JPH1038080A - 自動変速機の多板式ブレーキ装置 - Google Patents

自動変速機の多板式ブレーキ装置

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JPH1038080A
JPH1038080A JP8190891A JP19089196A JPH1038080A JP H1038080 A JPH1038080 A JP H1038080A JP 8190891 A JP8190891 A JP 8190891A JP 19089196 A JP19089196 A JP 19089196A JP H1038080 A JPH1038080 A JP H1038080A
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JP
Japan
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transmission case
transmission
fitted
brake
torque
Prior art date
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JP8190891A
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English (en)
Inventor
Keiichi Maruyama
圭一 丸山
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンリテーナの誤組付が未然に防止し得
る自動変速機の多板式ブレーキ装置を提供する。 【解決手段】 油圧室を形成するピストンリテーナ80
をトランスミッションケース3に設けるにあたり、ドリ
ブンプレート76等の外周に形成される突起76aを係
止するトランスミッションケース3に形成されるスプラ
イン溝73の1個を入力軸14の回転方向に対して反回
転方向に拡張した位置決め用溝75として形成し、ピス
トンリテーナ80に位置決め用溝75にのみ嵌合可能な
位置決め爪80bを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は、自動変速機の多板
式ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に使用される自動変速機は、トルク
コンバータとプラネタリギヤユニット等の歯車機構を有
する多段変速機構とを組み合わせて構成される。このよ
うな自動変速機の変速制御には通常油圧機構が用いら
れ、機械式或いは電磁式切換弁により油圧回路を切換
え、これにより多段変速機構に配設されるブレーキ、ク
ラッチ等の摩擦係合装置を選択的に作動させてエンジン
動力の伝達系路を切換え、所要の変速段を得るようにな
っている。
【0003】多段変速機に配設される多板式ブレーキ装
置に関する先行技術としては1993年12月マツダ株
式会社発行「オートマチック・トランスアクスル構造と
整備LJ4A−EL」のK−19及びK1−44に開示
されるローアンドリバースブレーキがある。
【0004】この先行技術に開示されるローアンドリバ
ースブレーキは、図15に要部断面を示すように、トラ
ンスミッションケース101に形成されるスプライン溝
101aに移動可能に嵌合する複数の突起を外周に形成
する複数のドリブンプレート102と、隣設するドリブ
ンプレート102間に介装されてブレーキハブ(図示せ
ず)に形成されたスプライン溝に移動可能に嵌合する突
起を内周に形成する複数のドライブプレート103を有
している。
【0005】そしてトランスミッションケース101に
嵌合配設されるピストンリテーナ104によって形成さ
れる油圧室105の油圧でピストン106を介してプレ
ッシャプレート107を押圧することによりトランスミ
ッションケース101に形成される受圧面101bにド
リブンプレート102及びドライブプレート103を押
圧してブレーキハブをトランスミッションケース101
に係止固定することによりブレーキハブに連結されたプ
ラネタリギヤユニットの作動を選択的に制御するよう構
成される。
【0006】ピストンリテーナ104は、図16に斜視
図を示すように断面略U字形を有する環状であって、油
圧室105に油圧を給排するための油穴104a及び一
対の位置決め爪104bをその外周に有し、位置決め爪
104bを前記トランスミッションケース101に形成
されるスプライン溝101aに係合してトランスミッシ
ョンケース101に組付けることにより前記油穴104
aとトランスミッションケース101に形成される油穴
との相対位置決めがなされ、トランスミッションケース
101に形成される油穴から供給される油圧をピストン
リテーナ104に形成される油穴104aを介して油圧
室105内に給排してローアンドリバースブレーキを作
動せしめる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術による
と、ドリブンプレート及びリテーニングプレートの外周
に形成した突起が移動可能に嵌合するスプライン溝に位
置決め爪を係合することによりトランスミッションケー
スとピストンリテーナの相対位置決めを行うことからピ
ストンリテーナ位置決め機構の簡素化が得られる。
【0008】しかし、ドリブンプレート及びリテーニン
グプレートの外周に形成された突起を嵌合するためにト
ランスミッションケース内周に沿って多数形成されたス
プライン溝に位置決め爪を係合してトランスミッション
ケースに対するピストンリテーナの位置決めを行うこと
から、予め定められた正規のスプライン溝以外のスプラ
イン溝に位置決め爪が係合した状態でピストンリテーナ
を組み付けるいわゆる誤組付を誘発することがある。誤
組付されたピストンリテーナによると、トランスミッシ
ョンケースに形成された油穴とピストンリテーナの油穴
との相対位置がずれて油圧室への油圧回路が遮断されて
ブレーキ機能、即ち自動変速機の機能が達成されず、ま
た誤組付された自動変速機の再組立には多大の作業工数
を要する等の不具合がある。
【0009】従って、本発明の目的は、多板式ブレーキ
装置の機能を充分に確保し、簡単な構成によりトランス
ミッションケースに対するピストンリテーナの誤組付が
未然に防止し得る自動変速機の多板式ブレーキ装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための装置】上記目的を達成する本発
明による自動変速機の多板式ブレーキ装置は、トランス
ミッションケース内に収容される歯車機構に連結されて
異なるトルクが正逆回転方向に作用するブレーキハブ外
周に移動可能にスプライン嵌合するドライブプレート
と、トランスミッションケース内周に等間隔で形成され
た複数のスプライン溝内に移動可能に嵌合する同一形状
でかつ等間隔で外周に形成された複数の突起を有するド
リブンプレートとを交互に配置し、トランスミッション
ケースに嵌合支持されかつ位置決め爪が上記トランスミ
ッションケース内周に形成されたスプライン溝に嵌合す
るピストンリテーナによって形成される油圧室の油圧に
より作動するピストンを介して前記ドライブプレートと
ドリブンプレートとを摩擦係合せしめてブレーキハブを
トランスミッションケースに回転係止する自動変速機の
多板式ブレーキ装置において、トランスミッションケー
ス内周に形成される複数のスプライン溝の少なくとも1
個がブレーキハブから駆動時に伝達されるトルクが小な
る側に拡張した他のスプライン溝より大なる溝巾を具備
する位置決め用溝であって、ピストンリテーナに形成さ
れる位置決め爪が上記位置決め用溝にのみ嵌合可能であ
ることを特徴とするものであり、ピストンリテーナに形
成される位置決め爪が位置決め用溝にのみ嵌合可能であ
ることからピストンリテーナの位置決め爪を位置決め用
溝に嵌合してトランスミッションケースに組み付けるこ
とにより未然に誤組付が防止され、かつ大なるトルクの
作用時にはそのトルクをドリブンプレートの突起が係合
する全てのスプライン溝によって強固に受け止め、小な
るトルクの作用時には位置決め用溝を除く他のスプライ
ン溝によって受け止める。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1において、本発明が適用され
る自動変速機の多板式ブレーキ装置としてエンジン、自
動変速機を車両前後方向に縦置き配置した実施の形態の
駆動系について説明する。
【0012】符号10はエンジンであり、このエンジン
10に接合されてトルクコンバータ13を収容するトル
クコンバータケース1、このトルクコンバータケース1
の後部にディファレンシャルケース2、トランスミッシ
ョンケース3及びトランスファケース4が順次接合し、
トランスミッションケース3の下部にオイルパン5が設
けられる。
【0013】エンジン10のクランク軸11がトルクコ
ンバータケース1内部のロックアップクラッチ12を備
えたトルクコンバータ13に連結し、トルクコンバータ
13からの入力軸14がトランスミッションケース3内
部の自動変速機30に入力する。自動変速機30からの
出力軸15は入力軸14と同軸上に出力し、この出力軸
15がトランスファケース4内部のセンターディファレ
ンシャル装置21に同軸上で連結する。
【0014】またトランスミッションケース3の内部で
は、フロントドライブ軸16が入力軸14及び出力軸1
5に対して平行に配置されている。このフロントドライ
ブ軸16の後端は一対のリダクションギヤ17、18を
介してセンターディファレンシャル装置21に連結され
ており、フロントドライブ軸16の前端はディファレン
シャルケース2内のフロントディファレンシャル装置1
9を介して前輪に伝動構成される。一方センターディフ
ァレンシャル装置21からはリヤドライブ軸20に回転
力が出力され、このリヤドライブ軸20はプロペラ軸及
びリヤディファレンシャル装置等を介して後輪に伝動構
成される。
【0015】センターディファレンシャル装置21は、
出力軸15に接続された第1サンギヤ22と、リヤドラ
イブ軸20に接続された第2サンギヤ23と、第1サン
ギヤ22に噛合する第1ピニオン24と、第2サンギヤ
23に噛合する第2ピニオン25と、キャリヤ26とを
備えている。そしてこのキャリヤ26と第2サンギヤ2
3との間には差動制限を行うための油圧式多板クラッチ
(LSD)28が配置され、この多板式クラッチ28に
よってキャリヤ26を介してリダクションギヤ17とド
ライブ軸20にトルク配分制御及び差動制限制御が行わ
れるようになっている。
【0016】次に自動変速機30の部分について説明す
る。自動変速機30は入力軸14と同軸上にフロントプ
ラネタリギヤユニット31とリヤプラネタリギヤユニッ
ト41を具備する多段変速機構を有している。
【0017】多段変速機構のフロントプラネタリギヤユ
ニット31は、入力軸14に回転自在に嵌合するフロン
トサンギヤ32と、フロントリングギヤ33と、フロン
トキャリヤ34と、フロントキャリヤ34に軸支されて
フロントサンギヤ32とフロントリングギヤ33に各々
噛み合う複数のフロントピニオンギヤ35とを具備し、
フロントサンギヤ32は複数のフロントピニオンギヤ3
5によって自己調芯されている。
【0018】リヤプラネタリギヤユニット41は入力軸
14にスプライン嵌合するリヤサンギヤ42と、リヤリ
ングギヤ43と、フロントリングギヤ33と一体的に結
合するリヤキャリヤ44に軸支されてリヤサンギヤ42
とリヤリングギヤ43とに各々噛み合う複数のリヤピニ
オンギヤ45とを具備すると共にリヤプラネタリキャリ
ヤ44から出力は出力軸15に伝動構成される。
【0019】入力軸14とフロントプラネタリギヤユニ
ット31との間には、入力軸14の動力を選択的にフロ
ントキャリヤ34に動力伝達するハイクラッチ50及び
入力軸14の動力を選択的にフロントサンギヤ32に動
力伝達するリバースクラッチ60が介装され、トランス
ミッションケース3とフロントサンギヤ32との間には
フロントサンギヤ32を選択的に回転係止して締結する
第1の多板式クラッチとなる2&4ブレーキ70が配設
されている。
【0020】更にフロントキャリヤ34は、フロントキ
ャリヤ34と一体的に回転するロークラッチドラム36
を有し、ロークラッチドラム36とリヤリングギヤ43
との間にフロントキャリヤ34とリヤリングギヤ43と
の間を選択的に動力伝達するロークラッチ90が設けら
れ、かつロークラッチドラム36とトランスミッション
ケース3との間にはローワンウエイクラッチ91及びロ
ーワンウエイクラッチ91の空転を防止するための第2
の多板式ブレーキとなるロー&リバースブレーキ92が
並列に設けられている。
【0021】次にこのように構成された自動変速機の作
用を図2乃至図6に示す作動概略説明図及び図7に示す
作動状態説明図に従って説明する。この作動状態説明図
において○印は対応するクラッチ及びブレーキ装置の締
結状態を示している。
【0022】先ずエンジン10の動力はクランク軸11
からトルクコンバータ13を介して入力軸14に伝達さ
れる。ここでパーキング(P)レンジ、ニュートラル
(N)レンジでは各クラッチ及びブレーキが解放されて
リヤサンギヤ42が回転するものの空転して動力伝達遮
断状態となり、これ以降の動力伝達はしなくなる。
【0023】次に前進段となるドライブ(D)レンジに
設定した場合について説明する。
【0024】1速時ではローラッチ90が締結し、かつ
ローワンウエイクラッチ91が動力伝達状態であり、そ
の他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御されて図
2に動力伝達に関与する部材を太線で示すようになる。
【0025】従って、ローラッチ90の締結とローワン
ウエイクラッチ91の作用によりロークラッチドラム3
6が逆転防止されてリヤリングギヤ43が固定される。
入力軸14からの動力はリヤサンギヤ42に入力する一
方、リヤキャリヤ44とフロントリングギヤ33が連結
することからフロントプラネタリギヤユニット31側に
もフロントリングギヤ33を経由して回転駆動されるが
フロントサンギヤ32、フロントピニオンギヤ35が空
転しながらフロントプラネタリギヤユニット31全体は
静止状態を保ち、出力側となるリヤキャリヤ44の回転
が最も減速された1速ギヤ比となり出力軸15に動力伝
達される。
【0026】1速時における入力軸14からリヤサンギ
ヤ42の入力に対するリヤキャリヤ44に出力される変
速比は、リヤサンギヤ42の歯数をZRS、リヤリング
キャリヤ43の歯数をZRRとすると次式で設定され
る。
【0027】変速比=(ZRS+ZRR)/ZRS このことからリヤサンギヤ42の歯数ZRSとリヤリン
グキャリヤ43の歯数ZRRとを適切に設定することで
変速比が自由に設定し得ることがわかる。
【0028】ここでZRS=46,ZRR=82にする
と、 変速比=(46+82)/46≒2.783 になり適切な変速比に設定し得る。
【0029】1速駆動時におけるロークラッチ90の締
結に伴うロークラッチ90に作用するトルクについて説
明する。
【0030】入力軸14からリヤサンギヤ42に入力さ
れる入力トルクをTi、ロークラッチ90に作用するロ
ークラッチ側トルクをTaとすると、
【0031】
【数1】 が成立する。ここでβはリヤサンギヤ42の歯数ZR
S、リヤリングギヤ43の歯数ZRRによって決定さ
れ、 β=ZRS/ZRR=46/82≒0.56 となる。従ってロークラッチ側トルクTaは
【0032】
【数2】 となり、リヤサンギヤ42に入力される入力トルクTi
に対してリヤリングギヤ43の回転を−1.785Ti
のロークラッチ側トルクTaで回転係止する。
【0033】2速時は、1速時同様ロークラッチ90が
締結し、かつ2&4ブレーキ70を締結し、その他のク
ラッチ及びブレーキは解放状態に制御され、図3に動力
伝達に関与する部材を太線で示すようになる。
【0034】従ってロークラッチ90の締結によりフロ
ントキャリヤ34とリヤリングギヤ43がロークラッチ
ドラム36を介して一体的に締結するとともに、フロン
トサンギヤ32が2&4ブレーキ70によってトランス
ミッションケース3に固定され、1速時同様入力軸14
からの動力はリヤサンギヤ42に入力する。
【0035】よってリヤサンギヤ42の回転によりリヤ
キャリヤ44の回転を受けたフロントリングギヤ33が
フロントキャリヤ34を減速させ、この減速回転をロー
クラッチドラム36及びロークラッチ90経由でリヤリ
ングギヤ43に入力する。ここでリヤリングギヤ43の
回転がリヤキャリヤ44の回転に付加してリヤキャリヤ
44の回転を速める。そのためリヤキャリヤ44は1速
時の回転よりもリヤリングギヤ43の回転分だけ速くな
り減速度も小さくなる。
【0036】2速駆動時におけるロークラッチ90及び
2&4ブレーキ70の締結に伴うロークラッチ90及び
2&4ブレーキ70に作用するトルクについて説明す
る。
【0037】入力軸14からリヤサンギヤ42に入力さ
れる入力トルクTiに対するロークラッチ90に作用す
るロークラッチ側トルクTaは、1速時同様
【0038】
【数3】 が成立する。ここでβ≒0.56であることから
【0039】
【数4】 となり、リヤサンギヤ42に入力される入力トルクTi
に対してリヤリングギヤ43の回転を−1.785Ti
のロークラッチ側トルクTaでロークラッチドラム36
に回転係止する。
【0040】一方2&4ブレーキ70に伝達される2&
4ブレーキ側トルクTbは入力トルクTiに対して
【0041】
【数5】 が成立する。ここでαはフロントサンギヤ32の歯車Z
FS、フロントリングギヤ33の歯車ZFRによって決
定され、 α=ZFS/ZFR となる。ここでZFS=37、ZFR=84とすると、 α=ZFS/ZFR=37/84≒0.44 となる。従って2&4ブレーキ側トルクTbは
【0042】
【数6】 となり、リヤサンギヤ42に入力される入力トルクTi
に対してフロントサンギヤ32の回転を+0.545T
iの2&4ブレーキ側トルクTbでトランスミッション
ケース3に伝達して回転係止する。
【0043】3速時には、ハイクラッチ50及びローク
ラッチ90の締結により入力軸14からの動力はリヤプ
ラネタリギヤユニット41のリヤサンギヤ42に入力さ
れるとともに、ハイクラッチ50、フロントプラネタリ
ギヤユニット31のフロントキャリヤ34、ロークラッ
チドラム36及びロークラッチ90を経由してリヤリン
グギヤ43に同時に入力され、図4に動力伝達に関与す
る部材を太線で示すようになる。従ってリヤプラネタリ
ギヤユニット41も一体回転して1対1の直結回転とな
ってリヤキャリヤ44から出力軸15に出力する。
【0044】このときのハイクラッチ50及びロークラ
ッチ90の締結によるハイクラッチ50及びロークラッ
チ90に作用するトルクについて説明する。
【0045】入力軸14からの入力トルクTiに対する
ハイクラッチ50に作用するハイクラッチ側トルクTc
【0046】
【数7】 が成立する。ここでβ≒0.56であることから
【0047】
【数8】 となり、入力軸14からの入力トルクTiに対しハイク
ラッチ50によって−0.641Tiの伝達トルクでフ
ロントキャリヤ34に動力伝達する。
【0048】一方ロークラッチ90に作用する入力トル
クTiに対するロークラッチ側トルクTaは、
【0049】
【数9】 が成立し、ここでβ≒0.56であることから
【0050】
【数10】 となり、入力軸14からの入力トルクTiに対してロー
クラッチ90によって−0.641Tiの伝達トルクで
リヤサンギヤ43に動力伝達する。
【0051】次に4速時について述べると、ハイクラッ
チ50と2&4ブレーキ70を締結し、その他のクラッ
チ及びブレーキは解放状態に制御されて図5に動力伝達
に関与する部材を太線で示すようになる。
【0052】よって2&4ブレーキ70の締結によりフ
ロントサンギヤ32を固定し、ハイクラッチ50の締結
によって入力軸14からの出力はフロントキャリヤ34
に入力され、フロントリングギヤ33を増速させてフロ
ントリングギヤ33からリヤキャリヤ44を経由して増
速されたオーバードライブ回転を出力軸15に出力す
る。
【0053】ここでハイクラッチ50に作用する入力ト
ルクTiに対するハイクラッチ側トルクTcは、 Tc=−Ti が成立し入力軸14からの入力トルクTiに対してハイ
クラッチ50によって入力トルクTiと同じ大きさのト
ルクでフロントキャリヤ34に動力伝達する。
【0054】一方2&4ブレーキ70に作用する2&4
ブレーキ側トルクTbは入力トルクTiに対して
【0055】
【数11】 が成立する。ここでα=0.44であることから
【0056】
【数12】 となり、入力トルクTiに対しフロントサンギヤ32を
−0.306Tiの2&4ブレーキ側トルクTbでトラ
ンスミッションケース3に伝達して回転係止する。
【0057】従って2速駆動時及び4速駆動時において
2&4ブレーキ70によってフロントサンギヤ32をト
ランスミッションケース3に回転係止するに要する2&
4ブレーキ側トルクTbは、入力トルクTiに対して2
速時には0.545Tiであるのに対し、4速駆動時に
は−0.306Tiと逆方向でかつ約56%のトルクで
達成される。
【0058】次に後退段となるリバース(R)レンジで
はリバースクラッチ60及びロー&リバースブレーキ9
2が締結し、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態
に制御されて図6に動力伝達に関与する部材を太線で示
すようになる。
【0059】従ってロー&リバースブレーキ92の締結
によってロークラッチドラム36を介してフロントキャ
リヤ34がトランスミッションケース3に固定され、入
力軸14からの動力はリバースクラッチ60を介してフ
ロントサンギヤ32を回転駆動する。フロントサンギヤ
32の回転によりフロントリングギヤ33をフロントサ
ンギヤ32の回転に対して減速して逆方向に回転せしめ
るいわゆる後退回転をフロントリングギヤ33に結合さ
れるリヤキャリヤ44を介して出力軸15に出力する。
【0060】このときのリバースクラッチ60及びロー
&リバースブレーキ92に作用するトルクについて説明
する。
【0061】入力軸14からの入力トルクTiに対する
リバースクラッチ60に作用するリバースクラッチ側ト
ルクTdは Td=−Ti が成立し、入力軸14からのトルクTiに対してリバー
スクラッチ60によって入力トルクTiと同じ大きさの
トルクでフロントサンギヤ32に動力伝達する。
【0062】一方ロー&リバースブレーキ92に作用す
るロー&リバースブレーキ側トルクTeは
【0063】
【数13】 が成立する。ここでα=0.44であることから
【0064】
【数14】 となり、入力トルクTiに対してフロントキャリヤ34
の回転を+3.272Tiのロー&リバースブレーキ側
トルクTeでトランスミッションケース3に回転係止す
る。
【0065】次に図1中にAで示すハイクラッチ50、
リバースクラッチ60、2&4ブレーキ70、フロント
プラネタリギヤユニット31の部分について図8によっ
て詳細に説明する。
【0066】図8は要部断面図であり、入力軸14はト
ランスミッションケース3にオイルポンプハウジングを
介して支持されるオイルポンプカバー29に形成される
中空状のサポート29aによってブッシュ14bを介し
てエンジンのクランク軸11と同軸状に回転自在に軸支
され、かつハイクラッチ50のクラッチドラム51を支
持するクラッチドラム基部49をスプライン嵌合するス
プライン14aが形成されている。
【0067】入力軸14に沿ってオイルポンプカバー2
9側から順にハイクラッチ50のクラッチドラム基部4
9、ハイクラッチ50のクラッチハブ52、リバースク
ラッチ60のクラッチハブ62、フロントプラネタリギ
ヤユニット31、リヤプラネタリギヤユニット41がス
ラストベアリング38a、38b、38c、38d、3
8eを介在して列設し、リヤプラネタリギヤユニット4
1をスラストベアリング(図示せず)を介してトランス
ミッションケース3に支持することにより上記各部材の
軸方向の移動が規制される。
【0068】フロントプラネタリギヤユニット31はブ
ッシュ52bを介して入力軸14に回転自在に軸支され
るハイクラッチ50のクラッチハブ52に形成されるス
プライン52aに嵌合するフロントキャリヤ34によっ
て支持され、フロントサンギヤ32及びフロントリング
ギヤ33がフロントサンギヤ32とフロントリングギヤ
33とに互いに噛み合い、かつフロントキャリヤ34に
ニードルベアリング35aを介して回転自在に軸支され
る複数のフロントピニオンギヤ35によって自己調芯さ
れる。
【0069】フロントプラネタリギヤユニット31と入
力軸14との間にはハイクラッチ50及びリバースクラ
ッチ60が介装され、フロントプラネタリギヤユニット
31とトランスミッションケース3との間には2&4ブ
レーキ70が介装されている。
【0070】ハイクラッチ50について述べると、クラ
ッチドラム基部49がオイルポンプカバー29に回転自
在に軸支されかつ入力軸14のスプライン14aにスプ
ライン嵌合するとともにクラッチドラム基部49の外周
端にはクラッチドラム51の一端が取りつけられてい
る。
【0071】一方クラッチハブ52は、その基部がブッ
シュ52bを介して入力軸14に回転自在に軸支されか
つ基部に形成される前記スプライン52aに前記フロン
トプラネタリギヤユニット31のフロントキャリヤ34
が嵌合している。
【0072】このようにしてハイクラッチ50は入力軸
14とフロントキャリヤ34との間にバイパスして動力
伝達可能に介設される。そして油圧室53の油圧でピス
トン54を介してクラッチドラム51内に固定されたス
ナップリング55dに当接するリテーニングプレート5
5c及びクラッチドラム51とクラッチハブ52との間
のドライブプレート55bを押圧して動力伝達するよう
に構成される。またピストン54の油圧室53と反対側
にはリテーナ56により油圧室53に発生する遠心油圧
を相殺するバランス油圧室57が設けられ、ピストン5
4にはリターンスプリング58の押圧力が付勢される。
【0073】リバースクラッチ60は、クラッチドラム
51をハイクラッチ50と共用し、クラッチハブ62が
フロントプラネタリギヤユニット31のフロントサンギ
ヤ32に結合して取り付けられる。こうしてリバースク
ラッチ60は入力軸14とフロントサンギヤ32との間
にバイパスして動力伝達可能に介設される。そして油圧
室63の油圧でピストン64を介してクラッチドラム5
1内に固定したスナップリング65dに当接するリテー
ニングプレート65c及びクラッチドラム51とクラッ
チハブ62との間のドライブプレート65b、ドリブン
プレート65bを押圧して動力伝達するように構成され
る。
【0074】2&4ブレーキ70について述べると、ブ
レーキ用溝72がトランスミッションケース3に形成さ
れてブレーキハブ71が前記リバースクラッチ60のク
ラッチハブ62の外周に沿ってクラッチハブ62と一体
に形成されることによりトランスミッションケース3と
フロントプラネタリギヤユニット31のフロントサンギ
ヤ32との間にバイパスして係合可能に介設される。
【0075】トランスミッションケース3に形成される
ブレーキ用溝72は、図8及び図8のA−A線断面を図
9に示すようにトランスミッションケース3の内周に沿
って軸方向に延びる複数のスプライン溝73によって構
成されている。
【0076】スプライン溝73は複数、例えば24個の
嵌合溝74と、特定個数例えば1個の位置決め用溝75
とから構成され、嵌合溝74は後述するドリブンプレー
ト76の外周に形成される突起76a及びリテーニング
プレート77の外周に形成される突起77aが移動可能
に嵌合する溝巾W0 を有している。
【0077】一方位置決め用溝75は図9のB部拡大を
図10に示すように、入力軸14の回転方向と反回転方
向に拡張され、後述するピストンリテーナ80に突出形
成される位置決め爪80bが嵌合する溝巾Wを有してい
る。
【0078】ドリブンプレート76は、図8に組付け状
態を示し、図11に平面を示すように所定の幅を有する
平板からなる環状であって、その外周に前記嵌合溝74
に移動可能に嵌合する幅寸法W1 を有する24個の突起
76aがスプライン溝73に対応して等間隔でかつ同形
状に突出形成され、突起76aがスプライン溝73にス
プライン嵌合することによりドリブンプレート76はト
ランスミッションケース3に支持されている。
【0079】リテーニングプレート77は、図8に組付
け状態を、図12に平面を示すように所定の幅を有する
平板からなる環状であって、ドリブンプレート76と同
様、その外周に前記嵌合溝74に移動可能に嵌合する幅
寸法W1 で同形状の突起77aがスプライン溝73に対
応して等間隔で24個形成され、これら突起77aがス
プライン溝73にスプライン嵌合することによってトラ
ンスミッションケース3に支持されている。
【0080】一方ブレーキハブ71の外周にも複数のス
プライン溝71aが軸方向に刻設されており、これらス
プライン溝71aを介して内周に複数の突起を有するド
ライブプレート78がプライン嵌合し、前記ドリブンプ
レート76とドライブプレート78とは同軸上に1枚ず
つ交互に配設され、それぞれ軸方向に移動可能となって
いる。
【0081】そしてトランスミッションケース3に形成
されたリテーナ取付部3bに嵌合配設されたピストンリ
テーナ80によって形成される油圧室81の油圧でピス
トン82を介してトランスミッションケース3に形成さ
れたスプライン溝73の端部に固定するスナップリング
79に当接するリテーニングプレート77にドライブプ
レート78及びドリブンプレート76を押圧してブレー
キハブ71をトランスミッションケース3に係止固定す
るよう構成され、かつピストン82にはリターンスプリ
ング83の押圧力が付勢される。
【0082】油圧室81を形成するピストンリテーナ8
0は、図8に組付け状態を示し、図13に平面、図14
に図13のC−C線断面を示すように断面略U字形の環
状形であってトランスミッションケース3に嵌合支持さ
れ、外周にはコントロールバルブ84の油圧通路84a
からトランスミッションケース3に開口する油穴3aを
経由して油圧室81内に油圧を給排するための油穴80
aが開口し、油圧通路84aと油穴80aとの間はスリ
ーブシール85が介装されている。
【0083】更にピストンリテーナ80の外周端には位
置決め用溝75に嵌合する幅寸法W2 を有する位置決め
用爪80bが突出形成され、位置決め用爪80bを位置
決め用溝75bに看護してトランスミッションケース3
のリテーナ取付部3bにピストンリテーナ80を嵌装す
ることにより、ピストンリテーナ80に開口する油穴8
0aとトランスミッションケース3に開口する油穴3a
の相対位置決めがなされるように構成されている。
【0084】従ってトランスミッションケース3のリテ
ーナ取付部3bに組付けるにあたり、トランスミッショ
ンケース3に形成される複数のスプライン溝73の内特
に大きな幅寸法W1 を有する位置決め用溝75にのみ嵌
合可能な幅寸法W2 を有する位置決め用爪80bを位置
決め用溝75に嵌挿させてピストンテリーナ80をトラ
ンスミッションケース3に対して適切に位置決めが維持
された状態でピストンテリーナ80がトランスミッショ
ンケース3のリテーナ取付部3bに装着され、ピストン
テリーナ80に開口する油穴80aとトランスミッショ
ンケース3に開口する油穴3aとの相対位置が適切にな
りコントロールバルブ83の油圧通路83aからトラン
スミッションケース3の油穴3a、ピストンテリーナ8
0の油穴80aを介して油圧室81に至る油圧回路が確
保される。
【0085】ここで2速駆動時にあって2&ブレーキ7
0は、コントロールバルブ84の油圧通路84aからト
ランスミッションケース3の油穴3a及びピストンテリ
ーナ80の油穴80aを経由して油圧室81内に供給さ
れる油圧によって作動するピストン82を介してスプラ
イン73の端部に固定するスナップリング79にリテー
ニングプレート77、ドライブプレート78、ドリブン
プレート76を押圧して互に摩擦係合するリテーニング
プレート77、ドライブプレート78、ドリブンプレー
ト76を介してブレーキハブ71をトランスミッション
ケース3に係止固定する。
【0086】このとき2&4ブレーキ70を介してトラ
ンスミッションケース3には前記したように、入力軸1
4から入力トルクTiに対して入力軸14と同回転方向
で約0.545Tiのトルクが伝達される。この伝達ト
ルクは各ドリブンプレート76の外周に形成された突起
76a及びリテーニングプレート77に形成された突起
77aによってこれら突起76a、77aが係合するス
プライン溝73の側面、即ち全ての嵌合溝74及び位置
決め用溝75の入力軸14の回転方向側に形成される側
面74a及び75aの24個の側面で分散して受け止め
ることになる。
【0087】一方4速駆動時にあっては、2&ブレーキ
70は2速駆動時同様コントロールバルブ84の油圧通
路84aからトランスミッションケース3の油穴3a及
びピストンテリーナ80の油穴80aを介して供給され
る油圧室81内の油圧によってピストン82を介してス
プライン溝73に固定するスナップリング79にリテー
ニングプレート77、ドライブプレート78、ドリブン
プレート76を押圧して互に摩擦係合するリテーニング
プレート77、ドライブプレート78によってブレーキ
ハブ71をトランスミッションケース3に係止固定す
る。
【0088】このとき、2&4ブレーキ70を介してト
ランスミッションケース3には、前記のように入力軸1
4からの入力トルクTiに対して入力軸14と逆回転方
向で約0.306Tiのトルクが伝達される。この伝達
トルクは各ドリブンプレート76に形成した突起76a
及びリテーニングプレート77の突起77aによって、
これら突起76a、77bが係合するスプライン溝の側
面、即ち入力軸14に対して逆回転方向に拡張された溝
巾Wを有する位置決め用溝75を除く全ての嵌合溝74
の入力軸14の回転方向に対して逆回転方向側に形成さ
れる23個の側面74bによって分散支持される。
【0089】しかし、このときリテーニングプレート7
7、ドライブプレート78の突起77a、76aによっ
てスプライン溝73を介してトランスミッションケース
3に作用するトルクは入力トルクTiに対して約0.3
06Tiであることから2速駆動時の約0.545Ti
に対して約56%と少なく、換言すると2速駆動時に作
用するスプライン溝73の1側面あたりへの伝達トルク
は、約0.545Ti/(嵌合溝74の数+位置決め用
溝の数)=0.545Ti/(23+1)≒0.022
7Tiであるのに対し4速駆動時に作用するスプライン
溝73の1側面あたりへの伝達トルクは、約0.306
Ti/嵌合溝74の数=0.306Ti/23=0.0
133Tiと少なく、4速駆動時に伝達トルクが作用す
る側面数の減少に起因する面圧強度上の不具合は生じる
ことなく充分達成できる。
【0090】なお、前記2&4ブレーキ70には、コー
スト走行時に駆動時と逆向きのトルクがスプライン溝7
3に作用するが、コースト時に車輪側から入力される入
力トルクTi′は駆動時の入力トルクTiに対してTi
≫Ti′であるのでスプライン溝73の面圧強度に関し
ては問題ない。
【0091】以上説明した実施の形態によると、フロン
トサンギヤ32を選択的にトランスミッションケース3
に回転係止するための2&4ブレーキ70の油圧室81
を形成するピストンリテーナ80をトランスミッション
ケース3に設けるにあたり、ドリブンプレート76及び
リテーニングプレート77の外周に形成される突起76
a、77aを係止するトランスミッションケース3に形
成されるスプライン溝73を前記突起76a、77aが
移動可能に嵌合する溝巾W0 を有する複数の嵌合溝74
と、入力軸14の回転方向に対して反回転方向に拡張さ
れた溝巾W1 を有する1個の位置決め用溝75によって
構成する一方、ピストンリテーナ80に位置決め用溝7
5にのみ嵌合する幅寸法W2 を有する位置決め爪80b
を形成することからトランスミッションケース3に形成
される位置決め溝75にのみ嵌合可能なピストンリテー
ナ80の位置決め爪80bを嵌挿することによりピスト
ンリテーナ80がトランスミッションケース3に対して
誤取付が未然に防止され適切に位置決めされた状態で装
着され、ピストンリテーナ80に開口する油穴80aと
トランスミッションケース3に開口する油穴3aとの相
対位置が適切に確保される。
【0092】またこの位置決め用溝75は、入力軸14
の回転方向に対して反回転方向に拡張して形成すること
から、2&4ブレーキ70に作用する伝達トルクが比較
的小である4速駆動時にはドリブンプレート76及びリ
テーニングプレート77の突起76a及び77aからの
伝達トルクを、これら突起76a、77aが係合する嵌
合溝74に形成される23個の側面74bによって分散
支持するが、2&4ブレーキ70に作用する伝達トルク
が比較的大である2速駆動時にはこれら突起76a、7
7aが係合する全てのスプライン溝73の側面、即ち嵌
合溝の23個の側面74aに位置決め用溝75の側面7
5aを加えた24個の側面で強固に分散受け止めること
により2&4ブレーキ70の機能を充分に達成し得る。
【0093】以上説明では位置決め用溝75及びピスト
ンリテーナ80に形成される位置決め爪80bを各1個
形成した場合を例に説明したが、2個以上の適宜個数形
成することも可能であり、また2&4ブレーキ70に限
定されることなく、例えばロー&リバースブレーキ92
等トランスミッションケース3に配設されるピストンリ
テーナ80を用いる他の多板式ブレーキ装置に広く使用
し得る。
【0094】
【発明の効果】以上説明した本発明による自動変速機の
多板式ブレーキ装置によると、トランスミッションケー
スと歯車機構との間に配設され、異なる大きさのトルク
がトランスミッションケース内周に形成される複数のス
プライン溝に作用する多板式ブレーキ装置において、複
数のスプライン溝の少なくとも1個を小なるトルクが作
用する方向に拡張した位置決め用溝として形成し、ピス
トンリテーナに形成される位置決め爪を位置決め用溝に
のみ嵌合可能に形成することから、トランスミッション
ケースに取付けるピストンリテーナの誤取付が未然に防
止でき、しかも大なるトルクに対しては全スプライン溝
によりそのトルクを分散支持することにより多板式ブレ
ーキ装置としての機能を充分に確保でき簡単な構成であ
ることから多板式ブレーキ装置を用いる自動変速機に広
く適用し得る等本発明特有の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多板式ブレーキ装置の一実施の形態を
説明する自動変速機のスケルトン図である。
【図2】同じく自動変速機の作動を説明する作動概略説
明図である。
【図3】同じく自動変速機の作動を説明する作動概略説
明図である。
【図4】同じく自動変速機の作動を説明する作動概略説
明図である。
【図5】同じく自動変速機の作動を説明する作動概略説
明図である。
【図6】同じく自動変速機の作動を説明する作動概略説
明図である。
【図7】同じく各摩擦係合装置の作動状態を示す説明図
である。
【図8】同じく要部断面図である。
【図9】図8のA−A線断面図である。
【図10】図9のB部拡大図である。
【図11】同じくドリブンプレートの平面図である。
【図12】同じくリテーニングプレートの平面図であ
る。
【図13】同じくピストンリテーナの平面図である。
【図14】図13のC−C線断面図である。
【図15】従来の多板式ブレーキ装置を説明する要部断
面図である。
【図16】同じく従来のピストンリテーナの斜視図であ
る。
【符号の説明】
3 トランスミッションケース 3a 油穴 30 自動変速機 31 フロントプラネタリギヤユニット 41 リヤプラネタリギヤユニット 70 2&4ブレーキ 71 ブレーキハブ 73 スプライン溝 74 嵌合溝 74a 側面 74b 側面 75b 位置決め溝 75a 側面 76 ドリブンプレート 76a 突起 78 ドライブプレート 80 ピストンリテーナ 80a 油穴 80b 位置決め爪 81 油圧室 82 ピストン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスミッションケース内に収容され
    る歯車機構に連結されて異なるトルクが正逆回転方向に
    作用するブレーキハブ外周に移動可能にスプライン嵌合
    するドライブプレートと、トランスミッションケース内
    周に等間隔で形成された複数のスプライン溝内に移動可
    能に嵌合する同一形状でかつ等間隔で外周に形成された
    複数の突起を有するドリブンプレートとを交互に配置
    し、トランスミッションケースに嵌合支持されかつ位置
    決め爪が上記トランスミッションケース内周に形成され
    たスプライン溝に嵌合するピストンリテーナによって形
    成される油圧室の油圧により作動するピストンを介して
    前記ドライブプレートとドリブンプレートとを摩擦係合
    せしめてブレーキハブをトランスミッションケースに回
    転係止する自動変速機の多板式ブレーキ装置において、 トランスミッションケース内周に形成される複数のスプ
    ライン溝の少なくとも1個がブレーキハブから駆動時に
    伝達されるトルクが小なる側に拡張した他のスプライン
    溝より大なる溝巾を具備する位置決め用溝であって、ピ
    ストンリテーナに形成される位置決め爪が上記位置決め
    用溝にのみ嵌合可能であることを特徴とする自動変速機
    の多板式ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 ピストンリテーナが、位置決め爪と位置
    決め用溝とが嵌合した状態においてトランスミッション
    ケースに形成された油穴と対向して油圧室に連通する油
    穴を有する請求項1に記載の自動変速機の多板式ブレー
    キ装置。
  3. 【請求項3】 多板式ブレーキが、歯車機構に組み合わ
    された複数の摩擦係合装置と共に選択的に作動して歯車
    機構の動力伝達系路を切換え変速する請求項1または2
    に記載の自動変速機の多板式ブレーキ装置。
JP8190891A 1996-07-19 1996-07-19 自動変速機の多板式ブレーキ装置 Pending JPH1038080A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015194178A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 マツダ株式会社 変速機のブレーキ装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015194178A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 マツダ株式会社 変速機のブレーキ装置

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