JPH10330184A - 結晶配向材料の製造方法 - Google Patents

結晶配向材料の製造方法

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JPH10330184A
JPH10330184A JP9158069A JP15806997A JPH10330184A JP H10330184 A JPH10330184 A JP H10330184A JP 9158069 A JP9158069 A JP 9158069A JP 15806997 A JP15806997 A JP 15806997A JP H10330184 A JPH10330184 A JP H10330184A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶異方性の小さい物質よりなる結晶配向材
料を容易かつ安価に製造することができ,また厚みのあ
るバルク材料を得ることができる,結晶配向材料の製造
方法を提供すること。 【解決手段】 形状異方性を有するホスト材料Aと,少
なくとも一つの結晶面が上記ホスト材料Aの少なくとも
一つの結晶面と格子整合性を有し,かつ結晶異方性の小
さいゲスト材料Bとを混合して混合物となす混合工程
と,上記混合物中における上記ホスト材料Aの結晶面ま
たは結晶軸を配向させる配向工程と,これを加熱するこ
とにより,上記ゲスト材料Bまたは該ゲスト材料Bと結
晶系が等しいゲスト材料Cの結晶面または結晶軸を配向
させる加熱工程とを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,誘電体材料,焦電体材料,圧電
体材料,強誘電体材料,磁性材料,イオン伝導性材料,
電子伝導性材料,熱電材料,耐磨耗性材料等の機能や特
性が結晶方位依存性を有する物質よりなる多結晶材料で
あって,その結晶方位が配向した,結晶配向材料の製造
方法に関する。
【0002】
【従来技術】多結晶材料の結晶面または結晶軸を配向さ
せる技術はこれまでいくつかの提案がなされてきた。多
結晶材料の特定の結晶面または結晶軸を配向させること
により,特定の結晶面または結晶軸に依存する特性を大
きく向上させ,単結晶に近い特性を有する多結晶材料を
作製することができる。
【0003】特に極性を有する結晶軸に大きく特性が依
存する強誘電体の多結晶材料では,結晶を配向させるこ
とにより,結晶が配向していない無配向の多結晶材料と
比較して残留分極量等の極性に由来する特性が向上する
として,特許出願や技術報告がなされている。
【0004】多結晶材料の結晶を配向させる手段,方法
等としては,従来各種の方法が開示されている。そのい
くつかを以下に例示する。まず,棒状単結晶であるβ−
Si3 4 粒子(シード)と,微細なα−Si34
よび焼結助剤とを混合し,ドクターブレード装置でテー
プ成形し,積層して結晶配向焼結体を得る方法が,Hi
rao,et al.,J.Am.Ceram.So
c.,78[6]1687−90(1995)にて開示
されている。
【0005】また,エレクトロニック・セラミクス’9
1年7月号P49(1991)においては,マグネトプ
ランバイト型SrフェライトまたはBaフェライトの粉
末を磁場成形すると,焼成工程で配向している大きな粒
子が配向の悪い微小粒子を吸収しながら成長していくた
め,粒成長と共に配向度も向上していくことが示されて
いる。
【0006】また,ISAF’96予稿集,P211
(1996)においては,板状Sr2Nb2 7 粒子と
Sr2 Nb2 7 微粒子とを板状粒子が5〜15体積%
となる割合で混合し,板状粒子を配向させ,焼結するこ
とにより,結晶配向したSr2Nb2 7 焼結体を得て
いる。
【0007】または,ISAF’96予稿集,P223
(1996)においては,板状Bi4 Ti3 12粒子と
Bi4 Ti3 12微粒子とを板状粒子が5〜15体積%
となる割合で混合し,テープ成形で板状粒子を配向さ
せ,このテープを積層して900〜1000℃で焼結す
ることにより,結晶配向したBi4 Ti3 12焼結体を
得ている。なお,以上の二つの報告に共通する技術を報
告者はTGG(Templated Grain Gr
owth)と呼んでいる。
【0008】上述した技術は形状異方性または磁気異方
性を有する材料を応力場または磁場により配向させてお
き,加熱して粒成長させることによって,共に混合した
同じ物質だが配向し難い微小粉末が配向粒子によって吸
収されるメカニズムで配向バルク焼結体を得ているもの
である。
【0009】
【解決しようとする課題】しかしながら,従来技術には
以下に示す問題がある。即ち,従来技術に示した結晶配
向材料の製造方法の原理はいずれも固相でのホモエピタ
キシャル配向であり,従って,この方法で作製できる結
晶配向材料は,形状異方性または磁気異方性のあるもの
に限られる。最初の例のみ,β−Si3 4 粒子(シー
ド)とα−Si3 4 粒子とは結晶形が異なるが,両者
はいずれも六方晶形に属する極めて類似の結晶構造を取
る。
【0010】従来技術において示されているのも,層状
構造であるSr2 Nb2 7 とBi4 Ti3 12,六方
晶系であるSi3 4 とマグネトプランバイト型フェラ
イトといった結晶異方性の強い材料である。従って,こ
れらの方法では,例えば,強誘電体・圧電体・焦電体と
して有用なペロブスカイト型構造のように結晶格子の異
方性が極めて小さく,このため形状異方性のある粒子を
合成することが難しい物質の結晶配向多結晶を得ること
は極めて困難であった。
【0011】ところで,粉体および粉末冶金,第26巻
第4号P123(1979)においては,板状α−Fe
2 3 粒子とMnOOH,ZnO粉末とを混合し,板状
α−Fe2 3 が配向するように成形し,ホットプレス
焼成すると,試料中でα−Fe2 3 結晶の骨格を保持
する方位でMn−Znフェライトのスピネル型結晶が合
成される,いわゆるトポタクティックな反応が生じ,
[111]方向に一軸配向したMn−Znフェライト焼
結体が得られることが示されている。上記Mn−Znフ
ェライト焼結体は磨耗の少ない磁気ヘッド材料として実
用化されていた。
【0012】この技術においては,立方晶系であるMn
−Znフェライトの配向焼結体が得られる点では画期的
な技術であるが,シードである板状α−Fe2 3 粒子
と目的とするMn−Znフェライトのスピネル型結晶の
間の結合骨格にトポタクティックな関係,即ち三次元的
な格子整合性が存在したために実現したものである。
【0013】強誘電体・圧電体・焦電体として有用なペ
ロブスカイト型物質の多くは骨格として三次元方向に伸
びるTi−O−Ti−O結合鎖を持っているが,このよ
うな結合鎖を含む形状異方性を持つTiO2 の作製は困
難であるため,本法を用いて結晶配向したペロブスカイ
ト型物質を初めとする多くの結晶異方性の小さい物質の
結晶配向材料を作製するのは原理的に極めて困難なこと
であった。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑み,結晶異方性
の小さい物質よりなる結晶配向材料を容易かつ安価に製
造することができ,また厚みのあるバルク材料を得るこ
とができる,結晶配向材料の製造方法を提供しようとす
ることである。
【0015】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,形状異方性を有
するホスト材料Aと,少なくとも一つの結晶面が上記ホ
スト材料Aの少なくとも一つの結晶面と格子整合性を有
し,かつ結晶異方性の小さいゲスト材料Bとを準備し,
上記ホスト材料Aと上記ゲスト材料Bとを混合して混合
物となす混合工程と,上記混合物中における上記ホスト
材料Aの結晶面または結晶軸を配向させる配向工程と,
その後,これを加熱することにより,上記ゲスト材料B
または該ゲスト材料Bに上記ホスト材料Aの構成元素の
一部が拡散することにより生成し,かつ上記ゲスト材料
Bと結晶系が等しいゲスト材料Cの結晶面または結晶軸
を配向させる加熱工程とを行うことを特徴とする結晶配
向材料の製造方法にある。
【0016】上記ホスト材料Aは形状異方性を有する物
質であり,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cに対して種
結晶となる物質である。上記ホスト材料Aとしては,後
述するごとく板状または柱状等の各種形状異方性を有す
る金属酸化物,金属水酸化物,金属塩,金属等を使用す
ることができる。また,上記ホスト材料Aの形状はどの
ような形状でもよいが,ゲスト材料Bとの混合のしやす
さ等を考慮すると,より粉末状の形状を持つことが好ま
しい。
【0017】上記ゲスト材料Bは本発明にて作製しよう
とする結晶配向材料を構成する物質である。従って,特
定の結晶面または結晶軸に依存する特性を有する物質で
あればいかなる物質でも用いることができる。ただし,
本発明の効果を活かすためには,特に従来方法において
結晶配向材料を作製し難かった物質とすることが好まし
い。
【0018】ところで,上記ホスト材料Aとゲスト材料
Bとの間において,揮発成分の蒸散や拡散等が生じるこ
とがある。この場合に生成するのがゲスト材料Cであ
る。
【0019】なお,本請求項において製造される結晶配
向材料は,ホスト材料Aとゲスト材料Bとよりなる複相
の結晶配向材料,またはホスト材料Aまたはホスト材料
Aが変成した物質とゲスト材料Cとよりなる複相の結晶
配向材料である。または,ホスト材料Aとゲスト材料B
とが反応した相が生成され,これを含んだ状態となるこ
ともある。更に,ホスト材料Aまたはホスト材料Aが変
成した物質,ゲスト材料B,ゲスト材料Cとが混在した
状態になることもある。いずれも本請求項の製造方法に
おいては複相の結晶配向材料を得る。
【0020】本発明の作用につき,以下に説明する。本
発明においては,ホスト材料Aとゲスト材料Bとに対
し,混合工程,配向工程,加熱工程を行い,結晶配向材
料を得る。ここに,上記ホスト材料Aは形状異方性を有
するため,後述する一般的な配向成形等を上記配向工程
において行うことにより,上記ホスト材料Aの結晶面ま
たは結晶軸が配向する。その後,上記加熱工程におい
て,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cが加熱による拡散
のため,上記配向したホスト材料Aの結晶格子をテンプ
レートとして,該結晶格子と格子整合性を持つように結
晶の方位を変える(固相ヘテロエピタキシャル配向)。
【0021】ここに,上記ゲスト材料Bまたはゲスト材
料Cが上記ホスト材料Aの結晶格子と格子整合性を持つ
ように結晶の方位を変える理由を以下に記載する。
【0022】上記ホスト材料Aの表面近傍にある上記ゲ
スト材料Bまたは上記ゲスト材料Cは,上記ホスト材料
Aの表面の結晶格子と格子整合性を持つ上記ゲスト材料
Bまたはゲスト材料Cの結晶の方が,格子整合性を持た
ない結晶よりも安定に存在できる。この場合,ホスト材
料Aとゲスト材料Bまたは上記ゲスト材料Cとの反応層
が生じ,この反応層がテンプレートとしての役割を果た
すこともあるが,原理は同じである。
【0023】言い換えれば,格子整合性を持つゲスト材
料Bまたはゲスト材料Cの結晶の方が上記ホスト材料A
の結晶格子に対する界面エネルギーが小さいため,格子
整合性を持たない結晶よりもエネルギー利得が大きくな
る。
【0024】以上により,ゲスト材料Bまたはゲスト材
料Cの結晶は配向したホスト材料Aの表面の結晶格子と
格子整合性を持つようなる。従って,ゲスト材料Bまた
はゲスト材料Cの結晶そのものが配向し易いか配向し難
いかにかかわらず,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの
少なくとも一部はホスト材料Aの結晶方位と揃った方向
に配向した状態となる。
【0025】以上のメカニズムによりホスト材料Aの表
面近傍のゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの結晶格子は
それぞれ揃った状態となり,結晶配向材料となる。
【0026】また本発明にかかる製造方法は,混合工
程,配向工程,加熱工程のいずれについても容易に実行
することができる。また,特別な装置等を必要としない
ため,安価に上記結晶配向材料を作製することができ
る。このため製造コストを安価とすることができる。ま
た,上記結晶配向材料は特性的には単結晶に近いが,多
結晶である。このため,単結晶を作製するよりも安価に
作製することができる。
【0027】以上により,本発明によれば,結晶異方性
の小さい物質よりなる結晶配向材料を容易かつ安価に製
造することができ,また厚みのあるバルク材料を得るこ
とができる,結晶配向材料の製造方法を提供することが
できる。
【0028】なお,本発明にて得られた結晶配向材料は
多結晶であることから,単結晶よりも高い機械的強度を
得ることができる。また,上述したごとく結晶が配向し
た状態にあるため,結晶の方位に依存する各種特性が高
まり,単結晶的な性質を獲得することができる。なお,
上記特性としては,強誘電性,圧電性,焦電性,誘電
性,熱電性,磁性,イオン伝導性,電子伝導性,巨大磁
気抵抗効果等を挙げることができる。
【0029】また,これらの性質を利用することによ
り,優れて高感度の焦電センサ,超音波センサ,加速度
センサ,磁界センサ,電界センサ,温度センサ,ガスセ
ンサ等のセンサ類,熱電転換素子等のエネルギー転換素
子,低損失のレゾネータ,キャパシタ,イオン伝導体,
高効率のアクチュエータ,超音波モータ,圧電トラン
ス,表面弾性用基板等の各種圧電デバイス用素子,電子
デバイス用テンプレート基板,高特性の光学素子,熱電
素子,蓄電体等を,本発明にかかる結晶配向材料は作製
することができる。またこれ以外にも広い範囲の優れた
機能性材料として本発明にかかる結晶配向材料を用いる
ことができる。
【0030】なお,上記加熱工程に続いて,更に加熱を
続けることが好ましい(粒成長工程)。これにより,上
記ホスト材料Aの表面で配向したゲスト材料Bまたはゲ
スト材料Cが,ホスト材料Aの表面近傍以外に存在する
無配向のゲスト材料Bまたはゲスト材料Cを吸収して粒
成長することができる。従って,一層配向度の高い結晶
配向材料を得ることができる。また,材料全体が結晶配
向した結晶配向材料を得ることができる。
【0031】また,上記加熱工程の後で粒成長工程の前
に得られた物質を静水圧加圧処理することが好ましい。
これにより,上記ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの粒
成長と緻密化とをより容易に行うことができる。
【0032】なお,上記加熱(粒成長工程)は,通常,
ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの緻密化のために行な
われる焼結等の温度領域で行うことが好ましい。これに
より,緻密化を達成する過程において同時に配向度を高
めることができる。なお,上記温度は,ゲスト材料Bま
たはゲスト材料Cの種類に依存するが,例えば800℃
〜1600℃において行うことが好ましく,上記ゲスト
材料Bまたはゲスト材料Cが固相ヘテロエピタキシャル
配向する温度領域よりも更に高温で行なわれる。
【0033】なお,上記温度が800℃未満である場合
には,粒成長による配向度の向上が不充分であり,また
1600℃を越えた場合には,材料によっては熱分解が
非常に激しくなるおそれがある。また,加熱(粒成長工
程)の継続時間は30分以上であることが好ましい。工
程の継続時間がこれより短い場合には,充分に粒成長が
行なわれないおそれがある。
【0034】また,上記加熱(粒成長工程)は,上記ゲ
スト材料Bまたはゲスト材料Cが酸化物よりなる場合に
は,空気中または酸素雰囲気中で行うことができるが,
酸素雰囲気で行うことでより高密度となるため好まし
い。また,必要に応じて,更に緻密化させるために上記
粒成長中に機械的加圧または静水圧加圧処理を行うこと
も有効である。
【0035】次に,上記ホスト材料Aについて説明す
る。上記ホスト材料Aは形状異方性を有する材料であ
る。つまり,結晶異方性を有する物質に対し異方性形状
を付与して作製した材料である。なお,上記形状異方性
とは,例えば板状,短冊状,柱状,針状,鱗状の粉末の
ように粒子の長軸寸法と短軸寸法との比が大きいことを
意味する。この比が3以上ある材料,好ましくは5以上
ある材料が本発明に適する。
【0036】また,上記結晶異方性とは,その結晶構造
が層状ぺロブスカイト型構造,Sr2 Nb2 7 型構
造,層状岩塩構造,コランダム型構造,タングステンブ
ロンズ型構造,マグネトプランバイト型構造等の異方性
の強い構造であることを表している。なお,結晶異方性
を有する物質は,例えば板状,短冊状,柱状,針状,鱗
状等の異方的な形状を有する粉末を容易に作製すること
ができる。
【0037】そして,上記粉末における形状異方性の程
度は大きいほど好ましい。特に,形状の長手方向の寸法
を幅または厚みで割った値,いわゆるアスペクト比が5
以上あることが好ましい。これにより,上記ホスト材料
Aを,押出,遠心成形,ドクターブレード,非等方的加
圧,圧延等の成形法を利用して容易に配向成形すること
ができる。なお,上記アスペクト比は10以上であるこ
とが更に好ましい。
【0038】また,上記粉末の長手方向の長さは0.5
μm以上であることが好ましい。これにより,界面エネ
ルギーの利得を大きくして,ゲスト材料Bまたはゲスト
材料Cの固相ヘテロエピタキシャル配向をより容易とす
ることができる。
【0039】また,上記ゲスト材料Bまたはゲスト材料
Cが固相ヘテロエピタキシャル配向することにより得ら
れた結晶を大きくすることができる。固相ヘテロエピタ
キシャル配向したゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの結
晶が大きい場合には,前述した粒成長工程においてオス
トワルド成長の原理により,上記ゲスト材料Bまたはゲ
スト材料Cの結晶を更に大きく粒成長させることができ
る。なお,上記粉末の長手方向の長さは5μm以上であ
ることが更に好ましい。
【0040】また,上記形状異方性を有する粉末は,結
晶異方性を有する物質を液相または気相中で合成するこ
とにより容易に得ることができる。特にアスペクト比の
大きな粉末を得るためには,高温の融液中で合成するフ
ラックス法,水熱法,または過飽和溶液中で析出させる
方法を採用することが好ましい。これらの場合,液相は
合成時に微量存在するだけで充分効果を発揮する。
【0041】次に,上記ホスト材料Aとして使用可能な
物質について説明する。まず,上記ホスト材料Aとして
は金属酸化物,金属水酸化物,金属塩,金属等を使用す
ることができる。そして,上記ホスト材料Aは,該ホス
ト材料Aの結晶における少なくとも一つの結晶面の二次
元結晶格子が,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの結晶
における少なくとも一つの結晶面の二次元結晶格子と格
子整合性を有することが必要である。
【0042】あるゲスト材料Bまたはゲスト材料Cに対
する好ましいホスト材料Aとは,該ホスト材料Aを構成
する形状異方性を有する粉末において,該粉末中の最も
面積の広い面を構成する結晶面(例えば,柱状の粉末で
あれば柱の側面を構成する結晶面)とゲスト材料Bまた
はゲスト材料Cの少なくとも一つの結晶面との間に格子
整合性を有することである。
【0043】即ち,ホスト材料Aにおける結晶格子をテ
ンプレートとしてゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの結
晶が固相ヘテロエピタキシャル配向するためには,両者
は少なくとも各々一つの結晶面の二次元格子が格子整合
性を有していなくてはならない。そして,最も面積の広
い面において格子整合性を得ることができればゲスト材
料Bまたはゲスト材料Cを効率良く固相ヘテロエピタキ
シャル配向させることができる。
【0044】なお,以下に格子整合性の例を挙げる。例
えば,上記ホスト材料Aが金属酸化物である場合につい
て説明する。上記ホスト材料Aの結晶格子において,酸
素が存在する格子点の少なくともひとつ,または金属元
素が存在する格子点の少なくともひとつが,上記ゲスト
材料Bのある結晶面の二次元結晶格子における相似の格
子点に当たる。ホスト材料Aとゲスト材料Bまたはゲス
ト材料Cとの間にこの関係が成立する場合,両者の間に
は格子整合性が存在する。
【0045】なお,格子整合性とはホスト材料Aとゲス
ト材料Bまたはゲスト材料Cとの相似位置における格子
寸法の差を,基準となるホスト材料Aの格子寸法で割っ
た値である。そして,上記格子整合性の値が20%以下
となるようにホスト材料Aとゲスト材料Bまたはゲスト
材料Cとを選択することが好ましい。これにより,ホス
ト材料Aとゲスト材料Bまたはゲスト材料Cとの間に低
い界面エネルギーが実現しやすくなる。従って,ゲスト
材料Bまたはゲスト材料Cの固相ヘテロエピタキシャル
配向を容易とすることができる。なお,上記格子整合性
の値は10%以下であることがより好ましい。
【0046】そして,あるゲスト材料Bまたはゲスト材
料Cに対する最も好ましいホスト材料Aとは,ゲスト材
料Bまたはゲスト材料Cの結晶構造において最も強い化
学結合と相似の化学結合を有するホスト材料Aである。
このようなホスト材料Aを使用することにより,ホスト
材料Aの特定面とゲスト材料Bの特定面との間の界面エ
ネルギーがより小さくなり,固相ヘテロエピタキシャル
配向が容易な組み合わせを得ることができる。
【0047】例えば,上記ゲスト材料Bまたはゲスト材
料Cがペロブスカイト型構造である場合について説明す
る。上記ペロブスカイト型構造における最も強い化学結
合は,一般的には,酸素八面体の中心に位置するTi,
Zr,Nb,Ta,Mn,Fe,Mg,Zn等の金属元
素と酸素とが交互に結合した結合鎖である。
【0048】上記結合鎖は三方向に延びており,従っ
て,三方向に連結する上記結合鎖のうち二方向を含む
面,即ち,ペロブスカイト型構造を擬立方晶とみなした
場合,{100}面と相似の結晶面を有するホスト材料
Aを選択することが好ましい。なお,擬立方晶とは,立
方晶より僅かに歪んだ結晶格子を示している。ペロブス
カイト型構造は正確には立方晶でない物質を多数含んで
いるが,本明細書ではこれを立方晶と近似し,擬立方晶
として議論を進める。
【0049】従って,上記ゲスト材料Bまたはゲスト材
料Cがペロブスカイト型構造を有する場合には,Ti,
Zr,Nb,Ta,Mn,Fe,Mg,Zn等の金属元
素と酸素とが交互にならぶ結合鎖が直角または直角に近
い角度で二本交差した結晶面を持つ物質をホスト材料A
として用いることが好ましい。上述の条件に適合する金
属酸化物としては,いわゆる層状ペロブスカイト型構造
を有する物質が,層間の結合が比較的弱いために形状異
方性のある(配向できる)粉末を合成しやすく,かつ,
ペロブスカイト型構造と共通の金属元素−酸素結合骨格
を有し,ペロブスカイト型物質のホスト材料Aになり得
るいう点で最も好ましい。
【0050】上記層状ペロブスカイト型構造を有する物
質の中で最も一般的な物質は,Bi2 2 層が数層のペ
ロブスカイト層を挿んだ構造を有する,いわゆるビスマ
ス層状化合物である。上記ビスマス層状化合物の具体例
としては,Bi4 Ti3 12(チタン酸ビスマス),B
iVO5.5 ,Bi2 WO6 等の化合物が挙げられる。
【0051】なお,一般的に(Bi2 2 2+(Am-1
m 3m+12-で表される物質を挙げることもできる。
この場合の,AはNa,Sr,Pb,希土類元素等1〜
3価の金属元素,BはTi,Nb,Ta等の金属元素で
ある。
【0052】また,上述のカテゴリーに含まれる物質と
しては,SrBi2 Nb2 9 ,SrBi2 Ta
2 9 ,BaBi2 Nb2 9 ,BaBi2 Ta
2 9 ,BaBi3 Ti2 NbO12,PbBi2 Nb2
9 ,PbBi2 Ta2 9 ,SrBi4Ti4 15
BaBi4 Ti4 15,PbBi4 Ti4 15,Sr2
Bi4 Ti5 18,Pb2 Bi4 Ti5 18等の多くの
化合物を挙げることができる。また,高温超伝導材料と
して知られる銅を含む一連の層状ぺロブスカイト型構造
の化合物も上記カテゴリーに含まれる。
【0053】また,Biを含まない層状ペロブスカイト
型構造を有する物質で,上記ホスト材料Aとして使用で
きる物質は,Sr2 TiO4 ,Sr3 Ti2 7 ,Sr
4 Ti3 10,Ca3 Ti2 7 ,Ca4 Ti3 10
Sr2 RuO4 ,(La,Sr)2 MnO4 ,(La,
Sr)2 CrO4 ,K2 NiF4 等の,いわゆるRud
dlesden−Popper型化合物が挙げられる。
【0054】なお,以上に示したホスト材料Aは融液ま
たは溶液の存在下で合成することにより容易に板状形状
を呈することができるため,より好ましい。例えば,B
4 Ti3 12の原料である酸化ビスマスと酸化チタン
を溶融塩中で加熱することにより,本発明のホスト材料
Aとして使用することができる板状の粉末を得ることが
できる。また,酸化ビスマスの量を化学量論比以上とし
て酸化チタンと混合し,酸化ビスマスの融点以上の温度
で熱処理してもよい。また,酸化ビスマスと酸化チタン
を溶解した水溶液またはゾルをオートクレーブ中で加熱
してもよい。
【0055】なお,これまでに挙げた物質以外であって
も,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cがペロブスカイト
型構造である場合には,該ゲスト材料Bまたはゲスト材
料Cの{110}面または{111}面と相似の結晶面
を持つ物質であればホスト材料Aとして使用することが
できる。例えば,LiNiO2 ,LiFeO2 ,LiT
iO2 ,LiInO2 を始めとする層状岩塩構造の物質
はペロブスカイト型構造における{111}面と相似の
結晶面(層状岩塩構造においては{001}面に相当す
る)を有するホスト材料Aとして使用することができ
る。
【0056】この他,ZnO等のウルツ鉱型構造の物
質,Ba5 Ta4 15型構造,BaFe1219等のマグ
ネトプランバイト型構造の物質もペロブスカイト型構造
の{111}面と相似の結晶面を有するホスト材料Aと
して使用することができる。また,α−Fe2 3 のよ
うなコランダム型構造およびFeTiO3 のようなイル
メナイト型構造の物質も,ペロブスカイト型構造の{1
11}面と相似の結晶面を有するホスト材料Aとして使
用することができる。
【0057】また,タングステンブロンズ型構造の化合
物も,ペロブスカイト型構造の{111}面と相似の結
晶面を有するホスト材料Aとして使用することができ
る。更に,Sr2 Nb2 7 型構造の化合物,即ち,S
2 Nb2 7 ,La2 Ti2 7 等は,ペロブスカイ
ト型構造の{110}面と相似の結晶面を有するホスト
材料Aとして使用することができる。また,これらの結
晶異方性を有するホスト材料Aは,ゲスト材料Bがペロ
ブスカイト型構造以外の場合においても広く適用可能で
ある。
【0058】次に,上記ゲスト材料Bとして使用可能な
物質について説明する。上記ゲスト材料Bは,特定の結
晶面または結晶軸に依存する特性を有する物質であれば
いかなるものでもよい。ただし,本発明の効果を活かす
ためには,特に従来方法において結晶配向材料を得難か
った等方性または擬等方性の結晶構造を有する物質とす
ることが好ましい。
【0059】上記等方性または擬等方性の結晶構造の例
としては,例えばペロブスカイト型構造,スピネル型構
造,岩塩型構造,蛍石型構造,赤銅型構造,閃亜鉛鉱型
構造,C−希土構造,パイロクロア型構造,ガーネット
型構造,ReO3 型構造等が挙げられる。
【0060】また,特にペロブスカイト型構造を有する
物質では,SrTiO3 ,(Sr,Nd)TiO3
(Ca,Nd)TiO3 等の誘電体,BaTiO3 ,P
bTiO3 ,Pb(Zr,Ti)O3 ,KNbO3 ,B
0.5 Na0.5 TiO3 ,Bi0.5 0.5 TiO3 等の
強誘電体,PbZrO3 ,NaNbO3 等の反強誘電
体,PbMg1/3 Nb2/3 3 ,PbZn1/3 Nb2/3
3 ,(Pb,La)(Zr,Ti)O3 等の緩和型強
誘電体,(La,Ca)MnO3 等の磁性体,Ba2
nIrO6 (Ln=La,Ce,Pr,Eu,Ho,E
r,Yb,Lu)等の半導体を挙げることができる。
【0061】もちろんこれらの化学式で挙げた材料にと
どまらず,殆ど全てのペロブスカイト型構造を有する物
質に対し,本発明による製造方法を利用して結晶配向材
料を作製することができる。また,これらの物質間の固
溶体にも適用することができる。
【0062】例えば,共にペロブスカイト型構造である
PbTiO3 とBiFeO3 の固溶体はキュリー温度で
の相転移に伴う歪みが大きいため,焼結後の冷却過程で
破壊が生じやすく,従来方法においては,通常の多結晶
セラミックスさえ得ることが困難であった。しかしなが
ら,本発明の製造方法によれば,PbTiO3 とBiF
eO3 の固溶体よりなる結晶配向材料を得ることができ
る。
【0063】なお,以上の説明においては,ゲスト材料
Bまたはゲスト材料Cとしてペロブスカイト型構造を主
として提示したが,他の構造の物質に対しても同様に本
発明の適用が可能であることはいうまでもない。例え
ば,ペロブスカイト型構造以外の重要な化合物として
は,スピネル型構造の化合物が挙げられる。
【0064】また,スピネル型構造の化合物がゲスト材
料Bまたはゲスト材料Cである場合においても,ホスト
材料Aの選択において最も重要なことは格子整合性がよ
いことである。また,結晶格子の骨格をなす金属元素が
同じであるか,またはその化学特性が近いことが好まし
い。なぜならば,こうした組み合わせではホスト材料A
とゲスト材料Bまたはゲスト材料Cとの間の界面エネル
ギーが低く,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの固相ヘ
テロエピタキシャル配向が容易となるためである。
【0065】なお,いずれの結晶構造を有するゲスト材
料Bまたはゲスト材料Cにおいても,上記結晶格子の骨
格を構成する金属元素としては,ホスト材料A,ゲスト
材料Bまたはゲスト材料Cのいずれにおいても,例えば
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Fe,
Mn,Cr,Co,Ni等の遷移金属元素を挙げること
ができる。また,B,Si,Al等の軽元素を挙げるこ
ともできる。
【0066】次に,上記混合工程につき説明する。ま
ず,上記ホスト材料Aと上記ゲスト材料Bの混合は乾式
で行ってもよいが,望ましくは水または有機溶媒中でボ
ールミルや攪拌機を用いて行う。なお,Na2 CO3
ように水溶性のホスト材料Aを用いる場合には,混合後
にホスト材料Aおよびゲスト材料Bが偏析し難い条件に
て液体成分の除去を行う必要がある。この場合の手段と
して,吸引濾過,蒸発乾燥を行う場合には,これをすみ
やかに行う必要がある。望ましくはこの手段としてスプ
レードライヤー等を用いる。ただし,次の配向工程でド
クターブレードのような湿式成形を行なう場合は混合し
たスラリーをそのまま使用するので乾燥は必要ない。
【0067】また,上記混合工程において,上記ホスト
材料Aおよび上記ゲスト材料Bに対して,通常,分散剤
の他,この混合物を後述する配向工程の際に必要となる
結合材,可塑剤等も同時に,あるいは充分な前混合の後
に,添加,混合することができる。
【0068】また,上記ホスト材料Aの体積は,最終的
に作製しようとする結晶配向材料100%に対して5%
以上とすることが好ましい。これによれば,作製した結
晶配向材料において,結晶面または結晶軸に依存する特
性を実用上,意味ある程度にまで高めることができる。
【0069】なお,上記結晶配向材料における配向度
は,X線回折の強度から計算するLotgering法
にて求めるのが一般的である。上記ホスト材料Aの体積
を5%以上とした場合にには,結晶配向材料の配向度を
10%以上とすることができる。更に,上記ホスト材料
Aの体積を20%以上とした場合には,結晶配向材料の
配向度を30%以上とすることができる。また,後述す
るドクターブレード,押出成形等の成形手段により得ら
れた成形体に対し,積層圧着,圧延等を組合せることに
より,配向度が50%を越えるような結晶配向材料を得
ることも可能である。
【0070】また,上記ホスト材料Aの体積が多いほ
ど,該ホスト材料Aを構成する粉末間の距離が小さくな
る。このため,前述したのオストワルド粒成長が容易と
なり,ゲスト材料Bの配向度を高めることができる。し
かしながら,ホスト材料Aが増えた分ゲスト材料Bの体
積が減少するため,上記ホスト材料Aの体積の上限は8
0%とすることが好ましい。更に好ましくは上限を50
%とするのが好ましい。
【0071】次に,上記配向工程につき説明する。上記
配向工程において上記混合物中のホスト材料Aを各種手
段により配向した状態となす。また,上記配向工程にお
いて上記混合物を同時に成形して成形体とするのが好ま
しい。上記成形の手段としては,湿式または乾式の一軸
加圧,押出成形,ドクターブレード等を用いたテープ成
形,圧延,遠心成形等,あるいはこれらの組み合わせを
採用することができる。
【0072】また,ホスト材料Aとゲスト材料Bとがよ
り接触するようにするためには,特に押出成形,テープ
成形,一軸加圧成形等により成形を行い,更にその後得
られた成形体に圧延を施すことが好ましい。これによ
り,一層配向度の高い結晶配向材料を得ることができ
る。また,水または有機溶媒を含む混合物より成形され
た成形体は,次の加熱工程に先立って水または有機溶媒
を除去する乾燥工程を行うことが好ましい。
【0073】次に,上記加熱工程につき説明する。上記
配向工程において得られた成形体を加熱することによ
り,ホスト材料Aを種結晶として,該ホスト材料Aの表
面にてゲスト材料Bまたはゲスト材料Cを結晶配向させ
る。この加熱工程は,可能な限り低い温度において,最
低限必要な時間のみ行うことが好ましい。これにより,
ホスト材料Aの表面に対するゲスト材料Bまたはゲスト
材料Cの固相ヘテロエピタキシャル配向のみを優先的に
進行させることができる。
【0074】上記加熱温度は具体的には得ようとする結
晶配向材料であるゲスト材料Bの種類によって異なる。
しかし,ゲスト材料Bまたはゲスト材料Cが通常の酸化
物である場合には,上述の理由から400℃〜1400
℃の範囲で行うことが好ましい。また,この加熱工程に
おける外部雰囲気としては大気または酸素を用いること
が好ましい。なお,上記温度が400℃未満である場合
にはゲスト材料Bまたはゲスト材料Cの充分な固相ヘテ
ロエピタキシャル配向が困難となるおそれがある。一
方,1400℃を越えた場合には配向していないゲスト
材料Bまたはゲスト材料Cの粗大な粒子が生成し易くな
るおそれがある。
【0075】また,上記加熱工程における加熱手段は特
に問わず,電気炉,ガス炉,イメージ炉等の各種の炉が
使用することができる。しかしながら,マイクロ波やミ
リ波等を用い,ホスト材料Aを優先的に加熱するといっ
た手法は,ホスト材料Aの表面上でのゲスト材料Bまた
はゲスト材料Cの固相ヘテロエピタキシャル配向を促進
することができるため,有効な手段である。
【0076】次に,請求項2は,形状異方性を有するホ
スト材料Aと,少なくとも一つの結晶面が上記ホスト材
料Aの少なくとも一つの結晶面と格子整合性を有し,か
つ結晶異方性の小さいゲスト材料Bと,更に,上記ホス
ト材料Aと反応して該ホスト材料Aを上記ゲスト材料B
または該ゲスト材料Bと結晶系が同じゲスト材料Dに転
換するための添加物F1,または上記ホスト材料Aおよ
び上記ゲスト材料Bと反応して上記ホスト材料Aを上記
ゲスト材料Bと結晶系が同じゲスト材料Eに転換するた
めの添加物F2のいずれか一方を準備し,上記添加物F
1または上記添加物F2のいずれか一方と上記ホスト材
料Aおよび上記ゲスト材料Bとを混合して混合物となす
混合工程と,上記混合物中における上記ホスト材料Aの
結晶面または結晶軸を配向させる配向工程と,その後,
これを加熱することにより,上記ゲスト材料Aを上記ゲ
スト材料Dまたは上記ゲスト材料Eに転換すると共に,
上記ゲスト材料B,および上記ゲスト材料Dまたは上記
ゲスト材料Eの結晶面または結晶軸を配向させる加熱工
程とを行うことを特徴とする結晶配向材料の製造方法に
ある。
【0077】本請求項においては,ホスト材料Aおよび
ゲスト材料Bに対し,添加物F1または添加物F2のい
ずれか一方を添加して結晶配向材料を製造する。上記添
加物F1またはF2の存在により,上記加熱工程におい
ては請求項1において示した固相へテロエピタキシャル
配向が生じる一方,該添加物F1またはF2がホスト材
料A等と反応する(ホスト材料→ゲスト材料転換反
応)。
【0078】この結果,ホスト材料Aよりゲスト材料D
またはゲスト材料Eが生じるが,これらはいずれもゲス
ト材料Bと同様の結晶系を有している。以上により,本
発明によれば,ゲスト材料Bと結晶系の等しい結晶構造
単相よりなる結晶配向材料を得ることができる。そし
て,本発明にかかる製造方法は,請求項1と同様に,混
合工程,配向工程,加熱工程のいずれについても容易に
実行可能かつ特別な装置が不要である。このため製造コ
ストを安価とすることができる。また,厚みのあるバル
ク材料も容易に得ることができる。
【0079】また,本発明にて得られた単相の結晶配向
材料を利用することにより,優れて高感度の焦電セン
サ,超音波センサ,加速度センサ,磁界センサ,電界セ
ンサ,温度センサ,ガスセンサ等のセンサ類,熱電転換
素子等のエネルギー転換素子,低損失のレゾネータ,キ
ャパシタ,イオン伝導体,高効率のアクチュエータ,超
音波モータ,圧電トランス,表面弾性用基板等の各種圧
電デバイス用素子,電子デバイス用テンプレート基板,
高特性の光学素子,熱電素子,蓄電体等を,本発明にか
かる結晶配向材料は作製することができる。またこれ以
外にも広い範囲の優れた機能性材料として本発明にかか
る単相の結晶配向材料を用いることができる。
【0080】そして,本発明にかかる結晶配向材料は単
相であることから,より高い結晶配向性を有し,より単
結晶に近い状態となるため,更に優れた性能を発揮す
る。また,本発明にかかる結晶配向材料も多結晶である
ことから,高い機械的強度を得ることができる。
【0081】なお,本請求項の混合工程,配向工程,加
熱工程の詳細については,請求項1と同様である。本請
求項にかかるホスト材料A,ゲスト材料Bは請求項1に
挙げた材料と同様である。また,本請求項にかかる添加
物F1またはF2として利用できる具体的な材料として
はホスト材料Aおよびゲスト材料Bの組合せに大きく依
存するため,ここでは特に例示しない。しかし,例え
ば,後述の実施形態例2に示すごとき選択方法がある。
また,ゲスト材料D,ゲスト材料Eについても,ホスト
材料A,ゲスト材料B,添加物F1または添加物F2の
選択によって決定されるため,ここでは具体的な材料と
して挙げることはできない。
【0082】本請求項で用いられる混合工程,配向工
程,加熱工程は請求項1で述べた工程と同様である。た
だし,材料の組み合わせによっては,添加物F1,また
は添加物F2およびゲスト材料Bと反応して,ホスト材
料Aがゲスト材料Bまたはゲスト材料Bと結晶系が同じ
ゲスト材料に転換する温度よりも低い温度で,これらの
材料のうち少なくとも一部からゲスト材料Bとは別の結
晶系の材料(Gとする)が合成されることがある。
【0083】この場合,上記ゲスト材料への転換が遅れ
たり,不充分となり,低い配向度のセラミックスしか得
られないことがある。この場合は,上記ゲスト材料Bと
は別の結晶系の材料Gが安定な温度域を急昇温によって
通過させることが望ましい。この急昇温すべき温度域は
材料系によって異なるため,ここでは特定しない。ここ
での昇温速度,例えば100℃/分以上といった急速昇
温が行われる。このような例外を除いては,加熱工程も
同様の条件が採用される。
【0084】次に,上記ゲスト材料Bの結晶系はペロブ
スカイト型であり,上記結晶配向材料は結晶配向セラミ
ックスであることが好ましい。これにより,強誘電性,
圧電性,焦電性,誘電性,熱電性,磁性,イオン伝導
性,電子伝導性,巨大磁気抵抗効果に優れた材料として
有用なペロブスカイト型構造よりなる結晶配向材料を得
ることができる。
【0085】また,上記結晶配向セラミックスを利用す
ることで,優れて高感度の焦電センサ,超音波センサ,
加速度センサ,磁界センサ,電界センサ,温度センサ,
ガスセンサ等のセンサ類,熱電転換素子等のエネルギー
転換素子,低損失のレゾネータ,キャパシタ,イオン伝
導体,高効率のアクチュエータ,超音波モータ,圧電ト
ランス,表面弾性用基板等の各種圧電デバイス用素子,
電子デバイス用テンプレート基板,高特性の光学素子,
熱電素子,蓄電体等を作製することができる。
【0086】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる結晶配向材料および得られ
た結晶配向材料の性質,性能につき,図1〜図3を用い
て説明する。まず,形状異方性を有するホスト材料A
と,少なくとも一つの結晶面が上記ホスト材料Aの少な
くとも一つの結晶面と格子整合性を有し,かつ結晶異方
性の小さいゲスト材料Bとを準備する。そして,上記ホ
スト材料Aと上記ゲスト材料Bとを混合して混合物とな
す混合工程を行う。次いで,上記混合物中における上記
ホスト材料Aの結晶面または結晶軸を配向させる配向工
程を行う。
【0087】その後,これを加熱することにより,上記
ゲスト材料Bまたは該ゲスト材料Bに上記ホスト材料A
の構成元素の一部が拡散することにより生成し,かつ上
記ゲスト材料Bと結晶系が等しいゲスト材料Cの結晶面
または結晶軸を配向させる加熱工程とを行う。以上によ
り,結晶配向材料を得ることができる。なお,本例にお
いてホスト材料Aとしてはチタン酸ビスマス(Bi4
3 12)の板状粉末を使用した。ゲスト材料Bとして
はチタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5 Na0.5 Ti
3 )の粉末を使用した。
【0088】以下,具体的に説明する。まず,酸化ビス
マス,酸化チタンの粉末を塩化ナトリウム,塩化カリウ
ムの粉末と混合して1050℃に加熱した。これによ
り,図1に示すごとく,チタン酸ビスマス(Bi4 Ti
3 12)の板状粉末が合成された。この板状粉末をホス
ト材料Aとして使用する。なお,図1は走査電子顕微鏡
(SEM)により撮影された写真である。
【0089】一方,Bi2 3 ,Na2 CO3 ,TiO
2 を,Bi:Na:Ti=1:1:2となる比に秤量
し,850℃×2時間の熱処理を行った。これにより,
チタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5 Na0.5 TiO
3 )の粉末が合成された。この合成粉末を直径3mmの
ジルコニアボールを用いてエタノール中で微粉砕した。
以上により得られたチタン酸ナトリウムビスマス(Bi
0.5 Na0.5 TiO3 )の等軸形状微粉末をゲスト材料
Bとして使用する。
【0090】次に,上記チタン酸ナトリウムビスマス
(Bi0.5 Na0.5 TiO3 )の等軸形状微粉末と上記
チタン酸ビスマス(Bi4 Ti3 12)の板状粉末とを
Tiの比で1:4となるように秤量した。また,この他
に結果として得られるペロブスカイト化合物1モルに対
し,0.0005モルの炭酸マンガンを絶縁破壊防止剤
として加えた。
【0091】これらの原料にエタノールとトルエンとを
加えてボールミル混合し,更にバインダーとしてポリビ
ニルブチラール,可塑剤としてジブチルフタレートを添
加して混合した。以上が混合工程である。
【0092】次に,得られた均一なスラリーをドクター
ブレード装置によりテープ成形し,テープ成形体を得
た。上記テープ成形体を室温で乾燥し,厚さ約100μ
mとした。乾燥の終了した上記テープ成形体を22枚重
ねて,80℃,100kg/cm2 の条件で圧着し,そ
の後二軸ロールで厚みが約2分の1になるまで圧延し,
圧延成形体とした。以上が配向工程である。
【0093】上記圧延成形体を酸素雰囲気中,600℃
(試料1−1)または700℃(試料1−2)で2時間
加熱し,脱脂を行った。また,700℃で加熱した脱脂
体の一部については4000kg/cm2 の静水圧成形
処理を加えた(試料1−3)。最後にこれらの脱脂体を
酸素雰囲気中1200℃で5時間常圧焼結した。以上が
加熱工程である。これにより,試料1−1〜3にかかる
常圧焼結体を得た。
【0094】得られた試料1−1にかかる常圧焼結体の
表面をX線回折で調べ,その結果につき図2に記載し
た。図2に示すように,試料1−1は,ペロブスカイト
型化合物と層状ペロブスカイト型化合物との複相となっ
ていることが分かった。
【0095】また,試料1−1にかかる常圧焼結体につ
いて,ペロブスカイト型化合物であるチタン酸ナトリウ
ムビスマス(Bi0.5 Na0.5 TiO3 )の(100)
面および(200)面の回折ピークαの,(110)面
の回折ピークβ(いずれも擬立方晶として結晶面を記述
した)に対する比α/βが,以下に示す比較試料C1に
かかる無配向のチタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5
Na0.5 TiO3 )粉末の回折ピーク比α/βに比ベ,
著しく大きな値となった。また,試料1−2,3につい
ても同様の結果を得た。
【0096】更に,上記試料1−1〜3の{100}面
の配向度を計算したところ,いずれもLotgerin
g法による配向度が95%以上であった。以上により,
本例の製造方法によれば,配向度が高く複相の結晶配向
材料を作製できることが分かった。
【0097】次に,比較試料C1について説明する。B
2 3 ,Na2 CO3 ,TiO2 とを,Bi:Na:
Ti=1:1:2となる比に秤量し,これに,結果とし
て得られるペロブスカイト化合物1モルに対し,0.0
005モルの炭酸マンガンを絶縁破壊防止剤として加え
た。この混合粉末をエタノール中でボールミルで混合し
た。
【0098】乾燥後の上記混合粉末を850℃×2時間
で熱処理し,チタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5
0.5 TiO3 )の粉末を合成,得られた合成粉末を直
径3mmのジルコニアボールを用いてエタノール中で微
粉砕した。以上により,チタン酸ナトリウムビスマス
(Bi0.5 Na0.5 TiO3 )の等軸形状微粉末を得
た。
【0099】上記チタン酸ナトリウムビスマスの等軸形
状微粉末を200MPaで一軸加圧し,更に4000k
g/cm2 の静水圧成形処理を加え,成形体を作製し
た。この成形体を酸素雰囲気中1200℃で5時間焼結
した。以上により比較試料C1にかかる常圧焼結体を得
た。比較試料C1の表面を研削し,X線回折で調べたと
ころ,図3に示すような回折パターンを得た。この回折
パターンより,比較試料C1が無配向焼結体であること
が明らかとなった。以上により,単に原料となる物質を
混合し,この混合物に配向成形を施しても,結晶配向材
料を得ることができないことが分かった。
【0100】次に,本例における作用効果につき説明す
る。本例の製造方法にかかる混合工程,配向工程,加熱
工程のいずれについても容易に実行可能な操作により構
成されている。また,特別な装置等を必要としないた
め,安価に上記結晶配向材料を作製することができる。
このため製造コストを安価とすることができる。
【0101】従って,本例によれば,結晶異方性の小さ
い物質よりなる結晶配向材料を容易かつ安価に製造する
ことができ,また厚みのあるバルク材料を得ることがで
きる,結晶配向材料の製造方法を提供することができ
る。
【0102】実施形態例2 本例は,図4〜図6に示すごとく,添加物を使用した結
晶配向材料の製造方法および得られた結晶配向材料の性
質,性能につき説明する。Bi2 3 ,Na2 CO3
2 CO3 ,TiO2 を,Bi:Na:K:Ti=1:
0.85:0.15:2となる比に秤量し,ボールミル
で混合,その後乾燥した。
【0103】乾燥後の混合粉末を850℃×2時間で熱
処理し,チタン酸ナトリウムカリウムビスマス(Bi
0.5 (Na0.850.150.5 TiO3 )の粉末を合成し
た。更に,得られた合成粉末を直径3mmのジルコニア
ボールを用いてエタノール中で微粉砕した。以上によ
り,チタン酸ナトリウムカリウムビスマス(Bi
0.5 (Na0.850.150.5 TiO3 )の等軸形状微粉
末を得た。
【0104】このチタン酸ナトリウムカリウムビスマス
(Bi0.5 (Na0.850.150.5TiO3 )の等軸形
状微粉末と,実施形態例1で合成したチタン酸ビスマス
(Bi4 Ti3 12)の板状粉末と,Na2 CO3 ,K
2 CO3 ,TiO2 が,(Bi0.5 (Na0.850.15
0.5 TiO3 ):Bi4 Ti3 12:Na2 CO3:K
2 CO3 :TiO2 =7:1:1.7:0.3:5のモ
ル比となるように秤量した。
【0105】これは元素のモル比ではBi:Na:K:
Ti=1:0.85:0.15:2であり,この総てが
反応すれば,ペロブスカイト化合物(Bi0.5 (Na
0.850.150.5 TiO3 )となる組成比にあたる。
【0106】即ち,チタン酸ナトリウムカリウムビスマ
ス(Bi0.5 (Na0.850.150.5 TiO3 )の等軸
形状微粉末がゲスト材料B,チタン酸ビスマス(Bi4
Ti3 12)の板状粉末がホスト材料A,Na2 CO3
とK2 CO3 とTiO2 とがホスト材料Aをゲスト材料
Eに転換する添加物F1にあたる。なお,この他に,結
果として得られるぺロブスカイト化合物1モルに対し,
0.0005モルの炭酸マンガンを絶縁破壊防止剤とし
て加えた。
【0107】これらの原料にエタノールとトルエンとを
加えてボールミル混合し,更にバインダーとしてポリビ
ニルブチラール,可塑剤としてジブチルフタレートを添
加して混合し,得られた均一なスラリーをドクターブレ
ード装置によりテープ成形し,テープ成形体を得た。上
記テープ成形体を室温で乾燥し,厚さ約100μmとし
た。
【0108】乾燥したテープ成形体を22枚重ねて,8
0℃,100kg/cm2 の条件で圧着し,二軸ロール
で厚みが約2分の1になるまで圧延し,圧延成形体とし
た。上記圧延成形体を酸素雰囲気中600℃(試料2−
1)または700℃(試料2−2)で2時間加熱し,脱
脂体とした。また,700℃で加熱した脱脂体の一部は
4000kg/cm2 の静水圧成形処理を加えた(試料
2−3)。最後に上記脱脂体を,酸素雰囲気中1200
℃で5時間常圧焼結した。以上が加熱工程である。これ
により,試料2−1〜3にかかる常圧焼結体を得た。
【0109】得られた試料2−1にかかる常圧焼結体の
表面のX線回折で調べ,その結果につき図4に記載し
た。図4に示すように,試料2−1は,ペロブスカイト
型の単相の回折ピークが得られた。試料2−1はペロブ
スカイト型の単相であることが分かった。
【0110】そして,ペロブスカイト型であるチタン酸
ナトリウムカリウムビスマス(Bi0.5 (Na0.85
0.150.5 TiO3 )の(100)面および(200)
面の回折ピークαの,(110)面の回折ピークβ(い
ずれも擬立方晶として結晶面を記述した)に対する比α
/βが,以下に示す比較試料C1にかかる無配向のチタ
ン酸ナトリウムカリウムビスマス(Bi0.5 (Na0.85
0.150.5 TiO3 )粉末の回折ピーク比α/βに比
べ,著しく大きな値となった。また,試料2−2,3に
ついても同様の結果を得た。
【0111】更に,上記試料2−1〜3の{100}面
の配向度を計算したところ,いずれもLotgerin
g法による配向度が95%以上であった。
【0112】なお,上記比較試料2−1にかかる常圧焼
結体の表面層を研削により削除して得られた研削面をX
線回折で調べた。この結果について図5に記載した。ま
た,この研削面のLotgering法による{10
0}面の配向度は85%以上であった。以上により,本
例の製造方法によれば,配向度が高く複相の結晶配向材
料を作製できることが分かった。更に,外表面から内部
にいたるまで均一に配向度の高い結晶配向材料を得られ
ることが分かった。
【0113】更に,上記試料2−1(表面配向度98%
の焼結体[相対密度98.1%])を,厚み0.5mm
×直径11mmのペレットに加工した。このペレットに
対し,共振反共振法にて圧電特性を測定した。その結
果,Kp(面効果電気機械結合定数)=0.403,K
t(厚み効果電気機械結合定数)=0.444,d31
(横効果圧電d定数)=59.1pC/Nとなった。後
述する同じ条件で焼結した無配向の比較試料C2に比
べ,上記試料2−2はKpで約4割,d31で約6割高
い特性を示した。
【0114】以上により,本例によれば,配向度が高く
ほぼペロブスカイト型単相からなる結晶配向材料を作製
することができ,また得られた結晶配向材料は各種圧電
特性に優れていることが分かった。
【0115】次に,比較試料C2について説明する。B
2 3 ,Na2 CO3 ,K2 CO3 ,TiO2 を,B
i:Na:K:Ti=1:0.85:0.15:2とな
る比に秤量し,これに,結果として得られるペロブスカ
イト化合物1モルに対し,0.0005モルの炭酸マン
ガンを絶縁破壊防止剤として加えた。この混合粉末をエ
タノール中でボールミルで混合した。
【0116】乾燥後の上記混合粉末を850℃×2時間
で熱処理し,チタン酸ナトリウムカリウムビスマス(B
0.5 (Na0.850.150.5 TiO3 )の粉末を合
成,得られた合成粉末を直径3mmのジルコニアボール
を用いてエタノール中で微粉砕した。以上により,この
チタン酸ナトリウムカリウムビスマス(Bi0.5 (Na
0.850.150.5 TiO3 )の等軸形状微粉末を得た。
【0117】上記チタン酸ナトリウムカリウムビスマス
(Bi0.5 (Na0.850.150.5TiO3 )の等軸形
状微粉末を200MPaで一軸加圧し,更に4000k
g/cm2 の静水圧成形処理を加え,成形体を作製し
た。この成形体を酸素雰囲気中1200℃で5時間焼結
した。以上により比較試料C2にかかる常圧焼結体を得
た。
【0118】上記比較試料C2の常圧焼結体の表面を研
削し,その研削面についてX線回折で調べたところ,図
6に示すような回折パターンを得た。以上により,上記
比較試料C2が無配向焼結体であることが明らかとなっ
た。この比較試料C2である無配向焼結体(相対密度9
9.0%)を厚み0.5mm×直径11mmのペレット
に加工し,共振反共振法にて圧電特性を測定したとこ
ろ,Kp=0.289,Kt=0.398,d31=3
7.1pC/Nであった。以上により,単に原料となる
物質を混合し,この混合物に配向成形を施しても,結晶
配向材料を得ることができないことが分かった。
【0119】
【発明の効果】上記のごとく,本発明によれば,結晶異
方性の小さい物質よりなる結晶配向材料を容易かつ安価
に製造することができ,また厚みのあるバルク材料を得
ることができる,結晶配向材料の製造方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1にかかる,ホスト材料Aの粒子構
造を示す図面代用写真(倍率1500倍)。
【図2】実施形態例1にかかる,本例にかかる結晶配向
材料である試料1−1のX線回折強度の回折パターンを
示す線図。
【図3】実施形態例1にかかる,比較試料C1のX線回
折強度の回折パターンを示す線図。
【図4】実施形態例2にかかる,試料2−1の表面のX
線回折強度の回折パターンを示す線図。
【図5】実施形態例2にかかる,試料2−1の研削面の
X線回折強度の回折パターンを示す線図。
【図6】実施形態例2にかかる,比較試料C2の研削面
のX線回折強度の回折パターンを示す線図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形状異方性を有するホスト材料Aと,少
    なくとも一つの結晶面が上記ホスト材料Aの少なくとも
    一つの結晶面と格子整合性を有し,かつ結晶異方性の小
    さいゲスト材料Bとを準備し,上記ホスト材料Aと上記
    ゲスト材料Bとを混合して混合物となす混合工程と,上
    記混合物中における上記ホスト材料Aの結晶面または結
    晶軸を配向させる配向工程と,その後,これを加熱する
    ことにより,上記ゲスト材料Bまたは該ゲスト材料Bに
    上記ホスト材料Aの構成元素の一部が拡散することによ
    り生成し,かつ上記ゲスト材料Bと結晶系が等しいゲス
    ト材料Cの結晶面または結晶軸を配向させる加熱工程と
    を行うことを特徴とする結晶配向材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 形状異方性を有するホスト材料Aと,少
    なくとも一つの結晶面が上記ホスト材料Aの少なくとも
    一つの結晶面と格子整合性を有し,かつ結晶異方性の小
    さいゲスト材料Bと,更に,上記ホスト材料Aと反応し
    て該ホスト材料Aを上記ゲスト材料Bまたは該ゲスト材
    料Bと結晶系が同じゲスト材料Dに転換するための添加
    物F1,または上記ホスト材料Aおよび上記ゲスト材料
    Bと反応して上記ホスト材料Aを上記ゲスト材料Bと結
    晶系が同じゲスト材料Eに転換するための添加物F2の
    いずれか一方を準備し,上記添加物F1または上記添加
    物F2のいずれか一方と上記ホスト材料Aおよび上記ゲ
    スト材料Bとを混合して混合物となす混合工程と,上記
    混合物中における上記ホスト材料Aの結晶面または結晶
    軸を配向させる配向工程と,その後,これを加熱するこ
    とにより,上記ゲスト材料Aを上記ゲスト材料Dまたは
    上記ゲスト材料Eに転換すると共に,上記ゲスト材料
    B,および上記ゲスト材料Dまたは上記ゲスト材料Eの
    結晶面または結晶軸を配向させる加熱工程とを行うこと
    を特徴とする結晶配向材料の製造方法。
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