JPH10326928A - 光短波長化装置及び光短波長化方法 - Google Patents

光短波長化装置及び光短波長化方法

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JPH10326928A
JPH10326928A JP13480697A JP13480697A JPH10326928A JP H10326928 A JPH10326928 A JP H10326928A JP 13480697 A JP13480697 A JP 13480697A JP 13480697 A JP13480697 A JP 13480697A JP H10326928 A JPH10326928 A JP H10326928A
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electron beam
laser
wavelength
electron
electrons
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JP13480697A
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Hideaki Ogaki
英明 大垣
Takayoshi Mamine
隆義 真峯
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Sony Corp
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Agency of Industrial Science and Technology
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電子ビームとレーザビームの衝突によって、1
13個オーダー以上の短波長化された光子を得ることが
でき、しかも、所望の波長を有する電磁波(紫外線やX
線等)を容易に得ることを可能にする光短波長化装置を
提供する。 【解決手段】光短波長化装置は、電子線源10とレーザ
光源20と光共振器22とを備え、レーザ光源20から
射出されそして光共振器22中を伝播するレーザビーム
中の光子と、電子線源10から射出された相対論的速度
で運動する電子ビーム中の電子とを複数回衝突させて、
電子の有するエネルギーをレーザビームの光子に与え、
散乱光を短波長化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所謂、逆コンプト
ン散乱を応用した光短波長化装置及び光短波長化方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置のデザインルールは微細化の
一途を辿り、256MビットのDRAMにおいては0.
25μmルール、1GビットのDRAMにおいては0.
18μmルール、4GビットのDRAMにおいては0.
13μmルールになると予想されている。このようにデ
ザインルールが微細化するに従い、所謂リソグラフィ技
術における光源が大きな問題の1つとなってきている。
【0003】即ち、半導体装置を製造するために用いら
れる半導体露光装置においては、レジスト材料の露光
(感光)に用いる光の波長をλ、レンズの開口数をNA
としたとき、解像度は、レイリーの式 kλ/NA で
表わされる。尚、kは定数である。このレイリーの式か
ら、デザインルールが小さくなるに従い、波長λの短い
露光光源を使用しないと、十分なる解像度を得ることが
できないことが明白である。従って、0.25μmルー
ルにおいてはKrFエキシマレーザ(λ=253n
m)、0.18μmルールにおいてはArFエキシマレ
ーザ(λ=193nm)を用いる必要があるとされてい
る。
【0004】このようなデザインルールの微細化に伴
い、短波長の露光光を得るために、電子ビームを使用し
たリソグラフィ技術や、シンクロトロン放射を応用した
X線ビームによるリソグラフィ技術が検討されている。
ところが、電子ビームを使用したリソグラフィ技術は、
少量多品種の半導体装置の製造に適するものの、スルー
プットが低く、半導体装置の大量生産には不向きであ
る。また、シンクロトロン放射を応用したX線ビームに
よるリソグラフィ技術においては、X線源として大規模
で複雑な装置が必要とされ、半導体装置の製造コストの
上昇が免れないといった問題がある。従って、従来の技
術の延長である光(レーザ)を用いた基本的にリソグラ
フィ技術によって、半導体装置のデザインルールの微細
化に対処できるならば、かかる技術が最も好ましい技術
であると云える。しかしながら、デザインルールの変更
に応じて、所望の波長を有する新規のレーザを開発する
ことは非常に困難であるばかりか、露光光の短波長化と
レーザ開発の歩みを共にする必要があり、極めて開発効
率が悪いといえる。
【0005】物質によって散乱されたX線のなかに、そ
の波長が入射X線の波長より長い方にずれたものが含ま
れるコンプトン散乱現象は古くから知られた現象であ
る。かかるコンプトン散乱においては、静止した電子に
X線が衝突して散乱し、X線の有するエネルギーを電子
が受け取ると共に、X線自体のエネルギーは減少する。
一方、相対論的速度で運動する電子による光の散乱によ
って電子の有するエネルギーを光子に与え、散乱された
光を短波長化する逆コンプトン効果も古くから知られて
いる。例えば、E. Feenberg and H. Primakoff, Phys.
Rev. 73, (1948)449 あるいは、R.H. Milburn, Phys. R
ev. Lett. 10 (1963) 75 や F.R. Arutyunian and V.A.
Tumanian, Phys. Lett. 4 (1963) 176、「エネルギー
可変偏極単色γ線の発生−逆コンプトン散乱の応用」、
大垣 英明及び野口 勉、日本物理学会誌、Vol.50, N
o.5 (1995) pp381-386 を参照のこと。
【0006】また、雑誌「パリティ」Vol.12, No.01, 1
997-01 の第47頁に掲載された「ニュースダイジェス
ト」によれば、ローレンス・バークレー国立研究所材料
科学部門のシェーンラインらのチームは、赤外レーザの
パルスを線型加速器から引き出した電子ビームに直角に
当て、電子ビームの方向に散乱してくるピコ秒以下の極
短X線パルスを観測したと報告されている。即ち、シェ
ーンラインらの実験では、テラワット級のレーザパルス
を曲率半径75cmの鏡で直径30μmのスポットに絞
り、線型加速器から取り出したエネルギー50MeV、
ビーム厚み約90μmの電子線に直角に当てる。その結
果、電子ビームの方向に、エネルギー30eV(波長
0.04nm)、パルス0.3p秒の指向性のよいX線
パルスが観測されたと報告されている。尚、X線の強さ
は、光子数にして1パルス当たり約5×104個であ
る。更には、1995年には、海軍研究所で0.6Me
Vの電子ビームと出力1TWのレーザ光とを正面衝突さ
せ、レーザ光の後方散乱としてエネルギー20eVの輻
射が得られたと報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの文献によれ
ば、電子線源として大掛かりな装置が必要とされる。し
かも、得られるX線の強さは、光子数に換算して1パル
ス当たり高々105〜106個程度である。リソグラフィ
技術においては、例えばKrFエキシマレーザを用いる
場合、1パルス当たりのレジスト材料への照射エネルギ
ーを例えば1mJ/cm2とし、20パルス程度のレー
ザ照射によってレジスト材料を感光させている。この照
射エネルギー量の総和を光子数に換算すると、以下のと
おりとなる。尚、KrFエキシマレーザ(λ=253n
m)における1個の光子の有するエネルギーは4.9e
Vである。
【0008】
【数1】1mJ=1×10-3×107(erg) =1×104×0.62×1012(eV) =6.2×1015(eV) 光子数=6.2×1015×20/4.9 =2.5×1016(個) (1)
【0009】これらの文献に開示された技術は、専ら、
原子核の構造の研究や化学反応、相転移、表面過程の研
究に関するものであり、得られるX線の強さも上記の程
度で十分なる研究が可能である。然るに、リソグラフィ
技術においては、レジスト材料を感光させるために極め
て多量の光子数が要求される。また、X線リソグラフィ
技術においては、光子1個当たりのエネルギーが増加す
るので、必要とされる光子数は一層少なくともよい可能
性もあるが、それでも1013個オーダー以上の光子が必
要とされる。
【0010】従って、本発明の目的は、電子ビームとレ
ーザビームの衝突によって、1013個オーダー以上の短
波長化された光子を得ることができ、しかも、所望の波
長を有する電磁波(紫外線やX線等)を容易に得ること
を可能にする光短波長化装置及び光短波長化方法を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の光短波長化装置は、電子線源とレーザ光源
と光共振器とを備え、レーザ光源から射出されそして光
共振器中を伝播するレーザビーム中の光子と、電子線源
から射出された相対論的速度で運動する電子ビーム中の
電子とを複数回衝突させて、電子の有するエネルギーを
レーザビームの光子に与え、散乱光を短波長化すること
を特徴とする。
【0012】上記の目的を達成するための本発明の光短
波長化方法は、レーザ光源から射出されそして光共振器
中を伝播するレーザビーム中の光子と、電子線源から射
出された相対論的速度で運動する電子ビーム中の電子と
を複数回衝突させて、電子の有するエネルギーをレーザ
ビームの光子に与え、散乱光を短波長化することを特徴
とする。
【0013】本発明の光短波長化装置あるいは光短波長
化方法においては、電子線源から射出された電子ビーム
の有するエネルギーは1×105eV以上であることが
好ましい。電子線源から射出された電子ビームの有する
エネルギーが1×105eV未満では、逆コンプトン散
乱による光の短波長化の効果が小さく、しかも、電子ビ
ーム中の電子間の散乱によって電子ビームを所望のサイ
ズに絞り難い。電子ビームの電流値は1μA以上である
ことが好ましい。また、衝突時の電子ビームの進行方向
とレーザビームの進行方向とは、任意の角度で交わって
いてよい。
【0014】本発明の光短波長化装置あるいは光短波長
化方法においては、電子線源を電子線形加速器及び集束
レンズ系から構成することができる。ここで、電子線形
加速器(リニアック)としては、進行波型線形加速器や
定在波型線形加速器、あるいは誘導型線形加速器、高電
圧整流型加速器(例えば、コッククロフト−ウォルトン
型加速器)、バンデグラフ型加速器、共振変圧器型加速
器等を用いることができる。進行波型線形加速器として
円盤装荷導波管形式を挙げることができ、定在波型線形
加速器としてアルバレ型、総合空洞型、高周波四重極型
を挙げることができる。また、電子線形加速器には、バ
ンチャーと称される電子のバンチ化を図る装置が備えら
れていてもよい。あるいは又、電子線源を、例えば、透
過型電子顕微鏡における電子線源と同様の電子線源を応
用することができる。即ち、電子線源を、電子銃と集束
レンズ系(コンデンサレンズ系)から構成することがで
きる。あるいは又、電子線源として、電子銃と、バンチ
ャーと、集束レンズ系(コンデンサレンズ系)とから構
成することもできる。尚、電子銃として、例えば、ヘア
ピン型のタングステン線の熱陰極(あるいはポイントカ
ソード型の熱陰極やランタンヘキサボライドLaB6
陰極)と、ウェーネルト電極と、接地電位の陽極とから
構成された熱電子放出型電子銃を挙げることができる。
あるいは又、陰極チップと、第1陽極(引き出し電極)
と、第2陽極とから構成された電界放出型電子銃を挙げ
ることができる。更には、ショットキ放出型電子銃を用
いることもできる。
【0015】また、レーザ光源としては、連続発振型の
レーザ光源とすることもできるが、高効率・高出力で短
いパルス幅でレーザを射出することができるQスイッチ
レーザを用いることが望ましく、具体的には、YAGレ
ーザやチタンサファイアレーザ等の固体レーザ、炭酸ガ
スレーザ、XeClエキシマレーザ、KrFエキシマレ
ーザ、ArFエキシマレーザ等の気体レーザを挙げるこ
とができる。レーザ光源としては、出力(P)が0.1
mJ/cm2以上であり、しかも、ビームの直径(d)
が1mm以下であって、繰り返し周波数(f)の高いも
の、即ち、Pf/dの値が大きいレーザ光源を用いるこ
とが好ましい。
【0016】少なくとも部分的に高反射面で仕切られた
体積物、あるいは又、光導波路の端面に反射部を設け若
しくは環状に光導波路を接続することによって光波を3
次元的に閉じ込める装置である光共振器としては、ファ
ブリ・ペロ共振器で代表される一対の平行な平面鏡や一
対の対向する凹面鏡(例えば共焦点ファブリ・ペロ共振
器)、凹面鏡と平面鏡の組み合わせ、3つ以上の反射鏡
から成るリング共振器等を例示することができる。尚、
一対の対向する凹面鏡から構成された光共振器において
は、ビームウェストの領域でレーザビームと電子ビーム
とを衝突させることが好ましい。
【0017】尚、本発明の光短波長化装置及び光短波長
化方法においては、衝突する電子ビームとレーザビーム
の断面積の内、大きな方の断面積をA(単位:cm2
としたとき、1×10-6≦A≦1×10-1を満足するこ
とが好ましい。尚、衝突する電子ビームの断面積とレー
ザビームの断面積の内、どちらの断面積の方が大きな断
面積となるかは、光短波長化装置の設計によって決定さ
れる。
【0018】図2の(A)に示すように、例えば一対の
平行な平面鏡から構成された光共振器に対して角度φで
レーザビームが入射すると仮定する。また、電子線源か
ら射出された電子ビームの進行方向は、光共振器を構成
する一対の平行な平面鏡と平行とする。即ち、衝突時の
電子ビームの進行方向とレーザビームの進行方向とは、
角度φを成しているとする。そして、衝突後の光子及び
電子が、図2の(B)に示すように散乱されるとする。
また、以下の説明に使用する各種の記号を表1のとおり
定義する。
【0019】
【表1】d :一対の平行な平面鏡の間隔 ν0:衝突前の光子の有する振動数(波長λ0) v0:衝突前の電子の速度 θ :電子と衝突した後の光子の散乱された角度 ψ :光子と衝突した後の電子の散乱された角度 ν :散乱光の振動数(散乱後の光子の振動数)であ
り、波長はλ v :衝突後の電子の速度 c :光速c(3×1010cm/秒) h :プランク定数(6.626×10-27erg/秒) m0:電子の静止質量(9.110×10-28g) β0:v0/cを表す β :v/cを表す τB:光共振器に入射するレーザビームのパルス幅
【0020】図2の(A)に示すように、光共振器に入
射したレーザビームが光共振器の位置P1,P2,P3
・・Pn・・・に到達するのに必要な時間tnは、式
(1)のとおりとなる。但し、n=1,2,・・・であ
る。更には、光共振器に入射するレーザビームのパルス
幅τBがtnと一致すると仮定すると、式(1)から式
(2)が得られる。
【0021】
【数2】 tn=(2d/c)(1/sinφ)n (1)
【0022】
【数3】n =(cτB/2d)sinφ (2)
【0023】レーザビームにおける光子の数が電子線源
から射出された電子の数よりも十分に多い場合、1回の
衝突過程で素通りした残りの光子が共振器中を伝播する
ときに更に電子と衝突する。レーザビームが光共振器の
位置Pnに達するまでに電子と光子が散乱(衝突)する
回数Fは、式(2)に基づき式(3)から求めることが
できる。
【0024】
【数4】F=2n=(cτB/d)sinφ (3)
【0025】一方、電子と光子が角度φにて衝突すると
き、エネルギー保存則から以下の式(4)が導かれ、運
動量保存則から以下の式(5−1)及び(5−2)が導
かれる。
【0026】
【数5】
【0027】
【数6】
【0028】式(4)、式(5−1)及び式(5−2)
からv及びψを消去すると、以下の式(6)が得られ
る。
【0029】
【数7】
【0030】尚、電子の加速電圧をV(ボルト)とする
と、β0は以下の式(7)で表すことができる。尚、e
は電気素量である。
【0031】
【数8】
【0032】電子線源から射出された電子及びレーザ光
源から射出された光子がパルス状に光共振器中に入射
し、光共振器中でかかる光共振器の軸線(z軸)に沿っ
て複数回衝突することを保証するためには、 v0/c=cosφ を満足する必要がある。この式を満足しない場合、光共
振器中を光子が伝播している間に電子は光子と衝突する
ことなく光共振器中を通過してしまう。ところで、v0
/cの値を1に近い値に設定した場合、φの値は0に近
づく。従って、この場合、原理的には、電子線源から射
出された電子ビーム及びレーザ光源からレーザビームの
いずれか一方を連続状ビームとし、他方をパルス状ビー
ルとすることが望ましい。具体的には、電子線源から射
出されたパルス状の電子ビームとレーザ光源から連続的
に射出されたレーザビームを用いることが一般的である
が、電子線源から電子ビームを連続状ビームとして射出
する場合には、レーザ光源としてQスイッチレーザを用
いることができる。あるいは又、v0/cの値を1/2
程度に設定し、光子の短波長化よりも、散乱光の光子の
収率Yの向上を図ることもできる。
【0033】φが0でない場合、電子と衝突した後の散
乱光は、以下の式(8)に示される角度θ’方向に極大
値を有する。
【0034】
【数9】
【0035】尚、λ’/λが十分に小さい場合、式
(8)は、以下の式(9)のとおりに近似することがで
きる。
【0036】
【数10】
【0037】ここで、λ=0.002nm、λ0=1.
064μm、β0=0.99と仮定すれば、θ’は1.
15×10-5度程度となり、散乱光は限りなくθ=0度
方向に射出される。
【0038】レーザ光源から射出されたレーザビームの
波長λ0が、例えば1064nm、248nm及び19
3nmにおいて、例えば、φ=45度、90度、180
度とした場合の加速電圧(V)と散乱光の波長λの関係
(但し、θ=0度)を、それぞれ、図4、図5及び図6
に示す。
【0039】ところで、電子線源から射出された相対論
的速度で運動する電子ビーム中の電子とレーザ光源から
射出されたレーザビーム中の光子とを衝突させて、電子
の有するエネルギーをレーザビームの光子に与え、散乱
光を短波長化するとき、かかる短波長化された散乱光の
光子の収率Yは、電子ビーム及びレーザビームがパルス
状でガウス分布を有すると仮定したとき、以下の式(1
0)で表すことができる。
【0040】
【数11】 Y=2Ne・NL・σ・L/(A・τ・c) (10)
【0041】ここで、Ne:1パルス当たりの電子の個
数 NL:1パルス当たりの光子の個数 σ :基本的な散乱断面積であり、(8/3)π(e/
mc22(cm2) L :電子ビームとレーザビームの衝突領域の有効長
(cm) A :衝突する電子ビームとレーザビームの断面積の
内、大きな方の断面積(単位:cm2)。電子ビームと
レーザビームの衝突領域においてAの値が変化する場合
には、最大時の値をAの値とする。 τ:衝突する電子ビームとレーザビームのパルスの内、
長い方のビームパルス幅(秒)
【0042】光共振器中を伝播するレーザビーム中の光
子と電子ビーム中の電子とがF回衝突したとすれば、散
乱光の光子の収率YFは、式(11)から求めることが
できる。ここで、L=τ・cとした。
【0043】
【数12】YF=F・2Ne・NL・σ/A (11)
【0044】従って、電子線源から射出された電子ビー
ムの有するエネルギー(加速電圧V)、レーザ光源から
射出されたレーザビームの波長(λ0)、及び電子ビー
ムの進行方向とレーザビームの進行方向との成す角度φ
を適切に選択し、所望の衝突回数が得られるように光共
振器を設計し、しかも、電子との衝突によって散乱され
た散乱光の散乱角度θを適宜設定すれば、所望の波長λ
を有し、且つ所望の光子収率を有する散乱光(紫外線や
X線等)を得ることができる。
【0045】尚、本発明の逆コンプトン散乱による散乱
光の光子の収率Yを一層向上させるためには、一般的に
は、 (A)レーザビームの高出力化及び繰り返し周波数の増
加 (B)電子銃の大電流化及び電子ビームパルスの繰り返
し周波数の増加 (C)電子ビーム及びレーザビームの集束度の向上 (D)レーザビーム中の光子と電子ビーム中の電子の衝
突回数の増加 を図ることが重要である。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態及び実施例に基づき本発明を説明する。
【0047】(実施の形態1)実施の形態1における光
短波長化装置の概念図を図1の(A)に示す。この光短
波長化装置は、電子線源である電子線形加速器11及び
集束レンズ系12と、レーザ光源20と、例えば一対の
平行な平面鏡から成る光共振器22を備えている。尚、
電子線形加速器11からはパルス状の電子ビームが射出
される。また、レーザ光源20は、Qスイッチレーザで
ある、例えばYAGレーザから構成されている。レーザ
光源20から射出されたレーザビームは、周知のレンズ
系21を通過し、光共振器22に入射する。一方、電子
線形加速器11から射出された電子ビームは、図示しな
い電子レンズによって整形され、あるいは又、図示しな
いバンチャーを通過し、相対論的速度で運動しながら光
共振器22に入射する。そして、光共振器22中を伝播
するレーザビーム中の光子と、光共振器22に入射した
電子ビーム中の電子とは、光共振器22中で複数回衝突
する。これによって、電子の有するエネルギーがレーザ
ビームの光子に与えられ、散乱光は短波長化される。
尚、衝突時の電子ビームの進行方向とレーザビームの進
行方向とは、角度φを成している。
【0048】光短波長化装置全体は、X線遮蔽手段30
で覆われている。光短波長化装置の内部は、空気による
絶縁破壊を防止するために、或る程度の真空度に保持す
ることが好ましい。また、散乱光の所望の散乱角度θに
対応するX線遮蔽手段30の部分には可変スリット31
が設けられている。尚、可変スリット31を、X線遮蔽
手段30の内部に配置させてもよい。これによって、電
子と衝突し散乱され、短波長化された散乱光を系外に取
り出し、例えばフォトリソグラフィ技術における光源と
して用いることができる。即ち、かかる散乱光を露光光
として用い、密着露光装置、近接露光装置、レチクルに
形成されたパターンを等倍のまま若しくは縮小して投影
する投影露光装置等の露光装置において、レチクルに形
成されたパターンを例えば半導体基板上に形成されたレ
ジスト材料に転写することができる。
【0049】(実施の形態2)実施の形態2の光短波長
化装置の概念図を図1の(B)に示す。この光短波長化
装置は、電子銃41とバンチャー42と集束レンズ系4
3とから成る電子線源と、レーザ光源20と、例えば一
対の平行な平面鏡から成る光共振器22を備えている。
電子銃41は、例えば、熱電子放出型電子銃とすること
ができる。また、レーザ光源20は、例えば、実施の形
態1と同様のQスイッチレーザであるYAGレーザから
構成されている。レーザ光源20から射出されたレーザ
ビームは、周知のレンズ系21を通過し、光共振器22
に入射する。一方、集束レンズ系43から射出された相
対論的速度で運動する電子ビームも光共振器22に入射
する。そして、光共振器22中を伝播するレーザビーム
中の光子と、光共振器22に入射した電子ビーム中の電
子とは、光共振器22中で複数回衝突する。これによっ
て、電子の有するエネルギーがレーザビームの光子に与
えられ、散乱光は短波長化される。尚、衝突時の電子ビ
ームの進行方向とレーザビームの進行方向とは、角度φ
を成している。
【0050】
【実施例】
(実施例1)実施例1においては、実施の形態1にて説
明した光短波長化装置を使用した。そして、電子ビーム
のパルス幅τ=1n秒、繰り返し周波数=1kHzと
し、電子線形加速器11から射出された電子ビームの有
するエネルギーを1MeVとした。また、YAGレーザ
の仕様を、波長λ0=1.064μm、射出エネルギー
=10mJ/cm2、パルス幅τ=1n秒、繰り返し周
波数=1kHzとした。更には、電子ビームと衝突する
レーザビームは集束光であり、しかもビームウェスト位
置でのレーザビームの直径を80μm(即ち、A=5.
03×10-5cm2)とした。尚、衝突時の電子ビーム
の断面積はレーザビームの直径よりも十分小さくした。
更には、衝突時の電子ビームの進行方向とレーザビーム
の進行方向との成す角度φを45度とし、光共振器22
を構成する一対の平行な平面鏡の間隔dを1mmとし、
光共振器に入射するレーザビームのパルス幅τBを1n
秒とした。この場合、式(3)から、電子と光子が散乱
(衝突)する回数Fは概ね212回となる。
【0051】このような条件においては、1パルス当た
りの電子の個数(Ne)は6×101 2個であり、1パル
ス当たりの光子の個数(NL)は5.6×1016個であ
る。また、σ及びτの値をそれぞれ以下の値とする。 σ =1.5×10-26(cm2) τ=10-9(秒)
【0052】これらの値を式(11)に代入し、更に、
繰り返し周波数=1kHzを掛けると、散乱光の光子の
収率Yの値は4.3×1013/秒となる。かかる光子の
収率は、レジスト材料を露光(感光)するのに十分なる
光子の数である。
【0053】従って、短波長化された光子の収率Yが所
望の1013/秒オーダー以上の短波長化された光子を得
ることができ、例えば、リソグラフィ技術においてレジ
スト材料を十分に感光させることが可能となる。尚、以
上の議論は特定の数値に基づく議論であるが、種々のパ
ラメータの値は、使用する光短波長化装置に依存して適
宜設定すればよい。
【0054】以上、本発明を、発明の実施の形態及び好
ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限
定されるものではない。発明の実施の形態にて説明した
光短波長化装置及び光短波長化方法における条件や数値
は例示であり、適宜設計変更することができる。例え
ば、レーザ光源20やレンズ系21は、X線遮蔽手段3
0内に収納されていてもよい。また、複数のレーザビー
ムを光共振器に入射させれば、光共振器に入射するレー
ザビームの本数分、収率Yを増加させることができる。
光共振器としては、一対の平行な平面鏡に限定されるも
のでなく、例えば図3の(A)に模式的に示すような一
対の対向する凹面鏡(例えば共焦点ファブリ・ペロ共振
器)、あるいは、図3の(B)に示すような3つの反射
鏡から成るリング共振器、更には、図示しないが、凹面
鏡と平面鏡の組み合わせ等、適宜設計変更することが可
能である。
【0055】
【発明の効果】本発明においては、高い自由度にて所望
の波長を有する電磁波(紫外線)を得ることが可能であ
り、しかも、電子ビームとレーザビームの衝突によっ
て、1013個オーダー以上の短波長化された光子を得る
ことができる。従って、例えばリソグラフィ技術におい
てレジスト材料を十分に感光させることができるが故
に、半導体装置のデザインルールの変更にあっても容易
に露光光の波長の変更を行うことが可能となる。しか
も、装置的には、基本に左程複雑な構造ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1及び発明の実施の形態2の
光短波長化装置の概念図である。
【図2】光共振器内に入射した電子と光子が衝突する状
態のモデル図である。
【図3】光共振器の模式図である。
【図4】λ0=1064nmにおける、加速電圧(V)
と散乱光の波長λの関係を示すグラフである。
【図5】λ0=248nmにおける、加速電圧(V)と
散乱光の波長λの関係を示すグラフである。
【図6】λ0=193nmにおける、加速電圧(V)と
散乱光の波長λの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11・・・電子線形加速器、12,43・・・集束レン
ズ系、20・・・レーザ光源、22・・・光共振器、3
0・・・X線遮蔽手段、31・・・可変スリット、41
・・・電子銃、42・・・バンチャー
フロントページの続き (72)発明者 大垣 英明 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 真峯 隆義 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子線源とレーザ光源と光共振器とを備
    え、レーザ光源から射出されそして光共振器中を伝播す
    るレーザビーム中の光子と、電子線源から射出された相
    対論的速度で運動する電子ビーム中の電子とを複数回衝
    突させて、電子の有するエネルギーをレーザビームの光
    子に与え、散乱光を短波長化することを特徴とする光短
    波長化装置。
  2. 【請求項2】電子線源から射出された電子ビームの有す
    るエネルギーは1×105eV以上であることを特徴と
    する請求項1に記載の光短波長化装置。
  3. 【請求項3】電子線源は電子線形加速器及び集束レンズ
    系から成ることを特徴とする請求項1に記載の光短波長
    化装置。
  4. 【請求項4】電子線源は電子銃及び集束レンズ系から成
    ることを特徴とする請求項1に記載の光短波長化装置。
  5. 【請求項5】レーザ光源から射出されそして光共振器中
    を伝播するレーザビーム中の光子と、電子線源から射出
    された相対論的速度で運動する電子ビーム中の電子とを
    複数回衝突させて、電子の有するエネルギーをレーザビ
    ームの光子に与え、散乱光を短波長化することを特徴と
    する光短波長化方法。
  6. 【請求項6】電子線源から射出された電子ビームの有す
    るエネルギーは1×105eV以上であることを特徴と
    する請求項5に記載の光短波長化方法。
  7. 【請求項7】電子線源は電子線形加速器及び集束レンズ
    系から成ることを特徴とする請求項5に記載の光短波長
    化方法。
  8. 【請求項8】電子線源は電子銃及び集束レンズ系から成
    ることを特徴とする請求項5に記載の光短波長化方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002333500A (ja) * 2001-05-10 2002-11-22 Sumitomo Heavy Ind Ltd 短パルスx線発生装置及び発生方法
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JP2008546152A (ja) * 2005-06-02 2008-12-18 マデイ,ジョン・エム・ジェイ 光アンジュレータを使用する高効率単色x線源
CN110498474A (zh) * 2018-05-18 2019-11-26 北京高山源科技有限公司 高频量子能激光水处理器

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