JPH10337598A - 汚泥遠心脱水機の運転制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 含水率の変化に追従した適切な回転トルク設
定及び薬品注入率設定命令を出力することができる汚泥
遠心脱水機の運転制御方法を提供すること。 【解決手段】 回転筒とスクリューコンベアを組み合わ
せた汚泥遠心脱水機において、その遠心力と圧搾力によ
り供給汚泥の脱水分離を行う際、スクリューコンベアの
トルクが一定となるように回転筒とスクリューコンベア
の回転数の差速を制御する。その際、脱水汚泥ケーキの
含水率の変化を把握し、その増減に応じた回転トルク設
定及び薬品注入率設定命令を発する調節機能２１と、脱
水汚泥ケーキの含水率の変化に即応して最適な含水率に
戻すための知識ベースとしての汚泥供給量、汚泥濃度、
汚泥温度、トルク計測値、薬品注入率の汚泥遠心脱水機
運転状況データ及びこれに対応した回転トルク設定と薬
品注入率設定命令を制御パラメータとするデータベース
２２とを具備させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、下水や汚水の処理
に際して、汚泥脱水ケーキの含水率を一定に保つ汚泥遠
心脱水機の運転制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】遠心脱水機は、遠心力を利用して脱水分
離するものであり、横形連続式遠心脱水機の構造例を図
３に示す（参考文献；社団法人日本下水道協会発行「下
水道維持管理指針１９９１年版」５０２頁）。図中、１
０１は回転筒、１０２はスクリューコンベア、１０３は
汚泥・薬品供給用２重管、１０４はハウジング、１０５
は前記回転筒１０１を回転駆動する主電動機、１０６は
コンベア駆動用電動機、１０７はギヤボックスである。
回転筒１０１は一定速度の高速回転、スクリューコンベ
ア１０２は回転筒１０１の回転数より低い回転とする。

【０００３】汚泥・薬品供給用２重管１０３を通じて供
給された汚泥及び混合液は、スクリューコンベア１０２
の途中の開口から回転筒１０１内に噴出し、遠心力と圧
搾力により脱水分離される。つまり、脱水汚泥ケーキａ
と液ｂに分離される。

【０００４】現在の汚泥遠心脱水機の運転制御は、汚泥
脱水ケーキの含水率を略一定に保つように行っている。
それには、汚泥を定量供給することを前提として、脱水
機本体（回転筒１０１）の回転と、脱水機本体内のスク
リューコンベア１０２の回転に回転差（これを差速と称
する）を与え、この差速の変化により生じるスクリュー
コンベア回転トルクを計測し、この回転トルクを一定に
保つように差速を制御する。

【０００５】従って、供給汚泥濃度及び汚泥性状が変化
すると、汚泥焼却あるいは搬出に最適な汚泥ケーキが得
られなくなる状況となるので、トルク設定の変更、薬品
注入率の変更を人的介在により行うことを余儀なくされ
ており、脱水機の運転状況を把握した上でのフィードフ
ォワード制御を行っていないのが実情である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、脱水
汚泥ケーキの含水率を常時把握した上でのトルク制御、
薬品注入率制御ではないので、 (1) 降雨時の下水幹線に堆積した汚泥の流入による汚泥
濃度の変化と、汚泥成分としての有機分、無機分の比率
変化による汚泥性状変化 (2) 夏場の汚泥腐敗に伴う汚泥粒子の細分化増進による
汚泥性状変化 (3) 生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥等の混合比変更による
汚泥性状変化 に適切に対応できない状況が生じる。このことは、汚泥
脱水ケーキの含水率を一定に保ち、汚泥処理プロセスを
適正に維持して行く上での障害となっている。

【０００７】そこで本発明は、上記課題を解決し、含水
率の変化に追従した適切な回転トルク設定及び薬品注入
率設定命令を出力することができる汚泥遠心脱水機の運
転制御方法を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、汚泥と凝縮剤
混合液を回転筒内に供給し、遠心力とスクリューコンベ
アの圧搾力により脱水分離して、脱水汚泥ケーキを形成
する汚泥遠心脱水機の運転制御方法において、脱水汚泥
ケーキの含水率の変化を含水率計により把握し、その増
減に応じた回転トルク設定及び薬品注入率設定命令を発
する調節機能と、脱水汚泥ケーキの含水率の変化に即応
して最適な含水率に戻すための知識ベースとしての汚泥
供給量、汚泥濃度、汚泥温度、差速変化により生じるス
クリューコンベアのトルク計測値、薬品注入率の汚泥遠
心脱水機運転状況データ及びこれに対応した回転トルク
設定と薬品注入率設定命令を制御パラメータとするデー
タベースとを備え、所定の順序で主要制御パラメータの
設定変更を行ってその結果を監視し、目標不達成の時に
は設定可能範囲内で設定変更を所定回数繰り返すことを
特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１及び図２に本発明の一実施形
態を示す。図中、１は汚泥遠心脱水機、２は汚泥槽、３
は水と凝集剤の混合液を貯留する薬品槽である。汚泥
は、ポンプ４により汚泥槽２から汚泥遠心脱水機１に供
給する。汚泥供給路には濃度計５と流量計６を設置し、
その流量計測信号を汚泥供給量設定器７の設定信号と共
に流量調節器８に与えて、ポンプ４を制御するようにし
ている。また、凝集剤混合液は、ポンプ９により薬品槽
３から汚泥遠心脱水機１に供給する。凝集剤混合液供給
路には流量計１０を設置し、その流量計測信号を比率設
定器１１の出力と共に流量調節器１２に与えて、ポンプ
９を制御するようにしている。比率設定器１１は、汚泥
供給路の流量計６の出力（汚泥流量計測信号）と薬品注
入率設定器１３の出力（設定信号）を受け、汚泥流量に
応じて薬品注入率の設定値を調整する。

【００１０】前記汚泥遠心脱水機１には、そのスクリュ
ーコンベア１０２の回転トルクを検出するためにトルク
計１４を取り付け、その検出信号をトルク設定器１５の
出力（設定信号）と共にトルク調節器１６に与えて、コ
ンベア駆動用電動機１０６を可変速運転するようにして
いる。汚泥遠心脱水機１の主電動機１０５は、定速度運
転とする。スクリューコンベア１０２は、回転筒１０１
の回転数より低い回転とする。

【００１１】なお、１７は制御渋滞警報器である。ま
た、図示していないが、汚泥処理設備には、汚泥温度を
計測する温度計、脱水汚泥ケーキの含水率を計測する含
水率計などを装備している。

【００１２】２０はＣＰＵ（情報処理部）である。ＣＰ
Ｕ２０は、含水率、汚泥供給流量、汚泥濃度、汚泥温
度、トルク及び薬品注入率に基づき、汚泥遠心脱水機１
の運転状態と脱水汚泥ケーキの含水率の変化を把握する
データ処理部２１と、データ処理結果を格納し、活用す
るデータベース部２２と、このデータベース部２２との
信号授受や外部からの人的介在により所定の制御フロー
を実行して、前記薬品注入率設定器１３、トルク設定器
１５及び制御渋滞警報器１７に所要の信号を付与する制
御フロー部２３などを備えている。制御フローは図２に
示す。

【００１３】次に、制御手順について説明する。データ
処理部２１では、汚泥性状変化の状況を把握するために
脱水汚泥ケーキの含水率を計測し、適当なインターバル
の計測値から汚泥脱水含水率の変化傾向を把握する。同
時に、汚泥供給流量、汚泥濃度、汚泥温度、トルク及び
薬品注入率のデータも収集する。これらの各データよ
り、目標とする含水率の脱水汚泥ケーキを得るのに最適
なトルク設定値を検索し（ア）、その結果を回転トルク
設定変更値として制御フロー部２３へ出力する（イ）。
これにより、回転トルク設定を行い（ステップＳ１）、
その結果を監視する（ウ）。つまり、設定変更後、一定
時間内に脱水汚泥ケーキの含水率が適正値になったか否
かを判断したり（Ｓ２）、回転トルク設定可能の範囲か
否かを判断したりする（Ｓ３）。一定時間内に脱水汚泥
ケーキの含水率が適正値に至らない場合は、再度設定変
更値を出力する（イ）。

【００１４】なお、このトルク設定変更により、脱水汚
泥ケーキの含水率が適正値になった時には、その結果を
他の計測値と共にデータベースに格納する。

【００１５】トルク設定変更を再々行っても、脱水汚泥
ケーキの含水率が適正値に至らず、回転トルク設定可能
範囲の上下限値を超える設定をしなければならない状況
に至った場合（ステップ３の判断でＮｏが続いた場合）
は、回転トルク設定変更不可と認識し（エ）、次の手段
として、目標とする含水率の脱水汚泥ケーキを得るのに
最適な薬品注入率設定値をデータベースより検索し、そ
の結果を薬品注入率設定変更値として制御フロー部２３
へ出力する（オ）。これにより、薬品注入率の設定を行
い（Ｓ４）、その結果を監視する（ウ）。つまり、一定
時間内に脱水汚泥ケーキの含水率が適正値になったか否
かを判断したり（Ｓ２）、薬品注入率設定可能の範囲か
否かを判断したりする（Ｓ５）。一定時間内に脱水汚泥
ケーキの含水率が適正値に至らない場合は、再度変更値
を出力する（オ）。

【００１６】なお、この薬品注入率設定変更により、脱
水汚泥ケーキの含水率が適正値になった時には、その結
果を他の計測値と共にデータベースに格納する。

【００１７】薬品注入率設定変更を再々行っても、脱水
汚泥ケーキの含水率が適正値に至らず、薬品注入率設定
可能範囲の上下限値を超える設定をしなければならない
状況に至った場合（ステップ５の判断でＮｏが続いた場
合）は、薬品注入率設定変更不可と認識する（カ）。

【００１８】回転トルク設定及び薬品注入率設定を設定
可能範囲内で調整した結果として、脱水汚泥ケーキの含
水率が最適値に至らなかった場合は、制御渋滞と認識し
（キ）、制御渋滞警報器１７を作動させる。そして、こ
れ以降、データベースより新たな設定変更値を出力する
ことはせず、人的介在に依る設定変更に委ねる。

【００１９】このように、制御の流れが基本的には
（ア）（イ）（ウ）（エ）（オ）（カ）（キ）の順序で
進行するため、脱水汚泥ケーキの含水率の監視が常時行
われることになり、含水率の変化に追従した適切な回転
トルク設定及び薬品注入率設定命令が出力される。ま
た、汚泥性状の変化に対応した回転トルク設定及び薬品
注入率命令が制御パターンとして蓄積されるため、制御
性が向上し初心者であってもベテラン運転員と同等の運
転が行える。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、常時汚泥
脱水ケーキの含水率の監視を行っているので、含水率の
変化に追従した適切な回転トルク設定及び薬品注入率設
定命令を出力することが可能である。また、汚泥性状の
変化に応じた回転トルク設定及び薬品注入率設定命令を
制御パターンとして蓄積することにより、初心者であっ
てもベテランの運転員と同等の運転ができる。更に、汚
泥脱水機の含水率の適確な制御により、後続プロセスで
ある汚泥焼却あるいは搬出の工程における安定運転に寄
与し得る、といった利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す汚泥脱水フローシー
ト。

【図２】一実施形態の制御フロー図。

【図３】横形連続式遠心脱水機の構造例を示す断面図。

【符号の説明】

１…汚泥遠心脱水機 ２…汚泥槽 ３…凝集剤混合液槽 ４，９…ポンプ ７…汚泥供給量設定器 ８，１２…流量調節器 １１…比率設定器 １３…薬品注入率設定器 １４…トルク計 １５…トルク設定器 １６…トルク調節器 ２０…ＣＰＵ ２１…データ処理部 ２２…データベース ２３…制御フロー部 １０１…回転筒 １０２…スクリューコンベア １０３…汚泥・薬品供給用２重管 １０５…主電動機 １０６…コンベア駆動用電動機

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 汚泥と凝縮剤混合液を回転筒内に供給
   し、遠心力とスクリューコンベアの圧搾力により脱水分
   離して、脱水汚泥ケーキを形成する汚泥遠心脱水機の運
   転制御方法において、 脱水汚泥ケーキの含水率の変化を含水率計により把握
   し、その増減に応じた回転トルク設定及び薬品注入率設
   定命令を発する調節機能と、 脱水汚泥ケーキの含水率の変化に即応して最適な含水率
   に戻すための知識ベースとしての汚泥供給量、汚泥濃
   度、汚泥温度、差速変化により生じるスクリューコンベ
   アのトルク計測値、薬品注入率の汚泥遠心脱水機運転状
   況データ及びこれに対応した回転トルク設定と薬品注入
   率設定命令を制御パラメータとするデータベースとを備
   え、 所定の順序で主要制御パラメータの設定変更を行ってそ
   の結果を監視し、目標不達成の時には設定可能範囲内で
   設定変更を所定回数繰り返すことを特徴とする汚泥遠心
   脱水機の運転制御方法。