JPH10338630A - 精油を用いた真菌感染拡散防止剤 - Google Patents
精油を用いた真菌感染拡散防止剤Info
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- JPH10338630A JPH10338630A JP9148744A JP14874497A JPH10338630A JP H10338630 A JPH10338630 A JP H10338630A JP 9148744 A JP9148744 A JP 9148744A JP 14874497 A JP14874497 A JP 14874497A JP H10338630 A JPH10338630 A JP H10338630A
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- Japan
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- oil
- essential oil
- fungal infection
- essential
- growth
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- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 真菌の感染拡散を防止すること
【解決手段】 精油の中に安全性が高く、真菌の胞子形
成を抑制したり、菌糸の成長及び再増殖を抑制すること
により真菌の感染拡散を防止する薬剤を見出した。
成を抑制したり、菌糸の成長及び再増殖を抑制すること
により真菌の感染拡散を防止する薬剤を見出した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真菌感染の拡散を防
止するための薬剤に関する。
止するための薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、真菌を含む微生物の殺菌方法とし
ては紫外線やγ線の照射による物理的殺菌法、または、
ホルムアルデヒドやエチレンオキサイドによるガス殺菌
法が使用されている。しかし、紫外線やγ線の照射は局
部しか殺菌できないし、ホルムアルデヒドやエチレンオ
キサイドは人体に有害である。
ては紫外線やγ線の照射による物理的殺菌法、または、
ホルムアルデヒドやエチレンオキサイドによるガス殺菌
法が使用されている。しかし、紫外線やγ線の照射は局
部しか殺菌できないし、ホルムアルデヒドやエチレンオ
キサイドは人体に有害である。
【0003】真菌は、動物や植物の病原菌、穀類・果物
・食品の腐敗菌、中毒菌、アレルギ−惹起菌など有害な
ものが知られている。一般に真菌は容易にたくさんの胞
子を作り、その胞子を風、水流、媒介生物を通して外界
に拡散させることにより、広範囲の場所を汚染すること
で恐れられている。しかも、一旦形成された胞子は比較
的安定で、不活化して除くことは極めて困難である。も
しこのような胞子の形成を阻害できれば、真菌による感
染は局限されて制御しやすくなる。しかし、真菌の胞子
形成は極めて容易に起こり、それを特異的に阻害する手
段はまだ知られていない。また、真菌、とりわけ糸状菌
は分枝を起こしながら先端伸長により成長する。
・食品の腐敗菌、中毒菌、アレルギ−惹起菌など有害な
ものが知られている。一般に真菌は容易にたくさんの胞
子を作り、その胞子を風、水流、媒介生物を通して外界
に拡散させることにより、広範囲の場所を汚染すること
で恐れられている。しかも、一旦形成された胞子は比較
的安定で、不活化して除くことは極めて困難である。も
しこのような胞子の形成を阻害できれば、真菌による感
染は局限されて制御しやすくなる。しかし、真菌の胞子
形成は極めて容易に起こり、それを特異的に阻害する手
段はまだ知られていない。また、真菌、とりわけ糸状菌
は分枝を起こしながら先端伸長により成長する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は従来のガス
殺菌法では温血動物に対して有害であり、殺菌からもれ
た胞子( 分生子を含む) 形成能を有する真菌の感染拡散
が防げない欠点を克服し、その温血動物に対する毒性を
低下させ、胞子形成を阻害したり、または菌糸の成長と
再増殖を停止または抑制することにより、真菌感染の拡
散を防止する薬剤を提供することを目的としている。
殺菌法では温血動物に対して有害であり、殺菌からもれ
た胞子( 分生子を含む) 形成能を有する真菌の感染拡散
が防げない欠点を克服し、その温血動物に対する毒性を
低下させ、胞子形成を阻害したり、または菌糸の成長と
再増殖を停止または抑制することにより、真菌感染の拡
散を防止する薬剤を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を重
ねた結果、精油のなかに真菌の胞子形成阻害活性を有
し、温血動物に対する安全性の高い、真菌感染拡散防止
剤を見いだし、本発明に至った。本発明において、精油
とは種々の植物体から主として水蒸気蒸留によって得ら
れる、芳香性揮発性油状物をいう。また、負荷量とは1.
3リットルの単位空間容積当たりの精油、精油を含む植
物の重量のことであり、呼吸阻害濃度においてIC 50とは
真菌の酸素消費速度を50%低下させるための薬剤の濃度
を示す。
ねた結果、精油のなかに真菌の胞子形成阻害活性を有
し、温血動物に対する安全性の高い、真菌感染拡散防止
剤を見いだし、本発明に至った。本発明において、精油
とは種々の植物体から主として水蒸気蒸留によって得ら
れる、芳香性揮発性油状物をいう。また、負荷量とは1.
3リットルの単位空間容積当たりの精油、精油を含む植
物の重量のことであり、呼吸阻害濃度においてIC 50とは
真菌の酸素消費速度を50%低下させるための薬剤の濃度
を示す。
【0006】一般に真菌の菌体は疎水性が高いが、とり
わけ基底菌糸に比べて気菌糸の疎水性が高く、更に発酵
主体の基底菌糸に対して気菌糸は呼吸活性が高い。従っ
て、呼吸活性を阻害すれば胞子形成の抑制につながる可
能性が考えられる。 本発明において胞子形成阻害活性
は顕微鏡にて観察した胞子形成の有無により判定した。
また、温血動物に対する安全性についてはマウスを用い
た吸入試験で、肺および脳に対する病理学的所見により
確認した。
わけ基底菌糸に比べて気菌糸の疎水性が高く、更に発酵
主体の基底菌糸に対して気菌糸は呼吸活性が高い。従っ
て、呼吸活性を阻害すれば胞子形成の抑制につながる可
能性が考えられる。 本発明において胞子形成阻害活性
は顕微鏡にて観察した胞子形成の有無により判定した。
また、温血動物に対する安全性についてはマウスを用い
た吸入試験で、肺および脳に対する病理学的所見により
確認した。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は精油、精油を含む植物片
またはその主要成分を真菌に、1 mg/l〜400 mg/lの濃度
で密封したところで一定時間暴露することにより真菌の
胞子形成を阻害することにより感染の拡散を防止する。
胞子形成時期及び環境により異なり、貧栄養状態では形
成し易い。本発明は胞子形成の予防なので、事前に1日
以上の暴露が好ましい。また、より好ましくは2−3日
間暴露するのがよい。この場合、精油としては例えば、
しそ油、ティ−トリ−油、ラベンダ−油、ゆず油、タイ
ム、レモングラスが挙げられ、精油を含む植物片として
は例えば、青しそ葉、ゆずの皮が挙げられ、精油の主要
成分としては例えば、リモネン、リナリ−ル・アセテ−
ト、リナロール、ペリルアルデヒド、チトラール、カル
バクロ−ル、チモ−ル、ヒノキチオ−ルなどが挙げられ
る。
またはその主要成分を真菌に、1 mg/l〜400 mg/lの濃度
で密封したところで一定時間暴露することにより真菌の
胞子形成を阻害することにより感染の拡散を防止する。
胞子形成時期及び環境により異なり、貧栄養状態では形
成し易い。本発明は胞子形成の予防なので、事前に1日
以上の暴露が好ましい。また、より好ましくは2−3日
間暴露するのがよい。この場合、精油としては例えば、
しそ油、ティ−トリ−油、ラベンダ−油、ゆず油、タイ
ム、レモングラスが挙げられ、精油を含む植物片として
は例えば、青しそ葉、ゆずの皮が挙げられ、精油の主要
成分としては例えば、リモネン、リナリ−ル・アセテ−
ト、リナロール、ペリルアルデヒド、チトラール、カル
バクロ−ル、チモ−ル、ヒノキチオ−ルなどが挙げられ
る。
【0008】また、本発明は精油またはその主要成分を
真菌に、1 mg/l〜400 mg/lの濃度で密封したところで10
分〜30分間暴露することにより真菌の菌糸成長および再
増殖を抑制することにより真菌感染を防止する。この場
合、精油としては例えば、しそ油、シナモンバーク、レ
モングラ−ス、タイム等が挙げられる。また、その主要
成分としてはペリルアルデヒド、挂皮アルデヒド、チト
ラ−ル、カルバクロ−ル、チモ−ル等が挙げられる。
真菌に、1 mg/l〜400 mg/lの濃度で密封したところで10
分〜30分間暴露することにより真菌の菌糸成長および再
増殖を抑制することにより真菌感染を防止する。この場
合、精油としては例えば、しそ油、シナモンバーク、レ
モングラ−ス、タイム等が挙げられる。また、その主要
成分としてはペリルアルデヒド、挂皮アルデヒド、チト
ラ−ル、カルバクロ−ル、チモ−ル等が挙げられる。
【0009】真菌としては例えば、Rhizopus oryzae 、
Aspergillus fumigatus、Penicilliumexpansum、Fusari
um solani等が挙げられる。最適な負荷量は使用する精
油および相手の真菌の種類によっても異なる。作用場所
は密閉された空間のほうが好ましく、温度は室温で施行
するのが経済的であるが、必要があればランプ等で加熱
して精油蒸気の濃度を高めて使用することもできる。ま
た、必要があれば他の抗真菌剤との併用も可能である。
また、暴露する方法としては精油またはその主要成分の
酢酸エチル溶液を加熱気化させることにより暴露させた
り、70%-95%のアルコール溶液を噴霧したり、エアゾー
ル剤として噴霧すること等が挙げられる。適用場所は真
菌による汚染が心配なすべての場所が含まれる。例えば
易感染患者の収容されている病室、穀物・食品の保管場
所、さらに家庭内の真菌に汚染されやすい浴室などが挙
げられる。また、安全性については本発明者らのマウス
を用いた吸入試験でも、しそ油、シナモンバ−クは体内
に検出されず、組織の病理検索でも異常は認められなか
った。レモングラ−スの吸入試験は行なっていないが、
その主要成分のチトラ−ルのラット吸入試験では安全性
が確かめられている (C.L.Gaworski, et al: Fd.Chem.
Toxic. 30, No.4, 269-275, 1992) 。さらに、Buchbaue
r らのマウス吸入試験でもフェノ−ル類は血中に検出さ
れず(J. Pharm. Sci. 82,No.6, 660-664, 1993) 、安全
性は高いと推定される。
Aspergillus fumigatus、Penicilliumexpansum、Fusari
um solani等が挙げられる。最適な負荷量は使用する精
油および相手の真菌の種類によっても異なる。作用場所
は密閉された空間のほうが好ましく、温度は室温で施行
するのが経済的であるが、必要があればランプ等で加熱
して精油蒸気の濃度を高めて使用することもできる。ま
た、必要があれば他の抗真菌剤との併用も可能である。
また、暴露する方法としては精油またはその主要成分の
酢酸エチル溶液を加熱気化させることにより暴露させた
り、70%-95%のアルコール溶液を噴霧したり、エアゾー
ル剤として噴霧すること等が挙げられる。適用場所は真
菌による汚染が心配なすべての場所が含まれる。例えば
易感染患者の収容されている病室、穀物・食品の保管場
所、さらに家庭内の真菌に汚染されやすい浴室などが挙
げられる。また、安全性については本発明者らのマウス
を用いた吸入試験でも、しそ油、シナモンバ−クは体内
に検出されず、組織の病理検索でも異常は認められなか
った。レモングラ−スの吸入試験は行なっていないが、
その主要成分のチトラ−ルのラット吸入試験では安全性
が確かめられている (C.L.Gaworski, et al: Fd.Chem.
Toxic. 30, No.4, 269-275, 1992) 。さらに、Buchbaue
r らのマウス吸入試験でもフェノ−ル類は血中に検出さ
れず(J. Pharm. Sci. 82,No.6, 660-664, 1993) 、安全
性は高いと推定される。
【0010】
【実施例】本発明を以下の実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0011】実施例1. 胞子形成阻害活性の試験 容量1.3リットルのタイトボックス( ジャレ−社製) に
一定量の精油を入れた小型ガラスシャ−レを置く。内径
8.5 センチのプラスチック・シャ−レにRPMI1640( アミ
ノ酸主体の合成培地) を含む1.5%寒天培地 10ml にAspe
rgillus fumigatus今関株を1 x 105 個接種してからタ
イトボックスに入れ、27℃ 3日間培養した。精油を入れ
ないコントロ−ル箱では顕微鏡を用いて観察した結果、
2-3 日目に胞子の着生が認められた。一方、精油を入れ
た場合は 表1 に示すように胞子の形成が全く認められ
ないか、軽減された。
一定量の精油を入れた小型ガラスシャ−レを置く。内径
8.5 センチのプラスチック・シャ−レにRPMI1640( アミ
ノ酸主体の合成培地) を含む1.5%寒天培地 10ml にAspe
rgillus fumigatus今関株を1 x 105 個接種してからタ
イトボックスに入れ、27℃ 3日間培養した。精油を入れ
ないコントロ−ル箱では顕微鏡を用いて観察した結果、
2-3 日目に胞子の着生が認められた。一方、精油を入れ
た場合は 表1 に示すように胞子の形成が全く認められ
ないか、軽減された。
【0012】呼吸阻害濃度は滅菌したYPD ブロス( イ−
スト・エキストラクト1%、ポリペプトン2%、グルコ−ス
2%) で3 日間回転培養した菌体を遠心濾過し、新たに滅
菌したYPD ブロス3ml に懸濁し、精油のDMSO( ジメチル
スルフォキサイド) 溶液を一定量加え、酸素電極モニタ
−(YSI社製、アメリカ) を用いて、30℃で測定した。各
種濃度での酸素消費速度から50% 消費速度減少の精油濃
度(IC50)を求めて表1に示した。なお、本試験における
ラベンダ−(富良野)の蒸気濃度は50 mg/1.3Lで、27
℃、2 時間で1.30μg/ccであった。
スト・エキストラクト1%、ポリペプトン2%、グルコ−ス
2%) で3 日間回転培養した菌体を遠心濾過し、新たに滅
菌したYPD ブロス3ml に懸濁し、精油のDMSO( ジメチル
スルフォキサイド) 溶液を一定量加え、酸素電極モニタ
−(YSI社製、アメリカ) を用いて、30℃で測定した。各
種濃度での酸素消費速度から50% 消費速度減少の精油濃
度(IC50)を求めて表1に示した。なお、本試験における
ラベンダ−(富良野)の蒸気濃度は50 mg/1.3Lで、27
℃、2 時間で1.30μg/ccであった。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 実施例1 において、A.fumigatus 今関株の代わりにFusa
riumsolani TIMM0692を用いて表2 に示す結果を得た。
riumsolani TIMM0692を用いて表2 に示す結果を得た。
【0015】
【表2】
【0016】実施例3 実施例1においてA.fumigatus 今関株の代わりにPenici
llium expansum TIMM1293 を用いて試験をして、表3 に
示す結果を得た。
llium expansum TIMM1293 を用いて試験をして、表3 に
示す結果を得た。
【0017】
【表3】
【0018】実施例4 実施例1 においてA.fumigatus 今関株の代わりにRhizop
usoryzae IFM40787を用いて試験して、表4 に示す結果
を得た。
usoryzae IFM40787を用いて試験して、表4 に示す結果
を得た。
【0019】
【表4】
【0020】実施例5 実施例1と同様のことをRhizopusoryzae IFM40787を用
いて、ゆず皮にて負荷量を2.5g/1.3Lで試験し、また、F
usariumsolani TIMM0692を用いて、青しそにて負荷量を
2.5g/1.3Lで試験した。なお、ゆず皮は細かく裁断して
試験に供し、青しそは市販製品を手でもみくだいて試験
に供し、表5に示す結果を得た。
いて、ゆず皮にて負荷量を2.5g/1.3Lで試験し、また、F
usariumsolani TIMM0692を用いて、青しそにて負荷量を
2.5g/1.3Lで試験した。なお、ゆず皮は細かく裁断して
試験に供し、青しそは市販製品を手でもみくだいて試験
に供し、表5に示す結果を得た。
【0021】
【表5】
【0022】実施例6 水に5 時間浸した米粒を水切りし、100ml の三角フラス
コに入れて、脱脂大豆を2.5%添加して、オ−トクレ−ブ
で121 ℃20分間加熱滅菌した。A.fumigatus 今関株を2
エ−ゼ植菌し、リナリ−ルアセテ−ト400mg を含む小型
シャ−レと同時にタイトボックス(1.3L)に入れて、室温
で1 週間放置した。精油を添加しない場合は、米粒は緑
色の胞子で一面覆われたが、リナリ−ルアセテ−ト添加
では菌糸の成長は認めたが、胞子は殆ど見られず、着色
もなかった。
コに入れて、脱脂大豆を2.5%添加して、オ−トクレ−ブ
で121 ℃20分間加熱滅菌した。A.fumigatus 今関株を2
エ−ゼ植菌し、リナリ−ルアセテ−ト400mg を含む小型
シャ−レと同時にタイトボックス(1.3L)に入れて、室温
で1 週間放置した。精油を添加しない場合は、米粒は緑
色の胞子で一面覆われたが、リナリ−ルアセテ−ト添加
では菌糸の成長は認めたが、胞子は殆ど見られず、着色
もなかった。
【0023】実施例7.容量8.5cm3の小型シャ−レにRPM
I 1640(アミノ酸主体の合成培地) を含む1.5%寒天1ml
を入れ、Aspergillus fumigatus 今関株の分生子約100
個を植菌して、27℃2 日間培養した。この小型シャ−レ
の上蓋の裏側に張りつけた濾紙に100mg/mlの精油の酢酸
エチル溶液を1mg/シャ−レ(6.3mg/L) および10mg/ シャ
−レ(63mg/L)になるように添加した。風乾後、上蓋をし
めて菌糸の成長を30℃で測定した。30分間蒸気を暴露
後、上蓋の濾紙をとり去ってさらに3 日間27℃で培養し
て、コロニ−の拡大の有無から再増殖を判定した。本実
験条件ではシールしないシャーレからは全て1日で、吸
着していた精油は全て飛散することを確認した。その結
果を表6に示す。なお、1mg/シャ−レ(6.3mg/L) 負荷に
おけるしそ油の蒸気濃度を25℃で測定した結果では、15
分で0.18μg/cc, 30分で0.2μg/ccであった。一方、ペ
リルアルデヒドは同じ条件で15分で0.20μg/cc、30分で
0.3μg/ccであった。
I 1640(アミノ酸主体の合成培地) を含む1.5%寒天1ml
を入れ、Aspergillus fumigatus 今関株の分生子約100
個を植菌して、27℃2 日間培養した。この小型シャ−レ
の上蓋の裏側に張りつけた濾紙に100mg/mlの精油の酢酸
エチル溶液を1mg/シャ−レ(6.3mg/L) および10mg/ シャ
−レ(63mg/L)になるように添加した。風乾後、上蓋をし
めて菌糸の成長を30℃で測定した。30分間蒸気を暴露
後、上蓋の濾紙をとり去ってさらに3 日間27℃で培養し
て、コロニ−の拡大の有無から再増殖を判定した。本実
験条件ではシールしないシャーレからは全て1日で、吸
着していた精油は全て飛散することを確認した。その結
果を表6に示す。なお、1mg/シャ−レ(6.3mg/L) 負荷に
おけるしそ油の蒸気濃度を25℃で測定した結果では、15
分で0.18μg/cc, 30分で0.2μg/ccであった。一方、ペ
リルアルデヒドは同じ条件で15分で0.20μg/cc、30分で
0.3μg/ccであった。
【0024】
【表6】
【0025】実施例8 精油としてしそ油とペリルアルデヒドを用い、Penicill
ium expansum TIMM1293に対する試験を実施例7と同様
に行い、表7に示す結果を得た。
ium expansum TIMM1293に対する試験を実施例7と同様
に行い、表7に示す結果を得た。
【0026】
【表7】
【0027】実施例9 精油としてしそ油、シナモンバ−ク、レモングラ−ス、
タイム を用い、Fusariumsolani TIMM0692に対する試験
を実施例7と同様に行い、表8に示す結果を得た。
タイム を用い、Fusariumsolani TIMM0692に対する試験
を実施例7と同様に行い、表8に示す結果を得た。
【0028】
【表8】
【0029】実施例10 精油としてしそ油とタイム を用い、Rhizopusoryzae IF
M40787に対する試験を実施例7と同様に行い、表9に示
す結果を得た。
M40787に対する試験を実施例7と同様に行い、表9に示
す結果を得た。
【0030】
【表9】
【0031】実施例11 1 群6 頭のICR 雄マウス(4週令) を2 頭づつ50L の密閉
したプラスチック箱に収容し、1 日1 回新鮮なしぞ油お
よびシナモンバ−クを10mg/L濾紙につけて負荷した。そ
の間餌と水は自由摂取させた。7 日間連続吸入後、血液
および脳、肺と気管支の蓄積量と組織の病理検索を行
い、表10に示す結果を得た。
したプラスチック箱に収容し、1 日1 回新鮮なしぞ油お
よびシナモンバ−クを10mg/L濾紙につけて負荷した。そ
の間餌と水は自由摂取させた。7 日間連続吸入後、血液
および脳、肺と気管支の蓄積量と組織の病理検索を行
い、表10に示す結果を得た。
【0032】
【表10】
【0033】
【0034】
【発明の効果】本発明は、胞子形成能を有する真菌の胞
子形成活性を抑制し、真菌の菌糸成長および再増殖を停
止させることにより、安全性の高い、真菌感染拡散防止
剤として有用である。
子形成活性を抑制し、真菌の菌糸成長および再増殖を停
止させることにより、安全性の高い、真菌感染拡散防止
剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 35/02 A01N 35/02 35/06 35/06 37/02 37/02 65/00 65/00 A A61K 31/11 A61K 31/11 35/78 35/78 C K Q C11B 9/00 C11B 9/00 Z (72)発明者 赤尾 三太郎 千葉市若葉区北大宮台30の7 (72)発明者 西山 彌生 多摩市愛宕4 の41の3 の1002 (72)発明者 山口 英世 川崎市多摩区栗谷2 の15の5
Claims (5)
- 【請求項1】精油、精油を含む植物片または精油の主要
成分を含有することを特徴とする真菌感染拡散防止剤 - 【請求項2】真菌の胞子形成を阻害することにより真菌
感染拡散を防止する請求項1記載の真菌感染拡散防止剤 - 【請求項3】精油としてはしそ油、ティ−トリ−油、ラ
ベンダ−油、ゆず油、レモングラ−ス、タイム、精油を
含む植物片として青しそ葉、ゆずの皮、精油の主要成分
としてはリモネン、リナリ−ル・アセテ−ト、リナロ−
ル、ペリルアルデヒド、チトラ−ル、カルバクロ−ル、
チモ−ル、ヒノキチオ−ルを用いるところの請求項2記
載の真菌感染拡散防止剤 - 【請求項4】真菌の菌糸成長および再増殖を抑制するこ
とにより真菌感染拡散を防止する請求項1記載の真菌感
染拡散防止剤 - 【請求項5】精油としてはしそ油、シナモンバ−ク、レ
モングラ−ス、タイム、植物精油の主要成分としてはペ
リルアルデヒド、挂皮アルデヒド、チトラ−ル、カルバ
クロ−ル、チモ−ルを用いるところの請求項4記載の真
菌感染拡散防止剤
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9148744A JPH10338630A (ja) | 1997-06-06 | 1997-06-06 | 精油を用いた真菌感染拡散防止剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9148744A JPH10338630A (ja) | 1997-06-06 | 1997-06-06 | 精油を用いた真菌感染拡散防止剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10338630A true JPH10338630A (ja) | 1998-12-22 |
Family
ID=15459659
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9148744A Pending JPH10338630A (ja) | 1997-06-06 | 1997-06-06 | 精油を用いた真菌感染拡散防止剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10338630A (ja) |
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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