JPH1045520A - 微生物含有雑草防除組成物及び除草方法 - Google Patents

微生物含有雑草防除組成物及び除草方法

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JPH1045520A
JPH1045520A JP9076962A JP7696297A JPH1045520A JP H1045520 A JPH1045520 A JP H1045520A JP 9076962 A JP9076962 A JP 9076962A JP 7696297 A JP7696297 A JP 7696297A JP H1045520 A JPH1045520 A JP H1045520A
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JP
Japan
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microorganism
ferm
oil
monoceras
herbicide
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Pending
Application number
JP9076962A
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English (en)
Inventor
Kazuto Ishihara
一人 石原
Tadashi Suzuki
正 鈴木
Takeshi Nakamura
武史 中村
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物病原性微生物を含有し、水面に滴下する
だけで高い除草効果を有する微生物含有除草剤及び該除
草剤を用いた除草方法の提供。 【解決手段】 ポリエチレングリコール系界面活性剤を
用いてドレックスレラ属菌等の植物病原性微生物を油滴
に付着させることにより、該微生物を水面及び水中に浮
遊させ、ヒエ等の除草対象植物体への付着を促進させ
る。 【効果】 植物病原性微生物が水面及び水中を浮遊する
ことで、除草対象植物体への付着が促進され、よって除
草対象植物体の背丈や水深に関係なく飛躍的に除草効果
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤を用い
て植物病原性微生物を油滴に付着させることを特徴とす
る除草剤、及び該除草剤を用いた除草方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、有機合成農薬の過剰使用による環
境汚染や、薬剤抵抗性を獲得した病害虫や雑草の出現に
起因する防除効果の低下等が深刻な問題となっている。
マスコミにおいても、有機合成農薬の人体や自然環境に
及ぼす影響が大きく取り上げられるようになり、生物農
薬への関心の高まりとともに生物農薬の研究開発が活発
に行なわれるようになった。しかしながら、病害虫や雑
草の生物的防除法は未だ研究開発の途中段階であり、そ
の単独施用では安定した防除効果が得られず、十分な作
物生産が望めないことも事実である。いずれにせよ、有
機合成農薬の施用薬量を低減することは、安全性の観点
より非常に意義深いものである。
【0003】除草剤の分野では、雑草に対する病原性微
生物を利用する微生物含有除草剤の研究開発が米国を中
心として進み、これまでに、ガガイモ科雑草、ストラン
グルヴァイン(Morrenia odorata)の病原微生物ファイ
トフィソーラ属パルミボーラ種(Phytophthora palmivo
la)を利用したデヴァイン(DeVine、アボット社
商品名)、マメ科雑草、ノーザンジョイントヴェッチ
Aeschynomene virginica)の病原微生物コレトトリカ
ム属グロエオスポリオイデス種(Colletotrichum gloeo
sporioides)を利用したコレゴ(Collego、エコ
ジェン社 商品名)等が上市されている。しかしなが
ら、主要作物であるコムギ、イネ、ダイズ等の栽培にお
ける主要雑草であるヒエ属を対象とした微生物含有除草
剤は未だ実用化されていない。
【0004】近年、日本国内においてもノビエを対象と
する微生物含有除草剤の開発が進んでおり、微生物含有
除草剤及びその施用方法が提案されている(特開平6-32
1721号、特開平8-40816号)。しかしながら、前者は噴
霧処理には向くが、水面への滴下処理では効果が現れな
い。また後者は、剤が水田水面に留まり水中では浮遊し
ないため、ヒエが水面に達していない状態で滴下処理し
ても、剤中の分生胞子がヒエに感染し得ないため除草効
果は現れない。仮にヒエが水田水中で生育し水面に達し
た場合でも、ヒエの水面への成長を待つ間に水面での剤
の拡展状態にむらが生じて除草効果が落ちる、等の問題
を依然として持ち合わせている。
【0005】これまでにドレックスレラ(Drechslera
属に属する微生物がノビエに病原性をしめすことは知ら
れているが、本発明者らの検討によれば、ドレックスレ
ラ(Drechslera)属に属する微生物の分生胞子は比重が
1よりも重く、該分生胞子をそのままノビエの防除のた
めに水田に散布しても分生胞子がすぐに水中に沈んでし
まうため、施用量を増やさなければ十分な除草効果が得
られないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来の微生物含有除草剤の有していた問題点を解
決することにあり、具体的には、製剤を水面に滴下する
だけで高い除草効果を有する微生物含有除草剤及び該除
草剤を用いた除草方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、植物病原
性微生物を含有する除草剤及び除草方法を検討したとこ
ろ、微生物を油滴に付着させることにより、該微生物を
水面及び水中に浮遊させることが可能となり、よって対
象植物体の表面全体への該微生物の付着の機会が増大
し、除草効果が促進されることを見出した。さらにこれ
を滴下するだけで、対象植物の背丈や水深に関係なく飛
躍的に除草効果を向上させることが可能であることを見
いだし、本発明を完成させた。
【0008】即ち、本発明は、界面活性剤を用いて植物
病原性微生物が水中で油滴に付着していることを特徴と
する微生物含有除草剤及び該除草剤を用いた除草方法を
提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において用いる微生物としては、植物病原性微生
物であれば特に限定されないが、ドレックスレラ(Drec
hslera)属に属する微生物を挙げることができ、これら
の中でも、ドレックスレラ・モノセラス(Drechslera m
onoceras)、ドレックスレラ・ラベネリ(Drechslera r
avenelii)、ドレックスレラ・ポア(Drechslera poa
が好適な微生物である。具体的には、ドレックスレラ・
モノセラス(Drechslera monoceras)MH-0015 (FERM B
P-2652)、MH-1889 (FERM BP-3410)、MH-2653 (FERM
BP-2653)、MH-2679 (FERM BP-2656)、MH-4415 (FE
RMBP-3413)、MH-4418 (FERM BP-3414)、MH-5011 (F
ERM BP-3415)、MH-5017(FERM BP-3411)、MH-5018
(FERM BP-3412)、MH-5511 (FERM BP-3417)、MH-901
1 (FERM BP-3416)、MH-111010 (FERM BP-3864)、MH
-121024 (FERM BP-4498)、MH-121025 (FERM BP-449
9)、MH-122124 (FERM BP-4500)、MH-122754 (FERM BP-4
501)、MH-122755 (FERM BP-4502)、MH-122756 (FERM BP
-4503)ドレックスレラ・ラベネリ(Drechslera ravenel
ii)MH-0042 (FERM BP-2659)、MH-0060 (FERM BP-26
57)、MH-2883 (FERM BP-3408)、ドレックスレラ・ポ
ア(Drechslera poae)MH-0122 (FERM BP-2655)、MH-
2781 (FERM BP-3407)または MH-2895 (FERM BP-340
9)等を好適な菌株として例示することができる。これ
らの菌株は、ブダペスト条約に基づき、茨城県つくば市
東1丁目1番3号にある工業技術院生命工学工業技術研
究所に、各々上記の受託番号で寄託されている。
【0010】本発明においては、これらの微生物の分生
胞子、子のう胞子、菌糸等を用いることができるが、分
生胞子は耐久性が高いためこれを用いるのが好ましい。
【0011】分生胞子等は、上記微生物をポテトデキス
トロース寒天培地等で3〜10日間程度培養することに
より得ることができる。
【0012】本発明に係わる除草剤においてドレックス
レラ(Drechslera)属に属する微生物の分生胞子を用い
た場合、分生胞子の含有量は10〜108個/mL、好
ましくは、102〜107個/mLである。また、本発明
に係わる除草剤を圃場に使用する場合の分生胞子の施用
量は、例えばドレックスレラ(Drechslera)属菌の分生
胞子量として、102〜1015個/10a、好ましくは
106〜1012個/10aである。MH−111010
の分生子10個はおよそ6g(乾燥重量)に相当す
る。
【0013】本発明において植物病原性微生物が油滴に
付着している状態とは、該微生物に1個以上の油滴が付
着している状態を指すが、微生物全体が油滴中に包含さ
れた場合を除く。なぜなら微生物全体が油滴の中に包含
された場合は、微生物に水分が供給され得ず微生物が生
育できないため、除草効果が現れないからである。よっ
て、油滴が微生物の表面全体にある場合でも、該微生物
の一部が露出していれば、本発明における「付着」に該
当する。
【0014】本発明において植物病原性微生物を油滴に
付着させる方法としては、油を油滴に分散させ得る界面
活性剤を含む油に植物病原性微生物を懸濁し、次いで水
を加える方法がある。ここで用いる界面活性剤として
は、ポリエチレングリコール系界面活性剤を挙げること
ができ、油としては、植物油、鉱物油を挙げることがで
きるが、界面活性剤及び油の組み合わせにより植物病原
性微生物が油滴に付着した型になるものであればよい。
例えば植物病原性微生物としてドレックスレラ(Drechs
lera)属に属する微生物を用いた場合、該微生物を水中
で油滴に付着した型にするために使用する界面活性剤と
しては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリ
オキシエチレングリコールモノオレエートの内の少なく
とも一成分、及び油としては、大豆油、米油、コーン油
の内の少なくとも一成分から選ばれるものが好適に用い
られる。
【0015】なお、植物病原性微生物、界面活性剤及び
油を含有する除草剤であっても、植物病原性微生物が油
滴に付着した型の除草剤にならない場合、例えば、該微
生物が油滴の中に包含される型の場合は、前述のとおり
本発明には含まれない。例えば植物病原性微生物として
ドレックスレラ(Drechslera)属に属する微生物を用い
た場合、大豆油、米油、酢酸エチル、キシレンの内の少
なくとも一成分である油と、及びショ糖ステアリン酸エ
ステル、ショ糖ラウリル酸エステル、モノオレイン酸ソ
ルビタン、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテ
ルの内の少なくとも一成分である界面活性剤とからなる
除草剤は、該微生物が油滴に付着した型の除草剤にはな
らない。また、油を油滴に分散させ得る界面活性剤を含
まず、油と植物病原性微生物としてドレックスレラ(Dr
echslera)属に属する微生物を含有する除草剤を水面に
滴下すると、該微生物は水面で油と共に拡展するもの
の、水面に拡展した油と水田水の境界に存在してしまい
水中では浮遊しないため、雑草が水田水面に到達してい
ない場合には、該微生物が雑草に感染することができず
除草効果が現れない。
【0016】本発明の除草剤における界面活性剤及び油
の含有量は、所期の効果を奏する範囲内であれば特に限
定されない。具体例を示すと、除草剤中の界面活性剤及
び油の含有量は、0.1〜80重量%、好ましくは1〜
70重量%である。また界面活性剤及び油中の界面活性
剤の含有量は、0.01〜50重量%、好ましくは1〜
20重量%である。尚、除草剤中の界面活性剤及び油以
外の成分は微生物、水および必要により補助剤である。
補助剤とは、CMセルロース、ウエランガム、キサンタ
ンガム、ベントナイト等の増粘剤、廃糖蜜、コーンステ
ィープリカー、酵母エキス、ポリペプトン等の微生物栄
養源である。
【0017】本発明の除草剤は、水田に発生する雑草に
対して除草効果を有するが、イネ科雑草、特にノビエに
対して好適である。ノビエとは、エキノクロア属に属す
る雑草であり、具体的にはタイヌビエ(Echinochloa or
yzicola)、ヒメタイヌビエ(Echinochloa crus-galli
var. formosensis)、イヌビエ(Echinichloa crus-gal
li var. crus-galli)、ヒメイヌビエ(Echinochloa cr
us-galli var. praticola )、Echinochloa colonaEc
hinochloa pyramidalisEchinochloa stagninaEchin
ochloa haploclada等に好適である。
【0018】除草対象とする植物の生育時期に制限はな
く、水田水中に植物全体が水没した状態であっても、水
面から植物が出ている状態であってもよい。水田水中に
植物全体が水没している状態にあっても、油滴に付着し
た植物病原性微生物が水田水中で分散、浮遊し、対象植
物に付着することにより、高い除草効果が得られる。
【0019】本発明に係わる除草剤を水田において施用
する場合、有効に除草できる方法であれば、噴霧、滴
下、散布等に限られないが、水田に滴下することが好ま
しい。滴下するだけで、油滴に付着した植物病原性微生
物が水田水中で分散、浮遊し、対象植物に付着するた
め、噴霧する事を要しない。
【0020】
【実施例】以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を説
明するが、本発明はこれら実施例及び試験例によって何
等制限されるものではない。
【0021】実施例1 除草剤の調製とその性状 ドレックスレラ・モノセラス(Drechslera monoceras
MH-0015をポテトデキストロース寒天培地上で培養し、
形成された分生胞子を回収し、乾燥させた。乾燥後、該
分生胞子を界面活性剤10重量%を含有する油中に懸濁
し、105個/mL濃度の分生胞子懸濁液を調製した。
界面活性剤として、ポリエチレングリコールモノラウレ
ート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ショ糖
ステアリン酸エステル、ショ糖ラウリル酸エステル、モ
ノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテルを、油として大豆油、米油を使用し
た。分生胞子懸濁液に等量の水を加え、攪拌し、顕微鏡
下で油滴と分生胞子の状態を観察した。その結果を第1
表[表1]に示す。
【0022】
【表1】 第1表 調製後の除草剤の状態(使用菌株:ドレックスレラ・モノセラス (Drechslera monoceras)MH-0015) ─────────────────────────────────── 界面活性剤+油 油滴と分生胞子の状態 ─────────────────────────────────── ポリエチレングリコールモノラウレート 分生胞子は油滴に付着 +大豆油 ポリエチレングリコールモノオレエート 分生胞子は油滴に付着 +大豆油 ショ糖ステアリン酸エステル+大豆油 分生胞子は油滴の中に包含 ショ糖ラウリル酸エステル+大豆油 分生胞子は油滴の中に包含 モノオレイン酸ソルビタン+大豆油 油層と水相に分かれ油滴にならない ポリオキシエチレンオクチルフェニル 分生胞子は水相に懸濁 エーテル+大豆油 ポリエチレングリコールモノラウレート 分生胞子は油滴に付着 +米油 ポリエチレングリコールモノオレエート 分生胞子は油滴に付着 +米油 ショ糖ステアリン酸エステル+米油 分生胞子は油滴の中に包含 ショ糖ラウリル酸エステル+米油 分生胞子は油滴の中に包含 モノオレイン酸ソルビタン+米油 油層と水相に分かれ油滴にならない ポリオキシエチレンオクチルフェニル 分生胞子は水相に懸濁 エーテル+米油 ───────────────────────────────────
【0023】上記の結果より、界面活性剤としてポリエ
チレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコ
ールモノオレエートを、油として大豆油、米油を使用し
た場合に、分生胞子が油滴に付着した型の除草剤を調製
できることがわかった。また微生物として、ドレックス
レラ・モノセラス(Drechslera monoceras)MH-0015の
代わりにドレックスレラ・モノセラス(Drechslera mon
oceras)MH-9011、MH-111010、ドレックスレラ・ラベネ
リ(Drechslera ravenelii)MH-0042、ドレックスレラ
・ポア(Drechslera poa)MH-0122を使用して、同様の
条件で調製した場合も、第1表[表1]に示す結果と同
じ結果となった。
【0024】微生物としてドレックスレラ・モノセラス
Drechslera monoceras)MH-9011を、界面活性剤とし
てポリエチレングリコールモノラウレートを、油として
米油を使用して調製した場合の、分生胞子が油滴に付着
した除草剤の顕微鏡写真を図1(図1)に示す。
【0025】実施例2 除草剤の調製 ドレックスレラ・モノセラス(Drechslera monoceras
MH-111010をポテトデキストロース寒天培地上で培養
し、形成された分生胞子を回収し、乾燥させた。乾燥
後、該分生胞子を界面活性剤10重量%を含有する油中
に懸濁し、107個/mL濃度の分生胞子懸濁液を調製
した。界面活性剤として、ポリエチレングリコールモノ
ラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート
を、油として米油を使用した。分生胞子懸濁液に等量の
水を加え、攪拌し、本発明の除草剤を作製した。比較と
して、界面活性剤としてショ糖ステアリン酸エステル、
ショ糖ラウリル酸エステル、モノオレイン酸ソルビタ
ン、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを使
用して上記と同様に調製した剤、米油に乾燥分生胞子を
5×106個/mL濃度となるように懸濁した剤、5×
106個/mL分生胞子濃度の0.01%TritonX-100水
溶液による分生胞子懸濁液も調製した。
【0026】試験例1 除草剤の除草効果試験 水深7cmの1/10000aのポットでノビエを1ポ
ット当たり30個体ずつ0.5〜1.5葉期まで育苗
し、1ポットにつき実施例2で作製した剤をそれぞれ2
0μLずつ滴下した。滴下処理後、3週間ノビエの生育
状況を観察した。実施例2に示した製剤を用いた場合の
枯死したノビエの割合を百分率で表した結果を第2表
[表2]及び第3表[表3]に示す。
【0027】
【表2】 第2表 除草剤の除草効果(ノビエ0.5葉期処理) ───────────────────────────────── 枯死率(%) 添加剤 ───────────── 1週間後 3週間後 ───────────────────────────────── ポリエチレングリコールモノラウレート 90 85 +米油 ポリエチレングリコールモノオレエート 95 90 +米油 ショ糖ステアリン酸エステル+米油 10 5 ショ糖ラウリル酸エステル+米油 5 5 モノオレイン酸ソルビタン+米油 10 5 ポリオキシエチレンオクチルフェニル 40 40 エーテル+米油 米油のみ 5 5 0.01%TritonX-100水溶液による 40 30 分生胞子懸濁液 無処理 0 0 ──────────────────────────────────
【0028】
【表3】 第3表 除草剤の除草効果(ノビエ1.5葉期処理) ───────────────────────────────── 枯死率(%) 添加剤 ───────────── 1週間後 3週間後 ───────────────────────────────── ポリエチレングリコールモノラウレート 95 85 +米油 ポリエチレングリコールモノオレエート 90 80 +米油 ショ糖ステアリン酸エステル+米油 50 45 ショ糖ラウリル酸エステル+米油 55 45 モノオレイン酸ソルビタン+米油 40 30 ポリオキシエチレンオクチルフェニル 40 40 エーテル+米油 米油のみ 65 50 0.01%TritonX-100水溶液による 40 30 分生胞子懸濁液 無処理 0 0 ──────────────────────────────────
【0029】上記のように、界面活性剤としてポリエチ
レングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコー
ルモノオレエートを、油として米油を使用し、植物病原
性微生物が油滴に付着した型の除草剤を処理した場合、
油滴に付着した分生胞子がポット中の水面及び水中で浮
遊しノビエ葉面に付着するため、ノビエの葉齢に係わり
なく高い除草効果を示した。また分生胞子が油滴中に包
含される型の剤を滴下処理した場合は、油滴中に存在す
る分生胞子はポット中の水中に分散するものの、分生胞
子は油に包まれており水分が供給されず生育できないた
め、除草効果は低かった。油滴とは無関係に水相に分生
胞子が懸濁される剤を処理した場合は、0.01%Trit
onX-100水溶液による分生胞子懸濁液と同等の除草効果
しか示さなかった。特開平8-40816号に開示された米油
に乾燥分生胞子を懸濁した剤を処理した場合、分生胞子
は油と共に水面に拡展し油相と水相の界面に存在する
が、ノビエ0.5葉期に処理した場合はノビエの葉先が
まだ水面に達していないため、分生胞子がノビエに接触
せず除草効果は低かった。
【0030】試験例2 除草剤中の分生胞子のヒエ葉面
への付着性試験 ドレックスレラ・ラベネリ(Drechslera ravenelii)MH
-0042をポテトデキストロース寒天培地上で培養し、形
成された分生胞子を回収し、乾燥させた。乾燥後、該分
生胞子をポリエチレングリコールモノラウレート10重
量%を含有する米油中に懸濁し、107個/mL濃度の
分生胞子懸濁液を調製した。この分生胞子懸濁液に等量
の水を加え、攪拌し、本発明の除草剤(剤a)を作製し
た。比較として、米油に乾燥分生胞子を5×106個/
mL濃度となるように懸濁した剤(剤b)、及び5×1
6個/mL分生胞子濃度の0.01%TritonX-100水溶
液による分生胞子懸濁液(剤c)を調製した。1Lビー
カー底面に2葉期のヒエ5本を垂直に立つように固定
し、水を水深7cmとなるように注ぎ、上記で作製した
剤a、剤b、剤cを、それぞれ分生胞子施用量が1×1
9個/a、3×109個/a、10×109個/a相当
になるよう滴下した。滴下30分後、0.3L/分の流
速で15分間ビーカー内に水を注入して水中に浮遊して
いる分生胞子を洗い流し、10mm長のヒエ葉を切りと
り、付着している分生胞子数を顕微鏡下で測定した。結
果を第4表[表4]に示す。
【0031】
【表4】 第4表 除草剤中の分生胞子のヒエ葉面への付着数(個/ヒエ葉10mm) ────────────────────────── 分生胞子滴下量(×109個/a相当) 剤 ──────────────────── 1 3 10 ────────────────────────── 剤 a 15 40 150 剤 b 0 0 0 剤 c 0 0 1 ──────────────────────────
【0032】剤a中の分生胞子は油滴と共に水中を浮遊
し、一旦ヒエ葉面に付着すると油を介してヒエ葉面に付
着するため、ヒエ葉に付着している分生胞子数は、剤b
および剤cよりも顕著に高いことがわかった。
【0033】試験例3 除草剤中の分生胞子の水中での
発芽率 ドレックスレラ・ポア(Drechslera poae)MH-0122をポ
テトデキストロース寒天培地上で培養し、形成された分
生胞子を回収し、乾燥した。乾燥後、該分生胞子をポリ
エチレングリコールモノラウレート10重量%を含有す
る米油中に懸濁し、105個/mL濃度の分生胞子懸濁
液を調製した。この分生胞子懸濁液に等量の水を加え、
攪拌し、本発明の除草剤(剤d)を作製した。比較とし
て、界面活性剤としてショ糖ステアリン酸エステルを使
用して上記と同様に調製した剤(剤e)、また、5×1
4個/mL分生胞子濃度の0.01%TritonX-100水溶
液による分生胞子懸濁液(剤f)を調製した。剤d、剤
e、剤fをそれぞれ水中に滴下し、25℃下で20時間
静置後の発芽率を測定した。発芽率は、顕微鏡下で20
0個の分生胞子中の発芽分生胞子数を計測し、その割合
を百分率で表した。結果を第5表[表5]に示す。
【0034】
【表5】第5表 除草剤中の分生胞子の水中での発芽率 ──────────── 剤 発芽率(%) ──────────── 剤 d 60 剤 e 0 剤 f 5 ────────────
【0035】上記のように、水中における剤d中の分生
胞子の発芽率は、油滴の中に分生胞子が包含される型で
ある剤e中の分生胞子及び剤f中の分生胞子の発芽率よ
り高かった。剤dは、油滴を栄養源として資化するため
発芽率が高くなるものと思われる。また剤eは、分生胞
子が油に包含されており水分が供給されないために、発
芽しないものと思われる。
【0036】
【発明の効果】本発明により、界面活性剤を用いて植物
病原性微生物を油滴に付着させてなる、新しい微生物含
有除草剤が提供される。すなわち、植物病原性微生物を
油滴に付着させることによって該微生物を水面及び水中
に浮遊させることができ、その結果対象植物体への付着
が促進されるため、飛躍的に除草効果を向上させること
が可能となる。よって、従来の微生物含有除草剤と比
べ、同程度の除草効果をあげるのに必要な剤の量が削減
され、微生物含有除草剤のコストの低減が計れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の植物病原性微生物の分生胞子が油滴
に付着した除草剤の顕微鏡写真を示す図である。図中紡
錘形のものが分生胞子で、分生胞子に付着している球形
のものが油滴である。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】界面活性剤を用いて植物病原性微生物が水
    中で油滴に付着していることを特徴とする微生物含有除
    草剤。
  2. 【請求項2】植物病原性微生物がドレックスレラ属に属
    する微生物である請求項1に記載の微生物含有除草剤。
  3. 【請求項3】 ドレックスレラ属に属する微生物がヒエ
    属植物に病原性を示すものであることを特徴とする請求
    項2に記載の微生物含有除草剤。
  4. 【請求項4】 ドレックスレラ属に属する微生物がドレ
    ックスレラ・モノセラス(Drechslera monoceras)であ
    ることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の微生物
    含有除草剤。
  5. 【請求項5】 ドレックスレラ・モノセラスがドレック
    スレラ・モノセラス・モノセラス(Drechslera monocer
    as var. monoceras)であることを特徴とする請求項4
    に記載の微生物含有除草剤。
  6. 【請求項6】 ドレックスレラ・モノセラス・モノセラ
    スがドレックスレラ・モノセラス・モノセラス(Drechs
    lera monoceras var. monoceras)MH-0015(FERM BP-26
    52)、MH-1889 (FERM BP-3410)、MH-2653 (FERM BP-
    2653)、MH-2679 (FERM BP-2656)、MH-4415 (FERM B
    P-3413)、MH-4418 (FERM BP-3414)、MH-5011 (FERM
    BP-3415)、MH-5017 (FERM BP-3411)、MH-5018 (FE
    RM BP-3412)、MH-5511 (FERM BP-3417)またはMH-901
    1 (FERM BP-3416)であることを特徴とする請求項5に
    記載の微生物含有除草剤。
  7. 【請求項7】 ドレックスレラ・モノセラスがドレック
    スレラ・モノセラス・ミクロスポラス(Drechslera mon
    oceras var. microsporus)であることを特徴とする請
    求項4に記載の微生物含有除草剤。
  8. 【請求項8】 ドレックスレラ・モノセラス・ミクロス
    ポラスがドレックスレラ・モノセラス・ミクロスポラス
    Drechslera monoceras var. microsporus)MH-111010
    (FERM BP-3864)、MH-121024 (FERM BP-4498)、MH-1
    21025 (FERMBP-4499)、MH-122124 (FERM BP-4500)、MH-
    122754 (FERM BP-4501)、MH-122755(FERM BP-4502)、ま
    たはMH-122756 (FERM BP-4503)であることを特徴とする
    請求項7に記載の微生物含有除草剤。
  9. 【請求項9】 ドレックスレラ属に属する微生物がドレ
    ックスレラ・ラベネリ(Drechslera ravenelii)である
    ことを特徴とする請求項2あるいは3に記載の微生物含
    有除草剤。
  10. 【請求項10】 ドレックスレラ・ラベネリがドレック
    スレラ・ラベネリ(Drechslera ravenelii)MH-0042
    (FERM BP-2659)、MH-0060 (FERM BP-2657)、または
    MH-2883 (FERM BP-3408)であることを特徴とする請求
    項9に記載の微生物含有除草剤。
  11. 【請求項11】 ドレックスレラ属に属する微生物がド
    レックスレラ・ポア(Drechslera poae)であることを
    特徴とする請求項2あるいは3に記載の微生物含有除草
    剤。
  12. 【請求項12】 ドレックスレラ・ポアがドレックスレ
    ラ・ポア(Drechslera poae)MH-0122 (FERM BP-265
    5)、MH-2781 (FERM BP-3407)または MH-2895 (FERM
    BP-3409)であることを特徴とする請求項11に記載の
    微生物含有除草剤。
  13. 【請求項13】 油滴が植物油、鉱物油から選ばれる1
    種以上の油であることを特徴とする請求項1〜12のい
    ずれか1項に記載の微生物含有除草剤。
  14. 【請求項14】 界面活性剤がポリエチレングリコール
    系界面活性剤である請求項1〜13のいずれか1項に記
    載の微生物含有除草剤。
  15. 【請求項15】 対象とする雑草がヒエ属の植物である
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の微生物含有除草剤。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    の微生物含有除草剤を水田に施用することを特徴とする
    除草方法。
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