JPH10339898A - カメラ - Google Patents

カメラ

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JPH10339898A
JPH10339898A JP9163479A JP16347997A JPH10339898A JP H10339898 A JPH10339898 A JP H10339898A JP 9163479 A JP9163479 A JP 9163479A JP 16347997 A JP16347997 A JP 16347997A JP H10339898 A JPH10339898 A JP H10339898A
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JP
Japan
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shake
camera
correction
image
detection sensor
Prior art date
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JP9163479A
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English (en)
Inventor
Koichi Washisu
晃一 鷲巣
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Adjustment Of Camera Lenses (AREA)
  • Indication In Cameras, And Counting Of Exposures (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 撮影準備動作を適正に行え、記録媒体へ意図
した画像記録を行えるようにする。 【解決手段】 振れを補正する防振装置と、該防振装置
の使用、非使用を選択する操作手段と、該操作手段によ
り前記防振装置の非使用が選択された場合でも、記録媒
体への画像記録開始までは、前記防振装置は動作させる
防振制御手段(#571→#572→#573→#57
5)とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1Hzないし10
Hz程度の周波数の振動を検出してこれを像振れ防止の
情報として用い、像振れ抑制を図る防振装置を有したカ
メラの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在のカメラは露出決定やピント合せ等
の撮影にとって重要な作業は全て自動化されているた
め、カメラ操作に未熟な人でも撮影失敗を起こす可能性
は非常に少なくなっている。
【0003】また、最近では、カメラに加わる手振れを
防ぐシステムも研究されており、撮影者の撮影ミスを誘
発する要因は殆ど無くなってきている。
【0004】ここで、手振れを防ぐシステムについて簡
単に説明する。
【0005】撮影時のカメラの手振れは、周波数として
通常1Hzないし10Hzの振動であるが、シャッタの
レリーズ時点においてこのような手振れを起こしても像
振れの無い写真を撮影可能とするための基本的な考えと
して、上記手振れによるカメラの振動を検出し、その検
出値に応じて補正レンズを変位させなければならない。
従って、カメラ振れが生じても像振れが生じない写真を
撮影するためには、第1に、カメラの振動を正確に検出
し、第2に、手振れによる光軸変化を補正することが必
要となる。
【0006】この振動(カメラ振れ)の検出は、原理的
にいえば、加速度,角加速度,角速度,角変位等を検出
し、カメラ振れ補正の為にその出力を適宜演算処理する
振れ検出センサをカメラに搭載することによって行うこ
とができる。そして、この検出情報に基づき、撮影光軸
を偏心させる補正光学装置を駆動させて像振れ抑制が行
われる。
【0007】振れ検出センサと補正光学装置等を有した
防振システムについては、特開平2−58037号に詳
細が公開されているが、ここでは図27を用いてその概
略について説明する。
【0008】図27(a)は防振システムを搭載したコ
ンパクトカメラの斜視図であり、801はカメラのカバ
ー、802はカメラの撮影レンズであり、撮影をしない
ときはレンズバリアで保護されている(図27(a)は
撮影状態のためにレンズバリアは待避して見えない)。
803はカメラのメインスイッチであり、図27(a)
は防振システムがオンされた撮影可能状態であり、この
メインスイッチ803を指標“OFF”に合せると撮影
不能状態になり、このメインスイッチ803をスポーツ
モード804(高速シャッタモード)或いはストロボモ
ード805に合せたときは、防振システムがオフされた
撮影可能状態に切り換る(このようなモードでは防振シ
ステムは必要ないため)。806はレリーズボタンであ
り、該レリーズボタン806を押し込むことでカメラは
測光,測距を行い、ピント合せ終了後に振れ補正を始
め、フィルムへの露光を行う。807は被写体が暗いと
き等に自動的に発光、或いは、強制的に発光するストロ
ボ発光部である。
【0009】図27(b)は図27(a)の内部斜視図
であり、808はカメラ本体、809は補正レンズ81
0を図中X,Y方向に自在に駆動して振れ補正を行う補
正機構(補正光学装置の中で実際に振れ補正駆動する部
分)、811p,811yは各々ピッチ方向の振れ81
2p,ヨー方向の振れ812yを検出する振れ検出セン
サである。813は前述したレンズバリアであり、図2
7(a)に示したノブ814に連動して開閉する。ノブ
814は図27(a)に示す様にメインスイッチ803
と隣接しており、このメインスイッチ803を操作する
と該ノブ814も押されてレンズバリア813は開く構
造になっている。レンズバリア813は閉状態の時に補
正機構809を機械的にロックして、携帯時等の撮影し
ないときに該補正機構809が暴れて破損することを防
いでいる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来のカメラにおいては、防振システムが新たに追加さ
れた為に使用者はそのための操作を求められ、また防振
システムからも使用者に対して防振状態等の情報を出力
するようになるため、使用者にとっては操作が煩雑で、
分り難いカメラになる恐れがあった。
【0011】(発明の目的)本発明の第1の目的は、撮
影準備動作を適正に行え、記録媒体へ意図した画像記録
を行うことのできるカメラを提供することにある。
【0012】本発明の第2の目的は、防振装置の使用が
選択された際に、直ちに適正な振れ補正動作を開始する
ことのできるカメラを提供することにある。
【0013】本発明の第3の目的は、振れ補正を行って
いるか否かの状態を表示により認識させることができ、
しかも防振装置の使用が選択された際には、直ちに適正
な振れ補正を開始することのできるカメラを提供するこ
とにある。
【0014】本発明の第4の目的は、シャッタスピード
によって振れ補正の可否を自動的に判別することのでき
るカメラを提供することにある。
【0015】本発明の第5の目的は、シャッタスピード
によって振れ補正の可否を自動的に判別することがで
き、しかも防振装置が選択された際に、直ちに適正な振
れ補正動作を開始することのできるカメラを提供するこ
とにある。
【0016】本発明の第6の目的は、シャッタスピード
によって振れ補正の可否を自動的に判別することや、振
れ補正を行っているか否かの状態を表示により認識させ
ることができ、しかも頻繁に振れ補正の状態が変更され
る場合であっても、安心して防振機能を持つ該カメラを
撮影者に使用させることのできるカメラを提供すること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、請求項1記載の本発明は、振れを補正する防
振装置と、該防振装置の使用、非使用を選択する操作手
段とを有するカメラにおいて、前記操作手段により前記
防振装置の非使用が選択された場合でも、記録媒体への
画像記録開始までは、前記防振装置による振れ補正動作
を行わせる防振制御手段を有したカメラとするものであ
る。
【0018】つまり、防振装置の非使用が選択された場
合は、被写体が流れたような撮影を意図する等の撮影者
の意志に添う為に、撮影時には振れ補正は止めるが、記
録媒体への撮影が開始されるまでは振れ補正を行うこと
の利益が多い(測光,測距ポイントのずれによる誤測
光,誤測距の防止や、構図決めの容易さ等)為に振れ補
正は行うようにしている。
【0019】上記第2の目的を達成するために、請求項
2記載の本発明は、振れを検出する振れ検出手段と該振
れ検出手段の出力を基に振れを補正する為の補正手段と
を具備した防振装置と、該防振装置の使用、非使用を選
択する操作手段とを有するカメラにおいて、前記操作手
段により前記防振装置の非使用が選択された場合は、前
記補正手段は非作動状態にするが、前記振れ検出手段は
動作状態にする防振制御手段を有したカメラとするもの
である。
【0020】つまり、防振装置の非使用が選択された場
合は、撮影者の意図に添う為に振れ補正は行わないよう
にするが、出力が安定するまでに時間を要する振れ検出
手段は、その後の防振装置の使用が選択された事に対す
る応答遅れが無いように(安定出力が直ちに得られるよ
うに)動作させた状態にしておくようにしている。
【0021】上記第3の目的を達成するために、請求項
3記載の本発明は、操作手段により防振装置の非使用が
選択された場合は、振れ補正を行っていることの表示を
行う表示手段の表示は行わせないが、防振装置の構成要
素の一つである振れ検出手段による振れ検出動作は行わ
せる防振制御手段を有したカメラとするものである。
【0022】つまり、防振装置の非使用が選択された場
合は、操作状態を明示する為に表示手段の表示は止める
が、正確な振れ情報を出力するまでに比較的時間を要す
る振れ検出手段は動作させたままにするようにしてい
る。
【0023】上記第4の目的を達成するために、請求項
4記載の本発明は、振れを補正する防振装置を有するカ
メラにおいて、シャッタスピードに基づいて、前記防振
装置による振れ補正を行わせるか否かを選択する防振制
御手段を有するカメラとするものである。
【0024】つまり、シャッタスピードによって、画像
記録時に生じる振れの画像への影響が異なることから、
シャッタスピードに基づいて、具体的には、シャッタス
ピードが所定のシャッタスピードよりも速い場合は振れ
の影響が殆どないので、振れ補正は止め、そうでない時
は、振れの影響が画像に出てしまうことから、振れ補正
を行うようにする。
【0025】上記第5の目的を達成するために、請求項
5記載の本発明は、シャッタスピードが所定のシャッタ
スピードよりも速い時には、防振装置の構成要素の一つ
である補正手段を非作動状態にするが、同じく防振装置
の構成要素の一つである振れ検出手段は作動状態にする
防振制御手段を有するカメラとするものである。
【0026】つまり、シャッタスピードが所定のシャッ
タスピードよりも速い時には、振れの影響が殆どないの
で補正手段による振れ補正は行わないようにするが、正
確な振れ情報を出力するまでに比較的時間を要する振れ
検出手段は動作させたままにするようにしている。
【0027】上記第6の目的を達成するために、請求項
6記載の本発明は、振れ補正を行っていることの表示を
行う表示手段を有し、シャッタスピードが所定のシャッ
タスピードよりも速い時には、前記補正手段を非作動状
態にするが、前記表示手段での表示は行わせる防振制御
手段を有するカメラとするものである。
【0028】つまり、シャッタスピードが所定のシャッ
タスピードよりも速い時には、振れの影響が殆どないの
で補正手段による振れ補正は行わないようにするが、前
記シャッタスピードは撮影者の操作等によって頻繁に切
り換わることがあり、この際これに追従させて表示を切
り換える事は撮影者に戸惑いを与える等適正でないこと
から、表示手段での表示は行わせたままにするようにし
ている。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
に基づいて詳細に説明する。
【0030】図1は本発明の実施の形態に係る振れ検出
センサであるところの振動ジャイロの振動体の構造図で
ある。
【0031】同図において、11は金属製の振動子、1
2は振動子11の先端近傍に設けられた永久磁石、1
3,14は振動子11の固定端近傍に設けられた圧電素
子、15,16は圧電素子13,14の表面電極に発生
した電荷を取り出すためのリード線、17は振動子11
を接地するためのリード線、18は振動子11が固定さ
れる不図示の地板に設けられた台座、19は台座18と
により振動子11を挟持するための押え部材、20は永
久磁石12にローレンツ力による駆動力を発生させるた
めのコイル、21はコイル20によって励振された振動
子11及び永久磁石12の振動変位を光学的に検出する
ためのフォトリフレクタである。尚、コイル20の正規
の位置は、図中の二点鎖線で示している。
【0032】振動子11の励振片11aと検出片11b
は、フランジ11cによって互いに直交するように連結
され、一体的に形成されている。加工法は、鍛造プレス
で一括して行うのが望ましいが、メタルインジェクショ
ンや削り出しによるものでも構わない。
【0033】次に、振動子11の台座18への組付け方
法の説明を行う。
【0034】圧電素子13にはリード線15の取付部1
3aが、振動子11の固定部11d側に延出して形成さ
れている。圧電素子14に関しても同様に、リード線1
6の取付部14a(不図示)が、振動子11の固定部1
1d側に延出して形成されている。この取付部13a,
14a及びリード線15,16を逃げるために、台座1
8には溝18aが、又押え部材19には溝19aが、そ
れぞれ形成されている。
【0035】台座18の溝18aの両側には,振動子1
1の固定部11dに接する加圧面18bが形成され、押
え部材19にも振動子11に対向する側に加圧面18b
と同じ形状の加圧面(不図示)が形成されている。
【0036】図1の状態において、押え部材19側から
3本のビスを、孔19b,孔11eを通じて台座18に
形成されたビス穴18cに締結することにより、振動子
11の固定部11dは挟持され、リード線15,16は
孔18dを通じて台座18の裏側に引き出され、一体的
に構成されている。
【0037】上記の様に、圧電素子13,14の取付部
13a,14a及びリード線15,16を固定端内部に
潜り込ませる構造とすることにより、リード線15,1
6の張力が振動子11の振動に与える悪影響を防ぐこと
ができる。
【0038】次に、上記構成の振れ検出センサの動作原
理について説明を行う。
【0039】図2は図1の振動体の励振制御や検出信号
の処理を行う回路の構成、つまり振動ジャイロの回路構
成を示すブロック図であり、図1と同じ部分は同一符号
を付してある。
【0040】図2において、フォトリフレクタ21で検
出された振動子11の励振片11aの図1におけるy方
向(励振方向)の振動変位信号は、増幅回路22に入力
されてここで増幅され、次段のバンドパスフィルタ23
を通過することにより励振片11aの共振周波数近辺の
信号が取り出され、移相回路24によってコイル20の
入力信号の位相となるように調整される。その後、この
移相回路24の出力信号が、励振振幅が一定振幅で安定
に励振を行うようなローレンツ力を発生する入力信号と
なるように、AGC回路25で振幅の調整が行われ、駆
動回路26によって電流の補助を行いながら、コイル2
0に入力信号が供給される。コイル20に流れる電流
は、図1においてx軸の正面方向から見て、左右の巻線
コイルにおいてz軸方向に逆向きである。従って、左右
の永久磁石12の着磁方向をx軸方向に対して互いに逆
向きにすれば、永久磁石12の両方共にy軸方向に対し
て同一方向のローレンツ力による励振力が作用し、励振
振幅は拡大される。
【0041】こうして、正帰還のループが形成され、励
振片11aはy軸方向に一定振幅で自励発振を行う。
【0042】この状態で、図1に示す様に、振動子11
に台座18を通じてz軸周りに角速度Ωの振れが加わる
と、励振片11aと、特に質量が集中する磁石12に
は、質量と励振速度と角速度Ωに比例するコリオリ力が
x軸方向(検出方向)に発生し、このコリオリ力がフラ
ンジ11cを通じて検出片11bに伝わり、検出片11
bはx軸方向に歪む。このとき、検出片11bの固定端
近傍に設けた圧電素子13,14に加わった曲げ歪みに
よって、表面電極に曲げ歪みに比例した電荷が発生す
る。これを信号として取り出すことにより、Z軸周りに
加わった角速度Ωが求められる。
【0043】次に、圧電素子13,14の表面電極に発
生した電荷(電圧)からZ軸周りに加わった角速度Ωを
求める信号処理過程について述べる。
【0044】圧電素子13,14が受ける曲げ歪みは、
一方が圧縮方向のときに他方は引張方向なので、それぞ
れの表面電極に発生する電圧は互いに逆相となり、図2
に示すように、それぞれ増幅回路27,28によって増
幅した後に差動回路29によって差動をとることによ
り、出力を倍にすることができる。この出力信号は周波
数が励振周波数で、振幅がコリオリ力(角速度)によっ
て変調されたAM波である。従って、バンドパスフィル
タ30で励振周波数近辺の信号以外の帯域のノイズ成分
をカットした後に、増幅回路22,バンドパスフィルタ
23を介するフォトリフレクタ21の出力信号(励振検
出信号)を移相回路32で移相調整してこれを参照信号
とし、同期検波回路31で同期検波をとり、平滑回路3
3で平滑することにより、復調したZ軸周りに加わった
角速度Ωの信号を得ることができる。
【0045】このとき、バンドパスフィルタ30の出力
信号に重畳した励振によるヌル信号が極大、或いは、極
小となるタイミングで検波を行うように、移相回路32
の移相量を可変抵抗等で調整することにより、検波した
一区間内でのヌル信号の正負の面積が常に等しくなるた
め、ヌル信号の振幅が変動しても、平滑回路33の出力
信号にはこの影響が現れない。すなわち、精度の高い安
定した角速度信号が取り出せる。また、平滑回路33の
出力信号を積分回路34で積分することにより、角変位
信号(振れ角度)を得ることができる。
【0046】図3は本実施の形態に係るカメラのファイ
ンダ表示装置の構成を示す斜視図であり、該ファインダ
表示装置は、図1及び図2に示す構成の振動ジャイロ
を、防振表示を実現させる為の構成要素の一つとして具
備している。
【0047】同図において、41はLED等による光
源、42は略中央に2本の平行で細長い透過部が設けら
れたマスクである。43はカメラのピッチ方向(カメラ
を正位置で構えたときの垂直方向を意味する)の振れを
検出する図1とほぼ同様の構造を持つピッチ用振れ検出
センサであり、該ピッチ用振れ検出センサ43は、不図
示の地板にネジ等で固定するための固定部43a、振動
子の先端付近を鏡面仕上げにした反射部43b、振動子
の根元付近に貼り付けられコリオリ力を検出するための
圧電素子43c(ここで得られるピッチ方向の振れ信号
は、後述の補正光学装置による振れ補正の為の制御信号
の一つとして用いられる)、振動子の両面に貼り付けら
れたマグネット43d、該マグネット43dの近傍位置
で不図示の地板に固定されるコイル43e、振動子の振
動位置を検出するフォトリフレクタ等の位置検出センサ
43fで構成されており、コイル43eに所定の電流を
流すと、マグネット43dが貼り付いている振動子は所
定の周波数でカメラの上下方向に振動する。尚、マスク
42はその透過部の長手方向が、ピッチ用振れ検出セン
サ43の振動子の長手方向と垂直になるように配置され
る。
【0048】44はカメラのヨー方向(カメラを正位置
で構えたときの水平方向を意味する)の振れを検出する
図1とほぼ同様の構造を持つヨー用振れ検出センサであ
り、該ヨー用振れ検出センサ44は、不図示の地板にネ
ジ等で固定するための固定部44a、振動子の先端付近
を所定の角度に立ち曲げて、その面の中央を所定の幅の
直線状に鏡面仕上げされその両端を遮光した反射部44
b、振動子の根元付近に貼り付けられコリオリ力を検出
するための圧電素子44c(ここで得られるヨー方向の
振れ信号は、後述の補正光学装置による振れ補正の為の
制御信号の一つとして用いられる)、振動子の両面に貼
り付けられたマグネット44d、マグネット44dの近
傍位置で不図示の地板に固定されるコイル44e、振動
子の振動位置を検出するフォトリフレクタ等の位置検出
センサ44fで構成されており、コイル44eに所定の
電流を流すと、マグネット44dが貼り付いている振動
子は所定の周波数でカメラの光軸方向に振動する。尚、
反射部44bの長手方向とマスク42の透過部の長手方
向とは垂直になるように設定される。
【0049】45は光源41及びマスク42により形成
される像をピッチ用振れ検出センサ43の反射部43b
を介してヨー用振れ検出センサ44の反射部44b近傍
に結像させるための結像レンズ、46は反射部44bで
反射された光源の光像をファインダ結像面近傍に結像さ
せるための結像レンズである。47は対物レンズ、48
は変倍レンズ、49はハーフミラー、50はファインダ
結像面近傍にある視野枠、51はプリズム、52は接眼
レンズであり、前記対物レンズ47から接眼レンズ52
までにより実像ズームファインダ系が構成される。
【0050】光源41からの光がマスク42を通過する
ことで、二本の細長い平行線の像が生じる。この光源の
光像は結像レンズ45を通ってピッチ用振れ検出センサ
43の反射部43bで反射され、ヨー用振れ検出センサ
44の反射部44b近傍に結像する。ここで二本の細長
い平行線像は反射部44bの鏡面仕上げされた幅により
所定の長さに制限されて反射し、結像レンズ46及びハ
ーフミラー49を通過してファインダ結像面近傍に結像
する。この像が後述する防振指標53となる。
【0051】撮影者は、ハーフミラー49により被写体
に防振指標53を重ね合わせて観察することができる。
【0052】ピッチ用振れ検出センサ43を励振させる
と、ピッチ方向の反射部43bの位置及び角度が変化す
るので、光源41を連続的に発光させると光源の光像
(平行線像)は反射部44bでの結像位置及びファイン
ダ結像面での結像位置が変化し、防振指標53はピッチ
方向(上下方向)に振れる。
【0053】尚、反射部44bの立ち曲げ面は、ピッチ
用振れ検出センサ43を励振しても光源の光像が常に反
射部44bの面近傍に結像するようにその面の角度が設
定されている。
【0054】ヨー用振れ検出センサ44を励振させる
と、ヨー方向の反射部44bの位置が変化(平行線像の
長さ方向に振動)するので、光源41を連続的に発光さ
せると光源の光像(平行線像)の反射範囲が変化し、防
振指標53はヨー方向(左右方向)に振れているように
見える。
【0055】図4は、図3に示す光源41の点滅タイミ
ングの説明図である。
【0056】同図において、61はピッチ用振れ検出セ
ンサ43の振動子の位置検出を行う位置検出センサ43
fの出力を、防振指標53の表示位置との関係よりピッ
チ方向の振れ角度に換算して算出されるピッチ指標位置
出力、62はヨー用振れ検出センサ44の振動子の位置
検出を行う位置検出センサ44fの出力を、防振指標5
3の表示位置との関係よりヨー方向の振れ角度に換算し
て算出されるヨー指標位置出力、63はピッチ用振れ検
出センサ43の出力から算出されるピッチ方向の振れ角
度出力、64はヨー用振れ検出センサ44の出力から算
出されるヨー方向の振れ角度出力、65は光源41の発
光タイミングである。
【0057】図4は、ピッチ用振れ検出センサ43を周
波数300Hzで、ヨー用振れ検出センサ44を周波数
330Hzで、それぞれ励振させたときの1/30秒間
を表しており、図示の様に、ピッチ指標位置出力61の
振動が10回に対してヨー指標位置出力62の振動は1
1回となる。
【0058】ここで、ピッチ指標位置出力61とピッチ
方向の振れ角度出力63との交点はピッチ指標位置出力
61の傾きが正のとき(或いは負の時でも良いが、何れ
か一方の傾き時でないと光源41の発光タイミングの応
答遅れにより生じる防振指標53の表示位置のずれによ
り表示がにじみ適切でない)で10箇所発生し、その瞬
間に光源41を発光させると、ピッチ方向のみは振れに
応じて(振れとは逆方向に)防振指標53が移動表示さ
れるが、ヨー方向は合っているとは限らない。
【0059】そこで、それぞれの交点(ピッチ指標位置
出力61とピッチ方向の振れ角度出力63との交点)の
瞬間で、ヨー指標位置出力62とヨー方向の振れ角度出
力64とが所定値以内のときに光源21を発光させると
(65で示す発光タイミング)、ピッチ方向,ヨー方向
ともに振れに応じて(振れとは逆方向に)防振指標53
が移動表示されることになる。
【0060】このようにピッチ指標位置出力61とヨー
指標位置出力62は「10:11」の割合で周波数がず
れており、最低でもピッチ方向の振動の10回に1回
(ヨー方向の振動の11回に1回)は発光タイミングが
発生する(又これによる防振指標53の位置はファイン
ダ画面内の振れに対応した位置(二次元方向の)とな
る)。よって、1/30秒に1回は光源41が点灯する
ことになるため、上記動作を繰り返すと、残像効果(人
間の目は1/30秒以上で点滅する光はその残像により
連続点灯しているように見える)により、撮影者には防
振指標53が振れに合せて(振れとは逆方向に)連続的
に動くように見える。
【0061】図5は、図3に示すファインダ表示装置を
具備したカメラのファインダ視野図であり、図5(a)
は防振システムがオンされたときの初期状態を表し、図
5(b)はその後にカメラが図中右下方向に振れ、防振
指標53がその振れとは逆方向(左上方向)に移動表示
された状態を表している。
【0062】同図において、71はファインダ視野範囲
であり、72は被写体のファインダ像であり、73はカ
メラが振れる前のファインダ視野範囲を表している。
【0063】図5(a)の様に、初めに防振指標53は
ファインダ視野範囲71の略中央に表示されており、図
5(b)の様にカメラが図中右下方向に振れた場合、防
振指標53は振れとは逆方向である左上方向に移動し
て、カメラが振れる前のファインダ視野範囲73の略中
央に表示されることで防振効果が表される。
【0064】以上の様に、ファインダ視野内にある防振
指標53が振れを補正するように連続的に移動表示され
るため、撮影者に防振効果を直感的に認識させることが
でき、しかも振れ検出センサがファインダ内における防
振表示用のアクチュエータを兼ねているので、安価で省
スペースの防振表示機能を備えたファインダ表示装置を
提供できる。
【0065】図6は、図3に示したファインダ表示装置
の回路構成を示すブロック図である。
【0066】同図において、81はMPU(マイクロプ
ロセッシングユニット)、82はメモリ、83はEEP
ROM、84はファインダ上に指標を表示するためのL
ED(図3の光源41に相当する)、85はLED84
を駆動する駆動回路、86はピッチ方向の振れを検出す
る振れ検出センサ(図3のピッチ用振れ検出センサ43
に相当する)、87はピッチ方向の振れ検出センサ86
の振動子の位置を検出する位置検出センサ(図3の位置
検出センサ43fに相当する)、88はヨー方向の振れ
を検出する振れ検出センサ(図3のピッチ用振れ検出セ
ンサ44に相当する)、89はヨー方向の振れ検出セン
サ88の振動子の位置を検出する位置検出センサ(図3
の位置検出センサ44fに相当する)、90,91,9
2,93は増幅回路である。
【0067】図6において、振れ検出センサ86,8
8、位置検出センサ87,89は、MPU81のA/D
変換入力端子に接続されている。
【0068】次に、防振効果をファインダ上の表示にて
認識させる為の上記MPU81の動作シーケンスについ
て、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0069】カメラのメインスイッチがオンするなどし
て、カメラのメインシーケンスが開始されると、MPU
81は初期処理の一連の動作の中でEEPROM83か
らファインダ上への防振指標53の表示に関するパラメ
ータを読み込み、メモリ82の所定のアドレスに格納す
る(#101)。
【0070】そしてレリーズ操作部材の半押しなどによ
ってIS(防振)が開始されたなら(#102のYE
S)、処理で用いる変数の初期化などを行い、MPU8
1はピッチ方向の振れを検出する振れ検出センサ86の
出力をA/D変換入力端子から読み込む(#103)。
【0071】その後、オフセットとゲインの調整を行う
(#104)。オフセットの調整は、振れを検出する振
れ検出センサ86と該振れ検出センサ86の振動子の位
置を検出する位置検出センサ87の非動作時(振れ検出
センサ86の振動子を止め、該振れ検出センサ86,位
置検出センサ87の出力を零としたとき)の増幅回路9
0,91を通した上記振れ検出センサ86,位置検出セ
ンサ87のオフセットのずれを補正するものである。
【0072】また、ゲイン調整は、増幅回路90,91
から得られる振れ検出センサ86,位置検出センサ87
の信号をそのまま比較したのではオフセット調整がされ
ていても、実際の防振効果の見えが観察者の感覚とずれ
るので、これを補正するために行うものである。更に詳
しくは、増幅回路90,91から得られる振れ検出セン
サ86、位置検出センサ87の信号の値が等しくても、
実際のファインダ上での振れ量がそのときの振れ検出セ
ンサ86の振動子の位置に等しいわけではないので、ゲ
イン調整をして振れ検出センサ86の出力をファインダ
上での振れ量に変換して、その量に等しい振れ検出セン
サ86の振動子の位置で防振指標が表示されるようにす
るものである。
【0073】実際のMPU81の処理では次式 Gp=AMPp(Gp’−OFFSETp) によってオフセット,ゲイン調整が行われる。但し、G
pは調整後の、Gp’は調整前の、振れ検出センサ86
の出力、OFFSETp,AMPpはそれぞれオフセッ
ト,ゲイン調整を行うための定数であり、ともに事前に
EEPROM83に記憶されている。OFFSETpの
値は振れ検出センサ86と位置検出センサ87の非動作
時の出力の差として求められ、EEPROM83に記憶
される。AMPpは振れ検出センサ86の出力をファイ
ンダ上での振れ量に変換してその量に等しい振れ検出セ
ンサ86の振動子の位置で防振指標が表示されるように
するための定数であり、実験的に求められEEPROM
83に記憶される。
【0074】もしGpの値が、振れ検出センサ86の振
動子の振動幅より大きかったならば、Gpの値をその両
端の値で置き換える。すなわち、振動子の位置を検出す
る位置検出センサ87の出力値の範囲がPRpmin 〜P
Rpmax としたとき、Gpの値がPRpmin 未満のとき
は Gp=PRpmin とする。また、Gpの値がPRpmax を越すときは Gp=PRpmax とする。これは、言うまでもなく図4に示した出力関係
で防振指標53の表示を行う様にしているので、振れ検
出センサ86の振動子の振動幅より大きくなった際に防
振表示53がファインダ画面内にて行えなくなるのを防
ぐ為である。
【0075】このようにして求められたオフセット,ゲ
イン調整した後の振れ検出センサ86の出力Gpをメモ
リ82に記憶する(#105)。
【0076】次いで、ピッチ方向の振れ検出センサ86
の振動子の位置を検出する位置検出センサ87の出力P
RpをA/D変換入力端子から読み込む(#106)。
そして、位置検出センサ87の出力信号の傾きが正かど
うかをチェックする(#107)。これは、メモリ82
に記憶された前回の位置検出センサ87の出力と今回読
み込んだ出力値PRpを比較することで行う。もしメモ
リ82に記憶された値が初期化された値であったなら
ば、位置検出センサ87の出力の傾きは正ではないと判
別し、この様に位置検出センサ87の出力の傾きが正で
ない場合は(#107のNO)、もう一度ピッチ方向の
振れ検出センサ86の振動子の位置を検出する位置検出
センサ87の出力をA/D変換入力端子から読み込む為
にステップ#106へ戻り、再びステップ#107にお
いて位置検出センサ86の出力の傾きが正かどうかをチ
ェックする。この処理を位置検出センサ87の出力の傾
きが正になるまで繰り返す。
【0077】その後、位置検出センサ87の出力の傾き
が正になったならば(#107のYES)、その時の位
置検出センサ87の出力PRpとメモリ82に記憶され
ているオフセット,ゲイン調整した後の振れ検出センサ
86の出力Gpを比較する(#108)。この結果その
差が、一連の初期処理の動作の中でEEPROM83か
らメモリ82に読み込まれたパラメータの値以下だった
ならば、両者は略等しい、換言すればこの時のピッチ方
向の振れを画面内に示した場合の位置に防振指標53を
表示させることができる振動状態にピッチ用振れ検出セ
ンサ86の振動子がある(図4の出力61と63の黒丸
で示した各位置に相当する)とみなし、次のステップ#
109に進む。一方、両者の値が略等しいと見なせない
場合は(#108のNO)、もう一度ピッチ方向の振れ
検出センサ86の振動子の位置を検出する位置検出セン
サ87の出力を、A/D変換入力端子から読み込む為に
ステップ#106に戻り、同様の動作を繰り返す。
【0078】次のステップ#109では、MPU81は
ヨー方向の振れを検出する振れ検出センサ88の出力を
A/D変換入力端子から読み込む。その後、ピッチ方向
の振れを検出する振れ検出センサ86の出力と同様に、
オフセットとゲインの調整を行う(#110)。実際の
MPUの処理では次式 Gy=AMPy(Gy’−OFFSETy) によってオフセット,ゲイン調整が行われる。但し、G
yは調整後の、Gy’は調整前の、振れ検出センサ86
の出力、OFFSETy,AMPyはそれぞれオフセッ
ト,ゲイン調整を行うための定数であり、ともに事前に
EEPROM83に記憶されている。OFFSETyの
値は振れ検出センサ88と位置検出センサ89の非動作
時の出力の差として求められ、EEPROM83に記憶
される。AMPyは振れ検出センサ88の出力をファイ
ンダ上での振れ量に変換してその量に等しい振れ検出セ
ンサ88の振動子の位置で指標が表示されるようにする
ための定数であり、実験的に求められ、EEPROM8
3に記憶される。
【0079】もしGyの値が、振れ検出センサ88の振
動子の振動幅より大きかったならば、Gyの値をその両
端の値で置き換える。すなわち、振動子の位置を検出す
る位置検出センサ89の出力値の範囲がPRymin 〜P
Rymax としたとき、Gyの値がPRymin 未満のとき
は Gy=PRymin とする。また、Gyの値がPRymax を超すときは Gy=PRymax とする。
【0080】このようにして求められたオフセット,ゲ
イン調整した後の振れ検出センサ88の出力Gyをメモ
リ82に記憶する(#110)。
【0081】次いで、MPU81は、ヨー方向の振れ検
出センサ88の振動子の位置を検出する位置検出センサ
89の出力PRyをA/D変換入力端子から読み込む
(#111)。そして、その時の位置検出センサ89の
出力PRyとメモリ82に記憶されているオフセット,
ゲイン調整した後の振れ検出センサ88の出力Gyを比
較する(#112)。この結果その差が、一連の初期処
理の動作の中でEEPROM83からメモリ82に読み
込まれたパラメータの値以下だったならば、両者は略等
しい、換言すればこの時のヨー方向の振れを画面内に示
した場合の位置に防振指標53を表示させることができ
る振動状態にヨー用振れ検出センサ88の振動子がある
とみなし、防振指標53を表示するステップ#113に
進む。一方、両者の値が略等しいとみなせない場合は、
もう一度ピッチ方向の振れ検出センサ86の振動子の位
置を検出する位置検出センサ87の出力をA/D変換入
力端子から読み込む動作から開始する為にステップ#1
06へ戻る。
【0082】防振指標53を表示するステップ#113
では、MPU81は駆動回路85に対して表示オン信号
を出力する(このタイミングが、図4に示した65の発
光タイミングに相当する)。この表示オン信号が出力さ
れている間、駆動回路85はLED84をオンする。該
LED84がオンされている間は、ファインダ上に図5
に示した様な防振指標53が表示される。
【0083】このように、ピッチ方向の振動子の位置を
検出する位置検出センサ87と振れを検出するセンサ8
6の出力が略等しく、かつ、位置検出センサ87の出力
信号の傾きが正(又は負)であり、ヨー方向の振動子の
位置を検出する位置検出センサ89と振れを検出するセ
ンサ88の出力が略等しいとき、防振指標53を表示す
ることにより、ファインダ上に表示された指標は常にフ
ァインダを通して観察される対象物に追従するので、防
振効果を確認することができる。
【0084】図8〜図10は、本実施の形態に係るカメ
ラに具備された補正光学装置の構成を示す斜視図であ
る。
【0085】図8において、201は中央に補正レンズ
202を保持したレンズホルダーであり、該レンズホル
ダー201を介して補正レンズ202を、光軸に対して
直交する平面内において変位させることにより、入射光
線を偏向させることが可能である。従って、カメラ振れ
を検出し、このカメラ振れと反対方向に光線が偏向する
ように前記補正レンズ202を変位させることで、上記
カメラ振れを補正可能となる。203はカメラのレンズ
鏡筒内に配置される地板であり、レンズシフト機構を支
持する基礎となる。204はヨーホルダーであり、地板
203の長穴203aに嵌合する図示しない突起を有
し、ヨー方向のみ変位可能に構成されている。
【0086】205は前記レンズホルダー201に形成
されたガイド穴201aに貫挿されるガイドバーであ
り、前記ヨーホルダー204の軸受け部204aに、そ
の軸方向がピッチ方向になるように両端を支持されてい
る。この様な構成により、前記レンズホルダー201は
ヨーホルダー204上でピッチ方向にのみ変位可能であ
り、ヨーホルダー204が地板203に対してヨー方向
にのみ変位可能なので、双方の変位により、結果的に補
正レンズ202はピッチ,ヨーの両方向に変位可能にな
っている。
【0087】206はステップモータから成るヨーモー
タであり、その回転軸206aの方向が光軸に対して垂
直な方向となるように配置されている。また、前記回転
軸206aには外周に雄螺子が切られた送り螺子207
が固定されている。図9(a)にその固定部の詳細を示
しており、図示の様に、送り螺子207に回転軸206
aを挿入して接着固定されている。尚、図9(b)に示
す様に、回転軸に直接螺子を切る構造(206bの様
に)にしても良い。
【0088】208は前記送り螺子207と螺合する雌
螺子が切られたナットであり、後述の振れ止め部材が入
るU字部208aを有する。前記送り螺子207はその
先端が地板203の軸受け部203bに嵌合し、ヨーモ
ータ206はその軸がヨー方向になるように地板203
に接着等で固定されている。ヨーホルダー204には、
前記ナット208を間に挿入するナット受け部204
b,204cと前記ナット208の回転止めになる振れ
止め部204dを有する。
【0089】ここで、送り螺子207,ナット208,
ヨーホルダー204の関係について、図8及び図10を
用いて説明する。
【0090】ナット208は送り螺子207に螺合して
いると同時に、ヨーホルダー204のナット受け部20
4bと204cの間に挿入され、そのU字部208aに
は振れ止め部204dが入って、ナット208が回転し
ないようになっている。ヨーモータ206が回転する
と、そのモータ軸206aに固定されている送り螺子2
07が回転する。該送り螺子207が回転するとナット
208も回転しようとするが、該ナット208は、その
U字部208aが振れ止め部204dによって回転が止
められているので回転せず、ヨーモータ206の1回転
当り螺子1ピッチ分だけ螺子の軸方向に移動する。
【0091】そして、ナット208が螺子の軸方向に移
動すると、ヨーホルダー204に当接して該ヨーホルダ
ー204を一体に移動させる。ヨーホルダー204のば
ね受け部204eと地板203のばね受け部203cと
の間にはヨーばね209が配置されており、ヨーホルダ
ー204をヨー方向(図8で左向き)に付勢している。
この様にヨーホルダー204が左向きに付勢されるの
で、ナット208の右側の面とヨーホルダー204のナ
ット受け部204cの左側の面とが常に当接した状態で
ナット208とヨーホルダー204が一体で変位する。
尚、送り螺子207とナット208のそれぞれの螺子の
ピッチは細かく切られており、ナット208からの送り
螺子207に対する軸方向の付勢力によって該送り螺子
207が回転することはない。即ち、ナット208はヨ
ーモータ206が回転すると動くが、ヨーモータ206
への通電が停止して該モータ206が止まると、そのと
きの位置に停止したままとなる。
【0092】210はステップモータから成るピッチモ
ータであり、その回転軸210aの方向が光軸に対して
垂直な方向であり、かつ、ピッチ方向になるようにヨー
ホルダー204上に固定されている。前記ヨーモータ2
06と同様に、その回転軸210aには外周に雄螺子が
切られた送り螺子211が固定されており、該送り螺子
211はナット212と螺合し、ヨーホルダー204の
軸受け部204fに先端が嵌合している。ナット212
はレンズホルダー201のナット受け部201bと20
1cの間に挿入され、U字部212aに振れ止め部20
1dが入って回転が規制されている。レンズホルダー2
01は、ヨーホルダー204の軸受け部204aと該ホ
ルダー自体との間に配置されたピッチばね213により
ヨーホルダー204上で図の上方向に付勢されている。
ヨー方向と同様に、ピッチモータ210が回転すると、
その軸に固定された送り螺子211が回転し、ナット2
12はレンズホルダー201の振れ止め部201dによ
って回転できないので、送り螺子211の1回転当り螺
子1ピッチ分だけ軸方向に動き、レンズホルダー201
の受け部201cに当接しながら該レンズホルダー20
1を動かす。前記レンズホルダー201はピッチばね2
13によって上方向に付勢されているので、ナット21
2の下面と該レンズホルダー201の受け部201cの
上面が常に当接した状態で変位する。
【0093】上記構成により、レンズホルダー201は
ピッチモータ210の回転に対応してヨーホルダー20
4上でピッチ方向に変位する。
【0094】ヨーばね209,ピッチばね213は、そ
れぞれヨーホルダー204,レンズホルダー201が変
位する際のガイドになる軸の付近を押すように配置して
ある。即ち、ピッチばね213はガイドバー205の軸
上でレンズホルダー201を押し、ヨーばね209は長
穴203aの長手軸付近を押すことで、ばねの押圧力に
よるレンズホルダー201に対する回転モーメントが働
くのを防いで変位が滑らかに行われるようにしてある。
さらに、ピッチばね213はレンズホルダー201を重
力方向の反対向き(図8で上向き)に付勢しており、重
力とばね力が同一方向にかからないように配置してあ
る。
【0095】214はヨー変位センサであり、ここでは
周知のフォトリフレクタを用いている。前記ヨーホルダ
ー204にはセンサ用の反射部204gがあり、白く塗
装されて反射率を高めてある。ヨー変位センサ214は
図示しないカバー部材に固定されており、ヨーホルダー
204がヨー方向に変位すると前記反射部で反射するフ
ォトリフレクタの光量が変化して変位を検出可能にして
ある。215はピッチ変位センサであり、ヨー方向と同
様にフォトリフレクタを用いており、カバー部材に固定
されている。レンズホルダー201にも反射部201e
が設けてあり、前記取付部204gと同様、白く塗装さ
れて反射率を高めてある。
【0096】レンズホルダー201がピッチ方向に変位
すると、前記反射部201eで反射するフォトリフレク
タの光量が変化して変位を検出可能にしてある。レンズ
ホルダー201の反射部201eはヨー方向に平行に長
く形成されており、ヨーホルダー204の変位に伴って
該レンズホルダー201がヨー方向に変位してもフォト
リフレクタの光が反射する量は変化せず、ピッチ方向の
変位でのみ変化するように構成してある。
【0097】上記構成により、ピッチ,ヨー両方向に変
位するレンズホルダー201の変位をピッチ方向とヨー
方向それぞれ独立して検出可能になっている。
【0098】以上の構成において、ピッチモータ210
はヨーホルダー204上に固定されてレンズホルダー2
01(補正レンズ202)をピッチ方向に変位させ、ヨ
ーモータ206は、地板203上に固定されて補正レン
ズ202をヨーホルダー204、ピッチモータ210と
共に一体にヨー方向に変位させる。この様に、モータと
補正レンズ202を一体で変位させる方向を「ヨー方向
=水平方向」とし、補正レンズ202のみを変位させる
方向を「ピッチ方向=垂直方向」として、重力が作用す
る垂直方向では補正レンズ202のみを変位させること
で、大きな負荷がかからないようにしている。
【0099】また、上記の様に、補正レンズ202をヨ
ー方向に変位させる際に、補正レンズ202とピッチモ
ータ210とを一体に駆動するためにこれらの間で相対
変位が生じない為に、ピッチモータ210を地板203
上に固定したものに比べ、構造が簡単であると共に、動
きも滑らかなものとなる。つまり、ピッチモータ210
も地板203上に固定した構造のものの場合、これらの
間で相対変位が生じる為に、レンズホルダーを摺動さる
ための摺動部材を用いる構造になっている。従って、ヨ
ー方向に駆動する際には摺動部材とレンズホルダーとの
間で摩擦が生じ、摩擦抵抗により駆動負荷が大きくなる
と共に、構造も複雑にならざるをえなかった。更に、バ
ックラッシュによる応答遅れといった問題もあった。上
記の様な構造にすることにより、上記の点を解消するこ
とが可能となる。
【0100】また、ピッチモータ210とヨーモータ2
06の各回転軸210a,206aの方向、つまり各モ
ータの長手方向を光軸と垂直な方向となる様に、これら
モータを配置している為、補正光学装置を扁平構造にす
ることができる。つまり、該補正光学装置が光軸方向に
長くなり、大型化するといったことがなくなる。又、こ
の事により、該補正光学装置をカメラに組み込んだ場合
には、シャッタ羽根の逃げ場所等のために必要なレンズ
まわりのスペースに該モータを配置することができ、該
補正光学装置をカメラに組み込んだ時のスペース効率等
が良好なものとなる。
【0101】更に、補正レンズ202(レンズホルダ
ー)の移動方向と各モータの回転軸方向が一致する為
に、図8に示した様に送り螺子によって補正レンズ20
2を変位させることができ、従来のモータの出力をカム
に伝えて補正レンズを変位させるものに比べ、モータ1
回転当たりねじ1ピッチ分変位するので(カムの場合、
補正レンズの全ストロークをモータの1回転以内にする
必要があり、モータの回転角当たりのレンズ移動量が大
きく、大きな力が必要であり、精度も悪い)、減速機な
しに十分な力を出せると共に、精度の高い制御が可能に
なる。具体的には、ねじ1ピッチが0.2mm であったなら
ば、1mmのストロークに対してモータの回転数は5回転
となる。
【0102】次に、上記の補正光学装置の動作を簡単に
説明する。
【0103】先ず、カメラの電源が入ると、ヨー変位セ
ンサ214,ピッチ変位センサ215がヨーホルダー2
04,レンズホルダー201の反射部204g,201
eからの光量により、レンズホルダー201の位置を検
出し、ヨーモータ206,ピッチモータ210を駆動し
て、補正レンズ202の中心が撮影光学系の中心(光
軸)と一致する位置まで該補正レンズ202を移動す
る。前記モータへの通電を停止すると、補正レンズ20
2はその位置に止まったままになる。カメラ振れ補正を
行わない場合は、補正レンズ202がこの中心位置にあ
る状態で撮影が行われる。撮影時にカメラ振れ補正を行
う場合は、前述の図3に示した振れ検出センサ86,8
8からの信号に基づいて、ヨーモータ206とピッチモ
ータ210を駆動し、ヨーホルダー204とレンズホル
ダー201(補正レンズ202)をカメラ振れを相殺す
る方向に変位させる。
【0104】図11は、上記の様な構成の補正光学装置
及び振れ検出センサ等を有する防振システムや、ファイ
ンダ表示装置等を有するカメラの電気的な概略構成を示
すブロック図である。尚、このカメラは、撮影レンズを
沈胴させることができる、コンパクトカメラを想定して
いる。
【0105】同図において、301はカメラマイコン、
302はカメラのメインスイッチである。303はレリ
ーズ操作部材であり、その半押しにより撮影準備動作を
開始、つまり測光,測距を開始させる為のs1信号が発
生し、その全押しにより撮影動作(露光動作)を開始さ
せる為のs2信号が発生する。304は測光情報を算出
する測光回路、305は測距情報を算出する測距回路、
306は撮影レンズのピント調整を行う為のレンズ合焦
駆動回路、307はシャッタの開閉を行うシャッタ回
路、308はストロボ装置、309は撮影レンズの焦点
距離調節を行う為のズーム駆動回路、310はフィルム
の巻上げ,巻戻しを行うフィルム給送回路、311は図
8に示した補正光学装置、312は図3に示した振れ検
出センサであり、防振表示用のアクチュエータを兼ねる
と共に、防振表示用及び補正光学装置の振れ補正用に用
いる為の振れ検出を行うためのものである。313は表
示装置であり、図5に示したファインダ内に防振表示
(防振指標の表示)を行う部分も含むものである。
【0106】上記のカメラマイコン301は、メインス
イッチ302からの信号、レリーズ操作部材303から
のs1,s2信号、測光回路304からの測光情報、測
距回路305からの測距情報が、それぞれ入力してお
り、これらの信号を基に、レンズ合焦駆動回路306,
シャッタ回路307,ストロボ装置308,ズーム駆動
回路309,フィルム給送回路310,補正光学装置3
11,振れ検出センサ312,表示装置313の動作を
制御する。
【0107】また、該カメラマイコン301には、上記
の各回路や装置からも必要な情報が入力されており、例
えばレンズ合焦駆動回路306からは撮影レンズの位置
情報や合焦用レンズ駆動モータの回転情報が、シャッタ
回路307からはシャッタの開口量情報が、ズーム駆動
回路309からは撮影レンズの繰り出し量情報が、フィ
ルム給送回路310からはフィルムの給送状態の情報や
給送モータの負荷情報が、補正光学装置311からは補
正レンズの位置(変位)情報が、振れ検出センサ312
からは該カメラに加わる振れ情報が、それぞれ入力され
ている。
【0108】更に、カメラマイコン301は上述した複
数の回路や装置の状態を、さらには防振状態を表示装置
313に表示させ、必要とあればストロボ装置308を
発光させて撮影時の光量を補っている。
【0109】図12及び図13は、上記カメラマイコン
301内のカメラシーケンスを説明するフローチャート
であり、このフローはメインスイッチ302のオン操作
でスタートし、同時にt1時間に達するまでの計時を行
うカメラマイコン301内のタイマ(以下、説明の便宜
上、これをタイマt1と記す。他のタイマについても同
様な使い方をする。)をスタートさせる。このタイマt
1はメインスイッチ302のオンのまま、カメラを放置
されたときに該メインスイッチ302を自動的にオフす
るためのものである。
【0110】上記の様にメインスイッチ302のオン操
作が為されると、カメラマイコン301はステップ#4
01にて、カメラ本体内に沈胴されていた撮影レンズを
ズーム駆動回路309により繰り出していく。またこの
時、同時に撮影レンズを保護していたレンズバリアも開
く。次のステップ#402では、表示装置313にカメ
ラの各機能の状態や撮影情報を示す表示(通常はカメラ
本体表面やカメラのファインダ内に表示される)をオン
させる。続くステップ#403では、手振れを検出する
ためにカメラ内に設けられた振れ検出センサ312に電
源を供給して振れ検出を開始する。
【0111】次に、ステップ#404にて、ズームテレ
(焦点距離を長くする)操作(図11では不図示である
が、ズーム操作を行うズームスイッチの状態もカメラマ
イコン301に入力している)が為されているか否かを
判別し、もしこのズームテレ操作が為されていた場合に
はステップ#405へ進み、ここでズーム駆動回路30
9を介して撮影レンズをテレ方向に駆動する。また、こ
の際タイマt1をリセットする。このタイマt1は、ズ
ーム操作ばかりではなく、カメラに設けられている何ら
かの操作スイッチの操作毎にリセットされる構成になっ
ている。つまり、操作毎に自動的にメインスイッチ30
2をオフするタイマt1はリセットされ、何らかの操作
が続いている限りカメラのメインスイッチ320はオフ
されない。
【0112】上記ステップ#404にてズームテレの操
作が為されていない場合は、ステップ#406へ進み、
ここではズームワイド(焦点距離を短くする)操作が為
されてか否かを判別し、もしこのズームワイド操作が為
されていた場合にはステップ#407へ進み、ここでズ
ーム駆動回路309を介して撮影レンズをワイド方向に
駆動する。また、上記と同様にこの際タイマt1をリセ
ットする。勿論、既にワイド端或はテレ端にある時に更
にその方向に駆動しても撮影レンズの駆動は行われない
ように保護されているのは言うまでもない。
【0113】次のステップ#408では、レリーズ操作
部材303の半押しによりs1信号が発生しているか否
かを判別し、s1信号が発生していない時はステップ#
409に進み、タイマt1の値がt0以上になったか或
はメインスイッチ302のオフ操作がされたかを判別す
る。これにより、撮影者がカメラを使わなくなったと判
別したとき、つまりメインスイッチ302のオフ或いは
カメラがt0、例えば4分間操作されない為にカメラが
放置常態にあると判別したときはステップ#427に進
む。
【0114】ステップ#427では、振れ検出センサ3
12への電源供給を止める。そして、ステップ#428
にて、上記ステップ#401の場合とは反対に撮影レン
ズを沈胴駆動して、カメラ本体内に収納し、同時にレン
ズバリアを閉じる。次のステップ#429では、表示装
置313での表示を消し、一連の動作を終了する。
【0115】また、上記ステップ#409において、タ
イマt1がt0に達していないとき、或いは、メインス
イッチ302がオンの時はステップ#404に戻り、前
述のステップ#405からステップ#409までの動作
を繰り返す。
【0116】尚、図12のフローチャートでは、操作部
材の状態としては、不図示のズーム操作スイッチ,メイ
ンスイッチ302,レリーズ操作部材302の状態しか
示していないが、他の操作部材の状態、例えばストロボ
のモード切替え等の操作スイッチ及びその時の表示も実
際のフローには割り込んでくるのは言うまでもない。
【0117】上記ステップ#408において、レリーズ
操作部材303の半押しによりs1信号が発生している
ことを判別した場合には、ステップ#410へ進む。そ
して、このステップ#410では、t2時間に達するま
でを計時するタイマt2(上記タイマt1とは独立にカ
ウントする)をスタートさせる。次のステップ#411
では、測光回路304により被写体の測光を行い、該測
光動作が終了するとステップ#412へ進み、ここでは
測距回路305により被写体までの距離測定(測距)を
行い、該測距動作が終了するとステップ#413へ進
む。そして、このステップ#413では、レンズ合焦駆
動回路306を介して撮影レンズの合焦駆動を行い、こ
の合焦駆動が完了するとステップ#414へ進む。
【0118】ステップ#414では、補正光学装置31
1の補正レンズを撮影レンズの光軸と合せる。通常、補
正レンズの光軸は撮影レンズの光軸と一致しているが、
このステップでは補正レンズの光軸と撮影レンズの光軸
がずれていた場合にそれらを一致させて良好な像が得ら
れるようにする。詳しくは、補正レンズの位置を位置検
出センサで検出し、その位置が所定位置(初期位置)に
無い時には補正レンズを所定位置まで駆動する。そし
て、位置検出センサの出力が所定値の時、或いは、所定
値になった時にステップ#415へ進み、表示装置31
3に防振表示をオンさせて、つまり防振指標53の表示
を行い、防振の状態を撮影者に表示する。そして、図1
3のステップ#416へと進む。
【0119】図13のステップ#416では、レリーズ
操作部材303の全押しによりs2信号が発生するまで
待機する。露光動作を行う為にレリーズ操作部材303
の全押し操作が為され、s2信号が発生したときはステ
ップ#417へ進み、タイマt2の計時を停止する。次
のステップ#418では、タイマt2と予め定めた時間
T(例えば200msec)を比較し、「t2>T」の場合
にはステップ#420へ進む。そして、このステップ#
420では、補正光学装置311に振れ補正を開始させ
る。
【0120】上記ステップ#418において、「t2<
T」または「t2=T」であることを判別した場合(レ
リーズ操作部材303が一気に全押しまでされた為、s
1信号とs2信号の発生間隔が時間Tより少ないとき)
にはステップ#419へ進み、前述の防振指標53を点
滅させる等、防振表示を変更し、これを手振れ警告表示
とする。そして、この様な場合、すなわち「t2<T」
または「t2=T」の時は、補正光学装置311に振れ
補正を行わせない。この様にレリーズ操作部材303が
一気に全押しまでされた場合は振れ補正を行わない理由
を、以下に説明する。
【0121】レリーズ操作部材303が一気に全押しさ
れた勢いから、カメラがその押し込み方向に大きく振れ
る。そして、この振れの周波数成分は手振れの周波数成
分に比べて低く(例えば500mHz)、その為に振れ
検出センサ312がその振れを精度よく検出できない場
合が出て来る。
【0122】何故ならば、振れ検出センサ312の検出
する振動が角速度の場合、その出力を演算で積分してそ
の出力を目標値にして補正レンズを駆動したり、或い
は、補正レンズの機械的な特性から入力された角速度が
機械的に積分されて補正レンズの動きは手振れの角度に
なり、カメラに加わる振れと相殺させる防振システムの
場合には、その積分能力の限界から、超低周波の振れは
精度よく積分されない為である。(実際の手振れより位
相がずれてしまう、詳細は特開昭63−275917号
参照)。
【0123】この様に振れ補正精度の悪い状態(実際の
手振れと位相がずれて振れ補正する時)では、振れ補正
を行うと、振れ補正前よりも却って像劣化する場合も出
て来る。この為、レリーズ操作部材303の激しい操作
により上述した特性の異なる振れが発生したかどうかを
該レリーズ操作部材303の半押しと全押しの操作間
隔、つまりs1信号とs2信号の時間間隔で検出して、
振れ補正を行わないようにしている。
【0124】上記ステップ#419又は#420の動作
を終了した後はステップ#421へ進み、ここではシャ
ッタ回路307を介して不図示のシャッタの開閉を制御
し、フィルムへの露光を行う。この図13のフローでは
詳しい事は省略しているが、実際にはこのステップ#4
21では、測光回路304にて得られた測光情報より決
定される量と時間だけシャッタを開けた後に該シャッタ
を閉じ、フィルムへの露光を終了している。また、フィ
ルムへの露光が行われている間に、例えば防振システム
(補正光学装置311や振れ検出センサ312にて構成
される)をオフする操作(防振システムを撮影者がオフ
する操作部材がカメラに設けられている時)があって
も、振れ補正は止めない。これは、振れ補正を露光中に
止めた時の補正レンズの挙動が却って像劣化が起きるこ
とを防ぐためであり、また露光中に誤って防振システム
をオフしたときの対策である。
【0125】次のステップ#422では、振れ補正が行
われているか否かを判別し、振れ補正が行われていない
場合(ステップ#420を介さずにこのステップに来た
場合)は直ちにステップ#424へ進む。一方、振れ補
正が行われている場合はステップ#423へ進み、補正
光学装置311による振れ補正を止め、その後に補正レ
ンズをセンタリング(ステップ#414と同様)してス
テップ#424へ進む。
【0126】次のステップ#424では、表示装置31
3での防振表示をオフする。尚、防振表示は、前述した
様にファインダ内にて防振指標による実際の振れに従っ
て行われており、撮影者はファインダを覗いた状態で防
振状態を確認する事が可能となっている。続くステップ
#425では、フィルム給送回路310を介して撮影駒
の巻上げを行い、次の未撮影駒が撮影位置に来るように
設定する。そして、ステップ#426へ進み、タイマt
1をリセットし、図12のステップ#404へ戻る。
尚、この様にステップ#426にてタイマt1をリセッ
トするのは、該タイマt1の計時値がアップしていき、
自動的にメインスイッチ302がオフされてしまうのを
防ぐ為である。
【0127】以上のフローにおいては、図12のステッ
プ#409でしか、メインスイッチ302の状態を見て
いないが、実際には至るところで該メインスイッチ30
2を見ており、例えば長秒時露光中に該メインスイッチ
302をオフしてもカメラはそれを受け付けるようにな
っている。
【0128】ここで、防振システム、特に振れ検出セン
サ312は電源オンで立ち上げてから出力が安定するま
でに多少(1秒位)時間がかかることがある。それまで
の間に撮影が行われると振れ補正が適正に行えないばか
りか、却って像劣化を起こすこともある(振れ検出セン
サ312からの誤った信号の為)。その様なことを防ぐ
ために、振れ検出センサ312が安定するまで撮影を禁
止するカメラシーケンスになっている。
【0129】図14は上記対策に関する部分のみのカメ
ラマイコン301内のフローチャートであり、このフロ
ーはメインスイッチ302がオンされ、振れ検出センサ
312が動作を始めてからスタートする。すなわち、図
12のステップ#403以降にスタートする。
【0130】まず、ステップ#501では、振れ検出セ
ンサ312が安定する迄のt3時間を計時するタイマt
3をスタートする。次のステップ#502では、振れ検
出センサ312の出力を調べ、その出力が所定値より小
さい場合はステップ#504へ直ちに進むが、その出力
が所定値より大きくなる、つまり振れが大きくなるとス
テップ#503へ進み、上記タイマt3をリセットし、
ステップ#502に戻る。これは、ある程度振れが大き
くなると振れ検出センサ312内の演算が飽和してしま
い、再度振れ検出センサ312が安定するまでに時間が
かかるからである。
【0131】次のステップ#504では、レリーズ操作
部材303の半押しによるs1信号の発生まで待機し、
該s1信号が発生するとステップ#505へ進む。そし
て、このステップ#505では、タイマt3の計時開始
からレリーズ操作部材303半押し操作までの時間(こ
の時間も便宜上、t3とする)をホールドする。続くス
テップ#506では、この時間t3を予め定めた時間T
x(ズームやシャッタスピードで必要な防振精度が変る
ためにこれに応じてこの時間Txは可変であり、例えば
ズームテレ,シャッタスピードが遅い時は、防振精度を
高くする必要がある為にこの時間Txを1.5 秒と長めに
設定する)と比較し、「t3>Tx」の時はステップ#
507へ進み、ここではレリーズ操作部材303の全押
しによるs2信号発生を待機する。そして、s2信号が
発生するとステップ#508へ進み、露光動作を行う。
勿論この時には振れ検出センサ312は十分安定してお
り(t3>Txの為)、露光時には補正光学装置311
が振れ補正を行っている。
【0132】また、ステップ#506で「t3>Tx」
でないことを判別した場合は、振れ検出センサ312が
未だ安定していない為に露光を許可する訳にはいかず、
ステップ#509へ進み、再度レリーズ操作部材303
にs1信号が発生しているか否かの状態を見る。この結
果、s1信号が発生していれば、このステップに留ま
る。すなわち、ステップ#509にてレリーズ操作部材
303にs1信号が発生している限り、撮影はできな
い。
【0133】その後、ステップ#509でレリーズ操作
部材303にs1信号が発生していないと判別した場合
(レリーズ操作部材303から撮影者の指が離れた時)
は、ステップ#510へ進み、上記タイマt3のホール
ドを解除する。これにより、タイマt3は今までの計時
値から更に計時を進めていく。その後は、ステップ#5
02に戻る。これは、振れ検出センサ312が安定しな
いためにレリーズ操作部材303を全押ししてもステッ
プ#506以降、ステップ#507の露光動作へは進ま
ない為にレリーズロックとなっているが、このままレリ
ーズ操作部材303を押し続けていてもいつまで経って
も撮影ができないようにし、一旦レリーズ操作部材30
3から指を離してから再度レリーズ操作部材303の半
押し(s1信号発生),全押し(s2信号発生)が為さ
れると(勿論その時「t3>Tx」が条件)撮影が可能
なようにしている。
【0134】すなわち、一旦レリーズロックになるとレ
リーズ操作部材303の半押し操作を解除しないと、レ
リーズロックが解除されないようにしている。
【0135】レリーズ操作部材303は一般に公知の押
圧式のスイッチで構成されており、該レリーズ操作部材
303を1段押すとs1信号が発生し、更に押し込む
(2段押す)とs2信号が発生する。この様な時に振れ
検出センサ312が不安定な状態(メインスイッチ30
2のオン直後、或いは、大きい振れが入力して振れ検出
センサ312が再度安定状態に戻る時)であると、該振
れ検出センサ312が安定するまでレリーズロックする
訳であるが、レリーズ操作部材303を全押ししたまま
でレリーズロックが解除されるとレリーズタイムラグが
長くなったのと同様に、撮影者が意図しないタイミング
で撮影を行うことになり、望まない撮影機会での写真が
撮れてしまう。また、このようにレリーズロックを行う
と、撮影者はその事に気付かず、更にレリーズ操作部材
303を強く押し込む操作を行う傾向があり、この操作
による振れは防振システムでは抑制できないほどの大き
な振れとなってしまう恐れがある。そして、そのような
タイミングでレリーズロックが解除されて撮影してしま
うと、大きな像劣化となる。
【0136】以上の事を考えて、図14のフローでは、
レリーズロックされた時はレリーズ操作部材303から
一旦指を離し、カメラ(振れ検出センサ312)を安定
させないとレリーズロックが解除されない様にしてい
る。
【0137】以上、すべて防振システムを使用する条件
でカメラシーケンスを説明してきたが、カメラの状態に
よって防振システムを使用しない場合もあり、その時の
シーケンスを図15に示す。
【0138】図15のフローは、メインスイッチ302
のオンでスタートし、まずステップ#601では、図1
2のステップ#415で防振表示を行えるセッティング
にする(ここで防振表示を行う訳ではなく、ステップ#
415に来た時に防振表示するか否か仮にここで決め
る)。
【0139】次のステップ#602では、ストロボ装置
308においてストロボ充電が行われている(以下、ス
トロボチャージと記す)最中か否かを判別し、ストロボ
チャージ中の時はステップ#606へ進み、ストロボチ
ャージが完了している時はステップ#603へ進む。ス
テップ#603では、カメラのリモコン、或いは、セル
フタイマが作動中かを判別し、作動中の場合はステップ
#606へ進み、そうでない時はステップ#604へ進
む。
【0140】ステップ#604では、通常のストロボ撮
影時(スローシンクロ撮影のように長いシャッタスピー
ドでストロボ装置308を使用する時は除く)であるか
否かを判別し、通常のストロボ撮影であればステップ#
606へ進み、そうでない時はステップ#605へ進
む。ステップ#605では、超スローシャッタ(例えば
2秒)時であるか否かを判別し、超スローシャッタ時で
あればステップ#606に進み、そうでない時はステッ
プ#607に進む。
【0141】ステップ#606では、図12のステップ
#415において防振表示を行わないセッティングにす
る(ステップ#601のセッティングをキャンセルす
る)。
【0142】ステップ#607では、シャッタスピード
とズーム情報の積A(例えば、シャッタスピードが「1
/60」、ズーム焦点距離が「100mm」の時は「1.6
7」)がA0 (例えば「1」)より小さいか否かを判別
し、「A<A0 」、例えば「1」より小さい時はステッ
プ#609へ進み、図13のステップ#420にて補正
光学装置311により振れ補正駆動を行わないセッティ
ングにし、一方、「1」以上の時はステップ#608に
進み、ここでは図13のステップ#420にて補正光学
装置311により振れ補正駆動を行うセッティングにす
る。その後は、それぞれステップ#601へ戻る。
【0143】以上のフローを説明すると、ストロボチャ
ージ中であり、電源に余裕が無い時は、補正光学装置3
11を駆動させない。(この様な時は、防振以外の機能
も使えなくなっている。) また、リモコン,セルフタイマの使用時にも、振れ補正
を行わせない。これは、リモコンやセルフタイマを使用
する時には、カメラを三脚に取り付ける等固定して手振
れの出ない条件で使用している為に振れ補正の必要がな
いことによるが、三脚等にカメラをガッシリと固定して
いる時は、カメラ使用時のシャッタ駆動の衝撃等が振れ
検出センサ312に伝わって該振れ検出センサ312が
誤動作してしまい、それにより振れ補正精度が落ちるば
かりでなく、却って振れ補正しない時より像劣化する可
能性もあるからである。
【0144】通常のストロボ撮影の時に振れ補正しない
のは、この様な時は被写体へのストロボの発光時間は例
えば500msecの様に極めて短い為に、この間に手振れ
が像に及ぼす影響は殆どないためである。
【0145】尚、ストロボ撮影でもスローシンクロ(被
写体の測光情報に基づいてシャッタスピードを決定する
為、暗い被写体の時はスローシャッタになる。この状態
でストロボを発光させ撮影すると被写体はストロボ光で
適正露光状態になり、ストロボ光の届かない背景もスロ
ーシャッタの為にきれいに写り込む。しかしスローシャ
ッタの為に一般には三脚を使用しないと手振れの影響が
出る。)の時は振れ補正を行い、手振れによる像劣化を
防いでいる。
【0146】超スローシャッタ、例えば焦点距離が15
0mmの時は1秒、30mmの時は4秒以上の長いシャッタ
スピードの時にも振れ補正を行わない。これは、この様
な超スローシャッタの時には極めて低い周波数成分が含
まれており、前述したように振れ検出センサ312の積
分能力の限界から精度よく振れ補正ができないことによ
る。また、振れ検出センサ312の出力の中にも極めて
低い周波数の出力の揺らぎ(ドリフト)が含まれてお
り、超スローシャッタの時にはこの様な出力の揺らぎも
像劣化に影響してくるからである。
【0147】以上、ストロボチャージ中,リモコンやセ
ルフタイマを使用する時、通常ストロボ撮影時、及び、
超スローシャッタを使用する時は、振れ補正を行わない
(ステップ#609を通るため)他、ステップ#606
で説明したように防振表示も行わないセッティングにす
る。これは、振れ補正を行わない事を撮影者に明示し、
カメラをしっかり構えてもらうように促す為である。
【0148】シャッタとズームの積が所定値より小さい
時に振れ補正を行わないのは、この様な時は手振れによ
る像劣化の影響が少ないためである。しかし、この様な
時は振れ補正を行わないのにもかかわらず防振表示は行
っている(ステップ#606を通らないため)。これ
は、この判別はステップ#607で自動で行われ、カメ
ラのフレーミングの変化(これによる被写体輝度の変化
でシャッタスピードが変わる)で振れ補正オン,オフが
頻繁に切り換わることが多く、この度に防振表示がオ
ン,オフするのは好ましく無いためである。また、防振
表示を行わない上記4つの状態ほど振れ補正しないこと
を撮影者に知らせる重要性が無く(撮影者に知らせなく
ても像劣化は起きない)、この様な時に防振表示をオフ
したことの意味を撮影者は分からず、却って不安感を与
える為である。
【0149】尚、ステップ#607で振れ補正が必要な
いと判別した時は、図14で述べたレリーズロックは無
条件で行わないようにし、カメラの速写性能を向上させ
ている。即ち、ズームワイドの時、又は、シャッタスピ
ードが速い時、或いは、それらの組み合わせから振れ補
正が不要な時は、メインスイッチ302のオン直後から
撮影でき、撮影前に大振れがあってもレリーズロックし
ない。
【0150】このフローで大事なことは、ステップ#6
09では振れ補正を行わないセッティングにするが、こ
の振れ補正を行わないとは、振れ補正目標値を補正光学
装置311へ出力しないだけで、振れ検出センサ312
は動作させたままであり、その他防振に係るすべての機
能(表示は除く)は動作状態にある事である。
【0151】これはステップ#607の判別の様に防振
システムが必要になる時とそうでない時が頻繁に切り換
わる時(フレーミング変化によるシャッタスピード変化
等)に、直ちに振れ補正のオン,オフを対応させる為で
ある。更に詳述すると、毎回防振システムのすべての要
素をオン,オフしていたら、その立ち上げの度に安定ま
での待機時間が必要になり、機動性の劣る防振システム
になってしまうからである。補正光学装置311はその
動作時定数が小さいために直ちにオンできるので、防振
システムを使わない時はシステム全てをオフするのでは
なく、補正光学装置311のみ使わない(振れ補正目標
値を補正光学装置311に出力しないだけ)ようにして
いる。
【0152】上述した様に防振システムすべて(特に振
れ検出センサ312)をオフにすることは、次に使う時
に再度防振システムの安定までに時間がかかる事から好
ましくない。このために、防振システムの構成要素のう
ちの補正光学装置311以外はカメラのメインスイッチ
302のオンの間はなるべく動作しているようにしてい
る。
【0153】以上のカメラのシーケンスと防振システム
との関係を示したのが、図16である。
【0154】以上の様に、従来においてはカメラに加わ
る手振れ以外の、カメラを操作するときの(例えばレリ
ーズ操作やズーム操作等の)特異な振れについては未対
策であったが、レリーズ操作部材303の半押しと全押
しの操作時間差(タイマt2の値)により、振れ補正の
作動,非作動を制御する、詳しくは操作時間差が所定時
間内のときは振れ補正を行わない、又は該振れ補正を中
断する(図13のステップ#418→#419)ような
構成にしているため、レリーズ操作部材303を一気押
しした時の大きくて低周波の振れが加わった時に防振シ
ステムが誤動作し、像劣化を引き起こす事がなくなる。
【0155】また、この時の操作時間差により防振シス
テムの表示を制御する、つまり上記操作時間差が所定時
間内のときは手振れ警告表示を行うようにする事で、撮
影者はこれに応じて撮影をし直すか否かの判断ができ、
撮影の失敗したことを知らないでシャッタチャンスを逃
すといった事がなくなる。
【0156】また、図14に示す様に、防振システム
(振れ検出センサ)が適正に作動するまで前記レリーズ
操作部材303の半押しがなされなくても、レリーズロ
ックを行い、前記レリーズ操作部材303の半押しが一
旦が解除され、再操作されるまではレリーズロックをし
続ける構成にしているため、レリーズロックが不用意に
解除されることにより撮影者の望まない撮影機会で撮影
が行われてしまうことや、レリーズロックに起因する大
振れ(全押しが受け付けられないとして強く押圧操作が
されることによる)での像劣化を防ぐことができる。
【0157】また、図15で説明した様に、撮影時のシ
ャッタスピードが速いとき等には補正光学装置311を
非動作状態にするが、前記振れ検出センサ312は動作
させたままにしているため、防振システムの使用時立ち
上がりに起因するタイムロスを無くし、カメラの機動性
を向上させることができる。
【0158】また、例えばシャッタスピードが速く、補
正光学装置311を動作させないときも、防振表示は行
うようにしているため、つまりシャッタスピードで自動
的に振れ補正オン,オフを行う時は防振のための表示装
置313は制御しない(振れ補正はしていなくても防振
表示は行う)ようにしているため(図15のステップ#
607→#609(#606を通らない))、余計な表
示の変化で撮影者に不安感を与えることが無くなる。
【0159】さらに、従来の補正光学装置おいてはその
規模が大きく、カメラに搭載するためにはカメラ自身を
大きくする必要があるが、上記の様なコンパクトカメラ
においては、大型化すること及び重くなることは致命的
であり、かつ、構造が複雑なために部品コスト、組み立
てコストともに高くなってしまい、民生品としては好ま
しくないといった多くの欠点を有していたが、図8の様
な構造の補正光学装置とすることにより、上記の欠点を
解消することができる。
【0160】更に、従来においては、一眼レフレックス
カメラに搭載の防振システムの場合、撮影者が撮影レン
ズを通して被写体を狙えるTTL方式の為に、実際に振
れ補正していることがファインダを通して認識できる
が、コンパクトカメラにおいては撮影系の(振れ補正す
る)レンズと撮影者が被写体を確認するファインダ系の
レンズは夫々専用のためにファインダを通して防振シス
テムの作動を知る事ができなかった(勿論ファインダ系
にも専用の補正光学装置を搭載すれば振れ補正の状態を
知ることができるが、そうすることでカメラは益々大き
く、又コストアップしてしまう)為に、防振システムの
作動状態を未確認のまま撮影した為に充分な振れ補正が
行われない状態で撮影が行われてしまうことがあった。
更に、防振システムと言う新しい機能が搭載されたカメ
ラにも拘らず、その事を使用者に説得できないことも不
満であった。この点についても、図3に示す様な構造の
防振表示を可能なファインダ光学装置をカメラに具備す
る事により、カメラのコンパクト化を保持しつつ、上記
の問題点を解消することができる。
【0161】更に又、防振システムが追加されたことで
使用者はそのための操作を求められ、又防振システムか
らも使用者に対して防振状態等の情報を出力するように
なるため、使用者にとっては操作が煩雑で、分り難いカ
メラになる恐れがあったが、自動的に防振システムを使
用するか否かを決定すると共に、振れ補正時には振れが
どの方向にどれだけ振れているかを表示により認識させ
る構成になっている為、上記の欠点についても解消する
ことができる。
【0162】(実施の第2の形態)図17は本発明の実
施の第2の形態に係るカメラの回路構成を示すブロック
図であり、図11と異なるのは、予測量発生回路314
の出力信号がカメラマイコン301に入力している点の
みであり、以下この予測量発生回路314について説明
する。
【0163】図18は本発明の実施の第2の形態に係る
カメラの側面図であり、カメラ本体701と、使用しな
い時はカメラ本体701内に収納されるレンズ鏡筒70
2で構成される。また、303は2段タクトスイッチで
あるところの前述のレリーズ操作部材であり、半押しす
ることで、カメラを撮影準備状態(測光,測距,レンズ
合焦駆動)となり、全押しすることで、フィルムへの露
光が行われる。
【0164】一般にはレリーズ操作部材303を押す力
(矢印703方向の力)はゆっくりで、弱い訳である
が、カメラを使用する撮影者や撮影状況によっては矢印
703方向に強い力を加えてしまうことがある。そのよ
うな時は前述のように矢印703方向に大きな振れが発
生する。
【0165】この振れの発生は、半押しにより発生する
s1信号と全押しにより発生するs2信号のタイミング
を見ることで予測できることを上記の実施の第1の形態
では述べ、この予測によって大振れ時には振れ補正を行
わないようにしていた。
【0166】しかし、この矢印703方向の大きな振れ
の波形は、s1信号とs2信号のタイミング(レリーズ
操作部材303を押す速さで大体決まっているため
に、振れの発生を予測して、この振れも補正することが
可能である。
【0167】図19はカメラに加わる手振れの波形71
1であり、s1信号とs2信号の発生間隔が狭い時は、
手振れ波形の急激な変化711aが生じている。この波
形はレリーズ操作部材303を押す速さと、押す力と、
カメラの重さにより決まっている。
【0168】そこで、この手振れ波形を予測量発生回路
314に記憶しておき、レリーズ操作部材303を押す
タイミングで補正光学装置311を予測波形で駆動して
やれば、このような振れも補正することができる。
【0169】図20はこのレリーズ操作部材303を一
気押し操作した時の振れを抜き出した図であり、波形7
11aは点線で示す幾つかの傾きの直線712a,71
2b,712cに近似できる。
【0170】そして、シャッタスピードやレリーズタイ
ムラグ、カメラの焦点距離によって最適な直線を選択す
る。例えば、シャッタスピードが速い時(図20のta
は固定、tbは紙面左側にシフト)は、直線712aが
波形711aに一番近似しており、シャッタスピードが
長い時は直線712cを選択する。また、レリーズタイ
ムラグが長い時(図20のta,tbは紙面右側にシフ
トする)は、直線712aより直線712bの方が露光
時(taからtbまでの間)の振れ波形711aに近い
為、予測量として直線711aを選択する。
【0171】レンズの焦点距離が変ると、カメラに加わ
る手振れ量が同じでも(例えば角度として 0.2度)、フ
ィルム像面での像振れ量は異なってくる(同じ手振れ量
でも、ズームテレの方がズームワイドより像振れが大き
くなる)。そのため、図20の直線の勾配もレンズの焦
点距離で変化させる(ズームテレでは直線の勾配をきつ
くする)。
【0172】図17の予測量発生回路314の出力は、
この様にカメラマイコン301内でカメラの状態(焦点
距離,シャッタスピード,レリーズタイムラグ)に応じ
て選択、変更される。
【0173】上記の様にして求められた撮影時の予測量
で露光時に補正光学装置311を駆動してやれば、レリ
ーズ操作部材303の一気押し操作時の大きな振れも補
正可能である。以下、この様なシステムにおけるカメラ
の撮影シーケンスを、図21のフローチャートを用いて
説明する。
【0174】尚、レリーズ操作部材303の全押し操作
がなされる(s2信号発生)までの動作は、図12に示
した上記実施の第1の形態時と同様であるので、そのフ
ロー及び説明は省略する。また、レリーズ操作部材30
3の全押し操作がなされた以降の動作についても、図1
3に示した上記実施の第1の形態時と同じ動作を行う部
分については同一のステップ番号を付し、その説明は省
略する。
【0175】図21のフローチャートが図13のフロー
チャートと異なるのは、図13のステップ#419の代
わりにステップ#431を設け、ここで露光時予測補正
にて振れ補正を開始することである。
【0176】つまり、ステップ#418において、「t
2>T」でないと判別した時、即ちレリーズ操作部材3
03の半押し操作(s1信号発生)と全押し操作(s2
信号発生)が一気に行われ、その操作によりカメラに通
常の手振れとは異なる成分の大きな振れが加わった時
は、ステップ#431へ進み、ここで前述した予測波形
で補正光学装置311を駆動させる。
【0177】その後、ステップ#421において、シャ
ッタを開閉させてフィルムへの露光を行わせる訳である
が、ここで注意することは、図20で示した様に、予測
波形は一定勾配の直線であり、且つ、大きな振れを補正
する為に補正時間は長くなる。その為に補正光学装置3
11内の補正レンズの駆動ストロークは大きく必要であ
り、もしもステップ#431で予測補正を開始してから
フィルムへの露光迄の時間が長い時には、フィルムへの
露光前に補正レンズがそのストロークを使い切ってしま
い、露光時には予測補正不能になってしまう恐れがあ
る。
【0178】そこで、ステップ#431からステップ#
421のシャッタ開閉までの時間は出来るだけ短くなる
様に設定しなくてはならない。
【0179】この様なフローに従う事で、レリーズ操作
によりカメラに加わる大きな振れも予測して補正可能と
なる訳であり、上記実施の第1の形態の様にレリーズ操
作により大きな振れが生じた時は振れ補正を止めてしま
うのに比べて、像精度を向上させることが可能となる。
但し、露光時にカメラに加わる通常の振れ(レリーズ操
作部材303の一気押し操作によりカメラに加わる大き
な振れではなく、常時カメラに加わっている手振れ)は
補正することまではできない。
【0180】以上の様に、レリーズ操作部材303の半
押しと全押しの操作時間差により、防振システムを制御
する事、特にこの操作時間差が所定時間内のときは、防
振システムによる振れ補正の作動様式を変更する、つま
りこの実施の形態ではレリーズ操作部材303の半押し
と全押しの操作時間差が所定時間内のときは、予測目標
値で振れ補正を行うようにしている。また、この予測目
標値は該カメラの状態、例えば該カメラの焦点距離や、
該カメラのシャッタスピードや、該カメラのレリーズタ
イムラグ(フィルムへの露光操作から実際に露光が開始
されるまでの遅れ時間)により変更されるようにしてい
る。
【0181】これにより、レリーズ操作が乱雑な時に生
じる大きな振れも補正して、像精度を向上させることが
できる。
【0182】(実施の第3の形態)上記実施の第1の形
態で説明した様に、レリーズ操作時の大きな振れについ
ては振れ検出センサ312は精度よく検出できないため
に振れ補正を行うと却って像劣化するが、上記実施の第
2の形態の様に、この時の振れ波形が予測できたのと同
様に、この様に振れ検出センサ312の誤差出力も予測
可能である。
【0183】従って、この誤差出力も予測して振れ検出
センサ312の誤差と相殺すれば、この時にレリーズ操
作部材303の一気押し操作による大きな振れに重畳す
る通常の振れも検出可能になる。即ち、レリーズ操作部
材303の一気押し操作時の大きな振れを予測すると同
時に、この時の振れ検出センサ312の誤差出力も予測
で相殺し、該振れ検出センサ312から通常の手振れ成
分のみ抽出し、前記予測波形と混合して補正光学装置3
11を振れ補正駆動させる事でより、像精度をさらに向
上させることができる。
【0184】図22はこの様な考え方に基づいた本発明
の実施の第3の形態の動作を示すフローチャートであ
り、図21と異なるのは、ステップ#431の代わりに
ステップ#441を設け、ここで露光時予測値混合を行
い、ステップ#420にて振れ補正を開始する様にした
事である。尚、カメラの構成は図17及び図18と同様
であるものとする。
【0185】ステップ#441では、図20に示した予
測波形と振れ検出センサ312に生ずるであろう誤差出
力を相殺する波形と振れ検出センサ312の出力を混合
しており、この信号に基づいて、次のステップ#420
にて、補正光学装置311に振れ補正を行わせる。これ
により、レリーズ操作部材303の一気押し操作時に生
じる大きな振れと、それに重畳する通常の振れを同時に
補正することができる様になる。
【0186】以上の様に、振れ検出センサからの目標に
予測目標値を加えて振れ補正を行う(振れ補正の作動様
式を変更する)様にしているため、レリーズ操作が乱雑
な時に生じる大きな振れも補正して、実施の第2の形態
よりもさらに像精度を向上させることができる。
【0187】(実施の第4の形態)上記実施の第1の形
態において、防振システムは撮影時は常にオンになって
いたが、以下の図23及び図24の動作を行う実施の第
4の形態におけるカメラでは、撮影者の好みで撮影時に
振れ補正を禁止する事ができる。これは、意図的に手振
れを起こさせる撮影(例えば、流し撮り)を可能にさせ
る為である。尚、カメラの構成は図17及び図18と同
様であるものとする。
【0188】図18において、704は撮影時に振れ補
正を禁止する為の防振禁止スイッチであり、この防振禁
止スイッチ704を押しながら(オンしながら)撮影す
る、或いは、この防振禁止スイッチ704を押した後に
撮影すると、撮影時に振れ補正が行われなくなる。
【0189】図23及び図24は上記考え方に基づいた
動作を示すフローチャートであり、図12及び図13に
示した実施の第1の形態と異なるのは、図12に対応す
る図23にステップ#451を、図13に対応する図2
4にステップ#452を、それぞれ加えている点であ
る。又、図24のステップ#441は、図22に示した
実施の第3の形態で説明したステップ#441と同様の
動作を行う部分であり、その説明は省略する。
【0190】ここで、図23のステップ#451では、
防振禁止スイッチ704の状態を見ており、該防振禁止
スイッチ704が押されている(オンの状態)時は、ス
テップ#415を飛ばして図24のステップ#416に
進む。即ち、防振表示を行わない。そして、ステップ#
418にて、「t2>T」でないと判別した時(レリー
ズ操作部材303を一気押し操作した時)は、ステップ
#452へ進み、ここで防振禁止スイッチ704の状態
を再確認し、該防振禁止スイッチ704がオン、つまり
振れ補正が禁止されている時はステップ#421に進
み、露光動作を行う。
【0191】一方、上記ステップ#451,#452に
て防振禁止スイッチ704がオフの時は、ステップ#4
41へ進み、図22と同様に予測値を混合して、ステッ
プ#420へ進んで振れ補正する。
【0192】また、上記ステップ#418にて、「t2
>T」であると判別した時はステップ#420へ進み、
補正光学装置311は駆動するが、上記ステップ#45
1にて防振禁止スイッチ704がオンであった時は振れ
補正は行わない設定にしている。つまり、防振オフの時
は振れ補正のみ行わず、振れ検出センサ312等の防振
のメインシーケンスは動作している。これは、撮影者は
防振システムの使用,非使用を頻繁に切り換えることが
あり、防振システム全てをオフさせると、この度毎に防
振システムを起動させるのに時間がかかるので、カメラ
の機動性が低下することを防ぐためである。
【0193】これにより、防振システムを撮影者が自在
にオン,オフできる構成のカメラにおいてもカメラの機
動性を損なうことがなくなる。
【0194】以上の様に、防振システムの使用,非使用
を選択する防振禁止スイッチ(或いは防振切換スイッ
チ)とを備え、防振システムの非使用が選択されたとき
は、少なくともフィルムへの露光時の振れ補正は止め、
振れ検出センサは動作させる。また、防振システム非使
用と選択されたときには、防振表示は行わないが、振れ
検出センサは動作させるようにしている。
【0195】これにより、防振オン,オフを撮影者が選
択できるカメラシステムにおいても、カメラの機動性を
向上させる事ができる。
【0196】(実施の第5の形態)レリーズ操作部材の
一気押し操作に伴う大きな振れに対して、上記実施の第
2〜第4の形態では、補正光学装置を予測補正させるこ
とで対策した。この様な振れに対しては防振システムば
かりではなく、カメラシーケンス上でも対策可能であ
る。
【0197】レリーズ操作部材の一気押し操作に伴う大
きな振れに対して、失敗写真を作ってしまうことを防ぐ
ことを防止するもっとも簡単な方法は、前述の実施の第
1の形態の様に、レリーズロックして撮影禁止してしま
う事であるが、これ以外に、図19を見ても分る様に、
レリーズ操作部材の一気押し操作による大きな振れは、
時間が経つと収まる。そこで、この様な振れが生じた時
は、大きな振れが収まるまでレリーズタイミングをずら
す(レリーズタイムラグを延ばす)事でも、像劣化の対
策ができる。
【0198】図25はこの様な考え方に基づいたカメラ
シーケンスの要部のフローチャートであり、以下これを
本発明の実施の第5の形態として説明する。
【0199】上記実施の第4の形態における図24のフ
ローチャートと異なるのは、図24のステップ#441
の代わりにステップ#461を設け、ここでレリーズタ
イムラグ延長として一定時間待機する点にある。そし
て、一定時間待機後にステップ#420へ進み、防振オ
ンの時は振れ補正を開始し、露光を行う(ステップ#4
21)。
【0200】尚、レリーズ操作部材の一気押しの操作が
なされ、防振禁止スイッチのオンの時は、レリーズタイ
ムラグ延長は行わない。これは、防振オフを撮影者が選
択する時には速写性を求める時が多く、この様な時はレ
リーズタイムラグを延長しない方が良いからである。
【0201】以上の様に、レリーズ操作のタイミングを
見て振れの状態が分ること、そして、その状態に基づい
てカメラのレリーズタイムラグを変更する簡単な構成
で、像劣化を防ぐことができる。
【0202】(実施の第6の形態)上記の実施の第1〜
第5の形態において、防振不要と判別した時(実施の第
2〜第4の形態では、シャッタスピード等で自動的に振
れ補正オフ、実施の第4の形態では、撮影者の意志も加
わる)は、撮影時に振れ補正を行わない構成について述
べた。そして、これらの実施の形態においては、露光時
にのみ振れ補正を行う防振システムについて述べてき
た。ところが、露光前にも振れ補正を行うことでメリッ
トが出せるカメラ(TTL方式の光学系で測距,測光を
行うカメラ)もあり、この様な時は撮影前(測距,測光
時)に(撮影者が防振オフの操作をしていても)振れ補
正していた方が好ましい。
【0203】図26はこの様なカメラにおける防振に関
する部分の動作を示すフローチャートであり、このフロ
ーはカメラのレリーズ操作部材の半押し操作(s1信号
発生)でスタートする。尚、カメラの回路構成は図11
と同様であり、又該カメラには図18に示したのと同様
の防振禁止スイッチ704を有しているものとする。
【0204】ステップ#571では、振れ補正を開始さ
せ、この後はフローには記載していないが、測光,測
距,レンズ合焦駆動等を行う。この時点で防振オフの操
作が防振禁止スイッチ704にてなされていても、振れ
補正は行い、測光,測距精度を高くしている。
【0205】ステップ#572では、レリーズ操作部材
303の全押しがなされるまで待機し、全押しがなされ
るとステップ#573へ進み、防振禁止スイッチ704
の状態を判別し、防振オフの時(#573のYES)は
ステップ#574へ進み、防振オンの時(#573のN
O)はステップ#575へ進む。
【0206】ステップ#574では、振れ補正を止め
る。これは、撮影者が防振オフを望んでいるため、レリ
ーズ操作部材303の全押しの後は(撮影が始まるた
め)、振れ補正を止める為である。次のステップ#57
5では、フィルムへの露光を行う。続くステップ#57
6では、防振禁止スイッチ704の状態を再び判別し、
防振オンであればステップ#572に戻る。また、防振
禁止スイッチ704がオフであればステップ#577へ
進み、振れ補正を再び開始する(このステップ#577
は、上記ステップ#576で防振オフのときに進んでく
るため、このとき振れ補正は停止しているからであ
る)。そして、ステップ#572へ戻る。
【0207】この様に、防振オフの時にも撮影が開始さ
れるまでは振れ補正を行うようにしているため、測光,
測距等の精度を向上させることができ、また、この様に
防振オフの時には、撮影時のみ振れ補正だけ止めている
(振れ検出センサ等は動作させたまま)事で、直ちに振
れ補正開始の状態に復帰できる。
【0208】(発明と実施の形態の対応)上記実施の各
形態において、振れ検出センサ312が本発明の振れ検
出手段に、補正光学装置311が本発明の補正手段に、
それぞれ相当し、これらの手段を少なくとも構成要素と
して具備したものが本発明の防振装置である。
【0209】また、カメラマイコン301(予測量発生
回路314を含む場合もある)が本発明の防振制御手段
に、表示装置313が本発明の表示手段に、それぞれ相
当する。
【0210】以上が実施の形態の各構成と本発明の各構
成の対応関係であるが、本発明は、これら実施の形態の
構成に限定されるものではなく、請求項で示した機能、
又は実施の形態がもつ機能が達成できる構成であればど
のようなものであってもよいことは言うまでもない。
【0211】(変形例)本発明は、コンパクトカメラに
適用した例を述べているが、一眼レフカメラや、デジタ
ルカメラやビデオカメラにも適用可能である。
【0212】また、記録媒体としてフィルムを使用して
いるが、これ以外の画像記録媒体であっても適用できる
ものである。
【0213】また、本発明の振れ検出手段は、角加速度
計、加速度計、角速度計、速度計、角変位計、変位計、
更には画像の振れ自体を検出する方法等、振れが検出で
きるものであればどの様なものであっても良い。
【0214】また、本発明の補正手段は、光軸に垂直な
面内で光学部材を動かすシフト光学系を藻のものを例に
しているが、可変頂角プリズムのような光束変更手段で
あっても良く、更には光軸に垂直な画面内で撮影面を動
かすもの、更には画像処理により振れを補正するもの
等、振れが防止できるものであればどのようなものであ
っても良い。
【0215】更に、本発明は、以上の実施の各形態、又
はそれらの技術を適当に組み合わせた構成にしてもよ
い。
【0216】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
防振装置の非使用が選択された場合は、被写体が流れた
ような撮影を意図する等の撮影者の意志に添うように、
撮影時には振れ補正は止めるが、記録媒体への撮影が開
始されるまでは振れ補正を行うことの利益が多い(測
光,測距ポイントのずれによる誤測光,誤測距の防止
や、構図決めの容易さ等)ので振れ補正は行うようにし
ている為、撮影準備動作を適正に行え、記録媒体へ意図
した画像記録を行えるカメラを提供可能となる。
【0217】また、本発明によれば、防振装置の非使用
が選択された場合は、撮影者の意図に添う為に振れ補正
は行わないようにするが、出力が安定するまでに時間を
要する振れ検出手段は、その後の防振装置の使用が選択
された事に対する応答遅れが無いように(安定出力が直
ちに得られるように)動作させた状態にしておくように
している為、防振装置の使用が選択された際に、直ちに
適正な振れ補正動作を開始できるカメラを提供可能とな
る。
【0218】また、本発明によれば、防振装置の非使用
が選択された場合は、操作状態を明示する為に表示手段
の表示は止めるが、正確な振れ情報を出力するまでに比
較的時間を要する振れ検出手段は動作させたままにする
ようにしている為、振れ補正を行っているか否かの状態
を表示により認識させることができ、しかも防振装置の
使用が選択された際には、直ちに適正な振れ補正を開始
できるカメラを提供可能となる。
【0219】また、本発明によれば、シャッタスピード
によって、画像記録時に生じる振れの画像への影響が異
なることから、シャッタスピードに基づいて振れ補正を
行か否かを決定するようにしている為、シャッタスピー
ドによって振れ補正の可否を自動的に判別できるカメラ
を提供可能となる。
【0220】また、本発明によれば、シャッタスピード
が所定のシャッタスピードよりも速い時には、振れの影
響が殆どないので補正手段による振れ補正は行わないよ
うにするが、正確な振れ情報を出力するまでに比較的時
間を要する振れ検出手段は動作させたままにするように
している為、シャッタスピードによって振れ補正の可否
を自動的に判別することができ、しかも防振装置が選択
された際に、直ちに適正な振れ補正動作を開始できるカ
メラを提供可能となる。
【0221】また、本発明によれば、シャッタスピード
が所定のシャッタスピードよりも速い時には、振れの影
響が殆どないので補正手段による振れ補正は行わないよ
うにするが、前記シャッタスピードは撮影者の操作等に
よって頻繁に切り換わることがあり、これに追従させて
表示を度々切り換える事は撮影者に戸惑いを与える等適
正でないことから、表示手段での表示は行わせたままに
するようにしている為、シャッタスピードによって振れ
補正の可否を自動的に判別することや振れ補正を行って
いるか否かの状態を表示により認識させることができ、
しかも頻繁に振れ補正の状態が変更される場合であって
も、安心して防振機能を持つ該カメラを撮影者に使用さ
せる得るカメラを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の各形態に係るコンパクトカメラ
に具備される振動ジャイロの機械的構成の一例を示す斜
視図である。
【図2】図1の振動ジャイロの信号処理系を示すブロッ
ク図である。
【図3】本発明の実施の各形態に係るコンパクトカメラ
のファインダ表示装置の一例を示す斜視図である。
【図4】図3のファインダ表示装置において防振表示を
実現する為のLEDの点灯タイミングを説明する図であ
る。
【図5】図3のファインダ表示装置おいてファインダ内
での表示の一例を示す図である。
【図6】図3の防振表示機能を具備したファインダ表示
装置の信号処理系を示すブロック図である。
【図7】図6の信号処理系を用いて防振表示を行う際の
動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の各形態に係るコンパクトカメラ
に具備される補正光学装置の機械的構成の一例を示す斜
視図である。
【図9】図8のモータの出力軸に固定される送り螺子部
分の詳細及びその変形例を拡大して示す側面図である。
【図10】図8のモータによりレンズホルダーを移動さ
せる為の機構部分を拡大して示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の第1の形態に係るコンパクト
カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図12】図11のカメラの一連の動作のうちの一部を
示すフローチャートである。
【図13】図12の動作の続きを示すフローチャートで
ある。
【図14】図11のカメラにおいて振れ検出センサの出
力が安定するまでレリーズロックを行う部分について詳
細に説明する為のフローチャートである。
【図15】図11のカメラにおいて防振システムを使用
しない場合の動作部分に主に説明する為のフローチャー
トである。
【図16】図11のカメラのシーケンスと防振システム
との関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の第2の形態に係るコンパクト
カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図18】図17のカメラの側面図である。
【図19】図17のカメラに加わる手振れ波形を示す図
である。
【図20】図17のカメラのレリーズ操作部材を一気押
しした時の振れを拡大して示す図である。
【図21】本発明の実施の第2の形態に係るコンパクト
カメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施の第3の形態に係るコンパクト
カメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図23】本発明の実施の第4の形態に係るコンパクト
カメラの一連の動作のうちの一部を示すフローチャート
である。
【図24】図23の動作の続きを示すフローチャートで
ある。
【図25】本発明の実施の第5の形態に係るコンパクト
カメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施の第6の形態に係るコンパクト
カメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図27】従来の防振システムを備えたコンパクトカメ
ラを示す斜視図である。
【符号の説明】
11 振動子 12 磁石 13,14 圧電素子 20 コイル 21 フォトリフレクタ 41 光源 42 マスク 43,44 振れ検出センサ 45,46 結像レンズ 53 防振指標 81 MPU 84 LED 85 駆動回路 86,88 振れ検出センサ 87,89 位置検出センサ 201 レンズホルダー 202 補正レンズ 203 地板 206,210 モータ 207,211 送り螺子 208,212 ナット 209,213 ばね 301 カメラマイコン 303 レリーズ操作部材 311 補正光学装置 312 振れ補正センサ 313 表示装置 134 予測量発生回路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振れを補正する防振装置と、該防振装置
    の使用、非使用を選択する操作手段とを有するカメラに
    おいて、前記操作手段により前記防振装置の非使用が選
    択された場合でも、記録媒体への画像記録が開始される
    までは、前記防振装置による振れ補正動作を行わせる防
    振制御手段を有したことを特徴とするカメラ。
  2. 【請求項2】 振れを検出する振れ検出手段と該振れ検
    出手段の出力を基に前記振れを補正する為の補正手段と
    を備えた防振装置と、該防振装置の使用、非使用を選択
    する操作手段とを有するカメラにおいて、前記操作手段
    により前記防振装置の非使用が選択された場合は、前記
    補正手段は非作動状態にするが、前記振れ検出手段は作
    動状態にする防振制御手段を有したことを特徴とするカ
    メラ。
  3. 【請求項3】 振れ補正を行っていることの表示を行う
    表示手段を有し、前記防振制御手段は、前記操作手段に
    より前記防振装置の非使用が選択された場合は、前記表
    示手段での表示は行わせないが、前記防振装置の構成要
    素の一つである振れ検出手段による振れ検出動作は行わ
    せることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
  4. 【請求項4】 振れを補正する防振装置を有するカメラ
    において、シャッタスピードに基づいて、前記防振装置
    による振れ補正を行わせるか否かを選択する防振制御手
    段を有することを特徴とするカメラ。
  5. 【請求項5】 前記防振装置は、振れを検出する振れ検
    出手段と、該振れ検出手段の出力を基に前記振れを補正
    する為の補正手段とを有し、前記防振制御手段は、シャ
    ッタスピードが所定のシャッタスピードよりも速い時に
    は、前記補正手段を非作動状態にするが、前記振れ検出
    手段は作動状態にすることを特徴とする請求項4記載の
    カメラ。
  6. 【請求項6】 振れ補正を行っていることの表示を行う
    表示手段を有し、前記防振制御手段は、シャッタスピー
    ドが所定のシャッタスピードよりも速い時には、前記補
    正手段は非作動状態にするが、前記表示手段での表示は
    行わせることを特徴とする請求項4又は5記載のカメ
    ラ。
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