JPH10330753A - 反強誘電性液晶組成物 - Google Patents

反強誘電性液晶組成物

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JPH10330753A
JPH10330753A JP13985397A JP13985397A JPH10330753A JP H10330753 A JPH10330753 A JP H10330753A JP 13985397 A JP13985397 A JP 13985397A JP 13985397 A JP13985397 A JP 13985397A JP H10330753 A JPH10330753 A JP H10330753A
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JP
Japan
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liquid crystal
antiferroelectric
phase
antiferroelectric liquid
crystal composition
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JP13985397A
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Takahiro Matsumoto
隆宏 松本
Masahiro Kino
正博 城野
Tomoyuki Yui
知之 油井
Hironori Motoyama
裕規 本山
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配向性に優れた反強誘電性液晶組成物を得
る。 【解決手段】 下記一般式(1) で示されるフェニルエス
テル化合物を下記一般式(2) で示される反強誘電性液晶
に添加してなる反強誘電性液晶組成物。 【化1】 (式(1) 中、mは 5〜12、nは 1〜4 、pは 1〜5 の整
数、X、Yは水素原子又は一方がフッ素原子で他方が水
素原子である。式(2) 中、Rは炭素数 6〜12の直鎖アル
キル基、ZはH原子またはF原子、Aは-CH3又は-CF3
であり、rが0の時Aは-CH3基でpは 4〜8 の整数、r
が1の時、Aは-CF3基でsは 5〜7 の整数、qは2又は
4の整数である。) 【効果】 本発明の新規な反強誘電性液晶組成物は、応
答速度が速く、チルト角が大きく、かつ配向性に優れて
いる。そのため表示品質の高い反強誘電性液晶表示素子
を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な反強誘電性液晶
組成物及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、低電圧作動性、低消費
電力性、薄型表示が可能である事等により、現在までに
各種の小型表示素子に利用されてきた。しかし、昨今の
情報、OA関連機器分野、あるいは、テレビ分野への液
晶表示素子の応用、用途拡大に伴って、これまでのCR
T表示素子を上回る表示容量、表示品質を持つ高性能大
型液晶表示素子の要求が、急速に高まってきた。
【0003】しかしながら、現在のネマチック液晶を使
用する限りにおいては、液晶テレビ用に採用されている
アクテイブマトリックス駆動液晶表示素子でも、製造プ
ロセスの複雑さと歩留りの低さにより、その大型化、低
コスト化は容易ではない。又、単純マトリックス駆動の
STN型液晶表示素子にしても、大容量駆動は必ずしも
容易ではなく、応答時間にも限界があり動画表示は困難
である。更にネマチック液晶を用いた表示素子は、視野
角が狭いということが、大きな問題になってきている。
従って、ネマチック液晶表示素子は、上記の高性能大型
液晶表示素子への要求を、満足するものとはいい難いの
が実状である。
【0004】このような状況のなかで、高速液晶表示素
子として注目されているのが、強誘電性液晶を用いた液
晶表示素子である。クラ−クとラガバ−ルにより発表さ
れた、表面安定化型強誘電性液晶(SSFLC)素子
は、その従来にない速い応答速度と広い視野角を有する
事が注目され、そのスイッチング特性に関しては詳細に
検討されおり、種々の物性定数を最適化するため、多く
の強誘電性液晶が合成されている。しかしながら、しき
い値特性が不十分である、層の構造がシェブロン構造を
しているなどからコントラストが不良である、高速応答
が実現されていない、配向制御が困難でSSFLCの最
大の特徴の1つである双安定性の実現が容易でない、機
械的衝撃に依って配向が破壊されそれの回復が困難であ
るなどの問題があり、実用化にはこれらの問題の克服が
必要である。
【0005】これとは別に、SSFLCと異なるスイッ
チング機構の素子の開発も、同時に進められている。反
強誘電相を有する液晶物質(以下、反強誘電性液晶物質
と呼ぶ)の三安定状態間のスイッチングも、これらの新
しいスイッチング機構の1つである(Japanese Journal
of Applied Physics, Vol.27, pp.L729, (1988))。反強
誘電性液晶素子は、3つの安定な状態を有する。すなわ
ち、強誘電性液晶素子で見られる、2つのユニフォ−ム
状態(Ur,Ul) と第三状態である。この第三状態が、反強
誘電相であることをChandaniらが報告している(Japanes
e Journal of Applied Physics, Vol.28, pp.L1261, (1
989)、Japanese Journal of Applied Physics, Vol.28,
pp.L1265, (1989))。このような三安定状態間のスイッ
チングが、反強誘電性液晶素子の第1の特徴である。
【0006】反強誘電性液晶素子の第2の特徴は、印加
電圧に対して明確なしきい値が存在することである。更
に、メモリ−性を有しており、これが反強誘電性液晶素
子の第3の特徴である。これらの優れた特徴を利用する
ことにより、応答速度が速く、コントラストが良好な液
晶表示素子を実現できる。又、もう一つの大きな特徴と
して、層構造が、電界により容易にスイッチングする事
があげられる(Japanese Journal of Applied Physics,
Vol.28, pp.L119,(1989)、Japanese Journal of Applie
d Physics, Vol.29, pp.L111, (1990)) 。このことによ
り、欠陥が極めて少なく、配向の自己修復能力のある液
晶表示素子の作製が可能となり、コントラストに優れた
液晶素子を実現できる。
【0007】更に、強誘電性液晶では殆ど不可能である
電圧階調が、反強誘電性液晶では可能であることが実証
され、フルカラー化への道が開け、一層反強誘電性液晶
の重要性が増してきている(第4回強誘電性液晶国際会
議予稿集、77頁、(1993)) 。しかしながら、実用化を目
指す場合,反強誘電性液晶に求められる条件は、多岐に
わたる。特に重要な主な条件としては、次のような項目
が考えられる。
【0008】第1の条件として、広い動作温度範囲を確
保するために、反強誘電相の温度範囲が室温付近を中心
として広く存在することが必要である。通常見いだされ
ている反強誘電性液晶は、比較的反強誘電相の温度範囲
が狭く、室温付近を中心に幅広い温度範囲で反強誘電相
を有する液晶はそれほど多くない。従って、2種類以上
の反強誘電性液晶を混合して、反強誘電相の温度範囲を
広げるなどの試みがなされている(特願平7-555850号)
【0009】第2の条件として、良好な配向を得るため
にスメクチックA相が存在している必要がある。もっと
も良好な配向を得るためには、カイラルネマチック相が
存在することが必要であるといわれている。しかしなが
ら、現在までカイラルネマチック相を有する反強誘電性
液晶は見いだされていない。このため、反強誘電性液晶
材料においては少なくともスメクチックA相が存在する
必要があり、この相が存在しない場合は、殆ど液晶を配
向させることはできない。一方、比較的物性のバランス
の取れた反強誘電性液晶は、スメクチックA相を有して
いないことが多い。そのため、スメクチックA相を賦与
するために適当な反強誘電性液晶、或いは光学活性化合
物を混合する事などが行われている(特願平7-555850
号) 。
【0010】第3の条件として、高いコントラストを得
るためには、大きなチルト角と配向欠陥が少ないことが
必要である。反強誘電性液晶のコントラストは、強誘電
状態の光透過率(白状態)を反強誘電状態の光透過率
(黒状態)で割った値で示される。したがって、強誘電
状態の光透過率ができるだけ大きく、反強誘電状態の光
透過率ができるだけ小さいことがコントラスト向上の為
に必要である。強誘電状態の光透過率は、液晶のチルト
角によって決まる。 すなわち、チルト角は大きければ
大きいほど素子の光透過率は大きくなる。しかし、チル
ト角は何らかの物質の混合によって、大きくする手段は
殆どなく、液晶によって決まってしまう。また、一般に
チルト角は反強誘電性液晶の特性を改善するために種々
の物質を混合したとき低下する傾向が強く、いかにして
チルト角の低下を防ぎつつ、物性を整えるかということ
が大きな課題となる。
【0011】もう一方の反強誘電状態の光透過率を抑制
することがコントラスト向上にもっとも大きな影響を与
える。反強誘電状態の光透過率はできるだけ小さいこと
が好ましい。光透過率が大きくなる原因としては配向欠
陥の存在、配向方向の異なるドメインの存在などがあ
る。これらは、適当な物質を反強誘電性液晶に混合する
ことによって大きく改善することが可能である(特願平
8-180617号) 。
【0012】第4の条件として応答時間ができるだけ速
いことが望ましい.年々液晶デイ スプレーの表示品位に
対する要求は厳しくなってきており、特に走査線数の多
い高精細デイ スプレーの実現は不可欠になってきてい
る。走査線数の多いデイ スプレーの実現のためには応答
速度の高速化が必要である。反強誘電性液晶の場合、反
強誘電状態から強誘電状態へ、強誘電状態から反強誘電
状態への二つのスイッチングが存在する。この電圧によ
る二つのスイッチング速度、即ち、応答速度が表示素子
の表示品質を決める重要な因子となる。
【0013】反強誘電状態から強誘電状態への応答速度
(=応答速度I)は、例えば、線順次走査する単純マトリッ
クス駆動に於て、走査線一ライン当りの書き込み速度と
なるので一画面を構成する走査線数を決定することにな
りもっとも重要である。応答速度I が速ければ速いほど
走査線数を増やすことができ、高精細素子の実現が可能
となる。
【0014】また、強誘電状態から反強誘電状態への応
答速度(=応答速度II) は、素子の駆動方法の設計により
必要とされる速度は変わる。例えば、オフセット電圧の
設定電圧によって変わるものである。しかし、余りにも
応答速度IIが速い場合は強誘電状態を維持(明或は暗状
態の維持)できず、逆に余りにも遅い場合には強誘電状
態から反強誘電状態への変化(明或は暗状態から暗或は
明状態への書換え)が起こらず、不都合となる。応答速
度IIは、駆動方法を決定した後に最適な値を設定するこ
とになる。以上、高精細素子の実現のためには、応答速
度I が高速であることが極めて重要である。以上のよう
に、実用材料であるためには上記の要因を全て満たした
材料である必要がある。しかしながら、現在まで上記要
因全てを満足するような材料が得られていないのが実情
である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】実用上、反強誘電性液
晶材料は、上述したように第1から第4の条件全てを満
たす材料である必要がある。第1の条件である、広い動
作温度範囲を確保するためには、反強誘電相の上限温
度、下限温度の拡大の両方を同時に行う必要がある。液
晶素子の使用目的によって、反強誘電性液晶相の存在範
囲は若干異なるが、一般的には上限温度が少なくとも40
℃以上、好ましくは50℃以上である。また、下限温度は
少なくとも10℃以下、好ましくは0℃以下である。この
様な目的の達成のためには、通常できるだけ反強誘電相
の下限温度が低い材料を用い、これに上限温度の高い反
強誘電性液晶材料を混合して、反強誘電相の温度範囲の
広い液晶組成物を作り出すのが比較的容易な手法であ
る。しかしながら、他の諸物性をそれほど犠牲にせず、
必要な反強誘電相の温度範囲を確保することは、材料の
種類が限られているなどの点からそれほど容易に達成で
きることではない。
【0016】第2の条件として、スメクチックA相の存
在が必要である。反強誘電性液晶の場合、良好な配向を
得るためにはこの条件は不可欠である。スメクチックA
相を有する反強誘電性液晶は一般的に物性的に不満足な
ものが多い。そのため、比較的物性的に優れたスメクチ
ックA相を有しない反強誘電性液晶に小量のスメクチッ
クA相を有する反強誘電性液晶、或いは光学活性化合物
を混合してスメクチックA相を有する反強誘電性液晶と
するのが妥当な方法である。しかしながら、この場合も
その他の諸物性に悪影響ができるだけ及ばないようにす
るためには、使用できる添加液晶、光学活性化合物は極
めて限定される。
【0017】第3の条件として、液晶素子は高いコント
ラストを実現しなければならない。特に、最近のアクテ
イブマトリックス駆動素子、STN駆動素子のコントラ
スト向上に関する技術向上はめざましい。したがって、
反強誘電性液晶素子においても、高いコントラストの実
現が最大の課題となる。前述したように高いコントラス
トは、液晶材料の大きなチルト角と液晶分子配向の欠陥
を少なくすることによって達成できる。このうち、液晶
材料のチルト角は材料固有の値であり、何らかの手段に
よって大きくすることは不可能であり、大きなチルト角
を有する液晶を合成するしかない。現在のところ他の諸
物性を考慮し実用上使用できると考えられる液晶材料の
最大チルト角は38゜ぐらいである。
【0018】また、コントラストの定義から分かるとお
り、コントラスト改善のためには、反強誘電状態の光透
過率をできるだけ小さくすることが効率的な改善法とな
る。反強誘電状態での光透過率が大きくなる原因は配向
欠陥による。即ち、これまでに合成された反強誘電性液
晶の多くは、スメクチック相の層法線方向がラビング軸
から傾いて配向する。以降、ラビング軸からの層法線方
向の傾き角を配向のずれ角(θ)と呼ぶ。
【0019】液晶セルは通常、ラビング処理したガラス
基板をラビング方向が平行あるいは反平行になるように
貼り合わせて作製する。ラビング軸から傾いて配向する
反強誘電性液晶をこの様なセルに充填した場合、上側の
ガラス基板から成長した液晶と下側のガラス基板から成
長した液晶とでは配向方向が2θ異なり、しかもそれぞ
れの基板から成長した液晶の領域が結合する際、結合部
分に欠陥が発生する。全体の分子配向方向が一様でない
こと、配向のずれ角に起因する欠陥が存在することか
ら、この様なセルにおける反強誘電状態の光透過率は非
常に大きくなる。
【0020】このような問題を解消する方法として、上
下ガラス基板のラビング方向を2θずらす方法と液晶材
料のずれ角を小さくする方法とが考えられる。上下ガラ
ス基板のラビング方向をずらすことは容易であるが、液
晶単体の種類、液晶組成物の種類によってずれ角は異な
るので、ずらす角度は用いる液晶ごとに随時変える必要
がある。一方、配向のずれ角に関する報告はこれまで行
なわれていないが、配向のずれ角を容易に小さくするこ
とができれば、液晶セル製作上の煩わしさを解消でき、
均一な配向が達成できる。
【0021】ラビング軸に対してある傾きをもって配向
する反強誘電性液晶に、これとは反対の傾きを持って配
向する反強誘電性液晶または光学活性化合物から選ばれ
た化合物の一つを混合することにより、配向のずれ角の
小さな反強誘電性液晶組成物を得ることができ、その結
果、配向が均一で反強誘電状態の光透過率が極めて小さ
な液晶素子が得られる。このように、配向状態を改善で
きる化合物が存在することは事実である。しかし、その
他の諸物性への影響を考慮すると現実に使用できる化合
物はかなり限定される。
【0022】第4の条件である応答速度の速い材料を得
るためには、液晶材料の粘性を下げることがもっとも有
効な方法となる。粘性を下げるためには、低分子の化合
物を添加することになる。この様な化合物を添加すると
確かに応答性は改善されるが、反強誘電相の上限温度が
低下する、チルト角が低下するなどの悪影響も発生す
る。従って、応答性能を改善し、かつ反強誘電相の上限
温度、チルト角にできるだけ影響を及ぼさないような化
合物を見いだすことが重要である。
【0023】以上のように、実用材料であるためには上
記の4つの条件を全て満たした材料である必要があり、
そのような材料を実現できる構成成分を開発することが
重要である。しかしながら、現在まで上記要因全てを満
足するような材料が得られておらず、またそれを実現す
る構成成分も見いだされていないのが実情である。本発
明はこの様な観点からなされたものであり、上記条件を
満たす実用材料を提供するものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記一般式(1) で示されるフェニルエステル化合物を下記
一般式(2) で示される反強誘電性液晶に添加してなる反
強誘電性液晶組成物である。
【0025】
【化2】 (式(1) 中、mは 5〜12、nは 1〜4 、pは 1〜5 の整
数、X、Yは水素原子又は一方がフッ素原子で他方が水
素原子である。式(2) 中、Rは炭素数 6〜12の直鎖アル
キル基、ZはH原子またはF原子、Aは-CH3又は-CF3
であり、rが0の時Aは-CH3基でpは 4〜8 の整数、r
が1の時、Aは-CF3基でsは 5〜7 の整数、qは2又は
4の整数である。)
【0026】該一般式(1) で示されるフェニルエステル
化合物は、液晶相を有していない事が好結果を与える。
また、該一般式(1) において、mが9であるフェニルエ
ステル化合物が物性的に優れた液晶組成物を与える。更
に、該一般式(2)においてRの炭素数が9である事が
好ましい反強誘電性液晶組成物を与える。一般式(1) で
あらわされるフェニルエステル化合物の添加量が組成物
の1〜50モル%が好ましく、より好ましくは1〜30モル
%である。反強誘電性液晶液晶組成物としては、該反強
誘電相の高温側の転移温度が40℃以上で、低温側の転移
温度が 0℃以下であり、該反強誘電相よりも高温側にス
メクチックA相を有することが好ましい。そして、本発
明の反強誘電性液晶液晶組成物は、単純マトリックス液
晶表示素子とされ、液晶の電圧による駆動を1 つの反強
誘電状態と2つの強誘電状態へのスイッチングにて行わ
れる。
【0027】本発明の一般式(1) で示される化合物は例
えば次のような方法によって製造される(特願平8-2780
13号) 。 (イ) HO-Ph-COOH + RCOCl → RCOO-Ph-COOH (ロ) (イ) + SOCl2 → RCOO-Ph-COCl (ハ) (ロ) + CpF2p+1(CH2)mOH → 目的物 ( 式中の-Ph-は1,4-フェニレン基、R はアルキル基をそ
れぞれ示す。) 上記製造法について、以下に簡単に説明する。(イ) は、
p-ヒドロキシ安息香酸と酸クロライドとの反応である。
(ロ) は、(イ) の塩化チオニルによる塩素化である。(ハ)
は、(ロ) とアルコールとの反応による目的物の生成であ
る。
【0028】また、本発明の一般式(2) で示される反強
誘電性液晶は、既に本発明者らが示した方法によって簡
便に製造することができる(特開平4-198155号公報)。
例えば、一般式(2) で示される反強誘電性液晶は、次の
方法によって製造される。 (イ) AcO-Ph-COOH + SOCl2 → AcO-Ph-COCl (ロ) (イ) + R*OH → AcO-Ph-COOR* (ハ) (ロ) + Ph-CH2NH2 → HO-Ph-COOR* (ニ) RO-Ph-Ph-COOH + SOCl2 → RO-Ph-Ph-COCl (ホ) (ハ) + (ニ) → 反強誘電性液晶 式中の AcO- はアセチル基、-Ph-は1,4-フェニレン基、
R*は光学活性アルコール残基、Ph- はフェニル基をそれ
ぞれ示す。
【0029】上記製造法について、以下に簡単に説明す
る。(イ) は、フッ素置換あるいは無置換のp-アセトキシ
安息香酸の塩化チオニルによる塩素化反応である。(ロ)
は、塩素化物(イ) と光学活性アルコールとの反応による
エステル化である。(ハ) は、エステル(ロ) の脱アセチル
化である。(ニ) は、アルキルオキシビフェニルカルボン
酸の塩素化反応である。(ホ) は、フェノール(ハ) と塩素
化物(ニ) との反応による液晶の生成である。
【0030】
【実施例】次に、実施例及び比較例を掲げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はもちろんこれに限定さ
れるものではない。 実施例1 本発明の一般式(1) 、(2) で表される化合物の中から、
下記の化合物を選択し、組成物を調製して、その相系
列、応答時間、チルト角、反強誘電状態における光漏れ
を測定した。結果を表1、表2に示した。 1A : C9H19-COO-Ph-COO-(CH2)3CF3 20モル% 2A : C9H19-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CF3)(CH2)5OC2H5 56 〃 2B : C9H19-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CH3)C5H11 24 〃 式中の-Ph-は1,4-フェニレン基、-Ph(3F)-は3-位にフッ
素置換した1,4-フェニレン基、C*は不斉炭素をそれぞれ
示す。
【0031】相系列は偏光顕微鏡下でのテクスチャー観
察、及びDSC測定により求めた。応答時間、チルト
角、光漏れは次のようにして求めた。ラビング処理した
ポリイミド薄膜(30nm)を有する ITO電極付の液晶セル
(セル厚2μm)に、上記化合物を等方相の状態で充填
した。このセルを、毎分 1.0℃で徐冷して、液晶を配向
させた。セルを直交する偏光板間に液晶の層方向がアナ
ライザ−またはポ−ラライザ−と平行になるように設置
した。応答時間 (応答時間I : 反強誘電状態から強誘電
状態へ変化する時) は、30℃で30V, 10Hz の三角波電圧
を印加し、光透過率が最大を 100%、最小を 0%とし、
10%から90%に変化するに要する時間と定義して求め
た。チルト角は、30℃でテストセルに±30V, 30Hz の三
角波電圧を印加し、暗視野がでるまでテストセルを回転
し、その角度から求めた。
【0032】光漏れ(反強誘電状態における光透過率)
は、次のようにして求めた。テストセルを30℃まで冷却
し、±30V, 30Hz の矩形波電圧を5分間印加してジグザ
グ欠陥を減らした。また、この時、セルを透過してくる
光量をフォトマルチプライヤーにより検出し、液晶のス
イッチング時に発現する両強誘電状態の透過光量が等し
くなるようにテストセルを回転した。電圧印加後、反強
誘電状態における透過光量をフォトマルチプライヤーに
より求めた。更に、セルに30Vの直流電圧を印加し強誘
電状態とし、この時の透過光量をフォトマルチプライヤ
ーにより求めた。次に、空セルを直交する偏光板間にお
き、同様に透過光量を求めた。この透過光量を偏光板に
よる光漏れとした。強誘電状態の透過光量を 100%、空
セルの透過光量を 0%とし、反強誘電状態の光透過率
(光漏れ)を求めた。
【0033】急峻性はテストセルに±30V, 30Hz の三角
波電圧を印加したとき、反強誘電状態から強誘電状態へ
変化する際のヒステリシス曲線において、次のように定
義して求めた。
【0034】実施例2 実施例1における(1A)の化合物の代わりに、次の化合物
(1B)を20モル%添加して、組成物を調製した。 1B : C9H19-COO-Ph-COO-CH2C2F5 比較例1 本発明の一般式(1) で表される化合物を用いず、一般式
(2) で表される液晶の中から、下記の化合物を選択し、
組成物を調製して、その相系列、応答時間、チルト角、
反強誘電状態における光漏れを測定した。結果を表1、
表2に示した。 2A : C9H19-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CF3)(CH2)5OC2H5 60.0モル% 2C : C8H17-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CH3)C5H11 40.0〃 式中の-Ph-、-Ph(3F)-、C*は実施例1と同様である。
【0035】
【表1】 応答時間 チルト角 光漏れ 相 系 列 (μ秒) (°) (%) 実施例1 Cr(<-20)SCA*(63)SC*(65)SA(87)I 36 29 1.2 〃 2 Cr(<-20)SCA*(74)SC*(87)SA(100)I 51 34 0.8比較例1 Cr(<-10)SCA*(58)SC*(101)SA(111)I 106 35 1.5 相系列中の () 内の数値は転移温度 (℃) 、Crは結晶相、SCA*は反強誘電相、 SC* は強誘電相、SAはスメクチックA相、I は等方相をそれぞれ示す。
【0036】
【発明の効果】本発明は、新規な反強誘電性液晶組成物
を提供する。そして、本発明の新規な反強誘電性液晶組
成物は、応答速度が速く、チルト角が大きく、かつ配向
性に優れている。そのため表示品質の高い反強誘電性液
晶表示素子を実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本山 裕規 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) で示されるフェニルエス
    テル化合物を下記一般式(2) で示される反強誘電性液晶
    に添加してなる反強誘電性液晶組成物。 【化1】 (式(1) 中、mは 5〜12、nは 1〜4 、pは 1〜5 の整
    数、X、Yは水素原子又は一方がフッ素原子で他方が水
    素原子である。式(2) 中、Rは炭素数 6〜12の直鎖アル
    キル基、ZはH原子またはF原子、Aは-CH3又は-CF3
    であり、rが0の時Aは-CH3基でpは 4〜8 の整数、r
    が1の時、Aは-CF3基でsは 5〜7 の整数、qは2又は
    4の整数である。)
  2. 【請求項2】 該一般式(1) で示されるフェニルエステ
    ル化合物が、液晶相を持たない請求項1記載の反強誘電
    性液晶組成物。
  3. 【請求項3】 該一般式(1) において、mが9である請
    求項1記載の反強誘電性液晶組成物。
  4. 【請求項4】 該一般式(2) において、rが9である請
    求項1記載の反強誘電性液晶組成物。
  5. 【請求項5】 該一般式(1) で示されるフェニルエステ
    ル化合物の添加量が組成物の1〜50モル%である請求項
    1記載のフェリ誘電性液晶液晶組成物。
  6. 【請求項6】 該一般式(1) で示されるフェニルエステ
    ル化合物の添加量が組成物の1〜30モル%である請求項
    1記載のフェリ誘電性液晶液晶組成物。
  7. 【請求項7】 該反強誘電相の高温側の転移温度が40℃
    以上で、低温側の転移温度が 0℃以下であり、該反強誘
    電相より高温側にスメクチックA相を有する請求項1記
    載の反強誘電性液晶組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の反強誘電性液晶組成物を
    ITO電極、絶縁膜、配向膜を付けた電極基板に挟持して
    なる反強誘電性液晶素子。
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