JPH1035640A - 段ボール箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 罫線に沿った折り曲げを容易としつつも、罫
線割れを発生させず、しかも折り曲げ位置のずれを小さ
くする。 【解決手段】 段ボール箱を構成する段ボールシート１
１は、コルゲート条列１３ａの平面形状を蛇行させた中
芯を有する。段ボールシート１１は所定の位置で折り曲
げられて段ボール箱となるが、各折り曲げ位置には、そ
の位置での折り曲げのために、それぞれ２列の罫線１５
ａ，１５ｂが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、折り曲げのための
罫線が設けられ、この罫線に沿って段ボールシートを折
り曲げることで製函される段ボール箱に関する。

【０００２】

【従来の技術】段ボールシートから箱を成形するとき、
段ボールシートが規定の位置で折り曲げられるようにす
るために、段ボールシートには折り曲げ位置に沿って罫
線が設けられる。特に、製函と同時に製品の梱包が行わ
れるラップアラウンドケースにおいては、製函機によっ
て自動的に折り曲げられるため、罫線は必要である。

【０００３】ビールや飲料水の入った缶またはびんを収
容する段ボール箱には、シート厚が３ｍｍ程度の両面段
ボールが一般的に用いられる。また、折り曲げのための
罫線は、同じ折り曲げ位置について１列ずつ設けられて
いるのが殆どである。

【０００４】一方、中芯のコルゲート条列を蛇行させた
段ボールシートが、特公平７−８８０８４号公報に開示
されている。この段ボールシートは、通常の段ボールシ
ートに比べて圧縮強度が高く、しかも縦方向の剛性と横
方向の剛性とのバランスもとれ、シート厚が薄くても内
容物の保護に優れている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】罫線は、段ボールシー
トの打ち抜きの際に、一対の雄型と雌型で段ボールシー
トを所定のクリアランスで挟んで形成するものである
が、このクリアランスを小さくすると、罫線の形成時に
段ボールシートが破断したり、あるいは製函時にライナ
が破断したりする、罫線割れが生じることがある。この
罫線割れは、秤量の多い厚物ライナやシート厚の厚いラ
イナで生じやすい。なぜならは、このようなライナで
は、罫線形成時の段ボールシートの圧縮力を大きくしな
ければならず、罫線形成部のライナが必要以上に弱くな
ってしまうからである。甚だしい場合には、ライナが破
断してしまう。

【０００６】罫線割れを防止するためには、雄型と雌型
とのクリアランスを大きくして段ボールシートの圧縮力
を小さくすればよいが、段ボールシートの圧縮力を小さ
くしすぎると、製函のための折り曲げが困難になってし
まう。

【０００７】また、中芯のコルゲート条列を蛇行させた
段ボールシートは、上述したように圧縮強度が高いもの
であるが、それ故に、薄いライナを使用した薄い段ボー
ルシートであっても、罫線を形成するに当たり、大きな
圧縮力を必要とし、しかも、罫線割れを起こす危険性が
高い。

【０００８】ところで、折り曲げを容易にするための方
法として、折り曲げ位置に沿って２列の罫線を形成する
方法がある。この場合、段ボールシートを９０°の角度
で折り曲げようとすると、通常であれば段ボールシート
はそれぞれの罫線形成部で約４５°ずつ折れ曲がり、全
体として９０°に折り曲げられる。しかし、場合によっ
ては、いずれか一方の罫線のみが折り曲げられ、設計上
の折り曲げ位置とずれた位置で折り曲げられることがあ
る。特に、飲料水の入った缶等を収容する段ボール箱に
用いられるような厚さが３ｍｍ程度の段ボールシートで
は、折り曲げ位置のずれ量も大きくなり、ゆがんだ形状
の箱となってしまう場合がある。従って、従来の段ボー
ル箱では、寸法精度が必要ない部位においては２列の罫
線が用いられることはあるが、寸法精度が必要な部位に
おいては２列の罫線が用いられることはなかった。

【０００９】そこで本発明は、罫線に沿った折り曲げを
容易としつつも、罫線割れが発生せず、しかも折り曲げ
位置のずれも小さい段ボール箱を提供することを目的と
する。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の段ボール箱は、平面形状を蛇行させたコルゲー
ト条列が施された中芯の両面にライナが接着された段ボ
ールシートを所定の複数の位置で折り曲げることによっ
て製函された段ボール箱であって、前記段ボールシート
の折り曲げのために折り曲げ位置に沿って形成される罫
線が、全ての折り曲げ位置について複数列ずつ形成され
ているものである。

【００１１】段ボールシートの厚さは、機械的強度の点
から１．５〜２ｍｍ程度のものが好適に用いられ、特
に、１．７ｍｍ前後のものが好ましい。また、罫線の折
り曲げ強さは、２０〜６０ｇであることが好ましい。

【００１２】上記のとおり構成された本発明では、平面
形状を蛇行させたコルゲート条列が施された中芯の両面
にライナが接着された段ボールシートを用い、全ての折
り曲げ位置について複数列ずつ罫線を形成しているの
で、罫線での折り曲げが容易となる。しかも、折り曲げ
の際のライナの伸びが少なくてすみ、罫線割れの危険性
も少ない。さらに、上記のような段ボールシートはシー
ト厚を薄くできるため、ある折り曲げ位置において複数
列の罫線のうち１列のみが折り曲げられた場合であって
も、折り曲げ位置のずれに対する影響は小さい。

【００１３】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。

【００１４】図１は、本発明の段ボール箱の一実施形態
の斜視図である。図２は、図１に示した段ボール箱を組
み立てるための段ボールシートの展開図である。

【００１５】本実施形態の段ボール箱は、製函と同時に
製品の梱包が行われるラップアラウンドケース１０であ
り、図２に示すように予め裁断された段ボールシート１
１を積載しておき、これを１枚ずつ真空吸引して自動製
函機に投入することで、後述する罫線１５ａ，１５ｂに
沿って折り曲げられ製函されつつ、製品が梱包される。
この自動製函機によるラップアラウンドケース１０の製
函については従来と同様であるので、その詳細な説明は
省略する。

【００１６】段ボールシート１１は、中芯１３の両面に
表ライナ１２及び裏ライナ１４を接着した両面段ボール
である。中芯１３は、山部と谷部を交互に施して形成し
たコルゲート条列１３ａの平面形状を蛇行させたもので
ある。図２に示した段ボールシート１１では、その長手
方向（図面の左右方向）に沿ってコルゲート条列１３ａ
が蛇行するように裁断されている。

【００１７】このように、コルゲート条列１３ａの平面
形状を蛇行させた中芯１３を用いた段ボールシート１１
は、長手方向の剛性と短手方向の剛性をほぼ同じにする
ことができ、しかも、コルゲート条列の平面形状が直線
状の中芯を用いた段ボールシートに比べて圧縮強度が高
いものである。従って、厚さが１．７ｍｍ前後といった
比較的薄い段ボールシート１１であっても、従来一般に
用いられている３ｍｍ厚の両面段ボールシートと同等あ
るいはそれ以上の曲げ強度及び圧縮強度を有する。

【００１８】さらにこの段ボールシート１１には、自動
製函機による製函時に段ボールシート１１が所定の位置
で折り曲げられるようにするための罫線１５ａ，１５ｂ
（一点鎖線で示す）が、各折り曲げ位置ごとに、それぞ
れ折り曲げ位置に沿って設けられている。

【００１９】これら各罫線１５ａ，１５ｂは、図３の断
面図に示すような、各折り曲げ位置に沿って配置された
一対の雄型２１と雌型２２とで段ボールシート１１を挟
むことで形成される。雄型２１には、雌型２２との対向
面にＶ字溝２１ａが形成されており、このような雄型２
１と雌型２２とで罫線１５ａ，１５ｂを形成することに
より、全ての折り曲げ位置について、それぞれ２列ずつ
の罫線１５ａ，１５ｂが形成されることになる。また、
段ボールシート１１に罫線１５ａ，１５ｂを形成するた
めの雄型２１及び雌型２２は、段ボールシート１１を図
２に示した平面形状に裁断する裁断機に取り付けられて
おり、罫線１５ａ，１５ｂの形成は、段ボールシート１
１の裁断と同時に行われる。

【００２０】以上説明したように、コルゲート条列１３
ａの平面形状を蛇行させた中芯１３を用いた段ボールシ
ート１１を用いることで、シート厚を薄くでき、その結
果、全ての折り曲げ位置について２列の罫線１５ａ，１
５ｂを形成しても、折り曲げたときの位置ずれを小さく
抑え規定の寸法で箱を形成することができる。これは、
段ボールシート１１の厚さが薄くなることに伴い、２列
の罫線１５ａ，１５ｂのピッチを小さくすることができ
るようになり、仮に、２列の罫線のうちいずれか一方の
みが折り曲げられたとしても、これによる位置ずれの影
響が小さくてすむからである。

【００２１】しかも、コルゲート条列１３ａの平面形状
を蛇行させた中芯１３を用いた段ボールシート１１に１
列の罫線を形成した場合、折り曲げ易さを向上させよう
とすると、罫線を形成する際の罫線割れが発生し易い
が、本発明においては全ての折り曲げ位置について２列
の罫線１５ａ，１５ｂを形成しているので、折り曲げが
容易な罫線１５ａ，１５ｂを形成しつつも、折り曲げの
際の表ライナ１２の伸びを少なくすることができ、罫線
割れの危険性は少ない。

【００２２】従って、自動製函機で製函する場合であっ
ても、支障なく製函することができる。

【００２３】上述した実施形態では、全ての折り曲げ位
置について２列ずつの罫線１５ａ，１５ｂを形成した例
を示したが、罫線の列は３列以上であってもよい。

【００２４】

【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を示す。本実
施例では、図２に示すような形状に裁断された段ボール
シートを用いて、３５０ｍｌビール缶２４缶入りのラッ
プアラウンドケースを自動製函機により製函した。表ラ
イナとしては、強度のグレードがＫ’級で秤量が１４０
ｇ／ｍ² のライナを用い、裏ライナとしては、強度のグ
レードがＣ級で秤量が１１５ｇ／ｍ² のライナを用い
た。中芯としては、秤量が１２０ｇ／ｍ² のＳＣＰ（セ
ミケミカルパルプ）を用いた。また、段ボールシートの
厚さは１．７ｍｍとした。

【００２５】罫線は、全ての折り曲げ位置について２列
ずつとし、罫線の形成に用いた雄型は、図３において、
幅Ｗ１が３．０ｍｍ、Ｖ字溝の両側の幅Ｗ２が０．６ｍ
ｍとした。

【００２６】そして、図２に示した各折り曲げ位置Ａ〜
Ｈの罫線折り曲げ強さを測定し、また、実際に自動製函
機に供給して製函したときのライン適性（自動製函機が
良好に運転されるか否か）及び罫線割れの有無を調べ
た。ここで、罫線折り曲げ強さとは、罫線を施した試験
片の一方を固定して片持ち梁を構成し、他方を一定の速
度で移動させた場合、罫線の折り曲げに要する力をい
う。試験片の形状、試験条件等は、段ボール業界規格Ｔ
０００１に従った。また、自動製函機への供給は、裁断
された段ボールシートを積載しておき、これを真空吸着
手段により１枚ずつ吸引して行った。

【００２７】比較のために、コルゲート条列が平面的に
直線の中芯を用い厚さが３ｍｍの段ボールシートに、折
り曲げ位置Ｅには２列の罫線を形成し他の折り曲げ位置
には１列の罫線を形成したもの（比較例１）と、コルゲ
ート条列が平面的に蛇行した中芯を用い厚さが１．７ｍ
ｍの段ボールシートに、全ての折り曲げ位置に１列の罫
線を形成したもの（比較例２）について、上記と同様
に、罫線折り曲げ強さ、ライン適性及び罫線割れの有無
を調べた。比較例１，２とも、段ボールシートを構成す
る表ライナ、裏ライナ及び中芯の材料は本実施例と同じ
である。また、比較例１では、折り曲げ位置Ｅについて
は２列の罫線を形成し、他は１列の罫線としたが、これ
は、この種のラップアラウンドケースにおいて一般的に
用いられている罫線である。表１に、これらの実験結果
を示す。

【００２８】

【表１】 実験の結果、比較例１では、罫線割れは生じなかった。
また、ライン適性については、毎分４５箱の箱詰め製函
では問題なかったが、毎分７０箱の箱詰め製函では段ボ
ールシート供給時の２枚取りや、罫線部の適正な折り曲
げができない等の不具合があった。比較例２では、毎分
７０箱の箱詰め製函でも自動製函機の運転には不具合が
なかったが、製函後に罫線部の罫線割れが生じた。

【００２９】一方、実施例では、毎分７０箱という高速
での箱詰め製函を支障なく行え、しかも、製函後の罫線
割れも発生しなかった。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したとおり本発明の段ボール箱
は、平面形状を蛇行させたコルゲート条列が施された中
芯の両面にライナが接着された段ボールシートを用い、
全ての折り曲げ位置について複数列ずつ罫線を形成する
ことで、規定の寸法で容易に折り曲げを可能としつつ、
罫線割れを防止することができる。その結果、自動製函
機で製函する場合であっても、支障なく製函することが
できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の段ボール箱の一実施形態の斜視図であ
る。

【図２】図１に示した段ボール箱を組み立てるための段
ボールシートの展開図である。

【図３】図２に示した段ボールシートの罫線を形成する
ための型の一例の断面図である。

【符号の説明】

１０ ラップアラウンドケース １１ 段ボールシート １２ 表ライナ １３ 中芯 １３ａ コルゲート条列 １４ 裏ライナ １５ａ，１５ｂ 罫線 ２１ 雄型 ２１ａ Ｖ字溝 ２２ 雌型

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河西 勝興 埼玉県川口市並木元町１−１ サッポロビ ール株式会社プラント事業部内 (72)発明者 濱田 鉄生 東京都豊島区東池袋３丁目１番１号 株式 会社スマイル内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平面形状を蛇行させたコルゲート条列が
   施された中芯の両面にライナが接着された段ボールシー
   トを所定の複数の位置で折り曲げることによって製函さ
   れた段ボール箱であって、 前記段ボールシートの折り曲げのために折り曲げ位置に
   沿って形成される罫線が、全ての折り曲げ位置について
   複数列ずつ形成されている段ボール箱。
2. 【請求項２】 前記罫線の折り曲げ強さが２０〜６０ｇ
   である請求項１に記載の段ボール箱。