JPH10332512A - 差圧センサ、流量測定装置及び流量測定方法 - Google Patents

差圧センサ、流量測定装置及び流量測定方法

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JPH10332512A
JPH10332512A JP14498197A JP14498197A JPH10332512A JP H10332512 A JPH10332512 A JP H10332512A JP 14498197 A JP14498197 A JP 14498197A JP 14498197 A JP14498197 A JP 14498197A JP H10332512 A JPH10332512 A JP H10332512A
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JP
Japan
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film
differential pressure
fluid
piezoelectric material
pressure sensor
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JP14498197A
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Inventor
Hitoshi Nishino
仁 西野
Haruyuki Nakaoka
春雪 中岡
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 差圧の検出にあたって、電源と必要としない
差圧センサを得る。 【解決手段】 端部を固定部により固定支持された感圧
膜7を備えるとともに、第1流体8aが導入される第1
流体導入空間2aを前記感圧膜の裏面側に、第2流体8
bが導入される第2流体導入空間2bを前記感圧膜の表
面側に備え、それぞれの流体が対応する流体導入空間に
導入された状態で前記感圧膜に発生する変形から、前記
第1流体と第2流体との間の差圧を検出する差圧センサ
を構成するに、感圧膜7が、裏面側電極膜4a、圧電材
料膜3、表面側電極膜4bを記載順に薄膜基板上に備え
た膜状圧電素子5からなり、膜状圧電素子の表裏面間
に、前記第1流体と前記第2流体との差圧が掛かる構成
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の流体間の圧
力差を検出するための差圧センサに関する。
【0002】
【従来の技術】このような差圧センサとしては、静電容
量式のもの、ピエゾ抵抗体を使用するもの等が知られて
いる。静電容量式の差圧センサの構成を、図7に示し
た。この差圧センサ60は、装置の外側に配設される2
枚の接液ダイヤフラム61と中央部の感圧ダイヤフラム
62(これが可動電極となっている)及び一対の固定電
極63とからなり、低圧側と高圧側の圧力を封入液を通
して感圧ダイヤフラム62に伝え、その差圧による感圧
ダイヤフラム62の変位の大きさを、感圧ダイヤフラム
62と固定電極63との間に生じる容量変化として検出
する。一方、ピエゾ抵抗体を使用するものは、差圧が掛
かった時に生じる歪みによりピエゾ抵抗体の抵抗値が変
わる性質を利用して、差圧が掛かる部位にピエゾ抵抗体
を配設して、その歪みを抵抗値の変化として捕らえ、差
圧を検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、静電容
量式のものは、容量部に常時通電する必要があり、消費
電力が大きい。一方、ピエゾ抵抗体を使用するものにあ
っては、その感度が低いとともに、抵抗体に常時電流を
流す必要があり、消費電力が大きい。従って、本発明の
目的は、差圧の検出にあたって、特別な電源と必要とし
ない差圧センサを得ることにある。さらに、このような
差圧センサにあって、比較的高い感度を得ることができ
る差圧センサを得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明による、端部を固定部により固定支持された感
圧膜を備えるとともに、第1流体が導入される第1流体
導入空間を前記感圧膜の裏面側に、第2流体が導入され
る第2流体導入空間を前記感圧膜の表面側に備え、それ
ぞれの流体が対応する流体導入空間に導入された状態で
前記感圧膜に発生する変形から、前記第1流体と第2流
体との間の差圧を検出する差圧センサの特徴構成は、前
記感圧膜が、裏面側電極膜、圧電材料膜、表面側電極膜
を記載順に薄膜基板上に備えた膜状圧電素子からなり、
前記差圧を、前記裏面側電極膜と前記表面側電極膜間に
於ける電気的出力として検出することにある。この差圧
センサにあっては、感圧膜自体が、膜状圧電素子として
構成される。そして、それぞれの流体が導入空間に導入
された状態で、膜に差圧が掛かり、その差圧に従って、
膜が変形する。この変形に従って、素子内にあっては圧
電素子としての機能が発揮され、裏面側電極膜、表面側
電極膜間に、電位差が発生される。従って、これを電気
的出力として検出することで、差圧を検出することがで
きる。このセンサの場合は、圧電材料膜の歪みにより電
位差が発生するため、外部からの電力供給を伴うことな
く、差圧の検出をおこなうことができる。
【0005】さて、このような差圧センサにおいて、そ
の出力が大きいほうが好ましいが、この課題に対する対
策を施すものが、以下の提案である。即ち、上記のよう
な膜状圧電素子を備えた差圧センサにおいて、前記差圧
が前記感圧膜に掛かった状態において、圧電材料膜各部
分に発生する曲げ変形の方向に関して、一の曲げ変形の
方向となる前記圧電材料膜の一部分を挟む前記裏面側電
極膜と表面側電極膜の一部が、前記一の曲げ方向とは反
対の他の曲げ変形の方向となる前記圧電材料膜の他部分
を挟む前記裏面側電極膜と表面側電極膜の他部から分割
されて構成され、互いの分割部から、独立に出力を取り
出し可能に構成するのである。感圧膜は、その端部を固
定部に固定支持され、その支持構造に従って、差圧が膜
表裏面間に掛かった場合、変形を起こす。この変形は曲
げを伴うものであり、膜各部分で見た場合に、その曲げ
方向が部分、部分で互いに逆となる場合もある。このよ
うな場合に、圧電材料膜の表面側もしくは裏面側で、そ
れぞれ、片面側、全体として発生する起電状態を捕らえ
ると、曲げ変形の状態により各部分間で互いに相殺され
て、出力が弱くなる場合がある。従って、感圧膜の固定
支持構造によって決定される、曲げ変形が逆の状態とな
る部分からの出力を、分割された電極膜で、独立に取り
出す。このようにすると、先に説明した、相殺状態を回
避でき、より強い出力を得ることができる。さて、この
ような感圧膜としては、これが、平面視、方形に形成さ
れるとともに、この感圧膜の少なくとも、相対向する端
縁部が、固定部により固定支持され、圧電材料膜の前記
一部分が固定支持される端縁側の部分であり、圧電材料
膜の前記他部分がこの端縁側の部分より中央側の部分で
あることが好ましい。この構造的な状況は、図4(ロ)
に示すように、膜の両端縁部で固定支持が行われている
場合に相当し、この構造においては、感圧膜は、同図に
示すように、端縁側一対の曲がり部と、中央側の曲がり
部とが形成され、これらの曲がり部に於ける曲げ方向は
互いに逆方向となる。従って、電極の分割を行う場合
に、端縁部側と中央側とに分けて、圧電出力を検出する
ことにより、相殺の少ない出力を得ることができる。
【0006】上記の感度向上の対策は、電極膜の構成を
分割構成として、独立に出力を得ることにより達成した
が、圧電材料膜がポーリング処理を施すことにより、そ
の圧電特性を変化、向上させることができる場合は、こ
のポーリング処理と曲げ変形との方向とを関連付けるこ
とにより、感度を制御することも可能である。このよう
な構成を提案するのが、以下の提案である。即ち、圧電
材料膜がポーリング処理によりその特性が変化する材料
層からなる場合に、圧電材料膜の前記一部分に於けるポ
ーリング処理と、圧電材料膜の前記他部分に於ける前記
ポーリング処理とを、別個に独立に処理するのである。
この場合も、膜各部分で見た場合に、その曲げ方向が部
分、部分で逆となる場合に、ポーリング処理の方向を制
御して、変形の方向に基づく出力が、所定方向に独立に
増幅されるようにして、より強い出力を得ることができ
る。
【0007】さらに、前記感圧膜が両端支持構造とされ
る場合は、差圧が前記感圧膜に掛かった状態において、
圧電材料膜各部分に発生する曲げ変形の方向に関して、
一の曲げ変形の方向となる前記圧電材料膜の一部分を挟
む前記裏面側電極膜と表面側電極膜の一部のみからの出
力を、独立に取り出し可能に構成されていることが好ま
しい。曲げ方向が一定の場合は、その部位からの出力の
みを独立に取り出すことで、上記の相殺を発生していな
い出力のみを取り出すことができる。
【0008】このような差圧センサを構成するに、前記
圧電材料膜が、0.5μm〜2μm厚のシリコン基板上
に、前記裏面側電極膜を介してCVD法で形成される圧
電材料膜であることが好ましい。この厚みのシリコン基
板は、可撓性を有し、差圧により変形するため、圧電材
料の変形を代表する電気的出力を取り出すことができ
る。一方、CVD法を採用することにより、このような
シリコン薄膜上にも、良好に圧電材料の膜を形成するこ
とができる。
【0009】さらに、ここで、前記圧電材料膜が、PZ
T薄膜であることが好ましい。圧電特性を利用して、大
きな出力を得ることができる。
【0010】さて、このような差圧センサは、比較的小
さな差圧をも計測できる構成とすることができる。従っ
て、流体振動型流量検出素子の一対の圧力検出孔間に発
生する差圧を検出対象とすることが好ましい。これま
で、流体振動型流量検出素子の一方の検出限界は、一対
の圧力検出孔間に発生する差圧を検出する差圧センサの
検出限界(微小側の現出限界)となっていた。しかしな
がら、本願のような差圧センサは、この限界を下げるこ
ととなるため、流体振動型流量検出素子の流量検出限界
を広げることができる。この場合、差圧センサの電気的
出力から、前記流体振動型流量検出素子を流れる流体の
流量を導出する流量導出手段を備えることで、センサ出
力の状態から、流量を得ることができる。
【0011】即ち、このような差圧センサを使用して、
流体振動型流量検出素子の一対の圧力検出孔間に発生す
る差圧の変動周期を検出し、検出された変動周期より流
体振動型流量検出素子内を流れる流体の流量を求めるこ
とで、比較的小さな差圧で振動している流体振動型流量
検出素子内を流れる流体の流量を、求めることができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本願の実施の形態を、以下、図面
に基づいて説明する。図1に、本願の差圧センサ1を備
えた流量計測装置100を示した。同図に示すように、
この流量計測装置100は、公知の流体振動型流量検出
素子101の一対の圧力検出孔102を、それぞれ別個
に、本願の差圧センサ1の別個の流体導入空間2に連通
接続して構成されており、この差圧センサ1の出力か
ら、流体振動型流量検出素子101を流れる流体の流量
を導出する流量導出手段103を備えて構成されてい
る。
【0013】流体振動型流量検出素子101は、一定形
状の流路内にノズル部104を設けるともに、このノズ
ル部104から噴出する噴流主流が、流路を形成する一
対の側壁105間に渡って、一方の側壁部近傍から他方
の側壁部近傍へと流路を周期的に変える現象を利用し
て、その周期を検出するためのものである。図1に示す
例にあっては、噴流に対して一対の帰還流路106が備
えられ、この帰還流路106から帰還する流れによっ
て、噴流の振動制御が行われる構成が採用されている。
この流体振動型流量検出素子101にあっては、ノズル
部104の噴出側近傍で、帰還流路106の終端部位に
一対の圧力検出孔102が設けられており、これらの一
対の圧力検出孔102より、これらの部位にある流体
を、差圧センサ1の流体導入空間2に、それぞれ導い
て、両圧力検出孔間の差圧を検出することができる。当
然、この流体振動型流量検出素子101にあっては、流
量に従って周期的な噴流主流の移動が発生し(図1に示
す上下方向の周期的な移動)、これが、一対の圧力検出
孔102を介して本願の差圧センサ1に伝えられる。
【0014】流量導出手段103は、差圧センサ1から
の出力から、その出力値の周期的な変動周波数を導出す
る周波数導出手段103aを備えるとともに、このよう
にして求められた周波数から、流体振動型流量検出素子
内を流れる流体の流量を導出する流量導出手段103b
を備えている。この流量導出手段103bは、図6に示
すような、周波数と流量との対応を取ることができる、
予め求められている相関指標を備えており、このような
相関指標から流量を導出する。同図は離散点で示してい
るが、所定範囲の任意の周波数値から流量値を求めるこ
とができる。従って、この装置では、本願の差圧センサ
1を使用して、流体振動型流量検出素子101の一対の
圧力検出孔102間に発生する差圧の周期的な変動周期
を検出し、検出された変動周期より流体振動型流量検出
素子内を流れる流体の流量を求める。
【0015】次に、図1、2、3、4に従って、本願の
差圧センサ1に関して説明する。図2は、本願の差圧セ
ンサ1の断面図であり、図3は、差圧センサ1に於ける
圧電材料膜3と電極膜4との構造を説明するための説明
図である。
【0016】本願の圧電センサ1は、所謂、シリコンマ
イクロデバイスとして構成される膜状圧電素子5を備え
たものであり、この素子5の表裏面間に、検出対象の差
圧を掛けて、この素子の変形に伴う圧電特性出力から差
圧を検出する構成とされる。肉厚の薄いこの素子5が、
本願にいう感圧膜7となっており、肉厚の厚い基板が固
定部となっている。
【0017】以下、さらに詳細に説明する。この差圧セ
ンサ1は、図1、2に示すように、端部を固定部により
固定支持された感圧膜7を備えるとともに、第1流体8
aが導入される第1流体導入空間2aを感圧膜7の裏面
側に、第2流体8bが導入される第2流体導入空間2b
を前記感圧膜7の表面側に備えている。ここで、本願の
差圧センサ1の主要部は、通常のシリコンマイクロデバ
イスの製法に従って製造されることから、感圧膜7の基
板となっている薄膜基板9と、薄膜基板周部に設けられ
る、固定部である肉厚の基板部6とは一体とされてい
る。基板材料はシリコンである。図3に示すように、感
圧膜7は、その平面視形状(表面側から見た形状)が方
形に形成されており、その周部全体に渡って、方形の固
定部が備えられている。この感圧膜7は、図2に示すよ
うに、裏面側電極膜4a、圧電材料膜3、表面側電極膜
4bを記載順に薄膜基板9上に備えた構成とされてお
り、この膜状圧電素子5の表裏面間に、前記第1流体と
前記第2流体との差圧が掛かる。さらに、この差圧は素
子中央に掛かるように、前記流体導入空間2が配置構成
されている。上記、電極膜4の表面は、検出対象の流体
が直接電極4に接触するのを避け、膜の損傷を避けるた
めに、絶縁材料からなるシール膜(具体的にはゴム製)
が備えられている。
【0018】感圧膜7についてさらに具体的に説明する
と、シリコンの薄膜基板9が0.5μmの厚みとされて
おり、この薄膜基板上に、絶縁層11としての酸化シリ
コン層(12500Å)、裏面側電極膜4aとしてのP
t/Ti層(1500Å/900Å但しTi層が基板
側)、圧電材料膜3としてPZT/TiO2層(100
00Å/180Å但しTiO2層が裏面側電極膜側)、
表面側電極膜4bとしてのPt層(2400Å)が設け
られている。このような構造にあって、シリコンの薄膜
基板9の厚みは、0.5〜2μmとすることが好まし
く、素子全体の厚みが1μm〜10μmに収まる構成と
することで、素子に、充分な可撓性を持たせることがで
きる。さらに、圧電材料膜3の厚みと、圧電材料膜以下
の層の厚み(シリコンの薄膜基板9、絶縁層11と裏面
側電極膜4aとを合わせた部分の厚み)との関係は、1
/10000<圧電材料膜の厚み/圧電材料膜以下の層
の厚み<10(さらに好ましくは1/10<圧電材料膜
の厚み/圧電材料膜以下の層の厚み<2)とすることが
好ましい。このようにすることにより、各部材の弾性ス
ティフネスから算出される中立面が、圧電材料膜の中心
面からずれ、出力を大きくすることができる。
【0019】以上のように、感圧膜7を膜状圧電素子5
で構成することにより、この素子5が変形して歪む場合
に、その電気的出力を、素子表裏面に設けられた電極膜
間で検出することができる。
【0020】さて、この差圧センサ1にあっては、膜状
圧電素子5からの出力を、大きく取るために、電極膜構
成、圧電材料膜に施されるポーリング処理の手法に、一
定の工夫がされている。これらの点に関して以下説明す
る。 1 電極の構成 この差圧センサ1にあっては、差圧が、感圧膜7に掛か
った状態において、圧電材料膜各部分に発生する曲げ変
形の方向に関して、一の曲げ変形の方向となる圧電材料
膜の一部分を挟む裏面側電極膜4aと表面側電極膜4b
の一部が、一の曲げ方向とは反対の他の曲げ変形の方向
となる圧電材料膜の他部分を挟む裏面側電極膜4aと表
面側電極膜4bの他部から分割されて構成され、互いの
分割部分から、独立に出力を取り出し可能に構成されて
いる(出力端が別個・独立に設けられている)。即ち、
図3に示すように、電極膜4は平面としてみた場合に、
感圧膜周縁部側12aと、感圧膜中央部側12bとで、
分離された構成とされており、それぞれの電極から独立
に出力を取り出すことができるようになっている。これ
らの出力端の接続状態を図3に示した。このような工夫
がされている理由は、この構成の感圧膜にあっては、そ
の四方端部が、固定部である肉厚のシリコン基板6に連
接された構造となっているため、この感圧膜7に差圧が
掛かった場合(図4(ロ)に示す状態にあっては図上上
側から強い圧力が掛かる)、膜は、その断面方向でみた
場合、各部分で、逆の方向の曲げを受ける部分が発生す
る。即ち、この例にあっては、感圧膜の周縁部と中央部
とで、曲げ方向が逆となる。従って、圧電特性としての
出力は、各部分で逆となるが、この逆となっている電気
的出力を、各別に検出するために、これらの部分を挟ん
で設けられる電極が、分離される構成とされている。こ
の構成を採用することで、大きな出力を検出することが
できる。
【0021】2 ポーリング処理 本願の圧電材料膜は、ポーリング処理を施すことによ
り、その分極を促して、圧電特性を改良することができ
る。このポーリング処理にあたっては、上記の分割され
た電極間で、別個独立に、同一の方向にポーリング処理
を施している。この方向は、図5に示す方向であり、素
子、表面側を陰極側に、裏面側を陽極側に設定して処理
をおこなう。このようにすることにより、分割された電
極の一方側の出力を増大させるとともに、他方の圧電特
性を抑えて(この例に場合、分割された電極に対応する
圧電膜の各部位の出力は互いに反対方向となるため、一
方を増大させる方向にポーリング処理し、この処理方向
と同一の方向に他部のポーリング処理をおこなうと、出
力は抑えられる方向となる)、トータルとしての出力を
大きくすることが可能である。但し、この場合、分割さ
れた電極を使用するため、各分割部間では互いに独立に
ポーリング処理をおこなっている。
【0022】以下、この素子の製造工程問うについて簡
単に説明する。基本的には、シリコンマイクロディバイ
スの製造方法を踏襲したものである。 〔素子の製造〕素子5の製作にあたっては、公知の手法
に従って、酸化シリコン層11、裏面側電極膜4aを製
造した。この裏面側電極膜4aの形成にあたっては、マ
スキング手法により、上記のように分割された状態の電
極膜4aを作成した。この電極膜4a上での圧電材料膜
3の製造にあたっては、MOCVD手法を採用した。こ
の成膜時の条件等は以下のようなものとした。 1) 成膜室内の内部状態を、圧力300Pa、温度4
50℃に維持する。 2) 最初に、Ti(i−OC3 7)4 由来のTiのみ
を、基板を設置した成膜室内に、最初にキャリアガス5
CCM、ディリューエントガス55ccm程度で流す。
この処理により、Ti箔表面にTiO2 層を形成する。 3) 次に、原料ガスを、Pb(C11192)2 、Zr
(t−OC4 9)4 、Ti(i−OC3 7)4 とし、そ
れぞれのシリンダ温度を、記載順に135℃、35℃、
46℃に設定するとともに、キャリアガスならびにディ
リューエントガスは窒素として、ガスを成膜室に供給し
てPZT薄膜を形成する。 各ガスに対するキャリアガス及びディリューエントガス
の供給量は以下の通りとした。
【0023】
【表1】 物質名 キャリアガス供給量 ディリューエントガス供給量 Pb 7ccm 38ccm Zr 4ccm 41ccm Ti 5ccm 40ccm 成膜時間は2時間とした。成膜された膜の構造物性は、
以下の通りである。 エリプソメータにより測定された膜厚:10000Å EDXにより測定された膜組成:Pb:Zr:Ti=
1:0.53:0.5 上記のようにして得られた強誘電体薄膜素子の電気的特
性は、以下のようであった。
【0024】
【表2】 誘電率 εr :790 誘電損失 tanδat100kHZ:120×10-3 残留分極 :0.03×10-6C/cm2 このときの成膜直後の圧電定数hは、392MV/mで
あった。
【0025】引き続いて、圧電材料膜上に、表面側電極
膜4bを形成した。この表面側電極膜4bも、分割構成
とした。さらに、このようにして得られた膜状圧電素子
5にポーリング処理を施した。19.4×106 V/m
(膜厚1.03μmに対し20Vの直流電圧を上部、下
部電極間に大気中常温下でかける)でポーリング処理し
た後の圧電定数hは、1150×106 V/mになっ
た。ポーリング処理においては、図5に示すような印荷
状態とした。
【0026】さらに、この素子5を差圧センサケーシン
グ13(これは、先のシール部を備えている)内に収納
した。この差圧センサケーシング13内には、先に示し
た第1流体導入空間2aと第2流体導入空間2bが備え
られている。
【0027】上記のようにして構成された差圧センサ1
の出力及び流量測定結果について説明する。従来の差圧
センサ(ピエゾ抵抗体)では測定できなかった200リ
ットル/hrの流体振動型流量検出素子の差圧出力に対
して、上記の差圧センサ1にあっては0.3mVの出力
を得ることができた。即ち、図6に示すように、150
〜180リットル/hrの低流量域まで測定することが
可能となった。 〔別実施の形態例〕 (イ) 上記の実施の形態にあっては、差圧センサを流
体振動型流量検出素子からの差圧出力の検出に利用した
が、本願の差圧センサの検出対象は、このような対象に
限定されるものではない。さらに、本願の差圧センサ
は、これまで検出が不可能をみられていた、微小差圧の
検出に大きな能力を発揮するものであり、カルマン渦流
計、AEセンサ、音波マイク、超音波マイク等の用途に
使用することも可能である。 (ロ) 上記の実施の形態にあっては、圧電材料がPZ
T(PbZrTi 1-X3 )である例を示したが、Pb
1-X LaX Ti1-X/4 3 (PLT)、PbTiO3
を使用することもできる。 (ハ) 分割される電極膜の数は、上記の実施の形態に
あっては、これが一対である例を示したが、要するに曲
げ変形を受ける状態で、異なった方向の曲げ変形を同時
的に受ける部分に対して、異なった電極が用意されてい
ればよく、その分割の個数を限定するものではない。 (ニ) 膜状圧電素子の固定構造に関しては、上記の実
施の形態にあっては、実質、平面視(素子を表面上方か
らみた場合)、方形に形成される素子を、四方より固定
支持する構造を示したが、素子の平面視形状を限定する
ものではない。さらに、四方全周縁を固定支持すること
なく、素子を左右に挟む端部側(一対の対向する端縁
部)からのみ、固定支持する構造を採用してもよい。こ
の場合も、素子、表裏面間に差圧が掛かった場合は、異
なる方向の曲げを受ける部分が形成される。 (ホ) 上記の実施の形態にあっては、分割された一対
の電極膜、これらの電極膜に対応する圧電材料膜に対し
て、同一方向のポーリング処理を施し、図3に示すよう
に、分割された各電極からの出力を表面側電極をベース
として、裏面・周縁部側の電極をマイナス極に、裏面・
中央側の電極をプラス極に接続する構成として、比較的
大きな出力を得るものとしたが、このような電極の接続
方法を逆とする場合(分割された各電極からの出力を表
面側電極をベースとして、裏面・周縁部側及び中央側の
電極を共に、同一極に接続する)は、ポーリング処理の
方向を異なった曲げ変形を受ける部分間で逆方向とする
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の差圧センサを流体振動型流量検出素子を
備えた流量測定装置に適応した状態を示す図
【図2】差圧センサの縦断面図
【図3】差圧センサの電極構成を示す説明図
【図4】差圧センサの変形状態の説明図
【図5】図3に示す差圧センサのポーリング処理状況を
示す説明図
【図6】流体振動型流量検出素子に於ける振動周波数と
流量との関係を示す図
【図7】静電容量型の差圧センサの説明図
【符号の説明】
1 差圧センサ 2 流体導入空間 2a 第1流体導入空間 2b 第2流体導入空間 3 圧電材料膜 4 電極膜 4a 裏面側電極膜 4b 表面側電極膜 5 膜状圧電素子 7 感圧膜 12a 端縁部側(周縁部側) 12b 中央側 100 流量計測装置 101 流体振動型流量検出素子 102 圧力検出孔

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端部を固定部により固定支持された感圧
    膜を備えるとともに、第1流体が導入される第1流体導
    入空間を前記感圧膜の裏面側に、第2流体が導入される
    第2流体導入空間を前記感圧膜の表面側に備え、それぞ
    れの流体が対応する流体導入空間に導入された状態で前
    記感圧膜に発生する変形から、前記第1流体と第2流体
    との間の差圧を検出する差圧センサであって、 前記感圧膜が、裏面側電極膜、圧電材料膜、表面側電極
    膜を記載順に薄膜基板上に備えた膜状圧電素子からな
    り、前記差圧を、前記裏面側電極膜と前記表面側電極膜
    間に於ける電気的出力として検出する差圧センサ。
  2. 【請求項2】 前記差圧が前記感圧膜に掛かった状態に
    おいて、圧電材料膜各部分に発生する曲げ変形の方向に
    関して、一の曲げ変形の方向となる前記圧電材料膜の一
    部分を挟む前記裏面側電極膜と表面側電極膜の一部が、
    前記一の曲げ方向とは反対の他の曲げ変形の方向となる
    前記圧電材料膜の他部分を挟む前記裏面側電極膜と表面
    側電極膜の他部から分割されて構成され、互いの分割部
    から、独立に出力を取り出し可能に構成されている請求
    項1記載の差圧センサ。
  3. 【請求項3】 前記感圧膜が平面視、方形に形成される
    とともに、この感圧膜の少なくとも、相対向する端縁部
    が、前記固定部により固定支持されて構成され、前記圧
    電材料膜の一部分が固定支持される端縁側の部分であ
    り、前記圧電材料膜の他部分が前記端縁側の部分より中
    央側の部分である請求項2記載の差圧センサ。
  4. 【請求項4】 前記圧電材料膜がポーリング処理により
    その特性が変化する材料層からなり、前記圧電材料膜の
    一部分に対するポーリング処理と、前記圧電材料膜の他
    部分に対する前記ポーリング処理とを、別個、独立に処
    理した請求項2または3記載の差圧センサ。
  5. 【請求項5】 前記感圧膜が両端支持構造とされ、前記
    差圧が前記感圧膜に掛かった状態において、圧電材料膜
    各部分に発生する曲げ変形の方向に関して、一の曲げ変
    形の方向となる前記圧電材料膜の一部分を挟む前記裏面
    側電極膜と表面側電極膜の一部のみからの出力を、独立
    に取り出し可能に構成されている請求項1記載の差圧セ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 前記圧電材料膜が、0.5μm〜2μm
    厚のシリコン基板上に、前記裏面側電極膜を介してCV
    D法で形成される圧電材料膜である請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の差圧センサ。
  7. 【請求項7】 前記圧電材料膜が、PZT薄膜である請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の差圧センサ。
  8. 【請求項8】 流体振動型流量検出素子の一対の圧力検
    出孔間に発生する差圧を検出対象とする請求項1〜7の
    いずれか一項に記載される差圧センサを備え、前記差圧
    センサの電気的出力から、前記流体振動型流量検出素子
    を流れる流体の流量を導出する流量導出手段を備えた流
    量測定装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか一項に記載され
    る差圧センサを使用して、流体振動型流量検出素子の一
    対の圧力検出孔間に発生する差圧の変動周期を検出し、
    前記検出された変動周期より前記流体振動型流量検出素
    子内を流れる流体の流量を求める流量測定方法。
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