているこ
とがわかる。これらのことから充填密度が高い場合電池
内に充填できる重量は多いものの、均一な反応が起こら
ず、特に高率放電特性が劣ることがわかった。
【0033】電池E,F,H,Iは電池Bと同様に理論
容量と実放電容量の容量差が少なく高率放電においても
大きな容量が得られた。しかしながら、電池G,Jは合
剤中に混合物が多いため黒鉛の充填密度が低くなり、容
量が若干低くなった。
【0034】また、圧延によって充填密度を調節したも
のと比較すると、昇華性物質や、電解液溶解成分を加え
て作製した負極板では充填密度が高くても直径0.5μ
m以上の細孔体積の占める割合が大きく極板内で均一な
反応が進行し、高率放電特性にも優れる電池を得た。
【0035】以上の結果、総合評価として低率放電で大
きな放電容量を有し、かつ、高率放電での充放電100
サイクルによっても金属リチウムの析出のないのは本発
明の電池B、E,F,H,Iであった。
【0036】なお、本実施例では昇華性物質にナフタリ
ンを用いたが樟脳、固体炭酸等昇華性の物質が同様に使
用できる。また、昇華性物質の代わりに真空熱処理によ
り分解または蒸発する無機、または有機物質が使用で
き、例えば氷、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチ
ラールなどがあげられる。
【0037】また、電解液溶解成分としては電解液に溶
解する物質であれば何でも使用でき、例えば六フッ化リ
ン酸リチウム、ホウフッ化リチウム、過塩素酸リチウ
ム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、六フッ化
ヒ酸リチウム、六フッ化リン酸ナトリウム、過塩素酸ナ
トリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等通常支持塩
として使用される物質や、例えば、スルフォラン、ジメ
チルカーボネート等比較的融点の高い溶媒等が使用でき
る。
【0038】なお、同じ充填密度と多孔度の負極を得る
ために、昇華性物質または熱処理によって分解、蒸発す
る物質は1〜10%添加し、電解液に可溶な固体成分は
1〜40%添加するのは、昇華性物質が気化する際にで
きる細孔が電解液に可溶な固体成分が溶解する際にでき
る細孔より大きいためである。
【0039】正極活物質にリチウムとコバルトの複合酸
化物を用いたが、他の正極活物質、例えば、リチウムと
ニッケルの複合酸化物、リチウムとマンガンの複合酸化
物、リチウムと鉄の複合酸化物などのリチウム含有酸化
物、もしくは上記複合酸化物のそれぞれコバルト、ニッ
ケル、マンガン、鉄を他の遷移金属で一部置換したもの
を用いた場合でもほぼ同様の効果が得られた。
【0040】また、本実施例では電解液の溶質に六フッ
化リン酸リチウムを用いたが、他のリチウム含有塩、例
えばホウフッ化リチウム、過塩素酸リチウム、トリフル
オロメタンスルホン酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウム
などを用いた場合でもほぼ同様の効果が得られた。
【0041】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば負極合剤に昇華性物質や熱処理によって分解、蒸
発する物質を黒鉛に対して1〜10%添加する、また
は、電解液に溶解する物質を黒鉛に対して1〜40%添
加することにより、前記黒鉛が1.2g/cc以上の充填密
度を有しかつ負極合剤層の空孔直径が0.5μm以上で
ある細孔の体積が空隙体積の80%以上を占める構成と
なり、高率充放電時の容量特性に優れた非水電解液二次
電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における円筒形電池の縦断面図
【符号の説明】
1 負極 2 負極リード板 3 正極 4 正極リード板 5 セパレータ 6 上部絶縁板 7 下部絶縁板 8 ケース 9 ガスケット 10 封口板 11 正極端子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極と負極をセパレータを介して構成する
    非水電解液二次電池において、前記負極は、リチウムを
    吸蔵・放出することができる黒鉛を主たる構成材料とす
    る合剤層を備え、前記黒鉛が1.2g/cc以上の充填密度
    を有し、負極合剤中において孔径0.5μm以上の細孔
    の体積が負極の空隙体積全体の80%以上を占める非水
    電解液二次電池。
  2. 【請求項2】固体から気体に変化する昇華性物質または
    熱処理によって分解、蒸発する物質を黒鉛に対して1〜
    10%添加し、これらを混合・練合する工程と、この負
    極を加熱乾燥して前記昇華性物質を気化させ、負極にお
    いて黒鉛が1.2g/cc以上の充填密度を有し、負極合剤
    中において孔径0.5μm以上の細孔の体積が負極の空
    隙体積全体の80%以上を占める多孔質の負極を得て電
    池を構成する工程を備えた非水電解液二次電池の製造
    法。
  3. 【請求項3】負極合剤に、電解液に可溶な固体成分を黒
    鉛に対して1〜40%添加し、これらを混合・練合する
    工程と、この負極を用いて電池を構成し、前記固体成分
    を溶解させて負極において黒鉛が1.2g/cc以上の充填
    密度を有し、負極合剤中において孔径0.5μm以上の
    細孔の体積が負極の空隙体積全体の80%以上を占める
    多孔質の負極とする工程とから成る非水電解液二次電池
    の製造法。
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