JP3073263B2 - ドレックスレラ属の新菌株及びそれらを含有する雑草防除剤 - Google Patents

ドレックスレラ属の新菌株及びそれらを含有する雑草防除剤

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JP3073263B2 JP03134606A JP13460691A JP3073263B2 JP 3073263 B2 JP3073263 B2 JP 3073263B2 JP 03134606 A JP03134606 A JP 03134606A JP 13460691 A JP13460691 A JP 13460691A JP 3073263 B2 JP3073263 B2 JP 3073263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な微生物及びそれを
含有する雑草防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】雑草や病害虫の防除法はおよそ100年
前から、それまでの耕種的防除法から化学的防除法へと
移行した。特に、1900年代中期にDDTをはじめと
する有機合成農薬が飛躍的に発展したことによって、農
作物の収量増加、品質向上、省力化等の改善が行なわれ
世界の食糧生産は急速に向上した。
【0003】しかし、昨今では有機合成農薬の過剰使用
による環境汚染や薬剤抵抗性を獲得した病害虫や雑草の
出現等が深刻な問題となっている。そこで、近年の化学
農薬の開発は明らかに高性能指向となっている。すなわ
ち、人畜に対する安全性はもとより低薬量で優れた防除
効果を示し、残留性、環境汚染等に対しても十分に配慮
されたものが望まれている。更に、最近では化学農薬を
使用することなく作物生産を行なう無農薬栽培法も注目
されている。このように、化学農薬の人体や自然環境に
及ぼす影響が大きく取り上げるようになった昨今、生物
農薬への関心が高まり、バイオ農薬の研究開発が活発に
行なわれるようになった。特に、微生物の生体を直接的
に利用した微生物農薬あるいは微生物の生産する生理活
性物質を利用した微生物源農薬の開発に大きな期待が寄
せられている。
【0004】しかしながら、無農薬栽培法や生物的防除
法は、未だ研究の途中であり、その単独施用では安定し
た防除効果が得られず、十分な作物生産は望めないこと
も事実である。
【0005】いずれの方法にしても、有機合成農薬の施
用薬量を低減することは、安全性の観点より非常に意義
深いものである。
【0006】除草剤の分野では、雑草に対する病原微生
物を利用する微生物除草剤の研究開発が米国を中心とし
て進み、これまでに、ガガイモ科雑草、ストラングルヴ
ァイン(Morrenia odorata)の病原微生物ファイトフィ
ソーラ属パルミローラ種(Phytophthora palmirola)を
利用したデヴァイン(DeVine、アボット社 商品
名)、マメ科雑草、ノーザンジョイントヴェッチ(Aesc
hynomene virginica)の病原微生物コレトトリカム属グ
ロエオスポリオイデス種(Colletotrichum gloeosporio
ides)を利用したコレゴ(Collego、エコゲン社
商品名)等が上市されている。しかしながら、主要作
物であるコムギ、イネ、ダイズ等の栽培における主要雑
草であるヒエ属を対象とした微生物除草剤の研究は知ら
れていない。
【0007】ヒエは、その野生種が世界の稲作地帯の雑
草として知られ、特に日本では代表的な水田雑草として
古くから問題となっている。水田におけるヒエの発生が
田植作業を必然にしたとも言われている。世界に野生す
るヒエは、薮野によればエキノクロア属オリジコラ種
(Echinochloa oryzicola タイヌビエ)、エキノクロア
属コロナム種、エキノクロア属ピラミダリス種(Echino
chloa pyramidalis )、エキノクロア属スタグニナ種
(Echinochloa stagnina)、エキノクロア属ハプロクラ
ーダ種(Echinochloa haploclada)及びエキノクロア属
クルスガリ種(Echinochloa crus-galli)が存在し、更
に、クルスガリ種には3つの変種、すなわちフォルモセ
ンシス(ヒメタイヌビエ)、クルスガリ(イヌビエ)、
プラチコーラ(ヒメイヌビエ)に分類されている(雑草
研究(1975) vol.20 )。このような変種の間において
は、除草剤や病原菌にたいする反応が異なっている。自
然発生している雑草のヒエはこれらエキノクロア属各種
の雑種と考えられ、実用的防除効果を示す除草剤として
はエキノクロア属全種に対して除草作用を持つものでな
ければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、作物生産に
おける前記の様な不利な点を解決し、環境汚染や抵抗性
雑草の出現を回避し、しかも実用的な防除を可能とする
雑草防除剤並びに雑草防除組成物を提供する。すなわ
ち、ヒエのみに対して病原性を示すドレックスレラ属の
糸状菌を自然界から分離し、更に、ドレックスレラ属の
中にエキノクロア属の全ての種に対して除草作用をもつ
菌株が存在することを見い出し、その生菌体を含有する
雑草防除剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水田およ
び畑地の重要雑草であるヒエ等を防除することを目的と
し、種々の病原微生物を探索した結果、ヒエに対して除
草作用を示し、イネをはじめとする有用植物に対して病
原性を持たない新規なドレックスレラ属菌を見いだし本
発明を完成させた。
【0010】本発明の対象となるヒエとは、イネ科のエ
キノクロア属に属する雑草であり、具体的にはタイヌビ
エ(Echinochloa oryzicola )、ヒメタイヌビエ(Echi
nochloa crus-galli var. formosensis )、イヌビエ
(Echinichloa crus-galli var. crus-galli)、ヒメイ
ヌビエ(Echinochloa crus-galli var.praticola )、E
chinochloa colonum 、Echinochloa pyramidalis 、Ech
inochloa stagnina、Echinochloa haploclada等であ
る。
【0011】すなわち、本発明に係わる微生物は、栽培
植物、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、エンバク、
トウモロコシ、モロコシ、アワ等や牧草、オーチャード
グラス、イタリアンライグラス、ペレニアルライグラ
ス、スウィートバーナルグラス、トールフェスク、メド
ーフェスク、メドフェスク等に何等病原性を示さずエキ
ノクロア属オリジコーラ種、エキノクロア属クルスガリ
種、エキノクロア属コロナム種等に対して病原性を示す
ドレックスレラ属モノセラス種の新菌株である。
【0012】本発明のドレックスレラ属モノセラス種の
新菌株にはMH4418(微工研菌寄第12034
号)、或いはMH5011(微工研菌寄第12035
号)、或いはMH5017(微工研菌寄第11993
号)、或いはMH5018(微工研菌寄第11994
号)、或いはMH5511(微工研菌寄第12130
号)、或いはMH9011(微工研菌寄第12129
号)が含まれる。
【0013】病原微生物は自然発病しているヒエから純
粋分離し、ヒエ及びイネに対する病原性を検定した結
果、雑草のヒエであるエキノクロア属の全ての種に対し
て強い病原力を持ち、イネに対しては何等病原性を示さ
ないものを選抜した。選抜した微生物は、分生子の形態
に基ずいて同定した結果、何れもドレックスレラ属に分
類されることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】本発明に係わる微生物を雑草防除剤として
用いる方法は、培養により得られた生菌体を直接利用す
る方法や菌体を培養した後の濾液を利用する方法あるい
はその両方を混合して用いる方法等がある。更に、本発
明に係わる微生物は、栄養培地で培養することにより得
られる分生子や菌糸を界面活性剤等を含む水溶液中に懸
濁して微生物単独で用いる場合や拮抗性を示さない他の
除草剤や殺菌剤、殺虫剤等の化学農薬と混合して用いる
場合がある。本発明に係わる微生物を雑草防除剤として
用いる場合は、菌糸より耐久性が高い分生子がより望ま
しい。本発明に係わる微生物の菌体増殖は液体培地、固
体培地の何れを用いても可能であるが、菌体をポテト・
デキストロース等の液体培地に接種し菌体を増殖させ、
得られた菌体を破砕した後乾燥させることにより分生子
が形成される。また、固体培地の場合は、ポテト・デキ
ストロース寒天培地等に接種した後、生長した気中菌糸
を除去した後乾燥させることにより分生子形成が促進さ
れる。
【0015】本発明に係わる微生物は以上で述べたよう
に分生子や菌糸等の菌体の大量培養が可能で、雑草防除
剤として産業的に利用することができ、また、この雑草
防除剤は、例えば水田にイネを移植する時期に処理する
ことによって雑草のヒエに対してのみ除草作用を示し、
栽培植物、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、エンバ
ク、トウモロコシ、モロコシ、アワ等や牧草、オーチャ
ードグラス、イタリアンライグラス、ペレニアルライグ
ラス、スウィートバーナルグラス、トールフェスク、メ
ドーフェスク、メドフェスク等に対しては病原性が無く
選択的な除草効果が得られることを見出した。
【0016】本発明に係わる雑草防除剤を除草剤として
使用するには、ドレックスレラ属菌の菌体をそのまま使
用しても良いが、一般には、ドレックスレラ属菌の菌体
を不活性な固体担体または液体担体と混合し、通常用い
られる製剤形態である粒剤、フロアブル剤、水和剤、乳
剤、液剤等に調製して使用することが望ましい。
【0017】担体としては、通常農園芸用薬剤に使用さ
れ、生物的に不活性なものであるならば固体または液体
のいずれでも使用でき、特定のものに限定されるもので
はない。
【0018】例えば、固体担体としては、クレー、タル
ク、ベントナイト、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ホワ
イトカーボン等の鉱物質粉末、大豆粉、デンプン等の植
物性粉末、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリ
コール等の高分子化合物等が挙げられる。また、液体担
体としては、デカン、ドデカン等の各種有機溶剤類、植
物性油、鉱物油、水等が挙げられる。
【0019】本発明に係わる雑草防除剤におけるドレッ
クスレラ属菌の含有量は、胞子として102 〜10
15個、好ましくは、106 〜1012個である。
【0020】また、補助剤としては、通常農園芸用薬剤
に使用される界面活性剤、結合剤、安定剤等を必要に応
じて単独または組合せで使用できる。安定剤としては、
例えば、酸化防止剤やpH調製剤等を用い、ときには、
光安定剤も用いる。
【0021】補助剤の含有量は0〜80重量%であり、
担体の含有量は100重量%から有効成分及び含有量を
差し引いた量である。
【0022】また、本発明の雑草防除剤を圃場に使用す
る場合は、ドレックスレラ属菌の分生胞子量として、1
2 〜1015spore/10a、好ましくは107 〜10
12spore/10aである。
【0023】
【実施例】以下に本発明に係わるドレックスレラ属新菌
株及びそれらを含有する雑草防除剤について具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】試験例1 微生物の分離・選抜方法及び同
定 1)病原微生物の分離方法 自然発病しているヒエを採集し、病斑を中心として10
〜20mmの組織切片を作製し、70%エチルアルコー
ル水溶液に1〜2秒間浸漬後、有効塩素濃度2%の次亜
塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬することによ
り、表面殺菌を行った。表面殺菌した病斑組織は、滅菌
蒸留水で3回洗浄後、無栄養寒天培地上に置床し、25
℃の恒温器中で72時間の静置培養を行った。培養後、
生育した糸状菌の菌糸先端を実体顕微鏡下で単菌糸分離
を行い、栄養培地上に純粋分離し、5000菌株余りを
得た。そのうちの有望菌株、MH−0015、MH−0
042、MH−0060、MH−0122、MH−18
89、MH−2653、MH−2679、MH−278
1、MH−2883 MH−2895、MH−441
5、MH−4418、MH−5011、MH−501
7、MH−5018、MH−5515、MH−9011
菌株等を得た。分離した糸状菌については、ヒエに対す
る病原性とイネに対する安全性を検定した。
【0025】2)分離微生物のヒエに対する病原性及び
イネに対する安全性の検定 ヒエ及びイネ(品種;ニッポンバレ)を試験管内で無菌
的に育成して試験材料とした。すなわち、ヒエ及びイネ
の種子を70%エチルアルコール水溶液に1〜2秒間浸
漬後、有効塩素濃度2%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液
に10分間浸漬することにより、表面殺菌を行った。表
面殺菌した種子は、滅菌蒸留水で3回洗浄後、予め滅菌
した試験管内の無栄養液体培地に播種し、植物育成用の
チャンバー内で1.5葉期まで育苗した。
【0026】一方、分離した各微生物は、ポテト・デキ
ストロース寒天培地で平板培養を行い、菌叢の外縁部を
滅菌したコルクボーラで打ち抜くことによって作製した
菌叢ディスクを接種源として用いた。
【0027】菌叢ディスクは、ヒエ及びイネを育成した
試験管内の液体培地中に植菌し、植物育成用のチャンバ
ー内で10日間培養した後、微生物がヒエ及びイネに対
する病原性を、下記の−〜+++の4段階で評価した。
その結果を第1表(表1)に示した。
【0028】+++;枯死 ++;顕著な生育阻害 +;やや生育阻害 −;影響無し
【0029】なお、MH−0003菌株は、ドレックス
レラ属(Drechslera sp.) MH−0007菌株は、フォーマ属(Phoma sp. ) MH−0011菌株は、フザリウム属(Fusarium s
p.)、であり、いずれも比較のため供試した。
【0030】
【表1】
【0031】3)微生物の同定 ヒエに対して顕著な病原性を示し、イネに及ぼす影響が
何等認められなかった菌株について、同定を行った。そ
の結果、MH−0015、MH−1889、MH−26
53、MH−2679、、MH−4415、MH−44
18、MH−5011、MH−5017、MH−501
8、MH−5515、MH−9011菌株は、麦芽寒天
培地上、28℃で7日間平板培養することにより、コロ
ニーの大きさは直径65〜75mmに達し、不規則な生
育を示した。コロニーの色は灰黒色で、分生子に出痕が
有り、大きさは幅が15〜17.5μm、長さが87.
5〜127.5μmで、形状はやや曲がっている。分生
子の隔壁は、大部分が5〜7個で、分生子柄の形状は真
直である。以上の特徴から、MH−0015、MH−1
889、MH−2653 MH−2679、MH−44
15、MH−4418、MH−5011、MH−501
7、MH−5018、MH−5515、MH−9011
菌株は、何れもドレックスレラ モノセラス(Drechsle
ramonoceras)と同定した。
【0032】MH−0042、MH−0060、MH−
2883菌株は、分生子に出痕が無く、大きさは幅が1
7〜22μm、長さが40〜90μmである。分生子の
形状は、円筒状で曲がっているものも存在し、隔壁は1
〜5個である。以上の特徴から、MH−0042、MH
−0062、MH−2883菌株は、ドレックスレララ
ベネリ(Drechslera ravenelii)と同定した。
【0033】MH−0122、MH−2781、MH−
2895菌株は、麦芽寒天培地上、28℃で7日間平板
培養することにより、コロニーの大きさが直径20〜2
5mmに達する。コロニーの色は明灰色で、中央部は灰
緑色、裏面は灰黒色である。分生子に出痕が無く、大き
さは幅が20〜25μm、長さが55〜95μmであ
る。分生子の隔壁は5〜6個で、分生子柄の形状は真直
である。以上の特徴から、MH−0122、MH−27
81、MH−2895菌株は、ドレックスレラポア(Dr
echslera poa)と同定した。
【0034】更に、MH−2990、MH−2998菌
株も、その菌叢及び分生子の形状から、ドレックスレラ
属(Drechslera sp.)と同定した。
【0035】一方、ヒエに対して何等病原性が示されな
かった、MH−0003はドレックスレラ属(Drechsle
ra sp.)、MH−0011菌株はフザリウム属(Fusari
um sp.)、MH−0007菌株はフォーマ属(Phoma s
p. )と同定した。
【0036】以上の同定は、M. B. Ellis (1971) Demar
iaceus Hyphomycetes p.608, Commonwealth Mycologica
l Institute, Kew, England と M. B. Ellis (1976) Mo
re Demariaceus Hyphomycetes p.507, Commonwealth My
cological Institute, Kew,England を参照して行っ
た。
【0037】MH−0015、MH−0042、MH−
0060、MH−0122、MH−1889、MH−2
653、MH−2679、MH−2781、MH−28
83MH−2895、MH−4415、MH−441
8、MH−5011、MH−5017、MH−501
8、MH−5515、MH−9011菌株等については
微工研に寄託した。
【0038】本発明に係わるドレックスレラ属菌(Drec
hslera spp. )は、国立予防衛生研究所の病原体等安全
管理規定において病原体としての記載がなく、人畜に対
して安全であることが保証されている。
【0039】試験例2 ドレックスレラ属菌によるヒエ
の防除効果 自然界から分離したドレックスレラ属をオートミル寒天
培地上に植菌し、25℃で7日間の静置培養を行った。
この後、気中菌糸を蒸留水で除去することにより分生胞
子の形成を促した。得られた分生胞子を、108 及び1
5 /mlとなるように0.02%のトリトンX−10
0(商品名/ローム・アンド・ハース社製)水溶液中に
懸濁させ、ドレックスレラ属菌を有効成分とする雑草防
除剤を調製した。
【0040】一方、ヒエとイネ(品種;ニッポンバレ)
の種子を1/10000aのポットに詰めた水田土壌に
播種し、1.5葉期まで育苗した。水深がおよそ3cm
の湛水状態とした後、ドレックスレラ属菌の分生胞子を
含む上記雑草防除剤5mlを滴下し、昼間30℃、夜間
25℃の人工気象室で10日間の栽培を行っ後、ドレッ
クスレラ属菌がヒエ及びイネに及ぼす影響を試験例1と
同様の基準で評価した。その結果を第2表(表2)に示
した。
【0041】+++;枯死 ++;顕著な生育阻害 +;やや生育阻害 −;影響無し
【0042】
【表2】
【0043】試験の結果、本発明に係わるドレックスレ
ラ属のMH−4415、MH−4418、MH−501
1、MH−5017、MH−5018、MH−551
1、MH−9011は、ヒエに対してMH−0015〜
MH−2998よりも100〜1000倍優れた除草作
用を示し、更に、イネに対する安全性が認められた。
【0044】試験例3 試験例1の2)と同様の方法で本発明に係わる微生物の
エキノクロア属各種及びイネに対する病原力を評価し
た。すなわち、ヒエとしてエキノクロア属コロナム種、
エキノクロア属オリジコーラ種(日本名:タイヌビ
エ)、エキノクロア属クルスガリ種の変種フォルモセン
シス(日本名:ヒメタイヌビエ)、エキノクロア属クル
スガリ種の変種クルスガリ(日本名:イヌビエ)及びエ
キノクロア属クルスガリ種の変種プラチコーラ(日本
名:ヒメイヌビエ)を、イネとして栽培種のニッポンバ
レ(品種名)、ササニシキ(品種名)、コシヒカリ(品
種名)を供試した。接種10日後に本発明に係わる微生
物のヒエ及びイネに対する病原性を評価し、その結果を
第3表(表3、4)に示した。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】 +++;枯死 ++;顕著な生育阻害 +;やや生育阻害 −;影響無し
【0047】試験の結果、本発明に係わるドレックスレ
ラ属モノセラス種のMH4418、MH5011、MH
5017、MH5018、MH5511及びMH901
1菌株は、エキノクロア属の全ての種及び変種に対して
強い病原力を持ち優れた除草作用を示し、更に、イネに
対する安全性が認められた。
【0048】製剤例 次に本発明に係わる除草剤の製剤例を実施例として示
す。
【0049】実施例−1 (粒剤) ネオペレックス(商品名/花王製)2重量%、サンエキ
スP252(商品名/山陽国策パルプ製)2重量%、ゼ
オライト96重量%をよく混合した後、ドレックスレラ
属菌(MH−5018菌株)の分生胞子を粒剤1g当り
109 個含む胞子懸濁液を加えて湿潤させ、次に小型射
出成形機で押し出し造粒した。これを風乾により乾燥し
て解砕後、製粒機で0.3〜2mmの粒剤を得た。
【0050】実施例−2 (粒剤) ネオペレックス(商品名/花王製)2重量%、サンエキ
スP252(商品名/山陽国策パルプ製)2重量%、ゼ
オライト96重量%をよく混合した後、ドレックスレラ
属菌(MH−5511菌株)の分生胞子を粒剤1g当り
108 個含む胞子懸濁液を加えて湿潤させ、次に小型射
出成形機で押し出し造粒した。これを風乾により乾燥し
て解砕後、製粒機で0.3〜2mmの粒剤を得た。
【0051】実施例−3 (粒剤) ネオペレックス(商品名/花王製)2重量%、サンエキ
スP252(商品名/山陽国策パルプ製)2重量%、ゼ
オライト96重量%をよく混合した後、ドレックスレラ
属菌(MH−9011菌株)の分生胞子を粒剤1g当り
109 個含む胞子懸濁液を加えて湿潤させ、次に小型射
出成形機で押し出し造粒した。これを風乾により乾燥し
て解砕後、製粒機で0.3〜2mmの粒剤を得た。
【0052】実施例−4(水和剤) ネオペレックス(商品名/花王製)2重量%、トリトン
(X−100)2重量%、ホワイトカーボン5重量%
を、ドレックスレラ属菌(MH−4418菌株)の分生
胞子を水和剤1g当り1010個含む胞子懸濁液で含浸、
風乾した後、珪藻土91重量%をよく粉砕混合して水和
剤を得た。
【0053】実施例−5(水和剤) ネオペレックス(商品名、花王製;ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム):2重量%、ノイゲンEA80
(商品名、三洋化成製;ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル):1重量%、ホワイトカーボン:5重量
%および珪藻土92重量%を、ドレックスレラ属菌(M
H−5511菌株)の分生胞子を水和剤1g当り109
個含む胞子懸濁液で含浸、風乾した後、よく粉砕混合し
て水和剤を得た。
【0054】実施例−6 (フロアブル剤) 水80重量%に溶解したサンエキス(P252)10重
量%を湿式粉砕混合し、その後ドレックスレラ属菌(M
H−5017菌株)の分生胞子をフロアブル剤1ml当
り1010個含む胞子懸濁液9.6重量%に溶解したケル
ザンS(商品名、ケルコ製)0.4重量%を加えて混合
してフロアブル剤を得た。
【0055】実施例−7 (フロアブル剤) 水70重量%に溶解したサンエキスP252 (商品名、前
記と同様):10重量%、更にドレックスレラ属菌(M
H−5511菌株)の分生胞子をフロアブル剤1ml当
り1010個含む胞子懸濁液10重量%混合後、湿式粉砕
混合し、その後水9.8重量%に溶解したケルザンS
(商品名、ケルコ製;キサンタンガム):0.2重量%
を加えて混合し、フロアブル剤を得た。
【0056】実施例−8 (ドライフロアブル剤) アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:15重量%及
びポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエ
ーテル:85重量%,更にドレックスレラ属菌(MH−
5011菌株)の分生胞子をドライフロアブル剤1g当
り1010個を混合し、ドライフロアブル剤を得た。
【0057】実施例−9 (粉剤) エマルゲン910(商品名、花王製;ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル):0.5重量%およびカオ
リンクレー:99.5重量%をよく粉砕混合し、更にド
レックスレラ属菌(MH−9011菌株)の分生胞子を
粉剤1g当り108 個を混合して粉剤を得た。
【0058】実施例−10 (乳剤) レシチン:5重量%、ヘビーホワイトオイル94重量%
にドレックスレラ属菌(MH−5511菌株)の分生胞
子を乳剤1g当り1010個を懸濁し、等量の1重量%の
トライトンX−100を加えて混合し、エマルジョン化
させ、乳剤を得た。
【0059】
【発明の効果】本発明に係わるドレックスレラ属モノセ
ラス種の新菌株は、雑草のヒエであるエキノクロア属の
全ての種に対して病原性が認められ、ヒエに対する実用
的除草作用が示された。更に、イネを始めとする栽培植
物に対しては極めて安全であることが確認された。
【0060】本発明に係わる微生物は、自然界の微生物
から選抜されたものであり、有機合成農薬で懸念されて
いる環境汚染の心配が無く安全である。
【0061】以上、本発明に係わる雑草防除剤は、作物
生産に寄与するばかりでなく、昨今問題となっている環
境汚染や薬剤抵抗性雑草の出現回避にも寄与する。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イネに病原性を示さずエキノクロア属オ
    リジコーラ種、エキノクロア属コロナム種、エキノクロ
    ア属クルスガリ種の変種フォルモセンシス、エキノクロ
    ア属クルスガリ種の変種クルスガリ及びエキノクロア属
    クルスガリ種の変種プラチコーラを枯死させるドレック
    スレラ属モノセラス種の新菌株。
  2. 【請求項2】 ドレックスレラ属モノセラス種の新菌株
    がMH4418(微工研菌寄第12034号)、或いは
    MH5011(微工研菌寄第12035号)、或いはM
    H5017(微工研菌寄第11993号)、或いはMH
    5018(微工研菌寄第11994号)、或いはMH5
    511(微工研菌寄第12130号)、或いはMH90
    11(微工研菌寄第12129号)であることを特徴と
    する請求項1に記載の新菌株。
  3. 【請求項3】 請求項1の新菌株を含有することを特徴
    とする雑草防除剤。
  4. 【請求項4】 請求項3の新菌株がMH4418(微工
    研菌寄第12034号)、或いはMH5011(微工研
    菌寄第12035号)、或いはMH5017(微工研菌
    寄第11993号)、或いはMH5018(微工研菌寄
    第11994号)、或いはMH5511(微工研菌寄第
    12130号)、或いはMH9011(微工研菌寄第1
    2129号)である請求項3の雑草防除剤。
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