JPH10328157A - ガイドワイヤ - Google Patents

ガイドワイヤ

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JPH10328157A
JPH10328157A JP10082247A JP8224798A JPH10328157A JP H10328157 A JPH10328157 A JP H10328157A JP 10082247 A JP10082247 A JP 10082247A JP 8224798 A JP8224798 A JP 8224798A JP H10328157 A JPH10328157 A JP H10328157A
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guidewire
alloy
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Abstract

(57)【要約】 【課題】MRIによるモニター画像で適正に視認するこ
とができるガイドワイヤを提供すること。 【解決手段】本発明のガイドワイヤ1Aは、芯材2と、
該芯材2の全長に渡りその外周に巻回されたコイル3と
で構成されている。芯材2の両端には、それぞれ、止め
部材4、5が設置されている。芯材2とコイル3のうち
の少なくとも一方は、ニッケルを40wt%以上、鉄を
7wt%以下含む合金、または常温付近(10〜40℃
程度)における外径方向の磁化率が、好ましくは0.5
×10-4〜5.0×10-4の金属材料で構成されてい
る。このようなガイドワイヤ1Aは、グラジエントエコ
ー法により撮影したMRI画像中においてガイドワイヤ
の実際の外径の1〜7倍のアーチファクトを生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば各種カテー
テルを誘導するのに用いられるガイドワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】生体内へカテーテルを挿入する場合、そ
のカテーテルのルーメン内にガイドワイヤを挿通し、こ
れを操作することによって、カテーテルの先端部を誘導
し、血管の分岐の選択等を円滑かつ確実に行うようにし
ている。
【0003】従来のガイドワイヤとしては、ステンレス
鋼や超弾性合金(Ni−Ti合金)で構成されたものが
知られている。
【0004】ところで、生体内へのカテーテルの挿入
は、X線透視下で行われるため、カテーテルには、X線
造影性が付与されている。
【0005】近年、核磁気共鳴装置:MRI(Magnetic
Resonance Imaging)による検査、診断が行われている
が、技術の進歩により、このMRIによる画像をモニタ
ーしつつ、被検者の体内にカテーテルおよびガイドワイ
ヤを挿入し、検査、診断、治療等の医療行為を行うこと
も可能となってきた。
【0006】この場合、ステンレス鋼で構成された従来
のガイドワイヤは、その材料特性および線材への加工の
際に生じる加工硬化により、磁性を帯び、そのため、M
RIの強力な磁場中におかれた場合、過剰に反応してM
RIモニター画像上に大きなアーチファクト(実在しな
い像)が出現し、ガイドワイヤが実際の太さの10倍以
上に視認されてしまう。その結果、生体内におけるガイ
ドワイヤの先端部の位置を正確に認識することができな
くなり、前記医療行為の妨げとなるおそれが生じる。
【0007】さらに、MRIの強力な磁化作用によっ
て、ガイドワイヤが発熱し、同様に前記医療行為の妨げ
となったり、生体に対し悪影響を及ぼしたりすることが
あり得る。
【0008】また、逆に、超弾性合金(Ni−Ti合
金)で構成された従来のガイドワイヤは、MRIモニタ
ー画像上に生じるアーチファクトが、ガイドワイヤの実
際の太さより小さく、そのため、生体内におけるガイド
ワイヤの先端部の位置を確認しにくい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、MR
Iによるモニター画像で適正に視認することができるガ
イドワイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の発明により達成される。
【0011】(1) グラジエントエコー法により撮影
したMRI画像中において実際の外径の1〜8倍のアー
チファクトを生じる造影部を有することを特徴とするガ
イドワイヤ。
【0012】(2) 前記造影部がガイドワイヤの少な
くとも先端部に存在している上記(1)に記載のガイド
ワイヤ。
【0013】(3) 前記造影部が、40wt%以上の
ニッケルと、7wt%以下の鉄を含有する合金からなる
上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
【0014】(4) 前記合金が、クロムとモリブデン
をさらに含有する上記(3)に記載のガイドワイヤ。
【0015】(5) 前記合金が、ニッケル45wt%
以上、鉄2〜7wt%、クロム10〜25wt%、モリ
ブデン10〜20wt%を含有する上記(4)に記載の
ガイドワイヤ。
【0016】(6) 芯材と、該芯材の少なくとも先端
部の外周に設けられたコイルとを有し、ガイドワイヤの
長手方向における前記コイルの存在する部分が前記造影
部を構成する上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の
ガイドワイヤ。
【0017】(7) 前記コイルは、常温付近における
外径方向の磁化率が、0.5×10-4〜5.0×10-4
である金属材料で構成されている上記(6)に記載のガ
イドワイヤ。
【0018】(8) 前記コイルに代わり、複数のリン
グ状部材を用いた上記(6)または(7)に記載のガイ
ドワイヤ。
【0019】(9) 前記芯材は、常温付近における外
径方向の磁化率が、0.5×10-4〜5.0×10-4
ある金属材料で構成されている上記(6)ないし(8)
のいずれかに記載のガイドワイヤ。
【0020】(10) 前記芯材の少なくとも一部を被
覆する被覆層を有する上記(1)乃至(9)のいずれか
に記載のガイドワイヤ。
【0021】(11) 少なくとも先端部に、40wt
%以上のニッケルと、7wt%以下の鉄を含有する合金
からなるMRI造影部を有することを特徴とするガイド
ワイヤ。
【0022】(12) 前記合金が、クロムとモリブデ
ンをさらに含有する上記(11)に記載のガイドワイ
ヤ。
【0023】(13) 前記合金が、ニッケル45wt
%以上、鉄2〜7wt%、クロム10〜25wt%、モ
リブデン10〜20wt%を含有する上記(12)に記
載のガイドワイヤ。
【0024】(14) 前記ガイドワイヤの略全長に渡
って存在する芯材を有し、前記MRI造影部が該芯材の
先端部に設けられ、該芯材が超弾性合金からなることを
特徴とする上記(11)記載のガイドワイヤ。
【0025】(15) 前記MRI造影部が、グラジエ
ントエコー法により撮影したMRI画像中において、実
際のガイドワイヤの外径の1〜8倍のアーチファクトを
生じることを特徴とする上記(11)乃至(14)のい
ずれかに記載のガイドワイヤ。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガイドワイヤにつ
いて、添付図面に示す好適実施例を参照しつつ、詳細に
説明する。
【0027】本発明のガイドワイヤは、核磁気共鳴装
置:MRI(Magnetic Resonance Imaging)の作動下
で、検査、診断、治療等の医療行為を行う際に使用する
ことができるものである。
【0028】本発明のガイドワイヤは、グラジエントエ
コー(gradient echo )法により撮影したMRI画像中
において実際のガイドワイヤの外径の1〜8倍、より好
ましくは1.5〜7.5倍、さらに好ましくは2〜7倍
のアーチファクト(artifact)を生じる造影部を有して
いる。アーチファクトが大きすぎると、体腔内における
ガイドワイヤの位置の確認が困難になり、小さすぎる
と、MRIの他の撮影方法であるスピンエコー法による
MRI画像で、アーチファクトが見にくくなってしまう
場合がある。
【0029】この造影部は、ガイドワイヤの少なくとも
先端部に存在しているのが好ましい。
【0030】本発明のガイドワイヤは、前記特性を有す
る造影部を有するものであれば、その具体的な構造は特
に限定されないが、以下、図1〜図5を参照しつつ、好
ましい構成の例を説明する。なお、図1〜図5中の右側
を「基端」、左側を「先端」として説明する。
【0031】図1は、本発明のガイドワイヤの実施例を
示す縦断面図である。同図に示すように、本発明のガイ
ドワイヤ1Aは、芯材2と、該芯材2の全長に渡りその
外周に巻回されたコイル3とで構成されている。このガ
イドワイヤ1Aは、全体として可撓性を有し、特に、ガ
イドワイヤとしての機能を十分に発揮し得るように適度
な剛性および弾性を有している。
【0032】また、芯材2の両端には、それぞれ、芯材
2に対しコイル3が長手方向に移動しないように、止め
部材4、5が設置されている。
【0033】芯材2とコイル3とは、接触または密着し
ていても、所定の間隙を介して離間していてもよいが、
ガイドワイヤ1Aの可撓性(柔軟性)をより向上する上
では、後者の方が好ましい。
【0034】なお、コイル3を構成する線材の断面形状
は、図示の例では、円形であるが、これに限らず、例え
ば、楕円形、半円形、半楕円形、三角形、矩形等の多角
形、扁平形状(板状)等、いかなる形状のものでもよ
い。
【0035】また、コイル3は、2層以上巻かれていて
もよい。
【0036】また、芯材2は、図示と異なり、多層構造
のもの、中空状のもの、複数本を束ねたもの等であって
もよい。
【0037】このようなガイドワイヤ1Aでは、芯材2
とコイル3のうちの少なくとも一方が、またはその一部
が造影部を形成し、グラジエントエコー法により撮影し
たMRI画像中において実際の外径の1〜8倍のアーチ
ファクトを生じるよう形成される。好ましくは、造影部
が、40wt%以上のニッケルと、7wt%以下の鉄を
含有する合金で形成される。特には、合金が、ニッケル
45wt%以上、鉄2〜7wt%、クロム10〜25w
t%、モリブデン10〜20wt%を含有し、必要によ
りさらにタングステン2〜5wt%を含有しても良い。
【0038】また、このようなガイドワイヤ1Aでは、
芯材2とコイル3のうちの少なくとも一方が、常温付近
(10〜40℃程度)における外径方向の磁化率が、好
ましくは0.5×10-4〜5.0×10-4、より好まし
くは1.0×10-4〜3.0×10-4である金属材料で
構成されている。
【0039】このような磁気特性の金属材料(以下、
「低磁化率金属材料」と言う)を用いることにより、前
述したようなアーチファクトを生ぜしめることができ
る。従って、本実施例のガイドワイヤ1Aでは、そのほ
ぼ全長に渡る部分が、前記造影部を構成することとな
る。
【0040】ここで、磁化率とは、次のように定義され
る。
【0041】図6に示すMH磁化曲線(磁気ヒステリシ
ス曲線)において、保磁力Hcと(単位体積[cm3 ]当
たりの)残留磁化Mrの座標を持つ点Aと、原点0とを
結ぶ直線の傾きを磁化率とする。
【0042】この磁化率Xは、 磁化率X=M(磁化:単位[G])/H(磁場:単位[Oe]) =Mr[emu ]/(体積[cm3 ]×Hc[Oe]) で表される。
【0043】なお、芯材2またはコイル3の一方を前記
低磁化率金属材料で構成しない場合、その構成材料とし
ては、非磁性材料(金属材料、樹脂材料のいずれも可
能)とすることができる。
【0044】このようなガイドワイヤ1Aの外径は、特
に限定されないが、通常、平均外径が0.25〜1.5
7mm程度であるのが好ましく、0.4〜0.97mm程度
であるのがより好ましい。
【0045】なお、例えば芯材2の先端部を、先端方向
に向かってその外径が漸減するテーパ状とすることによ
り、ガイドワイヤ1Aの先端部10の剛性(曲げ剛性、
捩り剛性等)を、先端方向に向かって漸減するような構
成とすることもできる。このような構成とすることによ
り、ガイドワイヤ1Aのトルク伝達性、押し込み性(プ
ッシャビリティ)、耐キンク性(耐折れ曲がり性)を十
分に維持しつつ、先端部10の柔軟性を向上し、より高
い安全性を確保することができる。
【0046】図2は、本発明のガイドワイヤの他の実施
例を示す縦断面図である。以下、図2に示すガイドワイ
ヤ1Bについて、前記ガイドワイヤ1Aと相違する点を
中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0047】ガイドワイヤ1Bは、前記と同様の芯材2
を有し、前記と同様のコイル3がガイドワイヤ1Bの先
端部10にのみ設置されている。
【0048】芯材2とコイル3のうちの少なくとも一方
が、低磁化率金属材料で構成されている点は、前記と同
様である。この場合、芯材2が低磁化率金属材料で構成
されているガイドワイヤ1Bでは、そのほぼ全長に渡る
部分が、前記造影部を構成することとなり、コイル3の
みが低磁化率金属材料で構成されているガイドワイヤ1
Bでは、先端部10のみが、前記造影部を構成すること
となる。
【0049】芯材2のコイル3より基端側の部分の外周
には、被覆層6が被覆形成されている。この被覆層6を
形成することにより、適度な柔軟性と強度を得ることが
でき、また、表面潤滑性ポリマーのコーティング層を設
けることが可能となるという効果が得られる。
【0050】この被覆層6は、有機高分子材料で構成さ
れているのが好ましい。被覆層6を構成する有機高分子
材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例えばナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12)、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポ
リ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アク
リル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、
アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブ
タジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポ
リビニルアルコール(PVA)、ポリエーテル、ポリエ
ーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール
(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニ
レンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳
香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹
脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル
系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、
ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素
ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラス
トマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、
メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、
ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブ
レンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち
の1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上
の積層体として)用いることができる。また、被覆層6
中には、X線透視下でガイドワイヤ1Bを使用した場合
にもその位置を確認できるように、例えば硫酸バリウ
ム、酸化ビスマス、タングステンのようなX線不透過材
料が必要に応じて配合されていても良い。
【0051】この被覆層6は、その構成材料の選定等に
より、芯材や後述するマーカーの保護、ガイドワイヤの
滑り性の向上、表面潤滑性ポリマーのコーティング層の
形成を可能とする等の効果をもたらす。
【0052】被覆層6の厚さは、特に限定されないが、
通常、0.05〜0.3mm程度であるのが好ましく、
0.1〜0.2mm程度であるのがより好ましい。
【0053】また、被覆層6の厚さは、被覆層6全体に
渡って均一でも、部位により異なっていてもよい。例え
ば、先端方向に向かってその厚さが漸減または漸増する
部分があってもよい。
【0054】なお、被覆層6は、先端部10の領域、す
なわちコイル3の外周を覆うように形成されていてもよ
い。また、被覆層6は、先端部10の領域のみに形成さ
れていてもよい。
【0055】以上のようなガイドワイヤ1A、1Bにお
いて、コイル3に代えて、1つ以上のリング状の部材を
用いることもできる。この場合、該リング状の部材の構
成材料および特性は、コイル3で説明したものと同様の
ものとすることができる。
【0056】図3は、本発明のガイドワイヤの他の実施
例を示す縦断面図である。以下、図3に示すガイドワイ
ヤ1Cについて、前記ガイドワイヤ1Bと相違する点を
中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0057】ガイドワイヤ1Cは、芯材2を有し、その
ほぼ全長に渡る外周に前記と同様の被覆層6が被覆形成
されている。
【0058】芯材2は、40wt%以上のニッケルと、
7wt%以下の鉄を含有する合金で形成される。より好
ましくは、さらに、クロムとモリブデンを含有する合金
で形成される。時には、合金が、ニッケル45wt%以
上、鉄2〜7wt%、クロム10〜25wt%、モリブ
デン10〜20wt%を含有し、必要によりさらにタン
グステン2〜5wt%を含有しても良い。あるいは、芯
材2は、常温付近(10〜40℃程度)における外径方
向の磁化率が、好ましくは0.5×10-4〜5.0×1
-4、より好ましくは0.5×10-4〜3.0×1
-4、さらにより好ましくは1.0×10-4〜2.8×
10-4である金属材料で構成されている。
【0059】このような特定の成分の合金、または特定
の磁気特性の金属材料(低磁化率金属材料)を用いるこ
とにより、前述したようなアーチファクトを生ぜしめる
ことができる。従って、本実施例のガイドワイヤ1Cで
は、そのほぼ全長に渡る部分が、前記造影部を構成する
こととなる。
【0060】なお、図示のように、芯材2の先端部は、
先端方向に向かってその外径が漸減するテーパ状をなし
ているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1Cの
先端部10の剛性(曲げ剛性、捩り剛性等)を、先端方
向に向かって漸減するような構成とすることもでき、ガ
イドワイヤ1Cのトルク伝達性、押し込み性(プッシャ
ビリティ)、耐キンク性(耐折れ曲がり性)を十分に維
持しつつ、先端部10の柔軟性を向上し、より高い安全
性を確保することができる。
【0061】図4は、本発明のガイドワイヤの他の実施
例を示す縦断面図である。以下、図4に示すガイドワイ
ヤ1Dについて、前記ガイドワイヤ1Cと相違する点を
中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0062】ガイドワイヤ1Dは、芯材として、先端側
の第1の芯材2aとそれより基端側の第2の芯材2bと
を例えば溶接、ろう接、かしめ等により接合したものを
用いた以外は、前記ガイドワイヤ1Cと同様である。
【0063】この場合、第1の芯材2aと第2の芯材2
bの構成材料の組成は異なっており、少なくとも第1の
芯材2aが、前記特定の合金または前記低磁化率金属材
料で構成されている。従って、本実施例のガイドワイヤ
1Dでは、先端部10付近の部分が、前記造影部を構成
することとなる。
【0064】また、第1の芯材2aおよび第2の芯材2
bのそれぞれが、上述の特定の合金または低磁化率金属
材料で構成されていてもよい。尚、第1の芯材2aと第
2の芯材2bとは、金属パイプを用いて接合することも
できる。金属パイプは第1の芯材2aと同一の材料であ
ることが好ましい。
【0065】図5は、本発明のガイドワイヤの他の実施
例を示す縦断面図である。以下、図5に示すガイドワイ
ヤ1Eについて、前記ガイドワイヤ1Dと相違する点を
中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0066】ガイドワイヤ1Eは、芯材23としてガイ
ドワイヤとして最も好適な物性を有すると考えられる超
弾性合金(NiTi合金)が用いられ、その先端は前記
ガイドワイヤ1Eと同様にテーパ状に細径化されてな
る。NiTi合金は、MRIモニター上に生じるアーチ
ファクトが小さいため、特にその細径化された先端部で
位置を視認することが困難であることは既に述べた。
【0067】本実施例においては、芯材23の先端部に
MRIマーカー24が設けられてる。MRIマーカー2
4は、40wt%以上のニッケルと、7wt%以下の鉄
を含有する合金で形成される。より好ましくは、さら
に、クロムとモリブデンを含有する合金で形成される。
時には、合金が、ニッケル45wt%以上、鉄2〜7w
t%、クロム10〜25wt%、モリブデン10〜20
wt%を含有し、必要によりさらにタングステン2〜5
wt%を含有しても良い。あるいは、MRIマーカー2
4は、常温付近(10〜40℃程度)における外径方向
の磁化率が、好ましくは0.5×10-4〜5.0×10
-4、より好ましくは0.5×10-4〜3.0×10-4
さらにより好ましくは1.0×10-4〜2.8×10-4
である金属材料で構成されている。MRIマーカー24
は、前記特定の合金を薄板上に加工したものを芯材23
の先端部に接着またはかしめることによって構成されて
いる。従って、本実施例のガイドワイヤ1Eでは、MR
Iマーカー24の部分が前記造影部を構成することとな
る。
【0068】MRIマーカー24の厚みは、20〜20
0μm程度が好ましい。更には、50〜100μm程度
であるのがなお好ましい。また、MRIマーカー24の
ガイドワイヤ軸方向長さは、0.2〜10mm程度であ
るのが好ましく、更には0.5〜5mm程度がなお好ま
しい。
【0069】ガイドワイヤ1Eは、更に全体を樹脂によ
る被覆層6により被覆されているが、これについては、
前記ガイドワイヤ1C、1Dと同様である。
【0070】本発明のガイドワイヤの構成は、図示のガ
イドワイヤ1A〜1Eに限らず、好適なアーチファクト
を生じる造影部を有するものであれば、いかなる構成の
ものであってもよい。
【0071】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について詳細に
説明する。
【0072】(実施例1)図1に示す構造のガイドワイ
ヤを製造した。このガイドワイヤの各条件は、次の通り
である。
【0073】ガイドワイヤの全長:1500mm ガイドワイヤの外径(平均):0.89mm 芯材の構成材料:低磁化率金属材料M1(組成は下記に
示す) 芯材構成材料の磁化率:1.36×10-4 芯材の外径(平均):0.3mm コイルの形態:1条1層密着巻き コイルの構成材料:超弾性合金(Ni−Ti合金) コイル線材の直径:0.15mm (実施例2)芯材の構成材料を下記低磁化率金属材料M
2(磁化率:1.63×10-4)とした以外は、実施例
1と同様のガイドワイヤを製造した。
【0074】(実施例3)芯材の構成材料を超弾性合金
(Ni−Ti合金)、コイルの構成材料を低磁化率金属
材料M1(磁化率:1.36×10-4)とした以外は、
実施例1と同様のガイドワイヤを製造した。
【0075】(実施例4)芯材の構成材料を超弾性合金
(Ni−Ti合金)、コイルの構成材料を低磁化率金属
材料M2(磁化率:1.63×10-4)とした以外は、
実施例1と同様のガイドワイヤを製造した。
【0076】(実施例5)図2に示す構造のガイドワイ
ヤを製造した。このガイドワイヤの各条件は、次の通り
である。
【0077】ガイドワイヤの全長:1500mm ガイドワイヤの外径(平均):0.89mm 芯材の構成材料:超弾性合金(Ni−Ti合金) 芯材の外径(平均):0.5mm コイルの形態:1条1層密着巻き コイルの形成領域:ガイドワイヤ先端から50mmまでの
範囲 コイルの構成材料:低磁化率金属材料M1 コイル構成材料の磁化率:1.36×10-4 コイル線材の直径:0.15mm 被覆層組成:ポリウレタン 被覆層厚さ:0.2mm (実施例6)コイルの構成材料を低磁化率金属材料M2
(磁化率:1.63×10-4)とした以外は、実施例5
と同様のガイドワイヤを製造した。
【0078】(実施例7)芯材の構成材料を低磁化率金
属材料M1(磁化率:1.36×10-4)とした以外
は、実施例5と同様のガイドワイヤを製造した。
【0079】(実施例8)芯材の構成材料を低磁化率金
属材料M2(磁化率:1.63×10-4)、コイルの構
成材料を低磁化率金属材料M2(磁化率:1.63×1
-4)とした以外は、実施例5と同様のガイドワイヤを
製造した。
【0080】(実施例9)図3に示す構造のガイドワイ
ヤを製造した。このガイドワイヤの各条件は、次の通り
である。
【0081】ガイドワイヤの全長:1500mm ガイドワイヤの外径(平均):0.89mm 芯材の構成材料:低磁化率金属材料M1 芯材構成材料の磁化率:2.1×10-4 芯材の外径(平均):0.5mm(先端細径部:0.16
mm) 被覆層組成:ポリウレタン 被覆層厚さ:0.2mm (実施例10)図4に示す構造のガイドワイヤを製造し
た。このガイドワイヤの各条件は、次の通りである。
【0082】ガイドワイヤの全長:1500mm ガイドワイヤの外径(平均):0.89mm 第1の芯材(先端側)の構成材料:低磁化率金属材料M
1 第1の芯材構成材料の磁化率:2.1×10-4 第2の芯材(基端側)の構成材料:超弾性合金(Ni−
Ti合金) 第1、第2の芯材の接合方法:溶接 芯材の外径(平均):0.5mm 被覆層組成:ポリウレタン 被覆層厚さ:0.2mm (実施例11)第2の芯材の構成材料を低磁化率金属材
料M2(磁化率:2.38×10-4)とした以外は、実
施例10と同様のガイドワイヤを製造した。
【0083】(実施例12)図5に示す構造のガイドワ
イヤを製造した。このガイドワイヤの各条件は、次の通
りである。
【0084】ガイドワイヤの全長:1800mm ガイドワイヤの外径(平均):0.89mm 芯材の構成材料:超弾性合金(Ni−Ti合金) 芯材の外径(本体部):0.5mm MRIマーカーの構成材料:低磁化率金属材料M1 MRIマーカーの寸法:幅2mm、厚さ80μm MRIマーカーの形成方法:かしめ 被覆層組成:ポリウレタン 被覆層厚さ:0.2mm(本体部) 前記低磁化率金属材料M1、M2の組成は、次の通りで
ある。
【0085】[低磁化率金属材料M1] Cr:21.5wt% Mo:13.7wt% W : 3.0wt% Fe: 3.9wt% Co: 0.7wt% Mn: 0.17wt% Si: 0.02wt% Ni: 残部 [低磁化率金属材料M2] Cr:14.7wt% Mo:15.4wt% W : 3.1wt% Fe: 5.6wt% Co: 1.0wt% Mn: 0.6wt% Si: 0.05wt% Ni: 残部 (比較例1)芯材の構成材料をステンレス鋼(SUS3
04、磁化率:15.23×10-4)とした以外は、実
施例9と同様のガイドワイヤを製造した。
【0086】(比較例2)芯材の構成材料をNi−49
wt%Ti合金とした以外は、実施例9と同様のガイドワ
イヤを製造した。
【0087】<実験>実施例1〜12、比較例1、2の
各ガイドワイヤを水中に置いたものについて、MRI
(GEメディカル社製)を用い、グラジエントエコー法
により撮影し、そのMRI画像をモニターした。
【0088】実施例1〜4、7〜9および11の各ガイ
ドワイヤ(造影部がガイドワイヤのほぼ全長に渡って存
在するもの)では、実際のガイドワイヤの輪郭7(図7
中の点線)と、MRI画像に現れたガイドワイヤのアー
チファクト8(図7中の実線)とは、図7に示すような
形状(模式的に示す)となった。
【0089】また、実施例5、6、10および12の各
ガイドワイヤ(造影部がガイドワイヤの先端部に存在す
るもの)では、実際のガイドワイヤの輪郭7(図8中の
点線)と、MRI画像に現れたガイドワイヤのアーチフ
ァクト8(図8中の実線)とは、図8に示すような形状
(模式的に示す)となった。
【0090】一方、比較例1のガイドワイヤでは、実際
のガイドワイヤの輪郭7(図9中の点線)と、MRI画
像に現れたガイドワイヤのアーチファクト8(図9中の
実線)とは、図9に示すような形状(模式的に示す)と
なった。
【0091】また、比較例2のガイドワイヤでは、実際
のガイドワイヤの輪郭7(図10中の点線)と、MRI
画像に現れたガイドワイヤのアーチファクト8(図10
中の実線)とは、図10に示すような形状(模式的に示
す)となった。なお、この場合、アーチファクトは、非
常に不鮮明であり、視認しにくいものであった。
【0092】MRI画像から、ガイドワイヤの造影部の
実際の外径に対するアーチファクトの倍率(各部の平均
値)を測定したところ、次のような結果となった。
【0093】 実施例1 :2.4倍 実施例2 :3.4倍 実施例3 :3.4倍 実施例4 :4.4倍 実施例5 :3.4倍 実施例6 :4.4倍 実施例7 :4.0倍 実施例8 :5.6倍 実施例9 :1.3倍 実施例10:1.3倍 実施例11:4.5倍 実施例12:2.6倍 比較例1 :25.6倍 比較例2 :0.5倍(先端部0.2倍) 以上の結果より、実施例1〜12の各ガイドワイヤで
は、MRIのモニター画像において、ガイドワイヤの位
置、特に先端部の位置や、ガイドワイヤの形状をより正
確に把握することができる。
【0094】これに対し、比較例1のガイドワイヤで
は、ガイドワイヤの実際の外径より、アーチファクトが
極端に大きく現れ、また、比較例2のガイドワイヤで
は、ガイドワイヤの像が不鮮明であり、いずれの場合に
も、ガイドワイヤの位置や形状を正確に把握することが
できない。
【0095】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のガイドワイ
ヤによれば、ガイドワイヤの位置や形状をMRIによる
モニター画像で適正に視認することができる。
【0096】そのため、MRIによるモニター下で本発
明のガイドワイヤを使用しつつ、検査、診断、治療等の
医療行為を行う場合に、その医療行為を円滑、適正に行
うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガイドワイヤの実施例を示す縦断面図
である。
【図2】本発明のガイドワイヤの他の実施例を示す縦断
面図である。
【図3】本発明のガイドワイヤの他の実施例を示す縦断
面図である。
【図4】本発明のガイドワイヤの他の実施例を示す縦断
面図である。
【図5】本発明のガイドワイヤの他の実施例を示す縦断
面図である。
【図6】MH磁化曲線を示す図である。
【図7】ガイドワイヤ(本発明)の輪郭と、MRI画像
におけるガイドワイヤのアーチファクトの形状を示す模
式図である。
【図8】ガイドワイヤ(本発明)の輪郭と、MRI画像
におけるガイドワイヤのアーチファクトの形状を示す模
式図である。
【図9】ガイドワイヤ(比較例)の輪郭と、MRI画像
におけるガイドワイヤのアーチファクトの形状を示す模
式図である。
【図10】ガイドワイヤ(比較例)の輪郭と、MRI画
像におけるガイドワイヤのアーチファクトの形状を示す
模式図である。
【符号の説明】
1 ガイドワイヤ 2 芯材 2a 第1の芯材 2b 第2の芯材 3 コイル 4、5 止め部材 6 被覆層 7 ガイドワイヤの輪郭 8 アーチファクト 10 先端部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラジエントエコー法により撮影したM
    RI画像中において実際の外径の1〜8倍のアーチファ
    クトを生じる造影部を有することを特徴とするガイドワ
    イヤ。
  2. 【請求項2】 前記造影部がガイドワイヤの少なくとも
    先端部に存在している請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 【請求項3】 前記造影部が、40wt%以上のニッケ
    ルと、7wt%以下の鉄を含有する合金からなる請求項
    1または2に記載のガイドワイヤ。
  4. 【請求項4】 前記合金が、クロムとモリブデンをさら
    に含有する請求項3に記載のガイドワイヤ。
  5. 【請求項5】 前記合金が、ニッケル45wt%以上、
    鉄2〜7wt%、クロム10〜25wt%、モリブデン
    10〜20wt%を含有する請求項4に記載のガイドワ
    イヤ。
  6. 【請求項6】 芯材と、該芯材の少なくとも先端部の外
    周に設けられたコイルとを有し、ガイドワイヤの長手方
    向における前記コイルの存在する部分が前記造影部を構
    成する請求項1乃至5のいずれかに記載のガイドワイ
    ヤ。
  7. 【請求項7】 前記コイルは、常温付近における外径方
    向の磁化率が、0.5×10-4〜5.0×10-4である
    金属材料で構成されている請求項6に記載のガイドワイ
    ヤ。
  8. 【請求項8】 前記コイルに代わり、複数のリング状部
    材を用いた請求項6または7に記載のガイドワイヤ。
  9. 【請求項9】 前記芯材は、常温付近における外径方向
    の磁化率が、0.5×10-4〜5.0×10-4である金
    属材料で構成されている請求項6ないし8のいずれかに
    記載のガイドワイヤ。
  10. 【請求項10】 前記芯材の少なくとも一部を被覆する
    被覆層を有する請求項1乃至9のいずれかに記載のガイ
    ドワイヤ。
  11. 【請求項11】 少なくとも先端部に、40wt%以上
    のニッケルと、7wt%以下の鉄を含有する合金からな
    るMRI造影部を有することを特徴とするガイドワイ
    ヤ。
  12. 【請求項12】 前記合金が、クロムとモリブデンをさ
    らに含有する請求項11に記載のガイドワイヤ。
  13. 【請求項13】 前記合金が、ニッケル45wt%以
    上、鉄2〜7wt%、クロム10〜25wt%、モリブ
    デン10〜20wt%を含有する請求項12に記載のガ
    イドワイヤ。
  14. 【請求項14】 前記ガイドワイヤの略全長に渡って存
    在する芯材を有し、前記MRI造影部が該芯材の先端部
    に設けられ、該芯材が超弾性合金からなることを特徴と
    する請求項11記載のガイドワイヤ。
  15. 【請求項15】 前記MRI造影部が、グラジエントエ
    コー法により撮影したMRI画像中において、実際のガ
    イドワイヤの外径の1〜8倍のアーチファクトを生じる
    ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載
    のガイドワイヤ。
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