【発明の詳細な説明】
17β-シアノ-3-エトキシ-17α-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-
3,5,9(11)-トリエンの合成
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、17-ケトステロイドを対応する17β-シアノ-17α-ヒドロキシ
ステロイドに変換する化学プロセスに関する。
2.関連技術の説明
17-ケトステロイドを対応するシアノヒドリン(17β-シアノ-17α-ヒド
ロキシステロイド)に変換することは、当業者に知られている。
米国特許第4,500,461号および第4,548,748号はアセトンシアノヒドリンおよび
シアン化カリウムを使用することによる、Δ4-3,17-ジケトステロイドを対応
する17β-シアノ-17α-ヒドロキシステロイドへ変換するプロセスを開示し
ている。実施例1および25は、C6を置換することなしに、Δ4-3,17-ジケ
トステロイドを変換するプロセスを開示している。実施例2は、C6を置換する
ことなしに、Δ4'9(11)-3,17-ジケトステロイドを変換するプロセスを開示し
ている。実施例26は、C6を置換することなしに、Δ1'4-3,17-ジケトステ
ロイドを変換するプロセスを開示している。実施例27は、6α-メチル-11β
-ヒドロキシ-Δ4-3,17-ジケトステロイドを変換するプロセスを開示している
。実施例28は、6α-メチル-Δ1'4-3,17-ジケトステロイドを変換するプロ
セスを開示している。また、これらの特許は、17β-シアノ-3,17α-ジヒド
ロキシ-5-エン3-エチリデンケタールエーテル(実施例3)および17β-シアノ
-3,17α-ジヒドロキシ-3,5-ジエン3-メチルエーテル(実施例24)も開示
している。しかしながら、両方のケースにおいて、17-ケトステロイドを最初
に対応する17-シアノヒドリンに変換し、ついでA-環中のC3官能基をエーテ
ルに変換している。
米国特許第4,921,638号は、17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシアンドロ
スタ-3,5,9(11)-トリエン3-メチルエーテル(調製例1)および17β-シア
ノ-6-フルオロ-3,17α-ジヒドロキシアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエ
ン3-メチルエーテル(調製例5)を開示している。加えて、米国特許第4,921,638
号(実施例89)は、シアン化カリウム、硫酸、メタノールおよび水を用いた、対
応する17-ケトステロイドからの17β-シアノ-9α,17α-ジヒドロキシア
ンドロスト-4-エン-3-オンの生成を開示している。
J.Am.Chem.Soc.,75,650(1953)は、アンドロスト-4-エン-3,17-ジオン
の17-シアノヒドリンの調製および対応する3-エノールエチルエーテル、3-
エノールベンジルエーテルおよび3-エチレングリコールケタールへのその転化
を開示している。
Helv.Chem.Acta,33,1093(1950)は、17α-シアノ-3,17β-ジヒドロキ
シアンドロスト-5-エン3-アセチルエステルの調製を開示している。
Helv.Chim.Acta,29,1580(1946)は、17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキ
シアンドロスタン3-アセチルおよび17α-シアノ-3,17β-ジヒドロキシア
ンドロスタン3-アセチルエステルの混合物の調製を開示している。
Helv.Chim.Acta,21,1317(1938)は、シアン化水素を用いた、3-アセトキシ
アンドロスト-5-エン-17-オンから17-スピロヒドアントインへの変換を開
示している。
Steroids,28,89(1976)は、アンドロステンジオンの17-シアノヒドリンの調
製を開示している。シアノヒドリンの立体化学は決定されていない。
米国特許第3,496,169号は、アルキルシアノアルミニウム化合物を用いた、カ
ルボニル化合物からα-シアノヒドリンの調製を開示している。
西ドイツ国特許第147,669号は、塩基存在下にて17-ケト-ステロイドをアル
カノンまたはシクロアルカノンシアノヒドリンと反応させることによる17α-
ヒドロキシ-17β-シアノステロイドの調製を開示している。該ステロイドは4
,5-、5,6-および5,10-位に二重結合を有していた。3-位はケトン、アセ
トキシまたはジメトキシケタールであった。
日本国特許第J5 7,062,296号は、3-カルボニルおよび17α-ヒドロキシ基が
保護されている17β-シアノ-17α-ヒドロキシアンドロスト-4-エン-3-オ
ンまたは17β-シアノ-17α-ヒドロキシアンドロスタ-4,9(11)-ジエン-
3-オンから17α-ヒドロキシプロゲステロン誘導体の調製を開示している。
日本国特許第J5 7,062,299号は、シアン化水素またはそのアルカリ金属塩のい
ずれかを用いることによる、17β-シアノ-17α-ヒドロキシアンドロスト-4
-エンおよび17β-シアノ-17α-ヒドロキシアンドロスタ-4,9-(11)-ジエ
ンまたはそれらの3-アセタール誘導体の調製を開示している。
日本国特許第J5 7,062,300号は、17β-シアノ-17α-ヒドロキシアンドロ
スト-4-エン-3-オンおよび17β-シアノ-17α-ヒドロキシアンドロスタ-4
,9(11)-ジエン-3-オンならびにそれらの3-アセタールを開示している。
Tetrahedron Letters,22,2005(1971)は、Δ5(10)-二重結合を含むステロイ
ドA-環を有するシアノヒドリンの調製を報告している。
米国特許第4,977,255号は、17β-シアノ-17α-ヒドロキシステロイドを商
業的に重要なコルチコイドおよびプロジェステロンに変換する重要なプロセスを
開示している。17β-シアノ-17α-ヒドロキシステロイド出発物質は調製例
1ないし10で調製した。17β-シアノ-17α-ヒドロキシステロイドを生成
するのに用いる数種の17-ケトステロイドには、C6にメチル置換基が(調製例
3および4)、C6にメチレン置換基が(調製例8)、C-環にΔ9(11)-不飽和が(
調製例1、5、9および10)、および/または3-メトキシ-Δ3'5-不飽和A環
が(調製例1、2および5)含まれる。
Tetrahedron Letters,31,3669(1990)は、17β-シアノ-3,17α-ジヒド
ロキシアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエンの調製およびその酢酸ヒドロコル
チソンへの転化を開示している。
米国特許第5,003,063号は保護シアノヒドリン(II)の、保護基がC3にある対応
する保護21-ハロステロイド(IV)への転化が開示されている。例示されたステ
ロイドは、いずれもΔ5(6)-二重結合以外にC6に置換基を有していない。
CA:106:84943およびCA109:170717は、6-メチル中間体を生成するのに必
要であるC6にメチル基を含まない3-ヒドロキシアンドロスタ-3,5,9(11)-
トリエン-17-オン3-エチルエーテルを開示している。
前記した刊行物はいずれも3-エトキシ-6-メチルステロイドを開示していな
い。
発明の概要
3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン
3-エチルエーテルを開示する。
また、17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5
,9(11)-トリエン3-エチルエーテルを開示する。
さらに、
(1)約7ないし約11のpHにて、式(I):
で示される化合物、3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-ト
リエン-17-オン3-エチルエーテルとシアン化水素(H-C≡N)とを接触させて
、17β-シアノ異性体が選択的に結晶化する溶媒または溶媒混合液存在下に1
7β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-
トリエン3-エチルエーテル(II)および17α-シアノ-3,17β-ジヒドロキシ-
6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテルを生成する
ことを特徴とする式(II):
で示される化合物、17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロ
スタ-3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテルの製法を開示する。
発明の詳細な説明
本発明のプロセスは、酸および適当な溶媒存在下にてシアン化物と反応させる
ことによる、3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-
17-オン3-エチルエーテル(I)の17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-
メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテル(II)への変換
である。
3-エチルエーテル出発物質である3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,
5,9(11)-トリエン-17-オン3-エチルエーテル(I)は、窒素雰囲気下、塩
酸ピリジン存在下、エタノールのごとき適当な溶媒中にてトリエチルオルトホル
メートと反応させることによって、6α-メチルアンドロスト-4,9(11)-ジエ
ン-3,20-ジオン(米国特許第2,842,573号、実施例2)から3-エチルエーテル
出発物質3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17
-オン3-エチルエーテル(I)を調製する。反応物は、塩化メチレン/アセトン(8
7.5/2.5)溶媒系(TLCを行う前にトリエチルアミンでのクエンチが必要で
ある)を用いたTLCによってモニターして反応が完了するまで約40℃にて加
熱する。数%のみの出発物質が残っている場合に、反応は完了している。反応が
完了したら、その反応混合物を20-25°に冷却し、所望の3-エチルエーテル
が晶析する。3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエ
ン-17-オン3-エチルエーテル(I)が利用できる場合には、冷却した反応混合
物を種晶するのが好ましい。3-エチルエーテル(I)は徐々に結晶化させて、良
好な濾過を確保しなければならない。3-エチルエーテル(I)の溶液中の晶析が
速すぎる場合には、非常に微細な粒子が形成されて、濾過が不十分となる。この
ことを回避するために、水を添加する前に結晶化させることが必要である。これ
は種晶により最良に誘導される。濃厚なスラリーが得られたら、氷浴中にて混合
物をさらに冷却する。ついで、水を添加し、TLCにより測定して望ましくない
17-ジエチルケタールが完全に加水分解されるまで、その混合物を撹拌する。
この時点で、塩酸ピリジンを上回る僅かに過剰量のトリエチルアミンで該反応混
合物をクエンチする。さらなる水を添加して3-エチルエーテル(I)をさらに沈
殿させ、その混合物を5°にて1時間撹拌する。当業者に知られている濾過によ
って3-エチルエーテルを得、これを冷メタノールで洗浄する。母液中の種々の
化合物は、望むなら、塩酸(1N)を使用することによってΔ4-3-ケト出発物質
に再転化し得る。
3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン
3-エチルエーテル(I)を、約7ないし約11のpHにてシアン化水素と接触さ
せる。該反応混合物のpHを約7ないし約11、好ましくは約8ないし約10、
さらに好ましくは約9.0ないし約9.5の操作可能な範囲に維持することは重要
である。pHは、酸に対して僅かに過剰量(10-25%)のシアニド塩を用いる
ことによってこの範囲に簡便に設定される。これにより、所望の17β-シアノ-
3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-
エチルエーテル(II)および17α-シアノ異性体、17α-シアノ-3,17β-
ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-エチルエー
テルが生成される。該反応は、反応が進行するにつれて所望の生成物が晶析する
ように、17β-シアノ異性体が17α-シアノ異性体よりも可溶性が低い溶媒ま
たは溶媒混合液存在下で行う。
シアン化水素は、約7未満のpKaを有する酸のシアン化物量の塩と合わせる
ことによって、イン・サイチューで簡便に調製する;該pKaは6未満が好まし
い。該シアン化物は、しかしながら、それは、水溶液としてそれに添加するのが
好ましいため、最初はシアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムのいずれかが
好ましいが、シアン化物の特定の形態はそれが可溶性である限り重要ではない。
該酸は、シアン化物(C≡N-)を、17-シアノヒドリンの形成において活性種で
あるシアン化水素(H-C≡N)に転化するのに必要である。該酸はカルボン酸で
あるのが好ましい。適当な酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、フ
ッ化水素酸、過塩素酸、硝酸およびリン酸のごとき無機酸;酢酸、ギ酸、プロピ
オン酸、安息香酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ピバリン酸、
エチルヘキサン酸のごときカルボン酸、ならびにp-TSA、メタンスルホン酸
およびカンファスルホン酸のごとき他の有機酸またはそれらの同等物が含まれる
。特定の酸は、それがシアン化物(C≡N-)をシアン化水素(H-C≡N)に変換す
るのに十分に酸性である限り、重要ではない。別法として、シアン化水素は、販
売されており、この目的に通常用いられるアセトンシアノヒドリンのごときラー
ビルなシアノヒドリン化合物によって付与され得る。
溶媒または溶媒混合液の性質は重要である。17β-シアノ-3,17α-ジヒド
ロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテル(II
)を首尾よく行う反応には生成物が沈殿しなければならないが、17α-シアノ異
性体は溶液中に残っている。したがって、溶媒または溶媒系は、17β-シアノ-
3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-
エチルエーテル(II)が17α-シアノ異性体よりも、反応混合物中でより低い溶
解性であるようなものでなければならない。3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロ
スタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン3-エチルエーテル(I)ステロイド出
発物質およびシアニド塩は、溶媒または溶媒混合液中に少なくとも幾分かの溶解
性を有していなければならない。17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メ
チルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテル(II)の沈殿を実
現するために、要すれば、反応の間に溶媒を調整して、より多い生成物の沈殿を
引き起こすことができる。該溶媒または溶媒混合液は少なくとも50%のアルコ
ールを含んでいることが好ましい。該アルコールは、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール、エチレン
グリコールおよびプオピレングリコールよりなる群から選択されることが好まし
い。好ましいアルコールはメタノールである。適当な非-アルコール溶媒には、
水、塩化メチレン、トルエン、テトラヒドロフランまたはそれらの混合液が含ま
れる。
反応は、(密閉系において)約0°〜約70°;好ましくは約10°〜約45°
;さらに好ましくは約20°〜約40°の温度範囲で行わなければならない。高
温では、留去してしまうことからシアン化水素を防ぐために密閉系が必要である
。該反応は約30-35℃にて約1時間行い、ついで該温度を約20-25°に低
下させるのが好ましい。
反応が完了したら、水を添加して、30分間のごとき短時間撹拌するのが好ま
しい。所望の17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-
3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテル(II)生成物が徐々に晶析する。幾分
かの生成物(II)が利用できる場合、反応混合物を種晶するのが好ましい。
TLCにより測定して反応が完了したら、それを(酢)酸でクエンチして7未満
のpHとする。この時点で、反応物を約50°に加温し、固形物が溶解するまで
THFを添加する。この時点で、多量のシアン化水素が放出されることに注意す
ることは重要である。すべての固形物が溶解したら、約3分間にわたって水を添
加する。添加するのが早すぎると結晶物が小さくなり過ぎて、濾過および洗浄な
らびに乾燥がより困難となるであろう。該混合物を50°にて撹拌し、ついで(-
10℃まで)冷却し、さらに撹拌し、濾過し、洗浄し乾燥して、所望の17β-シ
アノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエ
ン3-エチルエーテル(II)を水和物として得る。無水物形が望ましい場合には、
該化合物を50°を超える温度で乾燥しなければならない。
17β-シアノ3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(1
1)-トリエン3-エチルエーテル(II)はその水和物および溶媒和物に等価である
。
17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9
(11)-トリエン3-エチルエーテル(II)は、メチルプレドニソロンのごとき6-
メチルステロイドの生成に有用である(米国特許第4,500,461号、第4,548,748号
および第4,977,255号参照)。
定義および約束
以下の定義および説明は、明細書および請求の範囲の両方を包含する本書類全
体を通して使用する語に関するものである。
定義
すべての温度は℃である。
TLCとは薄層クロマトグラフィーをいう。
HPLCとは高速液体クロマトグラフィーをいう。
THFとはテトラヒドロフランをいう。
溶媒対を用いる場合、用いる溶媒の比率は容積/容積(v/v)である。
溶媒中の固形物の溶解度を用いる場合、溶媒に対する固形物の比率は重量/容
積(wt/v)である。
シアン化水素とはHCN(H-C≡N)をいう。
実施例
さらに説明しなくとも、当業者であれば、前記の説明を用いて本発明をその最
大限の範囲で十分に実施し得ると考えられる。以下の詳細な実施例は、種々の化
合物をいかに調製し、および/または本発明の種々のプロセスをいかに行うかを
記載しており、単なる説明を意図するものであって、いかなる場合においても前
記の開示の限定を意図するものではない。当業者であれば、反応物および反応条
件としての手法ならびに技術から適当な変形を直ちに認識するであろう。
調製例1 3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-
17-オン3-エチルエーテル(I)
6α-メチルアンドロスト-4,9(11)-ジエン-3,17-ジオン(米国特許第
2,842,573号-実施例2、50g)、塩酸ピリジン(0.56g)、無水エタノール(
100ml)およびトリエチルオルトホルメート(1.4当量、39ml)をスラリー
化し、減圧下にて蒸気を除去して窒素で置換する。その混合物を、TLC(塩化
メチレン/アセトン;97.5/2.5)によって測定して反応が完了するまで、40
°にて撹拌しつつ加熱する。その混合物を20-25°に冷却し、混合物を氷浴
でさらに冷却しつつ種晶し、徐々に結晶化することによって生成物を得る。水(
2当量、6ml)を徐々に添加し、TLC(塩化メチレン/アセトン;97.5/2.
5)によって測定して反応が完了するまで、その混合物を撹拌する。完了したら
、反応物をトリエチルアミン(0.04当量、1ml)でクエンチし、水(40ml)
を添加して、その混合物を5°にて1時間撹拌する。その混合物を迅速に濾過し
、濾過ケーキを冷(-20℃)メタノール(2×50ml)で洗浄する。その濾過ケー
キを減圧下、40°にて一晩乾燥し、標題化合物を得る。
Rf=0.67(塩化メチレン/アセトン;97.5/2.5)
出発物質は、母液を合わせ、メタノール洗浄し、濃縮して大部分の有機溶媒が
除去される点までの容積に減少させることによって回収し得る。メタノール(2
5ml)を添加し、その混合物を窒素でパージする。塩酸(12N、5ml)を添加
し、その混合物を撹拌する。沈殿物を濾過し、水およびメタノールで洗浄する。
濾過ケーキを真空オーブン中で一晩乾燥して標題化合物を得る。
HPLC Rt=4.70分(アセトニトリル/水、90/10、流速1.5ml/分
、カラムC18 Nucloesil)
調製例2 3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-
17-オン3-メチルエーテル
メタノールおよびトリメチルオルトホルメートで出発する以外は重要でない変
形を施し、調製例1の常法に従って標題化合物を得る。
Rf=0.71(塩化メチレン/アセトン、97.5/2.5);
HPLC Rt=5.56分(アセトニトリル/水、90/10、流速1.5ml/分
、カラムC18 Nucloesil)
調製例3 3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-
17-オン3-プロピルエーテル
プロパノールおよびトリプロピルオルトホルメートで出発する以外は重要でな
い変形を施し、調製例1の常法に従って標題化合物を得る。
HPLC Rt=8.52分(アセトニトリル/水、90/10、流速1.5ml/分
、カラム C18 Nucloesil)
実施例1 17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-
3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテル(II)
3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン
3-エチルエーテル(I、調製例I、50g)、シアン化カリウム(19.95g)お
よびメタノール(120ml)を合わせ、窒素/減圧系(3×)でパージし、密閉系で
35-40°に加熱する。減圧下にて蒸気を除去し、酢酸(14ml)をシリンジを
介して添加する。真空を窒素に徐々に解除し、一旦常圧に達したら容器を密封す
る。その反応混合物を35°にて、ついで20-25°にて1時間撹拌する。再
度、常圧に達するまで、減圧を窒素によって置換する。水(9ml)を添加し、そ
の混合物を30分間撹拌する。固形物が全く溶液に析出しない場合には、その混
合物を種晶する。フラスコを再密閉し、3%未満の出発物質がHPLCによって
認められるまで(通常は一晩)、25℃にて撹拌する。反応が完了したら、その反
応混合物を窒素で排出し、酢酸(4ml)でクエンチする。その反応物を約50℃
まで加温し、全ての固形物が溶解するまで、THF(約45-50ml)を徐々に添
加する。大量のシアン化水素が発生する場合には注意をはらわなければならない
。すべての固形物が溶解したら、水(33ml)を少なくとも3分間にわたって添
加する。その混合物を50°にて5分間撹拌し、ついて-10°まで2時間徐々
に冷却する。その混合物を-10°にて2時間撹拌し、濾過する。その濾過ケー
キを10°に冷却したメタノール水溶液(50%、2×50ml)で洗浄する。そ
の濾過ケーキを窒素圧上で一晩乾燥する。この時点で生成物は水和物である。水
和
物の水を除去するには、50°より高い温度で乾燥することを要し、標題化合物
を得る。
HPLC=6.70分(アセトニトリル/水、80/20);(化学)収率92.4%;
HPLCは約1%の出発物質が残存していることを示す。再結晶化の際に、出
発物質を除去する。
実施例2 17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-
3,5,9(11)-トリエン3-メチルエーテル
3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン
3-メチルエーテル(調製例2、9.3g)、シアン化カリウム(4.2g)およびメ
タノール(18ml)を混合し、35°に加熱する。該混合物を窒素でパージし、
減圧下に付する。減圧を用いて酢酸(3.0ml)をフラスコ中に添加する。反応
を45-48°にて維持する。1時間45分後にその混合物を、以前の実験から
得られた所望のシアノヒドリンで種晶する。
合計4時間後に、その混合物を冷却する。1時間後に、その混合物を27°と
し、試料を取り出す。分析により、約9%の出発物質が混合物中に残存している
ことが判明する。同時に上清もチェックする。非常に少量の出発物質が認められ
たことは、出発物質が生成物と共沈殿していることを示唆している。
該スラリーを35℃に加温して戻し、一晩撹拌する。一晩撹拌した後でも、変
化は全く認められない。ついで、反応物を酢酸(1.5ml)でクエンチし、その混
合物を25°に冷却する。固形物を濾別し、冷メタノールで洗浄する。結晶をH
PLCによって分析すると、約8%の出発物質が残存していることが判明する。
ついで、固形物をトルエン/メタノールにそれらを溶解することによって再結晶
化する。蒸留によってメタノールを除去し、得られた結晶物を濾別する。
Rf=0.3(アセトン/塩化メチレン、2/98)
結晶物のアッセイによれば、約5-6%の出発物質がまだ残存していることが
示唆される。
再結晶しても出発物質は除去されなかった。
実施例3 17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-
3,5,9(11)-トリエン3-プロピルエーテル
3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン
3-プロピルエーテル(調製例3、10.0g)、シアン化カリウム(4.7g)およ
びメタノール(15ml)を合わせパージする。その混合物を45℃に加熱する。
酢酸(3.5ml)を窒素で充満させ、ついで減圧下に付する。ついで、減圧を窒素
に解除して、フラスコを再度減圧に付する。混合物が均一になったら、水(4ml
)を添加し、その混合物を種晶する。30分後に、スラリーが認められる。さら
に30分間撹拌した後に、該混合物を32°に冷却する。1時間後に、水(4ml
)を添加する。さらに撹拌45分後に、該混合物を酢酸(1.5ml)でクエンチす
る。テトラヒドロフラン(10ml)を添加し、その混合物を40°加熱する。水
を添加すると生成物が沈殿するが、油性物が認められる。結晶が得られた後に、
メタノールおよび種晶結晶を添加する。その混合物を一晩徐々に撹拌し、冷却し
濾過する。洗浄(メタノール/水)し、乾燥して標題化合物を得る(6.5g収量)
実施例4 3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-
17-オン3-エチルエーテル(I)
6α-メチルアンドロスト-4.9(11)-ジエン-3,20-ジオン(米国特許第2,
842,573号、実施例2、50g)をメタノール(130ml)と混合し、窒素でパー
ジする。塩酸ピリジン(0.56g)をエタノール(20ml)に溶解し、ステロイド
/エタノール混合物に添加する。その反応混合物を35-40°に維持し、(TL
Cによってモニターして)反応が完了するまで撹拌する。反応が完了したら、そ
の混合物を0-5°に冷却する。水(6ml)を添加し、(TLCによって測定して)
逆加水分解が完了するまで混合物を0-5°にて撹拌する。逆加水分解が完了し
たら、トリエチルアミン(1.2ml)を添加する。
その混合物を、撹拌しつつ窒素下、55〜60°で還流する。ステロイドが溶
液中に存在する場合、水浴を除去して反応混合物を放置して20-25°まで冷
却する。水(60ml)を30分にわたって添加する。完了したら混合物を0〜5
°に冷却し、60分間撹拌する。混合物を濾過し、トリエチルアミン(冷(-5〜-
10°)メタノール中の2%、60ml)で洗浄し、乾燥して標題化合物を得る。
実施例5 17β-シアノ-3,17α-ジヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-
3,5,9(11)-トリエン3-エチルエーテル(II)
3-ヒドロキシ-6-メチルアンドロスタ-3,5,9(11)-トリエン-17-オン
3-エチルエーテル(I、実施例4、40g)、シアン化カリウム(17.6g)およ
びメタノール(96ml)を窒素下にて混合し、20-25°にて撹拌する。酢酸(
12.35ml)を添加し、その混合物を撹拌しつつ35°に加温する。その反応
混合物を35-40°にて45分間撹拌し、ついで20-25°に冷却する。水(
10.8ml)を添加し、その混合物を、(HPLCによって測定して)反応が完了
するまで撹拌する。反応が完了したら、混合物を酢酸(3.85ml)でクエンチす
る。反応温度が20-25°である時に、THF(20ml)につづいて水(20ml
)を添加し、その混合物を20-25°にて5分間撹拌し、ついで-10°に1-2
時間冷却する。ついで、その混合物を濾過し、10°のメタノール水溶液(50
%、2×40ml)で洗浄し、乾燥して標題化合物を得る。これは温度感受性の水
和物であるため、<0°にて保存する。
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