JPH103762A - トラッキング制御装置およびその方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラバースカウンタの方向検出精度を向上で
き、精細シーク動作に要する時間を短縮化できるトラッ
キング制御装置およびその方法を提供する。 【解決手段】 方向検出器６において、ＣＰＩ信号Ｓ５
に基づいて、光ピックアップの移動方向Ｓ６を検出す
る。また、粗シークコントローラから、指令信号８に示
されるアドレス位置から求めた移動方向Ｓ７がスイッチ
２０に出力される。スイッチ２０は、切換信号Ｓ１９に
基づいて、ＴＥ信号の速度が遅いときには移動方向Ｓ６
をトラバースカウンタ９に出力し、速いときには移動方
向Ｓ７をトラバースカウンタ９に出力する。トラバース
カウンタ９は、移動方向Ｓ７に応じた方向に、データテ
ーブル２が横切るトラックの数をカウントする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＣＤなどの光ディ
スク装置における粗シーク動作を行う際のトラッキング
制御装置およびその方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】光ディスク装置では、光ディスクの中心
穴の偏心、トラックの偏心やターンテーブルの回転軸の
軸振れなどによって、光ピックアップから放射される光
ビーム位置に対して偏心が生じる。トラックから記録デ
ータを正確に読み出し、書き込みを行うためには、光ビ
ームがトラックを正確にトラッキング（追跡）しなけれ
ばならい。光ディスク装置では、プッシュプル法などを
用いてトラッキングエラー信号を検出し、このトラッキ
ングエラー信号に基づいてトラッキングサーボを行って
いる。

【０００３】このような光ディスク装置では、現在トレ
ースしているトラックから目標トラックへ光ビームを移
動させるシーク（検索）動作が行われる。このシーク動
作は、通常、スレッド（粗動）モータの駆動によって光
ピックアップ全体を移動する粗シーク動作と、光ピック
アップ内のアクチュエータの駆動によって対物レンズを
動かす精細シーク動作とを組み合わせて行われる。例え
ば、図２に示すＡ点からＢ点のように長い距離をシーク
する場合には、一般的に、粗シーク動作を行った後に、
精細シークを行う。尚、図２に示される斜線の部分は、
ディスク上のトラックが形成されている領域を示す。こ
のような粗シーク動作では、移動中に光ビームが横切っ
たトラックの数をカウントするトラバースカウンタを用
いることがある。

【０００４】図３は、トラバースカウンタを用いた従来
の光ディスクの粗シーク動作を行う部分の構成図であ
る。光ピックアップ２からＴＥ信号Ｓ２ａおよびＣＰＩ
信号Ｓ２ｂが、それぞれコンパレータ４，５に出力され
る。ＴＥ信号Ｓ２ａは、光ビームがトラックを横切ると
きに、１トラックについて１個の波が現れる信号であ
る。ＣＰＩ信号Ｓ２ｂは、ＴＥ信号Ｓ２ａに対して略９
０°位相差がある信号である。コンパレータ４は、所定
のコンパレートレベルで、図５（Ｂ）に示すＴＥ信号Ｓ
２ａをパルス化し、図５（Ｄ）に示すようなパルス化さ
れたＴＥ信号Ｓ４を生成する。コンパレータ５は、所定
のコンパレートレベルで、図５（Ａ）に示すＣＰＩ信号
Ｓ２ｂをパルス化し、図５（Ｃ）に示すようなパルス化
されたＣＰＩ信号Ｓ５を生成する。

【０００５】光ビームが内周から外周に移動するとき
は、図５に示すように、ＣＰＩ信号Ｓ２ｂがＴＥ信号Ｓ
２ａに対して先行する。逆に、光ビームが外周から内周
に移動するときは、ＴＥ信号Ｓ２ａがＣＰＩ信号Ｓ２ｂ
に対して先行する。そのため、方向検出器６において、
ＴＥ信号Ｓ２ａとＣＰＩ信号Ｓ２ｂとを比較すること
で、光ピックアップ２の移動方向を検出することができ
る。

【０００６】図４は方向検出器６の構成図、図５は方向
検出器６における方向検出のタイミングを説明するため
の図である。図４に示す方向検出器６には、図５
（Ｃ），（Ｄ）に示すようにパルス化されたＴＥ信号Ｓ
４およびＣＰＩ信号Ｓ５が入力される。方向検出器６で
は、２個のＤ−フリップフロップを用いて、ＣＰＩ信号
Ｓ５のエッジでＴＥ信号Ｓ４をラッチする。そして、ラ
ッチした結果の立ち上がりエッジを単安定マルチバイブ
レータで取り出し、ＲＳフリップフロップに入力する。
そして、光ビームが光ディスクの内周から外周に移動す
るときは、図５（Ｅ）に示すように、ＲＳフリップフロ
ップの出力はハイレベルになる。一方、光ビームが光デ
ィスクの外周から内周に移動するときは、図５（Ｅ）に
示すように、ＲＳフリップフロップの出力はローレベル
になる。

【０００７】次に、図３に示す光ディスク装置１の動作
について説明する。光ビームが図２に示すＡ点にあると
きに、システムコントローラ８から、Ｂ点にシークする
ことを示す指令信号Ｓ８が粗シークコントローラ７に出
力されると、光ビームが現在トレースしている位置を示
すアドレス信号Ｓ３がアドレス検出器３から粗シークコ
ントローラ７に出力される。粗シークコントローラ７
は、このアドレス信号Ｓ３に基づいて、Ａ点のアドレス
とＢ点のアドレスとのトラック差を求める。このトラッ
ク差は＋／−の符号を付けた状態で求められる。このト
ラック差Ｓ７は、粗シークコントローラ７からトラバー
スカウンタ９に出力される。

【０００８】トラバースカウンタ９は、このトラック差
Ｓ７をセットし、光ピックアップ２の移動に応じて、コ
ンパレータ４からのＴＥ信号Ｓ４に基づいて光ビームが
横切ったトラックの数に応じてカウントを行う。このと
き、方向結果信号Ｓ６に基づいてカウントアップとカウ
ントダウンを選択的に行う。例えば、方向結果信号Ｓ６
がハイレベルのときには、光ビームが１個のトラックを
横切ったときにカウント値を１だけ増幅させる。一方、
方向結果信号Ｓ６がローレベルのときには、光ビームが
１個のトラックを横切ったときにカウント値を１だけ減
少させる。トラバースカウンタ９は、そのカウント値Ｓ
９を、加減速コントローラ１０に出力する。

【０００９】加減速コントローラ１０は、カウント値Ｓ
９に基づいて、トラバースカウンタ９のカウント値Ｓ９
がゼロになるように、光ピックアップ２を移動させるド
ライブ信号Ｓ１０を生成し、これをＤ／Ａ変換器１１に
出力する。Ｄ／Ａ変換器１１は、ディジタルのドライブ
信号Ｓ１０をアナログのコントロール信号Ｓ１１に変換
し、これをスレッドドライブアンプ１２に出力する。ス
レッドドライブアンプ１２は、ドライブ信号Ｓ１０を入
力し、これを増幅し、この増幅したドライブ信号Ｓ１２
を光ピックアップ２に出力する。ドライブ信号Ｓ１２が
光ピックアップ２のモータに供給され、光ピックアップ
２の移動が開始すると、トラバースカウンタ９は、コン
パレータ４でパルス化されたＴＥ信号Ｓ４に基づいてカ
ウントを行う。このとき、カウントの方向は、方向検出
器６において、パルス化されたＴＥ信号Ｓ４およびＣＰ
Ｉ信号Ｓ５に基づいて検出され、その方向検出結果Ｓ６
がトラバースカウンタ９に出力される。

【００１０】ところで、光ピックアップ２が移動を開始
した後、その速度が遅い間は、トラバースカウンタ９の
カウント方向は決まらない。これは、光ディスク１３に
偏心があるためである。例えば、図６に示すように、光
ピックアップ２が外周方向に移動しているにもかかわら
ず、トラックに対しては相対的に内周方向に移動するこ
とがある。これにより、トラバースカウンタ９のカウン
ト値Ｓ９は、増減するが、それは目標位置に対しての現
在位置のトラック差を正しく示している。

【００１１】その後、光ディスク１３の偏心より速い速
度で光ピックアップ２が移動し、トラバースカウンタ９
のカウント値Ｓ９はゼロに向かって動く、カウント値Ｓ
９がゼロになったときに粗シーク動作が完了する。カウ
ント値Ｓ９がゼロ付近では、光ピックアップ２の移動速
度を遅くするように加減速コントローラ１０が、ドライ
ブ信号Ｓ１０を出力するので、カウント値Ｓ９は増減し
ながらゼロに近づく。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】上述したようにして粗
シーク動作は行われるが、ＴＥ信号Ｓ２ａおよびＣＰＩ
信号Ｓ２ｂは、速度が速いと、図７（Ａ），（Ｂ）に示
すように、信号レベルが小さくなり、ノイズに弱くなる
という問題がある。尚、図７（Ｃ），（Ｄ）は、コンパ
レータ４，５から出力されるＴＥ信号Ｓ４およびＣＰＩ
信号Ｓ５の波形図を示している。すなわち、このように
ＴＥ信号Ｓ２ａおよびＣＰＩ信号Ｓ２ｂのレベルが小さ
くなると、コンパレータ４，５におけるコンパレート、
方向検出器６における方向検出およびトラバースカウン
タ９におけるカウント処理に誤りが生じる可能性が高く
なる。

【００１３】ここで、トラバースカウンタ９におけるカ
ウント処理のカウントミスは、カウント値Ｓ９はせいぜ
い１カウントしか狂わないが、図８に示すように、方向
検出器６における方向検出結果Ｓ６の検出ミスは、カウ
ント値Ｓ９を２カウント狂わすことになる。また、方向
検出器６における方向検出処理は、ＴＥ信号Ｓ４および
ＣＰＩ信号Ｓ５が正しく検出されないと正確な処理を行
うことができないため、検出精度は、トラバースカウン
タ９のカウント処理の精度に比べて半分になる。

【００１４】また、このように、ＴＥ信号Ｓ２ａおよび
ＣＰＩ信号Ｓ２ｂのレベルが小さくなり、トラバースカ
ウンタ９の精度が低くなると、粗シーク動作が終了した
あとのトラックと目標トラックとの差が大きくなるの
で、精細シーク動作に要する時間が長期化し、シーク動
作全体の時間が長期化してしまうという問題がある。

【００１５】このようなＴＥ信号Ｓ２ａおよびＣＰＩ信
号Ｓ２ｂのレベルの低下によるノイズの影響を防止する
ために、光ピックアップ２と光ディスク１３との相対移
動関係をＴＥ信号Ｓ２ａおよびＣＰＩ信号Ｓ２ｂから求
めるのではなく、システムコントローラ８からの指令信
号Ｓ８に基づいて、トラバースカウンタ９におけるカウ
ント方向を決定する手法がある。この手法では、シーク
方向が現在のアドレスと目標アドレスから決まるので、
そのシーク方向をカウント方向に用いるものである。し
かしながら、先述したように、光ピックアップ２の移動
速度が遅い間は、光ディスク１３の偏心により、光ビー
ムがトラックに対して逆方向に動くことがあるので、ト
ラバースカウンタ９の精度が低いという問題がある。同
様な問題は、ハードディスク装置などの磁気ディスク装
置において生じている。

【００１６】本発明は、上述した従来技術に鑑みてなさ
れ、粗シーク動作時に、トラバースカウンタのカウント
方向決定精度を向上でき、粗シーク動作の精度を向上さ
せることができるトラッキング制御装置およびその方法
を提供することを目的とする。

【００１７】

【課題を解決するための手段】上述した従来技術の問題
点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の
トラッキング制御装置は、トラックに沿ってデータが記
録されるディスク型記録媒体にアクセスを行う際に、ト
ラッキング制御を行うトラッキング制御装置であって、
前記ディスク型記録媒体のトラックをアクセス手段が横
切る速度を検出する速度検出手段と、前記アクセス手段
から得られる信号に基づいて、前記ディスク型記録媒体
のトラックを前記アクセス手段が横切る方向を検出する
第１の方向検出手段と、前記アクセス手段が位置するト
ラックおよび目標のトラックの位置関係に基づいて、前
記ディスク型記録媒体のトラックを前記アクセス手段が
横切る方向を検出する第２の方向検出手段と、前記アク
セス手段が前記ディスク型記録媒体のトラックを横切る
ときに発生する信号が所定速度より速いときに、前記第
２の方向検出手段の検出方向を選択し、そうでないとき
に前記第１の方向検出手段の検出方向を選択し、選択し
た検出方向に応じて、前記カウントの方向を決定するカ
ウント方向決定手段と、前記決定されたカウント方向に
従って、前記アクセス手段が横切る前記ディスク型記録
媒体のトラック数をカウントするカウンタとを有する。

【００１８】また、本発明のトラッキング制御装置は、
好ましくは、前記カウント方向検出手段は、偏心による
影響で、アクセス手段の絶対的な移動方向と、前記アク
セス手段の前記トラックに対する相対的な移動方向とが
一致しない範囲の最高速度以上の速度を前記所定の速度
とする。

【００１９】本発明のトラッキング制御装置では、前記
アクセス手段が前記ディスク型記録媒体のトラックを横
切るときに発生する信号が所定速度より速いときに、前
記アクセス手段が位置するトラックおよび目標のトラッ
クの位置関係に基づいて決定したカウント方向を用い、
そうでないときに、前記アクセス手段から得られる信号
に基づいて決定したカウント方向を用いて、前記アクセ
ス手段が横切る前記ディスク型記録媒体のトラック数を
カウントする。このとき、所定の速度として、偏心によ
る影響で、アクセス手段の絶対的な移動方向と、前記ア
クセス手段の前記トラックに対する相対的な移動方向と
が一致しない範囲の最高速度以上の速度を用いること
で、所定の速度より速いときにはノイズの影響を受けず
に常に正しいカウント方向を得ることができ、所定の速
度以下のときには、精度的には従来と同様であるが、偏
心の影響をも考慮してカウント方向を決定することがで
きる。その結果、カウンタの精度を全体的に向上させる
ことができる。

【００２０】さらに、本発明のトラッキング制御方法
は、トラックに沿ってデータが記録されるディスク型記
録媒体にアクセスを行う際に、トラッキング制御を行う
トラッキング制御方法であって、前記ディスク型記録媒
体のトラックをアクセス手段が横切る速度を検出し、前
記アクセス手段から得られる信号に基づいて、前記ディ
スク型記録媒体のトラックを前記アクセス手段が横切る
第１の方向を検出し、前記アクセス手段が位置するトラ
ックおよび目標のトラックの位置関係に基づいて、前記
ディスク型記録媒体のトラックを前記アクセス手段が横
切る第２の方向を検出し、前記アクセス手段が前記ディ
スク型記録媒体のトラックを横切るときに発生する信号
が所定速度より速いときに、前記第２の方向を選択し、
そうでないときに前記第１の方向を選択し、選択した検
出方向に応じて、前記カウントの方向を決定し、前記決
定されたカウント方向に従って、前記アクセス手段が横
切る前記ディスク型記録媒体のトラック数をカウントす
る。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係わる
光ディスク装置について説明する。図１は、本実施形態
の光ディスク装置３１の構成図である。図１に示すよう
に、光ディスク装置３１は、光ピックアップ２、アドレ
ス検出器３、コンパレータ４，５、方向検出器６、粗シ
ークコントローラ７、システムコントローラ８、トラバ
ースカウンタ９、加減速コントローラ１０、Ｄ／Ａ変換
器１１、スレッドドライブアンプ１２、速度検出器１
８、速度比較器１９およびスイッチ２０を有する。図１
において、図３と同じ符号を付した構成要素は、前述し
た従来の光ディスク装置１の構成要素と同じである。

【００２２】図１に示すように、光ディスク装置３１
は、速度比較器１９からの速度比較結果Ｓ１９に基づい
て、方向検出器６からの方向検出結果Ｓ６および粗シー
クコントローラ７からの方向信号Ｓ７をスイッチ２０に
よって選択的に速度信号Ｓ２０としてトラバースカウン
タ９に出力する点が、図３に示す方向検出結果Ｓ６を無
条件にトラバースカウンタ９に出力する従来の光ディス
ク装置１と異なる。

【００２３】粗シークコントローラ７は、指令信号Ｓ８
から光ピックアップ２が光ディスク１３の外周および内
周のいずれに向かって移動するかを判断し、外周に向か
って移動していると判断したときにはハイレベルを示
し、内周に向かって移動していると判断したときにはロ
ーレベルを示す方向信号Ｓ７をスイッチ２０に出力す
る。方向検出器６は、ＴＥ信号Ｓ４およびＣＰＩ信号Ｓ
５に基づいて、光ピックアップ２が光ディスク１３のト
ラックに対して相対的に、光ディスク１３の外周および
内周のいずれに向かって移動しているかを判断する。方
向検出器６は、光ピックアップ２が外周に向かって移動
していると判断したときにはハイレベルを示し、内周に
向かって移動していると判断したときにはローレベルを
示す方向検出結果Ｓ６をスイッチ２０に出力する。

【００２４】速度検出器１８は、コンパレータ４からパ
ルス化されたＴＥ信号Ｓ４を入力し、このＴＥ信号Ｓ４
の周期から速度を求め、速度信号Ｓ１８を速度比較器１
９に出力する。速度比較器１９は、速度信号Ｓ１８と所
定の速度とを比較し、速度信号Ｓ１８で示される速度の
方が速いときに、粗シークコントローラ７からの方向信
号Ｓ７を選択することを示す選択信号Ｓ１９をスイッチ
２０に出力する。ここで、所定の速度は、図６を用いて
前述したように、偏心による影響で、光ピックアップ２
の絶対的な移動方向とトラックとの相対的な移動方向と
が一致しない速度範囲の最高速度を示している。尚、こ
の所定の速度としては、当該最高速度以上の速度であれ
ば任意である。

【００２５】一方、速度比較器１９は、速度信号Ｓ１８
と所定の速度とを比較し、速度信号Ｓ１８で示される速
度の方が速くないときに、方向検出器６からの方向検出
結果Ｓ６を選択することを示す選択信号Ｓ１９をスイッ
チ２０に出力する。スイッチ２０は、選択信号Ｓ１９に
基づいて、方向検出器６からの方向検出結果Ｓ６と、粗
シークコントローラ７からの方向信号Ｓ７を選択的にト
ラバースカウンタ９に出力する。

【００２６】次に、光ディスク装置３１の動作について
説明する。光ビームが図２に示すＡ点にあるときに、シ
ステムコントローラ８から、Ｂ点にシークすることを示
す指令信号Ｓ８が粗シークコントローラ７に出力される
と、光ビームが現在トレースしている位置を示すアドレ
ス信号Ｓ３がアドレス検出器３から粗シークコントロー
ラ７に出力される。粗シークコントローラ７は、このア
ドレス信号Ｓ３に基づいて、Ａ点のアドレスとＢ点のア
ドレスとのトラック差を求める。このトラック差は＋／
−の符号を付けた状態で求められる。このトラック差Ｓ
７は、粗シークコントローラ７からトラバースカウンタ
９に出力される。

【００２７】トラバースカウンタ９は、このトラック差
Ｓ７をセットし、光ピックアップ２の移動に応じて、コ
ンパレータ４からのＴＥ信号Ｓ４に基づいて光ビームが
横切ったトラックの数に応じてカウントを行う。このと
き、方向結果信号Ｓ２０に基づいてカウントアップとカ
ウントダウンを選択的に行う。例えば、方向結果信号Ｓ
２０がハイレベルのときには、光ビームが１個のトラッ
クを横切ったときにカウント値を１だけ増加させる。一
方、方向結果信号Ｓ２０がローレベルのときには、光ビ
ームが１個のトラックを横切ったときにカウント値を１
だけ減少させる。トラバースカウンタ９は、そのカウン
ト値Ｓ９を、加減速コントローラ１０に出力する。

【００２８】加減速コントローラ１０は、カウント値Ｓ
９に基づいて、トラバースカウンタ９のカウント値Ｓ９
がゼロになるように、光ピックアップ２を移動させるド
ライブ信号Ｓ１０を生成し、これをＤ／Ａ変換器１１に
出力する。Ｄ／Ａ変換器１１は、ディジタルのドライブ
信号Ｓ１０をアナログのコントロール信号Ｓ１１に変換
し、これをスレッドドライブアンプ１２に出力する。ス
レッドドライブアンプ１２は、ドライブ信号Ｓ１０を入
力し、これを増幅し、この増幅したドライブ信号Ｓ１２
を光ピックアップ２に出力する。そして、光ピックアッ
プ２のモーダがドライブ信号Ｓ１２によって駆動され、
光ピックアップ２の移動が開始する。

【００２９】そして、方向検出器６において、パルス化
されたＴＥ信号Ｓ４およびＣＰＩ信号Ｓ５に基づいて、
光ピックアップ２と光ディスク１３のトラックとの相対
的な移動方向が検出され、その方向検出結果Ｓ６がスイ
ッチ２０に出力される。また、粗シークコントローラ７
から、光ピックアップ２の絶対的な移動方向を示す方向
信号Ｓ７がスイッチ２０に出力される。また、速度検出
器１８において、ＴＥ信号Ｓ４に基づいて速度が検出さ
れ、この速度と所定の速度とが速度比較器１９において
比較され、速度比較結果Ｓ１９がスイッチ２０に出力さ
れる。スイッチ２０は、速度比較結果Ｓ１９に応じて、
方向検出結果Ｓ６および方向信号Ｓ７を選択的にトラバ
ースカウンタ９に出力する。具体的には、スイッチ２０
は、ＴＥ信号の速度が低く、偏心による影響を受ける図
７に示す領域Ｊ，Ｍなどの範囲では、方向検出結果Ｓ６
をトラバースカウンタ９に出力し、偏心による影響を受
けない図７に示す領域Ｋなどの範囲では、方向信号Ｓ７
をトラバースカウンタ９に出力する。

【００３０】その後、光ディスク１３の偏心より速い速
度で光ピックアップ２が移動し、トラバースカウンタ９
のカウント値Ｓ９はゼロに向かって動く、カウント値Ｓ
９がゼロになったときに粗シーク動作が完了する。カウ
ント値Ｓ９がゼロ付近では、光ピックアップ２の移動速
度を遅くするように加減速コントローラ１０が、ドライ
ブ信号Ｓ１０を出力するので、カウント値Ｓ９は増減し
ながらゼロに近づく。

【００３１】以上説明したように、光ディスク装置３１
では、ＴＥ信号の速度が所定速度より高い場合に、粗シ
ークコントローラ７からの方向信号Ｓ７を方向信号Ｓ２
０としてトラバースカウンタ９に出力する。このよう
に、トラバースカウンタ９において方向信号Ｓ７を用い
ている間は、方向信号Ｓ７が指令信号Ｓ８から求めら
れ、ノイズによる誤差は無いことから、カウント方向に
誤りが生じることはない。また、ＴＥ信号の速度が所定
速度以下の場合には、方向検出器６からの方向検出結果
Ｓ６がトラバースカウンタ９いおいて用いられることか
ら、図６に示すような偏心による影響があっても、カウ
ント方向を正確に決定することができる。ここで、方向
検出結果Ｓ６を用いている間は、ノイズによる方向検出
の誤りが従来と同様に生じる。但し、光ディスク装置３
１では、方向信号Ｓおよび方向検出結果Ｓ６の双方を用
いることから、方向検出結果Ｓ６を用いる割合が減り、
従来のように方向検出結果Ｓ６のみを用いる場合に比べ
て、方向検出の精度が向上する。その結果、トラバース
カウンタ９におけるカウント精度が向上する。

【００３２】このように、トラバースカウンタ９のカウ
ント精度が向上すると、粗シーク動作完了後に光ビーム
が位置するトラックと目標トラックとのずれが小さくな
り、精細シークに要する時間を短縮でき、シーク全体の
時間を短縮できる。また、精細シークでは、１度に数百
のトラックジャンプをさせるマルチトラックジャンプを
行う場合にも、光ディスク装置３１はそのまま適用でき
る。

【００３３】本発明は上述した実施形態には限定されな
い。例えば、光ディスク装置３１では、ＴＥ信号Ｓ４お
よびＣＰＩ信号Ｓ５を用いて方向検出を行ったが、本発
明は、例えば、光ディスク１３のトラックを光ビームが
横切った方向を知ることができるセンサー信号やその組
み合わせなどを用いて方向検出を行うようにしてもよ
い。

【００３４】また、速度検出器１８における速度検出
は、ＴＥ信号Ｓ４を用いるのではなく、例えばＣＰＩ信
号Ｓ５を用いてもよい。また、速度検出器１８における
速度検出は、光ピックアップ２全体の速度または位置を
示すセンサーからの出力を用いて行ってもよい。但し、
この場合は、光ビームとトラックとの相対速度を直接的
に検出するのではないため、誤差が増え、速度比較器１
９において比較する所定の速度を少し速めに設定してお
く必要がある。

【００３５】また、上述した実施形態では、ＴＥ信号Ｓ
２ａに含まれる１個の波が１トラックを示す場合を例示
したが、ランドグルーブ記録のように、ＴＥ信号に含ま
れる１個の波が２トラックを示すようなものを用いても
よい。

【００３６】また、システムコントローラ８がマイクロ
コンピュータで構成される場合には、速度比較器１９の
比較結果Ｓ１９と方向検出器６の方向検出結果Ｓ６をシ
ステムコントローラ８に入力して、粗シークコントロー
ラ７において方向信号を生成し、それをトラバースカウ
ンタ９に出力するようにしてもよい。但し、この場合に
は、粗シークコントローラ７のサンプリングレートを、
偏心によるトラック周波数より高くする必要がある。ま
た、方向検出器６、速度検出器１８および速度比較器１
９を粗シークコントローラ７の内部に構成するようにし
てもよい。

【００３７】さらに、上述した実施形態では、光ディス
ク１３を例示したが、ディスク型の記録媒体としては、
トラバースカウンタを用いてセンサー信号からトラック
を横切る方向が検出できるものであれば、例えばハード
ディスクなどを用いてもよい。この場合には、光ピック
アップ２の代わりにＭＲ素子ヘッドのような磁界を検出
する検出器を用いる。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のトラッキ
ング制御装置およびその方法は、粗シーク動作の精度を
向上させることができ、精細シーク動作に要する時間を
短縮できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の光ディスク装置の粗シーク動
作を行う部分の構成図である。

【図２】図２は、粗シーク動作が行われる場合を説明す
るための図である。

【図３】図３は、トラバースカウンタを用いた従来の光
ディスクの粗シーク動作を行う部分の構成図である。

【図４】図４は、図３に示す方向検出器の構成図であ
る。

【図５】図５は、図４に示す方向検出器の検出タイミン
グを説明するための図である。

【図６】図６は、光ディスクの偏心と、方向検出器の方
向検出結果との関係を説明するための図である。

【図７】図７は、アナログのＴＥ信号およびＣＰＩ信号
の信号レベルが低下したときのパルス化されたＴＥ信号
およびＣＰＩ信号の波形を説明するための図である。

【図８】図８は、従来の光ディスク装置の問題点を説明
するための図である。

【符号の説明】

１，３１…光ディスク装置、２…光ピックアップ、３…
アドレス検出器、４，５…コンパレータ、６…方向検出
器、７…粗シークコントローラ、８…システムコントロ
ーラ、９…トラバースカウンタ、１０…加減算コントロ
ーラ、１１…Ｄ／Ａ変換器、１２…スレッドドライブア
ンプ、１３…光ディスク、１８…速度検出器、１９…速
度比較器、２０…スイッチ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トラックに沿ってデータが記録されるディ
   スク型記録媒体にアクセスを行う際に、トラッキング制
   御を行うトラッキング制御装置において、 前記ディスク型記録媒体のトラックをアクセス手段が横
   切る速度を検出する速度検出手段と、 前記アクセス手段から得られる信号に基づいて、前記デ
   ィスク型記録媒体のトラックを前記アクセス手段が横切
   る方向を検出する第１の方向検出手段と、 前記アクセス手段が位置するトラックおよび目標のトラ
   ックの位置関係に基づいて、前記ディスク型記録媒体の
   トラックを前記アクセス手段が横切る方向を検出する第
   ２の方向検出手段と、 前記アクセス手段が前記ディスク型記録媒体のトラック
   を横切るときに発生する信号が所定速度より速いとき
   に、前記第２の方向検出手段の検出方向を選択し、そう
   でないときに前記第１の方向検出手段の検出方向を選択
   し、選択した検出方向に応じて、前記カウントの方向を
   決定するカウント方向決定手段と、 前記決定されたカウント方向に従って、前記アクセス手
   段が横切る前記ディスク型記録媒体のトラック数をカウ
   ントするカウンタとを有するトラッキング制御装置。
2. 【請求項２】前記カウント方向検出手段は、偏心による
   影響で、アクセス手段の絶対的な移動方向と、前記アク
   セス手段の前記トラックに対する相対的な移動方向とが
   一致しない範囲の最高速度以上の速度を前記所定の速度
   とする請求項１に記載のトラッキング制御装置。
3. 【請求項３】前記ディスク型記録媒体は、光学式記録媒
   体であり、 前記アクセス手段は、光ピックアップである請求項１に
   記載のトラッキング制御装置。
4. 【請求項４】トラックに沿ってデータが記録されるディ
   スク型記録媒体にアクセスを行う際に、トラッキング制
   御を行うトラッキング制御方法において、 前記ディスク型記録媒体のトラックをアクセス手段が横
   切る速度を検出し、 前記アクセス手段から得られる信号に基づいて、前記デ
   ィスク型記録媒体のトラックを前記アクセス手段が横切
   る第１の方向を検出し、 前記アクセス手段が位置するトラックおよび目標のトラ
   ックの位置関係に基づいて、前記ディスク型記録媒体の
   トラックを前記アクセス手段が横切る第２の方向を検出
   し、 前記アクセス手段が前記ディスク型記録媒体のトラック
   を横切るときに発生する信号が所定速度より速いとき
   に、前記第２の方向を選択し、そうでないときに前記第
   １の方向を選択し、選択した検出方向に応じて、前記カ
   ウントの方向を決定し、 前記決定されたカウント方向に従って、前記アクセス手
   段が横切る前記ディスク型記録媒体のトラック数をカウ
   ントするトラッキング制御方法。