JPH10330884A - 耐座屈特性に優れた鋼部材 - Google Patents

耐座屈特性に優れた鋼部材

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JPH10330884A
JPH10330884A JP14406897A JP14406897A JPH10330884A JP H10330884 A JPH10330884 A JP H10330884A JP 14406897 A JP14406897 A JP 14406897A JP 14406897 A JP14406897 A JP 14406897A JP H10330884 A JPH10330884 A JP H10330884A
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steel
buckling
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JP14406897A
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Nobuyuki Ishikawa
信行 石川
Masamitsu Doi
正充 土井
Shigeru Endo
茂 遠藤
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大地震の際に作用する大きな圧縮荷重に対し
て、幅厚比が大きい場合や補剛材がなくとも局部座屈を
起こしにくく、鉄骨建築物の柱や梁、または橋脚等への
使用に適した、耐震性能に優れた鋼部材を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.03〜0.25%、M
n:0.5〜2.0%を含有する鋼を熱間圧延した後
に、その鋼の成分で定まる(Ar3 +40)〜(Ar3
−80)℃の温度域から2℃/sec以上の冷却速度で
冷却した鋼を用いた、耐座屈特性に優れた鋼部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土木建築分野におけ
る各種鋼構造物(建造物,橋など)に利用される鋼部材
(柱,梁,橋脚など)に係り、特に地震時の耐座屈特性
に優れた鋼部材に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨建築物の柱、梁や橋脚等では箱形断
面やH型断面の鋼部材が多く用いられているが、これら
の部材は熱間圧延鋼材を素材として、溶接または冷間成
形によって製造されているものが多い。これらの鋼部材
に使用される鋼材には、地震時のエネルギー吸収の観点
から優れた塑性変形能を有することが要求されており、
特開昭55−119152号公報、特開昭63−223
123号公報、特開平1−1156422号公報、特開
平3−115524号公報等では、降伏比を低下させる
ことにより一様延び特性を向上させた鋼材が提案されて
いる。またJIS・G3136の建築構造用圧延鋼材に
おいても降伏比を80%以下とすることが規定されてい
るように、耐震性向上に関する鋼材面からの対応として
は、低降伏比による塑性変形能の向上が中心となってい
る。
【0003】また、大規模な地震ではこれらの部材に大
きな引張圧縮または曲げの繰返し荷重が加わり局部座屈
を起こす場合があり、また、座屈した場所から亀裂が発
生し座屈後の引張変形により脆性破壊を生じ建築物の崩
壊など大きな被害がもたらされることもある。このよう
な局部座屈に対しても、鋼材の低降伏比化が有効である
ことは、豊田、他著「鉄骨溶接構造体の変形能に及ぼす
鋼材変形特性の影響」溶接学会論文集,vol.8,N
o.1,p112(1990)に示されている。
【0004】ところで近年、建築物や橋梁等の鋼構造物
が大型化するにつれ、大規模な地震においても十分な耐
震性能を有することが要求されているが、低降伏比鋼材
の使用だけでは十分な耐震性能を確保することは難しく
なっている。そのため、鉄骨建築物の柱や梁、または橋
脚等に使用される鋼部材は、より厚肉の鋼材を使用しそ
の断面の幅厚比を小さくしたり、また補剛板によって補
強する等の方法によって座屈を生じにくくし、保有耐力
を高めている。
【0005】しかしながら、幅厚比の低下や補剛板の使
用はコスト上昇をまねくだけでなく、設計の自由度を阻
害する原因となっており、幅厚比が大きな場合でも優れ
た座屈性能を有する鋼部材が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、大地震の際に作用する大
きな圧縮荷重に対して、幅厚比が大きい場合や補剛材が
なくとも局部座屈を起こしにくく、鉄骨建築物の柱や
梁、または橋脚等への使用に適した、耐震性能に優れた
鋼部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは箱形断面ま
たはH型断面の鋼部材の座屈特性について鋭意研究を重
ねた結果、以下の知見を得るに至った。鋼部材の座屈特
性はそれに使用される鋼部材の引張試験で得られる応力
歪曲線と密接な関係があり、下降伏点現象のような変形
中での応力低下を生じさせないことにより、それを用い
た鋼部材の耐座屈性能が大きく向上することを見いだし
た。そして、そのような公称応力−公称歪曲線を得るた
めに、鋼材の成分及び製造方法を検討した結果、熱間圧
延後、Ar3 変態点以下の温度から加速冷却を行い、組
織をフェライト+ベイナイト,またはフェライト+ベイ
ナイト+マルテンサイトの混合組織とすることにより、
上述した公称応力−公称歪曲線を有する鋼材が得られる
ものである。
【0008】すなわち、本発明は上記知見をもとになさ
れたものであってその要旨は、 (1)重量%で、C:0.03〜0.25%、Mn:
0.5〜2.0%を含有する鋼を熱間圧延した後に、そ
の鋼の成分で定まる(Ar3 +40)〜(Ar3−8
0)℃の温度域から2℃/sec以上の冷却速度で冷却
した鋼を用いた、耐座屈特性に優れた鋼部材。 (2)重量%で、C:0.03〜0.25%、Mn:
0.5〜2.0%を含有し、さらに、Si:0.01〜
1.0%、Cu:0.05〜0.5%、Ni:0.05
〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.0
5〜0.5%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.
005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%、の1
種または2種以上を含有する鋼を熱間圧延した後に、そ
の鋼の成分で定まる(Ar3 +40)〜(Ar3 −8
0)℃の温度域から2℃/sec以上の冷却速度で冷却
した鋼を用いた、耐座屈特性に優れた鋼部材である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明における各構成要件
の限定理由を説明する。 C:0.03〜0.25% Cは鋼部材の強度を確保するために必要な元素である
が、0.03%未満では強度が不足し、0.25%を越
えて添加すると溶接性を損ねるので、その含有量は0.
03〜0.25%とする。
【0010】Mn:0.5〜2.0% Mnは鋼部材の強度を高めるために添加されるが、0.
5%未満では強度が不足し、2.0%を越えて添加する
と母材と溶接部の靭性の劣化および溶接製の劣化を招く
ので、その含有量は0.5〜2.0%とする。
【0011】Si:0.01〜1.0% Siは鋼部材の強度を高めるとともに製鋼過程における
脱酸剤として必要であるが、0.01%未満ではその効
果が不十分であり、1.0%を越えて添加すると溶接部
の靭性を劣化させるので、その含有量を0.01〜1.
0%とする。
【0012】Cu:0.05〜0.5% Ni:0.05〜0.5% Cr:0.05〜0.5% Mo:0.05〜0.5% Cu、Ni、Cr、Moは強度の上昇に有効であるが、
それぞれ0.05%未満ではその効果が発揮されず、
0.5%を超えると溶接性の劣化を招くため、その含有
量は0.05〜0.5%とする。
【0013】Nb:0.005〜0.1% V:0.005〜0.1% Ti:0.005〜0.1% Nb、V、Tiは靭性及び強度の向上に有効な元素であ
るが、その含有量が0.005%未満ではその効果を有
効に発揮することができず、0.1%を超えると溶接部
の靭性を劣化させるので、その含有量は0.005〜
0.1%とする。
【0014】また、その他に不純物元素として含有され
る、P、S、また、脱酸剤として添加されるAl等を含
有してもよく、これらの元素により本発明の鋼部材の耐
座屈性能が損なわれるものではない。
【0015】次ぎに、製造条件について説明する。ま
ず、上述の成分の鋼を熱間圧延した後、その鋼の成分で
決まる(Ar3 +40)℃〜(Ar3 −80)℃の温度
域から2℃/sec以上の冷却速度で冷却する。ここ
で、Ar3 変態温度は次式を利用したが、これに限定さ
れるものではなく、Ar3 変態の冶金学的効果が得られ
ればよい。 Ar3 (℃)=910−310C(%)−80Mn
(%)−20Cu(%)−15Cr(%)−55Ni
(%)−80Mo(%) 冷却開始温度が(Ar3 +40)℃を超えると組織がベ
イナイト単相組織となり、降伏比が増加するため冷却開
始温度の上限を(Ar3 +40)℃とする。また、冷却
開始温度が(Ar3 −80)℃より低くなると、パーラ
イトが生成し、公称応力−公称歪曲線に降伏棚が生じる
ため、冷却開始温度の下限を(Ar3 −80)℃とす
る。
【0016】冷却速度は、冷却開始から500℃までの
平均冷却速度とするが、その値が2℃未満では、組織が
フェライト+パーライトとなり、公称応力−公称歪曲線
に降伏棚が生じる。よって、冷却速度の下限を2℃/s
ecとした。また、冷却速度が2℃以上でも少量のパー
ライトを生成する場合があるため、より優れた耐座屈特
性が要求される場合は冷却速度を5℃/sec以上とす
ることが望ましい。
【0017】次いで、上記の成分及び製造条件による製
造された鋼材を用いて鉄骨建築部の柱、梁や鉄橋などに
使用する鋼部材を得る。このようにして得られた本発明
の鋼部材は、それに用いた鋼材の金属組織がフェライト
面積率が10〜80%のフェライト+ベイナイトまたは
フェライト+ベイナイト+マルテンサイトの組織で、公
称応力−公称歪曲線の最小勾配が正となっており、座屈
歪が高く、優れた耐座屈特性を有している。なお、本発
明の鋼部材は、形状、構造、あるいはその製造方法によ
り限定されるものではない。
【0018】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
表1に示した成分の鋼を熱間圧延後、加速冷却により板
厚12mmの鋼板とした。そして、これらの鋼板の圧延
方向と平行な方向から引張試験片を採取し、引張試験に
より公称応力−公称歪曲線を測定し降伏点から公称歪5
%までの間で最小となる勾配を求めた。鋼板の製造条件
及び引張試験の結果を表2に示す。本発明例は全て図3
(c)に示したような降伏棚の無い公称応力−公称歪曲
線を有しており、降伏比も80%以下である。これに対
し比較例は図3(a)または(b)のような降伏棚を有
する公称応力−公称歪曲線となっているか、または、降
伏棚が無くとも降伏比が高くなっている。
【0019】次いで、これらの鋼板から溶接により図2
に示した角形断面の短柱圧縮試験体を製作した。ここ
で、幅圧比は全てB/t=30とした。また、短柱圧縮
試験体の長手方向は鋼板の圧延方向と一致するようにし
た。そして、図2に示した方法で圧縮試験を実施し、座
屈発生により荷重低下が開始する歪を座屈歪として評価
した。圧縮試験の結果を表2に合わせて示した。
【0020】本発明例は全て座屈歪が1%以上であり、
優れた耐座屈特性を有している。これに対して、比較例
は公称応力−公称歪曲線に降伏棚があるか、または降伏
比が大きいために座屈比が小さく、耐座屈性が劣ってい
る。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上に示したように、本発明によれば大
地震時の際に受ける大きな圧縮荷重に対して、耐座屈特
性に優れた鋼部材を提供することが可能であり、耐震性
の要求される鉄骨建築物や橋梁などの鋼構造物への利用
に適しているといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧縮試験に用いた角形断面の短柱圧縮試験体の
形状を示す図。
【図2】圧縮試験での試験機及び試験体の設置状況を示
す図。
【図3】引張試験により得られる公称応力−公称歪線図
を模式的に示す図で、(a)は降伏点から歪量が5%ま
での歪量において、公称応力/公称歪の勾配が負となる
箇所がある場合、(b)は降伏点から歪量が5%までの
歪量において、公称応力/公称歪の勾配が零となる箇所
がある場合、(c)は降伏点から歪量が5%までのいず
れの歪量においても、公称応力/公称歪の勾配が正とな
る場合(本発明)である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.25%、
    Mn:0.5〜2.0%を含有する鋼を熱間圧延した後
    に、その鋼の成分で定まる(Ar3 +40)〜(Ar3
    −80)℃の温度域から2℃/sec以上の冷却速度で
    冷却した鋼を用いた、耐座屈特性に優れた鋼部材。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.03〜0.25%、
    Mn:0.5〜2.0%を含有し、さらに、Si:0.
    01〜1.0%、Cu:0.05〜0.5%、Ni:
    0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、M
    o:0.05〜0.5%、Nb:0.005〜0.1
    %、V:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜
    0.1%、の1種または2種以上を含有する鋼を熱間圧
    延した後に、その鋼の成分で定まる(Ar3 +40)〜
    (Ar3 −80)℃の温度域から2℃/sec以上の冷
    却速度で冷却した鋼を用いた、耐座屈特性に優れた鋼部
    材。
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