JPH10330866A - アルミ基複合材よりなるブレーキディスク - Google Patents

アルミ基複合材よりなるブレーキディスク

Info

Publication number
JPH10330866A
JPH10330866A JP15600997A JP15600997A JPH10330866A JP H10330866 A JPH10330866 A JP H10330866A JP 15600997 A JP15600997 A JP 15600997A JP 15600997 A JP15600997 A JP 15600997A JP H10330866 A JPH10330866 A JP H10330866A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
brake
less
alloy
brake disk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15600997A
Other languages
English (en)
Inventor
Junji Ninomiya
淳司 二宮
Akira Hideno
晃 秀野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP15600997A priority Critical patent/JPH10330866A/ja
Publication of JPH10330866A publication Critical patent/JPH10330866A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2輪車などの自動車の制動装置において、軽
量で、かつ耐摩耗性、ディスクブレーキ材とパット材の
摩耗特性、摩擦係数、制動保持特性を有するアルミ基複
合材のブレーキディスクを提供する。 【解決手段】 Siの被覆層を有するホウ酸アル
ミニウムウィスカーにより多孔質繊維成形体を作製し、
この多孔質繊維成形体を同型状のキャビティを有する加
圧鋳造装置にセットし、アルミニウムあるいはアルミニ
ウム合金を用いてそれぞれ加圧鋳造を行い、これをブレ
ーキディスクに切削加工し作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミ基複合材よ
りなるブレーキディスクに係り、特に2輪車などの自動
車のディスクブレーキ装置に用いられるアルミ基複合材
よりなるブレーキディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】2輪車などの自動車の制動装置として
は、ディスクブレーキ装置が広く用いられており、この
装置を構成するディスクブレーキ用の材料としては、耐
摩耗性や耐熱性が良好であり、さらに耐食性に優れたス
テンレスなどの鉄系材料が使われている。また、このブ
レーキディスクに押し当てるブレーパット用の材料とし
ては、アスベストなどの補強材や有機、無機質材料、金
属材料などから構成される摩擦摩耗調整材をフェノール
樹脂などの結合材で結着成形させたものが一般的であ
る。
【0003】ところで、近年2輪車などの自動車では、
開発目的の1つとして車体の軽量化が挙げられており、
特に走行性、操縦性、燃費などを改善するために、バネ
下の荷重を少なくすることが有効であるとして、開発目
的の軽量化を達成するために、車体部品を軽合金である
アルミニウム合金で構成することが進められている。と
ころが、バネ下重量で大きな要素を占めるブレーキ装置
については、摩擦材でのアルミ化は未だ実現しておら
ず、ブレーキディスク材の軽量化が強く望まれている。
【0004】しかしながら、アルミニウム合金は、ステ
ンレスなど鉄系材料より格段に軽量で、熱伝導率が高
く、また放熱特性も優れており、ブレーキ装置を構成す
るブレーキディスク材として有効なものではあるが、一
般にアルミニウム合金は鉄系材料と比較して耐熱性が低
く、耐摩耗性に劣る欠点がある。そのためアルミニウム
合金単独でのブレーキディスクでは、苛酷な使用条件下
で高温のため軟化したり、表面荒れやパット材への攻撃
などでブレーキディスクとして使用できなくなるという
問題がある。また、アルミニウム合金は、その熱容量が
鉄系材料の1/2と小さいため、ブレーキディスク全体
が熱的に飽和しやすく、そのためにブレーキパッドとの
摩擦熱を十分に吸収し得ないという問題もある。そこ
で、これらの問題に対して、既にアルミナ繊維、炭化珪
素、窒化珪素に代表されるセラミックス材料を分散させ
たアルミニウム基複合材からなるブレーキディスクが提
案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような複合材料をブレーキディスク材として用いても十
分な摺動特性を得ることは困難であった。それはアルミ
ナ繊維、炭化珪素、窒化珪素を用いた複合系では、アル
ミニウム合金より耐摩耗性の向上は得られるものの、こ
のような複合系の材料ではブレーキパッド材の摩耗が激
しく、相手攻撃性の問題が挙げられる。
【0006】また、ブレーキ装置においては、ブレーキ
ディスク自身の不十分な耐摩耗性による問題のみなら
ず、ブレーキパッド材による過度の攻撃により、ブレー
キディスクに摩耗や損傷を発生させることになり、良好
な耐摩耗特性が得られないこと、及びブレーキパッド材
の焼き付きなどによる消耗等の問題点も挙げられる。こ
のような、ブレーキディスクの摩耗や損傷及びブレーキ
パッド材の焼き付きなどによる消耗が生じると制動時の
振動の原因となり、またフロントブレーキでは運動性を
著しく損なうことにもなる。これは、ブレーキディスク
の材料の選択だけでなく、ブレーキパッド材が現用材の
ステンレス、鋳鉄などとの相性で構成されているため、
上記のような複合材の相性を考慮したブレーキパッド材
でないことも問題と考えられるが、まずは、現用のブレ
ーキパッド材に対する相性を見ながら検討する。
【0007】さらに、アルミナ繊維、炭化珪素、窒化珪
素を用いた複合材料の外に、複合系の選択としてホウ酸
アルミニウムウィスカーの適用について検討した。ホウ
酸アルミニウムウィスカーは、複合材料の強度向上に優
れた強化材として知られているものである。しかしなが
ら、ホウ酸アルミニウムウィスカーを分散させたアルミ
ニウム基複合材では、ブレーキディスクとして要求され
る特性である耐摩耗、ディスクブレーキ材とパット材の
摩耗特性、摩擦係数、制動保持特性を得ることができな
かった。具体的にはブレーキディスクとしての摩擦係数
基準である0.4、保持率(ドライ時に対するウエット
時の摩擦係数保持率)基準70%を得ることができなか
った。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明のブレーキディスクは、アルミニウムあるい
はアルミニウム合金のマトリックス中にSi被覆
を行なって、Si被覆層を有するホウ酸アルミニ
ウムウィスカーを分散させたアルミ基複合材よりなるも
のである。また、本発明のアルミ基複合材よりなるブレ
ーキディスクは、Si被覆層を有するホウ酸アル
ミニウムウィスカーの体積充填率が、12〜27%であ
ることを特徴とするものである。さらに、ホウ酸アルミ
ニウムウィスカーのSi被覆層の厚さが、0.0
5〜0.4μmであることを特徴とするものである。
【0009】また本発明は、Si被覆層を有する
ホウ酸アルミニウムウィスカーを分散させるマトリック
スのアルミニウム合金が、Si:1〜14wt%,C
u:0.1〜5.5wt%,Mg:0.1%〜0.9w
t%,残部Al及び不可避不純物よりなる合金であるこ
とを特徴とするものである。さらに、マトリックスのア
ルミニウム合金が、Si:1〜14wt%,Cu:0.
1〜5.5wt%,Mg:0.1%〜0.9wt%に,
Fe:1.0wt%以下,Mn:0.3wt%以下,T
i:0.25wt%以下,Ni:1.3wt%以下,Z
n:0.3wt%以下の1種または2種以上,残部Al
及び不可避不純物よりなり合金であることを特徴とする
ものである。
【0010】
【作用】2輪車などの自動車の制動装置においてそのブ
レーキディスクの特性は、耐摩耗、制動特性が重要で、
ディスクブレーキ材とパット材の摩耗特性、摩擦係数、
制動保持特性が評価される。本発明のアルミ基複合材よ
りなるブレーキディスク材によれば、要求される特性で
ある耐摩耗、ディスクブレーキ材とパット材の摩耗特
性、摩擦係数、制動保持特性を有するものを得ることが
できるものであり、具体的にブレーキディスクとしての
摩擦係数基準である0.4、保持率(ドライ時に対する
ウエット時の摩擦係数保持率)基準70%以上の特性を
有するものを得ることができるものである。
【0011】すなわち、アルミニウム合金のみでは、こ
のような諸特性を十分に満足することは困難であり、ま
たSiC、Al、ホウ酸アルミニウムウィスカー
等を強化材としたアルミ基複合材料では機械的特性、摩
擦係数などの一部の特性は満されるものの、ブレーキデ
ィスク材の摩耗及びパット材の摩耗が激しく、ブレーキ
システムとして十分な効果を発揮することができない。
しかしながら本発明のSi被覆したホウ酸アルミ
ニウムウィスカーとアルミニウムまたはその合金を用い
た複合系の材料により、良好な機械特性、摩耗特性、摩
擦係数、制動保持特性が得られ、ブレーキシステムとし
て十分な効果を発揮することが可能である。
【0012】またマトリックスであるアルミニウムある
いはアルミニウム合金の合金元素等とホウ酸アルミニウ
ムウィスカーとが、Si被覆層により反応するこ
となく、それらの生成物により反応劣化が生じにくいた
め、マトリックス中に分散させたホウ酸アルミニウムウ
ィスカー等の繊維等が、ディスクブレーキから分離して
脱落することがなく、良好な摩耗特性、摩擦係数、制動
保持特性、機械特性が得られ、ブレーキシステムとして
効果を発揮することができるものである。
【0013】例えば、アルミニウム合金の合金元素とし
てMgを含むものでは、Mgによる反応生成物や界面強
度の低い繊維の脱落物を核とする凝着摩耗により、ブレ
ーキディスクに線状痕が見られる等の問題があり、十分
な摺動特性を得ることができなった。これはBはMgに
比して酸化物形成傾向が小さいので、摺動熱によりホウ
酸アルミニウム(Al1833)ウィスカー中の
が、アルミニウム合金中のMgと反応し、スピ
ネル(MgO・Al)を形成し、特性が劣化する
と考えられる。従って、本発明のようにホウ酸アルミニ
ウムウィスカー表面にMg等の合金と反応しにくいSi
を被覆したホウ酸アルミニウムウィスカーを用い
ることにより、良好な摩耗特性、摩擦係数、制動保持特
性、機械特性が得られ、ブレーキシステムとして効果を
発揮することができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のアルミ基複合材よりなる
ブレーキディスク材は、アルミニウムあるいはアルミニ
ウム合金のマトリックス中にSiの層を被覆した
ホウ酸アルミニウム(例えば、一般式Al18
33)のウィスカーを分散させた複合材よりなることに
より、耐摩耗、ディスクブレーキ材とパット材の摩耗特
性、摩擦係数、制動保持特性を得ることができものであ
る。また、本発明のアルミ基複合材よりなるブレーキデ
ィスク材は、ブレーキディスク全体、またはブレーキデ
ィスクの摺動面部に用いられるものである。
【0015】また、このような特性が得られる、より好
ましいSi被覆層を有するホウ酸アルミニウムウ
ィスカーの体積充填率、及びSi被覆層の厚さに
ついて示す。アルミニウムあるいはアルミニウム合金の
マトリックス中のSi被覆層を有するホウ酸アル
ミニウムウィスカーの体積充填率は12〜27%である
ことが適当である。これは12%未満であるとブレーキ
ディスクとして十分な摺動特性を得ることができず、ま
た十分な強度特性を得ることができない。また27%を
越えると複合化が困難になり且つ十分な靭性を得ること
ができない。さらに加工性が悪くなり工業的に加工する
ことが困難になる。
【0016】また、ホウ酸アルミニウムウィスカーを被
覆するSi層の厚さは、0.05〜0.4μmで
あることが適当である。特に0.1〜0.2μmが良好
である。Si層の厚さが0.05μm未満である
と、Si層の効果が小さく、耐摩耗、ディスクブ
レーキ材とパット材の摩耗特性、摩擦係数、制動保持特
性、強度特性の向上を図ることが困難になる。0.4μ
mを越えると制動時のパッド材摩耗を増加させることな
り好ましくない、また加工性も悪化する。
【0017】本発明のアルミ基複合材のブレーキディス
ク材は、Siの層を被覆したホウ酸アルミニウム
ウィスカーをアルミニウムあるいはアルミニウム合金の
マトリックス中に分散させ、含有させるものであるが、
このSiの層を被覆したホウ酸アルミニウムウィ
スカー1種でもよいが、このアルミ基複合材の繊維成形
体を補強するため、さらにSiC、Al等の繊維
を添加して用いることも可能である。
【0018】またマトリックス(母材)はアルミニウム
あるいはアルミニウム合金であるので、従来のステンレ
スなどの鉄系材料より格段に軽量化が図られ、また放熱
特性を有したアルミ基複合材よりなるブレーキディスク
とすることができる。また、アルミ基複合材よりなるブ
レーキディスクの機械的特性と耐摩耗性の向上を図るた
め、Al−Si−MgまたはAl−Cu−Si系のアル
ミニウム合金であることが好ましい。
【0019】具体的に好ましい成分は、Si:1〜14
wt%,Cu:0.1〜5.5wt%,Mg:0.1%
〜0.9wt%,残部Al及び不可避不純物よりなり合
金である。また、Si:1〜14wt%,Cu:0.1
〜5.5wt%,Mg:0.1%〜0.9wt%に,F
e:1.0wt%以下,Mn:0.3wt%以下,T
i:0.25wt%以下,Ni:1.3wt%以下,Z
n:0.3wt%以下の1種または2種以上,残部Al
及び不可避不純物よりなり合金である。さらに必要に応
じて、さらにPb:0.05wt%以下,Sn:0.0
5wt%以下,Cr:0.05wt%以下の1種または
2種以上を添加含有させるものである。
【0020】上記成分のアルミニウム合金において、こ
のような成分範囲とした理由を示す。Si量が1wt%
未満であると複合含浸時の含浸抵抗が増大し良品が得ら
れず、14wt%を越えると十分な靭性をえることがで
きない。Cu量が0.1wt%未満では強度特性の向上
を図ることが困難であり、5.5wt%を越えると十分
な耐食性を確保することが困難である。またMg量が
0.1wt%未満であると十分な靭性、強度を得ること
が困難であり、0.9wt%を越えると溶湯の流動性が
劣化し、複合含浸時の含浸抵抗の増大、凝固時の引け特
性の劣化をもたらすことになる。
【0021】また、Feは耐磨耗性を向上させるもので
あるが、1.0wt%を越えると凝固時に大きな結晶が
生じて疲労強度が低下させることになる。Mnは靭性を
向上させるものであるが、0.3wt%越えると凝固時
に大きな結晶が発生することになる。Tiは結晶粒を微
細化させるもので、0.25wt%越えるとその効果が
飽和する。Niは耐熱性や高温疲労強度を向上させるも
ので、1.3wt%越えるとその効果が飽和する。Zn
は耐磨耗性を向上させるものであるが、0.3wt%越
えるとその効果が飽和し、耐食性を低下させることとな
る。
【0022】また、このアルミ基複合材は、その製造法
として加圧鋳造法が好ましく、その製造法を考慮する
と、マトリックス(母材)は良好な鋳造性を有するもの
が好まし、上記のアルミニウム合金は良好な鋳造性を有
しているものである。た、必要に応じて適宜熱処理を施
すものである。
【0023】より具体的に、マトリックス(母材)とし
て望ましいアルミニウム合金を例示すると、Si:1
1.0〜13.5wt%,Cu:0.50〜1.3wt
%,Mg:0.8〜1.3wt%,Ni:0.50〜
1.3wt%,及びFe:1.0wt%以下,Mn:
0.02wt%以下,Cr:0.10wt%以下,Z
n:0.25wt%以下の1種または2種以上を含み残
部Alと不可避不純物よりなりアルミニウム合金であ
る。また、Cu:4.0〜5.0wt%,Si:1.0
〜1.2wt%,Mg:0.1〜0.2wt%,及びZ
n:0.3wt%以下,Mn:0.3wt%以下,T
i:0.3wt%以下,Ni:0.05wt%以下,F
e:0.5wt%以下の1種または2種以上を含み残部
Alと不可避不純物よりなりアルミニウム合金であり、
この組成に、さらにPb:0.05wt%以下,Sn:
0.05wt%以下,Cr:0.05wt%以下の1種
または2種以上を含むアルミニウム合金である。また、
Si:6.5〜7.5wt%,Mg:0.2〜0.45
wt%,Cu:0.1〜0.20wt%,Zn:0.1
wt%以下,Mn:0.1wt%以下,Ti:0.20
wt%以下,Fe:0.2wt%以下,Ni:0.05
wt%以下の1種または2種以上を含み残部Alと不可
避不純物よりなりアルミニウム合金であり、この組成に
さらに、Pb:0.05wt%以下,Sn:0.05w
t%以下,Cr:0.05wt%以下の1種または2種
以上を含むアルミニウム合金である。
【0024】
【実施例1】本発明の第1実施例について、図1(a)
〜(c)及び表1、表2、表3を参照して説明する。ま
ず、Siの被覆層0.1μのホウ酸アルミニウム
ウィスカーにより同繊維の多孔質繊維成形体を作製し
た。この多孔質繊維成形体は、体積充填率が異なる種々
の多孔質繊維成形体を作製した。これは図1((a)は
斜視図、(b)は平面図、(c)は断面図)に示すよう
に、その形状は、Si被覆層を有するホウ酸アル
ミニウムウィスカー(2)を成形した多孔質繊維成形体
(1)の形状に作製した。
【0025】次いで、これらの多孔質繊維成形体を同型
状のキャビティを有する加圧鋳造装置(スクイズキャス
ティングマシン)にセットし、マトリックスであるアル
ミニウム合金A、Bを用いてそれぞれ加圧鋳造を行っ
た。アルミ合金Aとして、Si:11.1%,Cu:
1.03%,Fe:0.13%,Mn:0.02%,M
g:0.88%,Ni:0.92%,残部Alのもの、
またアルミ合金Bとして、Cu:4%,Si:1%,M
g:0.1%,Zn:0.1%,Mn:0.2%,T
i:0.2%,Al残の組成のものを用いた。
【0026】なお、体積充填率が異なる種々の多孔質繊
維成形体を作製し、それぞれ加圧鋳造を行ったが、この
とき体積充填率が9%の多孔質繊維成形体を使用する
と、複合化の際に強度不足のため成形体が潰れてしまい
良好な複合材を製造することができなかった。また30
%の多孔質繊維成形体では、溶湯の含浸が困難となり極
端な割れが生じた。
【0027】上述のように、体積充填率が異なる多孔質
繊維成形体を作製し、加圧鋳造を行って製造されたもの
のうち、Vf(体積充填率)22%のアルミ基複合材に
ついて慣性型摩耗試験を行った。まず、Vf(体積充填
率)22%の複合材から直径160mm×厚み5mmの
ブレーキディスクを切削加工をし作製した。また比較材
として、被覆層を設けないホウ酸アルミニウムウィスカ
ーの多孔質繊維成形体を作り、加圧鋳造を行ったもの、
及び従来材ステンレスを用いた同形状ブレーキディスク
を作製した。
【0028】一方、ブレーキディスクの摩擦相手材であ
るパッド材としては、表1に示す成分からなる市販パッ
ド材のセミメタリックパッド材Fを用意した。これらブ
レーキディスクとパッド材とにより慣性型摩耗試験を実
施して、摩擦摩耗特性を測定した。試験条件は表2に示
すようにドライ状態、ウエット状態ので行った。この慣
性型摩耗試験の試験測定項目は表3に示すように、摩擦
係数、ブレーキディスク表面粗さ、パッド材摩耗量、及
び保持率(ドライ時に対するウエット時の摩擦係数保持
率)である。
【表1】
【表2】
【表3】
【0029】表3に示す試験結果から明らかなように、
本発明材のブレーキディスクは、摩擦係数基準である
0.4、保持率基準の70%を越えており、耐摩耗、デ
ィスクブレーキ材とパット材の摩耗特性、摩擦係数、制
動保持特性のいずれも十分なブレーキ特性を示している
ものである。また比較材の被覆層を設けていないホウ酸
アルミ、SiC、Alを用いた複合材料と比較し
ても十分なブレーキ特性を示していることがわかる。さ
らに従来材のステンレスを用いたブレーキディスクと比
べても、総合的に同等またはそれ以上の特性を示してい
ることがわかる。なお、Siの被覆層を有するホ
ウ酸アルミニウムウィスカーの体積充填率が10%のも
のについて同様な評価を行ったが、十分な摩擦摩耗特性
を得ることができなかった。
【0030】
【実施例2】本発明の第2実施例について、表4、表5
を参照して説明する。Si被覆層の厚さが0.2
μのホウ酸アルミニウムウィスカーにより同繊維の図1
に示す形状の体積充填率が10〜30%の多孔質繊維成
形体を作製した。これらの多孔質繊維成形体を同型状の
キャビティを有する加圧鋳造装置(スクイズキャスティ
ングマシン)にセットし、マトリックスとしてアルミ合
金Cを用いてそれぞれ加圧鋳造を行った。体積充填率が
30%のものは、複合時に含浸抵抗のため割れが生じ
た。なおアルミ合金Cは、Si:6.5〜7.5%,M
g:0.2〜0.4%,Zn:0.1%以下,Cu:
0.20%以下,Mn:0.1%以下,Ti:0.20
%以下,Al残のものを用いた。製造された各複合材か
ら直径160mm×厚み5mmのブレーキディスクを作
製した。摩擦相手材としては市販のノンメタリック系パ
ッド材を用意した。以上から、実施例1と同様の試験を
行った。上記試験結果は表4に示す通りである。また制
動評価後の機械的特性値を表5に示す。
【表4】
【表5】
【0031】表4に示す試験結果から明らかなように、
本発明のSi被覆層を有するホウ酸アルミニウム
ウィスカーを分散させた複合材のブレーキディスクは、
耐摩耗、ディスクブレーキ材とパット材の摩耗特性、摩
擦係数、制動保持特性のいずれも十分なブレーキ特性を
示しているものである。特に体積充填率が、12〜27
%のものは、摩擦係数基準である0.4、保持率基準の
70%を越えており、優れた耐摩耗、ディスクブレーキ
材とパット材の摩耗特性、摩擦係数、制動保持特性のを
示している。
【0032】また、表5に示す制動評価前後の機械的特
性値(静的曲げ破壊強度(kN))から明らかなよう
に、本発明のSi被覆層を有するホウ酸アルミニ
ウムウィスカーを分散させた複合材のブレーキディスク
は、制動評価の前と後で静的曲げ破壊強度(kN)のね
じり方向及び横方向の強度が、比較材の被覆層を設けて
いないホウ酸アルミを用いた複合材料より優れており、
また現用ステンレスのと同等またはそれ以上の特性を示
しているものである。
【0033】
【実施例3】本発明の第3実施例について、表6を参照
して説明する。Si被覆層ホウ酸アルミニウムウ
ィスカーにより同繊維の体積充填率を22%として、ホ
ウ酸アルミニウムウィスカーのSi被覆層の厚さ
の異なる多孔質繊維成形体を図1に示す形状に作製し、
これらの多孔質繊維成形体を同型状のキャビティを有す
る加圧鋳造装置(スクイズキャスティングマシン)にセ
ットし、マトリックスとしてアルミ合金A、アルミ合金
B(上記実施例1と同じ成分)を用いてそれぞれ加圧鋳
造を行った。製造されたVf(体積充填率)22%の複
合材から直径160mm×厚み5mmのブレーキディス
クを切削加工し、作製した。一方、摩擦相手材であるパ
ッド材としては、市販ノンメタリック系パッド材を用意
した。以上から、上記実施例1と同様の試験を行った。
その試験結果は表6に示す通りである。
【表6】
【0034】表6に示す試験結果から明らかなように、
本発明のSi被覆層を有するホウ酸アルミニウム
ウィスカーを分散させた複合材のブレーキディスクは、
耐摩耗、ディスクブレーキ材とパット材の摩耗特性、摩
擦係数、制動保持特性のいずれも十分なブレーキ特性を
示しているもので、Si被覆層が、0.05〜
0.4μmのものは、摩擦係数基準である0.4、保持
率基準の70%を越えており十分なブレーキ特性が得ら
れていることがわかる。特に0.1〜0.2μmのSi
被覆層のものは優れた耐摩耗、ディスクブレーキ
材とパット材の摩耗特性、摩擦係数、制動保持特性のを
示している。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかわる
アルミ基複合材よりなるブレーキディスク材によれば、
アルミニウムあるいはアルミニウム合金をマトリックス
としているのでブレーキディスク材の軽量化が図られ、
かつドライ、ウエットのいずれの制動状態でも良好なブ
レーキ特性である耐摩耗、ディスクブレーキ材とパット
材の摩耗特性、摩擦係数、制動保持特性を発揮すると共
に、従来料及び他の金属基複合材料より優れた各種の要
求特性を備えているもので、このようなアルミ基複合材
よりなるブレーキシステムの実用化に大きく貢献できる
という顕著な効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における成形体を示す図
【符号の説明】
1. 多孔質繊維成形体 2. ウィスカー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムあるいはアルミニウム合金
    のマトリックス中にSi被覆層を有するホウ酸ア
    ルミニウムウィスカーを分散させたことを特徴とするア
    ルミ基複合材よりなるブレーキディスク。
  2. 【請求項2】 Si被覆層を有するホウ酸アルミ
    ニウムウィスカーの体積充填率が、12〜27%である
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミ基複合材より
    なるブレーキディスク。
  3. 【請求項3】 ホウ酸アルミニウムウィスカーのSi
    被覆層の厚さが、0.05〜0.4μmであること
    を特徴とする請求項1または2に記載のアルミ基複合材
    よりなるブレーキディスク。
  4. 【請求項4】 マトリックスのアルミニウム合金が、S
    i:1〜14wt%,Cu:0.1〜5.5wt%,M
    g:0.1%〜0.9wt%,残部Al及び不可避不純
    物よりなり合金であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のアルミ基複合材よりなるブレーキディ
    スク。
  5. 【請求項5】 マトリックスのアルミニウム合金が、S
    i:1〜14wt%,Cu:0.1〜5.5wt%,M
    g:0.1%〜0.9wt%に,Fe:1.0wt%以
    下,Mn:0.3wt%以下,Ti:0.25wt%以
    下,Ni:1.3wt%以下,Zn:0.3wt%以下
    の1種または2種以上,残部Al及び不可避不純物より
    なり合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のアルミ基複合材よりなるブレーキディスク。
JP15600997A 1997-05-29 1997-05-29 アルミ基複合材よりなるブレーキディスク Pending JPH10330866A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15600997A JPH10330866A (ja) 1997-05-29 1997-05-29 アルミ基複合材よりなるブレーキディスク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15600997A JPH10330866A (ja) 1997-05-29 1997-05-29 アルミ基複合材よりなるブレーキディスク

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10330866A true JPH10330866A (ja) 1998-12-15

Family

ID=15618338

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15600997A Pending JPH10330866A (ja) 1997-05-29 1997-05-29 アルミ基複合材よりなるブレーキディスク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10330866A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102433520A (zh) * 2011-12-21 2012-05-02 哈尔滨工业大学 ZnWO4涂覆硼酸铝晶须增强铝基复合材料及其制备方法
CN102433519A (zh) * 2011-12-21 2012-05-02 哈尔滨工业大学 陶瓷相增强体表面涂覆钨酸锌的方法
CN103397282A (zh) * 2013-08-13 2013-11-20 哈尔滨理工大学 纳米氧化锆涂覆硼酸铝晶须/铝基复合材料的制备方法
CN114087301A (zh) * 2021-11-11 2022-02-25 湖南金天铝业高科技股份有限公司 热压整形制备制动盘过程中工艺参数的估算方法及估算系统

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102433520A (zh) * 2011-12-21 2012-05-02 哈尔滨工业大学 ZnWO4涂覆硼酸铝晶须增强铝基复合材料及其制备方法
CN102433519A (zh) * 2011-12-21 2012-05-02 哈尔滨工业大学 陶瓷相增强体表面涂覆钨酸锌的方法
CN103397282A (zh) * 2013-08-13 2013-11-20 哈尔滨理工大学 纳米氧化锆涂覆硼酸铝晶须/铝基复合材料的制备方法
CN103397282B (zh) * 2013-08-13 2015-08-19 哈尔滨理工大学 纳米氧化锆涂覆硼酸铝晶须/铝基复合材料的制备方法
CN114087301A (zh) * 2021-11-11 2022-02-25 湖南金天铝业高科技股份有限公司 热压整形制备制动盘过程中工艺参数的估算方法及估算系统
CN114087301B (zh) * 2021-11-11 2023-09-05 湖南湘投轻材科技股份有限公司 热压整形制备制动盘过程中工艺参数的估算方法及估算系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2559617A1 (en) Lightweight reinforced brake drum and method for making same
CA2357323A1 (en) Hybrid metal matrix composites
JP7078359B2 (ja) 焼結摩擦材及び焼結摩擦材の製造方法
US5236032A (en) Method of manufacture of metal composite material including intermetallic compounds with no micropores
JP2006348379A (ja) 焼結金属摩擦材料および摩擦部材
JPH10330866A (ja) アルミ基複合材よりなるブレーキディスク
EP0365365B1 (en) Silicon carbide-reinforced light alloy composite material
JP2001504165A (ja) 主として摩擦物体用の高い比率で金属間相を有する複合材料
US5975256A (en) Drum brake especially for a two-wheeled vehicle
JP4197751B2 (ja) メタリック摩擦材およびその製造方法
JPH06502689A (ja) 改良された共晶あるいは過共晶合金の製造方法およびこれを基本とする複合材料
CN113957284A (zh) 梯度铝基复合材料、其制备方法及应用
JPH10226833A (ja) 焼結摩擦材
JPH08120367A (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金系複合材料
JP2000355685A (ja) 摩擦材料
JPH08283701A (ja) メタリック系摩擦材料
JP2782966B2 (ja) 摺動部材
JPH10137920A (ja) 鉄道車両用複合材料ブレーキディスクの製造方法
GB2176804A (en) Fibre-reinforced aluminium castings
JP3390117B2 (ja) ディスクパッド
JPH06159405A (ja) 複合材料製ブレーキキャリパ
JPH09184037A (ja) ブレーキディスク用アルミニウム合金複合材
JPH10140275A (ja) 鉄道車両ブレーキディスク用複合材料
JPS63286552A (ja) 車両用高燐鋳鉄制輪子
JPH09118947A (ja) アルミニウム基複合材ブレーキディスクとこれを用いたブレーキシステム