JPH1036211A - 紋羽病の防除方法および防除剤 - Google Patents

紋羽病の防除方法および防除剤

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JPH1036211A
JPH1036211A JP8192291A JP19229196A JPH1036211A JP H1036211 A JPH1036211 A JP H1036211A JP 8192291 A JP8192291 A JP 8192291A JP 19229196 A JP19229196 A JP 19229196A JP H1036211 A JPH1036211 A JP H1036211A
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root rot
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cultured
plant
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JP8192291A
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Genshi Suzuki
源士 鈴木
Shinji Kamata
真司 鎌田
Katsuhiko Matsuzaki
克彦 松崎
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 病害防除のための微生物を少量接種した場合
においても、紫紋羽病及び白紋羽病を高度に防除するこ
とが可能で、かつ1回の接種で効果が長期間持続する紫
紋羽病または白紋羽病の防除方法または防除剤を提供す
る。 【解決手段】 グリオクラディウム属に属する真菌を組
織培養で培養した培養植物体に接種し、その後栽培用土
に移植する防除方法、または、グリオクラディウム属に
属する真菌を栽培用土に接種した後に、該栽培用土に植
物体を移植する防除方法の採用。グリオクラディウム属
に属する真菌を含有し、栽培用土に移植する前の組織培
養で培養した培養植物体に接種して用いる防除剤、また
は、グリオクラディウム属に属する真菌を含有し、植物
体を移植する前の栽培用土に接種して用いる防除剤の採
用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリオクラディウ
ム属に属する真菌を利用した紋羽病の防除方法および防
除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】紫紋羽病および白紋羽病は、果樹を中心
に120種以上の作物に発生する病害で、作物の根に病
原菌が寄生し、更には根の内部に進入して根を腐敗させ
作物を枯死させる病害である。両者は類似する病害であ
るが、紫紋羽病菌は担子菌であって、病害は未分解有機
物に富む未熟畑土壌に多く発生するのに対して、白紋羽
病菌は子のう菌で、病害は熟畑化した土壌に多く発生す
る傾向を示す点等で異なる。
【0003】しかしながら両者は共に土壌中の根の病害
であり、特に果樹などの永年作物が罹病すると、菌を駆
除する強い土壌殺菌剤が使用できないため、効果的な防
除方法がないのが現状である。現在、化学合成殺菌剤と
して、チオファネートメチル剤やベノミル剤などが使用
されているが、効果的な防除方法とはなっていない。
【0004】そこで、従来の化学合成殺菌剤に代えて、
微生物を使用する防除方法が提案されている。例えば、
桑白紋羽病の防除方法として、放線菌を用いる方法が提
案されている(「根圏環境の動態解明と制御技術の開
発」農林技術会議事務局研究成果274号、1992
年、49〜51ページ)。この方法は、白紋羽病の防除
方法としては有効であるが、放線菌の菌体培養液を土壌
に対し、20〜30%も添加しなければならず、放線菌
の培養に多大の労力を必要とする。
【0005】紫紋羽病については、グリオクラディウム
ビレンス菌を用いた防除方法が提案されている(「根
圏環境の動態解明と制御技術の開発」農林技術会議事務
局研究成果274号、1992年、45〜49ペー
ジ)。具体的には、リンゴ実生苗木を黒ボク土を充填し
たポットに植え込み、紫紋羽病菌を接種して1か月後に
グリオクラディウム ビレンス菌を注入処理し、その後
の被害状態を調査している。そして、全般的に発病抑制
効果は高いと結論している。しかし、紫紋羽病に感染す
る前の植物にグリオクラディウム属菌を施用する技術の
開示はない。また、白紫紋羽病についての記載は一切な
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、病害防除のための微生物の少量
接種でも紫紋羽病および白紋羽病を高度に防除すること
が可能で、かつ1回の接種で効果が長期間持続する紫紋
羽病または白紋羽病の防除方法の提供を目的とする。
【0007】本発明はまた、紫紋羽病および/または白
紋羽病を効果的に防除する防除剤の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、グリオクラデ
ィウム属に属する真菌(以下、グリオクラディウム属菌
と省略して記載する場合がある。)を、組織培養で培養
した培養植物体(以下、培養植物体と省略して記載する
場合がある。)または栽培用土に接種することにより、
紫紋羽病および/または白紋羽病が効果的に防除できる
ことを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成し
たものである。
【0009】すなわち、本発明の要旨は以下のとおりで
ある。 (1)グリオクラディウム属に属する真菌を組織培養で
培養した培養植物体に接種し、その後栽培用土に移植す
ることを特徴とする紫紋羽病または白紋羽病の防除方
法。 (2)グリオクラディウム属に属する真菌を栽培用土に
接種した後に、該栽培用土に植物体を移植することを特
徴とする紫紋羽病または白紋羽病の防除方法。 (3)植物体が、組織培養で培養した培養植物体である
前記(2)記載の紫紋羽病または白紋羽病の防除方法。 (4)グリオクラディウム属に属する真菌を含有し、栽
培用土に移植する前の組織培養で培養した培養植物体に
接種して用いることを特徴とする紫紋羽病または白紋羽
病防除剤。 (5)グリオクラディウム属に属する真菌を含有し、植
物体を移植する前の栽培用土に接種して用いることを特
徴とする紫紋羽病または白紋羽病防除剤。 (6)グリオクラディウム属に属する真菌を含有するこ
とを特徴とする白紋羽病防除剤。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。なお、以下、単に紋羽病と記載する場合がある
が、その場合は紫紋羽病および白紋羽病の総称としての
記載である。また、以下、単に防除剤と記載する場合
は、請求項4〜6に記載された防除剤についての記載で
ある。
【0011】本発明においては、グリオクラディウム属
に属する真菌であれば、菌種は特に限定されず、具体的
には、例えば、グリオクラディウム オウレウム(Glio
cla-dium aureum)、グリオクラディウム カテニュレー
タム(Gliocladium catenu-latum)、グリオクラディウ
ム デリクエッセンス(Gliocladium deliquescens)、
グリオクラディウム ニグラム(Gliocladium nigru
m)、グリオクラディウムペニシロイデス(Gliocladium
penicilloides)、グリオクラディウム ロゼウム(Gli
ocladium roseum)、グリオクラディウム サガリエン
シス(Gliocladi-um sagariensis)、グリオクラディウ
ム ベルモエセニ(Gliocladium vermoe-seni)、グリ
オクラディウム ビレンス(Gliocladium virens)等を
挙げることができる。これらは、1種を単独で用いても
よく、また2種以上を混合して用いてもよい。また、こ
れらグリオクラディウム属に属する真菌のうちでも本発
明においては、紫紋羽病及び白紋羽病の防除効果が特に
高いグリオクラディウム ビレンス、白紋羽病の防除効
果に優れるグリオクラディウム ペニシロイデス、グリ
オクラディウム オウレウムが好ましい。
【0012】上記グリオクラディウム属に属する真菌を
本発明に用いるに際しては、菌体をグリオクラディウム
属に属する真菌の菌体が増殖可能な培地で培養した培養
物を用いればよく、更に、培養により胞子が十分に形成
されたグリオクラディウム属に属する真菌を含有する培
養物を用いることがより好ましい。グリオクラディウム
属に属する真菌の培養は、通常の微生物の培養方法と同
様にして行うことが可能である。例えば、実験室的に
は、ポテトデキストロース寒天培地で10日間、25℃
で培養する等の培養法が挙げられる。大量培養する場合
には、通常の液体培養でも、また、フスマ等の植物由来
の固体成分、糖や窒素源を含浸させた多孔質体等を用い
た固体培養も可能である。得られたグリオクラディウム
属に属する真菌の培養物は、そのまま、あるいは、必要
に応じて、培養物を粉砕または細断してから、または培
養物から遠心分離等によって菌体を分離してから、ある
いは培養物や菌体を乾燥してから本発明の防除方法に、
あるいは防除剤として用いることができる。
【0013】本発明においては、グリオクラディウム属
に属する真菌を、その培養物を担体に担持させた担持物
の形で本発明の防除方法に、あるいは防除剤として用い
ることもできる。上記担体としては、有機質及び無機質
のいずれのものでも使用でき、有機質及び無機質の両方
を含むものでもよい。具体的には、例えば、アタパルジ
ャイト、モンモリロナイト、ゼオライト、赤玉土、鹿沼
土、黒ボク土、赤玉土、焼成赤玉土、バーミキュライ
ト、パーライト、化石貝等の無機物、または、ピートモ
ス、木炭、パルプ、藁、バガス、油かす、魚かす、骨
粉、血粉、カニがら等の有機物あるいはそれらの混合物
が挙げられる。その中では、保水能、保肥能あるいは使
用上の利便性の観点より、アタパルジャイト、モンモリ
ロナイト、ゼオライト、ピートモス、木炭等の多孔質担
体が好ましい。
【0014】本発明の防除方法に、あるいは防除剤とし
て、上記のグリオクラディウム属菌の培養物またはその
担持物を用いる場合には、任意成分として炭などの土壌
改良剤や肥料成分等を含有させてもよい。
【0015】本発明の培養植物体としては、具体的に
は、例えば、スギ、サワラ、ツガ、カラマツ、カエデ、
クスノキ、ポプラ、ケヤキ、ナラ、カシ、ブナ、ハゼノ
キ、サクラ、コウゾ、ミツマタ、クワ、チャ、柑橘類、
リンゴ、カキ、ナシ、モモ、スモモ、ウメ、アンズ、オ
ウトウ、ビワ、イチジク、トウヒ、サツキ、ツツジ、ク
チナシ、ツゲ、マサキ、イチョウ、ウルシ、ハゼ、ハク
ウンボク、クリ、クヌギなどの培養植物体を挙げること
ができる。
【0016】グリオクラディウム属菌を接種する培養植
物体の製造方法は特に限定されず、従来知られた製法を
採用できる。たとえば、無菌下で親植物から切出した茎
頂や葉、花、根、茎から切出した組織片等を寒天等の固
体培地からなる誘芽培地上に置床し、得られたカルス、
プロトコーン、苗状原基、早生分枝等を増殖培地に移植
して細胞組織の増殖を行い、不定芽を得る。得られた不
定芽は、発根及び新芽の伸長を行い、培養植物体を得る
といった方法が例示される。また、親植物から生長点を
切出し、寒天培地に置床して発根及び新芽の伸長を行
い、培養植物体を製造する方法も採用できる。
【0017】培養植物体へのグリオクラディウム属菌の
接種方法としては、たとえば、無菌条件下で培養中の培
養植物体の培養用培地に接種する。接種量は、培養植物
体1個当たり、1白金耳またはグリオクラディウム属菌
の固体培養物の1片を加えれば十分である。接種の時期
は特に限定されないが、グリオクラディウム属菌は根に
定着することから、発根後に接種することが望ましい。
また、接種後速やかに栽培用土に移植しても、防除効果
は得られるが、接種後しばらく培養用培地での育成を続
行して、グリオクラディウム属菌を根に定着させてから
移植した方が、高い防除効果が得られる。このような態
様で、グリオクラディウム属菌の培養物は、紋羽病の防
除方法に、あるいは防除剤として使用される。
【0018】培養植物体へのグリオクラディウム属菌の
接種の後、培養植物体は、馴化処理を施して有菌状態の
温室や圃場に移植される。馴化は、たとえば、殺菌した
バーミキュライト等の馴化土壌に培養植物体を移植した
後、遮光して高湿度条件で育成するなどにより行うこと
ができる。なお、本発明においては、馴化処理を施さ
ず、直接栽培用土に移植する場合においても紋羽病の防
除ができる。
【0019】次に、グリオクラディウム属に属する真菌
を栽培用土に添加する防除方法について説明する。植物
体を移植する際に使用する栽培用土原料は、グリオクラ
ディウム属菌の培養物の配合により栽培用土が形成され
るものであって、移植した植物の生長を阻害しないもの
であればよい。具体的には、例えば、鹿沼土、黒ボク
土、赤玉土、焼成赤玉土、バーミキュライト、パーライ
ト、ゼオライト等の無機質、または、腐葉土、ピートモ
ス、木炭、パルプ、藁、バガス等の有機質、あるいはこ
れらの混合物を挙げることができる。
【0020】上記栽培用土原料へのグリオクラディウム
属菌の接種量は、接種による効果が発現するする濃度以
上であればよい。本発明においては、栽培用土1g当た
りグリオクラディウム属に属する真菌のコロニー形成単
位として1×104 〜1×1010CFUの範囲から選ば
れることが好ましく、特に1×105 〜1×109 CF
Uの範囲から選ばれることが好ましい。それは、1×1
4 CFU未満では、植物の根に定着するグリオクラデ
ィウム属菌の濃度が低いために、紋羽病の防除に対する
グリオクラディウム属菌の効果が発現しない可能性があ
り、1×1010CFUを越える濃度を採用しても、それ
以下の濃度の場合より優れた効果が発現さされない可能
性が高いためである。
【0021】グリオクラディウム属菌を接種した栽培用
土に移植することにより、紋羽病を防除することができ
る植物体としては、例えば、前記した培養植物体と同様
の種類の植物体を挙げることができる。グリオクラディ
ウム属菌を接種した栽培用土への移植の時期としては、
培養植物体を移植する場合、馴化処理の前でも後でもよ
い。また、馴化処理の後、グリオクラディウム属菌を接
種していない栽培用土でしばらく育成した後、紋羽病へ
の感染がないことを目視等で確認した後に移植してもよ
い。
【0022】種子から育成した植物体を移植する場合、
グリオクラディウム属菌を接種した栽培用土に播種して
もよく、発芽後の植物体を移植してもよい。ただし、紫
紋羽病への感染が明らかな植物体、例えば、根部や地中
の茎の表面に紋羽病菌の菌糸束の付着が認められるよう
な植物体を移植しても、十分な防除効果は得られない。
【0023】本発明の防除剤の形態としては、グリオク
ラディウム属菌を含有するものであればよく、具体的に
は、上記のグリオクラディウム属菌の培養物や担持物を
挙げることができる。
【0024】防除剤の接種量は、培養植物体に接種する
場合には、培養植物体1個当たり培養用培地に1白金耳
またはグリオクラディウム属菌の固体培養物の1片を加
えれば十分であり、栽培用土に接種する場合には、栽培
用土1g当たり1×104 〜1×1010CFU、好適に
は1×105 〜1×109 CFU接種すればよい。
【0025】請求項4または5記載の防除剤は、栽培用
土に移植される前の培養植物体に接種することにより、
また植物体を移植する前の栽培用土に接種することによ
り紋羽病を効果的に防除することができる。
【0026】また、請求項6記載の白紋羽病防除剤は、
栽培用土に移植される前の培養植物体への接種、あるい
は植物体を移植する前の栽培用土への接種が、防除効果
の点で好ましい。しかしながら、白紋羽病への感染後に
栽培用土に接種した場合においても防除効果を発現す
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。 実施例1〜4および比較例1 冬季にヤマグワの枝を採取し、3cmの長さに細断し、中
性洗剤で洗浄後、4%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に3
0分間浸漬した。この枝を滅菌水で3回洗浄し、無菌ガ
ーゼで表面の水分を除去した。そして、冬芽の部分を露
出させ、ピンセットとメスを用いて、鱗葉を除去し、芯
部を摘出した。
【0028】一方、MS培地にフラクトースを30g/
リットル加え、ベンジルアデニンを1mg/リットル添
加し、更に寒天を5g/リットル加えて120℃、15
分間殺菌し、固まらないうちに300ミリリットル容の
三角フラスコに90ミリリットルずつ分注して組織培養
用の培地とした。この培地に上記の冬芽の芯部を置床
し、28℃、4000ルクスで1日12時間の照明で培
養した。1カ月後にシュートを腋芽を含む小片に切断
し、寒天濃度を8g/リットルとした以外は上記と同様
にして調製した培地に移植して継代培養した。
【0029】次に、継代培養した上記小片を、ベンジル
アデニンに代えてナフタレン酢酸(NAA)を0.04
mg/リットル加えた他は上記の冬芽の芯部を置床させ
た培地と同様にして調製した培地に移植し、28℃、4
000ルクスで1日12時間の照明で40日間培養して
発根した苗を得た。
【0030】グリオクラディウム属菌の培養物は、以下
の方法により調製した。グリオクラディウム属菌の培養
物製造用の培地として、グルコース0.2重量%、可溶
性デンプン2.0重量%、ペプトン0.4重量%、肉エ
キス0.4重量%、酵母エキス0.4重量%、炭酸カル
シウム0.4重量%を含む培地原料を容量1リットルの
三角フラスコに150ミリリットル注入し、直径3mmの
ガラスビーズを入れて、オートクレーブで120℃、3
0分間殺菌処理して、グリオクラディウム属菌の培養物
製造用の液体培地とした。この培地に、グリオクラディ
ウム属菌を接種し、26℃で5日間回転振とう培養器で
培養した。
【0031】また、平均粒径2mmのアタパルジャイト1
kgに前記の液体培地400ミリリットルを加え、蓋付き
のステンレスバット(40cm×60cm×15cm)に入
れ、120℃で15分間殺菌してグリオクラディウム属
菌の培養物用担体とした。次に、前記のように回転振と
う培養器で培養した菌体をクリーンベンチ内でブフナー
ロートを用いて集菌し、前記ステンレスバット中の担体
に添加し、スパチュラで混合した。このようにして菌体
を添加したステンレスバットを26℃恒温室に入れ、1
日に1回上下を混合するようにして、10日間菌体を培
養して培養物を得た。
【0032】栽培用土の調製、苗の移植・育成、白紋羽
病菌の接種、防除効果の確認は、以下の方法により実施
した。バーミキュライト2部にパーライト1を配合した
栽培用土原料に、前記グリオクラディウム属菌の培養物
を接種して、栽培用土1g当たりのコロニー形成単位と
して5×105 CFUとなるように調整した栽培用土を
直径9cmのポットに詰め、上記の発根した苗を移植し
た。このポットを小型ガラス温室内に置き。液肥として
ハイポネックス2000倍希釈液を与えながら60日間
栽培した。
【0033】一方、ヤマグワの枝片を2cmの大きさに切
り、白紋羽病菌を接種して28℃で培養し、接種源とし
た。この枝片(接種源)を上記60日間栽培したヤマグ
ワのポットに、ポット当たり2片埋め込み、更に60日
間栽培して、枯死株数を測定した。1区当たり30株の
ヤマグワ苗を用意し、各種グリオクラディウム属菌を接
種した栽培用土を用いた実施例1〜4とグリオクラディ
ウム属菌を接種しない栽培用土を用いた比較例1を対比
させて本発明の効果を確認した。結果を第1表に示す。
【0034】
【表1】
【0035】第1表より、組織培養で培養した培養植物
体であるヤマグワの苗を、グリオクラディウム属菌を接
種した栽培用土に移植した後に白紋羽病菌を接種した場
合の防除効果が比較例より格段に優れていることが確認
された。
【0036】実施例5 グリオクラディウム属菌を接種しない栽培用土にを用い
るほかは、実施例1と同様にして苗の移植・栽培およ
び、白紋羽病菌接種源の埋め込みを行った。そして、埋
め込み後7日目に、白紋羽病防除剤として実施例1で用
いたものと同様の方法で培養したグリオクラディウム
ビレンス菌(ATCC 42955)の培養物をポット
当たり1.5×108 CFUとなるように接種し、更に
実施例1と同様にして栽培を続行した。その後、実施例
1と同様にして白紋羽病菌接種源の埋め込み60日後の
枯死株数を測定したところ11株であった。この数は比
較例1の半数以下であり、白紋羽病防除剤として効果が
確認された。
【0037】実施例6〜10及び比較例2 組織培養技術を用いて育苗された矮性台木に接木したリ
ンゴ(品種:フジ)の2年生苗木200本を用意した。
各苗木については、根部や地中の茎の表面に紋羽病菌の
菌糸束の付着がないことを目視により確認した。焼成赤
玉土1部、黒ボク土1部、バーミキュライト1部を混合
し、実施例1と同様の方法で培養したグリオクラディウ
ム ビレンス(ATCC 52199)の培養物を添加
して、鉢当たり1.5×109 CFUとなるようにした
栽培用土を30cmの素焼き鉢に入れ、上記の苗木を移植
(鉢上げ)して23〜28℃の温室内で栽培した。
【0038】紫紋羽病菌は、リンゴ枝培養片(2cm)に
接種し、この培養片18個を上記鉢の上中下層部に埋め
込む方法により苗木と接触させた。紫紋羽病菌を接種し
た培養片は、鉢への苗木の移植後、0,5,10,2
0,30日目に埋め込み、効果の判定は、苗木の移植後
80日目に行った。一方、比較例2においては、グリオ
クラディウム属菌無添加の栽培用土を用い、鉢上げ時に
紫紋羽病菌を接種した培養片を埋め込み、その後30日
目に1.5×109 CFUとなるようにグリオクラディ
ウム属菌を添加した。なお、試験区は、1区当たり10
本とした。結果を第2表に示す。
【0039】
【表2】
【0040】第2表より、紫紋羽病の感染前に、リンゴ
の苗木とグリオクラディウム属菌を接触させることによ
り、紫紋羽病の発病が著しく低減されることが確認され
た。一方、紫紋羽病の感染の可能性のある状況下におい
て、グリオクラディウム属菌を栽培用土に接種した場合
には、紫紋羽病の防除効果が不十分であることが確認さ
れた。
【0041】
【発明の効果】請求項1〜5の発明によれば、グリオク
ラディウム属菌の少量添加により紋羽病を高度に防除す
ることができ、かつ1回の接種で防除効果を長期間維持
することができる。請求項6の発明によれば、白紋羽病
菌への感染後においてもグリオクラディウム属菌の少量
添加により紋羽病を防除することができ、かつ1回の接
種で防除効果を長期間維持することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリオクラディウム属に属する真菌を組
    織培養で培養した培養植物体に接種し、その後栽培用土
    に移植することを特徴とする紫紋羽病または白紋羽病の
    防除方法。
  2. 【請求項2】 グリオクラディウム属に属する真菌を栽
    培用土に接種した後に、該栽培用土に植物体を移植する
    ことを特徴とする紫紋羽病または白紋羽病の防除方法。
  3. 【請求項3】 植物体が組織培養で培養した培養植物体
    である請求項2記載の紫紋羽病または白紋羽病の防除方
    法。
  4. 【請求項4】 グリオクラディウム属に属する真菌を含
    有し、栽培用土に移植する前の組織培養で培養した培養
    植物体に接種して用いることを特徴とする紫紋羽病また
    は白紋羽病防除剤。
  5. 【請求項5】 グリオクラディウム属に属する真菌を含
    有し、植物体を移植する前の栽培用土に接種して用いる
    ことを特徴とする紫紋羽病または白紋羽病防除剤。
  6. 【請求項6】 グリオクラディウム属に属する真菌を含
    有することを特徴とする白紋羽病防除剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11000035B2 (en) 2015-01-26 2021-05-11 National Research And Development Agency National Agriculture And Food Research Organization Soil-borne disease control method, soil for plant cultivation use, and soil-borne disease control agent

Cited By (1)

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US11000035B2 (en) 2015-01-26 2021-05-11 National Research And Development Agency National Agriculture And Food Research Organization Soil-borne disease control method, soil for plant cultivation use, and soil-borne disease control agent

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