【発明の詳細な説明】
ベロトキシン医薬組成物及びこれを使用する医学的処置
発明の分野
本発明はベロトキシン(ベロ毒素、verotoxin)医薬組成物及びこれを使用する
哺乳動物の腫瘍形成(neoplasia)、特に、卵巣及び皮膚癌の処置方法に関する。
発明の背景
バクテリオシンは特定の生物壁凹(ニッシェ)内で競合微生物の生長を抑制す
るために生産される細菌蛋白質(bacterial protein)である。E.coli(大腸菌)
の特定の菌株(HSC10)からのバクテリオシンの製剤は、生体外で、種々のヒト腫
瘍細胞系統(tumour cell line)に対して腫瘍形成抑制活性(anti-neoplastic act
ivity)を示すことは従来から示されている(1,2)。従来、PPB(partially purifie
d bacteriocin(2))又はACP(anti-cancer prote-ins(2))と呼ばれているこの製剤
はマウス腫瘍モデル(tumour model)において肺への転移を防止するのにも効果を
示した(2)。
シガ状毒素(SHIGA-like toxin)としても知られているベロトキシン類は、ベロ
トキシン1、ベロトキシン2、ベロトキシン2C及びベロトキシン2eとして知られ
る、E.coliのある種の菌株によって生産されたサブユニット毒素(subunit toxin
)の一群からなる(3)。これらの毒素は溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic sy
ndrome)(3,4)及び出血性大腸炎(haemorrhagic colit-is)(5)の病因(etiology)と
なっている。細胞の細胞毒性(cell cytotoxicity)は感受性細胞(sensitive cell
)内で、受容体グリコリピド(glycolipid)、グロボトリアオシルセラミド(globot
riaosylceramide)へのホロトキシン(holotoxin)のBサブユニットの結合により媒
介される(6)。
E.coli生産毒素であるベロトキシン類はグロボ系グリコリピド、グロボトリア
オシルセラミドに結合しかつ結合のための末端gal(terminal gal)、α-1-4 gal
残基(α-1-4 gal residue)を必要とする。なお、VT2e、ブタ浮
腫病毒素は追加的なβ1-3結合 galNac残基(β 1-3 linked galNac residue)を含
有するグロボテトラオシルセラミド(globotetraosylceramide)(Gb4)を認識する
。これらのグリコリピドはこれらの毒素についての官能性受容体(functional re
ceptor)であるが、これは、このグリコリピドを受容体陰性負細胞(receptor neg
ative cell)中に組込むことにより受容細胞(recipient cell)が細胞毒性に対し
て感受性になるという理由からである。この毒素はA-サブユニット−60S RNA リ
ボソームサブユニットの28S RNA中の特定のアデニン塩基を除去すN-グリカナー
ゼ(N-glycanase)を介して蛋白質合成を抑制する。しかしながら、特定の細胞毒
性及び特定の活性はBサブユニットの機能である。生体外翻訳系においては、ベ
ロトキシンA サブユニットは、文献に記載のごとく、蛋白質合成の最も強力な抑
制剤ではあり、約8pMの濃度で効果を示す。ベロシトキセミア(verocytoxemia)の
ウサギモデル(rabbit model)においては、疾病(pathology)及び毒物の標的(toxi
n targeting))はグリコリピド受容体を含有する組織に限定されておりそしてこ
れらの組織は血管系(blood vasculature)のサブセット(subset)の内皮細胞から
なる。ベロトキシンは、それぞれ、糸球体毛管又は胃腸毛管の微細血管障害(mic
roa-ngiopathy)である溶血性尿毒症症候群及び出血性大腸炎についての病因薬剤
(etiological agent)であると固く信じられている。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)
はベロトキシンに感受性であるが、この感受性は細胞系統に従って変動する。ヒ
ト成人腎内皮細胞は生体外でベロトキシンに対して極めて感受性であり、それに
対応する高い水準のGb3を発現する(express)。しかしながら、HUSは主として、
胃腸VTEC障害の後の、3才又はより年長の子供の病気である。ベロトキシンに対
する受容体はこの年齢の幼児の糸球体中に存在するが、健常な成人の糸球体中で
は発現されない。HUVECは腫瘍壊死因子(tumour necrosis factor)による予備処
理によりベロトキシンの作用に対して感作され、その結果、Gb3合成の特異的な
増大が生じる(7,8)。一方、ヒト腎内皮細胞は、培地内において高い水準のGb3を
発現するが、これを刺激してGb3合成を増大させることはできない(8)。生体外で
の腎組織から一次内皮細胞培地(primary endothelial cell culture)への転移に
より、Gb3合成が
ゼロバックグランド(zero background)から最大まで刺激されることが示唆され
ている(9)。従って、本発明者は年長者におけるHUSはベロトキセミア(verotoxem
ia)とある種の他の要因、例えば、血清αTNFのLPS刺激(LPS sti-mulation)によ
る腎内皮細胞Gb3合成の付随的な刺激の結果であると推定している。従って、こ
れらの条件下においては大部分の個体(非常に若いものは除外される)は全身性
(systemic)ベロトキセミアの後にVT誘発腎障害を生じないであろう。
更に、ベロトキシンは生体外でヒト B細胞の副集団(sub-population)を標的と
することも示されている(10)。これらのGb3含有B 細胞はリンパ腺の胚中心内で
見出だされる(11)。Gb3はCD19陽性(CD 19 positive)B細胞による胚中心ホーミン
グ(germinal centre homing)に関係し得ること(12)及びGb3は抗原提示(antigen
presentation)の機構に関係し得ること(13)が報告されている。
高い水準のGb3は他の種々のヒトの腫瘍と関係があるが(14-16)、卵巣腫瘍は従
来研究されていない。Gb3はpk血液群抗原(pk blood group antigen)である(17)
。抗-pk抗血清(anti-pk antiserum)を使用する組織検査から、ヒトの卵巣はこの
グリコリピドを発現しないことが示されている(18,19)。
生体外でのVTI細胞毒性に対する感受性は細胞生長の関数であることが示され
ており、定常期細胞(stationary phase cell)は細胞毒性に対して屈折性(refrac
tile)である(20)。受容体結合B サブユニットと、ヒトα2-インターフェロン受
容体とB 細胞マーカーCD19との間の配列相同性は、Gb3の発現はα2-インターフ
ェロンの機構とCD19シグナル形質導入(signal transduct-ion)とに関係があるこ
とを示唆している(12)。表面連結反応(surface ligation)においては、Gb3は粗
面小胞体を介して核膜への逆行的細胞間輸送(retrograde intracellular transp
ort)を受けることを示している(21)。
参照文献リスト
本明細書においては下記の刊行物が参照されている;これらの刊行物の各々は
参照のために本明細書中に包含されている:
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バクテリア製剤の腫瘍形成抑制効果は20年来知られているが、ベロトキシンそ
れ自体の腫瘍形成抑制効果は今日まで知られていなかった。本発明者は、種々の
研究の結果、ベロトキシン、特に、ベロトキシン1はACPの範囲内での活性成分
であること及び精製されたベロトキシン1は生体外及び生体内で強力な腫瘍形成
抑制効果を有することを発見した。最も驚くべきことに、本発明者は無毒性投与
(non-toxic administered doage)に対応する、ヒトの効果的な生体内癌抑制処置
を発見した。
発明の要約
本発明の目的は哺乳動物の腫瘍形成、特に、皮膚癌及び卵巣癌の処置用の医薬
組成物を提供することである。
本発明の別の目的は哺乳動物の腫瘍形成、特に、皮膚、脳及び卵巣癌の処置方
法を提供することである。
従って、本発明は、一つの要旨によれば、非致死量の(non-lethal)かつ腫瘍形
成の抑制に有効な量のベロトキシン、好ましくは、ベロトキシン1と、該ベロト
キシンについて適当なかつ薬学的に許容される稀釈剤、補助薬又は担体とからな
る医薬組成物を提供する。
好ましくは、本発明は哺乳動物の皮膚癌、脳癌及び卵巣癌用の医薬組成物及び
処置方法を提供する。
本発明は、別の要旨によれば、ベロトキシンと該ベロトキシンについて適当な
かつ薬学的に許容される稀釈剤、補助薬又は担体とを混合することから
なる、哺乳動物における腫瘍形成の処置用の医薬組成物の製造方法を提供する。
本発明はベロトキシンをGb3含有細胞中のGb3に選択的に結合させる、選択的な
かつ特殊な癌の処置法を提供する。この処置法は非Gb3含有細胞(non-Gb3 contai
ning cell)はベロトキシンによって影響を受けないという点で大部分の化学療法
剤のごとき広範囲の腫瘍形成抑制剤を使用する方法とは対照的である。従って、
本発明は最も有益な、細胞選択的な治療処置法を提供する。
この治療処置は皮膚T-細胞リンパ腫、特に、菌状息肉腫(Mycosis Fungoi-des)
、セザリー症候群(sezary syndrome)及び関連する皮膚病であるリンパ腫様乳頭
炎(lymphomatoid papilosis)に対して有用である。例えば、ヒトの菌状息肉腫病
巣はVT1(2ml 溶液中、5ng)を皮膚内注射(interderml inject-ion)により患者に
適用することにより治癒され、好ましくない全身的影響(systemic effect)は観
察されなかった。
更に別の要旨によれば、本発明は哺乳動物を非致死量のかつ腫瘍形成の抑制に
有効な量のベロトキシン、好ましくは、ベロトキシン1で処理することからなる
哺乳動物の腫瘍形成の処置法を提供する。
ベロトキシンは当業者に周知の方法、即ち、病気に適当である場合、摂取、筋
肉内注射、吸入等により静脈内、動脈内、局部的、皮膚下投与する方法によって
患者に投与し得る。皮膚癌の処置においては、皮膚下投与が好ましい。
本発明を実施するにあたって、ベロトキシン1を卵巣癌の進行した患者に筋肉
内に注射した。患者を比較的高い投与量のベロトキシン1で処理した場合に、リ
ンパ球及び腎の機能には有害な影響は観察されず、血清腫瘍マーカー(serum tum
our marker)は上昇し続けることが認められた。この腫瘍は全ての慣用の癌治療
法に対して抗療性(refractory)であった。ヘモグロビン水準に影響は認められな
かった。
ベロトキシンは、典型的には、適当なビヒクル中に存在させて投与するが、こ
の場合、活性ベロトキシン成分を液体、例えば、ベロトキシンを例えば一つの観
点からは血液流から供給することを可能にする、又、別の観点からは
腫瘍形成細胞に皮下的に供給することを可能にする血清のごとき液体中に溶解さ
せるか又は懸濁させる。別の溶液は、例えば、典型的には、アルコール溶液、ジ
メチルスルホキシド溶液又は例えばポリエチレングリコール例えばポリエチレン
グリコール400、即ち、Cremophor-EL又はシクロデキストリンを含有する水溶液
である。かかる溶液は当業者に周知であり、医薬を作用部位に供給する目的に有
用である。
種々の多種薬物耐性細胞系統(multi-drug resistant cell line)はベロトキシ
ン1に対して過敏性(hypersensitive)であることが認められた。例えば、多種薬
物耐性卵巣癌細胞系統SKVLB及びSKOVLCは、対応する非多種薬物耐性卵巣癌細胞
系統SKOV3よりVT細胞毒性に対してより感受性であった。かかる観察結果は、VT
処理の際に、SKOV3細胞系統癌を有する患者よりもSKVLB細胞系統の癌を有する患
者に対して有益な効果を示す可能性を示している。更に、腫瘍細胞それ自体への
結合の他に、本発明者の知見した、VTIの腫瘍塊(tumour mass)を血管化する(vas
cularize)血管の管腔(lumen)への結合により、脈管形成抑制効果(anti-angiogen
ic effect)が得られ、ベロトキシンの直接的な腫瘍形成抑制効果を増大させる。
図面の簡単な説明
本発明をより良好に理解し得るようにするために、本発明の好ましい態様を添
付図面を参照して以下で説明する。
第1図は48時間後に細胞密度測定により測定した、抗VT2抗体(anti VT2 antib
ody)によるものではなしに抗VT1及び、又は、抗VT1 BサブユニットによるACP
細胞毒性の選択的中和(neutralization)を示す;
第2図はベロトキシン濃度に対する、選択された卵巣及び乳房腫瘍細胞系統の
生存率を示す;
第3図はGb3(及びGb2)に結合するACP製剤中に含有されるVTIを表す。
第4図は卵巣腫瘍及び卵巣グリコリピドのVT薄層クロマトグフィーオーバーレ
イを表す;
第5図は選択された細胞系統グリコリピドのVT薄層クロマトグフィーオーバー
レイを表す;
第6A、6B及び6C図は、それぞれ、3つのグラフにおいて、VT1、VT2及びVT2c
に対する卵巣細胞系統の感受性を表す;
第7図はVT1、VT2及びVT2cに対する多形性膠芽腫(glioblastoma multi-form
e)細胞系統の感受性を表す;
第8図はGb3腫瘍担持ヌードマウスにおける、IP(inter-peridinually)投与さ
れた標識VT1 Bサブユニット(VTB-131I)の分布を表す;
第9図は種々のヒト星状細胞腫細胞系統(astrocytoma cell line)のVT1によ
る3日処理(three-day treatment)の結果を表す。
発明の詳細な説明 実験手法
ベロトキシンVT1、VT2及びVT2cの単離及び精製は以前から記載されている。
ベロトキシン1は高度発現組換え体E.coli pJB28から遺伝学的に調製された、J.Bacteriol
166:375及び169:4313。FEMS Microbiol .Lett.に概略的に記載され
たタンパク質精製法に従って行なう。
ベロトキシン2はR82から得られ、Infect,Immun.56:1926−1933;(1988);FE MS Microbiol.Lett.
48:379-383(1987)により精製した。
ベロトキシン2cは臨床菌株E32511から得られしかもFEMS Microbiol.Lett.51:2
11-216(1988)により精製した。J B28 からVT1の精製
ペレットの製造は次の如く実施できる:
1.3X5lのジョッキ(jug)(培地)及びオートクレーブ中で6X1lのLBブロス(br
oth)を調製する。カルベニシリンを添加して100μg/mlの最終濃度を冷却時に与
える。
2.少なくとも6mlのペナセイ(penassay)(冷却室での管体中)+100μg/ml
のカルベニシリンJB28を播種し、37℃でO/N培養する。
3.翌朝ジョッキ(ブロス1リットル当り1mlの播種物を含有する)に播種し
、200rpm(激しい振盪)で37℃で24時間培養する。
4.4℃で15分間9Kで微生物(bugs)をスピンダウンさせ(spin down)し
かも更なる使用のためペレットを冷凍庫のバッグ中に掻取る。−70℃で凍結する
。
精製毒素エキスの調製:
1.ペレットを元に戻し、ビーカーに投入する。ブレンダーを用いて0.1mg/ml
のポリミキシンB、50mgのPMSFを含有する400mlのPBSに再懸濁する。
完全に配合し次いで氷上で1分間超音波処理して更なる分散を行なう。
2.200rpmで振盪している培養器中で即ち激しく攪拌しながら37℃で1時間培
養する。
3.15分間9Kで菌種細胞のスピンダウン(spin down)を行なう。
4.上澄み液をそゝぎ出し、保持する。0.1mg/mlのポリミキシンB及びPMSFと
共に400mlのPBS中にペレットを再懸濁させる。
5.激しく振盪/攪拌しながら37℃で1時間培養する。
6.15分間10kでスピンを行ない、上澄み液をとっておく。
7.上澄み液は実際黄色であるべきであり、細菌性のペレットは各々の抽出工
程でより微細となるべきで拡散すべきである。
8.合した上澄み液はガラス繊維のフィルターを通すよりもワットマン濾紙を
通して濾過して清澄化する。この工程は任意であるが、濃縮工程を大幅に早める
ものである。
9.YM10膜を用いて70psi(最大圧力)で合した上澄み液をアミコン(amicon)
して(約200時間要する)<50mlにまで濃縮する。
クロマトグラフィー:ヒドロキシルアパタイト
1.ヒドロキシルアパタイトカラムを10mMのリン酸カリウム又はリン酸ナトリ
ウムで平衡させる(若干のカラム容量分必要)。
2.毒素エキス試料を装填し、流出液の吸光度が無視し得る程小さくなるまで
平衡緩衝液で洗浄する。
3.2本のカラム容量分(150ml)の100mMのリン酸カリウムを添加し(黄色のフ
ラクションが発現するまで)、3mlずつのフラクションを収集する。
4.カラムを500mMのリン酸カリウムで洗浄し、10mMのリン酸カリウムで
再平衡させる。0.05%のナトリウムアジドを添加する。クロマトフォーカッシング
5.フラクション(A280)を計り取り、HAからのピークフラクションをプール
(貯蔵)しておく。
6.2Lの0.025Mイミダゾール−HCl pH7.4O/Nに対して透析する。クロマト
フォーカッシングカラムO/Nも同じ緩衝液(300ml)で平衡させる。
7.毒素エキス試料を装填し、続いて400mlのポリ緩衝液(polybuffer)−HCl p
H5.0(50mlのポリ緩衝液74+350mlのdH2O、1:7の希釈率、HClでpH5.0とする
)を装填する。注解:装填前にカラムが(通常室温で)操業される温度に試料を
平衡化することを確保する。カラムを4℃で操業するものであるならば、その時
緩衝液は4℃でpH調節しなければならず、カラムをこの温度で平衡させる。
8.1mlずつのフラクションを収集し、該フラクションをA280及びpHについて
試験する。
9.A280をプロットし、VT1についてはpH約6.8でピークフラクションをプー
ルしておく(副ピークフラクションは別個にプールしておく)。
10.クロマトフォーカッシングカラムを100mlの1MNaClで清浄化する。該カ
ラムが本当に汚れているならば、続いて100mlの1M HClで清浄化するが、クロ
マトフォーカッシングカラムをイミダゾールで迅速に平衡させる。カラムを25mM
イミダゾールに入れた20%エタノール中で貯蔵する。シバクロンブルー
(Cibachron blue)
11.シバクロンブルーカラムを10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2(100ml)
で平衡させる。
12.CFから直接フラクションの試料を装填し、続いて60mlの同じ緩衝液リン
酸ナトリウムを装填する。
13.前記の緩衝液中で0.5MのNaClで溶離し、複数のフラクションを収集する
。
14.A280及び細胞毒性について複数フラクションを試験し、適当なフラクショ
ンをプールしておく。
15.シバクロンブルーカラムを洗浄緩衝液中の8M尿素25mlで及び洗浄緩衝液
中の1M NaCl 25mlで清浄化する。
16.カラムを0.1%アジド含有10mMリン酸塩で再平衡させる。
17.1回交換で洗浄緩衝液に対してピークフラクションを透析する。
18.凍結乾燥し、1mlのdH2Oに再懸濁させる。
19.タンパク質検定を行ない、SDS-PAGEを操作して純度を点検する。
溶液:HAカラム
リン酸カリウム緩衝剤(0.5M濃度(stock))
17.42g K2HPO4 dH2Oで300mlまで
6.8g KH2PO4 KOHでpH7.2CFカラム
イミダゾール緩衝剤
0.851g/500ml H2O
HClでpH7.4CBカラム
リン酸ナトリウム緩衝剤(洗浄緩衝剤−WB)
0.71g/500ml Na2HPO4
HACでpH7.2
脱気する
溶離緩衝剤
2.922g NaCl/100ml WB
清浄化用緩衝剤
12.012g尿素/25ml WB
1.461g NaCl/25ml WBR82からVT2の精製
ペレットの調製:
1.3×5Lのジョッキ及びオートクレーブ中で121℃で20分間3×2Lのペ
ナセイブロス(Antibiotic Media3,DIFCO;pH7.0)を調製する。ブロス
を使用前に室温まで冷却させる。
2.75μg/mlのカルベニシリン(二ナトリウム塩、SIGMA社)を含有する最低限
3×2LのペナセイブロスにR82を播種し、振盪しながら37℃で一夜培養する。
3.5Lのジョッキ(工程1から)の各々に50μg/mlのカルベニシリンを添加
する。各々のジョッキに2mlの播種物R82(工程2)を播種し、大体120rpmで振
盪しながら37℃で24時間培養する。
4.培養器を45℃に加熱し、30分間培養する。
5.温度を37℃に低下させ、更に3時間培養する。
6.培養液を9,000xgで15〜20分間4℃でスピンダウンする。上澄み液を廃棄
し、ペレットを-20℃で貯蔵する。
粗製毒素エキスの調製:
1.ペレットを100mlのPBS(リン酸塩緩衝塩水,OXOID社;pH7.3)に再懸濁させ
る。
2.0.5mlのアセトンに溶解した0.3mg/mlのPMSF(フェニルメチルスルホ
ニルフルオライド,SIGMA社)をペレット溶液に添加する。アセトンを蒸発させ
る。5分間可能な最高出力で又は均質な溶液が得られるまで氷上で超音波処理(s
onicate)する。
3.4℃で20分間9,000xgで菌株細胞をスピンダウンさせる。ペレットを廃棄
する。
4.70psi以下のN2圧で限外濾過(モデル8400、標準振盪セル,AMICON社)を
用いて且つ10,000MW分画膜フィルター(YM10膜、AMICON社)を用いて上澄み液を
濃縮する。
5.12〜14,000MW分画チュービング(SPECTRAPOR)(今回及び全ての透析工程で
使用)を用いて、4℃で攪拌しながら4Lの10mMリン酸カリウムに対して一夜毒
素溶液を透析する。
クロマトグラフィー:ヒドロキシルアパタイト(HA)
1.ヒドロキシルアパタイトカラム(BSA結合能力:32mg/g、大体113ml容
量;CALBIOCHEM(BEHRING DIAGNOSTICS))を2本のカラム容量分の10mMリン酸カ
リウムで平衡させる。
2.毒素エキスの試料を装填し、続いて1本のカラム容量分の10mMリン酸カリ
ウムを装填する。
3.2本のカラム容量分の200mMリン酸カリウムを添加し、2mlずつのフラク
ションを収集する。トキシンを含有するフラクションは他のフラクションとは異
なって着色されている。
4.ヒドロキシルアパタイトカラムを1本のカラム容量分の500mMリン酸カリ
ウムで洗浄し、1本のカラム容量分の10mMリン酸カリウムで再平衡させる。貯蔵
用カラムの頂部にアジドを添加する。クロマトフォーカッシング(CF)
5.ベロ細胞での着色によるか又はベロ細胞(10倍の希釈率)における細胞毒
性試験によるかの何れかでHAカラムからピークフラクションをプールする。
6.プールしたフラクションを4Lの0.025Mヒスチジン−HCl pH6.2(SIGMA社)
に対して一夜透析する。またクロマトフォーカッシングカラム(PBE(ポリ緩衝
液交換体)94、1.5cmの直径、57mlの容量;PHARMACIA社)を一夜同じ緩衝液(300
ml)で平衡させる。
7.毒素エキスの試料を装填し、続いて400mlのポリ緩衝液−HCl pH4.0(50ml
のポリバッファー74(PHARMACIA社)+350mlのdH2O-HClでpH4.0にする)を装填す
る。
8.2mlずつのフラクションを採取し、各々のフラクションのpHを試験する
。pHが3.95に降下したからには、フラクションの採取を中止する。280nmの吸光
度を用いて又はベロ細胞(10倍の希釈率)による細胞毒性によってフラクション
を試験する。
9.ピークフラクションをプールし、1NのNaOHを用いてpHを7.0に戻す。
10.CFカラムを200mlの1M NaClで清浄化する。カラムが汚れているならば続
いて100mlの1M HClで清浄化するが、カラムを0.025Mイミダゾールで迅速に平
衡させるか、さもなくば24%EtOH−H2Oで平衡させる。
シバクロンブルー(CB)
11.シバクロンブルーカラム(直径2cm、容量82ml,PIERCE社)を100mlの10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(洗浄緩衝液)で平衡させる。
12.毒素エキスの試料を装填し、続いて60mlの洗浄緩衝液を装填する。
13.洗浄緩衝液中の0.5M NaClで溶離させ、2mlずつのフラクションを採取す
る。
14.ブランクとして溶離緩衝液を用いて280nmでの吸光度及びベロ細胞につい
ての細胞毒性に対してフラクションを試験し、適当なフラクションをプールする
。
15.洗浄緩衝液中の8M尿素25ml及び洗浄緩衝液中の1M NaCl 25mlでカラム
を清浄化する。
16.100mlの洗浄緩衝液でカラムを再平衡させ、貯蔵用カラムの頂部にアジド
を添加する。
17.4Lの0.01M トリス-CL(pH7.0,SIGMA社)に対してピークフラクションを
透析する。
18.試料を凍結乾燥させ、1〜2mlのdH2Oに再懸濁する(随意)。
19.タンパク質検定(BCAタン白質検定試薬,PIERCE社)を行ない、SDS-PAGE
ゲル(Schagger,H.& von Jagow,G.;Analytical Biochem 166,368-379(1987)
:10%T 表2;第1列表3)を操作して純度を点検する。
溶液:HAカラム
リン酸カリウム緩衝液(0.5M濃度)
17.42g K2HPO4 dH2Oで300mlまで
6.8g KH2PO4 KOHでpH7.2CFカラム
ヒスチジン緩衝液(0.025M)
2.0g/500ml H2O
HClで pH6.2とするCBカラム
リン酸ナトリウム緩衝液(洗浄緩衝液−WB)
0.71g/500ml Na2HPO4
HAcでpH7.2とする
脱気する
溶離緩衝液(0.5M)
2.922g NaCl/100ml WB
清浄化用緩衝剤
12.01g尿素/25ml WB
1.46gNaCl/25ml WB
0.01M トリス
4.84gのトリズマ ベース
4LのdH2O
HClでpH7.2とするE32511からVT2cの精製
ペレットの調製:
1.3×5Lのジョッキ及びオートクレーブ中で3×2Lのペナセイブロス(A
ntibiotic Media 3,DIFCO;pH7.0)を120℃で20分間調製する。
2.最低限で3×2mlのペナセイブロスにE32511を播種し、37℃で一夜培養
する。
3.0.2μg/mlのマイトマイシンC(1mlの0.4mgml)(5mlのddH2Oを小ビン
に添加する)を5Lジョッキ(工程1から)の各々に添加する。各々のジョッキ
に2mlの播種物(工程2)を播種し、大体120rpmで振盪しながら37℃で6時間培
養する。約45分/フラスコだけ培養物を揺動させるのがきわめて重要である。何
故ならばベロトキシンはマイトマイシンCに6時間暴露させた後には変性し始め
るからである。
4.培養液を4℃で15〜20分間9,000xgでスピンダウンさせる。上澄み液を廃
棄し、ペレットを−20℃で貯蔵する。
粗製トキシンエキスの調製:
1.150mlのPBS(リン酸塩緩衝塩水、OXOID;pH7.3)にペレットを再懸濁
させる。
2.0.5mlのアセトンに溶解した0.3mg/mlのPMSF(フェニルメチル−スルホニ
ルフルオライド,SIGMA社)をペレット溶液に添加する。アセトンを蒸発させる
。3分間可能な最高出力で又は均質な溶液が得られるまで氷上で超音波処理する
。
3.0.1mg/mlのポリミキシンBサルフェート(エアロスポリン,BURROUGHSWELL
COME INC社;500,000単位)をペレット溶液に添加し、37℃で1時間温和に振盪
しながら培養する。
4.4℃で20分間9,000xgで細胞をスピンダウンさせて全ての細胞及び細胞廃
物を溶液から除去する。
5.上澄み液を傾シャし、4℃で貯蔵する。ペレットを75mlのPBSに再懸濁さ
せ、0.1mg/mlのポリミキシンBを添加する。
6.37℃で1時間温和に振盪しながら培養する。
7.4℃で20分間9,000xgで細胞をスピンダウンさせ、上澄み液(工程5から)
をプールする。ペレットを廃棄処分する。
次の数工程は4℃で行なうのが好ましい:
8.プールしておいた上澄み液に、結晶質の硫酸アンモニウムを攪拌しながら
きわめて徐々に30%の飽和度まで添加する。
9.20分間攪拌させ、次いで遠心分離(10分間 10000g)により沈澱物を除去
する。
10.プールしておいた上澄み液に、攪拌しながら結晶質の硫酸アンモニウムを
きわめて徐々に添加して70%の飽和度にする。
11.20分間攪拌させ、次いで10分間 10000gで遠心分離する。
12.工程11からのペレットを0.01Mリン酸カリウム緩衝液に再懸濁させる。
13.12〜14,000MW分画チュービング(SPECTRAPOR)(今回及び全ての透析工程で
)を用いて、4℃で攪拌しながら4Lの10mMリン酸カリウムに対して一夜ベロト
キシン溶液を透析する。
クロマトグラフィー:ヒドロキシルアパタイト(HA)
1.ヒドロキシルアパタイトカラム(BSA結合能力:32mg/g,大体113ml容量:
CALBIOCHEM(BEHRING DIAGNOSTICS))を2本のカラム容量分の10mMリン酸カリウ
ムで平衡させる。
2.試料を装填し、1本のカラム容量分の10mMリン酸カリウムを装填する。
3.2本のカラム容量分の100mM〜200mMリン酸カリウムを添加し、2mlずつの
フラクションを採取する。ベロトキシンを含有するフラクションは別のフラクシ
ョンとは異なって着色されている。
4.ヒドロキシルアパタイトカラムを1本のカラム容量分の500mMリン酸カリ
ウムで洗浄し、1本のカラム容量分の10mMリン酸カリウムで再平衡させる。貯蔵
用カラムの頂部にアジドを添加する。クロマトフォーカッシング(CF)
5.ベロ細胞での着色によるか又はベロ細胞での細胞毒性試験(10倍の希釈率
)によってHAカラムからピークフラクションをプールしておく。
6.プールしたフラクションを4Lの0.025Mイミダゾール−HCl pH7.4(SIGMA
社)に対して一夜透析する。クロマトフォーカッシングカラム(PBE)(ポリ緩衝液
交換体)94、直径1.5cm、容量57ml;PHARMACIA社)を同じ緩衝液(300ml)で一夜
また平衡させる。
7.試料を装填し、続いて200mlのポリ緩衝液−HCl pH5.0(25mlのポリ緩衝液
74(PHARMACIA社)+175mlのdH2O−pHはHClで5.0にする)を装填する。
8.フラクションを2mlずつ採取し、各々のフラクションのpHを試験する。
pHが5.95に降下したからには、フラクションの収集を停止する。ベロ細胞での細
胞毒性(10倍の希釈率)についてフラクションを試験する。
9.ピークフラクションをプールしておく。
10.カラムを200mlの1M NaClで清浄化する。カラムが本当に汚れているなら
ば続いて100mlの1M HClで清浄化するが、迅速にカラムを0.025Mイミダゾール
で平衡させる。シバクロンブルー(CE)
11.シバクロンブルーカラム(直径2cm、容積82ml,PIERCE社)を100mlの10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(洗浄緩衝液)で平衡させる。
12.試料を装填し、続いて60mlの洗浄緩衝液を装填する。
13.洗浄緩衝液中の0.5M NaCl で溶離し、フラクションを2mlずつ採取する
。 14.ブランクとして溶離緩衝液を用いて280nmの吸光度及びベロ細胞での細
胞毒性についてフラクションを試験し、適当なフラクションをプールしておく。
15.カラムを洗浄緩衝液中の8M尿素25ml及び洗浄緩衝液中の1M NaCl 25ml
で清浄化する。
16.カラムを100mlの洗浄緩衝液で再平衡させ、貯蔵用カラムの頂部にアジド
を添加する。
17.ピークフラクションを4Lの0.01M トリス-CL(pH7.0,SIGMA社)に対して
透析する。
18.試料を凍結乾燥させ、1〜2mlのdH2Oに再懸濁する(随意)。
19.タンパク質検定(BCAタンパク質検定試薬,PIERCE社)を行ない、SDS-PAG
Eゲル(Schagger,H.& von Jagow,G.;Analytical Biochem 166,368〜379(1987)
:10%T 表2:第1列表3)を操作して純度を点検する。
溶液:HAカラム
リン酸カリウム緩衝剤(0.5M濃度)
17.42g K2HPO4 dH2Oで300mlまでとする
6.8g KH2PO4 KOHでPH7.2とするCFカラム
イミダゾール緩衝液(0.025M)
0.851g/500ml H2O
HClでpH7.4とするCBカラム
リン酸ナトリウム緩衝液(洗浄緩衝液−WB)
0.71g/500ml Na2HPO4
HAcでpH7.2とする
脱気する
溶離緩衝液
2.922g NaCl/100ml WB
清浄化用緩衝液
12.012g尿素/25ml WB
1.461gNaCl/25ml WB
0.01M トリス
4.84gトリズマ ベース
4L ddH2O
HClでpH7.2とするアフィニティ精製ベロトキシン類
1mlのクロロホルムに入れた500μgのグロボトリアオシルセラミドを1gの
乾燥済みセライトと混合し且つ乾燥させた。クロロホルムを蒸発させ、セライト
をPBSに懸濁させ、カラムにそゝいだ。粗製のポリミキシンが20ml(25mgのタ
ンパク質)抽出され、ベロトキシン生産大腸菌E.coliをカラムに施用し、室温で
15分間培養した。カラムをPBSで洗浄し、精製したベロトキシンを10mlの1M
トリスpH9.6で溶離させた。溶離液を中和し、透析した。この方法は全てのベロ
トキシンの精製に応用できる。(Boulanger,J.,Huesca,M.,Arab,S及びLingwood
,C.A.“結合配位子のアフィニティ精製のためグリコリピド/リピド母材を容易に
製造する普遍的方法(Universal methodfor the facile production of glycolip
id/lipid matrices for the affinity purification of binding ligands)”Ana
l Biochem 217;1〜6〔1994〕)ベロトキシン1用量の調製
VT1は、クローン化した毒素遺伝子を過度発現する前記の如き大腸菌E.coliの
菌株から精製された。精製した毒素は内毒素汚染を有しなかった。このバッチ分
のベロトキシンのタンパク質濃度を測定し、毒素の量を分割し、−70℃で貯蔵し
た。
患者用のVT1用量(dose)を調製するため、0.2容量/容量%の患者自身の血清を
含有する注射品位の無菌塩水にVT1を希釈した。210μlの無菌患者血清を10ml
の無菌注射塩水に添加し、93.9mlの精製済みVT1(6.7g/ml)を添
加して62.5mg/ml又は0.2ml用量当り12.5mgの最終毒素濃度を与えた。0.2mmの注
射器フィルターを用いて最終毒素製剤を無菌濾過し、10mlの小ビンに入れて2ml
分ずつ分配した。1本の使用小ビンは4℃で貯蔵でき、残りの小ビンは必要とさ
れるまで凍結した。
VT 1のFITCの標識付け:FITCを、0.5M Na2CO3/NaHCO3複合緩衝剤 pH9.5に入
れたVT1に1:1の重量/重量比で直接添加し、該混合物を室温で1.2時間温和に
回転させた。遊離のFITCはセントリコン(centricon)により除去した。
試料切片の蛍光染色:外科的に取出した卵巣腫瘍の試料をOCT化合物に埋封し
、液体窒素中でフラッシュ凍結し、使用するまで−70℃で貯蔵した。凍結した試
料の5μm切片を解凍し、乾燥させ、0.1%のBSAを含有生するPBS(0.5mg.ml)に
入れたFITC−標識付けVT1で1時間室温で染色した。試料切片をPBSで相当に
洗浄し、DABCO含有封入剤で封入した。試料切片をポリバール(Polyvar)蛍光顕微
鏡下で観察した。
細胞の蛍光染色:カバーガラス上で生長している細胞をPBSで1回洗浄し、
2%ホルマリンで2分間室温で定着させ、PBSで2回ゆすぎ、室温で1時間FITC
−VT1と共に培養した。細胞をPBSで5回洗浄し、DABCOで封入し、ポリバール蛍
光顕微鏡下で観察した。
VT 1抗腫瘍活性の定量:SKOV3(薬剤感受性のヒトの卵巣細胞系)、SKOVLC(
SKOV3、ビンクリスチンに耐性)及びSKOVLB(SKOV3、ビンブラスチンに耐性)
を、10%の子牛胎児血清を補充したα−MEM中で各々生育させ、ベロトキシン類
に対するそれらの感受性について試験した。同数の細胞(培地1ml当り大体1000
個)をリンブロ(Linbro)98凹み板のたまり部に添加した。10倍に希釈したベロト
キシン類(VTs)を3通り試験し、5%のC02を含有する調湿雰囲気中で37℃で48
時間培養した。次いで細胞2%ホルマリンで定着させ、クリスタルバイオレット
で染色し、エリザ(ELISA)平板読み取り器で読み取った。
VT1の抗ガン活性を定量するのに、SKOV3、SKOVLC及びSKOVLB(ヒトの卵巣細
胞系)を10倍に希釈したVT1と共に48時間培養した。SKOVLC及びSKOVLB
(薬剤耐性の細胞系)はSKOV3よりもVT1抗腫瘍活性に対して更に感受性である
。131 I−VT1Bの製造
この物質は次の方法によって形成できる。
1.2.0mlのクロロホルムに20mgのヨウ素源(iodogen)を溶解させる(10mg/ml
)。0.25mlの10mg/ml溶液を2.25mlのクロロホルムに添加することにより1:10
の希釈率とする(1mg/ml)。
2.20μlのこの希釈溶液を清浄な乾燥無菌ガラス管に分配する。500μlのク
ロロホルムを添加し、N2下で蒸発乾固させる。
3.0.66ml中の1.5mgのVT1Bサブユニットを試験管に添加する。
4.10μl中に5Mciの131Iヨウ化ナトリウムを添加する。標識化を10分間進
行させる。
5.PD−カラムを25mlの塩化ナトリウム注射液USPで洗浄する。
6.131I−VT1Bを、塩化ナトリウム注射液USPに入れた1%HSAで2.5mlの全
容量にまで希釈する。PD−10カラム上に装填する。カラムを、塩水中の1%HSA
で溶離する。
7.溶出液及びカラムの131I活性を測定してLEを決定する。プールしてお
いたフラクションを、とげ状針を取付けた注射器中に吸引する。とげ状針を脱着
し、ミレックス(Millex)GVフィルターを取付ける。
8.無菌の10ml多用量小ビン中に濾過する。濾過した容量を記録し、用量測定
器で131Iについて小ビンを検定する。濃度を算出する。
9.0.1mlの131I−VT1Bを吸引し、0.05mlを2本の5ml無菌多用量小ビンの
各々に分配する(1本は不妊性試験に用い、もう1本は発熱物質試験に用いる)
。小ビンは既に2mlの塩水を含有している(即ち1:50の希釈率)。
10.85%MeOH中でPC(ワットマンNo.1濾紙)により及び寸法排除HPLCによりR
CPを測定する。
11.不妊性(sterility)試験及び発熱物質試験を行なう。
第1図は抗-VT(anti-VT)によるACP細胞毒性の中和に関する。KHT細胞単分子層
を35ng/ml のE.coli HSC10からのACP又は10pg/mlのVT1、VT2又は
VT3と共にモノクローナル抗-VT1(PH1)、モノクローナル抗-VT2又はポリクロ
ーナルウサギ抗-VT1Bサブユニットの存在下でインキュベートした。細胞を37℃
で72時間インキュベートしついで生存付着細胞を固定し、クリスタルバイオレッ
トで染色することにより検出した。VT1及びACPの細胞毒性は抗-VT1又は抗-VT
1Bサブユニットの存在下では完全に中和された(抗-VT2血清は効果がなかった
)。
ベロ細胞(vero cell)(ベロトキシンに対して非常に感受性であるアフリカ産
ミドリザルの腎臓からの細胞)に対するACPの細胞毒性を測定した結果から、純
粋なVT1標準と比較して、ACP製剤は0.05%のVT1を含有していることが認めら
れた。この濃度の精製VT1は生体外で種々の腫瘍細胞系統の生長を抑制するのに
ACPと同様に効果を示した(第2図)。即ち、VT1は生体外での腫瘍形成抑制効
果がACPに類似している。ACPについて従来、報告されている方法に従って、VT1
を、マウスモデルのKHT繊維肉腫細胞の転移を抑制する可能性について試験した
。VT1は同一投与量でACPと同一の効果を示し、一次皮下腫瘍接種(inoculum)の
後、肺転移の数をバックグランドレベルまで減少させた(表1)。
精製VT1は一次皮下部位(primary subcutaneous site)からのこの腫瘍の生長
に対するACPの転移抑制効果に類似することが認められた。肺転移は完全に抑制
された。更に、マウスを又はベロトキシンの精製B-サブユニットで予備免疫感作
(prior immunization)することにより、その後、マウスを腫瘍及びACPで処理し
た場合、ACPの保護効果は完全に抑制された(表2)。
モノクローナル抗VT1又は抗VT2cを使用するTLCオーバーレイによりACPをグリ
コリピド結合について試験した。抗VT1はACP製剤中の成分の、グロボトリアオ
シルセラミド及びガラビオシルセラミドへの広範囲の結合を示す(第3図)。こ
の結合特異性は精製VT1について報告されているものと同一である(8)。抗VT2
と反応性の結合成分は検出されなかった。第3図においては、抗VT抗体を使用し
て固定化(immobilized)グリコリピドへの結合を検出した。矢印は(上から)標
準ガラビオシルセラミド、グロボトリアオシルセラミド及びグロボテトラオシル
セラミドの位置を示す。パネル1−VT1を使用する検出、パネル2−VT2cを使用
する検出。
VT1は生体外で種々の卵巣癌細胞系統に対して活性を示した。多数の一次(pri
mary)ヒト卵巣腫瘍生検体(biopsy)を、精製VT1を使用するTLCオーバーレイによ
りGb3の発現についてスクリーンした。Gb3は正常卵巣組織中では僅かしか検出さ
れず、これに対し、卵巣癌においては、全ての場合において、Gb3の発現の大き
な増大が観察された。同様に、アシテス癌(acites tumour)及び網(omentum)に転
移した癌においては、高い水準のGb3が認められた(第4図);第4図ではレー
ン1:卵巣網転移、レーン2:腫瘍生検体;レーン3:腫瘍生検体;レーン3−6:
正常卵巣;レーン7:ヒト腎臓Gb3標準を表す。驚くべきことに、卵巣腫瘍細胞系
統の多種薬物耐性変種は、薬物感受性親細胞系統(drug sensitive parental cel
l line)よりもVT1細胞毒性に対して著しく感受性が大きいことが認められた(
第2、5及び6A-6C図)。同様の効果はACPについて観察された。第2図はVT感受
性について試験した、ACPに感受性のヒト卵巣腫瘍細胞系統を示す。ヒトの卵巣
及び乳房腫瘍誘導細胞系統をVT1感受性について試験した;第2図においては卵
巣腫瘍細胞系統1,2,3,4及び5は、それぞれ、□、+、X、■及び○で示されてお
り、乳房腫瘍誘導細胞系統SKBR3、468、453及び231は、それぞれ、△、◆、●及
び▲で示されている。従来、ACPに対して抵抗性であることが示されている細胞
系統1−卵巣腫瘍細胞、453及びSKBR3は20ng/mlまでのVT1に対しても抵抗性で
あった。
1、2、3及び4細胞は卵巣癌患者からの細胞であり;453細胞は乳癌患者か
らの細胞であり;231及びSKBR3は乳房腺癌(breast adenocarcinoma)細胞系統で
あり、5、SKOV3及びSKOVLBは腺腫状(adenomacarcinous)卵巣癌細胞系統である
。ACPに抵抗性の細胞系統1、453及びSKBR3はVT1に対して共抵抗性(co-resista
nt)であった。第5図はtlcオーバーレイにおけるVT結合によりGb3の存在につい
て試験したVT感受性及び抵抗性細胞系統を示す。等しい数の細胞からのグリコリ
ピドを、毒素の結合の前にtlcにより抽出し、分離した。第5図においては、レ
ーン1:SKBR3、レーン2:468、レーン3:231、レーン4:453、レーン5:Gb3標準
、レーン6:SKOV3、レーン7:SKOVLBである。細胞系統SKBR3、468、231及び453
は乳房腫瘍から誘導されている。
231だけがVT1に対して感受性である。SKOVLBはSKOV3から誘導された多種薬物耐
性腫瘍細胞系統である。
卵巣腫瘍細胞はVTに対して高度に抵抗性であり(第3図)かつ高い水準のVT受
容体、Gb3を含有していた(第4図)。乳癌細胞は、大部分、毒素抵抗性であり
(第3図)、受容体陰性(receptor negative)であった(第5図)。正常な卵巣
組織においては低い水準のGb3が検出されたが、Gb3は卵巣腫瘍組織試料において
は著しく増大した。
正常卵巣組織とは反対の卵巣腫瘍におけるGb3の特異的増大により、この悪性
疾患(malignacy)を制御するのにベロトキシンを使用する可能性が提供される。
卵巣腫瘍はしばしば化学療法に対して抗療性であり、予後(progno-sis)が不良で
ある。実際に、皮膚悪性疾患(skin malignancy)(菌状息肉症)に直接、注入さ
れたACPを使用する予備フェーズI臨床試験(phase I clin-ical trial)は、有
害な全身的影響は伴うことなしに成功している。
第6A、6B及び6Cに関連して、ヒトから誘導した卵巣腫瘍細胞系統をVT1、VT2
及びVT2c感受性について試験した。細胞を48−ウエルプレート中で集蜜(conflue
nce)になるまで生長させついで投与量を増大させたVTの存在下で48時間インキュ
ベートした。SKOVLB、即ち、SKOV3卵巣細胞系統の多種薬物耐性変種はVTに対し
て最大の感受性を示し、SKOVLCはVTに対してその次に大きな感受性を示した。
本発明者は両者の薬物耐性細胞は、ベロトキシン細胞毒性に対して、親SKOV3
細胞系統より約500〜1000倍、感受性が大きいことを認めた。
第7図は再発右側頭頭頂骨(temporoparietal)多形性膠芽腫から誘導された脳
腫瘍SF-539細胞系統をVT1、VT2及びVT2cで処理してから、48時間後の影響を示
す。この細胞系統は、他の細胞系統のごとく、VT類に対して高度に感受性である
。
第8図は131I-VT1Bを使用してヌードマウスをイメージする(image)ことから
の結果を提供する(種々の器官におけるCPM分布)。接種した卵巣腫瘍を有する
ヌードマウスにおけるVT1B-131Icpm分布はかなりの量の放射性標識(radiolabel
ed)VT1Bが卵巣腫瘍中に濃縮されていることを示した。極めて痕
跡量のVT1Bが潜在的なVT1副作用が考えられる脳中で発見された。ヒト成人の肺
はVT1細胞毒性に関係する場所ではないので、このことは卵巣腫瘍を有するヒト
成人の処置に問題を提供することはない。なお、腎臓中のCPM は分泌された(exc
reted)放射性標識VT1 B サブユニットを含有している。従って、この試験に基づ
いて、放射性標識VT1 B サブユニットを使用するイメージングはVT1 細胞毒性に
対する感受性患者をスクリーンするのに非常に有用な方法であり得る。
第9図は種々のヒト星状膠細胞(astrocyta cell)系統のVT1に対する感受性を
示す。これらの細胞は全てGb3を含有しているが、VT1誘導細胞毒性に対して種々
の感受性を示す。このことはある種の星状膠細胞はベロトキシンに対して感受性
であるが、他の細胞は感受性であり得ないことを示唆している。このことは、星
状膠細胞は今日の処置に対して非常に抗療性であり、5ng/mlという低い濃度に対
する生体外での細胞感受性は小さい(rare)であるという理由から重要である。
本発明を詳細にかつその特定の態様を参照して説明したが、本発明の趣旨及び
範囲を逸脱することなしに種々の変更及び修正を行い得ることは当業者には明ら
かであろう。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,MX,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UG,
US,UZ,VN
(71)出願人 ヒル,リチヤード
カナダ国 オンタリオ エム5ジイ 1エ
ツクス8,トロント,ユニバーステイ ア
ベニユ 555
(72)発明者 リングウツド,クリフオード エイ
カナダ国 オンタリオ エム5ジイ 1エ
ツクス8,トロント,ユニバーステイ ア
ベニユ 555
(72)発明者 ヒル,リチヤード
カナダ国 オンタリオ エム5ジイ 1エ
ツクス8,トロント,ユニバーステイ ア
ベニユ 555
(72)発明者 フアルカス−ヒムスレイ,ハンナ
カナダ国 オンタリオ エム5ジイ 1エ
ツクス8,トロント,ユニバーステイ ア
ベニユ 555