JPH104205A - 化合物半導体太陽電池の製造法 - Google Patents
化合物半導体太陽電池の製造法Info
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- JPH104205A JPH104205A JP8175851A JP17585196A JPH104205A JP H104205 A JPH104205 A JP H104205A JP 8175851 A JP8175851 A JP 8175851A JP 17585196 A JP17585196 A JP 17585196A JP H104205 A JPH104205 A JP H104205A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Abstract
(57)【要約】
【課題】有機イオウカドミウム錯体の熱分解により形成
したCdS膜上にCdTe膜を形成して構成される太陽
電池の製造工程において、CdS膜を浸食することな
く、良質なCdTe膜をCdS膜上に形成することによ
り、高効率の太陽電池を製造する方法を提供すること。 【解決手段】CdS薄膜上にCdTe膜を形成し、この
CdTe膜にCdCl2溶液を塗布したのち、1000
ppm以上、100000ppm以下のモル濃度の酸素
を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う。
したCdS膜上にCdTe膜を形成して構成される太陽
電池の製造工程において、CdS膜を浸食することな
く、良質なCdTe膜をCdS膜上に形成することによ
り、高効率の太陽電池を製造する方法を提供すること。 【解決手段】CdS薄膜上にCdTe膜を形成し、この
CdTe膜にCdCl2溶液を塗布したのち、1000
ppm以上、100000ppm以下のモル濃度の酸素
を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CdS/CdTe
太陽電池素子の製造法に関するものである。
太陽電池素子の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、化合物半導体膜を用いた化合
物半導体太陽電池素子は光電子産業分野で幅広く用いら
れてきた。化合物半導体太陽電池素子の中で、特にII−
VI族化合物半導体は、すべて直接遷移型帯構造を持ち、
吸収端以下の波長に対する吸収係数が大きい。また、特
にII−VI族化合物の中でも、CdTe膜は、禁制帯幅が
1.44eVと太陽光スペクトルとの整合性が高いため
に、ガラス基板上に形成したCdS膜を窓材料として用
いたCdS/CdTe太陽電池素子が電卓等の屋内用途
や屋外での太陽光発電用として用いられている。
物半導体太陽電池素子は光電子産業分野で幅広く用いら
れてきた。化合物半導体太陽電池素子の中で、特にII−
VI族化合物半導体は、すべて直接遷移型帯構造を持ち、
吸収端以下の波長に対する吸収係数が大きい。また、特
にII−VI族化合物の中でも、CdTe膜は、禁制帯幅が
1.44eVと太陽光スペクトルとの整合性が高いため
に、ガラス基板上に形成したCdS膜を窓材料として用
いたCdS/CdTe太陽電池素子が電卓等の屋内用途
や屋外での太陽光発電用として用いられている。
【0003】現在、CdS/CdTe太陽電池において
はCdS膜を薄膜化し、光電流の増加により変換効率を
高める研究がなされている。その中で、高い変換効率を
得られる太陽電池の製造法として代表的な例を上げる
と、表面を透明導電膜でコ−ティングしたガラス基板上
にカドミウム、イオウを含む溶液中で溶液成長法と呼ば
れる無電解メッキ法によりCdS膜を形成し、CdTe
膜を近接昇華法によりCdS膜上に形成後、メタノ−ル
中に飽和濃度まで塩化カドミウム(CdCl2)を溶解
させて作製した溶液をCdTe膜上に塗布し、空気中で
400〜500℃で熱処理し、その後、CdTe表面に
熱処理中に生成したCdTeの酸化膜をエッチング処理
により除去し、カ−ボン電極膜を形成しで太陽電池素子
を作製している。
はCdS膜を薄膜化し、光電流の増加により変換効率を
高める研究がなされている。その中で、高い変換効率を
得られる太陽電池の製造法として代表的な例を上げる
と、表面を透明導電膜でコ−ティングしたガラス基板上
にカドミウム、イオウを含む溶液中で溶液成長法と呼ば
れる無電解メッキ法によりCdS膜を形成し、CdTe
膜を近接昇華法によりCdS膜上に形成後、メタノ−ル
中に飽和濃度まで塩化カドミウム(CdCl2)を溶解
させて作製した溶液をCdTe膜上に塗布し、空気中で
400〜500℃で熱処理し、その後、CdTe表面に
熱処理中に生成したCdTeの酸化膜をエッチング処理
により除去し、カ−ボン電極膜を形成しで太陽電池素子
を作製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来から行われている
プロセスはCdS膜が溶液成長法で形成されており、膜
成長速度が遅く、所定の膜厚(約1000Å)を形成す
るために、30分以上の時間を必要とし、高速でCdS
膜を製膜できないという問題点があった。さらに、Cd
Te膜を製膜後、塩化カドミウム溶液をCdTe膜上に
塗布し、空気中で熱処理を行うことから、CdTe膜上
に酸化膜が形成され、酸化膜除去のためのエッチング処
理工程が必要であった。
プロセスはCdS膜が溶液成長法で形成されており、膜
成長速度が遅く、所定の膜厚(約1000Å)を形成す
るために、30分以上の時間を必要とし、高速でCdS
膜を製膜できないという問題点があった。さらに、Cd
Te膜を製膜後、塩化カドミウム溶液をCdTe膜上に
塗布し、空気中で熱処理を行うことから、CdTe膜上
に酸化膜が形成され、酸化膜除去のためのエッチング処
理工程が必要であった。
【0005】化合物半導体太陽電池を大量にかつ低コス
トで生産するためには、従来の溶液成長法に変えてCd
S膜を高速で形成するプロセスが必要であり、最近、有
機イオウカドミウム錯体の熱分解により20〜40秒以
内で1000ÅのCdS膜を形成する技術が提案されて
いる。しかしながら、この高速製膜法により形成したC
dS薄膜は従来の溶液成長法により形成した膜と膜質が
異なり、CdS膜を形成する粒子が小さく、ガラス基板
表面に対し、垂直方向に米粒状にCdS粒子が成長す
る。このCdS薄膜上にCdTe膜を形成後、塩化カド
ミウム処理を空気中で行い、その後、エッチング処理を
行うと、CdTe膜のグレイン間から浸透したエッチン
グ液がCdS膜を形成する米粒状の粒子を浸食し、Cd
Te膜上からCdS膜を通って、透明導電膜に至る貫通
孔が生じる問題があった。このため、CdTe膜上にカ
−ボン電極を形成した時にカ−ボンが前記貫通孔に侵入
して透明導電膜とカ−ボンが接触し、リ−クする現象が
生じた。
トで生産するためには、従来の溶液成長法に変えてCd
S膜を高速で形成するプロセスが必要であり、最近、有
機イオウカドミウム錯体の熱分解により20〜40秒以
内で1000ÅのCdS膜を形成する技術が提案されて
いる。しかしながら、この高速製膜法により形成したC
dS薄膜は従来の溶液成長法により形成した膜と膜質が
異なり、CdS膜を形成する粒子が小さく、ガラス基板
表面に対し、垂直方向に米粒状にCdS粒子が成長す
る。このCdS薄膜上にCdTe膜を形成後、塩化カド
ミウム処理を空気中で行い、その後、エッチング処理を
行うと、CdTe膜のグレイン間から浸透したエッチン
グ液がCdS膜を形成する米粒状の粒子を浸食し、Cd
Te膜上からCdS膜を通って、透明導電膜に至る貫通
孔が生じる問題があった。このため、CdTe膜上にカ
−ボン電極を形成した時にカ−ボンが前記貫通孔に侵入
して透明導電膜とカ−ボンが接触し、リ−クする現象が
生じた。
【0006】このような理由から、有機イオウカドミウ
ム錯体の熱分解によりCdS薄膜を形成する方法を用い
た場合、CdTe膜の塩化カドミウム処理後のエッチン
グ処理をすることができないために、空気中での熱処理
時に形成されるCdTe上の酸化膜を除去することがで
きず、このCdTe膜上に電極を形成すると、CdTe
膜と電極間の接触抵抗が大きくなり、太陽電池素子の光
電特性が低下するという問題があり、これを解決するこ
とが課題であった。
ム錯体の熱分解によりCdS薄膜を形成する方法を用い
た場合、CdTe膜の塩化カドミウム処理後のエッチン
グ処理をすることができないために、空気中での熱処理
時に形成されるCdTe上の酸化膜を除去することがで
きず、このCdTe膜上に電極を形成すると、CdTe
膜と電極間の接触抵抗が大きくなり、太陽電池素子の光
電特性が低下するという問題があり、これを解決するこ
とが課題であった。
【0007】
【課題を解決させるための手段】本発明は、ガラス基板
上に有機イオウカドミウム錯体の熱分解によりCdS薄
膜を形成し、前記薄膜上にCdTe膜を形成する化合物
半導体太陽電池の製造工程において、CdTe膜を形成
後、CdTe膜上に水または有機溶剤に塩化カドミウム
を溶解させた溶液を塗布し、酸素モル濃度が1000ppm
以上、100000ppm以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理
する工程を含む製造法により化合物半導体太陽電池を製
造するもので、これにより、上記の課題を解決し、変換
効率の高い太陽電池素子を形成することができる。
上に有機イオウカドミウム錯体の熱分解によりCdS薄
膜を形成し、前記薄膜上にCdTe膜を形成する化合物
半導体太陽電池の製造工程において、CdTe膜を形成
後、CdTe膜上に水または有機溶剤に塩化カドミウム
を溶解させた溶液を塗布し、酸素モル濃度が1000ppm
以上、100000ppm以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理
する工程を含む製造法により化合物半導体太陽電池を製
造するもので、これにより、上記の課題を解決し、変換
効率の高い太陽電池素子を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】有機イオウカドミウム錯体の熱分
解により形成したCdS薄膜上に形成したCdTe膜上
に塩化カドミウム溶液を塗布し、これを酸素モル濃度が
1000ppm以上、100000ppm以下の不活性雰囲気で熱
処理することにより、CdTe上の酸化膜の生成が抑制
され、しかもCdTe膜中に適度の酸素がド−ピングさ
れた状態でCdCl2をCdTe膜グレインの成長に関
する融剤として作用させることができ、グレインサイズ
の大きい、ピンホ−ルの無いCdTe膜を形成すること
ができる。これにより、エッチング処理により酸化膜を
除去する必要が無くなり、CdTe膜と電極間の接触抵
抗が増大させることなく、しかもカ−ボンと透明導電膜
との接触によるリ−クも発生しない高効率の太陽電池素
子を高速で製造することができる。
解により形成したCdS薄膜上に形成したCdTe膜上
に塩化カドミウム溶液を塗布し、これを酸素モル濃度が
1000ppm以上、100000ppm以下の不活性雰囲気で熱
処理することにより、CdTe上の酸化膜の生成が抑制
され、しかもCdTe膜中に適度の酸素がド−ピングさ
れた状態でCdCl2をCdTe膜グレインの成長に関
する融剤として作用させることができ、グレインサイズ
の大きい、ピンホ−ルの無いCdTe膜を形成すること
ができる。これにより、エッチング処理により酸化膜を
除去する必要が無くなり、CdTe膜と電極間の接触抵
抗が増大させることなく、しかもカ−ボンと透明導電膜
との接触によるリ−クも発生しない高効率の太陽電池素
子を高速で製造することができる。
【0009】
【実施例】以下に実施例により本発明を説明する。 (実施例1)本実施例のCdS/CdTe太陽電池の断
面構造図を図1に示す。1はガラス基板、2はCdS
膜、3はCdTe膜、4はカ−ボン膜、5は銀電極、6
は透明導電膜を示す。CdS膜2は、有機イオウカドミ
ウム錯体として、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウ
ムを用い、これをガラス基板1上で熱分解することによ
り、膜厚500ÅのCdS膜2を形成させた。CdTe
膜3は近接昇華法にて形成した。これは、CdS膜2の
対面にCdTeソ−スとしてCdTe粉末を設置し、1
〜10torrに減圧後、600℃にて5分間保持する
ことにより、CdTeをCdおよびTeの蒸気として蒸
散させ、CdS膜2上にCdTe膜3を形成させる方法
である。このようにして作製したCdTe膜3上に、水
にCdCl2を0.5モル/リットルの濃度で溶解させ
たCdCl2溶液をスピナ−により塗布後、400℃に
て、酸素モル濃度が10000ppmになるように調整した窒素
と酸素の混合ガス雰囲気中で20分間熱処理した。この
ようにして作製したCdTe膜3は、図2に示すよう
に、グレインサイズが、10μmまで成長していること
がSEM写真により観察された。CdCl2溶液塗布後
の熱処理による効果は、CdCl2がCdTe膜3の融
剤として作用し、CdTe結晶粒径を増大させ、グレイ
ン間のポアをなくす働きをすることによると考えられ
る。
面構造図を図1に示す。1はガラス基板、2はCdS
膜、3はCdTe膜、4はカ−ボン膜、5は銀電極、6
は透明導電膜を示す。CdS膜2は、有機イオウカドミ
ウム錯体として、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウ
ムを用い、これをガラス基板1上で熱分解することによ
り、膜厚500ÅのCdS膜2を形成させた。CdTe
膜3は近接昇華法にて形成した。これは、CdS膜2の
対面にCdTeソ−スとしてCdTe粉末を設置し、1
〜10torrに減圧後、600℃にて5分間保持する
ことにより、CdTeをCdおよびTeの蒸気として蒸
散させ、CdS膜2上にCdTe膜3を形成させる方法
である。このようにして作製したCdTe膜3上に、水
にCdCl2を0.5モル/リットルの濃度で溶解させ
たCdCl2溶液をスピナ−により塗布後、400℃に
て、酸素モル濃度が10000ppmになるように調整した窒素
と酸素の混合ガス雰囲気中で20分間熱処理した。この
ようにして作製したCdTe膜3は、図2に示すよう
に、グレインサイズが、10μmまで成長していること
がSEM写真により観察された。CdCl2溶液塗布後
の熱処理による効果は、CdCl2がCdTe膜3の融
剤として作用し、CdTe結晶粒径を増大させ、グレイ
ン間のポアをなくす働きをすることによると考えられ
る。
【0010】また、CdS膜3の膜厚については、10
0Å以下では、ピンホ−ルのない薄膜を得ることが難し
く、1000Å以上では、400nm以下の波長域での
光吸収が大きくなるために、Jscが低下するので10
0〜1000Åとするのが望ましいことが確認された。
表1にCdTe膜3上にCdCl2溶液を塗布し、40
0℃で熱処理(以下、CdCl2熱処理という)を施し
た後、カ−ボン膜4、銀電極5を形成して作製した太陽
電池素子の光電特性を100mW/cm2、AM1.5
の条件で測定した結果を示す。
0Å以下では、ピンホ−ルのない薄膜を得ることが難し
く、1000Å以上では、400nm以下の波長域での
光吸収が大きくなるために、Jscが低下するので10
0〜1000Åとするのが望ましいことが確認された。
表1にCdTe膜3上にCdCl2溶液を塗布し、40
0℃で熱処理(以下、CdCl2熱処理という)を施し
た後、カ−ボン膜4、銀電極5を形成して作製した太陽
電池素子の光電特性を100mW/cm2、AM1.5
の条件で測定した結果を示す。
【0011】
【表1】 表1から、実施例の太陽電池の光電特性は、図3に示さ
れるCdCl2熱処理無しの比較例に対して、Voc,
Jsc,FFとも向上していることがわかる。表2にC
dCl2熱処理時の雰囲気中の酸素濃度を変化させた場
合の光電特性への影響を示す。
れるCdCl2熱処理無しの比較例に対して、Voc,
Jsc,FFとも向上していることがわかる。表2にC
dCl2熱処理時の雰囲気中の酸素濃度を変化させた場
合の光電特性への影響を示す。
【0012】
【表2】 表2から、熱処理雰囲気の窒素中に酸素を含有させる濃
度は、モル濃度で1000ppm以上、100000ppm以下と
するのが望ましく、10000ppm近辺の濃度が最も適し
ていることが明らかになった。また、100000ppmを越え
るとCdTe膜3が酸化され、光電特性が低下し、酸素
濃度1000ppm未満の窒素雰囲気で処理すると、酸素によ
るグレイン成長作用が乏しいため、CdTe膜のグレイ
ンの成長が不十分となり、開放電圧VocとFFが低下
する。さらに、不活性ガスとして、窒素に代わり、アル
ゴン、ヘリウムを用いた場合にも表2とほぼ同様の結果
が得られ、酸素モル濃度を1000ppm以上、100000pp
m以下とするのが望ましく、10000 ppm近辺の濃度が
最も適していることが明らかになった。
度は、モル濃度で1000ppm以上、100000ppm以下と
するのが望ましく、10000ppm近辺の濃度が最も適し
ていることが明らかになった。また、100000ppmを越え
るとCdTe膜3が酸化され、光電特性が低下し、酸素
濃度1000ppm未満の窒素雰囲気で処理すると、酸素によ
るグレイン成長作用が乏しいため、CdTe膜のグレイ
ンの成長が不十分となり、開放電圧VocとFFが低下
する。さらに、不活性ガスとして、窒素に代わり、アル
ゴン、ヘリウムを用いた場合にも表2とほぼ同様の結果
が得られ、酸素モル濃度を1000ppm以上、100000pp
m以下とするのが望ましく、10000 ppm近辺の濃度が
最も適していることが明らかになった。
【0013】
【表3】 また、表3に示すように、熱処理温度は、100℃未満
ではCdTeのグレインの成長は顕著に認められず、5
00℃を越えるとCdCl2によって溶解したCdTe
がCdS膜を浸食し、光電特性が低下する。したがっ
て、熱処理温度は100℃以上、500℃以下で効果が
あり、400℃付近が最も適する。
ではCdTeのグレインの成長は顕著に認められず、5
00℃を越えるとCdCl2によって溶解したCdTe
がCdS膜を浸食し、光電特性が低下する。したがっ
て、熱処理温度は100℃以上、500℃以下で効果が
あり、400℃付近が最も適する。
【0014】
【表4】 さらに、表4に示すように、CdCl2溶液中のCdC
l2の濃度は、0.1モル/リットルから1モル/リッ
トルの範囲で用いると高い光電特性が得られるが、0.
1モル/リットル未満であると、CdTeグレインの成
長効果は認められなくなり、光電特性の向上効果は小さ
い。また、CdCl2濃度が1モル/リットルを越える
と、CdTe膜3上へのCdCl2塗布量が過剰とな
り、CdS膜2の浸食現象が生じ、光電特性が低下す
る。
l2の濃度は、0.1モル/リットルから1モル/リッ
トルの範囲で用いると高い光電特性が得られるが、0.
1モル/リットル未満であると、CdTeグレインの成
長効果は認められなくなり、光電特性の向上効果は小さ
い。また、CdCl2濃度が1モル/リットルを越える
と、CdTe膜3上へのCdCl2塗布量が過剰とな
り、CdS膜2の浸食現象が生じ、光電特性が低下す
る。
【0015】尚、本実施例では有機イオウカドミウム錯
体として、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウムを用
いたが、他にジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、
ジブチルジチオカルバミン酸カドミウム等のジチオカル
バミン酸カドミウム系化合物、カドミウムメルカプチ
ド、キサントゲン酸カドミウム等のカドミウム−イオウ
結合を少なくとも1つ以上持つものであれば用いること
が可能である。
体として、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウムを用
いたが、他にジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、
ジブチルジチオカルバミン酸カドミウム等のジチオカル
バミン酸カドミウム系化合物、カドミウムメルカプチ
ド、キサントゲン酸カドミウム等のカドミウム−イオウ
結合を少なくとも1つ以上持つものであれば用いること
が可能である。
【0016】(実施例2)実施例1と同様の方法にて作
製したCdS膜2上に形成したCdTe膜3の上に、エ
タノ−ルにCdCl2を0.3モル/リットル溶解させ
た溶液を、ロ−ルコ−タにより塗布し、400℃で熱処
理を行った。熱処理時の酸素濃度は10000ppmとし
た。CdCl2熱処理後、カ−ボン膜4、銀電極5を形
成して太陽電池素子を作製し、前記と同様の方法にて光
電特性の測定評価を行った結果、いずれの場合も光電変
換効率は、約14.1%が得られた。また、エタノ−ル
以外に従来から用いられているメタノ−ルや、他にプロ
ピレングリコ−ル、ブチルアルコ−ル等のアルコ−ル系
溶剤を用いることを試みたが、OH基を持つ有機溶剤に
ついては、エタノ−ルを用いた場合と同様の光電特性を
持つ太陽電池が得られた。さらに、エ−テル系の溶媒、
例えば、メチルエチルエ−テル、ジメチルエ−テルを用
いても同様の効果が確認された。
製したCdS膜2上に形成したCdTe膜3の上に、エ
タノ−ルにCdCl2を0.3モル/リットル溶解させ
た溶液を、ロ−ルコ−タにより塗布し、400℃で熱処
理を行った。熱処理時の酸素濃度は10000ppmとし
た。CdCl2熱処理後、カ−ボン膜4、銀電極5を形
成して太陽電池素子を作製し、前記と同様の方法にて光
電特性の測定評価を行った結果、いずれの場合も光電変
換効率は、約14.1%が得られた。また、エタノ−ル
以外に従来から用いられているメタノ−ルや、他にプロ
ピレングリコ−ル、ブチルアルコ−ル等のアルコ−ル系
溶剤を用いることを試みたが、OH基を持つ有機溶剤に
ついては、エタノ−ルを用いた場合と同様の光電特性を
持つ太陽電池が得られた。さらに、エ−テル系の溶媒、
例えば、メチルエチルエ−テル、ジメチルエ−テルを用
いても同様の効果が確認された。
【0017】(実施例3)実施例1と同様の方法にて作
製したCdS膜2上に、Cd,Te,CdTeをプロピ
レングリコ−ルに分散させたペ−ストをロ−ルコ−タ法
にて塗布し、乾燥後、700℃で熱処理して厚さ7μm
のCdTe膜を形成し、水にCdCl2を0.5モル/
リットル溶解させた溶液をロ−ルコ−タによりCdTe
膜上に塗布し、400℃にて熱処理を行った。熱処理時
の酸素モル濃度は10000ppmとした。CdCl2熱処理
後、カ−ボン膜4、銀電極5を形成して太陽電池素子を
作製し、前記と同様の方法にて光電特性の測定評価を行
った結果、光電変換効率は、14.2%が得られた。C
dCl2溶液の塗布は、ロ−ルコ−タ法以外にディップ
法を試したが、光電変換効率が14.1%の素子が得ら
れた。但し、ディップ法では、100cm2を越える大
きな面積では塗布ムラが出やすく、均一塗布をすること
が困難である。スピナ−で塗布することも可能である
が、5000cm2を越える基板では、スピナ−での塗
布は、装置費用が高価になる問題点がある。このような
ことから、ロ−ルコ−タ法が量産性の面で最も優れてい
る。
製したCdS膜2上に、Cd,Te,CdTeをプロピ
レングリコ−ルに分散させたペ−ストをロ−ルコ−タ法
にて塗布し、乾燥後、700℃で熱処理して厚さ7μm
のCdTe膜を形成し、水にCdCl2を0.5モル/
リットル溶解させた溶液をロ−ルコ−タによりCdTe
膜上に塗布し、400℃にて熱処理を行った。熱処理時
の酸素モル濃度は10000ppmとした。CdCl2熱処理
後、カ−ボン膜4、銀電極5を形成して太陽電池素子を
作製し、前記と同様の方法にて光電特性の測定評価を行
った結果、光電変換効率は、14.2%が得られた。C
dCl2溶液の塗布は、ロ−ルコ−タ法以外にディップ
法を試したが、光電変換効率が14.1%の素子が得ら
れた。但し、ディップ法では、100cm2を越える大
きな面積では塗布ムラが出やすく、均一塗布をすること
が困難である。スピナ−で塗布することも可能である
が、5000cm2を越える基板では、スピナ−での塗
布は、装置費用が高価になる問題点がある。このような
ことから、ロ−ルコ−タ法が量産性の面で最も優れてい
る。
【0018】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、高速でC
dS膜2を形成できる有機イオウカドミウム錯体の熱分
解法を用いた太陽電池の製造法において、CdS膜2上
にCdTe膜3を形成後、CdCl2溶液を塗布し、一
定の酸素濃度の不活性ガス雰囲気下で熱処理を行うこと
により、CdTe膜表面に酸化膜が形成されず、エッチ
ング処理の必要がなくなったために、エッチング処理に
よるCdS膜2の浸食をなくすことができ、14%以上
の高い変換効率を持つ化合物半導体太陽電池が得られ
た。
dS膜2を形成できる有機イオウカドミウム錯体の熱分
解法を用いた太陽電池の製造法において、CdS膜2上
にCdTe膜3を形成後、CdCl2溶液を塗布し、一
定の酸素濃度の不活性ガス雰囲気下で熱処理を行うこと
により、CdTe膜表面に酸化膜が形成されず、エッチ
ング処理の必要がなくなったために、エッチング処理に
よるCdS膜2の浸食をなくすことができ、14%以上
の高い変換効率を持つ化合物半導体太陽電池が得られ
た。
【図1】本発明の一実施例により作製した太陽電池素子
の断面構造図
の断面構造図
【図2】CdCl2熱処理済みのCdTe膜表面の結晶
構造を示す写真
構造を示す写真
【図3】CdCl2熱処理無しのCdTe膜表面の結晶
構造を示す写真
構造を示す写真
1 ガラス基板 2 CdS膜 3 CdTe膜 4 カ−ボン膜 5 銀電極 6 透明導電膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室園 幹夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】ガラス基板上に有機イオウカドミウム錯体
の熱分解によりCdS薄膜を形成し、前記薄膜上にCd
Te膜を形成する化合物半導体太陽電池の製造工程にお
いて、CdTe膜を形成後、CdTe膜上に水または有
機溶剤に塩化カドミウムを溶解させた溶液を塗布し、酸
素モル濃度が1000ppm以上、100000ppm以下の不活
性ガス雰囲気中で熱処理する工程を含むことを特徴とす
る化合物半導体太陽電池の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8175851A JPH104205A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 化合物半導体太陽電池の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8175851A JPH104205A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 化合物半導体太陽電池の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH104205A true JPH104205A (ja) | 1998-01-06 |
Family
ID=16003318
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8175851A Pending JPH104205A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 化合物半導体太陽電池の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH104205A (ja) |
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1996
- 1996-06-14 JP JP8175851A patent/JPH104205A/ja active Pending
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